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# 成城大学社会イノベーション研究

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ISSN1880-6414PublishedbyTheAssociationofSocialInnovationStudies,SeijoUniversityVol.21No.2Mar.2026CONTENTS【論説】シンガポールにおける産業財産権が国の発展に与える影響谷治和文001組織学習理論の再検討―「開かれた学習観」と学習者の主観に着目して佐藤達実013トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬して中村晴文・青山征彦037社会イノベーション学部心理社会学科学生のパーソナリティ―「社会心理学」受講生の９年分データから探る村田光二067ExpressionofMotioninSpokenandWrittenL2EnglishNarrativesL.ニューベリー・ペイトン085合理的配慮概念の認知に関する比較研究―日本とアメリカの調査結果から―後藤悠里101認知的イノベーションとしてのOverviewEffectの可能性新垣紀子・後藤悠里111場所格交替再考―構文と百科事典的知識の関係の解明に向けて―磯野達也121児童養護施設職員のバーンアウトに関する質的検討―三つの下位尺度を手掛かりに―林優太129成城大学社会イノベーション学会

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SeijoUniversitySocialInnovationStudiesVol.21No.2March2026■ARTICLESAStudyoftheImpactofIntellectualPropertyonNationalDevelopmentinSingaporeYAJIKazufumi001RevisitingOrganizationalLearningTheory:Focusingonan“OpenViewofLearning”andLearners’SubjectiveExperiencesSATOTatsumi013Self-DefinitionProcessesAmongTransgenderPeople:FocusingonNarrativesofThoseWithLivedExperienceNAKAMURAHarufumi&AOYAMAMasahiko037PersonalityTraitsofStudentsintheDepartmentofPsychologicalandSociologicalStudies,FacultyofSocialInnovation:ExploringDataFromNineYearsof“SocialPsychology”CourseParticipantsMURATAKoji067ExpressionofMotioninSpokenandWrittenL2EnglishNarrativesNEWBERY-PAYTONLaurence085AComparativeStudyonRecognitionofReasonableAccommodation:FindingsFromSurveysinJapanandtheUnitedStatesGOTOYuri101ThePotentialoftheOverviewEffectasCognitiveInnovationSHINGAKINoriko&GOTOYuri111LocativeAlternationConstructionRevisited:APreliminaryStudyISONOTatsuya121QualitativeExplorationofBurnoutAmongChildren’sHomeStaff:UsingThreeBurnoutSubscalesasAnalyticalLensesHAYASHIYuta129

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Vol.21No.2／2026.3PublishedbyTheAssociationofSocialInnovationStudies,SeijoUniversity

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社会イノベーション研究第21巻第2号（001-012）2026年3月シンガポールにおける産業財産権が国の発展に与える影響2025年11月28日掲載承認シンガポールにおける産業財産権が国の発展に与える影響AStudyoftheImpactofIntellectualPropertyonNationalDevelopmentinSingapore成城大学社会イノベーション学部教授谷治和文YAJIKazufumi1．シンガポールの概要シンガポールは，1965年にマレーシアから独立した国家であり，イギリス連邦（コモンウェルス）の加盟国である。地理的な面でも，ASEAN諸国の中心に位置しており，低税率（アジア国家では最も低い法人税17％，地域統括拠点に対する優遇税制など），自由貿易協定の積極的な締約，安定した政情，金融，情報通信などのインフラも整備されており，世界的にも高い競争力を有する国である。国際通貨基金（IMF）の調査によると，一人当たりの実質GDPは，2007年に日本を抜いており，現在も一人当たりの実質GDPは成長し続けている。また，2004年度の一人当たりのGDPのランキングも世界4位（1位ルクセンブルク，2位アイルランド，3位ノルウェー）となっているi）。シンガポールの2024年における産業別GDP構成比を示すと，卸売・小売業が21．6％，製造業が17.3%，金融保険業が14.3%，ビジネスサービスが11％，運輸・倉庫業が9.1%，情報通信業が6％，ホテル・飲食サービスが3.8％などとなっているii）。GDPについては，卸売・小売業が最も大きい状況となっていることがわかる。製造業もそれに続くGDPを示している。海外からの投資も，2023年には，アメリカ，イギリス，日本がシンガポールへの投資金額の上位を占めている状況である2．シンガポールの知的財産制度シンガポールの知的財産制度は，イギリス植民地時代に始まる。1937年に，イギリスの特許の確認登録制度を採用し，1938年にはTradeMarksOrdinanceが制定され，それに伴い1939年に商標特許登録局が設立された。1994年には，それまでのイギリスの特許法に準拠していた制度から，シンガポール独自の特許法が制定され，1995年には，WTO（世界貿易機関）とパリ条約に加盟し，1998年にはWTOのTRIPS協定に対応したTrademarkActとして商標法が改正・施行された。2000年11月には，シンガポール独自の意匠法が施行され，出願された意匠に対して方式審査がされて登録されるようになった。2001年にはシンガポール知的財産庁であるIPOS（IntellectualPropertyOfficeofSingapore）が創設された。2012年7月には改正特許法が成立し，2014年2月に施行された。この改正により，出願人自らが特許要件を判断して登録が認められる自己査定型の特許制度（self-assessmentpatentsystem）から，シンガポール知財庁が発行する審査内容に関する報告書が肯定的な出願のみに，特許権を付001

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社会イノベーション研究与する制度（positivegrantsystem）にシフトしたiii）。2013年3月には，知的財産権（IP）ハブマスタープランが発表され，シンガポールがアジアにおける「IPハブ」となることを目指し，権利保護の強化やIPそのもの，またはこれを利用した国内・国際取引の拡大を図るための，信頼性ある中立的な拠点となることが提唱された。2017年5月にはIPハブマスタープランが改訂されて，企業のIP活用促進を目的とした3つの目標が推し進められた。一つ目は企業が知的財産を保護，管理，商業化出来るようにするための法的・規制インフラを維持，二つ目はイノベーティブな企業の育成，三つ目は知的財産サービスプロバイダーの包括的ネットワークと協力的な官民連携の構築であったiv）。20021年4月に，IPOSは2013年のIPハブマスタープランにより構築された基盤を元にして，さらに進化し続けるためのシンガポールIP戦略2030（SIPS2030）を発表した。具体的には以下の構想が示されている。（A）シンガポールを知財（IP）及び無体財産（IntangibleAssets,IA）の関連活動及び取引のハブとして成長させる。（B）投資家やイノベーターの信頼を得るべく，シンガポールの誇る知財・無体財産制度を維持することを目標とする。具体的な方策として（a）AI，ビッグデータなどの新興分野の指針を絶えず見直し，（b）シンガポールをASPEC等のシステムを通じてASEANと世界をつなぐ拠点として機能し，（c）シンガポールを紛争解決の中心とすることが挙げられているv）。また，IPOSは，革新的企業の知財活用を支援するために2022年6月2日に，次世代IP出願システムであるプラットホーム“IPOSDigitalHub”サイトを設立した。企業の国際的な取り組みを支援するために，シンガポールとASEAN諸国，さらには世界各国とのIPにおける連携を強化することを目的として設立されたものである。2023年9月には，シンガポールだけではなく，海外でも知的財産の情報サービスおよびリソースを企業に提供できる“GoBusinessIPGrow”と呼ばれる新たなオンラインプラットフォームを導入した。企業がブランド価値，特許，意匠等の無形資産（IntangibleAssets：IA）について体系的かつ透明性のある情報発信を行うための枠組みとして無形資産開示フレームワーク（IntangiblesDisclosureFramework）が構築された。SIPS2030の発表をきっかけに，企業が無形財産である知的財産の保護，管理および取引しやすい環境であり続けるために，シンガポールにおけるIPの基盤が構築されつつあることがわかる。3．知的財産の状況について3.1商標登録出願の状況〇商標登録出願商標登録出願については，海外からの出願が増加傾向にある。2009年に出願件数が極端に減少しているのは，リーマンショックが影響している。その後は，増加傾向にある。また，国内企業からの出願も緩やかではあるが増加傾向にある。このことは，シンガポール国民が多くの種類の製品を求めており，特に海外製品を求めていることを意味している。国内出願もわずかずつであるが増加していることから，国内製品に対するニーズもある程度あることがわかる。また，新しい国内の会社（ベンチャーなど）も設立されつつあることも意味している。海外製品を求める傾向にあるのは，シンガポール国民の収入が高いことが要因の可能性もあり，そのことが自国企業製品（易くて良質のもの）のニーズを高くさせない状況を生み出している可能性もある。他のASEAN諸国では，海外出願の件数よりも，自国企業の出願件数が上回る現象が生じている。これは，自国企業の製品をその国の国民が求めていること，自国企業の数が増加していることなどを意味している。しかしながら，一人当たりGDPがASEANの中では最も多いシンガポールが自国企業による出願が海外企業による出願よりも少ないのは，国の人口が少ないことによる自国企業数の少なさが要因である。002

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003シンガポールにおける産業財産権が国の発展に与える影響図1シンガポールへの商標登録出願���������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������海外企業からの出願数シンガポール自国企業による出願数シンガポール全体の出願数図2インドネシア商標出願状況�������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������海外企業からの出願数インドネシア自国企業による出願数インドネシア全体の出願数図4インド商標出願状況�����������������������������������������������������������������������������������������������������������������������������海外企業からの出願数インド自国企業による出願数インド全体の出願数図3フィリピン商標出願状況����������������������������������������������������������������������海外企業からの出願数フィリピン自国企業による出願数フィリピン全体の出願数図5ベトナム商標出願状況�������������������������������������������������������������������������海外企業からの出願数ベトナム自国企業による出願数ベトナム全体の出願数

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社会イノベーション研究2023年の出願件数の内訳を他の国と比較すると，以下の通りとなる。2023年海外企業の出願件数2023年国内企業の出願件数シンガポールインドインドネシアフィリピンベトナム196752989921473151751823975274734701123302557550725海外企業からの出願件数については，シンガポール知財庁（IPOS）への出願件数と他の国の知財庁への出願件数と比較しても大きな件数の違いはない。つまり，シンガポール，インド，インドネシア，フィリピン，ベトナムの国民が求める商品の数，企業の数にはそれぞれの国の人口数の違いの影響を受けないことがわかる。それに対して，国内企業からの出願は，その国の人口に大きな影響を受けることがわかる。人口の数が多ければ多いほど，自国民のニーズ合わせた商品を製造する企業が多くなり，必然的に自国企業からの商標登録出願が多くなる。つまり海外企業は，国民のニーズ（需要）に応じての数を示すが，自国企業からの出願は，自国の人口数に大きな影響を受けていることを示していることがわかる。これは，自国企業は人口が多ければ，購入する人口もその分多くいることから企業数，商品数が増加しても経営が成り立つ売り上げを得られることが背景にあるといえる。そのことから，人口1万人当たりの自国企業からの出願件数をASEAN諸国などと比較することを行なった。結果は以下の通りである。人口1万人当りの自国企業の商標登録出願件数シンガポールインドインドネシアフィリピンベトナム13.133.782.314.763.168このデータを見る限り，人口1万人当たりで考慮すると，シンガポールの自国企業の商標登録出願はASEAN諸国やインドと比較してもかなり多いことになる。ただし，絶対的な商標登録出願が少ないこと，人口が少ないことから，シンガポール発の世界的なヒット商品（商標）は，他のASEAN諸国に比べると生まれにくい状況である。また，購買力平価GDP10億ドル当たりの自国企業からの出願件数をASEAN諸国などと比較すると以下のようになる。2023年度データ国内出願件数/購買力平価GDP（10億ドル単位）海外出願件数/購買力平価GDP（10億ドル単位）シンガポールインドネシアフィリピンベトナムインド9.025.920.333.832.423.55.012.012.12.0つまり，購買力平価GDP10億ドル単位で商標登録出願件数をみると，国内企業の出願については，インドネシア，フィリピン，ベトナム，インドにおいて，20.3～33.8となっており，大きな違いはないが，シンガポールのみ9.0とかなり小さい数値となっている。しかしながら，海外出願についてはシンガポールについては，23.5となっており，他の国の国内出願件数に近い数値となっている。つまり，シンガポールは海外企業の商標の製品を購入する傾向にあり，その他の国々は国内企業の商標の製品を購入する傾向にあることがわかる。シンガポールの場合は，海外企業商品で国民のニーズを満たしていることもあり，そのことが国内企業の製品のニーズを抑えている状況でもある。また，シンガポール企業が自国で製品を製造する場合，国土面積の制約による地価の高さから，低コストでの国内生産は困難である。その結果，安価かつ高品質な製品の製造が難しく，自国製品の生産を阻害する要因となっていることもシンガポール自国企業の商標登録出願が大きく増加しない理由でもある。つまり，シンガポールの商標登録制度は，海外企業シンガポール進出促進型の制度となっており，海外企業進出支援に比べると支援力は弱いが自国企業発展促進型でもあることがわかる。004

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シンガポールにおける産業財産権が国の発展に与える影響3.2シンガポールの特許出願についてIPOSへの特許出願の推移についても，他のASEAN諸国同様に海外からの特許出願が多い状況となっている。シンガポール国内からの出願（国内出願）も増加傾向にあるが2022年，2023年においては出願件数が若干減少している状況である。これは，コロナ禍が影響しているものである。シンガポールの自国出願については，2000件前後の件数となっており，極めて少ない状況であることがわかる。2020年のデータではあるが，シンガポールの国内出願の多くは，シンガポール国立研究機関やシンガポールの大学からの出願が多く，シンガポールの企業からの出願が少ない状況となっている。図6のデータを見る限り，海外企業シンガポール進出促進型の知財制度となっていることがわかる。ただし，自国の出願件数も増加傾向にあることから自国技術発展推進型でもある。しかしながら，その件数は他国と比べると少ない状況であり，さらに企業ではなく国立研究機関，大学などからの出願が大多数を占めている。2021年公表のデータからは，国内出願については，南洋工科大学（NTU），シンガポール国立大学（NUS），科学技術研究庁，開発会社センスタイム・インターナショナルなどが国内からの出願数の上位を占めている。この状況から，シンガポール政府が国立研究機関や大学を中心に研究開発を推進していることがわかる。また，民間企業でも多くはないが出願をしていることもわかる。商標と同様に人口10万人当たりの国内出願件数を他国と比較すると以下のようになる。人口10万人当の出願（国内）人口10万人当の出願（海外）シンガポールインドネシアフィリピンインド27.390.600.683.47205.243.163.572.81シンガポールの人口を考慮すると10万人当たり，国内から多くの特許出願がされていることがわかる。その観点からは国の政策として，研究開発に力を入れていることが示されているといえる。しかし，発明の場合には，多くの発明がなされることにより，その技術分野の権利を得ることができ，技術力向上に繋がることからも，特許出願については出願件数の絶対数が発明の発展に繋がる部分もある。結果として，シンガポールの特許制度は，海外企業シンガポール進出促進型の面が強く，自国技術発展促進型でもあるが，その面が前者に比較すると小さいことがわかる。ここで，シンガポールの制度には他のASEAN諸国と大きく異なる点がある。それは，実用新案登録制度が存在しないことである。タイ，インドネシア，フィリピンでは，自国からの出願において実用新案登録出願が広く活用されている。他方，シンガポールには実用新案制度がなく，特許制度のみが利用されている。特に，タイやフィリピン�������������������������������������図6シンガポール知財庁への特許出願推移����������������������������������������������������������������������������������������全出願件数国内出願海外出願005

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社会イノベーション研究では，実用新案制度が発明・研究開発への「ゲートウェイ出願」として機能しており，大学・国立研究機関からの出願が多い傾向にある。これに対し，シンガポールでも大学や国立研究機関からの出願が多数を占める点は共通するが，使用する制度的枠組みは実用新案ではなく特許制度となっている。すなわち，出願主体（大学・国立研究機関など）は同じであっても，活用している知財制度が異なるという状況が起こっている。この知的財産の活用の違いが，今後どのように研究開発や経済発展に影響を及ぼすのかが注目される。〇IPハブマスタープランについて特許審査についてASEANのハブになることを目標とする「IPハブマスタープラン」を2013年に発表し，知財取引・管理のハブとして国を発展させることを示している。このプランは2017年に更新され，知財取引・管理のハブとともに，無形資産/知財の商業化と取引を促進するための効果的な市場を作ることを提言している。このIPハブマスタープランでは，3つのハブ（①IP取引・管理，②IP出願，③IP紛争解決）として活動することを示している。ここで，2023年のIPOSへの特許出願件数とASEAN諸国，インドへの特許出願件数を比較した表を以下に示す。2023年海外からの出願件数2023年国内からの出願件数2023年の合計特許出願件数シンガポールインドインドネシアフィリピンベトナム196752989921473151751823975274734701123302557550725272025033691338034075068964合計特許出願件数をみると，シンガポールは27,202件となっており，フィリピン40,750件，ベトナム68,964件，インドネシア133,803件，インド503,369件と比較すると，まだ知財庁への特許出願件数総数としては少ないことがわかる。IPハブマスタープランの目的に照らして，海外からの特許出願件数で比較すると，シンガポール19,675件で，インドネシア21,473件，ベトナ図7ASEAN第1国出願と第2国出願の状況調査vi）2ndAMSBNKHIDLAMYPHSGTHVNBNKHID1332314LA1stAMSMY10614914PH481810SG12254891884266347TH11VN19TBD2811006

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シンガポールにおける産業財産権が国の発展に与える影響ム18,239件と同じ程度の件数となっており，インドは29,899件とシンガポールと比較すると多い状況であることがわかる。つまり出願件数という側面では，ASEANのIPハブの目的は，まだ発展途上の段階と数値的には解釈できる。ただし，ASEAN諸国の独自の審査体制としてASPEC（ASEAN特許審査協力）プログラムがあり，そのプログラムにおいては，IPOSはハブとしての存在感を示している。ASPEC制度は，2009年6月15日に始まり，加盟国の知財庁間で特許審査の結果を共有し，審査の迅速化・効率化を図るシステムである。このASPEC加盟国は，ブルネイ，カンボジア，インドネシア，ラオス，マレーシア，シンガポール，タイ，ベトナムの9カ国で構成されており，第1ヶ国目に出願した知財庁での審査結果を，第2ヶ国目に出願した知財庁において参考にする仕組みである。制度自体は，特許審査ハイウェイ（PPH）に似た制度となっている。そのASPECの利用状況を示したものが下の図7である。この表をみて分かる様に，1STAMSがSG（シンガポール）で，2ndAMSが他の国の知財庁になっている件数が群を抜いて多いことがわかる。SG⇒BNが1件，SG⇒IDが225件，SG⇒MYが489件，SG⇒PHが188件，SG⇒THが266件，SG⇒VNが347件となっており，SDが1stAMSとなっている件数が合計で，1,516件となっている。一方，他の国で1stAMSとなっているのは，インドが53件，マレーシア80件，フィリピン40件，ベトナム10件となっており，シンガポールを第1審査国にする件数が圧倒的に多いことがわかる。この背景には，シンガポールの特許審査がASEAN諸国の中では，迅速，的確であることから第1審査国になる件数が多いことがあげられる。このデータから，特許審査のハブになる土台を築き始めていることがわかる。このことから，シンガポールは，国としてASEANのハブとしての存在感を高めるために特許制度を積極的に活用し，同制度を通して，経済活性化を促進することを目指していることがわかる。つまり，特許制度はシンガポールASEANIPハブ構想促進型でもある。3.3シンガポールの意匠登録出願についてシンガポールでは，2000年11月に意匠法が施行され，意匠登録出願制度が開始された。そのため，IPOSへの意匠登録出願は，2001年から本格的に開始されている。IPOSでは，方式的審査のみが実施されて，実体審査はなされないが，新規性がないことが明確な場合及び，不登録事由に該当する場合は拒絶される場合もある。意匠権の存続期間は登録日から5年間で，以後2回まで更新可能であり最長存続期間は合計で15年となる。図8シンガポール知財庁への意匠登録出願推移����������������������������������������������������������������������������������������������������������������シンガポール全体の出願数シンガポール自国企業による出願数海外企業からの出願数007

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社会イノベーション研究2005年1月には，意匠法が改正をされて，国際登録協定である「ハーグ協定」に加盟し，海外からIPOSへの意匠登録出願の登録までの手続きの簡素化，費用の軽減化がなされた。その影響もあり，海外企業からIPOSへの出願件数は，2005年から2009年にかけて，減少傾向にあったものの，2010年から2022年にかけて増加傾向に転じている。自国企業による意匠登録出願（自国出願）は，2008年から2014年にかけて徐々に増加傾向にあったが，その後2015年から2022年にかけて減少傾向にある。2017年には，登録可能な意匠の範囲を拡大し，非物質的商品にまで登録意匠の対象となったが，前記の通り，自国出願件数は減少している。シンガポールの人口が少ないとは言え，意匠の自国出願全体の件数は減少していることから，シンガポールでは，自国企業へのデザインへのニーズが少ない状況であることがわかる。その一方で，海外企業へのデザインニーズが高まっている状況であることもわかる。このことからも，意匠制度は，海外企業シンガポール進出促進型であることがわかる。この状況から，シンガポール国民は海外企業商品へのニーズが高い状況もわかる。自国企業へのデザイン保護は行なっているが，方式審査のみであり，実体審査を行なっていないことが，自国出願件数が増加せず，海外からの出願件数が増加している要因でもある。この意匠登録出願件数が2016年以降に減少傾向にあるが，シンガポール政府としては，デザイン推進については力を入れており，2000年には文化・芸術において際だったグローバルシティを目指す「ルネッサンス・シティ・プロジェクト」が開始されている。2003年には，シンガポール経済再生委員会の報告書である“NewChallengesFreshGoals－TowardsaDynamicGlobalCity”において「クリエイティブ産業を経済成長のための新たな分野に一つとして活用すべき」と示した提言を受けて，「デザインシンガポールカウンシル」が設立されて，「デザインシンガポール・イニシアティブ」が開催された。このようにシンガポール政府はイノベーションの観点からデザインの重要性に着目し，デザイン力の向上を促進する政策を打ち出している。一方，意匠登録出願件数については，2000年から2015年にかけて緩やかな増加が見られたものの，2016年以降は意匠登録出願件数も前述の通り下降傾向にある。これは，シンガポール国民の海外デザイン重視傾向による影響である。4．シンガポール現地専門家へのインタビュー4.1日本企業進出支援団体へのインタビュー以下は日本企業進出支援団体の知的財産担当の方へのインタビュー内容である。〇シンガポールは従前から，発展のためには多くの側面でASEANのハブになるという政策がある。その政策の考え方が，知財にも適用されている。特許出願についても，中継的考え方，つまり最初にシンガポールの審査を通った上で，ASEAN諸国に特許権が発生するという制度が定着することを狙いとしている。〇商標については，ASPEC以外にも2ヶ国間条約（ベトナム，カンボジア，インドネシアなどと，PPHのような関係を結んでいる），意匠については，実体審査がない状況（創作容易性までは判断せずに，新規性を判断している），商標は実体審査しているがASEAN協力をしていない。仲裁，調停については，商標がメインになる。〇審査協力については，知財のハブについては，政策の中心的な存在を高める方向にある。前長官は，法務関係であり，国連の司法裁判所の裁判官に立候補している。〇WIPO事務総長のダレン・タンは，シンガポール知財庁の元長官である。〇シンガポール知財庁がビジネス官庁の下にあることから，ビジネスに力を入れる必要があるという考え方がある。〇特許の審査官は，シンガポール知財庁で育成をした審査官で構成されている。審査官数は，およそ100人程度である。008

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シンガポールにおける産業財産権が国の発展に与える影響〇シンガポール政府は，知的財産を活用してシンガポールのビジネスを発展させていこうと考えている。〇シンガポール政府は，社会発展のためには商標権が非常に有効であると考えている。IPGlowで，ニーズある企業を適したIP専門家とマッチングしてくれる，また，IPOS主導でマッチングイベント（交流会）などを開催している。〇IPOSは，中小企業向けのセミナーも開催している。〇IPOSは，多くの政府機関と協力体制も構築している。ビジネス官庁（ESG：シンガポール企業庁及びIPIシンガポール（ESGの傘下で中小企業を支援する中小企業庁）），科学技術研究庁ともコラボして知財の普及に努めている。〇エンフォースメント関係については，シンガポール警察の中に知財部の専門部隊がいて，摘発を行なっている。ネット販売については，情報通信メディア開発庁と連携して，取り締りをしている。〇税関は，中継物流（シンガポールを通過する物品）についてはまったく検査はしない。シンガポールの中に輸入されるものは，国内で模倣品販売をするのが難しい，法律遵守に関しての考え方が，日本に近い状況である。〇医薬や麻薬については，税関検査における優先順位が高くなり，それら以外である知的財産の検査・取り締りについては優先順位が低くなっているとは感じている。ただし，知財庁（IPOS）は，警察，税関と連携して取り締りをしている。〇IPOSは，知財紛争について，シンガポールがASEAN諸国の紛争の調整，仲裁の中心になることも目標としている。最近の仲裁結果は公表されている。4.2シンガポール駐在の日本人弁護士へのインタビュー〇シンガポール企業が特許を取得する目的は，侵害対策が最も理由としては大きい。他社へのライセンス供与もあるが，侵害対策の方が重要視されている。〇シンガポール自体の市場が小さいことから，ASEANのシンガポール以外での国の特許権取得を目的として，シンガポールでまずは特許権を取得していることもある。〇シンガポールのローカル企業で特許取得している企業は少ない。最近では，仮想通貨，ブロックチェーン，大学などと共同研究開発をしていることが多い。国内企業で，技術を使用して世界に出ている企業は少ない状況である。〇最近では，仮想通貨，ブロックチェーン，大学などと共同研究開発をしていることが多い。シンガポールの国内企業で，技術を使用して世界に出ている企業は少ない状況である。〇不動産会社，銀行（特許出願をしている）が国内でのエンフォースメントを実施している。シンガポールには，金融と不動産会社程度しか企業がない状況である。〇企業のKPIとして，特許出願件数が示されされている。企業と研究開発することが多いので，共同出願をすることが多い。〇日本企業は，IPOSへの特許出願については，市場が小さいことからあまり積極的ではない。しかし，クワルコム，ファーウェイは特許出願をしているので，その部分は日本企業と海外企業の異なる部分である。〇シンガポールの大学と海外企業とが共同研究をして，特許出願する場合も多い。〇上記の共同研究の場合は，大学としては研究する場所を提供して，企業から派遣された職員を研究員として，大学で研究をさせ，研究成果について共同で特許出願することが多い。〇共同研究による特許出願が多いためにシンガポール国内大学，シンガポール国立研究機関の出願件数が多くなっている。〇日本以外の海外企業は，同業他社が出てこない限り，シンガポールで出願することは少ない。〇ASPECの場合は，シンガポール以外の国の特許出願が目的の場合もある。〇IPOSへの海外特許出願が増加しているのは，一部の企業が大量に特許出願していることが理由009

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社会イノベーション研究〇アップルがベトナムに進出してきているので，下請け企業が多くベトナムに進出してきている。〇海外企業がR&Dをシンガポールに設置する場合は，税務優遇措置，研究開発のための政府支援があり，特許出願費用をサポートする施策もある。〇海外企業のR&Dを誘致して，特許出願をすれば，IPOSの収入も増加し，審査官の数も増やせる。〇海外企業のR&Dの誘致をしているのは，シンガポールで発明及び特許出願をすることにより，シンガポール国民の技術を学ぶ機会が増える。特許制度が。，シンガポールの技術発展を促進している面もある。〇シンガポール政府が優先している技術は，半導体，仮装通貨，金融関係，AI，バイオ系技術となっている。〇シンガポールに実用新案制度がないのは，IPOSの特許審査に問題がない（審査期間2～3年程度）ためである。他のASEAN諸国で実用新案制度が使われているのは，特許審査に時間がかかるために，無審査の実用新案制度を活用している理由が大きい。〇IPOSのファストトラック制度は，IPOSへの出願件数増加のためには役立っている。月10件という制限があり，AI技術関係の特許出願を優先して受け付けているが，他の技術分野でもファストトラック制度を使うことは可能である。〇シンガポール国内では，企業数が少ないことから国内企業同士の特許紛争が起こりにくい状況である。〇海外企業からの特許出願が国内企業からの特許出願件数を大きく上回っていることにより，海外企業のシンガポール進出を促進している。〇欧米，日本で売れている物品がシンガポールに輸入されているためシンガポール特有のブランドが生まれにくい。人口が少ないことからシンガポール特有のブランドが育ちにくい環境である。〇特許紛争の調停，仲裁のASEANのハブとなることを目的としていることから，裁判所の判断などの内容は良い。WIPOの仲裁機関もシンガポールにある。〇模倣品自体が，シンガポールでは少ない。4.3模倣品についてインタビューでも述べられているように，シンガポールでは，他のASEAN諸国に比べると模倣品が販売されていることが極めて少ない状況である。筆者自身も，上記弁護士に聞いた模倣品がある可能性がある街（複数）に行き，土産物などをみて廻ったが，模倣品（偽ブランドなど）は見つからず，日本のアニメの絵が書いたスーツケースタグが一部の店で販売されている程度であった。その販売されているスーツケースタグには，著作権ライセンスのマークなどは一切記載されていなかった。ただし，他のASEAN諸国に比べると偽ブランドなどが販売されていることは極めてまれであった。5．まとめ【商標制度について】〇商標制度は，ASEANのIPハブにはなっていないが，海外企業からの商標登録出願がおおく，海外企業シンガポール進出促進型になっている。〇シンガポールの商標登録制度は，海外企業シンガポール進出促進型の制度となっており，海外企業進出支援に比べると支援力は弱いが自国企業発展促進型でもある。ただ，海外企業ブランドの購買意欲向上機能により，シンガポール国民は刺激を受けているのも確かである。一人当たりGDPが高いことから海外企業の高級ブランドのニーズが高く，その状況がシンガポール発のブランドを生み出しにくい環境にしている。【特許制度について】〇シンガポールの特許制度は，海外企業シンガ010

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シンガポールにおける産業財産権が国の発展に与える影響ポール進出促進型の面が強く，自国技術発展促進型でもあるが，その面が前者に比較すると小さいことがわかる。〇シンガポールASEANIPハブ構想促進型でもある。〇シンガポール国内でも特許出願件数が多いのは，南洋工科大学（NTU），シンガポール国立大学（NUS），科学技術研究庁などであり，大学や国立研究所がそれぞれ200件程度の特許出願をしており，これらの大学･国立研究所が中心になり特許出願をしている。〇民間企業としては，COMPOUNDTEKPTE.LTD.（半導体企業），GRABTAXIHOLDINGSなどが数十件単位の特許出願をしている。ただし，シンガポールは国土が小さい国であることから，大規模な製造工場の設立が困難となっている。〇他のASEAN諸国と異なり，実用新案登録出願制度を採用していない。しかしながら，特許審査が早いことから，実用新案登録制度は必要無い状況である。ここについては，今後の特許制度がシンガポールの技術の発展，経済の発展にどのように貢献していくのかを注目していきたいところである。【意匠制度について】〇意匠制度は，海外企業シンガポール進出促進型であり，シンガポール国民の海外企業へのデザインニーズが高まっている状況であることがわかる。〇自国企業へのデザイン保護は行なっているが，方式審査のみであり，実体審査を行なっていないことが，自国出願件数が増加せず，海外からの出願件数が増加している要因でもある。〇2000年には文化・芸術において際だったグローバルシティを目指す「ルネッサンス・シティ・プロジェクト」が開始されている。2003年には，「デザインシンガポールカウンシル」が設立されて，「デザインシンガポール・イニシアティブ」が開催された。このようにシンガポール政府としては，イノベーションの観点からデザインの重要性に注目し，デザイン力の成長を促進する政策を打ち立てているが，シンガポール国内企業からの意匠登録出願件数は減少傾向にある。上記まとめを図面化すると図9のようになる引用文献i）IMF:InternationalMonetoryFundDATAよりhttps://www.imf.org/en/Dataii）DEPARTMENTOFSTATISTICSSINGAPORE,“EmpoweringYouwithTrustedData”,https://www.singstat.gov.sg/modules/infographics/economyiii）INPIT「シンガポールにおける特許法改正の概要（2014年2月14日施行，2017年10月30日一部改正）」，工業所有権情報・研修館新興国等知財情報データバンク，https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17810/iv）WIPO「各国の視点シンガポールの歩み」P7https://www.wipo.int/edocs/pubdocs/ja/wipo-pubrn2023-58-ja-country-perspectives-singapore-sjourney.pdfv）IPOS“SingaporeIPStrategy（SIPS）2030”,https://www.ipos.gov.sg/global-ip-hub/singapore-ipstrategy-2030vi）ASEANIntellectualPropertyPortal,“ASEANPat-図9シンガポール産業財産制度の産業発展への貢献フローシンガポール産業の発展シンガポール技術の発展ASEANのハブとして地位シンガポール企業の起業，商品増加促進模倣品対策企業などへのライセンス海外企業シンガポール進出促進ASEAN他国からの出願商標制度特許制度011

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社会イノベーション研究entExaminationCooperation（ASPEC）Statistics”,https://www.aseanip.org/statistics/asean-patentexamination-cooperation-(aspec)-statistics（2025年11月アクセス）参考文献JETROシンガポール「シンガポールにおける知的財産権の権利執行状況に関する調査」，2018年3月，https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/sg/ip/pdf/survey_ip_201803.pdf（2025年11月アクセス）森哲也，加藤浩「TRIPS協定下にあるシンガポール共和国における知的財産制度の意義の特殊性について」知財ジャーナル，2020年，https://www.publication.law.nihon-u.ac.jp/pdf/property/property_13/each/08.pdf（2025年11月17日アクセス）平間靖英「シンガポールの知的財産ポータルSurfIP」，情報の科学と技術55巻2号P65-71，2005年木村剛大，「シンガポール知的財産法への招待」tokugikonNo.2752014年11月14日P34-P52IPOS,WIPO「知的財産担保の実現：各国の視点シンガポールの歩み」https://www.wipo.int/edocs/pubdocs/ja/wipo-pub-rn2021-15-ja-unlocking-ip-backedfinancing-country-perspectives-singapore-sjourney.pdf（2025年11月17アクセス）MercuryGeneralLPC&Partners「シンガポールにおける知的財産権」https://www.mercury-law.com/singaporechitekizaisan（2025年11月17日アクセス）WIPO「シンガポールにおける知財ファイナンスの推進」WIPOマガジン，2021年12月10日，https://www.wipo.int/ja/web/wipo-magazine/articles/unlockingip-backed-financing-in-singapore-42263（2025年11月18日アクセス）TMI弁護士法人関川裕「【シンガポール】知的財産関連法の改正について」，海外知財アップデート，https://www.wipo.int/ja/web/wipo-magazine/articles/unlocking-ip-backed-financing-insingapore-42263（2025年11月18日アクセス）福永佳史「ASEANにおける知的財産権協力の展開と現況」国際貿易投資研究所フラッシュ164https://iti.or.jp/flash164.pdf（2025年11月18日アクセス）ElizabethSiewKuanNg“IntellectualPropertyLawinSingapore:AGeneralOverview”,SingaporeAcademyofLawJournal,Vol.4,No.1,June1992,32-85青山竜文「シンガポールにおけるライフサイエンス・エコシステム形成－トランスレーションへの集中に向かうプロセスー」DBJDiscussionPaperSeries,No.2301，https://www.dbj.jp/ricf/pdf/research/DBJ_DP_2301.pdf（2025年11月18日アクセス）012

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社会イノベーション研究第21巻第2号（013-035）2026年3月2025年組織学習論の再検討11月30日掲載承認組織学習論の再検討―「開かれた学習観」と学習者の主観に着目してRevisitingOrganizationalLearningTheory:Focusingonan“OpenViewofLearning”andLearners’SubjectiveExperiences成城大学大学院社会イノベーション研究科博士課程後期佐藤達実SATOTatsumiAbstract：キャリア自律やリスキリングなど，働く個人には「学習」の必要性が声高に伝えられている。その背景には，個人の頭や身体の内側に，知識やスキルを獲得・蓄積することを前提とする「閉ざされた学習観」がある。しかし，現実の仕事やスポーツ競技において私たちは，一人で行為するよりもむしろ，他者や道具，環境と相互に作用しながら行為し，その過程で学習する。つまり，私たちは他者や道具，環境へと「開かれた学習観」に基づき行動し学習する。また，開かれた学習観の下では「主観」と，それらの相互作用性に注目することで，これまでは発見できなかった学習に気づくこともあり得る。本研究では，このような観点に立ち，組織学習研究がどのような学習理論を背景に研究されてきたのかを明らかにする。また，組織学習論が変遷を遂げてきたなかで，組織メンバー一人ひとりの主観がどのように位置づけられてきたのか，ということを先行研究の整理を通じて明らかにする。そして，これからの組織学習研究には「開かれた学習観」と「主観」を捨象しないアプローチが重要であることを主張するとともに，そのために必要な一人称・二人称・三人称的かかわりを統合するような新たな研究方法の確立が課題であることを述べる。キーワード：開かれた学習観，閉ざされた学習観，主観，相互作用，組織学習openviewoflearning,closedviewoflearning,subjectiveexperiences,interaction,organizationallearning1．はじめに少子高齢化や労働人口の減少などの影響を受けて職場では，主婦や高齢者，外国人の参画が増え，価値観や働き方がますます多様になっている。スポーツ競技においても，ジェンダー・エクイティの追求やパラスポーツの普及が拡大するのに伴い，参画する人々の経験や価値観の多様化が進んでいる。スケートボードやパルクールなどのアーバンスポーツを筆頭に，勝敗という単一の競争原理から解放され，パフォーマンスやプロセスの違いを個性として認め，共創や相互尊重を大切にする動きが広がりつつある（日本経済新聞，2021）。このような共創や相互尊重を大切にする流れは，一人ひとりの経験や価値観を重視することにつながるだろう。そのため，今後は一層，主観への注目が高まると推察できる。しかし，これまでの組織学習研究は，組織をマスで捉え，それを構013

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社会イノベーション研究成するメンバーの主観や，それらの間の相互作用への視点を欠いていたのではないだろうか。それらを考慮して組織学習論を捉えなおしたとき，働く個人や組織の学習はどのように変わるのだろうか。本研究は，組織学習研究がどのような学習理論を背景に研究されてきたのかを明らかにする。また，変遷を遂げてきた組織学習論では，主観がどのように位置づけられてきたのか，ということを先行研究の整理を通じて明らかにする。したがって，まずは主要な学習理論について概観し，再検討の観点を提示する。その観点でもって，組織学習研究とその周辺領域を再検討し，今後の課題を述べる。2．学習理論の変遷2-1.学習の定義一般的に学習とは「練習や経験の結果として生じる，比較的永続的な行動の変容」（鎌原・竹綱，2015）と定義される。しかし，この定義は，「個体発生」を前提としており，社会に参加する人やモノの在り方，役割についての考慮が不十分である（広瀬，2018）。本研究では，組織学習に焦点をあてるため，一般的な学習の定義よりも広く捉えて次のように定義する――「何らかの社会的実践に役割を持って参加し，その過程でアイデンティティを変化させたり，知識を獲得したり，何かができるようになったりすること，またそこに関わる人や道具（人工物）など社会的関係から相互に知識や社会を創りだすこと」（佐藤，2021）。2-2.学習観の移り変わり人や組織の学習において，学習者の主観が，心理学を中心とした学習研究のなかでどのように位置づけられてきたのかを理解するため，主要な学習観の変遷を概観する。ここでは，佐伯（1998，2014）と城間（2012）による枠組みに着目し，行動主義的学習観と認知主義的学習観，構成主義的学習観，状況論的学習観という4つの学習観を採りあげ，それぞれが何に重きを置いて学習を捉えてきたのか，またそのなかで主観がどのように位置づけられてきたのかを整理する。2-2-1.行動主義的学習観学習に関わる科学的研究は，ワトソン（J.B.Watson）による行動主義宣言を起点に，1930年代から1960年代にかけて展開された行動主義心理学に基づく研究にはじまったとされている（佐伯，2014）。行動主義に基づく「学習」は，特定の「刺激」に対する「反応」の変化という「誰にとっても明らか」で観察の可能な行動を対象とすることで，客観的な自然科学であることを担保しようとする。したがって，行動主義的学習観に基づく学習の対象は，外部から客観的に観察できる個体に紐づく行動であり，そこでの学習支援は適切に課題と強化子を与えることで望ましい行動に導くことである。そのため，学ぶ対象や内容，方法は教授側によって規定される。行動主義的学習観の下では，繰り返される行動の速さや正確さが評価の指標とされ，学習者の主観は客観性を欠く要素として批判され，重要な変数と扱われることはなかった。2-2-2.認知主義的学習観しかし，目に見える行動にとどまらず，個人の頭の中で起きている過程に着目する必要性が高まり，行動主義に代わる考え方が1950年代以降，展開される。当時，著しい発展を遂げていた情報処理技術は，その後のコンピュータの基礎となる学習理論にも影響をもたらした。これが認知主義とされる立場であり，この学習観は，個体に内在する認知プロセスに注目し，記憶・思考・理解・問題解決などの働きを重視する。また，学習の対象は客体としての個人の頭の中でいかに効率的に知識を獲得し，問題を解決するかに焦点をあてる。1950年代の急速な機械工業の発展も相まって，学習曲線の探求が主要テーマであり，学習者一人ひとりの主観に焦点があてられることはなかった。情報処理や計算操作は，再現性と正確さの追求に注力され，実行するべきタスクが単純で定型的な機械工業中心の社会と親和性が高かった。この学習観の下では，学習者が学ぶべき「知識」と記憶，蓄積する方法は，教授側によって決めら014

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組織学習論の再検討れる。学習の過程が，観察可能な行動から頭の中の知識に変わっただけで，いかに合理的・効率的に学習するかという焦点は変わっていない。したがって，認知主義的学習観においても，学習者の主観は着目されていない。2-2-3.構成主義的学習観人の頭の中を空っぽのバケツに見立て，そこに知識を注入するという認知主義ではなく，既有知識や経験と関連づけて理解したり，知識を再構成したりして，知識のネットワーク全体が変容すると考えるのが構成主義的学習観である。つまり，構成主義的学習観とは，学習者の周りの事象と学習者の既有知識や経験との間の相互作用を通じて，学習者の知識が再構成されることを学習と捉える見方である（大島・大島，2010）。このような学習観の下でも，学習の対象は客体としての知識であり，学習支援のあり方も，いかに個人の既有知識と関連づけてネットワークを構築させるかに焦点があてられた。構成主義的学習観の下でも，学習の成果を測定する指標は，記憶され蓄積された知識の量であることに変わりはなく，知識の量が問題解決を左右するとみなされてきた。そのため，学習者はそれぞれに異なる存在とみなされていたが，一人ひとりの主観には十分に焦点が当てられていなかった。2-2-4.状況論的学習観行動主義と認知主義，構成主義は一見，大きく異なるようだが，「個人」に焦点をあてている点で共通する。1980年代になると，そもそも「学習」というものを個人の「頭の中」における情報処理と結論づけることへの疑問が呈されるようになる。Cole&Scribner（1974）は当時，発達心理学では定説とされていたPiagetの発達課題を西アフリカのリベリア地方にいるクペル族の成人に試したところ，知能年齢が5歳程度と判断されたことを報告している。しかし，彼ら彼女らはもちろん，日常生活ではきわめて「知的」に生活していることから，人の思考は，文化や生活，環境と密接につながっていることが明らになった（Cole&Scribner,1974）。また，Hutchins（1995）は，飛行機のパイロットに着目し，彼ら彼女らは安全な運航のために必要とされる膨大な知識をすべて頭に入れたり，飛行中に瞬時に複雑な計算をやってのけたりしているのではなく，機体の総重量と着陸速度が一覧化されたカードを使うなどしてむしろ，「覚えなくてもよい」，「計算しなくてもよい」状態をつくるために道具を使い操縦していることを明らかにした。これは，人の思考が，頭の中で効率よく情報を処理することに加え，周囲の適切な道具と関わりあうことで達成されていることを意味する（佐伯，2014）。これまでの学習観では，客観的な行動だけを扱おうとしたり，頭の中での情報処理や，蓄積した知識の転移を学習とみなしたりしてきたが，状況論的学習観では，学習とは状況に依存し，状況に埋め込まれている（situated）と考える。このように，個人に閉ざされていた学習の捉え方を手放すことで，人が環境や状況，文化や歴史，道具（人工物）などとの相互作用のなかで捉えようとする学習観，すなわち「状況論」的学習観が1990年代から注目されるようになる。また，状況論では，文化人類学的アプローチの有効性が徐々に認められるようになり，Suchman（1987）がコピー機開発におけるユーザーとのコミュニケーションについて研究したのに続き，Lave&Wenger（1991）が，学習を「人が実践の共同体に参加することによってその共同体の成員としてのアイデンティティを形成すること」と捉える正統的周辺参加論（LegitimatePeripheralParticipationtheory;LPP）を展開するなど広がりをみせた。このように，状況論的学習観では，学習を他者や環境，道具と「関わる」ことによって「環境を作り変えた」り（新原，2021），「共同体に参加すること」と捉えている。これらは，学習が本質的に学びあいであって，個人の営みではない（佐伯，2014）ことを表している。したがって，状況論的学習観の下では，学習は個人に制限されず，個人を取り巻く環境や状況，周囲にある道具，関わる他者との「活動」や「実践」に埋め込まれたものとして捉えられるようになった。また，活動015

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社会イノベーション研究や実践に参加することを通じて，アイデンティティが変容することが学習とされ，構成主義から大きく転換した。特に，学習をアイデンティティの変容とする捉え方は，客体としての知識にとどまらず，個人の主観が学習の対象に加えられたと考えられ，学習理論の変遷上，大きな転換といえる。2-3.「閉ざされた学習観」と「開かれた学習観」ここまでみてきたように，行動主義的学習観と認知主義的学習観，構成主義的学習観はすべて，学習の対象が個人に属する行動であり，頭のなかに内在する情報や知識である。これらを「閉ざされた学習観（closedviewoflearning）」とする（中村・佐藤，2024；表1参照）。いずれも，可視化や言語化が比較的容易であり，他者に説明したりしやすいという特徴がある。一方，状況論的表1閉ざされた学習観と開かれた学習観（中村・佐藤（2024）を基に作成）閉ざされた学習観開かれた学習観能力のみかた外界にある客体としての知識やスキルを指し，獲得・蓄積・所有としての対象個人に内在・帰属するもの，個人の所有物とみなす静的・固定的獲得した知識やスキルの量によって評価される状況や環境の如何を問わず発揮されるもの他者の支援や道具の利用を介してできることも能力と捉えるアフォーダンスやヒューリスティックによる行動も能力と捉える動的・流動的能力の発揮のされ方や評価は，状況や環境，協働する他者，利用できる道具などに依存する対峙する他者や事象との間で生成されたり，発揮されたりするもの学習の捉え方根ざす理論行動主義，認知主義，構成主義状況論的学習観，社会構成主義学習の目的学習される時空間学習内容学習の主体人材モデル評価外在する第三者によって決められた基準に達するよう適応すること；doing教室や実験室で，利用できる道具や協働できる他者の存在などが制約された空間でなされるもの何を学ぶかは，外在する第三者，または客観的に正解とされる知識をもつ教え手が決める（固定的・不変）客観的・合理的に正解とされる情報・知識や技量（客体）学習の主役は権威ある教え手学び手は知識や技量を注入される受動的な存在合理的に行動する独立した個人ミスなく正確で速く再現できる人効率的・合理的に最短距離でゴールへ到達できる人獲得した情報・知識，行動の変容結果に至るまでに費やした時間，すなわち効率性第三者が客観的な指標で評価する今の自分で在る（being）と同時に，今の自分を超えた振る舞いになる（becoming）ことなお“being”は固定的で静的な状態ではなく，“becoming”の過程における側面であり，両者は相互作用的な関係にある（茂呂，2019）相談や討議する他者や利用できる道具，類似する自他の経験など，生活や実践に根差してなされるもの何を学ぶかは，学び手が置かれた状況や立場に埋め込まれ（situated），依存する（流動的・可変）他者との対話や協働，道具や環境との相互作用を通じて紡がれる知や意味学びの主役は対話や協働の担い手である学び手教え手は，その促進者として存在する背景や文脈をもち，他者や周囲と相互に作用する個人試作を繰り返し，失敗から学んでゴールを見なおし，追いかけ続けられる人結果に至るまでのプロセス自己評価を起点とし，第三者からのフィードバックにより評価の質を高める016

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組織学習論の再検討学習観は，実践や活動を伴う共同体（コミュニティ）への参加の過程で生じるアイデンティティの変容を学習と捉え，そこで構成される知は，自己に内在された既有知識にとどまらず，自己を取り巻く環境や使用する道具，周囲の他者などとの相互作用によって紡いでいくものとする社会構成主義の概念をも内包する。したがって，これを「開かれた学習観（openviewoflearning）」とする（中村・佐藤，2024；表1参照）。開かれた学習観の下では，学習する目的や内容，方法は状況に依存するため一義的，客観的に与えられるものではなく，学習者自らが意味づけるものであり，学習を能動的に捉えやすい。重要なことは，学習は決して個人の頭の中だけで起こる静的で固定的なものでもなければ，現実の社会と乖離した実験的で閉鎖的なものでもなく，社会との関係性によって変化する動的で開かれた活動ということである。2-4.学習者の主観とは哲学，社会学，心理学など，さまざまな学術領域で用いられる概念であり，いずれの文脈で議論されるかによって含意が異なる。本研究では，自律的にキャリアを構築しようとするビジネスパーソンが学ぶ際に重視している要素として佐藤（2021）が主張した「主観による意味づけ」を含意するものとして，次のように位置づける（表2）。これらはいずれも，自分が育った環境や文化のほか，その時その場所にいる他者，使う道具などと相互作用するものであり，決して個人の内側のみに閉じる概念ではない。特にビジネスや研究において，主観的であるということがしばしば，「自分ひとりの考えや感じ方にかたよる態度である」（「広辞苑」第六版）として，「非科学的」であることと同義的に扱われ，いずれも研究において否定的に論じられることが少なくない（末武，2016）。しかし，人間の認識や行為は経験に基づ表2主観の要素志向や衝動・「こうありたい」「こうしたい」など，本人の志向や衝動を表し，行動の源となるもので，未来の時間軸に向けたもの。・谷川（2024）によると，衝動とは，生理的な動機や外発的なインセンティブによって生じるものでなく，モチベーションとは異なる。とはいえ，内発的な動機では説明が足りず，「メリットやデメリット，コスパ，人からどう思われるかなどといったこととは関係がないところに向かう原動力」（谷川，2024,p.29）であり，「世間的な賢明さや理屈とは違うという意味で」「人生のレールを外れる欲望」（同）のことである。実感・感触・手応え・（行動の結果，得られる）客観的な結果・成果以上に，本人が「今，ここ」で覚える実感や感触，手応え。現在の時間軸に向けられたもの。・「直接的な経験やそこから得られる実感などの主観を重視し，主観に基づいて解釈，意味づけする」（佐藤，2021,p.23）こと。・例えば，野球の打撃での結果が内野ゴロで凡退したとしても，それまでに取り組んできたことを「試合で再現できた」「しっくりくる感覚を掴めた」という本人による納得感のようなものを指す。・同様に，ある楽器を演奏した結果，聴衆からは賞賛され，数値的によい音色であるという賞賛を得たとしても，演奏する本人には，練習で取り組んできた手応えとは違う，しっくりこない感覚のようなものを指す。事象や事実，経験の見方・捉え方の癖や傾向・対峙する事象や出来事，経験などに対する，その人なりの感じ方や考え方，見方，捉え方の傾向のこと。類似する事象や出来事に対峙しした際にも，時と場所を変えて同じように捉え，感じ，考え，行動する傾向や癖のこと。・本人にとって無自覚・無意識であることが多く，過去や現在，未来とあらゆる時間軸に対して表れやすい。017

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社会イノベーション研究いており，その経験は基本的に主観的なもの（末武，2016）と考えられ，本研究では主観を静的・固定的なものとしてではなく，次の（1）,（2）のような概念を含む動的なものと捉える。（1）主観とは，個人の中に固定的に内在するものとは捉えない人の主観とは個人の内側に固定的に存在し，その主観の違いが個々人の特徴や個性を形作っていると考えがちだが，静的で固定的なものというよりも，絶えず動き変化するものである。（2）主観とは他者や道具，環境などと相互作用する動的なプロセスであるGendlin（1997）は，「インタラクション・ファースト（まず相互作用ありき）」として，個々の実体や現象が独立したそれ自体としてではなく，常に影響をもたらしあって機能しているとの捉え方を主張する。つまり，主観とは絶えず相手や道具，環境などとの相互作用のなかにあり，主観と主観とがお互いに影響を与えて進展する動的なプロセスである。これらを踏まえて本研究では「主観」を次のように定義する――「個人がもつ独自の志向や衝動，実感や感触，手応え，物事の見方・捉え方の癖や傾向のことを指し，他のそれらとの間で絶えず相互作用のなかにあり，お互いに影響を与えて進展する動的なプロセス」。3．組織学習研究の展開3-1.組織学習の定義安藤（2019）によると，組織学習の主体として，組織メンバーである「個人」，擬人化された法人であるところの「組織」，そして両者の「関係性」という3つが考えられる。組織学習の対象としては，知識，行動，認知，ルーティン1）という4つの変化を挙げている。そのうえで，学習主体を関係性に着目してシステム全体，対象を認知の変化に加えて，潜在的な行動の範囲を含む組織ルーティンの変化とみなし，組織学習を「組織と個人を包含するシステム全体における組織ルーティンの変化」と定義した（安藤，2019,p.24）。3-2.再検討の観点本研究では「開かれた学習観」に基づいて組織学習研究を再検討する。本章では，次のように2つの観点を設定し，組織学習論の先行研究を再検討する。観点1組織学習研究がどのような学習観を背景にもつのか観点2組織学習研究のなかで，学習者の主観がどのように位置づけられているのか組織学習研究が、「閉ざされた学習観」「開かれた学習観」のいずれに基づいて学習を捉えているか（観点1）によって、主観への焦点のあて方、個人や組織の学習のし方、支援のあり方が異なるだろう（観点2）。3-3.組織学習研究の黎明期安藤（2001）によると，組織学習には大きく2つの特徴がある。1つは「組織の適応過程のような動的な変化・発展プロセス」であり，もう1つは長期適応する継続的なプロセスである。これらの特徴へのコンセンサスが得られたのは，1985年に発表されたFoil&Lylesの研究であるが，これらの特徴を採りあげた組織学習の先行研究を整理すると1960年代前半まで遡る。その時期の代表的な研究として，Cyert&March（1963）による「企業の行動理論」が挙げられ，組織学習論の歴史が本格的にスタートする契機となったと言える。このことから，組織学習論の生成期とは，1960年代前半とするのが妥当である（安藤，2001）。ただし，1960年代以前にも，組織学習論に影響をもたらす研究は存在し，組織学習論の基盤を形作ったとも考えられるため，それらを「組織学習論の黎明期」と位置づけ概観する。3-3-1.適応学習としての組織学習：学習曲線の向上安藤（2019）によると，学習曲線2）とは特定の行動やスキル，作業を対象とし，いわばそれらが定型的に熟達していく過程をグラフに表したものと言える。学習曲線の目的は，「適応による進化」018

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組織学習論の再検討であり，「行動による学習（learningbydoing）」によって，いかに効率的に生産性向上につなげるかという「適応学習（adaptivelearning）」が主な関心事である。「学習曲線」研究は元々，個人を対象としてきたが，Wright（1936）による対数線形モデルの研究をきっかけに，1930年代以降，主に経営学領域で組織の学習曲線にも関心がもたれるようになった。米国政府が軍事研究に学習曲線を活用し，戦後の1950年代には，その研究成果が公開され，次第に産業界へと研究が拡大していった。Hollander（1963：1965）によるデュポン社レーヨン工場での研究が契機となり，Greenberg（1970）による石油産業や鉱業での事故発生率と組織学習の関係に関する研究を通じて，組織が経験を積むほど，事故発生率やクレーム数が減少するという学習曲線が得られることを強調した。この段階における組織学習論は，頻度を重ねることによる行動の変容と，それによる効率性の獲得，つまり学習率に焦点があてられている。背景には，1900年代初頭から1950年頃にかけて，行動主義が学習研究を主導したことが考えられる。したがって，組織学習論の黎明期においては，右下がりの学習曲線が行動主義的学習観と整合し（観点1），そこでは学習者の主観への考慮はない（観点2）。3-3-2.学習曲線の限界：U字型の学習曲線Abernathy&Wayne（1974）は，1906年から1940年頃までの米国の大手自動車製造会社間の攻防を題材とした研究を通じて，学習曲線の右下がりに専心することの危険性を論じている。それによると当時，業界のリーディングカンパニーであったフォード社は，大衆車「モデルT」のコスト削減を目指し，設備投資や労働者の削減などの策を講じて生産日数の削減や販売価格の抑制につなげた。しかし，大衆車が浸透しつつあった1920年代に入ると，顧客の嗜好に変化が生じ，快適さや安全性能に対する要求水準は高まり，従来よりも高価格帯の自動車が人気を博すようになる。ところが，学習曲線の右下がりに専心し，それによって成功を収めたフォード社は，この変化を捉えることができず，モデルチェンジを含め対策を講じることなく，従来通りのやり方でコスト削減と低価格車の製造に専心し傷口を広げる事態を描いている。また，Levitt&March（1988）は「有能さの罠（competencytrap）」という概念を用いて学習曲線の限界を主張した。有能さの罠とは，過去に有効に機能し，多くの成果をもたらした組織ルーティンが，その後の環境変化により機能しなくなったとしても，組織がその事実に気づかなかったり，気づいたとしても，慣れ親しんだ組織ルーティンの使用に固執しやすくなったりすること（安藤，2019）を指す。同様に，Baum&Ingram（1998）は，複数のホテル経営の調査・分析を通じて，長期的に学習曲線がU字カーブを描く，つまり，一定の時間経過後には学習率が低下することを明らかにした。このように，1950年代以降に学習曲線の研究が拡大した後，1970年代以降にはその限界が論じられるなど，組織学習論には一定の進展がみられた。しかし，依然として学習率に焦点があてられていたことに変わりはなく，行動主義的学習観に基づき，組織学習論が展開されていたと考えられる（観点1）。そのため，学習曲線の探求からその限界が見出される過程においても学習者の主観が研究の俎上に載せられることはなかった（観点2）。3-4.組織学習研究の3系統先述した安藤による組織学習の2つの特徴―動的な変化・発展プロセスと長期適応―に基づくと，1960年代前半以降の研究が組織学習と定義される（安藤，2001）。それ以降，Argyris&Schön（1978）のシングル・ループ学習とダブル・ループ学習，Hedberg（1981）のアンラーニング，Nelson&Winter（1982）やLevitt&March（1988）の組織ルーティン，Senge（1990）の学習する組織，Nonaka&Takeuchi（1995）の知識創造，Mintzbergetal.（1998）の創発的学習など数多くの研究が蓄積されているが，多彩なアプローチが採用されているため，組織学習論を明019

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社会イノベーション研究確に分類することは難しい（鈴村，2022）。ここでは，60年代以降の組織学習研究を，議論の前提や問題への関心に基づいて，安藤（2001）が提案したMarch系・Hedberg系・Argyris系という3つの類型を活用し，各系統における先行研究を検討する。3-4-1.March系March系は，Levitt&March（1988）をはじめとし，組織ルーティンを主な研究対象とし，組織学習の定着や収束に重きを置くグループである。鈴村（2022）によると，March系は，学習を「組織が情報や知識を獲得し，異なる情報源からの情報を共有し，それによって新しい情報や理解が導かれ，将来の利用のために組織の記憶として知識が保持されていくプロセス」（Huber，1991,p.90）とみなす。組織学習を知識の獲得，情報の分配，情報の解釈，組織の記憶で構成するどのサブプロセスに着目するかによって各研究に相違が見出せる。March系の見解では，処理され補完された情報の入れ物として組織を位置づける。Lave&Wenger（1991）の主張を用いると，このような情報処理システム観の下で，「学習」とは，知識が発見される，伝達される，他者との間で利用されるなどすべて，知識が内化する過程とみなされ，知識は個人の頭の中に内在することを前提とされている。知識が個人に内在される過程を学習とすれば，組織が社会的な相互作用によって新たに知識を創造する過程を説明できないし，組織メンバーの役割をかすませ（安藤，2001,p.46），組織のなかで共有されたものの見方，集団の目に見えない圧力，集団や組織の規範などの認識過程への影響力が捨象されてしまう（加護野，2011）。つまり，組織学習が対象とする知識や環境は境界の外側に存在する客体であり，組織は環境内の需要に応じて製品やサービスを生産するための「道具」とみなされる（奥村，2001）。以上のようなMarch系の研究に対する批判を踏まえると，これらの先行研究はいずれも認知主義的学習観を基盤としている（観点1）。そのため，入れ物としての組織という枠組みから抜けられず，組織メンバー一人ひとりの主観と，それらの間の相互作用には意識が向けられていない（観点2）。3-4-2.Hedberg系Hedberg系とは，アンラーニング（unlearning）3を研究対象とするグループである。組織学習におけるアンラーニングの重要性については既に，組織学習の研究者間でコンセンサスが形成されたといえるが（安藤，2001），組織アンラーニング研究の嚆矢的な存在とされるのがHedberg（1981）である（松尾，2022）。Hedberg（1981）は，組織学習を「外部環境」と「内部環境」，「組織の認知スタイル」という3つのサブプロセスから構成するプロセスと捉え，既存の内部環境のままでは外部環境を正しく探索できないとき，既存の認知スタイルのままでは必要とされる内部環境を形成できないとき，または，外部環境に対応できないときに既存の認知スタイルを棄却し，アンラーニングが生じ得ると主張した（安藤，2001）。さらに，Hedbergは，March&Olsen（1976）が提唱した「個人の信念→個人の行為→組織の行為→環境の反応→個人の信念→…」と展開する組織学習プロセスを利用して，完全なアンラーニング・サイクルを通じたもの，不完全なアンラーニング・サイクルを通じたものなど，アンラーニングには複数のパターンがあることを主張した。特に内部環境と外部環境，組織の認知プロセスが形成するサブプロセスうち，「組織の認知スタイル」とはまさに「組織文化」を意味し，組織文化が組織メンバーの価値観や行動様式に作用して，組織学習の成立に影響することを強調している。しかし，Hedbergのアプローチをみる限り，組織文化がメンバー個人によってどのように形作られるのか，反対に組織文化が個々人にどのように影響し学習を促進したり阻害したりするのかというメンバー同士の相互作用や，組織がもつ合理性と個人の主観との間の相互作用にまでは言及していない（観点2）。Hedberg系に分類される具体的な先行研究として，異常事態（jolts）に対する組織の解釈や適020

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組織学習論の再検討応行動の違いが，組織学習にどのように影響をもたらすかというMeyer（1982）の論文を採りあげる。これは1975年5月に米国・サンフランシスコ周辺で一斉に発生した1か月間にわたる外科医ストライキという異常事態に対して，異なる方法で適応に成功した3つの病院を比較したものである。それによると，異常事態をそれぞれ，ジレンマをもたらす「困りもの」，学習のための「絶好の機会」，「逸脱状態」と解釈した3病院は，解釈の違いから異なる適応行動を選択した。その結果，学習したことはなし，高次学習が実現，低次学習が実現という異なる組織学習の成果を示した。Meyerの研究からは，組織としてのものの見方，解釈のしかたを表すイデオロギー的変数，すなわち組織文化の種類・内容によって，組織学習の成果に大きな違いが生じることがわかる。組織文化が組織学習を左右すると結論づけたHedbergと比べると，Meyerの研究は，組織イデオロギー変数を媒介して，組織学習の成果が左右されることに踏み込み，解像度を高めたと評価できる。しかし，異常事態に対する組織の解釈のしかた，すなわち，組織文化の影響をすべてのメンバーが受けていることが自明のこととして論じられている。つまり，3つの病院はそれぞれ単に病院という1つの「組織」，1つのまとまった有機体として認知主義的学習観に基づいて捉えられており（観点1），それを構成するメンバー個人の存在や，メンバー同士による主観の相互作用は考慮されていない（観点2）。Nystrom&Starbuck（1984）は，米国における企業存続の成否をわける要素として，組織の抱える問題や危機に対する経営チームの受けとめ方や対応を主張した。危機を乗りきれない企業では，経営チームに次のような特徴が共通してみられる―組織が直面する問題に気づかない，気づいたとしても過小評価する，指摘された問題を拒絶したり冷笑するなどして，やり過ごそうとするなどである。Nystrom&Starbuckの研究からは，アンラーニングするべき主体は経営トップであること，組織文化が直接的に組織学習を左右するのではなく，経営チームによる認知構造のように第3要因を介在することがわかる。その介在する第3要因が組織行動の基盤となる「ドミナント・ロジック」にあることを明らかにしたのがPrahalad&Bettis（1986）による研究である。ドミナント・ロジックとは，「組織の経営トップ集団によって形成・共有された，組織や事業のマネジメントに関するその組織独自の世界観，あるいはその際，必要とされる論理のこと」（安藤，2001,p.60）であり，「組織の認知システムの基盤となっているトップ集団の論理」（Bettis&Prahalad，1995）である。Nystrom&Starbuck（1984）とPrahalad&Bettis（1996）の研究は，いずれもアンラーニングの主体や対象を明らかにすることで進展をみせたものの，その着眼点は経営チームにあり，いずれも組織の側に立った視点であり，かつ各組織がもつ文脈や背景への視点が言及されていない。以上のことを踏まえ，Hedberg系に属する組織学習研究は，認知主義的学習観に基づく研究であると解釈するのが妥当であり（観点1），そこには，組織メンバー一人ひとりの視点や主観と，それらの間の相互作用は考慮されていない（観点2）。3-4-3.Argyris系Argyrisの理論とは，組織の既存価値にしたがって，その範囲内でエラーや矛盾を修正するシングル・ループ学習と，既存の価値前提そのものを疑い，それに新たな意味を与えようとするダブル・ループ学習の概念を用いて，介入を通じた組織変革を追求するものである。Argyris（1982）は，ダブル・ループ学習の実現が重要であることを主張しつつ，現実には極めて困難であることを，個人・組織の異なるレベルから，その要因を挙げて説明している。個人レベルの要因としては，誰もが無自覚に自己防衛本能をもち，それが機能することを挙げている。組織レベルの要因については，組織が表向きに掲げる「信奉理論（espousedtheory）」と，実際に組織メンバーの行動を支配する「使用理論（theory-in-use）4」という概念を用いて説明している。使用理論が横行している021

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社会イノベーション研究組織では，各人が目標を達成するために，他者に対して支配的になり，「win-loseゲーム」が働くことを挙げている。そのため，他者の面子を潰さないことが重要視され，競争的で閉鎖的に行動され，結果として，多くの誤解が生じたままの組織，加速度的にエラーが発生する組織，自己隠蔽的な組織となり，ダブル・ループ学習を実現できる状況とはならない（安藤，2001）。そこで，コンサルタントなどの外部からの介入によって，心理的安全性を担保し，ダブル・ループ学習の実現を目指すことになる。安藤（2001）は，「Argyrisの議論では，組織学習の主役は1人1人の組織メンバーである。そのうえで，彼らの価値観が組織で共有している組織文化から影響を受ける結果，組織文化と組織学習に関係が生じることを，Herdberg系よりも明確に説明している」（p.68）として，その進展を評価している。Argyris系に分類される先行研究のうち，Beer&Eisenstat（1996）の研究は，組織メンバー一人ひとりの受けとめ方や解釈の違いが組織学習にもたらす影響を調査したものである。その調査では，経営スタイルの改善や組織課題の明確化などの成果が見られた。一方で，肝心の組織学習の能力向上という目的に対しては成果をあげられていなかった。調査に参画したマネジャーたちにとって，自らのスキル不足の認識は痛みを伴うものであり，戦略実行という責任の伴う行動を配下メンバーに移譲することは，自らの特権を失うものという自己防衛意識が働き，閉鎖的で排他的な行動へと変わっていく結果が導かれたのである（安藤，2001）。課題や組織文化に対するマネジャーたちの受けとめ方はそれぞれに異なり，その受けとめ方により学習結果にも違いが生じることを明らかにした。また，Senge（1990）による学習する組織（learningorganization）もArgyris系に属する（鈴村，2022）。学習する組織を実現するために掲げられた5つのディシプリン―自己マスタリーとメンタルモデル，共有ビジョン，チーム学習，システム思考―はいずれも，個人の視点に立って組織学習の実現を試みている。特に「メンタルモデル」は，Argyrisの主張する「モデルⅠ」にあたる自己防衛本能に近い概念といえ，組織メンバー個人の認知のしかたが組織学習の結果を左右することを強調している。このように，Argyris系に分類される研究はいずれも，組織メンバー個人の物事の見方や受けとめ方に着目し，個々人がもつ自己防衛本能などを考慮する必要性を訴えた点で，Hedberg系の研究よりも踏み込んだものといえる。特に，Beer&Eisenstat（1996）の研究は，組織メンバー個人の認知のしかたの相違が，組織学習の結果に影響をもたらすことを明らかにし，組織メンバー一人ひとりの主観へのアプローチを試みる先行的研究と捉えることができる（観点2）。ただし，個人の主観が人や組織の学習にどのように作用し，また，その主観は他者や環境，道具とどのように相互作用したのかという視点は十分とは言えない（観点2）。とはいえ，システム思考により，学習が生じた結果や成果だけでなく，その背後にある見えない事象や文脈にも目を向けようとするSengeの主張は，学習の状況依存性を示唆するものとして，状況論的学習観に基づく研究であることが垣間見える（観点1）。組織学習の3系統のレビューをまとめると，March系が組織を情報の入れ物とみなし，Hedberg系は組織を一体化した客体とみなしていることから，いずれも認知主義的学習観に立脚し，学習者の主観に対する考慮はない。一方，Argyris系は状況論的学習観に立脚し，学習者の主観を考慮しているものの，人と人，人と組織の相互作用には踏み込んでいないと考えられる。3-5.組織内地図研究3-5-1.組織内地図研究の概略一般に組織文化とは，組織の中で組織メンバーが行動する際，有効かつ正しいと考えられ，組織で共有されている組織の価値観や考え方，行動のパターンのことである（Schein，1985）。先行研究では，強い組織文化，自社の戦略と適合している組織文化，変化に適応する組織文化（Kotter&022

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組織学習論の再検討Heskett（1992）など，組織文化は組織特性として表現されることが多い。一方，組織学習研究において，組織文化を採りあげる際には，組織特性だけでなく，組織メンバーが組織文化を咀嚼するプロセスまでを含めて考えることが多い（Hedberg，1981）。先述のHedberg（1981）やNystrom&Starbuck（1984），Argyris&Schön（1978）からは，望ましい組織文化が，組織メンバーの思考や行動様式に影響し望ましい組織学習が生まれることを自明としている（安藤，2001）。加えて，「組織特性」とは本来異なるプロセスであるはずの「組織特性を咀嚼するプロセス」との違いを明確にせず，大雑把にひと括りに「組織文化」と捉えて論を展開している。そこで，安藤（2001）は，「組織特性」と「組織特性を咀嚼するプロセス」の違いを明確にし，組織メンバーの視点から組織学習を捉えるために，「組織内地図」という概念を提案した。安藤（2001）は，組織文化を「単に組織内に漠然と存在する組織価値や組織特性としての組織文化」と「組織メンバーによっていったん咀嚼され，各自が利用しやすいように加工された組織文化，つまり各組織メンバーの主体性が深くからむ組織文化」とに区別したうえで，後者を「組織内地図」と定義し，組織学習を生起するのは，大きく括られた組織文化ではなく，「組織内地図」であることを強調した。組織内地図は「組織目標を実現する観点から行う，組織における自己の位置づけや組織価値，組織特性についての，組織メンバー自身による咀嚼・加工」（安藤，2001,p.115）と定義され，主体性とは，組織におけるメンバー各人の「物事の受け止め方」（同,p.91）と定義される。また，安藤（2001）は，組織内地図によって生起される組織学習についても，望ましいとされる「高次学習」の定義が曖昧であることを指摘し，企業レベルの既存価値を疑問視することで実現する「企業レベルの高次学習」と，仕事に関する組織ルーティンを転換することで実現する「ビジネス・レベルの高次学習」の「2つの高次学習」（安藤，2001,p.101）に分類した。そのうえで，組織内地図の形成によって生起するのはビジネス・レベルの高次学習であると結論づけている。その理由として安藤（2001）は，組織内地図の形成とは，企業レベルの既存価値を半ば受け入れ，そのうえで組織における自己の位置づけや役割を理解するプロセスであり，企業レベルの高次学習の定義とは整合しないことを挙げている。3-5-2.組織内地図による研究の課題組織内地図という概念を媒介することで，組織文化や組織学習を「組織」という観点でひと括りにするのではなく，「組織メンバーの視点5）」で捉えなおし，組織メンバーの「主体性」とその差異を重視する研究を展開したが，必ずしも「組織メンバーの主体性」を反映させた結果とは言い難いものであった。なぜなら，「組織メンバーの主体性」が当人に内在するものとして捉えられており，その結果，個々人の主観が相互に作用することへの視点が抜け落ち，閉鎖的で固定的なものとして論じられているからである。課題の1つは，組織内地図で想定される組織メンバーの一人ひとりが合理的な経済人モデルとして捉えられており，個人間の差異を見出しにくいことである。安藤（2001）は，組織内地図の概念を次のように説明する。―「組織内地図という概念は，当初，車などに装備されているナビゲーション・システムをイメージして生み出したものだった。そのため，英訳では「navigationmap」と表現することにした。つまり，自分の現在位置とこれから目指す目的地が表示され，そこに至るまでの道のりが一目瞭然となっている。自分が移動すれば，その動きにあわせて画面に表示される目的地の方向は変わるが，自分が目指す方向性そのものに変化はない。そんな状況が，組織で自由自在に動くことができる人々の脳の中にできあがっていたら，組織メンバーである従業員は企業の中で動きやすくなるのではないかと考えた」―（下線は筆者による）状況論的学習観の立場から読み解くと，学ぶ目023

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社会イノベーション研究的や内容は，置かれた状況や立場の変化によって変わり得るものであり，可逆的なものである。「自分が移動すれば，その動きにあわせて」周囲がオートマティックに動く世界を想定しない。ビジネスの現場でも，目指す方向と学ぶ内容が一義的に，リニアに決められることは少なく，何度も行き来しながら定められていくのが実態である。一度決めたゴールが不変で学ぶ内容もリニアに決められるものというよりも，仕事や組織を取り巻く環境や仕事相手の実情などを踏まえて目標を変え，その都度，メンバーと確認しながら進める方が実態に近いのではないだろうか。そのように考えたとき，組織メンバーの視点の差異を重視すると主張しながら，「組織内地図」で想定する組織メンバーは，最適な解を導き出すような合理的な経済モデルが前提されていると言わざるを得ず，そこから組織メンバーの主体性を見出すのは困難である（観点2）。その要因として筆者は，組織メンバーによる「役割」の認知に焦点をあてたことにあるのではないかと推察する。ふたつめに，引用文の下線部からは，学習のゴールがあたかも客体，または所与のものとして扱われ，認知主義的学習観に基づく捉え方と言える。この捉え方は，組織メンバー間の主体性の差異を前提とする状況論的学習観との葛藤を想起させる（観点1）。状況論的学習観の立場からすれば，組織内地図は，メンバー一人ひとりの言動が相互に作用して変化する流動的なものであるはずだが，navigationmapは個々人の頭の中に閉ざされており，人と人，人と組織の間の相互作用が想起されにくい。最後に，組織文化を「単に組織内に漠然と存在する組織価値や組織特性としての組織文化」と「組織メンバーによっていったん咀嚼され，各自が利用しやすいように加工された組織文化，つまり各組織メンバーの主体性が深くからむ組織文化」とに区別したうえで，後者を「組織内地図」と定義したが，そもそも前者のように客体として，組織メンバーから切り離された組織文化など存在するのか，という疑問が生じる。複数の組織メンバーがそれぞれ異なる受けとめ方をしたとしても，その差異が，組織文化を自分たちから切り離された客体と捉えることは同義ではない。むしろ，現象学的観点からすれば，メンバー個々人の主観と組織文化は，切り離されることのないものとして捉えられるのではないか（観点2）。以上のように，組織内地図は認知主義的学習観に立脚し（観点1），組織メンバー一人ひとりの主観や道具，環境との相互作用に十分に踏み込んでいるとは言い難い（観点2）。3-6.組織衰退研究組織内地図研究の課題の克服を試みた先行研究として，松尾（2022）による組織衰退研究を採りあげる。松尾（2022）の研究を概観する理由は，先行研究では捨象されがちな変数以外の要因や現象へのアプローチし，「学習における主観的解釈」を考慮した分析を試みているからである。3-6-1.研究の概略先行研究では，成功した経験をもつ組織の衰退理由は，「成功の罠（successtrap）」（Levinthal&March，1993）に陥り，過去の成功体験やそのやり方に固執し，その結果，事業を取り巻く環境変化に対応できず淘汰されたためと考えられてきた。しかし，ビジネスの現実として，いつまでも成功経験に固執し続けるとは考えにくく，遅かれ早かれ，いずれかのタイミングで事業環境との乖離など，自組織が失敗状態にあることに気づき，試行錯誤するなど「失敗からの学習」（learningfromfailure）に取り組むと考えられる。同様に「失敗からの学習」も「失敗からの学習によって業績が向上することが所与の前提」とされている（松尾，2022,p.3）。しかし，実際には，失敗から学習し，新たなことに取り組んだとしても，それでも失敗し，衰退する組織もあるはずである。つまり，「成功の罠に陥った後に失敗し，失敗からの学習が生じた場合でもなお組織が衰退してしまう」（p.5）のはなぜなのか？―この問いに対して，既存の組織学習論では答えることができず，次のような着眼点から解明を試みるのが，この研究である。着眼点の1つは，先行研究では捨象され，見出されなかった組織学習の促進または阻害024

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組織学習論の再検討要因へのアプローチである。松尾（2022）は，「少数の変数間の関係に焦点をあてるアプローチがとられることによって，そこで対象とされている特定の変数以外の要因や現象は捨象され，事象のダイナミクスを把握するために必要な長期縦断的な分析がなされにくくなっている」（p.39）として，既存の組織学習研究の課題を克服することを目指した。この課題は，先行研究では組織を1つの入れ物としてマスで捉える傾向があることを指摘し，組織メンバー一人ひとりへのアプローチを試みた安藤（2001）の問題意識と整合する。もう1つの着眼点は，そのために，事象の文脈や当事者の「学習における主観的解釈」を捨て置かず，むしろ積極的に研究素材として理解し，分析していることである。3-6-2.学習の主観的解釈そもそも組織学習の成否を図るならば，何が成功で何が失敗なのかを明確に区分し，事象の因果を理解する必要がある。しかし，それが難しいのは，成否の識別やその因果は，組織を構成する一人ひとりにとって必ずしも客観的で自明のものではないからである。むしろ，組織学習は，組織めんばーの主観的な解釈の影響を受けるものと考えるのが妥当である（松尾，2022）。Levitt&March（1988）は，「組織のリーダーは組織の成功を自らの行為に帰するような見方を受け入れがちになるし，組織の失敗を他者の行為や外部からの力のせいにする。だが，組織において対立する集団は因果の帰属についてそれとは反する原理をもっている。（略）歴史の意味についての見解の不一致が起こりうる。そして異なる集団それぞれが，同じ経験を非常に異なって解釈しているような物語を創り出す」（Levitt&March，1988,p.324訳は松尾（2022）による）と論じ，過去のどのような事象や経験を採りあげるのか，それをどのように解釈し結論づけ，知識や行動を変容させるのかについては，同じ組織内でも異なり得るため，そのような「学習における主観的解釈」を考慮することは研究上，重要である（松尾，2022）。さらに松尾は，次のように組織学習におけるメンバーの主観と，主観と主観の間の相互作用の重要性を強調する―「学習における主観的解釈」が異なる背景には，パワー・ダイナミクスが働く（Berends&Antonacopoulou，2014）ことが一因であり，異なる解釈があるなかで，「何が支配的になるかは，組織内の主体間のパワー関係や政治的駆け引きの結果に影響される」（松尾,2022,p.55）。したがって，「同じ組織においても，その時の政治的な文脈によって，支配的な解釈が変わりうるし，それによって，意思決定の内容も変わりうる」（p.56）。このように，当事者の解釈の背後にある文脈にまで着目することで，分析に深みを増すことが可能となる（観点2）。3-6-3.先行研究との相違松尾（2022）の研究からは，経営トップの自組織の歴史に対する認識や，経営チームメンバー間の関係性が組織衰退の根底にあるメカニズムに影響をもたらすことなど，既存の組織学習論にはなかった理論的発見を見出している。1つには，経営トップによる組織アンラーニングについてである。従来の研究では，成功の罠をもたらす大きな要因は経営者の認識や思考の問題であり，それを変えることは極めて困難（Nystrom&Starbuck,1984ほか）で，組織衰退の主な要因と考えられていた。しかし，本研究の分析からは，経営者自身の強い信念や試行錯誤などが文脈的要因となり，組織アンラーニングをもたらしていた実態を明らかにしている。2つめは，先行研究では，失敗から学習すれば業績の向上がもたらされることが暗黙の前提とされていたが，本研究からは，失敗から学習しても，その後に失敗の罠が生じうることが明らかにされている。3つめは，支配的CEOによる強圧的なパワーの行使である。例えば，経営トップの考えにそぐわない意見を発した役員に対する不利益な配置転換などにより，トップの意向と異なる意見を発信することや，部署横断的な連携が問題解決につながると認識されていたとしても連携が回避されるなどの実態が明らかにされている。このように，支配的CEOの存在や言動は，管理職の感情を困025

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社会イノベーション研究惑させ，保身的で自己防衛的な行動が自動的に選択されていく様子が生々しく描かれている。たとえ経営トップが意思表示していなくとも，過去の事実や解釈から下位者が自動的に負の方向に動いてしまう「非決定（nondecision）」（Bachrach&Baratz，1963）が生じていたこともわかる。これらはいずれも，特定変数の設定・分析という先行研究の多くが採用してきたアプローチでは到達するのが難しく，学習における主観的解釈に迫ったからこそ得られた発見といえる。松尾による研究は，人や組織の学習を実践や活動という単位で捉えつつも，それを決してひと括りの視点で集約せず（観点1；状況論的学習観），組織メンバー一人ひとりの主観と，主観と主観の間の相互作用に着目し，丁寧に分析することの重要性が示唆されている（観点2）。4．組織学習論の周辺領域に関わる理論・研究4-1.実践共同体（communitiesofpractice）の研究これまでの組織学習研究は，個人レベルの学習の研究を促進するという相乗効果を生じさせることはなく，むしろ個人の学習の必要性に関わる議論を曖昧にする結果を生んできた（松本，2019）。そのような意味では，原則として個人を対象とした学習理論と組織学習論は，相補的に進展しつつも，それぞれが独立した形で研究が展開され，互いに大きく寄与してこなかったといえる（松本，2019）。そこで本節では，個人と組織，フォーマルまたはインフォーマルなどの視点から，その中間に位置する「実践共同体（communitiesofpractice）」を採りあげ，組織学習の場合と同様に2つの観点から概観する。4-1-1.実践共同体の定義と特徴実践共同体とは，「あるテーマに関する関心や問題，熱意などを共有し，その分野の知識や技能を，持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団」（Wengeretal.，2002）と定義される。松本（2019）によると，実践共同体に関する主要な研究には，Lave&Wenger（1991）による研究を起点として，それを発展させたWenger（1998）に基づく研究，組織論の文脈から論じたBrown&Duguid（1991）による研究，ナレッジ・マネジメントに接近したWenger,McDermott&Snyder（2002）による研究の4つが存在する。4研究のそれぞれに目的や捉え方があり，混在したものとして理解されているが，松本（2019）は次のように統合の可能性について述べている。まず，4研究のいずれも，実践共同体は「実践に基づいた」学習であり，「一般知識の抽象的表現や脱文脈性からの非通用性に着目し，状況の中での特殊事例に基づく意味交渉を基本とした状況的学習の考え方を主張している」（松本，2019,p.42）。また，実践共同体の目的は「学習を第一義とする」（松本，2019）ことも共通項として見出すことができる。そもそも実践共同体研究が，Lave&Wenger（1991）が主張した「正統的周辺参加（legitimateperipheralparticipation）」という学習の枠組みの中で新参者が「参加」を深めていく共同体を起点としていることを踏まえると，そこでの学習は「越境（境界横断）」を伴う活動であることも特徴といえよう。4-1-2.「学習する組織」との関係実践共同体と類似する概念として，Senge（1990）が提唱した「学習する組織」がある。Tsang（1997）は両者が互換的な概念として捉えられるとし，組織学習が学問的な概念として発展したのに対して，「学習する組織」論は実践的で現場での成果向上を目的とした応用的研究に位置づけられるとしている。松本（2019）は，仮に「学習する組織」が組織やメンバーの学習能力と機能を持ちあわせる存在となり得るとすれば，実践共同体を構築する必要性は乏しくなるはずとして，「学習する組織」論（Senge，1990）と実践共同体の共通点と相違点を次のように整理している。共通点としては，どちらも「意識の変革」を重視し，個人・チーム・組織という各次元での学習活動が相互に作用することを想定していることである。加えて，より重要なこととして，組織メンバー個人の学習と，それが促進される環境整備を026

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組織学習論の再検討挙げている。一方で，相違点として，学習活動が展開される場所や時間，学習に対する組織メンバーの姿勢，境界などを挙げている。松本（2019）は，学習する組織を構築する過程において，実践共同体は組織メンバーの意識の変革を促したり，知識を深化させたりする存在として補完関係にあり，併存可能な概念と位置づけている。以上を踏まえると，実践共同体研究は状況論的学習観に基づき展開されたことに異論はないだろう（観点1）。加えて，実践共同体においては，共同体への周辺的な参加から役割や期待を変化させるプロセスを経て，学び手がアイデンティティを変化させることを学習と捉えている。その過程には，周辺の他者や道具が「可視化」されることによる学びと，可視化されない（非可視化）ことによる学びがある。そして，可視化と非可視化は，学習者によって無自覚になされること（伊藤他，2004）から，実践共同体は，主観と主観の間の相互作用をも捉えようとする概念と言える（観点2）。4-2.知識創造理論安藤（2019）は知識創造理論を，Huber（1991）の組織学習サイクルに準えて「組織の記憶（organizationalmemory）」のサブプロセスに位置づけた。ただし，それは，単に効率的な知識・事例へのアクセスという低次学習的な目的ではない。知識創造理論は，既有知識を基盤とし，異なる視点の導入や疑問の提示を通じて，組織の飛躍的な成長につながる新たな知識獲得を目指す高次学習の実現を目指すものと位置づけている。しかし，野中（1996）は，多くの組織学習研究が，「学習」という概念を，転移や強化といった知識の発展という追随的行為と捉えているため，創造的行為を説明できないと批判している。一方，知識創造理論は，暗黙知と形式知が行き来し，互いに影響を与える執拗なプロセスである。加えて，知識創造理論は，同質性のなかの異質性が知を創造するプロセスであるとして，組織学習理論との違いを主張する。したがって，本研究では知識創造理論を組織学習の周辺領域と位置づけて概観する。4-2-1.知識創造理論の定義知識創造理論は，組織内で「暗黙知（tacitknowledge）」と「形式知（explicitknowledge）」の2種類の知識が相互に変換されるプロセスを通じて，新しい知識が創造されることを理論化したモデル（SECIモデル）である（野中，1996）。暗黙知は，言葉では表現しきれない主観的・身体的な知であり，経験の反復によってスキル化される。暗黙知を具体的に表現すると，思考習慣（メンタルモデル）や行動傾向（ノウハウ）である。それに対して，形式知は文章や言葉で表現できる客観的・理性的な知である。組織的知識創造の源泉は，これら2つの相互補完・循環作用であり，これら2つの知がダイナミックに循環すればするほど，豊かな知識が組織的に創造される可能性が高まり，このような相互循環を「知識変換（knowledgeconversion）」と捉える。この知識変換は，「共同化」（socialization），「表出化」（externalization），「連結化」（combination），「内面化」（internalization）という4つの異なるモードで循環する。4-2-2.知識創造理論と主観野中・紺野（2012）によると，SECIモデルは，フッサールやメルロ・ポンティらが確立した現象学との親和性が高く，自然科学を中心に発展してきた二元主義的科学観に基づく客体主義―すなわち，分析の対象を自分（主体）とは切り離された客体と捉える―ではなく，主体と客体を一致させて捉えようとする考え方である。現象学とは端的にいうと，主体と客体を同一化させることであるから，知識創造理論において，他者への「共感」は不可欠であり，共感には当事者の「主観」が不可欠な要素となる。野中（2019，p.20-21）は，オーストリア学派の経済学者フリードリヒ・ハイエクによる概念を用いて知識創造理論における「主観」の重要性を説明している。それによると「市場を静態的・客観的に捉え，分析して，完全な知識を獲得して競争する，といったことは事実上困難なのである。（略）むしろ，市場においては，個々人が「場」027

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社会イノベーション研究の関係性を基盤に，それぞれの無知を越えて知識を「発見」していくことが不可欠となる。つまり，市場という知識の生態系に自らが棲み込むことで，知識を動態的・主観的に共有・発見し，創造することで経済発展が生まれるのである」として，知識の発見・創造における「個人の限界」を強調する。さらに野中・紺野（2012）は，その「主観」とは個人に内在するもの，閉ざされたものではないことも強調する。ここ数十年間で生じた政治的，社会的，技術的な世界の変化が，いかなる組織にも「開かれた関係性」（野中・紺野，2012,p.26）を求めている。にもかかわらず，これまでの経営学，とりわけ戦略論や組織論は，「閉じられた」（同,p.26）組織内部の枠組みによるモデルが基本とされている。例えば，いかに外部の市場環境を分析し，内部の資源配分の可能性を把握して，納得性のあるロジックを打ち立て，実行のために自社組織の体制を構築するか，といった分析的戦略，および戦略と実践の分離が基本とされてきた。これに対して，知識創造理論は，「有形資産を資源として競争優位性や利潤追求を根底に置くこれまでの経営や戦略の考え方とは異な」り（同,p.27），「知を生み出して活用するには，組織の個々人に身体化された知が集まり，主観を客観化していく実践の「場（ba）」が基本単位となる」（同,p.27）として，状況論的立場のような「開かれた学習観」に基づいていることが推察できる（観点1）。知識創造理論における「場（ba）」には，物理的身体的な次元，社会的な次元，戦略的次元，認知的次元，情報システム環境などの次元から形成されるが，いずれの場にもその根底に「身体性」がある。それは「個と個が社会的相互作用を繰り返していく際に重視されるのは，個そのものではなく，「場」の生成であ」り（同,p.28），「組織的・社会的な意味行為としての，生き生きした相互作用的コミュニケーション空間としての場」（同,p.28）である。つまり，知識創造理論は，社会や事象，問題と，そこに生きる一人ひとりが共同的・相互的な形で成立する「相互主観性（inter-subjectivity）」（または「間主観性」）を根底に置く（観点1,2）。以上のことから，知識創造理論は，状況論的学習観に基づき，身体性や間主観性の概念を根底において，個人の主観や共感する組織の価値観によって実現し得るものであることを強調する（観点1）。しかし，組織におけるパワー（権力や権威）の関係や対立・葛藤の存在が触れられておらず，その予定調和性や生産性の制約を受ける知識創造の評価のあり方について十分に触れられていないとする批判もあり（赤尾，2014,p.6-8），他者の主観や環境との間の相互作用がどのようなものかを描いてはいない（観点2）。5．変容的学習（transformativelearning）最後に，学習者の「主観」に焦点をあてた学習理論の代表として変容的学習（transformativelearning）を採りあげる。Mezirow（1978a,1978b,2000）は，人間は自分が現実に対して与える意味に基づいて行為し，個人の側にある心理的枠組みによって解釈・意味生成すると考え，これを「準拠枠（frameofreference）」と定義した（常葉−布施，2004）。この準拠枠を変容させる学習が「変容的学習（transformativelearning）」である。変容的学習は，「想定の批判的省察（criticalreflectionofassumptions）」によって可能であるとMezirowは主張する。想定とは，「信念の背後にある前提，私たちが自明視している社会規範，無意識の領域に“抑圧”されている情緒反応のパターン，自分に話しかけてきた話者の意図など，私たちの意識が直接及んでいなかったり，考えてみるまでもなく当然正しいと思いこんでいるような事柄を全般的に意味する。批判的省察とは，ある事柄を，その限界や誤りの可能性も視野に入れつつ真実性・妥当性を問い直し，冷静に評価しようとするような思考」（常葉−布施，2004）である。想定の批判的省察は，個人が孤立した状態では十分に機能させることができず，自分とは異なる他者の見方・考え方に触028

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組織学習論の再検討れ，自己の判断の妥当性を検証するような相対化が不可欠として，他者との協力的な対話を推奨している（常葉−布施，2004,p.100）。このことから，変容的学習は「開かれた学習観」に基づく理論展開を志向すると言える（観点1）。Mezirowは，学習者の主観に着目し，その重要性を主張したものの，Mezirowが広く適応可能な抽象的・包括的な理論構築を目指していたこともあり，変容的学習を促す具体的な方法やプログラム案についてはほとんど言及しておらず（常葉−布施，2004），成人学習における教育者の役割を整理しているにとどまる。その後，Brookfield（1990）やCranton（2006），Boyd&Myers（1988）などによって，意識の変容が拡張された。例えば，Boyd&Meyers（1988）は，Mezirowの変容観が理性を一元的に重視するフロイト的パラダイムに基づいているとして，自己をより多元的にとらえるユングの理論に依拠する必要性を主張している（常葉−布施，2004）。また，正木（2016）は「変容的学習論における相互作用性の視点の存在を示し，固定化して扱われがちな教育者－学習者間の役割や関係の可変性」（正木，2016,p.16）を強調している。しかし，学習者の「省察」に重きが置かれる傾向に変わりはなく，相手の主観や道具，環境との間の相互作用性への考慮は少ない（観点2）。また，対象が「教育者」と「学習者」に限定されており，それぞれの文脈や背景，周辺にいる他者，利用する道具などは対象とされておらず，主観同士の相互作用としては極めて限定的と言わざるを得ない（観点2）。6．考察これまで2つの観点から組織学習研究およびその周辺領域の先行研究・理論を再検討してきた結果を表3に示す。以下では，この結果を踏まえて，「開かれた学習観」に基づく組織学習研究のあり方と課題を述べる。6-1.「閉ざされた学習観」に基づく理論展開とその限界黎明期の組織学習研究とMarch系、Hedberh系の研究は「閉ざされた学習観」に基づき理論が展開されていることが明らかとなった。組織学習研究の変遷上，長らく行動主義または認知主義の立場から，「閉ざされた学習観」に基づき理論が展開され，組織を静的・固定的で，一枚岩の集団として捉えていた（観点1）。そのため，組織メンバー一人ひとりの主観や，主観と主観の間の相互作用は考慮されず（観点2），理論的な発展が限定的である。行動や認知は可視化が比較的容易であることから，「閉ざされた学習観」を基盤とした現実の組織運営は根強い。バブル経済の崩壊以降，日本で表3組織学習研究とその周辺領域のレビュー結果区分観点1観点2立脚する学習観学習者の主観主観の相互作用組織学習研究黎明期行動主義的学習観考慮なし考慮なし3系統March系認知主義的学習観考慮なし考慮なしHedberg系認知主義的学習観考慮なし考慮なしArgyris系状況論的学習観考慮あり考慮あり（不十分）組織内地図認知主義的学習観考慮あり考慮あり（不十分）組織衰退状況論的学習観考慮あり考慮あり周辺領域実践共同体状況論的学習観考慮あり考慮あり知識創造状況論的学習観考慮あり考慮あり（不十分）主観に焦点をあてた学習研究変容的学習状況論的学習観考慮あり考慮あり（不十分）029

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社会イノベーション研究は事業の再構築（リストラクチャリング）が急務とされ，多くの企業が新自由主義の影響を受けて株主重視になり，筋肉質な組織づくりを志向してきた。その結果，社員に対し高い水準で能力の蓄積と発揮を求め，能力主義や成果主義に基づく人事制度が相次いで導入された。それらの普及に伴い，働く個人には現在も，企業に雇用され続ける力（エンプロイアビリティ）を自らの責任で高めることが要求される。加えて，2010年半ば以降は，リスキリングブームとも相まって，その傾向が一層，高まっていると推察する。エンプロイアビリティやリスキリングなどの概念に共通するのは，能力を個人の所有物とみなす「閉ざされた学習観」に基づいていることである。そこでは，論理的思考力や問題解決力，プレゼンテーション力などのビジネススキルを多く獲得，蓄積することが，ビジネスパーソンとしての市場価値を高めると認識されている。しかし，「閉ざされた学習観」を基盤とする組織では，社員の保有する知識・スキルの量が評価に影響するため，競争的・閉鎖的な風土が醸成されやすく、個々人の成功体験や知識、スキルは共有されにくい。そのため，働く個人は，同僚との協働よりも，自らの市場価値を高めることを優先し，相手の成長のためにフィードバックするような協調的・協働的な学びは生起しにくいと考えられる。6-2.「開かれた学習観」に基づく能力観への転換一方，Argyris系や組織内地図，組織衰退，実践共同体，知識創造理論は「開かれた学習観」に基づく研究といえる（観点1）。ただし，組織衰退と実践共同体を除き，人の主観と，主観同士の相互作用へのアプローチは限定的である（観点2）。そもそも，主観とそれらの間の相互作用性にアプローチした研究は，社会科学全般でも，感情社会学など一部の学術領域にとどまり，研究方法も未確立である。現実の組織運営においても，ステークホルダーの共感を重視するパーパス経営などが注目されつつあるものの，組織メンバーの主観とそれらの間の相互作用への注目は限定的であり，未だ能力の保有量が重視される傾向が根強い。ある部署で活躍していた人が，異動を機に成果を創出できなくなったり，転職先でパフォーマンスを発揮できないといった例は枚挙にいとまがない。このような事象は果たして，個人の能力に起因する問題なのだろうか？「閉ざされた学習観」に立脚する限り，成果をあげられないのは，当人の能力不足や努力不足が要因であり，自己責任で解決する以外に解決策は見出せない。ところが，「開かれた学習観」に立って事象を捉えると，異なる景色が見えてくる（表4）。このように，同じ事象でも，立脚する学習観によって，見える景色は異なる。表4の例は，いずれも「閉ざされた学習観」から「開かれた学習観」へと立ち位置を変えたものである。前者の例は，能力を「関係性」の視点から眺め（勅使河原，2022），後者は，あえて知識や記憶を手放すような試行錯誤そのものに着目する（新原，2021）。私たちが今，目指すべきは，「閉ざされた学習観」に偏って学ぶ主体を捉えたり，学習方法を選択するのではなく，「開かれた学習観」を併せもつことで，苦行ではなく，ワクワク感を伴うものとして学びを捉えなおすことではないだろうか。とは表4「閉ざされた学習観」と「開かれた学習観」による能力や学習の捉え方閉ざされた学習観能力とは，個人の所有物である学習とは，知識を記憶，蓄積することである開かれた学習観一人ではできないことも，他者の支援や道具を利用してできることも能力である記憶しておかなくてもよいように，チェックリストのような道具を用いて一旦，頭の中から知識を手放す工夫を施す行為も学習とみなす030

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組織学習論の再検討いえ，これまで「閉ざされた学習観」に浸ってきた私たちが，「開かれた学習観」に基づき考え行動することは容易ではない。しかし，それを身近に引き寄せやすくしてくれるのが活動理論6）の考え方である。学びを個人に閉じず，他者や道具を含む開かれた活動として捉えることで，捨象されやすい個人の視点や主観，時に恣意的に除外されもする個人や関係性の視点の欠落を補完するからである。6-3.学習研究において「主観」に着目する重要性松尾（2022）は，「学習における主観的解釈」に着目し，長期縦断的な文献調査やインタビューにより，当事者の感情や感性を分析に含めることで，支配的CEOが行使するパワーが周囲に影響し，それが組織メンバーの行動へと変換されていくメカニズムを理論化した。これは，組織が「一枚岩である」ことを前提としてきた従来の主張を覆すものであり，学びの対象や研究方法などに大きな示唆を与えるものである。なぜなら，人の経験や事象が，そもそも「身体」を介在していること（身体依存性）や，その経験や事象に至る文脈や歴史にどれだけ考慮し，どのように認識するか（状況依存性）の重要性と，それらが組織学習にもたらす影響を私たちに突き付けたからである。知識創造理論を展開した野中・紺野（2012）は，日本にイノベーションが起きにくくなった要因の1つとして「感情，情動」の不足，つまり，「人間的要素」（p.24）の欠如を指摘し，そこに「感情，情動が参加していない」こと，「感情が『死んで』しまっている」ことを挙げ，日本企業の組織学習に警鐘を鳴らしている。既存の組織学習研究では，組織メンバーをマスで捉え，一律の制度や仕組みを前提として理論を展開してきた。それに加えて，組織と働く個人との関係は雇用を介して権威勾配が働き，個人が組織にキャリアを依存する構図が暗黙裡につくられてきた。競争優位の差異化の基準が「機能」であり，大量生産・大量消費に基づく安定成長が見込める環境下では，年功序列を前提とした報酬や職位（昇給や昇格・昇進）が，社員のモチベーションを維持・喚起する制度・仕組みとして有効だった。しかし，差異化の基準が「機能」から「意味」へと転換（延岡，2011）するのと併行して，働く個人の欲求は，報酬や職位などの金銭的・地位的報酬から，「自分らしく働きたい」「家庭や介護と両立させて働きたい」「自分の強みを活かして働きたい」など，人生における仕事の「意味」づけへと転換している。Gratton&Scott（2016）は教育を受け，職業に就いて仕事に従事し，一定の年齢を迎えたところで老後を迎えるという画一的にデザインされた「3ステージモデル」は今後，教育と仕事をステージのなかで何度も行き来しながら，時には並走する「マルチステージモデル」が前提になると主張する。仕事の「意味」づけとは，固定的でなく，ライフステージや置かれた環境，働く場所や時間，属する集団の理念などによって流動的であり，働く個人の志向や衝動，価値観，すなわち「主観」と深くかかわるものである。主観へのアプローチの要請は，働く個人の側からだけのものではない。組織の論理や合理に基づく意思決定や行動が，組織と個人，組織と市場の間にある論理，常識と乖離し，組織を不祥事に陥れ，撤退を余儀なくされるケースが後を絶たない。そこで，昨今では，組織の論理や合理に基づいたリーダーシップよりも，リーダー個人の価値観や倫理観に基づくオーセンティックなリーダーシップが求められるようになっている（長谷川，2019）。7．今後の課題；一人称・二人称・三人称的研究の統合本論文ではここまで，組織や個人の学習とは単に，知識やスキルの獲得・蓄積にとどまらず，他者や道具，環境との相互作用を伴う実践において生じるものであり，客観的な成果だけでなく，動的なアイデンティティの変容をも含むものであることを述べてきた。また，個人がもつ志向や感性，実感などを含む「主観」と，主観と主観の間の相互作用に着目することの重要性を強調してきた。031

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社会イノベーション研究表5一人称・二人称・三人称的かかわり一人称的かかわり（first-personengagement）対象を「ワタシ」と同じような存在とみなす。「ワタシならどうする」を対象に当てはめる。対象を「ワタシ」と切り離さない，個人的関係にあるものとして親密にかか二人称的かかわりわる存在とみなす。対象と情動を含んだかかわりをもち，固有の名前をもつ（second-personengagement）対象，対象自身が「どのようにあろうとしているか」を聴き取ろうとする。三人称的かかわり（third-personengagement）対象を「ワタシ」と切り離して，個人的関係のないものとして，個人と無関係でモノ的な存在とみなす。傍観者的観察から「どうすると，どうなるか」を「客観的」に調べ，そこから客観的法則を導出して説明する。社会・人文科学全般で「主観」に着目した研究は少なく，研究方法も未確立の状態である。松尾（2022）が指摘したように，既存の研究の多くが採用した特定の変数を設定し分析するアプローチはどうしても，短期的で近視眼的，断片的な分析となる傾向にある。そのような研究は，科学的であろうとするあまりに，デカルトの二元論的な立場に立ち，対象から距離を置いた客観的な立場から三人称的にアプローチしてきた。松尾による指摘を克服するためには，客観的な事実と当事者の統合的，相補的に分析することが不可欠である。諏訪（2015）は，現在の研究が三人称視点による客観的なデータを重視する方向にあることを危惧し，一人称的かかわりや二人称的かかわりによる横断的で複合的な研究の必要性を強調している。なお，一人称・二人称・三人称の各かかわりの違いは表5のとおりである（佐伯，2017）。諏訪（2015）は，「客観的なデータに基づいていないから，普遍的な知ではないからといって，一人称視点で記述された知を排除すると，動的対応力を体現する知は闇に葬られ，いつまで経っても未解明のままです。これまで動的対応力に関する知見がほとんど蓄積されていないのは，過度な客観主義に起因するのではないかとわたしは考えています。実験心理学の研究パラダイムでは，客観性や普遍性を目指すあまり，統制された人工的な実験室条件で比較実験を行ってきました。統制された実験室環境はリアルな現場の状況とは大きく異なります。統制された各条件が互いに共存したとき，もしくはリアルな現場の他の条件と共存したときにどんな副作用が生じるかについて，実験心理学のパラダイムはあまりに無関心」（p.13）であると主張している。諏訪の主張を踏まえると，組織学習研究には，当事者の主観を捨象せず，むしろ積極的に研究対象として扱う，一人称的かかわり，二人称的かかわりを積極的に採用する必要がある。一方で，三人称的かかわりは，一人称または二人称的かかわりからは気づきにくい客観的な法則を提示してくれる。一人称・二人称的かかわりが局所視野（郡司ら，1997）から分析するのに対して，三人称的かかわりは全体視野（諏訪，2015）をもった分析に長けていると言える。したがって，これからの組織学習研究には，いずれかに偏るのではなく，一人称・二人称的かかわりと，三人称的かかわりとを相補的に活用し分析することが望まれる。そのためには，主観と主観の間の相互作用性，主観と道具，主観と環境との間の相互作用性を分析する方法を確立することが課題となる。現場での実践に耐え得る，これらの相互作用を促進する原則とプログラムを開発することもまた，大きな課題である。注1）安藤（2019）によると，組織ルーティンとは，組織で繰り返し利用される仕事の進め方や情報処理の仕方などのことを指す。2）学習曲線とは，試行回数を横軸に，正反応に至るまでの時間を縦軸にとり，初期に大幅な時間短縮が生じた後，連続的かつ緩やかに時間短縮を続ける右下がりの曲線を指す。3）この類型が拠り所とする「アンラーニング」とは，かつて機能した既存の価値前提や知識のうち，既に時代遅れになったり妥当性を欠くようになったものを捨て去り，より妥当性の高い新しいものに置き換えることと定032

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組織学習論の再検討義される（安藤，2001,2019）。アンラーニングは，個人レベルでも生じ得るプロセスだが，これを組織で生じさせる場合には「組織アンラーニング」と称して区別される。上述の定義からもわかるように，アンラーニングには，前提や価値を「捨て去る（棄却する）」プロセスと「置き換える」プロセスとがあり，かつては「棄却」のみを指して狭義的にアンラーニングとみる捉え方があったが，組織学習論では，「棄却」だけでは自動的に知識や価値が置き換えられる保証がなく，「置き換え」が生じてこそ「学習」が成立したと捉えられている。4）使用理論は「モデルⅠ」といわれ，その使用理論が横行しているシステムを「O-Ⅰシステム」と称する。一方，ダブル・ループ学習の実現を目指す段階は「モデルⅡ」，それに基づくシステムを「O-Ⅱシステム」と称する。5）組織メンバーの視点とは，「同じ組織に属する組織メンバー間でも物事の受けとめ方には差異があることや，その差異が組織行動全体へ与える影響力の大きさを重視する研究スタンス」（安藤，2001,p.87）のことである。6）活動理論とは，ヴィゴツキー理論を継承する文化・歴史学派によるアプローチで，研究しようとする対象を「記号」として捉えるのではなく「活動」として捉え，その事象にある歴史的，文化的な起源や活動を，媒介する道具や規定するルール，体制などを含めて対象とみなし，それらの相互関係を把握しようとする考え方である（高木，2010）。引用文献Abernathy,W.J.,&Wayne,K.（1974）.Limitsofthelearningcurve.HarvardBusinessReview,52（5）,pp.109-119.赤尾勝己（2014）.学習社会学の構想－批判的社会学の観点に依拠して－.教育科学セミナリー,45,pp.1-15.安藤史江（2001）.組織学習と組織内地図.白桃書房.安藤史江（2019）.コア・テキスト組織学習.新世社.青山征彦（2018）.第4章仕事場の学習.青山征彦・茂呂雄二（編）,スタンダード学習心理学（pp.62-80）.サイエンス社.Argyris,C.（1982）.Theexecutivemindanddouble-looplearning.OrganizationalDynamics,Autumn,pp.5-22.Argyris,C.,&Schön,D.A.（1978）.OrganizationalLearning:ATheoryofActionPerspective.Reading,Massachusetts:Addison-Wesley.Bachrach,P.,&Baratz,M.S.（1963）.Decisionsandnondecisions:Ananalyticalframework.AmericanPoliticalScienceReview,57（3）.pp.632-642.Baum,J.A.C.,&Ingram,I.（1998）.SurvivalenhancingLearningintheManhattanhotelindustry,1898-1980.ManagementScience,44（7）,pp.996-1016.Beer,M.,&Eisenstat,R.A.（1996）.Developinganorganizationcapableofimplementingstrategyandlearning.HumanRelations,49（5）,pp.597-619.Berends,H.,&Antonacopoulou,E.（2014）.Timeandorganizationallearning:Areviewandagendaforfutureresearch.InternationalJournalofManagementReviews,16（4）,pp.437-453.Bettis,R.A.,&Prahalad,C.K.（1995）.Thedominantlogic:Retrospectiveandextension.StrategicManagementJournal,16,pp.5-14.Boyd,R.D.andMyers,G.（1988）.“Transformativeeducation,”inJarvis,P.andThomas,J.E.eds.,Internationaljournaloflifelongeducation,7（4）,pp.261-283Brookfield,S.D.（1990）.“Usingcriticalincidentstoexplorelearners’assumptions,”InJ.MezirowandAssociateseds.,Fosteringcriticalreflectioninadulthood,SanFrancisco:Jossey-Bass,pp.177-193.Brown,J.S.,&Duguid,P.（1991）.Organizationallearningandcommunities-of-practice:Towardaunifiedviewofworking,learning,andinnovation.OrganizationScience,2（1）,pp.40-57.Cole,M.,&Scribner,S.（1974）.Cultureandthought:Apsychologicalintroduction.NewYork,NY:Wiley（若井邦夫（訳）（1982）文化と思考：認知心理学的考察.サイエンス社.）Cranton,P.（2006）.Understandingandpromotingtransformativelearning:Aguideforeducatorsofadults（2nded.）,SanFrancisco:Jossey-BassCyert,R.M.&James,G.M.（1963）.ABehavioralTheoryoftheFirm,EnglewoodCliffs,Prentice-Hall,2nded.（井上恒夫（訳）（1967）.企業の行動理論.ダイヤモンド社.）Fiol,C.M.&Marjorie,A.L.（1985）.Organizationallearning.AcademyofManagementReview,10（4）,pp.803-813.Gendlin,E.T.（1997）.Aprocessmodel.NewYork:TheFocusingInstitute.Gratton,L.,&Scott,A.（2016）.100yearlife:Livingandworkinginanageoflongevity.BloomburyInformationLtd.（池村千秋（訳）（2016）.LIFESHIFT100年時代の人生戦略.東洋経済新報社.）Greenberg,L.（1970）.Measurementofthework-accidentexperienceintheAmericanpetroleumindustry.AmericanSocietyoftheSafetyEngineers.15（2）,pp.11-13.郡司ペギオ-幸夫，松野孝一郎，レスラー，オットー・E（1997）.内部観測.青土社.Huber,G.P.（1991）.Organizationallearning.OrganizationScience,2,pp.88-115.長谷川直樹（2019）.組織におけるオートマティック・リーダーシップ.経営実務研究,14,pp.15-28.Hedberg,B.L.T.（1981）.Howorganizationslearnandunlearn.InNystrom,P.C.,&Starbuck,W.H.（Eds.）,Handbookoforganizationaldesign（Vol.1,pp.3-27）.NewYork:OxfordUniversityPress.広瀬拓海（2018）.第3章学習と社会.青山征彦・茂呂雄二（編）,スタンダード学習心理学（pp.42-60）.サイエンス社.Hollander,S.（1965）.TheSourceofIncreasedEffi-033

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社会イノベーション研究ciency.AstudyofDupontRayonPlantsCambridge,Massachusetts.MITPress.Hutchins,E.（1995）.HowaCockpitremembersitsspeeds.CognitiveScience,19（3）,pp.265-288伊藤崇，藤本愉，川俣智路，鹿嶋桃子，山口雄，保坂和貴，城間祥子，佐藤公治（2004）.状況論的学習観における「文化的透明性」概念について：Wengerの学位論文とそこから示唆されること.北海道大学大学院教育学研究科紀要,93,pp.81-157.香川秀太（2018）.第5章越境論へ，そして分散ネットワーク型学習論へ――社会的交換の一次モードと二次モード.青山征彦・茂呂雄二（編）,スタンダード学習心理学（pp.81-108）.サイエンス社.加護野忠男（2011）.新装版組織認識論――企業における創造と革新の研究.千倉書房.鎌原雅彦・竹綱誠一郎（2015）.やさしい教育心理学第4版.有斐閣.Kotter,J.P.,&Heskett,J.L.（1992）.Corporatecultureandperformance.NewYork:FreePress.（梅津祐良（訳）（1994）.企業文化が高業績を生む――競争を勝ち抜く「先見のリーダーシップ」――.ダイヤモンド社.）Lave,J.,&Wenger,E.（1991）.Situatedlearninglegitimateperipheralparticipation.Cambridge:CambridgeUniversityPress.（佐伯胖（訳）（1993）.状況に埋め込まれた学習.産業図書.）Levinthal,D.A.,&March,J.G.（1993）.Themyopiaoflearning.StrategicManagementJournal,14,pp.95-112.Levitt,B.,&March,J.G.（1988）.Organizationallearning.AnnualReviewofSociology,14,pp.319-340.March,J.G.,&Olsen,J.P.（1976）.AmbiguityandChoiceinOrganizations,Universitetsforlaget.Bergen,Norway（遠田雄志・アリソン・ユング（訳）（1986）.組織におけるあいまいさと決定有斐閣.）正木遥香（2016）.相互作用性に着目した変容的学習論の再評価――「痛み」概念の変遷を手がかりに中国四国教育学会教育学研究ジャーナル,19,pp.11-20.松本雄一（2019）.実践共同体の学習.白桃書房.松尾健治（2022）.組織衰退のメカニズム――歴史活用がもたらす罠――.白桃書房.Meyer,A.D.（1982）.Adaptingtoenvironmentaljolts.AdministrativeScienceQuarterly,27,pp.515-537.松下良平（2010）.学ぶことの二つの系譜.佐伯胖（監修）・渡部真一（編）,「学び」の認知科学事典（pp.21-38）.大修館書店.Mezirow,J.（1978a）.EducationforperspectiveTransformation.Women’sRe-entryProgramsinCommunityColleges,CenterforAdultEducation,TeachersCollege,ColumbiaUniversity,withContributionbyMarsick,V.,ERICNo.ED166367.Mezirow,J.（1978b）.PerspectiveTransformation,AdultEducation28（2）.Mezirow,J.（2000）.LearningtoThinkLikeanAdult:CoreConceptsofTransformationTheory,inMezirow,J.&Associates.MintzbergH.B.A.,&LampelJ.（1998）.StrategySafari.NewYork:FreePress.（斎藤嘉則（訳）（1999）.戦略サファリ.東洋経済新報社.）三宅芳雄（2012）.学習と認知過程.三宅芳雄（編）,教育心理学特論（pp.11-27）.一般財団法人放送大学教育振興会.茂呂雄二（2019）.第1章パフォーマンス心理学とは.香川秀太・有元典文・茂呂雄二（編）（2019）.パフォーマンス心理学――共生と発達のアート（pp.3-13）.新曜社Nelson,R.,&Winter,S.（1982）.AnEvolutionaryTheoryofEconomicChange.HarvardUniversityPress.（後藤晃・角南篤・田中辰雄（訳）（2007）.経済変動の進化理論慶應義塾大学出版会.）中村文生・佐藤達実（2024）.人材育成体系再構築の勘所――「経営サイド」「社員サイド」双方の視点・ニーズを踏まえた育成マネジメントの実現.労政時報,4075,pp.71-84.日本経済新聞（2021）.勝敗超えた感動，五輪・パラのあり方示す大会閉幕https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE043NJ0U1A900C2000000/（2021年9月6日）延岡健太郎（2011）.価値づくり経営の論理―日本製造業の生きる道.日本経済新聞出版.Nonaka,I.,&TakeuchiH.,（1995）.TheKnowledge-CreatingCompany:HowJapaneseCompanieCreatetheDynamicsofInnovation.NewYork:OxfordUniversityPress.（梅本勝博（訳）（1996）知識創造企業.東洋経済新報社.）野中郁次郎（1996）.知識創造理論の現状と展望組織科学,29（4）,pp.76-85.野中郁次郎・紺野登（2012）.知識創造経営のプリンシプル―賢慮資本主義の実践論.東洋経済新報社.Nystrom,P.C.,&Starbuck,W.H.（1984）.Toavoidorganizationalcrises,unlearn.OrganizationalDynamics,12（4）,pp.53-65.奥村哲史（2001）.合理性からみる組織.大月博司・藤田誠・奥村哲史,組織のイメージと理論（pp.11-20）.創成社.大島律子・大島純（2010）.テクノロジーの利用による学びの支援.佐伯胖（監修）・渡部真一（編）,「学び」の認知科学事典（pp.481-494）.大修館書店.Prahalad,C.K.,&Bettis,R.A.（1986）.Thedominantlogic:Anewlinkagebetweendiversityandperformance.StrategicManagementJournal,7,pp.485-501.佐伯胖（1998）.学びの転換―教育改革の原点.佐伯胖他（編）,岩波講座現代の教育第3巻授業と学習の転換（pp.3-24）.岩波書店.佐伯胖（2014）.そもそも「学ぶ」とはどういうことか――正統的周辺参加論の前と後組織科学,48,2,pp.38-49.佐伯胖（2017）.「子どもがケアする世界」をケアする――保育における「二人称的アプローチ」入門ミネルヴァ書房.佐藤達実（2021）.自律的なキャリア構築を実践する社会人の「学ぶ力」に関する質的研究.放送大学学生論文集Schein,E.H.（1985）.Organizationalcultureandlead-034

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組織学習論の再検討ership.SanFrancisco,CA:Jossey-Bass.Senge,P.M.,（1990）.Thefifthdiscipline:Theart&practiceofthelearningorganization.NewYork:Doubleday/Currency.（枝廣淳子・小田理一郎・中小路佳代子（訳）（2011）.学習する組織――システム思考で未来を創造する.英治出版.新原将義（2021）.「脱・心理学」入門――10代からの文化心理学.北樹出版.城間祥子（2012）.学習環境のデザイン―状況論的学習観にもとづく学習支援.リレー連載教育創造,171,pp.46-51.Suchman.L.（1987）.Plansandsituatedactions:Theproblemofhuman-machinecommunication.Cambridge.NY:CambridgeUniversityPress（上野直樹・水川喜文・鈴木栄幸（訳）（1999）.プランと状況的行為――人間-機械コミュニケーションの可能性.産業図書）末武康弘（2016）.「主観性を科学化する」研究とは.末武康弘,「主観性を科学化する」質的研究法入門――TAEを中心に――（pp.2-14）.金子書房.諏訪正樹（2015）.第1章一人称研究だからこそ見出せる知の本質.諏訪正樹・堀浩一（編著）,一人称研究のすすめ――知能研究の新しい潮流.近代科学社.鈴村美代子（2022）.第9章意味の学習としての組織研究パースペクティブ.高橋正泰（2022）.経営組織論のフロンティア（pp.161-174）.文眞堂.高木光太郎（2010）.文化・歴史学派（ヴィゴツキー学派）の理論とその展開.佐伯胖（監修）・渡部真一（編）,「学び」の認知科学事典（pp.403-422）.大修館書店.谷川嘉浩（2024）.人生のレールを外れる衝動のみつけかた.筑摩書房.勅使河原真衣（2022）.「能力」の生きづらさをほぐす.どく社.常葉−布施美穂（2004）.変容的学習――J.メジロ―の理論をめぐって.赤尾勝己（編）,生涯学習理論を学ぶ人のために（pp.87-114）.世界思想社.Tsang,E.W.K.（1997）.Organizationallearningandthelearningorganization:Adichotomybetweendescriptiveandprescriptiveresearch.HumanRelations,50（1）,p.73-89.Wenger,E.（1998）.Communityofpractice:Learning,meaning,andidentity.Cambridge:CambridgeUniversityPress.Wenger,E.,McDermott,R.,&Snyder,W.M.（2002）.Cultivatingcommunicationsofpractice.Boston:HarvardBusinessSchoolPress.（野村恭彦（監修）（訳）,櫻井祐子訳（2002）.コミュニティ・オブ・プラクティス――ナレッジ社会の新たな知識形態の実践――.翔泳社.）Wright,T.P.（1936）.Factorsaffectingthecostofairplanes.JournaloftheaeronauticalScience,3（4）,pp.122-128.035

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社会イノベーション研究第21巻第2号（037-065）2026トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス年3月2025：当事者の語りに注⽬して年11月30日掲載承認トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：1）当事者の語りに注⽬してSelf-DefinitionProcessesAmongTransgenderPeople:FocusingonNarrativesofThoseWithLivedExperience成城大学社会イノベーション学部卒業生成城大学社会イノベーション学部教授中村晴文NAKAMURAHarufumi，青山征彦AOYAMAMasahiko1．問題と⽬的本論⽂では，トランスジェンダーの人々がジェンダー・アイデンティティ（以下GI）を自己定義していくプロセスについて論じる。一口にトランスジェンダーといっても，FtM（FemaletoMale：出⽣時に割り当てられた性別が女性であり，男性としてのGIを持つ人）か，MtF（MaletoFemale：出⽣時に割り当てられた性別が男性であり，女性としてのGIを持つ人）か，さらには性別適合手術（SRS）を受けたか否かによってその経験は大きく異なる。他にも，生育環境のような個人的な違いや，育った社会の違いによっても，そのありかたは多様である。そこで，本論文では，トランスジェンダーの人々が，自らのGIをどのように自己定義しているのかを，調査を通じて検討することとしたい。1.1トランスジェンダーをめぐる議論の状況トランスジェンダーについては，「出⽣時に割り当てられた性別と，ジェンダーアイデンティティが異なる⼈たち」（⾼井・周司,2023,p.14），あるいは「出⽣時に割り当てられた性別に期待されるあり⽅とは異なる性のありようを⽣きている⼈たち」（⾼井・周司,2024,p.35）と定義されている。また，GIについて，⾼井・周司（2023,p.16）は「⾃分⾃⾝が認識している⾃分の性別，⾃分がどの性別なのかについての⾃⼰理解」であるとしている。GIは，生まれつきのものではなく，成長する中で培われる自己認識であり，「どのような年齢で，どのように獲得していくのか，あるいは獲得しないのかには，個⼈差」がある（⾼井・周司,2023,p.17）。GIとほぼ同じ概念として，性自認というものもある。では，これまでトランスジェンダーのGIについて，どのような議論があったのだろうか。佐倉（2006,p.73）は，性⾃認は，社会構築論と⽣物学的決定論の相互作⽤によって形成されていくと考えられるが，「現状ではさらなる研究の進展を持つべき」と述べている。また，藤⾼（2024,p.17）は，トランスジェンダーについて説明する理論的枠組みとして，（1）病理学的図式，（2）デカルト的図式，（3）構築主義的図式の3つを挙げた。藤⾼によれば，（1）病理学的図式は「トランスジェンダーの存在を『病理』『異常』『特殊』とみなす解釈の枠組みである」（2024,p.17）。また，（2）デカルト的図式では「先の病理学的図式とは反対に，トランス当事者の『精神』や『⼼』に『真理』が置かれる」（藤⾼,2024,p.19）。（3）構築主義的図式における構築主義については，以下のように述べている。037

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社会イノベーション研究構築主義とは，ジェンダーを⽣物学的に決定されているものと捉える本質主義の議論を批判するものであり，むしろジェンダーとは社会的に構築されるものであるとみなす⽴場である。「セックスはつねにすでにジェンダーである」と喝破したジュディス・バトラー以降，⽣物学的なもの（不可変の実体と考えられていたもの）も社会的⾔説と決して無縁ではなく，その関係のなかで形成され，認識されることが明らかにされた（藤⾼,2024,p.23）。このことを先ほどの佐倉（2006）の議論に照らし合わせると，（1）病理学的図式が佐倉のいう生物学的決定論，あるいは藤高の挙げる「本質主義」に，そして（3）が佐倉のいう社会構築論，そしてバトラーの理論に該当すると考えられる。このようにトランスジェンダーのGIの形成に関して，複数の理論的枠組みがあり，現在に至るまで議論が続いていることがわかる。いイントラ・セクシュアリティなるものが動かしがたいものとして存在する，つまりは他者の存在と無関係に性が成⽴しているように⾒える。しかし，もしも，⾚⼦として無⼈島に⽣まれ落ち，⼈を介さず栄養のみ供給されるような状況で，全く他者との関わりなく育った⼈間がいたと仮定するならば，そのような場合，イントラ・セクシュアリティは本当に⽣じ得るだろうか。それは⼤いに疑問である。というのも，⻁井の⾔う「望みの性の⾁体をしていない」という観念そのものが，他者のまなざしを通して⾃⾝のセクシュアリティ（それにそぐわない⾝体）を⾒てしまうからこそ⽣まれるように考えられるからである。つまりは，性に限らず，⾃らのあり⽅（⾃⼰性）というものは，他者がどのようなまなざしを⾃分に対して向けているかということと不可分なのである（町⽥,2022,p.286）。1.2本論文の目的ここで論点を整理するため，町⽥（2022）の議論を紹介したい。町⽥は，「⽣来的資質によって発現する性のあり⽅」をイントラ・セクシュアリティ，「他者との関係性から形成される性のあり⽅」をインター・セクシュアリティと便宜的に呼び分けた（2022,p.285）。そして，⽇本におけるトランス男性の草分け的存在である⻁井まさ衛の「無⼈島」の思考実験を取り上げた上で，一部批判的に論じた。「無⼈島」の思考実験とは，トランスセクシュアル（広義のトランスジェンダーのうち，医学的介⼊によって⾝体を改変，あるいは改変をしようとしている⼈々のことを指す概念）の⼈間が無⼈島に流れ着いた場合に，⾃⾝の⾝体に関して違和感を覚え続ける（むしろ問題は歴然としてくる）というものである。この思考実験について町⽥は以下のように述べる。たしかに⻁井の想定するように，⻑らく他者との関係性の中で⽣きてきた者が無⼈島に漂着した場合には，割り当てられた⾁体に合致しなその上で町田は，「イントラ・セクシュアリティなるものも，他者との関係性なしには現れてこない（明瞭化してこない）のではないだろうか」（2022,p.286）と結論する。町田（2022）の議論を発展させるならば，今日の我々は，テレビやインターネット，コミュニティといった，さまざまな場を通じて他者と出会い，⾃⼰定義を重ねてゆく。トランスジェンダーの人々にとってのGIとは，まさにそうした自己定義によって作られていくものであろう。本論文では，こうした自己定義のプロセスを，実際に当事者の語りを通して分析するが，それにより町⽥（2022）の議論をさらに拡張することができるだろう。以上のような議論をもとに，本論文では，トラ，特にインター・セクシャリティが，他者との関係性を通じてどのように⾃⼰定義されるのか，という点について検討する。他者との関係性とは，具体的には他者から得られた情報，関係するコミュニティの影響，具体的な他者とのつながりなどであろう。これらの点につい038

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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬してて，以下では調査の結果をもとに検討する。2．調査の⽅法2.1事前アンケート本調査はトランスジェンダーの当事者の「⾃⼰定義」の過程と要素を分析することを⽬的としている。調査協力者4名に対して，事前アンケートを記⼊していただき，それを参照しながらインタビューを⾏った。事前アンケートは，筆者が独⾃に作成したものである。質問は基本情報と（1）〜（8）からなる。表1に事前アンケートの全体の質問項⽬を⽰す。本論文ではそのうち（4）までのデータを検討表1事前アンケートの質問項⽬基本情報現在の年齢，出生時に割り当てられた性別，職業，GIDの診断，ホルモン投与，カミングアウト経験，現在の居住地（1）現在のジェンダーアイデンティティについて1-1.ご自身の現在のジェンダーアイデンティティをどう定義しますか。当てはまるものに丸をつけてください。（複数選択可）1-2.上記に補足したいことがありましたら記入してください。（記述回答）（2）過去のジェンダーアイデンティティについて2-1.ご自身の過去のジェンダーアイデンティティをどう定義しますか。当てはまるものに丸をつけてください。（複数選択可）2-2.上記に補足したいことがありましたら記入してください。（記述回答）（3）現在のセクシュアリティについて3-1.ご自身の現在のセクシュアリティをどう定義しますか。当てはまるものに丸をつけてください。（複数選択可）3-2.上記に補足したいことがありましたら記入してください。（記述回答）（4）「トランスジェンダー・性同一性障害の概念」に出会ったときについて4.初めて「トランスジェンダ・性同一性障害に関連する概念」に出会ったのはいつ，どうやって出会いましたか？（記述回答）（5）「性同一性障害らしさ・トランスジェンダーらしさ」の考えの見聞きについて5-1.「性同一性障害らしさ・トランスジェンダーらしさ」に関して以下の様な考えを見聞きしたことがありますか？あるものに丸をつけてください。（複数回答可）5-2.その他に，これまで見聞きした「性同一性障害らしさ・トランスジェンダーらしさとはこういうものだ」という考えがあれば教えてください。（記述回答）（6）「性同一性障害らしさ・トランスジェンダーらしさ」の考えへの同意について6.「性同一性障害らしさ・トランスジェンダーらしさ」に関して以下の様な考えにどの程度同意しますか？それぞれもっとも当てはまる数字を選択してください。（1全く同意しない・2あまり同意しない・3どちらでもない・4少し同意する・5とても同意する）（7）「性同一性障害らしさ・トランスジェンダーらしさ」への当てはまりについて7.「性同⼀性障害らしさ・トランスジェンダーらしさ」に関して以下の様な状態はご⾃⾝にどの程度当てはまりましたか？それぞれもっともあてはまる数字を選択してください。（1全く当てはまらない・2あまり当てはまらない・3どちらでもない・4少し当てはまる・5とても当てはまる）（8）オープン・クローズの価値観について8-1.AさんとBさんの⽂章のどちらにより共感しますか。当てはまるものに丸をつけてください。8-2.選択をした方の文章の，どの部分に特に共感しましたか。（記述回答）8-3.選択をしなかった方の文章の，どの部分に特に共感しませんでしたか。（記述回答）039

## Page 044
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社会イノベーション研究表2事前アンケートにおける基本情報とアンケートの記⼊タイミングニックネーム記入タイミング現在の年齢出生時に割り当てられた性別職業GIDの診断ホルモン投与カミングアウト経験現在の居住地カズさん当日その場59女派遣有有有神奈川県カサさんあらかじめ28女福祉就労（B型）有有有東京都ヤマさんあらかじめ38女自営業有有有埼玉県ユウさん当日その場30女会社員有有有東京都する。この事前アンケートの⽬的は，インタビューの⼟台となる，調査協⼒者の属性や過去，アイデンティティといった基本的な情報を回答していただくことであった。調査協力者に対して，「事前に書いてきていただいてもよく，当⽇現地で記⼊も可能である」旨をお伝えし，記⼊をお願いした。なお，（4）における「トランスジェンダー・性同一性障害の概念」という部分は，データ収集時においては「トランスジェンダー（性同一性障害）の概念」と不正確であったので，訂正した。事前アンケートにおいて得た基本情報と「記⼊タイミング」を表2に⽰す。調査協力者4名全員が回答した。上からインタビューを実施した順である。記⼊タイミングはその場で記⼊した⽅が2名，あらかじめ記⼊をしてきた⽅が2名だった。出⽣名であった。GID（性同⼀性障害）の診断は全員が持っており，ホルモン投与も全員がしていて，カミングアウト（以下COなお，トランスクリプトでは正確を期すために略さずに表記する）経験も全員があった。2.2インタビューインタビューは対面による一対一での半構造化面接であり，記入してもらった事前アンケートを参照しながら深掘りする形で⾏なった。調査協力者4名は，全員が以前からの筆者の知り合いである“トランスジェンダー当事者”である。ここでいう“トランスジェンダー当事者”とは本⼈の現在の⾃認に関わらず，身体的，社会的な性別移⾏を経験した⼈を指す。期間は2024年の10⽉16⽇から11⽉8⽇の間である。インタビューの⻑さは約1時間から4時間である。場所はカラオケボックス，ファミリーレストラン，あるいは調査対象者宅で⾏った。調査協⼒者の筆者との関係と，インタビュー場所を，表3に示す。インタビューには独⾃に作成した質問項⽬を⽤いたが，半構造化⾯接であるため，既に聞いたと思われる部分は省略したり，またさらなる質問も積極的にしたりした。以下の表4にインタビューに用意した質問項⽬を⽰す。質問は基本情報と（1）〜（6）からなる。本論文では（3）までの内容を取り上げる。なおそのうち2-4は，セクシュアル・オリエンテーション（性的指向，以下SO）に特化した内容の設問であるため今回は取り上げず，SOについての言及はGIに関する話の中で表れたもののみにとどめる。なお，3-1における「トランスジェンダー・性同一性障害の概念」という部分は，データ収集時表3筆者との関係とインタビュー場所ニックネーム筆者との関係インタビュー場所カズさん当事者団体で知り合ったカラオケボックスカサさんSNSで知り合ったカサさんのご自宅ヤマさん当事者団体で知り合ったカラオケボックスユウさんバーで知り合ったファミリーレストラン040

## Page 045
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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬して表4対⾯インタビューの質問項⽬（1）現在のジェンダーアイデンティティについての詳細な聞き取り1-1.アンケートで定義について〇〇と答えていただきましたが，今のあなたはどのようなジェンダーアイデンティティを抱いているか改めて言葉での説明をお願いします。1-2.周りの人とあなたとの関係の中で，あなたのジェンダーアイデンティティはどの様に，形になっていますか？（カミングアウトや周りの扱い，社会的な立ち位置など）1-3.現在のジェンダーアイデンティティに至るまでの最大のキッカケ（人やコミュニティ，情報との出会い）を教えてください。（2）過去のジェンダーアイデンティティについての詳細な聞き取り2-1.アンケートで自認したことがあるものについて〇〇と答えていただきましたが，これまで，ご自分が現在の自認に至るまでや自認後に，ジェンダーアイデンティティの揺れ動きなどはありましたか？それとも常に現在の状態で一貫していましたか？2-2.それぞれどの時期にどのような自認をしていたのか教えてください。2-3.それぞれの自認に至るまでの最大のキッカケ（人やコミュニティ，情報との出会い）を教えてください。2-4.ご自身の現在のセクシャリティは〇〇との事ですが，こちらに気づいたきっかけを教えてください。（3）今のジェンダーアイデンティティに至るまでに触れた情報，コミュニティ，人とのつながりの経験について3-1.初めて「トランスジェンダー・性同一性障害に関連する概念」に出会ったのは〇〇とのことですが，今のジェンダーアイデンティティに至るまでの過程を，触れた情報，所属したコミュニティ，人との関わりという観点から，教えてください。（聴きながら，帰属意識に関して質問）（4）触れた情報，コミュニティ，人とのつながりにおける帰属意識のありかについて4-1.メモを参考に必要があれば追加で質問（5）ジェンダー規範，トランスジェンダーらしさへの考え方について5-1.男女の社会的性別（ジェンダー）やその規範（こうあるべきだという考え）に関してのあなたの考えを聞かせてください。5-2.アンケートの性同一性障害らしさ・トランスジェンダーらしさや，その規範（こういうものだという考え）に関してのあなたの考えを聞かせてください。（6）オープン・クローズの価値観について6-1.「AさんとBさんだとより◯さんに共感する」とのことですか，その価値観に至るキッカケがあれば教えてください。においては「トランスジェンダー（性同一性障害）の概念」と不正確であったので，訂正した。また，⼿続きとしてインタビュー前に「トランスジェンダーにおける⾃⼰定義の過程の分析。例えば，現在のGIに⾄る過程で，その当事者がどのような情報，コミュニティ，⼈とのつながりに触れ，それらに帰属意識を感じた／感じなかったかなどをインタビュー調査」をすることを研究⽬的として説明した。また，インタビューを書き起こし，論⽂に掲載すること，伏せて欲しい部分などは知らせていただければ対応すること，本⽂に引⽤する際は後⽇了承をいただくことなどを説明した。また，インタビュー中および書き起こしで使⽤するカタカナ2⽂字の仮名を決めていただき，研究に関する同意書を記⼊していただいた。3．調査の結果以下では，協力者ごとに事前アンケート調査，インタビュー調査の結果を述べる。インタビュー調査の結果はトランスクリプトを参照しながら，各人の「現在のGI」と「COの状態」，そして「GIの揺れ動きがあったか⼀貫していたか？」に関する部分を冒頭で紹介し，それ以降は出来事の時系列順に各人の「GIに関する経験の語り」を⽰す。筆者および調査協⼒者の相槌やおうむ返しなどは省略して引⽤する。引⽤⽂中の（）内には補⾜事項を⽰した。なお，著者の発言は――で，回答041

## Page 046
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社会イノベーション研究内容の中略は（…）で⽰した。3.1カズさんの場合まず，事前アンケートについての回答から報告する。カズさんは，現在のGIは「トランスセクシュアル（TS）」，過去のGIは「その他（バイセクシュアル）」，現在のセクシュアリティは「バイセクシュアル」と回答している。また，「トランスジェンダー・性同一性障害」の概念には「約20年前にバイト先の方から「テレビでなんかやっているわよ」って言われたのが特例法に関するニュースでしてそれで知りました」と回答した。なお，「その他（バイセクシュアル）」は⼀般的にはGIではなくSOとして使われる⾔葉であるが，カズさんがその⾔葉を⽤いた背景に関してはインタビューの考察として4.2で触れる。次に，インタビュー調査の結果について述べる。カズさんは「現在のGI」について，「⼿術（性別適合⼿術以下SRS）は受けようと思ってたから」トランスセクシュアルであると以下のように語った。いろんなもんひっくるめてトランスジェンダーって⾔われてるから。でも，僕はその部類には⼊りませんよって感じですね。カズさんは，「COの状態」について，性別を変更する前の，元の性別を知っている人に⼾籍変更後にCOしつつも，「⼾籍変更して新たに⼊った会社とかには，⼀切（…）カミングアウトはしてない」ことを以下のように答えた。＜トランスクリプト3＞カズ：僕，昔からの，その友達とか，（…）要は，その性別を変更する前，の⼈たちには，みんな，ほら，僕が⼥だっていうことは知ってるわけだから。で，2010年に性別適合⼿術を受けて，⼾籍変更したのね。で，その後で，その以前の友達とか会社の⼈，昔のね，あとは，⾼校の時の同級⽣とか，バスケの先⽣とか，先輩後輩，にはカミングアウトしてたかな。ただ，その⼾籍変更して新たに⼊った会社とかには，⼀切（…）カミングアウトはしてない。＜トランスクリプト1＞カズ：いわゆるトランスセクシュアルっていうのは，⼿術をしたいって⾔ってる⼈たちで，その他はトランスジェンダーで，どっちかっつったら，僕は，（…）⼿術は受けようと思ってたから，だから，普通にそこ（事前アンケート）に，トランスセクシュアル，っていうところに（丸を）つけたんだけど。また，⾃⾝のGIはトランスセクシュアルであって，トランスジェンダーの「その部類に入りませんよって感じ」と以下のように強調した。＜トランスクリプト2＞カズ：⼀般的にはね，なんかトランスジェンダー，トランスジェンダーって⾔われてるけど，うん，僕は決してトランスジェンダーではないって思ってるから。うん，そこは強調して⾔いたい。（…）なんだろね。⼿術を望む，望まない。うん，また，⼾籍変更後の職場でCOをしないという選択について，「⼾籍変更して男になってるし」「過去のこと⾔ったってしょうがないしって感じ」と語り，逆に⼾籍変更前からの知り合いと話すときに関して「ていうか，⾼校の時，⼥⼦校だったから」「おっさんなってるわけでしょ。したら嫌でも話さなきゃいけない」と，以下のように語った。＜トランスクリプト4＞―――（戸籍変更後COをしないことについて）それはどういう気持ちからっていうのをお伺いしてもいいですか。カズ：簡単に⾔えば，⼾籍変更して男になってるし。うん。過去のこと⾔ったってしょうがないしって感じ，だから⾔わないだけ。―――逆に，以前の，2010年以前の，昔からの知り合いとか友達と例えば接する時というか，（…）どういう⾵にこう，お話されてらっしゃいますか。042

## Page 047
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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬してカズ：ていうか，⾼校の時，⼥⼦校だったから。ねぇ。何⼗年かぶりかに会ったのがさ。おっさんなってるわけでしょ。したら嫌でも話さなきゃいけない。カズさんは，「GIの揺れ動きがあったか⼀貫していたか？」について，「⾃分が何者かわかんなかった時期」「20代の時」に「男性の⽅と」「ま，あったから」と男性と性的な関係を持ったと語った。また，女性の方とも「26の時に初めて」性的な関係を持った時に「⾃分はバイセクシュアルなのかな」と思うようになり，⾔葉自体は「10代の頃から知ってた」と以下のように語った。＜トランスクリプト5＞カズ：うーんとね，なんか⾃分が何者かわかんなかった時期，例えば，20代の時は普通にね。男性の⽅と付き合ったってことはないんだけど。普通に何を。何はしてたって⾔い⽅変だけどさ。ま，あったから。で，⼥の⼈とは26の時に初めて，たら，⾃分はバイセクシュアルなのかな。って思うようになった。（…）―――（バイセクシュアルの）⾔葉とか概念っていうのは以前から知ってたんですか。カズ：もう10代の頃から知ってた（…）⼤⼈の⼈が⾔ってて，だから，いわゆるレズビアンのことを，うん，昔の⼈は，その，百合って⾔ったりね，してたから，Sとかさ。そういうので知ってたのかな。以降はカズさんの「GIに関する経験の語り」を，出来事の時系列順に⽰す。カズさんは，26歳の時に「⾃分はバイセクシュアルなのかな」と思うようになって以降その状態が，特例法（性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律）のニュースを⾒る38歳時点まで続いたと語った。ただ同時に「特例法ができてなかったとして，仮定して，胸だけは，取りたいなっていうのはあった」と話し，特例法前にも店で働く“おなべ”の友達がいて，彼らからホルモン注射の情報を得たことを以下のように語った。＜トランスクリプト6＞―――男⼥両⽅とも付き合ったことがあるから，⾃分は何者かわからないけど，バイセクシュアルなのかな，なんなんだろうっていうような，状態ですかね。カズ：そうだねー。―――その期間が結構。いつまで，続きましたか。カズ：38。―――38が特例法ですか。カズ：そう，それまでは，うん，男の⼈との経験はあったし，うん，⼥の⼈もね，何⼈か（…）特例法ができてなかったとして，仮定して，胸だけは，取りたいなっていうのはあった（…）おなべの友達がいたかな。あ，あの店で働いてる，だから，そういう，そういう⼦たちからも初めて，ホルモン注射の情報を得たかな。―――それは，特例法前後で⾔うと。カズ：前。カズさんは，現在のGIに至るまでの最大のきっかけとして，「やっぱり特例法ができてからかな」と語った。「僕らが20代とかの時」は「インターネットっていうのがなかった」ため「調べようはなかった」，「唯⼀テレビで⾒てた⼈たち。（…）僕らとは違う世界の⼈たちだから」と語った。特例法成立の頃に使われるようになった言葉から，自分に関して「性同⼀性障害のFtMなんだ」と感じたことを以下のように語った。特例法は「寿司屋でバイトしてた時に」「ニュースで，その特例法のことがやって」いたと言う。＜トランスクリプト7＞カズ：やっぱり特例法ができてからかな。僕らが20代とかの時ってね，インターネットっていうのがなかったから，調べようはなかった。で，唯⼀テレビで⾒てた⼈たち。（…）僕らとは違う世界の⼈たちだから（…）で，その特例法ができた頃に，LGBTっていう⾔葉とか，FtM，MtFっていう⾔葉ができてきたわけじゃない。で，やっと，あぁ⾃分はその，性同⼀性障害のFtMなんだっていう，感じかな。043

## Page 048
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社会イノベーション研究―――特例法のそのニュースってのは，例えばどこでご覧になったとか，そういうこと覚えてらっしゃいますか。カズ：あのね，寿司屋でバイトしてた時に，あの寿司屋の奥さん，が，〇〇ちゃん（カズさん）ちょっとー！って言うから，（…）たら，ちょうどテレビで，ニュースで，その特例法のことがやってて（…）これ，あなた，あれじゃないの。みたいな，おー。みたいな感じだった（…）。―――その当時ってのは，その，世間の受け⽌め⽅っていうか，そのニュースになったっていうのは，結構やっぱり⼤々的な感じだったんですか。カズ：そうだね。カズさんは，特例法のニュースを見た際の感覚として「⼥性と結婚できるみたい。そこでつながったわけだから」「画期的」だと感じ，女性との結婚や「手段」としてのSRSを検討したことを以下のように語った。＜トランスクリプト8＞カズ：（特例法のニュースを⾒た時は）あーーって思って，で，その特例法で，こ，こういう要件が，あって，それをクリアした結果，（…）⼾籍変更できるんだって。（…）じゃあ，⼥性と結婚できるみたい。そこでつながったわけだから。うん。で，おお。すげえ。こんな画期的な。っていう感じだったから。―――そこで⾔うと，やっぱ⼥性と結婚できるっていうのは，カズさん的には⼤きい。カズ：そう。僕，男の⼈と結婚するっていう予定はなかったから。で。（…）特例法ができた頃に。スナックでバイトしてて，で，たまたまお客さんと話してて（…）⼾籍変更できるんであれば，⼦宮卵巣取って，その，⼾籍を変更したいていう話は，お客さんとしたりした。―――（…）⼈によっては（…）SRSがしたくて，結果として⼾籍が変わるんだ，みたいな，あるいは，他の⼈だと，その⼾籍を変えるっていう⼿段としてSRSがあるっていう考え⽅できると思うんですけど，カズさん的には（…）。カズ：⼿段。また，カズさんは38歳（特例法と同じ時期である）で携帯を持つまでに見ていたテレビには，女性から男性に移行した人は出ていなかったと語った。そして「携帯持つようになって」「検索したら，⻁井まさ衛さんにぶち当たった」と語った。＜トランスクリプト9＞カズ：僕がさ，携帯持ったのが遅かって，38の時だったの。（…）⼥性から男性になった⼈たちって，どんな⼈がいるんだろう。その⼈たちは全然，ほら，テレビにも出てないしさ。（…）で，携帯持つようになって，うん，それこそ，検索してさ，その，男から⼥になった著名⼈，有名⼈じゃないけど，で，検索したら，⻁井まさ衛さんにぶち当たったっていうね。3.2カサさんの場合まず，事前アンケートについての回答から報告する。カサさんは，現在のGIは「男性・FtM・性同一性障害（GID）・トランスジェンダー（TG）」，過去のGIは「男性・FtM・性同一性障害（GID）・トランスジェンダー（TG）・Xジェンダー・名のない性別違和感」であり，なお，「自分がFtMを名乗っていいのだろうか」という気持ちから，Xジェンダーかな？と思っていたことはある」という補足があった。現在のセクシュアリティは「バイセクシュアル」と回答している。また，「トランスジェンダー・性同一性障害」の概念には「具体的に知ったのは中学2年生頃にTVで「MtFとFtMのカップルの結婚」という番組を見てから，「何かわからないけど，この人たちみたいなような気がする」と思い，インターネット等で調べた」と回答した。カサさんは現在のGIを複数選択しているが，こうした複数のGIを選択することはヤマさんなど他の協力者にも見られる。トランスジェンダーのGI概念は，必ずしも1つに絞られないという実態がわかる。044

## Page 049
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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬して続いて，カサさんのインタビュー結果を以下に示す。カサさんは「現在のGI」について，「そんなに気にすることもない」「男性として馴染みすぎちゃって」と述べつつ，「医療的観点」を加味して現在のGIについて回答したことを以下のように語った。＜トランスクリプト10＞カサ：そうですね，もう，⼀般的な男性とほぼ変わらない⽣活をしているので，なんか，ジェンダー・アイデンティティをそんなに気にすることもないんですけど。本当に普通の⼀般的な男性って感じですね。⾃分の感覚としては，（…）男性として馴染みすぎちゃって。ましいて⾔うなら，トイレで個室が空いてない時にくそって思う時ぐらいかな。それぐらいしかない。オペ（して）ないんだけどね。―――ちなみに，このアンケートで，例えば男性，性同⼀性障害，トランスジェンダーってのに丸をつけられたのは，なんか，どういう感覚で。カサ：医療的観点。カサさんは，「COの状態」について，「概ね男性としては⽣きられている」とした上で現在働い型事業所には伝えてあると語った。また，事務所の中でのCOは「職員さんだけ」であり，利⽤者などには「⼀切してない」「トップシークレット」と語った。職員は「職員全体」が「元々そうだったねって感じで」知っていると以下のように語った。＜トランスクリプト11＞カサ：完全にという，ような感じじゃないけど，概ね男性としては⽣きられている。ま概ねっていうのは，本当に。今のし，いる作業所が，B型事業所が，⼾籍変更前に⼊った事業所なので，その点，やっぱ⼾籍性が⼥性でありましたっていうのは，伝えてありますね。（…）―――カミングアウトとかっていうのは，例えばその事業所の中だとどのぐらいされてますか。カサ：えーっとね。職員さんだけ。―――（…）利⽤者さん（…）とかにはしてない。カサ：⼀切してない。（…）トップシークレット。―――職員さんは，それはあれですか，特定の職員さんだけというか，それとも，カサ：職員全体かな。（…）元々そうだったねって感じで。そして，プライベートでのCOに関して「パートナーは」「もう何もかも知ってる」，「家族は」「理解はしてくださってるのかな」，「いとことか親族はもう普通に男のいとこみたいな扱い」，「学⽣時代の友達とかは。みんな」「改名後の名前で呼んでくれたり。もう男の⼦扱いしてくれたり」と総合的に語った。また，「概ね男性としては⽣きられている」と回答した。＜トランスクリプト12＞―――周りの⼈って（…）事業所外，例えばプライベートとかだとどうですか。カサ：Twitterとかだと。公表したにも関わらず，また埋没してしまっちゃって。（…）パートナーは。もうTwitterつながりなんで。もう何もかも知ってる。（…）もう幼少期の話から，もうなんもかんも多分話したはず。（…）家族は。まあ，うん。理解はしてくださってるのかな。⽐較的。ただ，名前に関しては，前の名前で呼ばれちゃうんで，ちょっとそこは⾟いなって思う時はある。（…）いとことか親族はもう普通に男のいとこみたいな扱いかな。名前はやっぱ前の名前でみんな呼ぶんだけど，親族に関しては。あとは，学⽣時代の友達とかは。みんなカサくんってこう改名後の名前で呼んでくれたり。もう男の⼦扱いしてくれたりみたいな。カサさんは「GIの揺れ動きがあったか⼀貫していたか？」について，「⼀貫はしてたけど，周りの状況がそれを許してくれなかった」と語った。具体的に，「男性として過ごしたいなって思う気持ちはずっとあったけど」「16歳の段階。で（…）⼥性として⽣き延びなきゃって，思うように」な045

## Page 050
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社会イノベーション研究り，「で，その間も」「細かいところでの性別っていうのが」「時限爆弾のように差し迫ってきてて，苦しかった」と，以下のように語った。16歳の出来事に関しては後述する。＜トランスクリプト13＞カサ：⼀貫はしてたけど，周りの状況がそれを許してくれなかった。（…）世界仰天ニュースを⾒てから，男性として過ごしたいなって思う気持ちはずっとあったけど，その，君は違うよっ歳の段階。で，どうにかして，⼥性として⽣き延びなきゃって，思うようになって，で，その間も，うん，Xジェンダーなり，名もしれない違和感，と戦いながら，スーツとかも，嫌々，レディーススーツ着たり，制服とかは⾼校，⼤学となかったんですけど，そういう細かいところでの性別っていうのが，やっぱり，どんどん，なんだろう，時限爆弾のように差し迫ってきてて，苦しかったなって。以降はカサさんの「GIに関する経験の語り」を，出来事の時系列順に⽰す。カサさんは，⼩学6年⽣で⾃分のセクシュアリティを調べた際に，GIDに関する情報も出てきたもののその当時は「違うなって思ってた」「男になりたいわけじゃないしなって」と以下のように語った。ン」だったと以下のように語った。＜トランスクリプト15＞―――⼩6の時に，同性愛を調べてる過程とかで，GIDとかも出てきたけど。カサ：けどうーん。みたいな。―――（…）仰天ニュース（中学2年生に見た番組）までは，特に。カサ：ノンバイナリーみたいな感じだったんじゃないですかね。（…）でも，⼥⼦⽣徒であらねばならないけど，ノンバイナリー寄り，みたいな。感じかな。（…）みんなと同じ太い道を歩いていた。―――特に，だから，それ以上，例えばGIDとかについて調べることも。カサ：なかった。あ同性愛者かなって。まぁよくあるパターン。（…）その，調べる前が。インターネット環境なくて実は。インターネットの環境を⼿に⼊れた瞬間，調べ始めたんで。（…）パソコンなくて，親の携帯借りて。頑張って。カサさんは，「最初に」「性同⼀性障害なんじゃないかって思ったのが」「中学2年⽣の時に，世界仰天ニュースって番組」であり，「そこで，FtMさんってこんな⾝近な存在。（…）普通に社会に溶け込んで⽣きてるんだって」「で，もしかして⾃分もそうなんじゃないかって」と語った。＜トランスクリプト14＞カサ：その時に多分GIDで性同⼀性障害も出てきたんですけど，そこでは違うなって思ってた。（…）⾃分男になりたいわけじゃないしなって。まだ⼩6だったんで気づいてなかっただけだと思います。そしてカサさんは，テレビをきっかけに中学2年生に再度調べる以前に，初めて調べた⼩学6年⽣時点ではGIDの情報には「うーん」と感じ，「⼥⼦⽣徒であらねばならない」が「ノンバイナリー寄り」であり「みんなと同じ太い道を歩いていた」，そして「あ同性愛者かなって。まぁよくあるパター＜トランスクリプト16＞カサ：最初に，あれ。⾃分ってもしかして。性同⼀性障害なんじゃないかって思ったのが，（…）中学2年⽣の時に，世界仰天ニュースって番組（…）で，FtMさんとMtFさんがこう，お付き合いをして結婚するっていう特集をやってて。（…）そこで，FtMさんってこんな⾝近な存在。（…）普通に社会に溶け込んで⽣きてるんだって当時思ったのかな。（…）で，もしかして⾃分もそうなんじゃないかって。もうその頃恋してた⼥の⼦，のこともあったり，制服が嫌だったり，とか，学校⾏けなくなっちゃったり，があって，あれ。もしかしてって思った。046

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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬してまた，筆者がXジェンダーなどの概念などに出会った経緯を尋ねると中学3年⽣の時に，TwitterでのXジェンダーの人物との出会いがあり，「かなり⾊々教えてくれて」「かなりあの⼈には助けられた」と語った。また，「男性として⽣きていけるよって背中をこう押してくれた」と学校の制服などの調整につながったと語った。＜トランスクリプト17＞カサ：中学3年⽣の時に，Twitterなんですけども，これまた。ちょうど同じバンドが好きな⼈にXジェンダーの⽅がいて。（…）かなり⾊々教えてくれて，そう，今はもう縁途切れちゃったけどーかなりあの⼈には助けられた。（…）男性として⽣きていけるよって背中をこう押してくれた（…）その⼈のおかげで，ジャージ登校。とか。あと，制服。結局，男⼦の制服で中学卒業まで通ってて，それも叶った。し辞めた⾼校では，実は男⼦の制服で通ってて，それもその⼈のおかげ。前述した「16歳の君は違うよ」というのはカサ歳の時に起きた出来事である。カサさんは，「⾃分は性同⼀性障害ですか」と「児童精神科医の先⽣に聞いた」ところ「君は違うよ」と言われたことで，22歳まで「⼥なんだな」「⼥でなければいけない」と思っていたと語った。別を隠すような感じ」だと語った。＜トランスクリプト19＞―――⾼1で，その，君は違うよ事件。カサ：そう。あ，もう引きこもりになっちゃって，不登校で，もう⾼校辞める直前ぐらいに⾔われたかな，確か。―――そっからまたちょっと，なんだろう，⾃分はなんだろうみたいな⾵に，なっちゃった感じですか。カサ：なっちゃったっていうよりは，抑えてたっていう。抑えてなんなんだろうって感じになって。（…）その君が違うよ。以前って，もう男性に移⾏したいなって確実に思ってたから。治療もしたいし。ちょ，その制服も。男性のもの。を着て。（…）以降に関しては，もう，⾃分の性別を隠すような感じ。（…）時限爆弾の話をさっきしたけれど，⼤学⽣って就職活動があるわけじゃないですか。スーツ着なきゃじゃないですか。メイクもしなきゃ。⼥⼦だから，だって。その時限爆弾が，毎⽇刻々と（…）移り変わるっていうのか。進んでいくのが，すごく怖くて，逆に⼥性になろうとしてみた時期もあった。（…）―――その時限爆弾は，（…）ずっと。カサ：1回⽬の性同⼀性障害の診断が出た時。21歳の6⽉かな。くらい。＜トランスクリプト18＞カサ：16歳ぐらいの時に，⾼校1年⽣かな，最初の，その時に，1回，⾃分は性同⼀性障害ですか。っていうのを，別の児童精神科医の先⽣に聞いたら，君は違うよって⾔われちゃって，実は，そっか，違うのかってなっちゃって，で，それから，22歳まで，⾃分の性別は，⼥なんだなって，思いながら⽣きてた。⼥でなければいけないって，また，「君は違うよ」は「⾼校辞める直前ぐらいに⾔われ」，それ以前は「もう男性に移⾏したいなって確実に思って」おり，治療や制服の変更も検討していたが，以降に関しては，「⾃分の性また，カサさんは21歳の時に精神科に⼊院し，「やっぱり⾃分は男性として⽣きたいって，その⼊院中に思っ」たと語った。カサ：（…）21歳の時の出来事で，ちょっと精神科に⼊院する。（…）⼊院中に⾊々考えて，やっぱり⾃分のこととか，やっぱり⾃分は男性として⽣きたいって，その⼊院中に思って，で，その当時の⼊院中の主治医に，⾃分は性同⼀性障害なんじゃないかって，聞いたんですよ。それで，そうかもしれないから，退院したら（…）別にかかってた先⽣，に聞いてみようかって，話になって，なんか楽になったってなったかな047

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社会イノベーション研究という感じですね。3.3ヤマさんの場合まず，事前アンケートについての回答から報告する。ヤマさんは，現在のGIは「男性・トランス男性・FtM・性同一性障害（GID）」，過去のGIは「男性・トランス男性・FtM・性同一性障害（GID）」であり，現在のセクシュアリティは「ヘテロセクシュアル」と回答している。また，「トランスジェンダー・性同一性障害」の概念に触れたのは「TVドラマ16才頃」と回答している。続いて，ヤマさんのインタビュー結果を以下に示す。ヤマさんは「現在のGI」について，「出⽣時と。あと，⾝体的には。⼥性ではあるけど，社会的には男性で⽣きてる⼈」とまとめた。同時に⼈間関係を⼤きく3つに分け，まず「カミングアウトした⼈」，そして「本名で」「わかっちゃう」も「あえて聞いてこない」人，最後に「⾔い⽅悪いですけど，鈍い⼈たち」と説明し，「社会的に男性で⽣きてる」ことの体験を以下のように語った。＜トランスクリプト20＞ヤマ：出⽣時と。あと，⾝体的には。⼥性ではあるけど，社会的には男性で⽣きてる⼈，（…）で，社会的に男性で⽣きてるっていうのは。カミングアウトした⼈については，わかってるだろうし，個⼈的な事情ですけど，な，本名を変えてない。その本名でバレ，わかっちゃう⼈ってたまにいるじゃないですか。だけど，そういう⼈たちって。あえて聞いてこないので。だから，もう男性として扱ってくれてるし。わかんない（人）。要するに鈍い⼈。⾔い⽅悪いですけど，鈍い⼈たちは全然。⾒た⽬だけで判断するから。男性として扱うしっていうような。また，現在のGIに関して他の選択肢を選ばなかった理由を「特にない」としつつも，「⾃分が，⼈に説明するときに，これだったら⼤丈夫かな」という基準で丸をつけたことを以下のように語った。＜トランスクリプト21＞―――（他の選択肢を）選択しなかったって，なんか理由はありますか。特に。ヤマ：いや，特にないっすね。（…）うん，なんかその，⾃分が，⼈に説明するときに，これだったら⼤丈夫かな。それがその選択肢で丸付けたやつ。ヤマさんは，「COの状態」について，「カミングアウトするしないのとの線引きは（…）その⼈と親しくなれたかどうか」だと語った。具体的に「恋愛関係になりたい」場合，「ずっと飲み仲間とすると語り，その理由として「なんで結婚しないの」「⼦ども作んないの」という話が出ると困るからだと語った。そして結論として，「⻑く付き合いたいって思った⼈には，とりあえず（する）」と，以下のように語った。＜トランスクリプト22＞ヤマ：カミングアウトするしないのとの線引きは（…）その⼈と親しくなれたかどうか。それは全部⾃分の主観なんですけど（。…）極論。ちょっと恋愛関係になりたい。そうすると⾔わなきゃまずい，だって，あのーごめんなさい，私性欲あるんで，その時にちょっとなんかあれ。って相⼿になられちゃうと困っちゃうから，先に⾔う。（…）あとは，男性だったとしても，めちゃくちゃあ，この⼈とは，ずっと飲み仲間とか遊び友達とかとして付き合いたいって思ったら，とりあえず，⾔っとく。なんで結婚しないの。とか⾔われたら，困っちゃうから。（…）⼾籍変更してないから今のところ出来ないからっていうので⾔っとく。で，（…）⼦ども作んないの。って⾔われたら，うん，作れないからね，みたいなっていう話になっちゃったら困るから。⻑く付き合いたいって思った⼈には，とりあえず（する）。ヤマさんは，「GIの揺れ動きがあったか⼀貫していたか？」について，「⼀貫してる感じ」と答え，048

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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬して「調べるごとに。知識が，うん，あるから，蓄積されるから，それで，（事前アンケート2-1の回答を複数）選んだんです」と回答の意図を説明し，また「⼥性として⾃認したことは，ない」という問いに「体が⼥性だっていうのは（…）意識せざるを得ない状況にあったことがある」と以下のように語った。＜トランスクリプト23＞―――（過去のGIは）揺れ動きっていうよりは，結構，⼀貫してる感じでしたか。ヤマ：まあそうですね，⼀貫してる感じ，で。で，⾊々と知識をどんどん，⾃分の状態，なんなんだろう，調べるごとに。知識が，うん，あるから，蓄積されるから，それで，（事前アンケート2-1の回答を複数）選んだんです。―――知識が蓄積されるっていうのは。ヤマ：調べるじゃん。⾃分がどういう状態，⾃分がなんなのか。で，性同⼀性障害を知って，で，FtMっていう⾔葉を知ったりとかして，⾊々と，そういう，⾃分なりに調べた結果，うんうん，こういう状態なのかなって思って，それで，選んだんです。―――逆に，あれですか，こう，⼥性として⾃認したことは，ない。ヤマ：なんだろう，体が⼥性だっていうのは，意識したことはある。したというか，意識せざるを得ない状況にあったことがある。ていう感じですね。（…）ヤマ：ただ，なんか，それに，なんかなじめないっていうか，そこで，極端な話，（…）⼥性として⽣きていけるかどうかっつったら，あ無理ってなっちゃうっていう感じです。以降はヤマさんの「GIに関する経験の語り」を，出来事の時系列順に⽰す。ヤマさんは，「物⼼ついた時には，（…）保育園で男の⼦たちとずっと⼀緒に遊んで」いたが，「⾃分だけ体が⼥」「それをいじられるのがすごい嫌だった」と語り，小学校でもそれが大きく変わることはなかったという。しかし，⼩学校5年⽣の時の引っ越しをきっかけに「それまでの意識，やばくねえか」と思ったという。それまでの「混乱」の状態から切り替え，引っ越し以降は作る友人を「絶対女の子にした」という。結果，「それで，⼥の⼦になれると思ったんだけど，ダメで（笑）」と以下のように語った。＜トランスクリプト24＞ヤマ：物⼼ついた時には，（…）保育園で男の⼦たちとずっと⼀緒に遊んで，で，だけど，その男と男の⼦たちの中で⾃分だけ体が⼥なわけじゃないですか，それをいじられるのがすごい嫌だった。でも，しょうがないじゃん。で，⼩学校に上がって，そんなに。あんまりその保育園時代と変わることもなく。（…）⼀緒だった男の⼦達。遊んだり。たまに⼥の⼦と，遊んだり，とかはしてたけど。⼩学校5年⽣のとき。こっちに引っ越してきたの。（…）それまでの意識，やばくねえかって思って。それまで。（…）体は⼥の⼦だってわかってんだけど，⼥の⼦だって思えなかった。なんか，そう，それで，混乱してて，ずっと。（…）まあ引っ越すってなって。ちょっと切り替えた⽅がいいんじゃないか。だからこっち来て。5年⽣の2学期からこっち来たんだけど。作る。友達。絶対⼥の⼦にした。⼥の⼦としか関わらないみたいな。（…）ヤマ：それで，⼥の⼦になれると思ったんだけど，ダメで（笑）結果ね。結果ダメで。で，中学校に⼊ってもやっぱ（…）なんとか⼥の⼦に溶け込もうとするんだけど，なんかダメだ，違うなっていうのがずっと続いて。ヤマさんは，幼少期の将来の夢の話に関連して将来どうするかとか。なんか全然考えられなかった」「どうすれば周りに変に思われないで⽣きられるかで必死だった」と幼少期を振り返った。「保育園の時は」「（変に思われることを）あまり気にしていなかった」が，⼩学校に上がると「どうすれば変に思われないか」と考えるようになり，保育園からの友人もいる中で急に変わる049

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社会イノベーション研究のも躊躇されたことを以下のように語った。＜トランスクリプト25＞ヤマ：でも，なんか将来，将来どうするかとか。なんか全然考えられなかった。（…）多分，⾃分がどうすれば周りに変に思われないで⽣きられるかで必死だった。―――結構ちっちゃい時から。ヤマ：そうだね。あの，保育園の時は。（変に思われることを）多分あんま気にしてなかった。ただ，⼩学校上がったら変わってくるじゃん。（…）どうすれば変に思われないか。で，変に思われないようにしたいんだけど，でも，保育園からの，友達がいるじゃん。（…）急に変わったら，こっちの友達に，保育園からの友達に変に思われちゃって，なんかおかしなことになっちゃうんかもな，とか。また，⾃⾝のGIについて「⼀貫してた」が，「概念を知らなかったから，わかんなかった」，小さな頃から自身の身体に「なんなんだろう，これ」というのが「ずっと，あった」と語った。そして「一時は」「レズビアンなのかな」と考えたこともありながらも，しかし思春期には「好きな⼦」「と，体の関係の妄想」をするとき「想像上が」「男の体」ということで違うのかなと思いつつ，「男として」「好きな⼦と接したい」「っていうのがずっとあった」以下のように語った。＜トランスクリプト26＞ヤマ：多分そう⼀貫はしてたと思う。（…）ただ，あの概念を知らなかったから，わかんなかった。（…）多分⼀貫してた⽅だと思う。―――ちっちゃい頃から。ヤマ：（…）ちっちゃい頃。ただ。ちっちゃい頃から体が⼥だっていうのはわかってんじゃん。だから，なんなんだろう，これっていうのが，ずっと，あった。え。わかんない，なんで。なんで。（…）⼀時は（…）レズビアンなのかな。って思ったんだけど，（…）⼤体，思春期の頃になるとさ，妄想するじゃん。好きな⼦。と，体の関係の妄想はするじゃない。⼤体その時に，⾃分の実際の体じゃなくて，男の体。想像上が，うん。じゃあ違うのかなとか思ったり。なんなんだろうと，ずっと，もうわかんなくて。で，男として好きな⼦を，好きな⼦と接したい。っていうのがずっとあった。ヤマさんは事前アンケートの4の回答「TVドラマ16才頃」に関して，「⾦⼋先⽣」というドラマ名を挙げながら，「だからそれ⾒てなかったら，多分ずっとわかんなかったと思う（…）それを⾒て，ネットで調べて」「性同⼀性障害っていう（…）フレーズで検索した」と以下のように語った。＜トランスクリプト27＞―――それ⾦⼋先⽣，リアルタイムで⾒てたってことですか。ヤマ：そう。だからそれ⾒てなかったら，多分ずっとわかんなかったと思う，もしかしたら。うん。それを⾒て，ネットで調べて，っていう感じだった。（…）携帯，その当時持ってなかったから親のパソコン勝⼿に使って，どういう感じなんだろうみたいな。（…）性同⼀性障害っていうフレーズが出るわけじゃない，それのフレーズで検索した（…）これかもしんないと思って，（…）で，病院とか⾊々カウンセリング（…）とかできるところを調べて，そしたら，（…）近いとこにあったからじゃあ，ちょっと⼀旦⾏ってみようか，みたいな。（…）ヤマ：で，その間に，⾼校辞めたりとか，なんだかんだあったりとかして（…）ほとんど記憶から抹消してるから，あんまり時系列がよくわかんないんだけど。―――そこからまた調べていくとかってのが，結構難しかった。ヤマ：そう。ちょっと間空いちゃった。で，いざ，たどり着いて，（…）22とか3で，初めてカウンセリングの予約とったけど，カウンセリングの予約とっても，うん，2，3ヶ⽉待ちだった。また，ヤマさんは当事者コミュニティには特に050

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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬して属していなかったが，その後，「職場で，当事者と，同じ職場になった」「そこから，⾊々情報もらった」と以下のように語った。＜トランスクリプト28＞ヤマ：前の職場で，当事者と，同じ職場になったの。それで，（…）そこから，⾊々情報もらったっていう（…）なんか⾊々教えてもらって，（…）やっぱと，当事者同⼠で会って，（…）悩み相談でもないけど，ちょっと困ってること聞いて，こうしたらとか，そういうのは⼤事だよなと。―――ってまあ思うきっかけでもあったというか。ヤマ：うん，…だから，そう。（…）23，4ぐらいで会ったから。（…）治療の直後か。カウンセリング⾏き始めて，（…）職場にカミングアウトをして，（…）した以上，直属の上司とかには知られるわけじゃない。（…）で，その⼈が（…）直の上司。に異動してきたわけよ。うん。それで。相⼿は知ってて。なんかバックヤードで。急にね。俺も⼀緒なんだよね。（…）全然⾒た⽬じゃわかんなくて，だから，何が，みたいな（笑）。3.4ユウさんの場合まず，事前アンケートについての回答から報告する。ユウさんは現在のGIは「トランスジェンダー（TG）」，過去のGIは「FtM・性同一性障害（GID）・トランスジェンダー（TG）・ノンバイナリー・Xジェンダー」であり，「他者に説明するときは『FtM』『ノンバイナリー』『トランスマン』『生まれたときは女の子だと言われたけど，今は見た目を男性に移行して生きている』などを相手に応じて併用して説明」するという補足説明があった。現在のセクシュアリティは「その他（デミセクかも？）」と回答している。なお，デミセクとは相手への深い精神的なつながりがないと性的な欲求を抱かないというSOを指す。この回答についても，「FtX→FtM→男性と無性の間→「もはや何かは分からないがトランスはした」…と推移」と補足があった。また，「トランスジェンダー・性同一性障害」の概念には「金八先生の再放送を2004年頃（小学校高学年）に見て上戸彩演じる直のキャラクターで知った」と回答した。ユウさんは現在のGIの補⾜に，他者に説明するときは相⼿に応じて（表現を）併⽤して説明していることを記述している。⾃⾝の現在のGIを「トランスジェンダー（TG）」と定義しつつも，⽇常の⽣活では相⼿に応じて，説明する際に様々な⾔葉を⽤いているということであった。このことから，トランスジェンダーの⽇常の中で状況に応じて⾃⾝のGIを適切に相⼿に提⽰しようとする実践がなされていると考えられる。また，ユウさんの過去のGIの補⾜説明のうち，注⽬すべきは，最後の「もはや何かは分からないがトランスはした」という部分だ。⾃らが「何か」ということは「分からない」がトランス（性別移⾏）をしたという事実は確かであるという視点での記述である。このことから，アイデンティティを⾃らの感覚や概念ベースではなく，「移⾏をした」という事実をベースにする形で捉えようとしていることが⾒て取れる。続いて，ユウさんのインタビュー結果を以下に示す。ユウさんは「現在のGI」について，「トランスジェンダーだろうなって思っていて」と語った。また，事前アンケートの「現在のGI」についての補足に記載した，“併⽤”という部分について，「Cabin（ユウと著者が初めて出会った，トランス男性により運営されているバー「2’sCabin」）に居る時」「細かい⾔葉も知ってそうな⼈」「そういう⾔葉がわからない⼈」と例を挙げて場面に応じて「いろんな⾔葉を使って」いると語った。そして「しっくりくるのはトランスジェンダー」と以下のように語った。＜トランスクリプト29＞ユウ：⾃分の中で定義はどうなってるかっていうこと⾔われたら，（…）トランスジェンダーだろうなって思っていて。なんだけど，例えば，Cabin（ユウと著者が初めて出会った，トランス男性により運営されているバー「2’sCabin」）に居る，トランスのバーに居る時だっ051

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社会イノベーション研究たら，FtMっていう⾔葉も使うし，（…）細かい⾔葉も知ってそうな⼈だったら，ノンバイナリーなんですよっていうこともあるし，そういう⾔葉がわからない⼈だったら，（…）その出⽣時の性別は⼥性だけど，みたいな⾔葉を使って，いろんな⾔葉を使って，ますね。―――併⽤して，ユウ：そう，（…）性同⼀性障害は今は使わないけど，FtMとかも使うし（…）FtMとかノンバイナリーも使うは使うんだけど，なんか丸をつけるほどでもないみたいな，そういう気持ちだったからそう書きました。―――定義としては1番こう。ユウ：しっくりくるのはトランスジェンダー。また，ユウさんは「現在のGI」について，「性別（この際はGI）の」「トライアングル」という概念を説明し，「男性の点」「⼥性の点」「そうでない点」の「3つのトライアングルの中で」の「スペクトラム」と語り，自身は「離脱したい派かもしれない」が「男性と」「無性，X，の間に位置していて」と語った。結論として，「トライアングルのこの上にいて，なおかつ」「性別が，をどのような形でもあんまりやりたくない」というのが今のGIであると以下のように語った。＜トランスクリプト30＞ユウ：性別の（…）トライアングル，（…）要はスペクトラムじゃなくて，トライアングルになってると思っていて（…）男性の点，⼥性の点。そうでない点それは，無性って呼んだりするのかもしれないけど，まあXみたいな。3つのトライアングルの中で，スペクトラムが起きていると思っていて，こっから離脱したい⼈もいると思うけど，僕も離脱したい派かもしれないですけど。で，（…）三⾓形のスペクトラムの中では，僕は，その男性とその無性，X，の間に位置していて，だから，ここの軸にいれば，⼥性とは交らなくて済むというのがありますでしょう，（…）間にいて，多分無性寄りなんだと思うんですけど。そう。で，⼥性，⼥性と男性のスペクトラムの上には絶対に居ないし，⼥性とXのスペクトラム上にも絶対居ないなって（…）なんだけれども，世の中的には男性が⼥性かで⼆分化されていて，なんならトランスの世界でもちょっと⼆分化されているところがあるから，性別めんどくせぇ，やりたくねえんだと，性別はやりませんっていう⾵になってます（笑）（…）トライアングルのこの上にいて，なおかつ，（…）性別が，をどのような形でもあんまりやりたくないっていうのは，今のジェンダー・アイデンティティですね。ユウさんは「性別を，少なくとも移⾏したっていうこと⾃体は事実」なので「トランスジェンダーなのは本当」と以下のように語った。＜トランスクリプト31＞ユウ：⾃分の中で，その，性別を，少なくとも移⾏したっていうこと⾃体は事実で⾃分のアイデンティティがどうあろうと，その，ぱっと⾒の，外⾒上の，あるいは扱われる性別っていうのが，移⾏したっていうことは。トランスはしたので。（…）FtMなのかノンバイナリーなのか，男なのか⼥なのか全くわかんないけど，トランスしたことだけは事実だから，トランスジェンダーなのは本当だな。みたいな感じで。ユウさんは，「COの状態」について，ユウさんは親，親族，同年代の友⼈，職場，Cabinでさまざまな言葉を用いCOをしたと語った。「母親」には「中性かもしれない」，「⽗親に」は「性同⼀性障害」，「会社の⼈たち」には「性同⼀性障害」，「Cabin」では「FtXかも」，「いとこの一家」には「トランスジェンダー」という言葉を用いたという。そして，「⾒た⽬をこういう⾵にしちゃうまでは」「⼀般名詞を使ってた」が弟に去年ぐらいに伝えた時は「語りきれない気がするから」「今は男性として社会の中で⽣きている」という表現を用いたと以下のように語った。052

## Page 057
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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬して＜トランスクリプト32＞ユウ：1番最初にカム（CO）したのは，同年代の⼥性の友達だったんですよ。（…）まあその時は（…）⼥性のことを好きになるFtXだと思ってたんだけど，（…）で，その次に⺟親。（…）⾃分は中性かもしれないって⾔って，Xジェンダーっていうので，それかもしれない。少なくとも⼥性ではない。（…）そのあと⽗親に，ほんとに1年ぐらい経ってから⽗親に⾔った時は性同⼀性障害って⾔葉を使いましたね。（…）で結局，その時点で，その，ホル（ホルモン治療）とかオペ（乳房摘出手術やSRS）とかはせずに，就職をして，で，会社の⼈たちに対しては，聞かれたら答えるぐらいだったんです，（…）そん時はもう，いわゆる性同⼀性障害で，って⾔ってたんですよね。（…）そのあと，胸オペをする休暇がいるってなって，（…）その時にもいわゆる性同⼀性障害っていう⾔い⽅して。まだね。トランスジェンダーっていう⾔葉がそこまでちゃんと普及はしてなかった。性同⼀性障番わかりやすい。と思って⾔ってたんですけど。で⼀⽅，就職して1年⽬の秋ぐらい，9⽉かな。ぐらいにCabinに⾏き出すんですけど，そこでは。その時にはFtXかもーみたいなこと⾔ってね（…）FtMの⼈たちに出会って初めて，あ⾃分と同じ性別の⼈に会えたと思ったんですよね。⼥性に対する感覚。男性に，と接する時の感覚と全く違う，親和性みたいなものが，馴染む感じっていうかがあって，だから，⾃分がFtMかもって思ってたんですよ（…）親族に対しては，いとこの⼀家がいるんですけど，（…）そん時は，トランスジェンダーって⾔葉を使ったかな（…）それがね，もう，2018年とか9年ぐらいだったんですよ。（…）使える⾔葉の種類がだんだん増えてきたって感じがするかも。（…）オペとかして，⾒た⽬をこういう⾵にしちゃうまでは，割と，性同⼀性障害とか，トランスジェンダーとか，そういう（…）⼀般名詞を使ってたんですけど，その後，その後，弟にですね（…）⼀昨年，去年か，ぐらい，⾔ったんですよ。（…）の時は，別にもう性同⼀性障害じゃないし，トランスジェンダーだけど，なんかそういう⾔葉だけで⾃分語りきれない気がするから，さっき⾔った，今は男性として社会の中で⽣きているっていう⾔い⽅にしたんですよね。また，ユウさんは，⾃⾝の扱いや社会的⽴ち位置について，友⼈，親，職場，Cabin，性別移⾏，現状，と時系列に語った。そして「トランスしてから，割と明確に，（…）扱われ⽅の変化が起きてきたって感じがあっ」たが「こっちはもう男じゃねえから（笑）また違うって⾔い出して」と男性ではないという語りを用い始めたと語った。そして「周りからの扱い」「社会的な⽴ち位置で⾔うと，初⾒で出会う⼈」「100パーセント，もう男性として接して」くると以下のように語った。＜トランスクリプト33＞ユウ：友達に1番最初に⾔った時（…）それは受け⼊れられたんだけど，でも，根本的に⼥性だとは思われてたと思うんですよ。（…）で，その後，親に⾔って，（…）親はね，治療しなければ，要は，体いじらなければ，なんでもよかったみたいで（笑）（…）で，就職して，（…）⾒た⽬変えるぞってなる前は，もう，デフォルトって，⼥性として当然だけど，扱われて，いて，いました。（…）トランスしてから，割と明確に，へん，扱われ⽅の変化が起きてきたって感じがあって，その，対友達でも。対職場でも，親もそうかもな。親族もそうかな。（…）そうすると，こっちはもう男じゃねえから（笑）また違うって⾔い出して，はあ？みたいな，になるんだけど。（…）今現在の，その，周りからの扱いとか，その，社会的な⽴ち位置で⾔うと，初⾒で出会う⼈，もう，もう，ほぼ100パーセント，100パーセント，もう男性として接してきて，なんなら。温泉地で，初めましてのおじさんとお⾵呂に⼊りながら，僕が延々トランス話。今トランスジェンダーでこういうことが起きていて，みたいな話を延々してて，も相⼿⼀ミリも気づかないみたいな。053

## Page 058
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社会イノベーション研究ユウさんは，「GIの揺れ動きがあったか⼀貫していたか？」について，「ブレブレです（笑）」と話し，「⼩学校6年⽣ぐらいまでは（…）⼥性に降りかかるジェンダー規範，ジェンダーらしさみたいなのを」「嫌がっていた時期もあった」が「中⾼⼀貫校に進学して（…）我慢っていう，バレないように頑張る」時期があったと語り，⼩学校6年⽣ぐらいまでと中学校以降のスタンスに変化があったと以下のように語った。＜トランスクリプト34＞ユウ：ブレブレです（笑）（…）⼩学校6年⽣ぐらいまでは，⼥の⼦なんではあるんだろうけど，⼀⼈称も僕だし，スカートは何がなんでも履きたくないし，ピアノはなぜかあの⼥の⼦の習い事だと思ってそんなことしたくないとか，そう，いろんなその⼥性に降りかかるジェンダー規範，ジェンダーらしさみたいなのをすごいね，嫌がっていた時期もあったんだけど，その後中⾼⼀貫校に進学して制服が，制服問題が出てきて，そこで，スカートを履きたくないなんてことを⾔ったもんなら，⾦⼋の上⼾彩みたいにいじめられると思って，（…）我慢っていう，バレないように頑張る。みたいな，ことを考えてた時期があったんです。以降はユウさんの「GIに関する経験の語り」を，出来事の時系列順に⽰す。ユウさんは，事前アンケートの4の回答に関連して，小学5年生頃に「⾦⼋先⽣」で上戸彩演じる鶴本直を見て「すごい似てる」と感じたが，「すごーい悲惨」と感じ「無理って思って」，「スカート履きたくないって⾔ったらいじめられる」と「強烈に，インプットされて」「絶対⾃分は性同⼀性年抜けなかった」と以下のように語った。＜トランスクリプト35＞―――（事前アンケートの4の回答を読み上げて）⾦⼋先⽣の再放送を2004年頃に⾒て，上⼾彩演じる直のキャラクターで知った（…）これは結構記憶に。ユウ：鮮明ですね。鮮明に残ってますね。（…）親は共働きだったんで，家に誰もいないんですね。で，テレビをつけるとドラマがやってて，（…）この時に⾦⼋先⽣が再放送したんですよ。でも僕はね，勝⼿に⼩5だと思ってるんですけど（…）で，上⼾彩がスカートをとにかく履きたくないってことを⾔っているんですよ，（…）すごい似てるって思って。でも，（…）なんかすーごい悲惨なんですよ（…）こんな⼤変なの。みたいな。無理って思って，で，だから，スカート履きたくないって⾔ったらいじめられるっていうのが，そこでもう強烈に，インプットされて。（…）トラウマ（笑）（…）でもそこで性同⼀性障害ってワードが出てきて，（…）逆に⾔うとね，それのせいで絶対⾃分は性同⼀性障害じゃないと，いう⾵に思うようになるんですよ。それがもうそこから10年抜けなかった。ユウさんは，その後，「中学，⾼校ぐらい（…）⼥性をやるんだって決めて振る舞っていく」が「⼥性，ジェンダーで，扱われるのが嫌」だった中で，⼭⼝百恵の⾃叙伝に影響を受け「⼥性性がいいものだって，⾃分の中で思えて，（…）だんだん，修正してって（…）⼤学1年⽣で，⾃分は（…）⼥性なんだと思うみたいなこと⾔ってたんだけど，そのあと，やっぱ無理」となり，「今はもうわからない（笑）」「考えても無駄。おそらくね，ここに⾔葉がないって思ったんですよね」と，⼥性のジェンダーとの関わりの中で⾃分のGIの揺れ動きを以下のように振り返った。＜トランスクリプト36＞ユウ：話を遡って，中学，⾼校ぐらいの話になるんですけど，（…）⼥性をやるんだって決めて振る舞っていくんだけれども，それでも，やっぱり，⼥性，ジェンダーで，扱われるのが嫌，なんですよ，（…）そういう中で，（…）⼥性のジェンダー，⼥性らしさみたいな，のをすごく肯定している，⼈の本。⾃叙伝みたいものを読んで，（…）⼭⼝百恵，その，同じ本の中で，（…）⼥054

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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬して性の性っていうことを，さらけ出して書くんですよ。（…）で，（…）⼥性性がいいものだって，⾃分の中で思えて，（…）思えたから，うまくやっていけるんじゃないかって思って，だんだん，だんだん，修正してって，服装とかも，ちょっとこう，ね，髪型とかもちょっとこう，やるような，なんか綺麗⽬にするようになって，⼤学1年⽣で，⾃分は⼥性かもしれないみたいな，⼥性なんだと思うみたいなこと⾔ってたんだけど，そのあと，やっぱ無理―つって。（…）―――揺れ動きがあったか。⼀貫してたか。ユウ：はいはい，ありました。（…）今はもうわからない（笑）ギブアップ（笑）ギブアップ，考えても無駄。おそらくね，ここに⾔葉がないって思ったんですよね。また，事前アンケートで過去のGIの補足説明で「FtX→FtM→男性と無性の間→『もはや何かは分からないがトランスはした』」と回答していたが，ユウさんによるとこの4段階は「ググってた時期」→「Cabinに⾏った時期」→「⾃分の⾔葉で喋り始めた時期」→「ちゃぶ台返しした時期」である。事前アンケートに「FtX→FtM」と記述した部分までは「既存の⾔葉を使ってる状態で」「ググって出てきた⾔葉を使って，これかな，あれかなってやってる時期から，もうそれじゃ語りきれないってなって」「最後全てが崩壊するっていう（笑）」と語った。しかし，「⼀度も男性にいったことはない」と語った。＜トランスクリプト37＞ユウ：（…）要はここまでは（2-2回答の「FtX→FtM」と記述した部分を指差す）その，既存の⾔葉を使ってる状態で，（…）ググって出てきた⾔葉を使って，これかな，あれかなってやってる時期から，もうそれじゃ語りきれないってなって，（…）最後全てが崩壊するっていう（笑）経過をね，多分辿っている，⼀⽣懸命ググってた時期ですね，これ。（「FtX」と記述した部分を指差して）ググってた時期。（「FtM」と記述した部分を指差して）Cabinに⾏った時期。（「男性と無性の間」と記述した部分を指差して）⾃分の⾔葉で喋り始めた時期，で，（「もはや何かは分からないがトランスはした」と記述した部分を指差して）ちゃぶ台返しした時期っていう（笑）―――それぞれの，この4段階の。ユウ：（…）すごい，移ってくっていう，1回も男性にいったことはないです私（…）男性っていう⾵に思ったことは⼀回もない（…）だからトランス男性っていう名乗りは，使えない。そしてユウさんは「決定的なのは，やっぱりCabinですね」，現在の「もう性別なんてやめるんだ，みたいな状態に⾄ったのは，やっぱりCabin」「やっぱり当事者コミュニティにつながれたってのがめちゃめちゃでかい」と語った。同時に「トランスジェンダー問題（書籍）読んだのもの⼤きいですけど」と書籍の名前をあげ，以下のように語った。＜トランスクリプト38＞ユウ：Cabinです。決定的なのは，やっぱりCabinですねだと思います。（…）で，そのあと，今の状態，今の，その，もう性別なんてやめるんだ，みたいな状態に⾄ったのは，やっぱりCabinうん。あと，トランスジェンダー問題（書籍）読んだのも⼤きいですけどね。本ですね。んー，Cabinですね，やっぱり当事者コミュニティにつながれたってのがめちゃめちゃでかい。また，そのトランス男性により運営されているバー「2’sCabin」に通う中で，当事者の多様性を知り，バーの店主の企画で地⽅を訪れた時に大きく認識が変わり，「⽣きるか死ぬか状態の⼈，バレたら死ぬっていう⼈，ほんとにいるんだって知った」と語った。そして，「1番」は「コミュニティの⼀員としての認識を持てたってことかな」と，以下のように語った。055

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社会イノベーション研究＜トランスクリプト39＞ユウ：〇〇さん（2’sCabinの店主）が地⽅に⾏って，そんでFtM集めて飲み会やるっていう企画をしてて，そこにね，2回かな，同⾏さしてもらって（…）地⽅の状況っていうのも⾒て，（聞き取り不可）すごい認識が変わったんですよね。（…）僕，それまで，いやトランスなんて⼤変じゃねえよ。みたいな，なんかちょっと斜めの気持ちがあったんだけど。いや，⼤変だよと。⽣きるか死ぬか状態の⼈，バレたら死ぬっていう⼈，ほんとにいるんだって知ったりとかね。（…）1番って⾔ったら，それのあれですね。コミュニティの⼀員としての認識を持てたってことかな。1⼈ぼっちでポツンじゃなくて。そして，4段階における最初の「FtX」というGIのきっかけとして「⼤学の同期の⼥の⼈を好きになって」「図書館に⾏って本を」「読んで」「x（FtX）なのかな」と思ったことを以下のように語った。＜トランスクリプト40＞―――FtXの最初のきっかけってのはなんかあったんですか。ユウ：（…）⼤学の同期の⼥の⼈を好きになって，で，あ⾃分はレズビアンなんだって思った瞬間に瞬時に違うと思ったんですよね。（…）じゃあなんだ？ってなるじゃないですか。（…）図書館に⾏って本をね（笑）読んで，探しまくって，えっとね30⼈の⼀⻫カミングアウト（正しくは「性同⼀性障害30⼈のカミングアウト」）みたいなタイトルだったと思うんですけど，（…）ページをめくっていくと，30⼈が順番に話をするんだけど（…）で，その次に出てきたのがそこまでは望まないけど，⼥性からは脱していきたいんだ。で，その2⼈を⽐べた時に，⾃分は2番⽬の⼈がすごい当てはま，の⽅に親和性がより強かったんですよね，もう，なんていうの，別にペニスをつけたいわけじゃないぞって思って，なんなら，じゃ，オペをしたいのか。ホルを打ちたいのか。って思ったら，その時点では別にそんなこと思ってなかったんですよ。（…）てことは，X（FtX）なのかなーみたいな。（…）まだね。ノンバイナリーって⾔葉がね。そんなに⽇本ではなかった2014年の時ですね。（…）トランスジェンダーも（検索して）出てきたけど，よりは，性同⼀障害で調べた⽅がヒットするものがあるかなって（…）ヒットしたものが全部違ったっていう全部⾃分の状態とは違って，なんなんだろうみたいな（笑）。そして，2段階めの「FtM」，そして3段階めの「男性と無性の間」に移っていった過程には「当事者に会ってみて，その⽣活の実態を知って」「⼀緒やん」と思ったこと，「⼈に対して語っていく中で」の語りが影響したことを，以下のように語った。＜トランスクリプト41＞―――（GIがFtMに移っていく）きっかけとしては，さっきおっしゃってた。ユウ：そうですね，Cabinなんだけど，そう，FtMっていう⾔葉も元々知ってはいたんだけれども，（…）性別を，実際に，その治療によって移⾏していきたい⼈たち，のことだと思っていて，で，会ったことがなかったんですよ。リアルFtMにもFtXにも（…）当事者に会ってみて，その⽣活の実態を知って，あーこれは似とるな⼀緒やんっていうふうに思って，じゃあ⾃分はFtMの仲間だ，FtMだ。―――っていう状態からの，男性と無性の間。ユウ：（…）ジェンダークリニックにその後通いだして，FtMなんですーって⾔いながら通って，説明はするんだけど，（…）⼈に対して語っていく中で，⾃分が男性なんだっていう語りはどうしても出てこない。（…）⼥性の状態が無理なんですみたいには⾔えるんだけど，男性なんですよ，が全然出てこなくって。かといって，⼥性としてはもう全く嫌，で，無性，だとちょっと，その後こう，実際移⾏していきたいんですっていう⾵に説得⼒に⽋ける，で結果編み出したのがトライアングル。056

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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬してまた，3段階めの「男性と無性の間」から4段階めである「もはや何かわからないがトランスはした」に⾄る過程で「トランスジェンダー問題」，「トランス男性によるトランスジェンダー男性学」，「埋没した世界」の3冊の本の影響があったことを以下のように語った。＜トランスクリプト42＞ユウ：あと2つターニングポイントがあるみたいな，ことで，（…）⾼井ゆと⾥さん（書籍「トランスジェンダー問題」の訳者）に会った時（…）⾼井さんが（…）講師として招かれていて（…）喋ったんですよ，（…）性別移⾏したはいいけど，なんか，いまいちすっきりしないみたいな時に，その「トランスジェンダー問題」に，ジェンダー・アイデンティティっていうのは帰属意識の問題であるって書いてあって，（…）⾃分はFtMコミュニティの帰属意識は持ってるなと思ったんですよていうことを⾼井さんに話したら，（…）周司さんの本（「トランス男性によるトランスジェンダー男性学」）（…）を勧めてもらって，で，読んだらめちゃめちゃ⾯⽩くて，周司さんも，⾃分には性別がないみたいなことを⾔ってて，（…）それと出会えたことで，その，要は男性でもない，⼥性でもない，FtMなんだけど，FtMとも⾔い切れないみたいなところから，なんかもっと複雑な，何がなんだかわからないみたいな状態みたいな，「埋没した世界」（五⽉あかりと周司あきらによる書籍）の影響もありますけど，そして4段階目である「もはや何かわからないがトランスはした」に⾄る過程として，これは「移⾏した後の状態」であり，「何かしらの性別として，問い，問われることがめんどくさい」「だけれども，ここから逃れることはできない」という「悟りに⾏った」と以下のように語った。＜トランスクリプト43＞―――で，もはやわからない。何かわからないが，トランスはした。ユウ：これは移⾏した後の状態ですね。（…）もうデフォルトで男性として初対⾯の⼈からは扱われるようになって，そこでいやもう男じゃねえよって思って。（…）⾃分が（…）何かしらの性別として，問い，問われることがめんどくさいんだっていう。（…）だけれども，ここから逃れることはできないんだっていう。その，悟りに⾏ったんですよね。⼥性は嫌だ，性別移⾏した男性として扱われる，これも嫌だ，でも，もうそのように扱われるのは仕⽅がない。（…）から，よくわかんないけど，いいですそれでみたいな，好きにしてくださいみたいな気持ちにきましたね。また⾃⾝の現在の状態に関して，「外⾒とかそういうの全部取っ払って，アイデンティティだけ」「いわゆる⼼の性別」「だけをブンッって取り出したらノンバイナリーになると思う」「トランスジェンダーノンバイナリーですって並べて⾔ってみたい感じもする」と以下のように語った。＜トランスクリプト44＞ユウ：多分，僕のその外⾒とかそういうの全部取っ払って，アイデンティティだけブンッって取り出したら，なんかいわゆる⼼の性別みたいなものだけをブンッって取り出したらノンバイナリーになると思うんだけど。でも纏ってるのはコレなわけで（笑）（…）トランスジェンダーノンバイナリーですって並べて⾔ってみたい感じもするんですけど。4考察以下に事前アンケートとインタビューを総合的に分析した考察を，表4のインタビューの質問項⽬の順に⽰す。4.1現在のGIについてまず，「現在のGI」について尋ねたインタビューの質問項⽬1-1の考察を以下に⽰す。この質問は，⼤きく分けて4つの種類の回答が057

## Page 062
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社会イノベーション研究あった。それぞれ，GIという点において「SRSの事実・意向」，「⽣活の事実・意向」，「出⽣時に割り当てられた性別」，「他者への説明・社会的⽣活における整合性」を意識した回答である。なお，複数が混じった回答をした調査協⼒者もいた。カズさんは＜トランスクリプト1＞で，「⼿術（SRS）は受けようと思ってたから」トランスセクシュアルであると語った。これは「SRSの事実・意向」を意識した回答である。カサさんは＜トランスクリプト10＞で，「そんなに気にすることもない」「男性として馴染みすぎちゃって」と語った。これは「⽣活の事実・意向」を意識した回答である。また「医療的観点」と語った部分は⾃⾝の「出⽣時に割り当てられた性別」を意識した回答である。ヤマさんは＜トランスクリプト20＞で，「出⽣時と。あと，⾝体的には。⼥性ではあるけど，社会的には男性で⽣きてる⼈」と語った。これは「⽣活の事実・意向」と「出⽣時に割り当てられた性別」を意識した回答である。また，＜トランスクリプト21＞で，「⾃分が，⼈に説明するときに，これだったら⼤丈夫かな」という基準で現在のGIの項目を選択し丸をつけたと語った。これは「他者への説明・社会的⽣活における整合性」を意識した回答である。ユウさんは＜トランスクリプト29＞で，「トランスジェンダーだろうなって思っていて」と語った。そして場面に応じて「いろんな⾔葉を使って」いると語った。これは「他者への説明・社会的⽣活における整合性」を意識した回答である。また＜トランスクリプト31＞で，「性別を，少なくとも移⾏したっていうこと⾃体は事実」なので「トランスジェンダーなのは本当」と語った。これは「移⾏をした」という「事実」をベースに「⽣活の事実・意向」を意識した回答である。しかし同時に，＜トランスクリプト30＞で，「性別（この）の」「トライアングル」という概念を説明し，自身は「離脱したい派かもしれない」が「男性と」「無性，X，の間に位置していて」と語った。結論として，「トライアングルのこの上にいて，なおかつ」「性別が，をどのような形でもあんまりやりたくない」というのが今のGIであると位置づけている。これは「⽣活の事実・意向」を意識した回答である。ここで⼀度，改めて「GIのトライアングル」という概念をユウさんの＜トランスクリプト30＞での説明を元にまとめたい。ユウさんが述べた「男性の点」「⼥性の点」「そうでない点」の「3つのトライアングルの中で」の「スペクトラム」は図にすると以下のようになる（図1）。この図は，以下の図2に⽰される，従来の男⼥の⼆項のスペクトラムとは異なり，より多くの⼈を内包することができる概念である。以上のように，インタビューの質問項⽬1-1の考察としては，「性別適合⼿術の事実・意向」「社会的⽣活の事実・意向」「出⽣時に割り当てられた性別」「他者への説明・社会的⽣活における整合性」を意識した回答が⾒られ，GIはさまざまな側⾯の複合的なものだとわかる。次に，「周りとの関係の中でのGI」について尋ねたインタビューの質問項⽬1-2の考察を以下に⽰す。カズさんは＜トランスクリプト3＞で，性別を図1GIのトライアングルスペクトラムX男性女性図2従来のGIのスペクトラム男性女性058

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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬して変更する前の，元の性別を知っている人に⼾籍変更後にCOしつつも，「⼾籍変更して新たに⼊った会社とかには，⼀切（…）カミングアウトはしてない」と語った。また，⼾籍変更後の職場でCOをしない選択について，「⼾籍変更して男になってるし」「過去のこと⾔ったってしょうがないし」と語り，逆に⼾籍変更前からの知り合いと話すときに関して「ていうか，⾼校の時，⼥⼦校だったから」「おっさんなってるわけでしょ。したら嫌でも話さなきゃいけない」と語った。このことを考察すると，現在や昔からの知り合いとの関わりを通じて，カズさんは「COの範囲」を調整していたことがわかる。また，この際，⼾籍変更の前からの知り合いには「男性に性別移⾏」であり，⼾籍変更の後の職場」であることにも注意が必要である。カサさんは＜トランスクリプト11＞で，事務所の中でのCOは「職員さんだけ」であり，利⽤者などには「⼀切してない」「トップシークレット」と語った。また，＜トランスクリプト12＞で，プライベートのCOの状態に関してパートナー，家族，いとことか親族，学⽣時代の友達，と人間関係の範囲をあげ，それぞれの関係者のCO後の理解や反応についての評価を総合的に語った。また，「概ね男性としては⽣きられている」と回答した。このことを考察すると，カサさんは「COの範囲」の調整や，身近な人への「CO結果の評価」を通じて，COのあり方を能動的に形作ることで，男性としての日常生活を築いていることがわかる。ヤマさんは＜トランスクリプト22＞で，COの…）その⼈と親しくなれたかどうか」だと語った。具体的に「恋愛関係になりたい」「ずっと飲み仲間とか遊び友達とかとして付き合いたい」場合にCOすると語り，その理由として「なんで結婚しないの」「⼦ども作んないの」という話が出ると困るからだと語った。そして結論として「⻑く付き合いたいって思った⼈には，とりあえず（する）」と語った。このことを考察すると，ヤマさんは「COの基準」を具体的に持ち，30代というライフステージの中で結婚や子どもの話が出ることへのコーピングを行なっていることがわかる。ユウさんは＜トランスクリプト32＞で，親，親族，同年代の友⼈，職場，Cabinでさまざまな言葉を用いCOをしたと語った。また，過去には「⼀般名詞を使ってた」が弟に去年ぐらいに伝えた時は「今は男性として社会の中で⽣きている」という表現を用いたと語った。また，「トランスしてから，割と明確に，（…）扱われ⽅の変化が起きてきたって感じがあっ」たと語った。そして「周りからの扱い」「社会的な⽴ち位置で⾔うと，初⾒で出会う⼈」「100パーセント，もう男性として接して」くると語った。このことを考察すると，ユウさんは「COの仕⽅」を変えながら，その時々の自分の実感を正確に他者に説明しようと試みていることがわかる。また身体的な変化によって「扱いや社会的⽴ち位置」も変化したことを，他者への観察を通して把握していると推測できる。以上のように，「COの範囲（ここまでの範囲には言うなど）」，「COの基準（こういう人には言うなど）」，「COの仕⽅（この表現を使うなど）」，「CO結果の評価（言った結果こうなったなど）」，「扱いや社会的⽴ち位置」などの把握と調整を通じて，トランスジェンダーは周りの⼈間との関係の中で，⾃⾝のGIを形作っていることがわかった。最後に，現在のGIに至るまでの最大のきっかけを尋ねたインタビューの質問項⽬1-3の考察を以下に⽰す。カズさんは＜トランスクリプト7＞で，「ニュースで，その特例法のことがやって」たことがきっかけであり，「20代とかの時」はインターネットがなかった為「調べようはなかった」，「唯⼀テレビで⾒てた⼈たち。（…）僕らとは違う世界の⼈たちだから」と語った。また，「携帯持つようになって」「検索したら，⻁井まさ衛さんにぶち当たった」と語った。このことを考察すると，インタビュー当時50代代の頃（特例法前）はタレント以外の他の当事者について知る術は少な059

## Page 064
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社会イノベーション研究く，特例法やインターネットの普及が情報伝達に大きな役割を果たしたと考えられる。カサさんは＜トランスクリプト16＞で，「性同⼀性障害なんじゃないかって思ったのが」「中学2年⽣の時に，世界仰天ニュースって番組」であり，「そこで，FtMさんってこんな（…）普通に社会に溶け込んで⽣きてるんだって」「もしかして⾃分もそうなんじゃないかって」と語った。また，21歳の時に精神科に⼊院し，「やっぱり⾃分は男性として⽣きたいって，その⼊院中に思っ」たと語った。このことを考察すると，カサさんがテレビにおいて見た当事者をきっかけとした時には，「社会に溶け込んで⽣きてる」姿を見たことが重要だったと考えられる。また入院中に自身の現在のGIに至った際には，1人で自分を見つめ直す時間が重要だったと考えられる。ヤマさんは＜トランスクリプト24＞で，最初のきっかけに関して「物⼼ついた時には（…）保育園で男の⼦たちとずっと⼀緒に遊んで」「⾃分だけ体が⼥」「それをいじられるのがすごい嫌だった」と語り，⼩学校5年⽣の時の引っ越しをきっかけに，作る友人を「絶対女の子にした」と言う。「体は⼥の⼦だってわかってんだけど，⼥の⼦だって思えなかった」「それで，混乱してて，ずっと」と語った。このことを考察すると，ヤマさんが自身のGIに関して「女の子だって思え」ずに小さな頃から混乱していたこと自体は，「きっかけ」という枠組みを越えていると考えられる。しかし，他者との遊びや身体の比較を通じて自己のGIへの内省があったとは考えられるだろう。ユウさんは＜トランスクリプト38＞で，現在の「もう性別なんてやめるんだ，みたいな状態に⾄ったのは，やっぱりCabin」「やっぱり当事者コミュニティにつながれたってのがめちゃめちゃでかい」「トランスジェンダー問題（書籍）読んだのも⼤きい」と語った。そして，トランス男性により運営されているバーであるCabinに通う中で「1番」は「コミュニティの⼀員としての認識を持てたってことかな」と語った。このことを考察すると，ユウさんがリアルの当事者コミュニティを通じて発見したのは情報単体ではなく，「コミュニティの一員」としてのアイデンティティや，自身のあり方や生き方に関する希望の指針形成につながる事柄であったと考えられる。以上のように，「テレビがきっかけ」，「物⼼ついた時からの違和感」，「リアルの当事者コミュニティがきっかけ」などさまざまなきっかけを通じて，トランスジェンダーは⾃⾝のGIの⾃認に⾄ることがわかった。4.2過去のGIについて以下にインタビューの質問項⽬2-1から2-3の考察を⽰す。なお，2-2と2-3は分けて⽰すのが困難であるため，あわせて考察する。まず，現在の自認に至るまでや自認後にGIの揺れ動きがあったかを尋ねたインタビューの質問項⽬2-1の考察を，以下に⽰す。この質問に関しては，⼤きく分けて2種類の回答があった。それぞれ，「⼀貫していた」「揺れ動きがあった」である。カズさんは＜トランスクリプト5＞で，バイセクシュアルという⾔葉は「10代の頃から知ってた」が，「⾃分が何者かわかんなかった時期」に男性と性的な関係を持ち，また，26歳の時に女性と初めて性的な関係を持った時に「⾃分はバイセクシュアルなのかな」と思うようになったと語った。このことを考察すると，カズさんが「バイセクシュアル」を一つのGIとして捉え，それが他者との関係によって揺れ動いたと感じていることがわかる。GIとSO（また，性表現なども）は往々にして区別され，全く別のものと考えられるが，このように，自己認識の過程で相互に関連し合う部分があることは否定できないとわかる。カサさんは＜トランスクリプト13＞で，「⼀貫はしてたけど，周りの状況が，それを許してくれなかった」と語った。具体的に，「男性として過ごしたいなって思う気持ちはずっとあったけど」，16歳の時に児童精神科医によって「君は違うよ」と言われたことで「⼥性として⽣き延びなきゃ」と思うようになり，22歳まで「⼥なんだな」「⼥060

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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬してでなければいけない」と思っていたと語った。このことを考察すると，カサさんがGIは一貫しているにもかかわらず，医者による言葉におよそ6年間に渡り影響を受けたことは，医療におけるパターナリズム的側面があると考えられる。ヤマさんは＜トランスクリプト23＞で，「⼀貫してる感じ」「調べるごとに。知識が（…）蓄積されるから，それで，選んだんです（事前アンケート2-1の回答を複数）」と語った。そして「⼥性として⾃認したことは，ない」という問いに「体が⼥性だっていうのは（…）意識せざるを得ない状況にあったことがある」と語った。このことを考察すると，ヤマさんが，自身の過去のGIを一貫していたと捉えつつ，知識獲得ごとに変化する自己定義の変遷を認識していることがわかる。また，自身を女性として自認することと，自身の体を女性として意識することを，別のことと捉えていることがわかる。ユウさんは＜トランスクリプト34＞で，「ブレブレです（笑）」「⼩学校6年⽣ぐらいまでは（…）⼥性に降りかかるジェンダー規範，ジェンダーらしさ」を「嫌がっていた時期もあった」が「中⾼⼀貫校に進学して（…）我慢っていう，バレないように頑張る」時期があったと語った。このことを考察すると，ユウさんが着目した小中学校ごろの時期における「ブレ」，すなわちジェンダー規範やらしさに対する態度の変化に，GIの揺れ動きの一形態を見出す視点が垣間見える。これはGIはさまざまな側⾯の複合的なものという視点と合致する。以上のように，「⼀貫していた」「揺れ動きがあっ名ずつであった。⼀貫してい名の語りからは，「出⽣時の性別でなければいけない」という想いや，知識が蓄積されることで⾃⾝のことがわかってくるなど各々の形で，外の世界と関わりの中で⾃⼰発⾒や抑圧があったことがわかる。揺れ動きがあった2名の語りからは，後々⾃認する⾔葉を知っていても⾃分が何者かがわからない時期や，幼少期からのさまざまな体験や情報との出会いの中で揺れ動く時期，揺れ動きがありながらも社会的性別を我慢する時期などがあり，こちらも外の世界と関わりの中で⾃⼰発⾒や抑圧があったことがわかる。最後に，過去にどの時期にどのような自認をしと，それぞれの自認に至るまでの最大のきっかけを尋ねた2-3の考察を以下に⽰す。カズさんは＜トランスクリプト6＞で，筆者の「（…）⾃分は何者かわからないけど，バイセクシュアルなのかな，なんなんだろうっていうような，状態ですかね」に対して「そうだねー」と語り，その状態が特例法のニュースを⾒る38歳まで続いたと語った。同時に特例法ができていなかったとしても「胸だけは，取りたいなっていうのはあった」と話した。また特例法前に「おなべの友達」がおり，「店で働いてる」「そういう⼦たちからも初めて，ホルモン注射の情報を得たかな」と語った。このことを考察すると，カズさんが，特例法がなかったとしても胸の手術を望んでいたことは，男性として生きるための法的・社会的仕組みの前に手術への欲求があったということと考えられる。このことは特例法およびGIDのガイドラインのできる前の年代に「ホルモン注射の情報」を得ていたことと近いタイミングで語られた。カサさんは，＜トランスクリプト14＞で，⼩学6年⽣で同性愛について調べた際に，GIDに関する情報も出てきた時は「男になりたいわけじゃないしなって」と語った。その後，中学3年⽣の時にSNSでXジェンダーの⽅が「かなり⾊々教えてくれて（…）助けられた」「男性として⽣きていけるよって背中をこう押してくれた」と語った。しかし，16歳前後で，「児童精神科医の先⽣に」「君は違うよ」とGIDではないと言われたことが大きかったと語った。それ以前は「もう男性に移⾏したいなって確実に思って」いたが，以降に関しては，「⾃分の性別を隠すような感じ」だと語った。このことを考察すると，カサさんが12歳前後か歳頃までの4年間で「男になりたいわけじゃない」という気持ちから「男性に移⾏したいなって確実に思っ」た変遷が存在したことは，その間に「名のない性別違和感」を感じる場面やXジェ061

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社会イノベーション研究ンダー当事者とのつながりなどの体験があったことが考えられる。ヤマさんは＜トランスクリプト25＞で，小学生ごろから「周りに変に思われないで⽣きられるかで必死」であり，⾃⾝のGIについて「⼀貫してた」中で，小さな頃から自身の身体に「なんなんだろう，これ」というのが「ずっと，あった」と語った。しかし，「概念を知らなかったから，わかんなかった」ことと，「一時は」「レズビアンなのかな」と思ったという。しかし思春期には「好きな⼦」「と，体の関係の妄想」をするとき「想像上が」「男の体」であり「男として」「好きな⼦と接したい」「っていうのがずっとあった」と語った。このことを考察すると，⾝体が⼥性であることへの疑問を感じながらも「周りに変に思われないで」生きようとすることへのプレッシャーを感じたことは，社会の「身体の性別に即した行動をするべきである」というジェンダー規範を内在化していたとも考えられる。また，自身のSOの対象とどのように接したいかを通じて，自己のGIについて探索するきっかけを持つこともあると考えられる。ユウさんは＜トランスクリプト36＞で，「中学，⾼校ぐらい（…）⼥性をやるんだって決めて振る舞っていく」が「⼥性，ジェンダーで，扱われるのが嫌」だった中で，⼭⼝百恵の⾃叙伝に影響を受け「⼥性性がいいものだって，⾃分の中で思えて，（…）だんだん，修正してって（…）⼤学1年⽣で，⾃分は（…）⼥性なんだと思うみたいなこと⾔ってた」がその後「やっぱ無理」となり，「今はもうわからない（笑）」「考えても無駄。おそらくね，ここに⾔葉がないって思ったんですよね」と，⼥性のジェンダーとの関わりの中で⾃分のGIの揺れ動きを振り返った。このことを考察すると，振る舞いや他者への語り，そして自己理解を通じてGIを観察する視点が見られる。また，書籍で特定のジェンダーへの印象を良いものとして持つことで「修正」を試みる実践があることがわかる。また，言葉では捉えきれないという状態も，GIの一形態として存在することがわかる。また，ユウさんは過去のGIを「FtX→FtM→男性と無性の間→『もはや何かは分からないがトランスはした』」とまとめていたが，この4段階は「ググってた時期」→「Cabinに⾏った時期」→「⾃分の⾔葉で喋り始めた時期」→「ちゃぶ台返しした時期」に対応していた。事前アンケート⽤紙の「FtX→FtM」と記述した部分までは「既存の⾔葉を使ってる状態で」「ググって出てきた⾔葉を使って（…）る時期から，もうそれじゃ語りきれないってなって」「最後全てが崩壊するっていう（笑）」と語った。しかし，「⼀度も男性にいったことはない」と語った。このことを考察すると，男性自認になったことがなくともFtMを自認することがあるとわかり，これはおそらく「男性」と自認することと「FtM」と自認することを区別しているためと考えられる。以上のことから，トランスジェンダー当事者はさまざまな情報や⼈との出会いの中で，さまざまなGIを通じて⾃⾝の現在のGIに⾄ることがあるとわかる。それは自己定義の探索の過程であると⾔える。4.3今のGIに⾄るまでに触れた情報，コミュニティ，⼈とのつながりの経験について以下に，現在のGIに至るまでの過程を，触れた情報，所属したコミュニティ，人との関わりという観点から尋ねたインタビューの質問項⽬3-1の考察を⽰す。カズさんは＜トランスクリプト8＞で，特例法に関して「⼥性と結婚できるみたい。そこでつながったわけだから」「画期的」と語り，またSRSはカズさんにとって⼿段か⽬的かという質問に対して「⼿段」と語った。このことを考察すると，カズさんがSRSを受けたことはあくまで戸籍変更をし，女性と結婚するための手段であり，目的ではなかったと解釈できる。特例法は当時のカズさんにとって「画期的」なものではあったが，同時に，最高裁判所が2023年10月，特例法における要件（生殖腺がないこと062

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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬して又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること）は憲法に違反し無効であると判断したことにより，2025年現在はFtMにおける戸籍変更はSRSを必須としていない。その観点から考えると，特例法は当事者の選択肢を増やしたポジティブなものだという側面もありながらも，いずれ違憲とされてしまう要件を必須にした点において，問題があったと言うべきだろう。カサさんは＜トランスクリプト15＞で，テレビをきっかけに中学2年生に再度調べる以前に，初めて調べた⼩学6年⽣時点ではGIDの情報には「うーん」と感じ，「⼥⼦⽣徒であらねばならない」が「ノンバイナリー寄り」であり「みんなと同じ太い道を歩いていた」，そして「あ同性愛者かなって。まぁよくあるパターン」だったと語った。このことを考察すると，カサさんはのちに現在のGIのうちの1つとなるGIDという言葉には小学生当時はしっくりこなかったことがわかる。続く語りで注目されるべきは，「⼥⼦⽣徒であらねばならない」という規範と，「ノンバイナリー寄り」というGIと，「みんなと同じ太い道を歩いていた」という社会的立ち位置，「同性愛者かなって」というSOが同じ箇所で説明されている点である。これらの要素を通じてカサさんが自らの当時の状態を認識したことがわかる。ヤマさんは＜トランスクリプト27＞で，「⾦⼋先⽣」というドラマ名を挙げながら，「⾒てなかったら，多分ずっとわかんなかったと思う」「性同⼀性障害っていう（…）フレーズで検索した」と語った。また「当事者と，同じ職場になった」「そこから，⾊々情報もらった」と語った。このことを考察すると，ヤマさんにとって「⾦⼋先⽣」は一度逃したら再度得られないような貴重な気づきおよび情報収集のきっかけであったことがわかる。またカウンセリングを始めたのちに，職場で当事者と出会ったことが，その後ヤマさんが望んでいた治療に向けての一つのロールモデルとなったことは想像に難くない。ユウさんは＜トランスクリプト35＞で，「⾦⼋先⽣」で上戸彩演じる鶴本直を見て「すごい似てる」と感じたが，「すごーい悲惨」と感じ「無理って思って」，「スカート履きたくないって⾔ったらいじめられる」と「強烈に，インプットされて」「絶対⾃分は性同⼀性障害じゃない」という思いが「そ年抜けなかった」と語った。このことを考察すると，ユウさんは鶴本直の表象に自身との共通点を見出しつつも，そのあまりに「悲惨」な描かれ方に拒絶感を感じた。そのことにより，いずれ診断を受け，また事前アンケートで過去のGIとしても選択した，GIDとしてのGIを当時は持たなかったことがわかる。以上のことから，トランスジェンダー当事者はさまざまな情報や⼈との出会いの中で，⾃⾝の現在のGIに⾄ることがわかる。また，同じ情報源であってもその表象のされ⽅によっては，⾃らの当事者性に気づく⼈もいれば，違うと感じる⼈もいることがわかった。5．結論本論⽂は「トランスジェンダーのGI」に関して，町田（2022）のいうインター・セクシャリティが，他者との関係性を通じてどのように⾃⼰定義されるのか，という点について検討した。これまでの検討を通じて，そのプロセスは，いつトランスジェンダー・性同一性障害の概念を知り，違和がどこで起き，その後どのような人生を築いたかという点をとっても，トランスジェンダーという一つの括りの中にとても多様な経験が存在することがわかった。また，事前アンケートにおいて一部の協力者に」が複数回答されたことや，「過」が「現在のGI」よりも多く選択される傾向があったことも注目に値する。このことを，インタビューから明らかになった「さまざまなGIを通じて現在のGIに⾄る場合がある」こととあわせて考えると，これまでの一次元的かつ単線的なGI像を塗り替え，より“立体的”で“多元的”なGI像が明らかになる。このことは「GIは⾃⾝の『SRSの事実・意向』『社会的⽣活の事実・意向』『出⽣時に割り当てられた性別』『他者への説明・社会的⽣活における整063

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社会イノベーション研究合性』などさまざまな側⾯の複合的なもの」であるという，本論文のインタビューを通じた考察とも合致する。また，インタビューの分析から，当事者のGIの自己定義プロセスの中では，⽇常の中で状況に応じて⾃⾝のGIを適切に相⼿に提⽰しようとする実践がなされていること，そうした実践を通じて⾃⾝のGIを形作っていることがわかった。同時に，当事者のGIの自己定義プロセスの中ではGIが一貫している場合も揺れ動く場合もあること，「同じ情報源であってもその表象のされ⽅によっては，⾃らの当事者性に気づく⼈も，違うと感じる⼈もいる」こともわかった。当事者がこれら他者から得られた情報，関係するコミュニティの影響，具体的な他者とのつながりを通じて，自己定義を試みることは，当事者が持つ「自らの人生を自らの望むように生きること」という普遍的な欲求の実現の一側面と捉えられる。一度は答えを出しつつも，変わりつつあり，動きつつある。年齢を重ねることでまた変化してゆく。存在する言葉だけでは語りきれないような「考え続ける旅」という実存がそこにある。当事者の語りを収集し分析することで，二項対立やグラデーションのみでは捉えられない「実存」と「プロセス」が一人一人にあることを明らかにすることができる。そのことは，ユウさんが示した「GIのトライアングル」（図1）のように，さらに多様なリアリティを捉える理論的図式や枠組みの構築につながる。改めて，本研究の問題と⽬的をまとめ，結論とその可能性を⽰す。先行研究のとおり，トランスジェンダーのGIの形成に関しては，複数の理論的枠組みがあり，現在に至るまで議論が続いている。本論文では，ト，特に町田（2022）のいうインター・セクシャリティが，他者との関係性を通じてどのように⾃⼰定義されるのか，という点について検討した。結果として，トランスジェンダーのGIが他者との関係性を通じてどのように⾃⼰定義されるかに関する多様な語りの収集や，GIのトライアングルスペクトラムなどの概念の記録を通じて，町⽥（2022）の議論を⼟台としつつ，インター・セクシャリティの自己定義のプロセスについての知見を提供できた。今後の課題として，より多くの当事者の語りを収集すること，また，「⾃⼰定義」概念のさらなる具体化と理論化のための研究が必要となるだろう。「⾃⼰定義」は，外の世界の概念を取り⼊れ，⾃⼰を定義してゆくという実践・⾏為であり，外の世界と⾃⼰との交差点である。トランスジェンダーはこのことを通じて，広い意味での「他者」との関係性の中で，多様な概念（体験・経験・感覚・抑圧・規範・発⾒）を媒介とし，⾃⾝の⼈⽣を形成していけるのだ。6．おわりに本論文において第1著者が個⼈的に抱いていたテーマは，「そこにある実存をなくさないこと」であった。すなわち，トランスジェンダー当事者の語り・考え・存在を消さず，押し込めずに映し出すことがテーマであった。第1著者はトランスジェンダーの当事者であり，トランスジェンダーが，ユニコーンのような架空⽣物ではなく実存しており，その実存が多様であることを⽰すのが，本論文のねらいであった。世にはびこる画⼀的なトランスジェンダー・GID当事者に対するイメージや，男⼥⼆元論を前提としたジェンダー規範の中で，トランスジェンダー当事者のリアルを描出することを試みた。ラベルに括られてしまう個々⼈がどのような考えを持って，社会との折り合いをつけながら⼈⽣を歩んできたのかを，これからも個別具体的に観察していきたい。注1）本論文は，第1著者が社会イノベーション学部に提出した2024年度卒業研究をもとにしている。なお，本論文の内容の一部は，中村（2025）で発表している。引⽤⽂献藤⾼和輝（2024）.『ノット・ライク・ディストランスジェンダーと⾝体の哲学』.以⽂社.064

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トランスジェンダーにおける⾃⼰定義のプロセス：当事者の語りに注⽬して町⽥奈緒⼠（2022）.『トランスジェンダーを⽣きる語り合いから描く体験の「質感」』.ミネルヴァ書房.中村晴文（2025）.「トランスジェンダーにおける『自己定義』のプロセス：当事者の語りに注目して」.日本GI学会第26回研究大会.佐倉智美（2006）.『性同⼀性障害の社会学』.現代書館.⾼井ゆと⾥・周司あきら（2023）.『トランスジェンダー⼊⾨』.集英社新書.⾼井ゆと⾥・周司あきら（2024）.『トランスジェンダーQ＆A素朴な疑問が浮かんだら』.⻘⼸社.065

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社会イノベーション研究第21巻第2号（067-084）2026年3月社会イノベーション学部心理社会学科学生のパーソナリティ2025年11月17日掲載承認社会イノベーション学部心理社会学科学生のパーソナリティ─「社会心理学」受講生の9年分データから探るPersonalityTraitsofStudentsintheDepartmentofPsychologicalandSociologicalStudies,FacultyofSocialInnovation:ExploringDataFromNineYearsof“SocialPsychology”CourseParticipants成城大学名誉教授村田光二MURATAKoji筆者は成城大学社会イノベーション学部に7年間在職し，学部生が1年生の時から履修可能な「社会心理学」という専門科目を担当してきた。この科目の副題は「社会心理学入門」で，大学で初めて心理学，社会心理学を学ぶ学生たちに1年間30回弱の授業を行い，心理学の基礎的な事柄から社会心理学のある程度専門的な事柄まで幅広く講義した。その中では，開講1月後（5月前半）に複数の個人差尺度を含む性格検査（質問紙調査）を毎回実施した。この結果（受講生の一般的傾向）をフィードバックすることによって，シラバスには明示していない「パーソナリティ」領域について紹介するとともに，質問紙を用いた心理学研究の方法と数量データの分析方法についても知識を提供した。着任前の2年間も非常勤講師としてこの科目を担当したので，都合9年間（2016年度～2024年度）分の学生データが蓄積されている。受講生の大部分は1年生であり，政策イノベーション学科の受講生も1割程度いたが，大多数が心理社会学科の学生であった。本研究の目的はこの9年分のデータを用いて，心理社会学科学生のパーソナリティ（性格）の特徴を明らかにすることである。成城大学社会イノベーション学部にはすでに言及した2学科があり，定員はそれぞれ120名であった。このうち心理社会学科の学生は，「イノベーション」という言葉に惹かれて志望する場合もあるが，多くの学生は「心理学」または「社会学」という専攻を志して受験してくると考えられる。心理学専攻を目指す学生たちは，首都圏の他の私立大学の心理学専攻の学部・学科も併せて受験した上で，最終的に社会イノベーション学部の心理社会学科に入学してくることが多い。これら学生は，心理学を志望する多くの学生と共通した性格特性を持ち合わせている可能性があるだろう。もちろん，個々人のパーソナリティは多様であり，どいうった特性であったとしても集団内では幅広く分散していると考えられる。それでも広い意味での心理学専攻志望者の学生に共通する性格の特徴について把握することは，それら学生を理解し，授業やゼミ，卒論指導などで接するときに役立つ可能性がある。本研究では現代のパーソナリティ心理学で主流となっている特性論の観点から，5因子（特性）性格検査を用いて心理社会学科学生の特徴を明らかにしたい。冒頭で述べた性格検査の中で，常時取り上げた尺度の1つが「日本語版TenItemPersonalityInventory（TIPI-J）」（小塩・阿部・ピノ,2012）である（以後「10項目5特性検査」と略する）。現代の心理学ではパーソナリティの類型を考えるのではなく，パーソナリティを測定する次元を複067

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社会イノベーション研究数考え，その次元の組み合わせで人の性格を表現し，理解しようとする（小塩,2022等を参照）。例えば，人には内向的な人と外向的な人がいるが，「内向型」「外向型」と区分したカテゴリーに人を分類するのではなく，極端に内向から極端に外向までの直線（次元）を考え，そこに幅広く人が分布していて，ある人がどの位置にいるのか（その人の内向－外向性がどの程度なのか）と考えるのである。そういった次元として，外向性，協調性，勤勉性，神経症傾向，開放性の5特性を想定するのが5因子性格理論であり，これら5因子はしばしば「ビッグファイブ」と呼ばれている（谷・阿部・小塩,2023等を参照）。5因子（特性）の内容を筆者なりに簡潔に説明すると，外向性（extraversion）は外部のポジティブ刺激へ反応する程度を示し，活動性や社交性が高い傾向である。神経症傾向（neuroticism）は脅威となる刺激へ敏感に反応する程度を示し，不安や恐怖と行ったネガティブ情動が高まる傾向である。協調性（agreeableness）は周囲の他者と友好的である程度を示し，他者との競争や対立，他者への自己主張や攻撃を避ける傾向である。勤勉性（conscientiousness）は仕事や課題を着実に遂行する程度を示し，衝動を抑制して規則や秩序を守る傾向である。開放性（openness）は新奇な経験を受け入れる程度を示し，さまざまな物事に興味，関心をもち，新しいアイデアを産出する傾向である。この5因子（特性）の程度（個人差）を測定するために性格検査が開発されているが，検査の信頼性を確保するために，各特性を測定する項目数は一般に2桁以上であり，全体として数十項目になることが多かった。これに対して，各特性2項目ずつ，計10項目で測定可能なように作成されたのが10項目5特性検査である。この検査は簡便な短縮版でありながら一定の信頼性を備えているので，多くの心理学研究の中で使用されている。筆者も前任校の一橋大学や非常勤先の大学で担当した多くの授業で用いてきた。では，心理社会学科の学生はこの5つの性格特性の次元上で，どんな特徴を持つのだろうか？筆者は社会イノベーション学部在職中に学部内での研究会で「社イノ学生のパーソナリティを探る」と題し，「社会心理学」受講生の10項目5特性検査の結果について報告を行った（村田,2023）。そこでは，尺度の中立点と比較して，「協調性がやや高い」「神経症傾向がやや高い」「勤勉性がやや低い」という結果を報告した。しかし，この尺度で測定された日本人の協調性得点は一般に高い値となりやすく，神経症傾向は若い世代の女性で一般に高得点であり，勤勉性は若い世代で逆に低得点である（川本・小塩・阿部・坪田・平島・伊藤・谷,2015）。したがって，報告した結果は社会イノベーション学部学生だけに特徴的だとは言えないものであった。また，2016年度から2022年度までの単年度の記述統計値は示したが，複数年度をまとめた分析などができず，対象学生の特徴を十分描くこともできなかった。そこで，政策イノベーション学科の学生や2年生以上の学生を除き，多数派である心理社会学科新入生のデータだけを9年度分まとめて1つのデータセットにすることを考えた。それでも千人近い人数を確保でき，広い意味での「心理学専攻志望者」というある程度同質な学生を分析対象にすることができるだろう。心理社会学科では入学時に専攻の区分がなく，心理学を専攻する可能性をどの学生も持っていたからである。その上で，10項目5特性検査のデータを元に，いくつかのタイプ（クラスター）の学生を抽出することを考えた。学生は個々人性格が違い，多様である。けれども，ゼミなどで学生と緊密に接する経験を重ねる中で，特徴的な学生のいくつかのタイプがありそうなことを実感してきた。ある種の共通した特徴を持った人たちがいくつかのまとまり（タイプ）を構成していて，そのタイプを示すことによって心理社会学科学生のパーソナリティの特徴を明らかにできるかもしれない。「タイプ」と表現すると，最初に否定した類型論に逆戻りするのか，とお叱りを受けるかもしれない。しかし，いくつかの特性の組み合わせによって典型的な人々（プロトタイプ）を抽出して，プロトタイプに近い人々のまとまりを示すことによっ068

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社会イノベーション学部心理社会学科学生のパーソナリティて，心理社会学科学生のパーソナリティの特徴を理解するアプローチもありうるだろう。こういったアプローチにかなうものとして，パーソナリティ・プロトタイプの研究がある。小塩（2010）の紹介では「Q因子分析やクラスター分析といった統計手法を用いて人間をごく大まかに分類すると，3種類に分かれるということです。その3種類とは，resilient（精神的に健康で問題が少ない人々），overcontrolled（統制過剰型；過度に自分自身を統制する，内面に問題を抱えがちな人々），undercontrolled（統制不全型；自分自身への統制の少ない，行動上の問題を抱えがちな人々），というものです」と説明されている。そこで引用されているAsendorpf,Borkenau,Ostendorf,&VanAken（2001）の研究では，ドイツの青年期サンプル，幼児サンプル（回答者は親）においても，5因子性格検査（ドイツ語版NEO-FFI）の結果を分析すると，これら3タイプが抽出されたとのことである。これら3タイプは，レジリエント型は神経症傾向が平均値と比べて低くその他の特性が高い者，統制過剰型は神経症傾向が高くその他の特性が低い者，統制不全型は勤勉性と協調性が低くその他の特性が高い者であった。日本においても嘉瀬・上野・梶内・島本（2018）がAsendorph,etal,（2001）を参考にして，10項目5特性検査を用いたパーソナリティ・プロトタイプ研究を実施している。この研究でも，レジリエント型，統制過剰型，統制不全型の3タイプが抽出された。しかし，識別不能型という外向性が低く（内向的であり），協調性がやや高いクラスターも認められた。これら4つのクラスターが認められたのは，嘉瀬・上野・大石（2017）でも同様であった。パーソナリティ・プロトタイプ研究のアプローチは大いに参考になるが，得られているプロトタイプの内容は私たちの常識的見方とは隔たりがある。人間にはレジリエント型，統制過剰型，統制不全型という3タイプしかいないのだろうか？これらタイプ分けは，ストレス場面への反応に関する人間のタイプ分けとしては意味を持つかもしれない。また，青年期の自我発達や精神的健康を考える上では有用な知見であるだろう。けれども，幅広い人々を理解する枠組みとして適切かどうかには疑問が残る。本研究では心理学専攻志望者という特定の片寄りを持った参加者を用いるので，人間一般や学生一般に当てはまるプロトタイプを見いだせるとは考えていないが，少なくとも対象集団に即したプロトタイプを見いだす可能性があるだろう。本研究で対象とする心理学専攻志望者を考えると，心に興味関心があるという特徴が思い浮かぶ。他人の心にも興味があると思うが，唯一内観できる自分の心に関心が強い人が多いかもしれない。これらの人たちは自分の内面に注意が向きがちで，外向的ではないという特徴を持ちやすいのではないか。他の特性についての予測は難しいが，内向性を中核としたプロトタイプを持つ人たちの存在を想定できる。実際，先に紹介した嘉瀬他（2018）の研究で見いだされた「識別不能型」とされているクラスターは，外向性が低い（内向的である）という特徴を持った人たちではなかっただろうか。そこで本研究の最初の仮説として「内向性を中核とした特徴をもつパーソナリティ・プロトタイプ（今後「内向タイプ」と呼ぶ）が見いだせるだろう」を設定した。加えて，自分の心の変動，変わりやすさ，不安定さに気づく人も多いのではないだろうか。この人たちは周囲の変化，特にネガティブな出来事に対して敏感に反応しやすく，神経症傾向が高い可能性が考えられる。これまでのパーソナリティ・プロトタイプ研究で見いだされてきた「統制過剰型」と呼ばれた人たちも，神経症傾向が高得点であったことが特徴の1つだった。そこで第2の仮説として「神経症傾向を中核とした特徴を持つパーソナリティ・プロトタイプが認められるだろう」を設定した。なお「神経症」という用語法は何らかの病気や症状をイメージさせるので，本研究ではこのプロトタイプを「神経質タイプ」と呼びたい。さらに，従来レジリエント型と呼ばれた，ストレスからの回復力（レジリエンス）を持つ人たちの存在も想定される。この人たちは神経症傾向が069

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社会イノベーション研究低いことを除いて，他の4つの特性が高得点であるが，神経症傾向の低さを情緒安定性の高さと読み替えてみれば，5特性すべてで「社会的に望ましい傾向」を持つ人たちだと考えられる。もちろん性格に良い悪いはないが，各特性の高低が生み出す社会的帰結には一定の傾向があり，現代社会の中で多くの人が望ましいと捉えている特性の高低があるだろう（平野,2021;野崎,2024等参照）。それが，外向性，開放性，協調性，勤勉性が高く，神経症傾向が低い組み合わせの性格である。あくまでもカッコ付きの「健全」ではあるが，この研究ではこういった傾向を持つ人たちを「健全タイプ」と呼び，仮説3として「健全さを示す特徴を併せ持ったパーソナリティ・プロトタイプが認められるだろう」を検証したい。以上のように本研究では，内向タイプ，神経質タイプ，健全タイプの少なくとも3つのタイプの学生が見いだされると予測して，見いだされたそれぞれのタイプの学生の特徴を検討することを通じて，心理学専攻志望学生の特徴を明らかにしたい。冒頭で述べた性格検査の中には自尊心尺度（山本・松井・山成,1982）も毎回含めた。他の尺度はときどき入れ替えたが，知能観尺度（及川,2005），グリット尺度（竹橋・樋口・尾崎・渡辺・豊沢,2019），共感性を多次元的に測定する対人反応性指標（日道・小山内・後藤・藤田・河村・野村,2017）.については9年度中6年度以上で含めていた。本研究では，見いだされたパーソナリティ・プロトタイプの特徴を調べるために，これら尺度で測定される個人差得点も併せて分析の対象にした。例えば，社会的に望ましいと考えられる健全タイプでは，他のタイプよりも自尊心が高いだろうと予測可能である。すべての関連を事前に予測することは難しいが，内向タイプの人たちにも，神経質タイプの人たちにも，それぞれの特徴や独自性を示すような関連があり得ると予測している。方法参加者成城大学社会イノベーション学部専門科目A「社会心理学」受講生のうち，4月の開講約1ヶ月後に実施された質問紙調査（性格検査）に回答した心理社会学科1年生の受講生合計931人（女671人，男260人）を参加者とした。各年度の参加者数を男女別に表1に示した。これ以外に，政策イノベーション学科学生で調査に参加した受講生が合計291名いた。また，心理社会学科の2年生以上で調査に参加した者が61名いた。これを合算すると調査に参加した受講生が1260名いて，そのうち329名を対象外として除外したことになった。手続き：授業の評価項目の1つとして参加点（実験や調査への参加・回答，授業への感想やコメントの提出など；前期・後期各20点を配点）を設定して，その1つとしてこの性格検査を実施すること，回答は匿名で扱われ，数値化されて平均値や分布の形で結果が示されることが最初に説明された。その上で，2016年度から2019年度までの4年間は5月の連休開けの授業の最後の時間に，教室で配布された質問紙に一斉に回答する形式で実施された。調査用紙の最後の部分に参加票がついており，そこに氏名と学籍番号を回答して切り取り，調査用紙とは別にして提出してもらい，匿名のデータとは別に参加を確認できるようにした。また，2020年度以降の5年間は，コロナ禍に表1年度，男女別の参加者人数年度201620172018201920202021202220232024計女547973677380698492671男262726233337292534260計80106999010611798109126931070

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社会イノベーション学部心理社会学科学生のパーソナリティ対処するため利用を始めたオンラインシステムの中にこの調査のサイトを作り，5月上旬の自分の都合のよい時間に各自がそのサイトで選択肢を入力する形式で調査が実施された。実施期間の前の授業およびオンラインシステム上で調査があることを説明して，受講生に周知徹底をした。調査への参加の有無はシステムを通じて確認した。いずれの実施方法においても，この性格検査の結果の一部（10項目5特性検査および自尊心尺度）については後期の授業中に具体的結果を示して受講生に説明した。検査項目：検査項目の内容と順序は年度によって異なるが，10項目5特性検査（7件法）と自尊心尺度（5件法）は毎年度含めた。これに加えて，課題達成領域の個人差として知能観尺度とグリット尺度を9年度中6年度の検査で含めた。知能観とは知能を固定的と捉えるか，増大する性質を持つと捉えるかに関わる考え方のことである。これを，成長―固定の一次元上で測定する6項目（例えば「私の中で才能はほとんど変えることのできないものだと思う」「誰であろうとも自分の才能を大きく変えられる」）からなる日本語版尺度（及川,2005）を利用した。この知能観は学習場面の動機づけや課題達成に影響することが示されている。なお，提唱者のキャロル・ドゥエックは教科学習場面以外にも拡張して「成長・固定マインドセット」という概念を用いている（Dweck,2012参照）。グリットとは課題達成場面で集中して粘り強く取り組む傾向を示す心的特性のことである。提唱者のアンジェラ・ダックワースが「興味の一貫性」と「努力の粘り強さ」という2つの下位次元を設定して，全体として12項目の尺度を作成した（Duckworth,Peterson,Matthews,&Kelly,2007;Duckworth,2016も参照）。この日本語版（竹橋他,2019）を利用した。対人関係領域の個人差を測定する尺度として多くの年度で対人反応性指標の日本語版（日道他,2019）を測定した。この指標は従来「共感性尺度」として翻訳され用いられていたもので（例；明田,1999），4つの下位次元から構成されていた。本研究ではこのうち「個人的苦痛」を除く3つの次元（視点取得，共感的配慮，想像性）の各7項目ずつ合計21項目を測定して，各次元別に指標化した。なお，10項目5特性検査以外の個人差尺度はすべて5件法であった。以上以外にも，（促進・予防）制御焦点尺度，公正世界信念尺度，一般的信頼感尺度，所属欲求尺度，セルフコンパッション尺度，姓名選好尺度，人生満足感尺度，K6（6項目心理的苦痛診断）尺度，孤独感尺度を年度によっては測定した。これらの結果は本論文では割愛した。結果と考察10項目5特性検査の基礎的結果10項目5特性検査の特性別の平均値と不偏標準偏差（SD）を表2に示した。また，表2には男女別の平均値と標準偏差，男女間の差の検定結果も併せて示した。男女全体の平均値はいずれも，これまでに500人以上の大学生を対象に実施され表25特性得点の平均値，標準偏差と男女差計（n=931）女（n=671）男（n=260）男女差（df=929）MSDMSDMSDtpd外向性7.893.008.033.007.532.992.30.0210.168開放性7.812.687.722.648.072.761.81.0710.132神経症傾向9.092.629.222.538.742.822.54.0110.185協調性10.162.1410.252.109.912.232.17.0350.158勤勉性6.242.536.372.585.902.392.52.0090.184071

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社会イノベーション研究た研究（嘉瀬他,2018;小塩他,2012;山崎・松田,2024）で得られた平均値の最大値～最小値の範囲内であった。なお今後の図表では，仮説1に関わる「外向性」を最初に，それと相関を持つことが知られている「開放性」を2番目に，仮説2に関わる「神経症傾向」を3番目に，そして4番目に「協調性」，最後に「勤勉性」という順に示した。男女間の差を検討すると，開放性を除く4特性で女性の方が男性よりも得点が高いという有意差が認められた。開放性ではむしろ男性の方が女性よりも得点が高い傾向が示された。これら男女間の差も，過去の研究と同じ傾向を示すことが多かった。しかしその差は2項目合計の尺度値（範囲;2～14）で0.5未満であり，いずれも大きな差とは言えないだろう。5特性得点間の相関係数を表3に示した。参加者数が多いので小さな値でも有意となったが，外表35特性得点間の相関係数＊1開放性神経症協調性勤勉性外向性.29＊＊−.11＊＊.01.15＊＊開放性−.07＊.04.00神経症傾向−.15＊＊−.13＊＊協調性＊1相関係数の有意確率は以下の通り＊p＜.05＊＊p＜.01＊＊＊p＜.001他の図表でも同じ.09＊向性と協調性，協調性と開放性，開放性と勤勉性との間には有意な相関が認められなかった。他方，神経症傾向は他の4つの特性すべてと負の有意な相関が認められた。自尊心尺度等の基礎的結果他に用いた個人差尺度の記述統計量と尺度間の相関係数を表4にまとめて示した。このうち自尊心得点には男女差があり，女性の方が男性よりも少し平均値が低かった（M=29.7vs31.3;（t918）=2.20p＜.05d=0.16）。共感性の3つの指標では女性の方が男性よりも平均値が高く，想像性（M=3.40vs3.27;（t719）=2.58p＜.05d=0.22）と共感的関心（M=3.45vs3.34;t（719）=2.62p＜.01d=0.22）では有意差が認められた。他の尺度では男女間で平均値に有意差が認められなかった。参考のため，10項目5特性検査とこれら個人差尺度との相関係数を求めて表5に示した。自尊心のように5特性すべてと相関を示した尺度もあったが，特定の特性だけと相関を持つ尺度も認められた。5因子（特性）性格検査得点のクラスター分析5因子性格検査得点を基に，統計分析ソフトHAD（清水,2016）を利用してward法による階層的クラスター分析を実施した。最初に仮説に沿って3つのクラスターを指定して分析したが，表4自尊心等の個人差の記述統計量と相関係数n範囲M＊1SD知能興味努力視点共感想像＊2自尊心93110～5029.07.93.18＊＊＊.05.20＊＊＊.10＊＊.02−.01増大的知能観6091～63.140.85―−.13＊.03.15＊.05.06グリット興味の一貫性5911～52.470.74―.31＊＊＊.00−.03−.20＊＊＊努力の粘り強さ5901～53.120.78―.30＊＊＊.21＊＊＊.02視点取得7311～53.220.64―.32＊＊＊.13＊＊共感性共感的関心7291～53.420.49―.26＊＊＊想像性7291～53.360.59―＊1原則として1項目あたりの平均値を示した。＊2慣例に従って合計点の平均値を示した。072

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社会イノベーション学部心理社会学科学生のパーソナリティ表55特性と他の個人差との相関係数自尊心増大的知能観努力の粘り強さ興味の一貫性視点取得共感的関心想像性外向性.39＊＊.11＊＊.24＊＊.00.09＊.14＊＊.09＊開放性.33＊＊.16＊＊.11＊−.16＊＊.15＊＊.08＊.17＊＊神経症傾向−.40＊＊−.05−.09＊−.09＊−.07＊.21＊＊.25＊＊協調性.22＊＊.00.18＊＊.05.36＊＊.37＊＊.05勤勉性.21＊＊.07.34＊＊.23＊＊.14＊＊.06−.07過去のプロトタイプ研究で必ず認められてきたレジリエンス型（本研究では健全タイプ）を示すクラスターが現れなかった。そこでデンドグラムを参照しながら，4クラスターを指定して2回目の分析を実施した。その結果，4つのクラスターが認められ，5特性得点を標準化してクラスター毎に示すと図1の通りとなった。図1の左端の5本組みグラフが示す第1クラスター（n=362;38.9%）は，外向性得点が低く（内向性が強く），開放性と勤勉性も低い傾向にあり，他の2特性は平均に近い値を示した。このクラスターは強い内向性を特徴する人たちを現しており，仮説1で予想した内向性を中核とする「内向タイプ」であると考えられる。第2クラスター（n=238;25.6%）は，図1の左から2番目の5本組のグラフで示されるように，外向性，開放性，勤勉性の得点が高く，神経症傾向が低いことを特徴としていた。これは仮説3で予測した，「健全タイプ」を示していると考えられる。従来の結果と異なり協調性得点がほぼ平均値に近いが，表2で示したように協調性得点の平均値は全体としてかなり高く（10.16），このクラスターの平均値（10.36）は尺度の中立点（8;どの項目も「どちらとも言えない」と回答したときの得点）と比べて決して低い値ではないと考えられる。このようにいずれの特性でも社会的に望ましい方向にある人たちと考えられる。3番目のクラスター（n=206;22.1%）は図1の右から2番目の5本組のグラフであるが，外向性，開放性，そして神経症傾向が高く，逆に協調性と勤勉性が低いことを特徴としている。他の3つのクラスターと異なり唯一神経症傾向が高い点から仮説2で予測した「神経質タイプ」の可能性があると考えられる。しかし，協調性の低さも際立っ図1クラスター分析の結果：クラスター別の5特性標準化得点��.��.��.��.��−�.�−�.�−�.�−�.�−�外向性開放性神経症傾向協調性勤勉性第�クラスター第�クラスター第�クラスター第�クラスター073

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社会イノベーション研究ており，標準化得点の平均値の分析だけからは仮説2が支持されたとは言えないだろう。この点は第3クラスターの他の特徴も分析に含めながら後に検討したい。最後に4つめのクラスター（n=125;13.4%）は勤勉性の高さと開放性の低さが際立っていた。また，協調性も他のクラスターと比較すると最も高かった。もし，経験への開放性の低さが着実に同じ活動（ルーティーン）を繰り返すことを示し，協調性の高さが他の人への誠実さを示していると考えれば，全体として勤勉性の高さを中核とするタイプではないかと思われる。しかし，後に検討するように勤勉性だけが中核だとは言えない特徴を持っていたので，特定の名称は付与せず，「その他タイプ」と呼ぶことにした。なお，各タイプ（クラスター）の男女別人数は表6の通りだった。全体の男性比率（27.9%）と比べて，内向タイプでは男性比率（32.6%）が高かった。他方，全体の女性比率（72.1%）と比べて，最後のその他タイプでは女性比率（84.8%）が高かった。健全タイプと神経質タイプでは，男女の比率は全体の男女比率とほとんど変わらなかった。表2で示したように5特性の平均値には男女差があったが，タイプ分けをした後にタイプごと表6タイプ別，男女別の人数内向健全神経質その他計女244166155106671男118725119260計362238206125931に5特性の平均値の男女差を検討すると，ほぼすべての場合に男女間の有意差は認められなかった。唯一，その他タイプの勤勉性においてのみ女性の方が男性よりも勤勉性が高いという差が認められた（M=8.78vs7.00;（t88）=2.51p＜.02d=0.77）。このように一部にはタイプ内に男女差が認められたが，タイプ内の男女差が結果に影響を及ぼすことがなかったので，今後の分析では原則として男女を込みにして扱った。また，年次別の各タイプの人数は表7の通りだった。年度によって4タイプの出現頻度（比率）にいくらか違いがあって，表全体の比率の差の検定を行うと有意となった（χ2（24）=46.4p＜.01）。しかし，例えば「コロナ禍後の2020年度以降の年次で神経質タイプが増えた」といった一貫した傾向は認められなかった。そこで，年次の要因も原則として込みにして今後の分析を行った。タイプ別の5特性得点の平均値次のセクションから，見いだされた各クラスターの特徴を5因子（特性）の高低をもとに説明していくが，最初に5特性の素点（標準化する前の2項目の合算値）の平均値をタイプ別に棒グラフで示した。各図の縦軸が得点（範囲；2～14。中立点が8）を示し，横軸には4タイプ別に棒を並べ，上部には平均値を示した。またエラーバーは，これら5つの図では（不偏）標準偏差（SD）を示した。統計ソフトHADを用いて特性ごとに1要因4水準の分散分析を実施した。その結果，5特性すべてにおいて以下のように群間（タイプ間）に有表7年次別，タイプ別の人数年次（20+）161718192021222324合計内向タイプ3138323037384651△59362健全タイプ14△3633242933▼152133238神経質タイプ△272519242323172325206その他8▼7151217△23△2014▼9125合計80106999010611798109126931※△は有意に多い，▼は有意に少ない。p＜.05074

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社会イノベーション学部心理社会学科学生のパーソナリティ図2外向性のタイプ別平均値図5協調性のタイプ別平均値��.����.����.����.���.���.���.����.����.����.����.���.����.���.���.���.���.���.���.���.���.��内向健全神経質その他�.��内向健全神経質その他※エラーバーは標準偏差（SD）※エラーバーは標準偏差（SD）図3開放性のタイプ別平均値図6勤勉性のタイプ別平均値��.����.����.����.����.���.���.���.���.����.���.���.���.���.���.���.���.���.���.���.���.��内向健全神経質その他�.��内向健全神経質その他※エラーバーは標準偏差（SD）※エラーバーは標準偏差（SD）図4神経症傾向のタイプ別平均値��.����.����.����.���.���.���.���.���.���.���.��内向健全神経質その他※エラーバーは標準偏差（SD）意差が認められた。外向性（F3,916）=305.56p＜.001η2=.500開放性（F3,927）=147.70p＜.001η2=.323神経症傾向（F3,927）=77.73p＜.001η2=.201協調性（F3,927）=54.79p＜.001η2=.151勤勉性（F3,927）=100.49p＜.001η2=.245タイプ間の個別の平均値の差についてはHolm法を用いて多重比較をしたが，その結果については各タイプの説明の中で必要に応じて報告した。他の個人差尺度については，自尊心の結果は後に同様の図7で示したが，それ以外については表8に各タイプの平均値をまとめて示した。これについても各タイプの説明の中で，必要に応じて結果を説明した。075

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社会イノベーション研究表8個人差尺度得点のタイプ別平均値内向健全神経質その他増大的知能観3.083.343.123.02グリット努力の粘り強さ2.943.273.103.38興味の一貫性2.532.442.382.76視点取得3.203.343.083.33共感性共感的関心3.403.383.433.55想像性3.313.353.503.37内向タイプ（第1クラスター）の特徴図2に示されたように外向性（－内向性）得点の平均値は，他のタイプの外向性得点の平均値と比べて，内向タイプ（第1クラスター）の平均値（5.25）が際立って低かった。タイプ間の平均値の差を多重比較すると，内向タイプと他の3つのタイプとの間にいずれも高度に有意な差が認められた（ps＜.001）。また，開放性の平均値（6.80）も低めであり（図3），勤勉性の平均値（5.27）もかなり低かった（図6）。第1クラスターが内向性（外向性の低さ）を中核としているとしたら，内向性が低い人がこのクラスターに集まり，得点の分散が小さくなると考えられる。実際，外向性の不偏分散（3.58）は他の4特性の得点の不偏分散（3.80～6.67）よりも小さかった。ただし，全員での分散にそもそも違いがあるので，全員の不偏分散（表2の「計」の欄のSDの二乗）を分母に，このクラスターの不偏分散を分子にして比をとると，不偏分散比は外向性で0.40であり，他の4つの特性の不偏分散比（0.83～0.97）よりもかなり小さな値となった。もちろん平均値（5.25）が尺度の端（2）に近いという一種の床効果がこの値を引き下げている側面もあるが，勤勉性の平均値（5.27）も同様に低い値であったが，この不偏分散比は0.84と倍以上の値であった。このように，内向タイプの人たちは，他の4つの特性では得点が幅広く分布していたのに対して，内向性では狭い範囲に集中していたと考えられる。内向的な人は自分に注意を向けやすく，現実自己の（理想自己と比べて）ネガティブな側面を意識しやすい。その点から自己評価が下がる可能性がある。他方外向的な人は，自ら他者と交流することを通じて，満足感や幸福感を得やすいし，自己効力感も高まりやすいだろう。その結果，外向性が高い人ほど自尊心が高いと予測できる。実際，自尊心得点の平均値を4タイプ別に示すと図7の通りで，タイプ間に有意差が認められた（F（3,916）=47.13p＜.001η2=.134）。そして，内向タイプの平均値が最も低く（26.2），Holm法による多重比較の結果，他の3タイプとの差がすべて統計的に有意であった（ps＜.01）。このように，外向性が低いとともに，自尊心も低いという特徴があった。それでも忘れてならない点が，内向タイプの学生がもっとも人数が多く，心理学専攻志望者の中��������������図7自尊心のタイプ別平均値��.���.�自尊心※��.���.�内向健全神経質その他エラーバーは標準誤差076

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社会イノベーション学部心理社会学科学生のパーソナリティで多数派（38.9%）だったことである。外向性が高く評価される現代社会の中でも，その意味でマイノリティであるにも拘わらず，自らを内向的と認識している人が多人数いた。また，内向タイプの協調性の平均値（10.50）は図5にあるように全体の平均値（10.16）よりも高く，有意差はないが健全タイプ（10.36）と比べても高い値だった。嘉瀬他の研究（2018）ではこういったプロトタイプは発見されていないが，識別不能とされた人たちは「外向性が低く，協調性が高いクラスター」と報告されていて，この内向タイプと近い可能性があっただろう。健全タイプ（第2クラスター）の特徴従来レジリエント型と呼ばれてきたプロトタイプを，本研究では健全タイプと言い替えて分析を進めている。健全タイプの平均値は外向性（9.83）と開放性（9.70）では他のタイプと比べても最も高く，神経症傾向（7.33）が最も低かった。また，勤勉性の平均値（7.31）はその他タイプの次に高く，協調性の平均値（10.36）も尺度の中立点（8）と比べると十分高かった。図7に示したように自尊心の平均値も最も高かった（33.5）。このように，現代社会で望ましいと考えられている性格特性を備えていた。内向タイプと同様に5特性得点の不偏分散比を調べると，外向性（0.48）と開放性（0.52）の値が小さく，残りの3特性の値が比較的大きかった（0.70～0.90）。この点から健全タイプの代表的特性を推測すると，外向性と開放性（のそれぞれの高さ）がそれに当たると考えられる。しかし，内向タイプと比べると特性間の不偏分散比の差異は小さく，他の特性も含めた全体でこのクラスターの特徴を捉えた方がよいと思われる。他の個人差を調べてみると増大的知能観（成長マインドセット）得点の平均値（3.34）が，表8の最初の行に示したように他のタイプよりも高かった。タイプ間の差は有意であり（（F3,605）=3.80p＜.05η2=.018），健全タイプと他の3つのタイプの間の差も，Holm法による多重比較でそれぞれ有意差が認められた（ps＜.05）。健全タイプの人たちは努力することによって自分の能力を成長できると考えやすかったのである。この点でも前向きで健全な人たちであった。神経質タイプ（第3クラスター）の特徴図4に神経症傾向得点のタイプ別平均値を示したように，3本目の棒グラフが最も高得点であることからこれを「神経質タイプ」と呼ぶことにした。他方，図3にあるように開放性の平均値も高かったがこれは健全タイプほどではなかった。また，図6にあるように勤勉性の平均値が低かったが，これは内向タイプと同程度の低さであった。さらに図5にあるように協調性の平均値が最も低かった。しかし，協調性得点の平均値は全体としてかなり高く（10.16），神経質タイプの平均値（8.67）も尺度の中立点（8）よりも高い値であった。相対的に低かった理由は不明であるが，協調性が低いことがこのクラスターの中核的特徴だとは考えにくいだろう。神経質タイプの5特性得点の分散についてもこれまでと同じ計算方法で不偏分散比を調べてみると，他の4特性（0.65～1.15）と比べて神経症傾向の値（0.50）が最も小さかった。他方，協調性の不偏分散比は最も大きかった（1.15）。神経質タイプには神経症傾向が高い人たちが多く集まっていたと推測できる。他の個人差を調べてみると，共感性（対人反応性指標）のうち想像性（fantasy）についての結果に神経質タイプの特徴が現れていた。この指標では「小説に登場する人物の気持ちに深く入り込んでしまう」といった質問を用いて，架空場面で他者の気持ちをどの程度想像するかを測定している。この平均値（表8の一番下の行）にはタイプ間に有意差が認められ（（F3,720）=3.58p＜.05η2=.015），神経質タイプの平均値が最も高かった（3.50）。わずかの違いであるが，内向タイプ（3.31）と健全タイプ（3.35）との差は多重比較でそれぞれ有意だった（ps＜.05）。また共感性の認知的側面を調べる視点取得の平均値は低かったが（3.08），情緒的側面を調べる共感的関心の平番目であった077

## Page 082
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社会イノベーション研究（3.43）。このように，情緒的側面では他者に反応しやすく，他者の感情に関心を持ちやすかったと考えられるだろう。先行研究でも神経症傾向が高いクラスターが発見されていて「過剰統制型」と呼ばれていた（嘉瀬他,2017;2018）。しかし，残りの4特性の得点が平均よりも低く，レジリエント型のちょうど反対の傾向を過剰統制型は示していた。本研究の神経質タイプは外向性と開放性が高い点がそれとは異なっていた。協調性は確かに相対的に低かったが，それを補うかのようにある種の共感性（想像性，共感的関心）を備えていたことが示唆される。以上の検討から，仮説2「神経症傾向を中核とした特徴を持つパーソナリティ・プロトタイプが認められるだろう」が支持されたと考えている。その他タイプ（第4クラスター）の特徴パーソナリティの5特性と年齢の関係を調べた研究では，若い世代の勤勉性の得点が低いことを示していた（川本他,2015）。10項目5特性検査を開発したときのデータでも，大学生約900名の勤勉性の平均値は6.14で，5特性の中で最も小さい値だった（小塩他,2012）。本研究でも全体の平均値は6.60であったが，その他タイプの人たちの平均値は8.54と2ポイント近く高く，中立点を越えたのはこのタイプの平均値だけであった。勤勉性と近い概念であると言われるグリット（やり抜く力）を検討してみると，努力の粘り強さの平均値ではタイプ間に有意差があり（（F3,394）=6.16p＜.001η2=.045），健全タイプを押さえて，その他タイプが最も高得点であった（3.38;表8の2行目）。興味の一貫性の点でもタイプ間に有意差があり（（F3,394）=3.27p＜.05η2=.024），同様にその他タイプが最も高得点であった（2.76;表8の3行目）。その他タイプの人たちはコツコツ努力を積み重ね，課題を達成する力を持つのかもしれない。他方で，増大的知能観尺度の平均値（3.02;表8の1行目）は内向タイプとともに低得点（「知能は変わらない」という方向）であった。努力を積み重ねることが得意でも，それによって自分が成長するといった考えを持たないのだろうか。いずれにしろ，ここまでのその他タイプの結果は，勤勉性がこのクラスターの中核的特徴という考え方に一致するだろう。しかしながら，図3に示したように開放性の平均値（5.42）が最も低く，図5にあるように協調性の平均値（11.21）が最も高かった。5特性の不偏分散比を検討してみても，最も値が小さかったのは開放性（0.31）で，次が協調性（0.35），3番目が外向性（0.56）で，勤勉性は4番目（0.80）であった。こういった結果を考慮すると，「勤勉性が中核の特性である」と結論づけることは困難である。協調性が高いこと，あるいは開放性が低いことも，その他タイプを特徴づけている可能性がある。その他タイプの人たちは，興味深いことに，共感性のうち視点取得と共感的関心で高得点を示した。表8の4行目に視点取得のタイプ別平均値を示したが，タイプ間の差は有意であった（（F3,717）=6.34p＜.001η2=.026）。平均値が一番高かったのは健全タイプであるが（3.34），その他タイプもそれに近い値だった（3.33）。視点取得は共感の一要素であるが，実質は認知的作業であり，かなりのハードワークである。健全タイプやその他タイプの人の方がその作業をする傾向が高いのだろう。表8の5行目に示した共感的関心の平均値にもタイプ間で有意差が認められ（（F3,717）=2.76p＜.05η2=.011），その他タイプが一番高得点であった（3.55）。共感的関心は共感性の核心部分であり，他者の苦境に配慮するという感情的反応である。これは勤勉性とは一般に相関を持たず，協調性と正に相関しやすいことが知られている（表5参照）。この点から，その他タイプの特徴として勤勉性の高さだけでなく，協調性の高さも取り上げることが必須だと考えるのが妥当だろう。では，その他タイプをどう捉えたらよいのだろうか？1つの考え方は「このクラスターには他の3つの主要クラスターに入らなかった人たちがいて，いくつかのタイプが混在している」という捉え方である。「勤勉タイプ」の人と，「（極度に）078

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社会イノベーション学部心理社会学科学生のパーソナリティ協調タイプ」の人と，場合によっては「低開放性タイプ」の人が含まれているのかもしれない。もう1つの考え方は，政治心理学の領域で議論されている「保守主義者（conservatives）」という捉え方である。アメリカのリベラル派と保守主義者とのパーソナリティの違いを検討したCarney,Jost,Gosling,&Potter（2008）の研究では，リベラル派は開放性が高く勤勉性が低いのに対して，逆に保守主義者は勤勉性が高く開放性が低いことを示した。この保守主義者の特徴はその他タイプの人と一致する。何らかの理由で協調性も高かった保守主義者がその他タイプの中核だった可能性もあるだろう。もちろん，最初の捉え方と組み合わせて，保守主義者と協調性の高い別のタイプの人たちが第4クラスターに含まれていた可能性もあるだろう。これらの点は本研究では未解決で，今後の検討課題である。成績との関連追加の分析として，「社会心理学」授業の成績と各タイプおよび5特性との関連を，対応のついた最近3年間（22年度～24年度）について分析した。この授業の成績は，参加点（40点），夏休みレポート（15点），期末試験（45点）を合算した100点満点で例年採点した。60点以上が単位取得の基準であり，それ以上の得点の者には人数比率を考慮しながら素点を基に4段階の成績（秀，優，良，可）を与えた。参加点は性格検査等の調査や授業内での実験（のデモンストレーション）への参加，コメントの提出等を半期に5～6回実施して，前・後各期とも20点満点で集計した。夏休みレポートは心理学書の読書感想文作成で，指定リストから1冊を選択して本を読み，夏休み明けにレポートの提出を求めた。このように必ずしも心理学の学力や知識だけに基づくものではなく，1年を通じてまじめに授業に出席して，課題を着実にこなすことが求められる内容であった。この成績のタイプ別の平均点は図8の通りで，その他タイプが最も高く（85.8点），次が内向タイプ（81.9点）であった。他方，健全タイプの得点は意外にも低く（77.8点），最も低得点だった神経質タイプ（76.9点）とほとんど差がなかった。成績の平均点にはタイプ間で有意差があり（F（3,317）=5.45p＜.01η2=.049），多重比較を行うと，その他タイプと健全タイプ（p＜.01），その他タイプと神経質タイプ（p＜.01），内向タイプと神経質タイプ（p＜.05）間に有意差があった。内向タイプと健全タイプとの差は多重比較では有意でなかったが，差には一定の傾向が認められた（t=2.13nsd=.31）。成績と5特性との相関を求めると，勤勉性（r=.20p＜.01）と協調性（r=.12p＜.05）との間に正の有意な相関が認められた。この両方の得点の平均値が高いその他タイプが高得点であったこともうなずける。しかし，外向性との間には，有意には至らない弱い負の相関が認められた（r=−.09ns）。内向タイプの平均値が高く，外向性が高得点の健全タイプの平均値が低いことと整合するだろう。過去の研究では一般に学業成績と最も関連するのは勤勉性であるが，ときには外向性と負に相関することも知られている（Furnham,Chamorro-Premuzic,&McDougall,2003）。内向的な人の学業成績が高い理由として，まず，外向的な人がそのときどきのインセンティブに左右され特定の行動に集中しにくいのに対して，内向的な人がそういったことに左右されずに特定の物事に集中して取り組みやすい点を指摘できる。次授業成績��������������図8授業成績のタイプ別平均値��.�※エラーバーは標準誤差��.���.���.�内向健全神経質その他079

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社会イノベーション研究に，最初の点と関連するが，外向的な人に比べて内向的な人の方が課題に長い時間取り組むことも挙げられる。さらに，外向的な人が口頭での発言が得意なことに対して，内向的な人が書いて表現することに秀でていることも挙げられる（Furnhametal.2003;Cain,2012も参照）。1つの授業の成績だけから，また3年度分のデータ分析だけから結論を導くわけにいかないが，大学での学習活動においては健全タイプが必ずしも適応（adjust）しているとは言えず，その他タイプに含まれる勤勉な学生や内向タイプの学生の方がより適応している可能性をここでの結果は示唆している。総合考察本研究では，心理学志望の新入学生に10項目5特性検査を9年間にわたって調べたデータをクラスター分析することによって，内向性を中核とした内向タイプと，神経症傾向を中核とした神経質タイプと，社会的に望ましいと考えられるパーソナリティを備えている健全タイプの，少なくとも3タイプの学生が存在したことが示された。それぞれのタイプの中にもプロトタイプと考えられる典型的な学生もいれば，それに近い学生から，かなり隔たった周辺的な学生まで，多様な学生がいたと考えられる。これら主流の3タイプ以外の，保守主義を中核とした学生やその他のタイプの学生も少数であるが存在する可能性も示唆された。以上のうち内向タイプと神経質タイプは，社会的には望ましくないと考えられている特性を中核としていて，一般にはあまり取り上げられない特徴を持った学生である。しかし，こういった学生も自分たちなりに大学や社会に適応しながら生活していると考えられる。ではどのように適応しているのか，推測を交えながら論じてみたい。内向タイプの学生内向タイプの学生は授業やゼミの場面で自ら進んで発言することがほとんどない。指名して発言を促してもすぐに応答することが少なく，何か考えてから口を開くこともあるが，待ちきれないほど沈黙を続けることもある。班活動にも積極的に関わらないように見受けられるし，「アクティブラーニング」といったことも不得意のようである。自尊心の平均点で見て取れるように自己評価も低く，自分がリーダーとなることを避けようとする。こういった学生は授業場面でもゼミなどの集団活動においても受け身で消極的であり，社会的不適応を起こしやすいのではないだろうか？本研究の成績についての分析結果は必ずしもそうでない可能性を示している。内向的な人は一般に人の話を聞くのが得意である。よく聞いてからよく考えて，自分なりに理解する。理解した内容をノートにまとめることも，その内容を再検討して書き直すこともあるだろう。グリット尺度の興味の一貫性の平均点が比較的高めであるように（表8の3行目），一人で何かに没頭することも苦でないと思われる。少なくとも多人数講義に対しては，成績の分析結果から示唆されるように，外向的な人たちよりもうまく適応していると考えられる。また，集団場面が不得意だとしても，1対1の場面では十分に社交的であるかもしれない。『内向型人間のすごい力』を現したスーザン・ケインは，内向型人間を見分ける簡単なテストを作成しているが，その最初の質問が「グループよりも一対一の会話を好む」であった（Cain,2012）。本研究の中にこのことを示す結果はないが，ペア場面での相互作用は得意かもしれない。大学生活において，親しい友人をごく少人数見つけて，その人（たち）と長期的な関係を築くことによって，社会的相互作用から得られる情報やうわさ話を受容し，満足感やウェルビーイングを享受できているかもしれない。特に周囲に同じような内向的人物が珍しくない社会的環境の中では，自分と類似した人を見つけやすく，安定した対人関係を築き，それを資源として学校や社会にも適応可能だと考えられる。内向的な人は一般に神経症傾向が高い傾向がある（e.g.川本他,2015）。本研究の全員のデータでも外向性は神経症傾向と有意な負の相関を示し080

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社会イノベーション学部心理社会学科学生のパーソナリティたが（r=−.11p＜.01;表3参照），内向性の分散が小さいこのタイプの人たちだけを調べても，同様に有意な相関を示した（r=−.15p＜.01）。内向性と神経症傾向の両者とも高得点で，もし孤立している学生がいたとしたら，大学生活，社会生活に何らかの不適応が生じる可能性があるだろう。神経質タイプの学生神経質タイプの学生の中核的特徴である神経症傾向は，「悲しみや怒り，不安などのネガティブ情動と，脅威となる刺激への反応性の個人差を反映した次元」であると説明される（川本,2024）。生物が外敵や自然の脅威から逃れ，生き延びるために，こういったネガティブ情動を伴う逃走メカニズムを備える必要があったと考えられる。他方，恐れ知らずの若者は捕食者や自然の脅威によって駆逐されやすく，子孫（に託した遺伝子）を残すことが難しかっただろう。このように，神経症傾向は自然環境の中では生物にとって適応的な心的メカニズムであったと考えられる。しかし，人類が自然環境や外敵をある程度コントロールして集団や社会制度を成立させた今，ちょっとした出来事にも脅威を感じてネガティブになり，その場面で適切な行動をとれないとしたら，むしろ不適応となりやすいだろう。ときにはそれを逆転した「情緒安定性」が他の4特性と同様に社会的望ましい特性として扱われることも多い。この神経質タイプの学生たちの結果でも自尊心が低得点であり，協調性や勤勉性も低得点で，それらと相関を示した成績も振るわなかった。他のタイプと比べると，このタイプの学生の中から不適応を示す者が出現するリスクは高いと思われる。それでも神経症傾向は病気や症状ではない。この傾向も幅広く分布していて，当然のことながら人々の半数は分布の中央値よりも値が高い人たちである。この値が高い神経質タイプの心理学志望学生はどのように大学生活に適応しているのだろうか？「健康的な（healthy）神経症傾向」という考え方を提唱したFriedman（2000）は，神経症傾表9神経質タイプにおける5特性得点間の相関係数開放性神経症協調性勤勉性外向性.10−.12.33＊＊−.08開放性−.04.20＊＊−.40＊＊神経症傾向.05.07協調性−.16＊向が高い人たちは不安や心配を強く感じるからこそ，それに対処する健康的な行動を積極的にとることがあり，結果として健康や長寿を手に入れやすい場合があると論じている。ただし，健康行動をとるためには勤勉性の高さが伴うことが必要だという。本研究の神経質タイプの人たちは残念ながら勤勉性が低い。しかし，外向性と開放性が高く，これらを利用した対処がないだろうか。その対処法を探索するために，このタイプの人たちにおける5特性間の相関を調べた。その結果は表9に示した通りで，表3の全体での結果と大きく異なっていた。まず，神経症傾向は，全体では他の4特性とすべて負に相関したにも拘わらず，このタイプの中では有意な相関が1つも認められなかった。他方で，全体では相関が認められなかったが，このタイプの中では外向性と協調性，開放性と協調性との相関がそれぞれ正で有意だった。この点から，神経質タイプの中で外向性や開放性が高い人は協調性も比較的高く，他の学生との間で良好な関係を築くことによって大学生活にうまく適応していた可能性を推測できるだろう。健全タイプとその他の学生健全タイプの学生は社会的に望ましいと考えられる多くの特徴を備えていて，楽しく充実した大学生活を送っている学生が多かったと思われる。しかし，少年期，青年期の発達過程を通じて，親や社会から期待されている特徴を示すよう努めてきた人が，そのように振る舞うことを通じて，それら特徴を内面化していった可能性もある。社会心理学のこれまでの実験研究では，外向的に振る舞うことを通じて外向的方向に自己認知が変わるという，自己呈示の内面化という現象が示されて081

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社会イノベーション研究いる（Tice,1992）。行動遺伝学によれば，性格が遺伝的に規定されている程度（遺伝率）は30%～50%だと言われている（敷島,2023）。上記のような自己呈示，あるいは自己呈示の内面化によって健全タイプに位置づいている人がいるとしたら，本来の性格との食い違いが生じている可能性がある。この食い違いを意識して「無理して良い子として振る舞っている」場合でも，意識できないほど「良い子になってしまっている」場合でも，何らかの精神的問題が生じる心配があるだろう。本研究でそういった証拠を得たわけではないが，指摘しておきたい点である。そう指摘したとしても，性格の生涯変化を検討した研究では，協調性と勤勉性は年齢の増加とともに平均点が高まることが示されている（川本他,2015）。社会生活や職業を通じて協調性も勤勉性もゆるやかに，しかし明確に高まる。また，神経症傾向は年齢とともに，特に青年期まで得点の高かった女性において，平均点が低下する。遺伝的に規定されているからといって，経験を通じて変化しないわけではない。むしろ，自分の環境を変えることによって自分の行動が変わり，それを内面化して実質的な形で性格を変えられると考えておくことは大切である。変化したのは自分の行動の幅，あるいは行動レパートリーの多様化で，例えば本来外向的な人が内向的行動を状況に応じてとれるようになることだ。この場合，変化した自分の行動を違和感なく受け入れやすいだろう。また，本来の自分との食い違いが悪影響を及ぼすことも少ないだろう。ブライアン・リトルはその著書で，「パーソナリティは変えられる」という視点を詳しく論じている（Little,2014）。本研究の含意本研究は，心理学志望の学生という特定の集団の理解のために5特性性格検査のデータを利用して，パーソナリティ・プロトタイプを見出そうとした。これは，集団レベルであるが，個性記述的な研究であって，パーソナリティ・プロトタイプ研究の主たる関心が人類に共通したプロトタイプを見出そうとすること（e.g.Gerlach,Farb,Revelle,&Amaral,2018）に逆行していると思われる。しかし，特定の集団を用いてその集団独特のプロトタイプを見いだす研究を積み重ねることによっても，研究間で共通する一般的プロトタイプが発見される可能性があるかもしれない。もちろん，パーソナリティ・プロトタイプについての理論的検討が伴うことが必要である。本研究は，内向タイプ，神経質タイプについてできるだけ詳しく説明したが，筆者の主観的解釈が反映されていて，必ずしも十分な説明になっていないかもしれない。しかし，これまでの5因子性格研究では，外向性の説明において内向性はその反対あるいは欠如として扱われることが多く（e.g.Nettle,2007），内向性独特の特徴についての説明が少なかったと思われる。しかし，現実社会で生きている限り，内向的な人には内向的な人なりの行動傾向があり，それによって社会生活に適応しようとしているだろう。外向性が低い（内向的な）人の特徴や，外向性が中程度の（外向的でもあり内向的でもある）人がどんな人なのか，そういった性格次元の陽の当たらない側面を検討し，特性次元の全範囲を意識したパーソナリティ研究が増えることを願って，筆者の個人的見解を述べることにした。なお本研究では言及できなかったが，勤勉性が低い人，協調性が低い人についても同様の課題があることを指摘できるだろう。こういった人たちの独自性や意義，適応行動のあり方などの研究も必要だと主張したい。他方で，神経質タイプについては，神経症傾向の高低の得失について多くの議論が行われている（Little,2014;Nettle,2007等を参照）。すでに紹介したように「健康的な神経症傾向」というポジティブな見方も可能である（Friedman,2019;平野,2021等を参照）。しかし，心理的不適応の背景にこの神経症傾向の高さがあることが臨床研究でしばしば見いだされ，心理・社会的に望ましくない特徴としてこの傾向の高さが強調されているように見受けられる。これに対して本研究では，神経症傾向が高いごく普通の人たちが，どのよう082

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社会イノベーション学部心理社会学科学生のパーソナリティにして社会生活に適応（しようと）しているのか考察を試みた。こういった視点からの研究も必要だと考える。本研究の限界と課題以上のように本研究の意義を述べたとしても，本研究には課題も多い。まず，一般化可能性が低い。特定の大学の特定の学科の結果が，心理学専攻志望者に一般化できるのか，保証はない。日本の学生の理解に貢献できる知見が得られたのか，人類一般のパーソナリティ理解に役立つのかどうか不透明である。分析に用いたデータも，各年度に実施予定だった実験研究の分析を補完するために得たもので，この研究のために計画的に得たものではない。今回の分析を行うために9年分のデータを1つのデータセットにまとめたが，その過程でイレギュラーな値（例；5件法なのに「8」といった入力値）を少数であるが発見した。しかし，元の調査用紙はすでに廃棄していて，欠損値とするほかなかった。そのため通常のデータよりも欠損値が多かった。またデータを合体する際に十分注意深く作業をしたが，それでも何らかの間違い（例；カラムのずれ）が残っている可能性がある。ノイズのあるデータということが第2の限界である。第3に，コロナ禍の影響を考慮していない。2020年に始まったコロナ・ウィルスの惨禍は人類に多大な悪影響を及ぼし，歴史的な出来事となった。その影響は大学教育の場にも及び，2020年以降の参加者とそれ以前の参加者に何らかの違いをもたらしているかもしれない。しかし，表3に示したタイプ別人数や主要変数の基礎的結果において年次間の系統的な差異が認められなかったので，本研究では年次を考慮した分析は実施しなかった。しかし，コロナ禍では，学業生活においても対人関係においても不適応になる者が出現しやすく，そういった観点からも分析できるとよかったと考えている。最後に，本研究の説明や考察の中には，分析結果から飛躍して，著者の主観的判断に依拠している内容があるだろう。そういった点については，今後の研究によって確実な証拠を積み上げて，再検討していくことが必要だろう。それでも今後のパーソナリティ研究を刺激する，いくつかの証拠と視点を本研究で提供できたのではないかと考えている。謝辞本研究論文の初稿を都築幸恵先生（成城大学），吉野伸哉先生（医療科学研究所）に読んでいただき，有意義なコメントを頂戴しました。すべての点には対応できませんでしたが，改稿に際して大いに役立ちました。記して感謝申し上げます。文献Asendorpf,J.B.,Borkenau,P.,Ostendorf,F.,&VanAken,M.A.（2001）.Carvingpersonalitydescriptionatitsjoints:Confirmationofthreereplicablepersonalityprototypesforbothchildrenandadults.EuropeanJournalofpersonality,15,169-198.明田芳久.（1999）.共感の枠組みと測度:Davisの共感組織モデルと多次元共感性尺度（IRI-J）の予備的検討.上智大学心理学年報,23,19-31.Cain,S.（2012）.Quiet:ThePowerofIntrovertsinaWorldThatCan’tStopTalking.NewYork,NY:Crown.（ケイン，スーザン（著）,古草秀子（訳）（2013）『内向型人間の時代─社会を変える静かな人の力』講談社）Carney,D.R.,Jost,J.T.,Gosling,S.D.,&Potter,J.（2008）.Thesecretlivesofliberalsandconservatives:Personalityprofiles,interactionstyles,andthethingstheyleavebehind.Politicalpsychology,29,807-840.Dweck,C.（2012）.Mindset:Thenewpsychologyofsuccess.NewYork:RandomHouse.（ドゥエック，キャロル（著）今西康子（訳）（2008/2016）『マインドセット－「やればできる！」の研究』草思社）Duckworth,A.（2016）.GRIT:ThePowerofPassionandPerseverance.NewYork,USA:Scribner.（ダックワース，アンジェラ（著）神崎朗子（訳）（2016）『やり抜く力－人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』ダイヤモンド社）Duckworth,A.L.,Peterson,C.,Matthews,M.D.,&Kelly,D.R.（2007）.Grit:perseveranceandpassionforlong-termgoals.JournalofPersonalityandSocialPsychology,92,1087.Friedman,H.S.（2000）.Long‐termrelationsofpersonalityandhealth:Dynamisms,mechanisms,tropisms.JournalofPersonality,68（6）,1089-1107.Friedman,H.S.（2019）.Neuroticismandhealthasindividualsage.PersonalityDisorders:Theory,Re-083

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社会イノベーション研究search,andTreatment,10（1）,25.Furnham,A.,Chamorro-Premuzic,T.,&McDougall,F.（2003）.Personality,cognitiveability,andbeliefsaboutintelligenceaspredictorsofacademicperformance.LearningandindividualDifferences,14,47-64.Gerlach,M.,Farb,B.,Revelle,W.,&NunesAmaral,L.A.（2018）.Arobustdata-drivenapproachidentifiesfourpersonalitytypesacrossfourlargedatasets.NatureHumanBehaviour,2,735-742.日道俊之,小山内秀和,後藤崇志,藤田弥世,河村悠太,&野村理朗.（2017）.日本語版対人反応性指標の作成.心理学研究,88,61-71.平野真理.（2021）.パーソナリティ研究の動向と今後の展望―ビッグ・ファイブ,感受性,ダークトライアドに焦点をあてて―.教育心理学年報,60,69-90.川本哲也.（2023）.神経症傾向（情緒不安定性）谷伊織・阿部晋吾・小塩真司（編著）『BigFiveパーソナリティ・ハンドブック：5つの因子から「性格」を読み解く』福村出版p.28-31.川本哲也,小塩真司,阿部晋吾,坪田祐基,平島太郎,伊藤大幸,&谷伊織.（2015）.ビッグ・ファイブ・パーソナリティ特性の年齢差と性差:大規模横断調査による検討.発達心理学研究,26,107-122.嘉瀬貴祥,上野雄己,&大石和男.（2017）.パーソナリティ・プロトタイプに基づいた大学生の類型化と精神的健康の関連.日本健康教育学会誌,25,195-203.嘉瀬貴祥,上野雄己,梶内大輝,&島本好平.（2018）.パーソナリティ・プロトタイプにおけるResilients,Overcontrollers,Undercontrollers,およびその他のタイプの特徴――ライフスキルの高低に基づいた検討.パーソナリティ研究,27,164-167.Little,BrianR（2014）.Me,Myself,andUs:TheScienceofPersonalityandtheArtofWell-Being.NewYork,NY:PublickAffairs.（リトル，ブライアン（著）児島修（訳）（2016）.『自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義』大和書房）村田光二（2023）社イノ学生のパーソナリティを探る成城大学社会イノベーション学部セミナー資料（未公刊）Nettle,D.（2007）.Personality:Whatmakesyouthewayyouare.OxfordUniversityPress.（ネトル,ダニエル（著）竹内和世（訳）（2009）『パーソナリティを科学する：特性5因子であなたがわかる』白揚社）野崎優樹.（2024）.パーソナリティと個人差研究の動向と今後の展望―非認知能力・社会情動的スキルを巡る議論に対する情動知能研究からの示唆―.教育心理学年報,63,70-95.及川昌典.（2005）.知能観が非意識的な目標追求に及ぼす影響.教育心理学研究,53,14-25.小塩真司．（2022）.『性格とは何かーより良く生きるための心理学』．中公新書小塩真司．（2010）.『はじめて学ぶパーソナリティ心理学―個性をめぐる冒険』．ミネルヴァ書房小塩真司,阿部晋吾&カトローニ.（2012）.日本語版TenItemPersonalityInventory（TIPI-J）作成の試み.パーソナリティ研究,21,40-52.敷島千鶴.（2023）.遺伝的背景.谷伊織・阿部晋吾・小塩真司（編著）『BigFiveパーソナリティ・ハンドブック：5つの因子から「性格」を読み解く』福村出版p.99-102.清水裕士.（2016）.フリーの統計分析ソフトHAD:機能の紹介と統計学習・教育,研究実践における利用方法の提案.メディア・情報・コミュニケーション研究,1,59-73.竹橋洋毅,樋口収,尾崎由佳,渡辺匠,&豊沢純子.（2019）.日本語版グリット尺度の作成および信頼性・妥当性の検討.心理学研究,89,580-590.谷伊織・阿部晋吾・小塩真司（編著）（2023）『BigFiveパーソナリティ・ハンドブック：5つの因子から「性格」を読み解く』福村出版Tice,D.M.（1992）.Self-conceptchangeandself-presentation:Thelookingglassselfisalsoamagnifyingglass.JournalofPersonalityandSocialPsychology,63,435-451.山本真理子,松井豊,&山成由紀子.（1982）.認知された自己の諸側面の構造.教育心理学研究,30,64-68.山崎有望,&松田英子.（2024）.日本人大学生における空想傾性とBigFiveパーソナリティの関連.パーソナリティ研究,33,165-167.084

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社会イノベーション研究第21巻第2号（085-100）2026Expression年3月ofMotioninSpokenandWritten2025L2年English11月30Narratives日掲載承認ExpressionofMotioninSpokenandWrittenL2EnglishNarratives成城大学社会イノベーション学部専任講師L.ニューベリー・ペイトンNEWBERY-PAYTONLaurence1.IntroductionThispaperanalyzescharacteristicsoftheexpressionofmotioneventsinL1andL2Englishinbothspokenandwrittenlanguage.Thefindingsunderlinethechallengesfacedbylearnersofaforeignlanguagewhenacquiringtarget-likemotionexpressionsinL2.Thepaperisstructuredasfollows.Section2describespreviousresearchontypologicalandacquisitionissuesrelatedtotheexpressionofmotionevents.Section3presentstheresearchquestionsandmethodologyofthepresentstudy.Section4reportsresultsandprovidesanalysis.Section5offersdiscussion,includingimplicationsforforeignlanguageteaching.Section6summarizesthestudyanddiscussesavenuesforfutureresearch.2.Previousstudiesonmotionexpressions2.1MotioneventtypologyTalmy（2000）proposedatypologyoflexicalizationpatternsformotioneventsthathasprovedhighlyinfluential.AccordingtothemostwidelyadoptedversionofTalmy’swork,theworld’slanguagescanbedividedintotwomajortypesbasedontheexpressionoftheconceptofpath,whichTalmyregardsasthekeyelementofmotionevents.Somelanguages,includingJapanese,areclaimedtotypicallyexpresspathinthemainverbofaclause,asin（1）.Duetotheexpressionofpathintheverb,theselanguageshavebeendescribedas“verb-framed”languages.Otherlanguages,includingEnglish,typicallyexpresspathinanelementotherthanthemainverb.Forinstance,pathin（2）isexpressedthroughaparticle.Languagesofthiskindaretermed“satellite-framed”.（1）Nakakarabasukettononakakarademashita‘［thedog］exitedfrominsidethebasket’（L1J_56）i（2）ButasKenopenedthebasket,thedogsuddenlyjumpedout（L1E_13）Whileithasbeeninfluential,Talmy’sframeworkhasbeencriticizedbyscholarsfromanumberofperspectives.Matsumoto085

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社会イノベーション研究（2003;2025）pointsoutmultipleissueswithTalmy’sframeworkandproposesmodifications,threeofwhichwillbesummarizedbelow.ThefirstissuepertainstothekindsofmotionexpressionscoveredbyTalmy’sframework.Example（2）makesreferencetoboththepath（‘out’）andthemanner（‘jumped’）ofmotion.Talmyreferstosucheventsas“macroevents”.However,notallmotionexpressionsspeakersproducemakereferencetobothmannerandpath.Example（3）isanutterancebyaJapaneselearnerofEnglishwhoparticipatedinthepresentstudy.Thelearnerexpressespathofmotion（‘entering’）,butmakesnoreferencetomanner.Similarutterancesarefrequentlyproducedbylearnersandnativespeakersalike.Inordertoincludesuchexamplesinanyanalysis,itisnecessarytoexpandthescopeofanalysisbeyond“macroevents”alone.（3）WhenKenandMarilookatmaptogotodecidetheplacetheywanttogotheirdogKenisenteringtheirbasket（L2E_4）Thesecondissueisthetreatmentofdeixis.InTalmy’sframework,deixisistreatedasasubtypeofpath,butconsiderationofavarietyoflanguagesincludingJapaneseshowsthatitismoreappropriatetodistinguishdeixisfrompath,ratherthanincludingtheformerinthelatter.Japaneseisalanguagecharacterizedbyfrequentexpressionofdeixis（Koga,2025,p.518）andexampleslike（1）areinfactrare.Amorerepresentativeexampleis（4）below,inwhichadeicticverb（‘kimashita’）appearsinthehead.AsthepresentstudyfocusesonJapanesenativespeakers,itisparticularlyimportanttodistinguishpathanddeixis,ascrosslinguisticinfluencecouldpotentiallyaffectthedegreeofmarkingofdeixisinlearners’L2English.（4）Surutototsuzen,inugabasukettokaradetekimashita‘Andthenthedogsuddenlycameoutofthebasket’（L1J_45）Finally,thedivisionbetween“verb-framed”and“satellite-framed”languagesisproblematic,notleastbecauseTalmy’sdefinitionof“satellite”excludeselementssuchasadpositionsthatareamajormeansofexpressingpathin“satellite-framed”languages.Ratherthanmaintainingthedistinctionbetweenverbandsatellite,Matsumoto（2025,p.13）proposesdistinguishingbetween“headpathcoding”and“head-externalpathcoding”.Whileheadpathcodingreferstotheexpressionofpathinthemainverb,non-headpathcodingreferstotheexpressionofpathinhead-externalelements,includingbothadnominalsandadverbals.Followingtheterminologicalmodificationsabove,JapaneseandEnglishcouldbeclassedasheadpathcodingandhead-externalpathcodinglanguagesrespectively,buttheselabelsdisguiseintra-languagevariation.Thatis,languagespossessavarietyoflexicalitemsthatmaydisplaydifferentlexicalizationpatterns.LatinateverbsexpressingpathsuchasenterandexitareoneexampleinEnglish.Moreover,examples（5）and（6）demonstratehowinbothEnglishandJapanese,differentelementsofmotionareexpressedbymultiple（headandhead-external）elementsinthesameutterance,andhowthesamemotioneventcanbeexpressedbymorethanoneelement.Itmaynotbecleartolearnerswhichkindsofmotionverbscanbeusedwithwhichotherelements,asthe“double086

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ExpressionofMotioninSpokenandWrittenL2EnglishNarrativesmarking”errorinexample（7）showsii）.（5）Theballoonroseupintothesky（6）Sonoaidaniinugabasukettononakanihairi-kondeshimaimashita‘Atthatmomentthedogjumpedintothebasket’（L1J_15）（7）＊KenandMariwatchwatchedwatchmapandthedogentertobasket（L2E_18）Overall,then,learnerspotentiallyfacedifficultiesinacquiringmotionexpressionsinaforeignlanguage.Thenextsectionprovidesanoverviewofsecondlanguageresearchontheexpressionofmotionevents.2.2AcquisitionofL2motionexpressionsAmultitudeofstudieshaveexaminedtheacquisitionofL2motionexpressions,andhowcharacteristicsofmotionexpressionsinL1caninfluencelearners’useofmotionexpressionsinL2.ResearchershavetypicallyfocusedoncasesinwhichL1andL2belongtodifferentcategoriesinTalmy’sframework.Asdescribedinsection2.1,JapaneseandEnglishbelongtodifferenttypologicalcategories.Assuch,previousresearchhastriedtoascertainthepresenceorabsence,andthedegree,ofcrosslinguisticinfluencefromlearners’L1inL2EnglishandL2Japanese.ThissectionbrieflyreviewsfindingsfrompreviousanalysesofmotionexpressionsproducedbyL1JapaneseandotherlearnersofEnglish.Spring&Horie（2013）comparedEnglishoralproductionbynativespeakersofJapanese,ChineseandEnglish.Participantsprovidedoraldescriptionsofvideoclipsdepictingmotionevents.Spring&Horiefoundevidencethatdifferencesintheproportionofsatellite-framedexpressionsanddifferencesinthedegreeofattentiontomannerreflectcharacteristicsoflearners’nativelanguages.ForJapanesenativespeakers,theyreportedthatparticipantsoverwhelminglyusedverb-framingtoexpressmotioneventsandmadeonlylimitedreferencetomannerofmotion.Inaseriesofassociatedstudies,AmandaBrown&MarianneGullberganalyzedthecharacteristicsofmotionexpressionsusedbymonolingualandbilingualspeakersofEnglishandJapaneseinthedescriptionofscenesfromananimatedvideo.Brown&Gullberg（2010,p.278）reportedthatexpressionsofpathinL1Englishnarrativesappearedmostlyinadverbials,i.e.non-headelements,whereasL1Japanesenarrativesmadereferencetopathusingawiderrangeofverbs,thusconfirmingprevioustypologicalgeneralizationsaboutthetwolanguages.Furthermore,analysisofJapanesenarrativesbyJapanese-EnglishbilingualsrevealedthattheirproductionincludedmorefrequentuseofadverbialsexpressingpaththanmonolingualJapanesespeakers.Thisfindingimpliesthatbilinguals’knowledgeofL2affectedtheiruseofmotionexpressions,evenwhenusingtheirL1.Brown&Gullberg（2011,p.85）reportedthatintheL2EnglishnarrativesofJapanese-Englishbilinguals,participantsdisplayedcomparablelexicaldiversityintheiruseofverbsandadverbialstoexpressmotion,puttingthemin“amiddlepositionbetweenthemonolingualJapanesesourceandthemonolingualEnglishtarget”.Theyalsoidentifiedinstancesofinfelicitoususeofadverbialsasverbs,asin（8）,characterizingtheseas“attemptstofittargetlanguagelexicalitemsinto087

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社会イノベーション研究sourcelanguagediscourseframes,whichmayindicatecross-linguisticinfluenceoftheL1ontheL2.”（8）＊Andhethroughedinsidethedrainpipe（Brown&Gullberg,2011,p.85）Brown&Gullberg（2012）examinedclausalpackagingamongspeakers,restrictinganalysistoutterancesinwhichreferenceismadetobothmannerandpathofmotion.BilingualJapanesespeakersdisplayedcharacteristicsinbothL1（Japanese）andL2（English）productionthatdifferedfromthoseofmonolingualJapanesespeakersandmonolingualEnglishspeakers,producingfewersingle-clauseconstructionspackagingmannerandpaththaneitherofthelattergroups（ibid,p.488）.Brown&Gullberg’sstudiesmakeimportantcontributionstoresearchers’understandingofhowbilingualismaffectsperformanceinbothL1andL2.Atthesametime,theirstudieshavelimitations.Mostnotably,theydonotdistinguishdeixisfrompathoranalyzeitinitsownrightasapotentialareaofcrosslinguisticinfluence.Yoshinari,Mano,Eguchi&Matsumoto（2021）analyzedtheoralproductionoflearnersandnativespeakersofJapanese,EnglishandHungarianinaseriesofvideodescriptiontasks.Incontrasttothestudiesdescribedabove,theynotonlyanalyzemannerandpath,butalsotreatdeixisasitsowncategoryandanalyzeitindetail.YoshinarietalconcludedthatJapaneselearnersofEnglisharegenerallyabletoacquiretarget-likepatternsofmotionexpression.Thatis,learnersareabletoexpresspathinnon-headelements,asnativespeakersofEnglishdo.Atthesametime,learnersdisplaysomecharacteristicsthatdistinguishthemfromnativespeakers.Yoshinarietal（2021,p.118）identify（a）thefrequentexpressionofdeixis,includingitsexpressioninthemainverb,（b）theexpressionofmannerinsubordinatestructures,and（c）arelativelylownumberofpathexpressionsperclauseascharacteristicsthatcanbeattributedtotheinfluenceoftheirL1,Japanese.LearnersalsodisplaycharacteristicsthataremoreappropriatelytreatedastrendscommontovariousL2learners,namely（d）（over-）simplificationofcomplexmotionconcepts,（e）omissionofelementsofmotionevents,and（f）useofparticularfixedcollocations.Yoshinarietal（2021）andassociatedresearchwithintheMEDALproject（Matsumoto,2025）hasonekeymethodologicallimitation.Dataisobtainedthroughexperimentalmeans,withparticipants’attentionexplicitlydrawntomotioneventsandtheirpreciseexpressionanddifferentiation.Asaconsequence,anyresultsobtainedcannotautomaticallybeassumedtoreflectmoregenerallanguageuse.Furthermore,alloftheabovestudiesonJapaneseandEnglishdescribedabovefocusedonspokenproduction.Slobin’sinfluential“ThinkingforSpeaking”（TfS）hypothesis（Slobin,1996;Slobin,2003;Slobin,2004interalia）thatspeakersaremorelikelytopayattentiontoandverbalizeaspectsofeventsthatarereadilyexpressiblethroughthelexico-grammaroftheirL1specificallyreferstothe“online”processoforalcommunication.However,itisunclearwhethertheextenttowhichTfSlikewiseoccursinwrittenlanguagehasbeenverified,atleastfortheL1JapaneseL2Englishpair.Assuch,thepresentstudyexamineswhetherornotspokenandwrittenL2productionshowdifferent088

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ExpressionofMotioninSpokenandWrittenL2EnglishNarrativescharacteristicsinthisrespect.3.ResearchquestionsandmethodologyThisstudyseekstoexploretheeffectofwrittenversusspokenmodeonthedifficultyofacquisitionofnativelikelexicalizationpatternsintheexpressionofmotioneventsinL2English.UndergraduatestudentsataprivateuniversityinTokyowererecruitedtotakepartinthestudy.AllparticipantswerenativespeakersofJapanese.Thestudyconsistedofanonlineformandaface-to-faceinterview.Studentswhocompletedbothpartsofthestudywerereimbursedfortheirtime.Beforeface-to-faceinterviews,participantscompletedanonlineforminJapaneseinwhichtheyprovidedinformationabouttheirEnglishstudy,includinglengthofstudy,mostrecentTOEICscore,anyothermeasuresofEnglishproficiency,andlengthofanystayinforeigncountries.Inthecurrentstudy,analysiswasrestrictedtolearnerswhodidnotreportanysignificantstaysinforeigncountries.AsummaryofthecharacteristicsoftheparticipantsappearsinTable1.Interviewsconsistedofthreesections.Insection1,participantswereaskedtodescribetotheresearchertheseriesofeventsdepictedinacomicstrip（Figure1）.ThecomicstripistakenfromataskincludedintheInternationalCorpusofJapaneseasaSecondLanguage（I-JAS）.Thestimulusincludesavarietyofmotionevents,buttheirexpressionisnotnecessarilyessentialtoconductingthetask.I-JAScontainsbothspokenandwrittenretellingsofthecomicstrip,andthisstudysimilarlycollectsspokenandwrittendatafromthesamestimulusiii）.Whenconductinginterviews,participantsweretoldthattheresearchercouldnotseethecomicstrip.Thiswastoavoidparticipantsresortingtogesturestocarryoutthetask.Participantswereprovidedwiththesentence“KenandMarimadesandwiches…”andwereinstructedtobegintheiraccountwithsaidsentenceafteroneminuteofpreparationtime.Onceparticipantshadfinishedtheiraccount,theresearcherremovedthevi-Figure1StimulususedinthestorytellingtaskTable1SummaryofparticipantsNumberofparticipants17Age20;2MeanTOEICscore745（SD:59）MeanlengthofEnglishstudy8;2（SD:1;3）（Sakoda,K.,Ishikawa,S.,&Lee,J.（Eds.）,2020,p.35）089

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社会イノベーション研究sualstimulus.Participants’speechwasrecordedandlatertranscribedforanalysis.Insection2oftheinterview,theresearcheraskedparticipantsabouttheirEnglishstudy.ThequestionswerebasedontheinstructionsforinterviewersintheICNALEspokendialogues（Ishikawa2023;seeFigure2below）.Thepurposeofthesequestionswas（a）togainaninsightintoparticipants’widerlanguagestudy,（b）obtainanindicationoftheirspeakingproficiencyinadifferentformat,and（c）toprovideanintervalbetweensections1and3.Insection3oftheinterview,participantswereshownthecomicstripusedinsection1,andwereaskedtotellthestoryinwriting.Thesamepromptusedinsection1waspreparedbeforehandonacomputerandparticipantswereaskedtoinputtheremainderofthestory,withouttheuseofonlinedictionariesorotherresources.Studentsweregivenamaximumof10minutestocompletethesection3task.Noadditionalinstructions（e.g.“tellthestoryagain”,“tellthesamestory”,“tellthestorythesameway”,“retellthestory”）wereprovidedsoasnottoinfluenceparticipants’approachtotherepeatedtask.ThecurrentdatasetwascollectedundergreatertimerestraintsthantheI-JASdata.Asaresult,thetimebetweentheoraltaskandthewrittentaskwaslimited.Thiscouldleadtoparticipantsrepeatingalmostverbatimwhattheyproducedorallyinthewritingtask.Ontheotherhand,acombinationofarepetitioneffectandloosertimeconstraintsonthewrittentaskcouldleadparticipantstomoretarget-likeperformance.Itwasassumedthatoverall,thetaskdesignwouldnotexertanegativeeffectonparticipants’writtenproductionintermsofthedegreetowhichtheywouldproduceL2-likemotionexpressions.Thisstudyposesthefollowingresearchquestions.1．TowhatextentdonativespeakersofEnglish（L1E）andJapaneselearnersofEnglish（L2E）expresseachmotioneventinthestimulusintheirspokenandwrittennarratives?2．TowhatextentdoL1EandL2Emakereferenceto（a）manner,（b）path,and（c）deixiswhenexpressingmotioneventsintheirspokenandwrittennarratives?Figure2Questionsinpart2oftheinterviewThankyouforattendingthisinterview.Asyouknow,thisisanEnglishinterview.So,canIaskyouseveralquestions?1．First,doyoulikespeakinginEnglish?（Yes）Whydoyoulikeit?（No）Whydoyounotlikeit?2．HowoftendoyouspeakinEnglishaweek?（Withwhom?Inwhichsituation?Topics?）3．DoyouwantmorechancestospeakinEnglish?（Yes）WhatkindsoftopicdoyouliketotalkaboutinEnglish?（No）WhydoyouwantnomorechancestospeakinEnglish?4．Asyouknow,speakinginEnglishisnoteasyformanylearners.Inyourcase,whatdoyouusuallydotoimproveyourEnglish-speakingability?（Talkingtoaforeigner,orrecordingyourownspeech,forexample.Ifthestudentsays,“IwatchEnglish-languagemovies”orsomethingsimilar,pleaseaskwhyitisrelatedtothedevelopmentofspeakingabilityratherthanlisteningability.）5．OK.Asyouknow,therearedifferenttypesofspeaking.Forexample,aone-to-oneconversationlikethisandagroupdiscussion.Whichdoyoulikebetter?Why?6．Finally,asyouknow,therearefourbasiclanguageskills:listening,reading,speaking,andwriting.Inyouropinion,whichdoyouthinkisthemostimportantskill?Pleaseexplainwhyyouthinkso?Thankyou.（from“InstructionforinterviewersintheICNALEspokendialogues”（Ishikawa,2023,p.53））090

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ExpressionofMotioninSpokenandWrittenL2EnglishNarratives3．TowhatextentdoindividuallearnersfollowtrendsidentifiedinRQ2?Basedontheresultsofpreviousstudies,JapaneselearnersofEnglishareexpectedtoshowdifferentlexicalizationpatternstonativespeakersofEnglish.IflearnersdisplaygreatersimilaritiestoL1Enarrativesintheirwrittennarrativesthanintheirspokennarratives,thissuggeststhattheonlinetaskdemandsarecontributingsignificantlytothedifficultyofreproducingnativelikelexicalizationpatterns.Incontrast,ifL2EwrittennarrativesshownogreatersimilaritiestoL1Enarratives,thisimpliesthattheacquisitionofnativelikelexicalizationpatternsremainschallengingregardlessofthemodeofproduction.Allexpressionsofmotionwereextractedfromthetranscriptsofthenarrativesandcategorizedaccordingtothemotioneventtheydescribed.Table2showsthesixprincipalmotioneventsdepictedinthecomicstrip（descriptionofothermotioneventsrarelyappearedinnarratives）.Therightmostcolumncontainsexamplesofeachmotioneventdescriptionfromlearners’spokennarratives.4.Results4.1Expressionandnon-expressionofmotioneventsinL1andL2EnglishspokennarrativesBeforeconsideringthekindsoflinguisticdevicesusedtoexpressmotion,itisfirstnecessarytoestablishwhichmotioneventsspeakersnoticeandchoosetoexpressatall.Speakersmayomitmotionexpressionsforavarietyofreasons.Forexample,learnersmaybeunableorunwillingtoexpressamotioneventintheirL2.Inaddition,L1andL2speakersalikemaydeemtheexpressionofaparticularmotioneventunnecessary,ortheirattentionmaynotbedrawntoitinthefirstplace.Inthecurrentstudy,whichusesdatafromanarrativetask,speakersmayevendeliberatelyomitsomeinformation（e.g.thelocationofthedog）fromtheiraccountsfornarrativeeffect.Withtheabovecaveatsinmind,Table3showsthepercentageofparticipantsthatexpressedthefiveprinciplemotioneventsdepictedinthecomicstrip（thenumberofspeakerswhoexpressedeacheventisshowninbrackets）.AhighproportionofspeakersTable2Listofprincipalmotioneventsinthe“Picnic”comicstripEventDescriptionMotionTypeExample①sandwichintobasketcausedmotionAndMariiscuttingbreadandKenisputtingsandwichesinbasket（L2E_03）②dogintobasketvolitionalselfmotionAndwhiletheywerelookingthemapthedogwasthedogjumpedinthebasketbuttheydidn’tnoticethat（L2E_12）③peopletoparkvolitionalselfmotionTheygotothepicnictheywenttothepicnic（L2E_01）④dogexitsbasketvolitionalselfmotionAfterthatthedoggotgotoutfromthebasket（L2E_09）⑤peoplelookinsidebasketvisualmotionAndthentheylookattheinsideofthebasket（L2E_21）091

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社会イノベーション研究Table3PercentageofparticipantsexpressingeachmotioneventintheirnarrativesEventL1speakingL2speakingL2writing①sandwichintobasket60%（9）12%（2）24%（4）②dogintobasket80%（12）88%（15）94%（16）③peopletopark67（%）（10）88%（15）94%（16）④dogexitsbasket87%（13）100（17）88%（15）⑤peoplelookinsidebasket27%（4）6%（1）12%（2）expressedevents②,③and④whileexpressionoftheothereventswaslowerorlessconsistent.Thereasonforthelowerproportionofexpressionofevent③intheL1dataisduetoseveralnativespeakersexpressingmotionwithin,ratherthanto,thepark.Nonetheless,theoverallrateofexpressionofthehumancharacters’motionishigh.Basedontheseresults,analysisinthefollowingsectionswillberestrictedtoevents②,③and④iv）.Allofthesecanbedescribedasvolitionalself-motion,followingMatsumoto’s（2025）terminology.4.2Expressionofmanner,pathanddeixisinspokenandwrittenL2narrativesThissectionanalyzesthefrequencyofexpressionofmanner,pathanddeixisinlearners’spokenandwrittennarratives.Figure3showstheaveragefrequencyofeachelementofmotionindescriptionsofthethreeself-motionevents,aswellastheaverageofthesamethreeeventscombined.ThetrendsintheL2spokendataandtheL2writtendataarelargelythesame.Pathisexpressedmorefrequentlythanmannerordeixisforeverymotioneventinbothspokenandwrittennarratives.The“gotopark”eventexhibitsthehighestuseofdeicticverbsandthemostinfrequentreferencetomannerofmotion.Thislikelyreflectsthedifferentmannersofmotiondepicted,i.e.walkingversusjumping.Moreparticipantsmayhavespecifiedthelatterusingmannerofmotionverbs,asitcanbeconsideredmoremarkedornoteworthy.Themostnotabledifferencebetweenspokenandwrittenproductionisthegreaterdegreeofpathmarkinginwrittenproduc-Figure3Manner,pathanddeixismarkinginspokenandwrittenL2narratives�.��.��.��.���.��.��.��.��speakingwritingdogintobasketspeakingwritinggotoparkspeakingwritingdogoutofbasketmannerpathdeixisspeakingwriting�self-drivenmotionevents092

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ExpressionofMotioninSpokenandWrittenL2EnglishNarrativesTable4Markingofpathinheadandnon-headinspokenandwrittenL2narrativesEventSpeakingWritingHeadNon-headHeadNon-headdogintobasket0.290.930.41gotopark0.070.870.191dogoutofbasket0.171.170.211.363self-motionevents0.170.980.311.1tion.Therealsoappearstobeaslightlylesserrelianceondeicticmotionverbsinwrittenproduction.Incontrasttomanneranddeixis,bothofwhichwereexpressedonlyinthehead,pathwasmarkedbothintheheadandhead-externally.Table4revealstwocleartrendsinthedistributionofpathmarkersbetweenheadandhead-externalelements.First,pathmarkingismorefrequentoutsidetheheadinbothspeakingandwriting.Thisisunsurprising,consideringthatmultiplehead-externalelementssuchasprepositionalphrasesorparticlescanpotentiallyappearwithasingleverbinanutterance.Second,writtenproductionshowsagreatertendencyforpathmarkingthanspokenproduction,bothintheheadandhead-externally.4.3ComparisonofL1andL2narrativesfromtheperspectiveofexpressionofmanner,pathanddeixisNext,wecomparethelearnerdatawithcomparableL1data.TheL1dataissourcedfromonemoduleoftheInternationalCorpusofJapaneseasaSecondLanguage（I-JASFOLAS）.NotethatI-JASFOLASdoesnotincludecorrespondingwrittendata,sothecomparisonislimitedtospokenproduction.Figure4belowcomparesL1andL2production（Figure4repeatstheL2datafromFigure3）.Figure4showsthatwhiletheL1andL2groupsbothexpresspathmostfrequently,Figure4Comparisonofmanner,pathanddeixisinL1andL2narratives�.��.��.���.��.��.��.��L�_SPKL�_SPKL�_WRTL�_SPKL�_SPKL�_WRTL�_SPKL�_SPKL�_WRTL�_SPKL�_SPKL�_WRTdogintobasketgotoparkdogoutofbasket�self-drivenmannerpathdeixismotionevents093

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社会イノベーション研究therateofexpressionofmanneranddeixisdiffers.AspredictedbytypologicalcharacterizationsofEnglishandJapanese,mannerisexpressedmorefrequentlyintheL1spokendataanddeixisisexpressedmorefrequentlyintheL2spokendata.Inagreatmajorityofcases,nativeEnglishspeakersusedmotionexpressionsconsistentwiththetypologicaltendenciesdescribedinpreviousstudies.Thatis,mannerofmotionwasmarkedinthehead,withpathmarkedinnon-headelements.Incontrast,deixiswasrarelymarkedandwasunattestedintheL1dataforthe“dogintobasket”event.Crucially,learnersdonotappeartoapproximateL1English（spoken）narrativestoanygreaterdegreeintheirwrittenproductionthantheydointheirspokenproduction.Expressionofmannerremainslow,andexpressionofdeixisdecreasesonlymarginally.Incontrast,asstatedintheprevioussection,learnersdoexpresspathtoagreaterdegreeintheirwrittenproduction.Inotherwords,thelowrateofmannerexpressioninL2Englishspokendatacannotplausiblybeexplainedasprimarilyaresultofthetaskconditions.Instead,thelowrateofexpressionofmannerofmotionsuggeststhat,asagroup,learnershavenotacquiredtarget-likemotionexpressions.Careisrequiredwheninterpretingtherateofexpressionofdeixis.ThisisbecauseinbothEnglishandJapanese,venitiveandandativedeicticverbs（come/goandkuru/ikurespectively）mayfunction,atleastforlearners,asbasicmotionverbs.Inotherwords,thefrequentuseoftheseverbscannotbeassumedtoconstituteevidenceofafocusondeixis;rather,theirfrequentuseismorelikelytoreflectanabsenceoffocusonmannerorpath,oralackofproductiveknowledgeofrelevantmannerorpathverbsundertheparticulartaskconditions.Itisinterestingtonoteinthisregardthatthepuremotionverbmoveappearsonlyinfrequentlyinthedataset.Table5comparesthedistributionofpathmarkersineachgroup.Recallthatthepositionofpathmarkersinrelationtotheheadispurportedtobeakeytypologicalfeaturedistinguishingverb-framedandpath-framedlanguages.Assuch,achangeintheproportionofhead-externalpathmarkerscouldberegardedasachangeinlexicalizationpatternsinlearners’interlanguage.Inthiscase,anincreaseinthedegreeofhead-externalpathmarkingcouldindicateamovetowardsnativelikelexicalizationofmotioneventsinL2EnglishbyL1Japaneselearners.Infact,head-externalmarkingislargelycomparable,andtheL1andL2datacanbedistinguishedprimarilybythedegreeofpathmarkinginthehead,regardlessofmodeofproduction.Inthe“dogintobasket”and“dogTable5Markingofpathinheadandnon-headinL1andL2narrativesEventL1SpeakingL2SpeakingL2WritingHeadNon-headHeadNon-headHeadNon-headdogintobasket0.0810.290.930.41gotopark0.2710.070.870.191dogoutofbasket0.081.150.171.170.211.363self-motionevents0.1310.170.980.311.1094

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ExpressionofMotioninSpokenandWrittenL2EnglishNarrativesoutofbasket”events,learnersmarkpathmorefrequentlyinthehead,particularlyinwriting.Thesituationappearsreversedinthe“gotopark”event,butexaminationofthedatarevealsthatheadpathmarkingintheL1dataisconcentratedinasingleparticipantwhoisunrepresentativeofthewholegroup.Regardless,consideringall3eventstogether,pathmarkingintheheadislowestintheL1dataandhighestintheL2writtendata.Basedonthisobservation,wecannotconcludefromcharacteristicsofpathmarkingthatlearnersareapproachingtarget-likeexpressionofpath.Turningtonon-headpathmarking,thereappeartobefewerdifferencesbetweenthegroups.Aswithheadmarking,non-headmarkingofpathishigherinthewrittendata.Thisshouldnotbeinterpretedasashifttotarget-likesatellite-framingpatterns.DespiteJapanesebeingcharacterizedasaverbframedlanguageintraditionalanalyses,nativespeakersofJapanesemakefrequentreferencestopathinL1narratives,notonlyintheheadbutalsoinnon-headelements（Brown&Gullberg2010;Yoshinarietal2021）.Therefore,anincreaseinnon-headpathmarkingdoesnotrepresentachangeinthepreferredmeansofexpressingpath.Itismorelikelythatinthewrittentask,learnershadsufficienttimetoexpresspathtoasimilardegreethattheywouldintheirL1.However,thequantitativedataonhead-externalpathmarkingdoesmaskaqualitativedifferenceregardingthenatureofthepathdescribed.Thatis,L1Englishnarrativesfrequentlyincludehead-externalelementsexpressingunboundedpaths.Examplesareprovidedin（9）and（10）.（9）Sotheywerehappilywalkingonahill,talkingandchatting（L1E_09）（10）Theywerewalkingalong,enjoyingthelovelyweather,thetrees,thegrass,andthensomethinghappened,therewasarumblingsound（L1E_06）Incontrast,theL2Englishnarrativesfocusonbounded,boundary-crossingpaths,i.e.motioninandoutofthebasket.Thisappearstoberelatedtotheobservationinsection4.1thatsomenativespeakersexpressedmotionin,ratherthanto,theparkintheirnarratives.Giventhatthepanelsinthecomicstripdonotexplicitlyshowthecharactersleavingthehouse,travellingtothepark,orenteringtheparkgates,Englishnativespeakersmayexhibitatendencytodescribethevisualinformationinthepanels,whilelearnersexpresstheimpliedmotionfromthehousetothepark.Alternatively,learnersmayhaveexpressedmotiontotheparkpreciselybecausetheyselectedadeicticmotionverb“bydefault”whenexpressingmotioneventsintheirL2English.4.4IndividualdifferencesTheprevioussectionshaveconsideredtheoveralltrendsinthedata.Asagroup,learnersshowedatendencytoexpresspathmorefrequentlyinwrittenproduction.However,therearelikelytobeindividualdifferencesinthedegreeofdiscrepancybetweenthetwomodesofproduction.Somelearnersmayindeedshowtheoppositepatterntotheoverallgroup.Itisthereforenecessarytoconfirmthetrendsamongindividuallearners.Inordertoinvestigateindividualdifferences,learnerswerecategorizedbasedontheirexpressionofthethreemotioneventsdiscussedabove.Asmannerofmotionwasrare-095

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社会イノベーション研究lyexpressedinthenarratives,learnerswerecategorizedbasedontheexpressionornon-expressionofmannerforeachevent.Forpathanddeixis,thefrequenciesofreferencetoeacheventinspokenandwrittenproductionwerecompared.Overall,individuallearnerstendedtomaintainthesamedegreeofmarkingforeachelementofmotion.Thegreatestvariationappearedinthe（non-）expressionofmannerofmotion（Table6）.Forthoselearnerswhosemarkingofmannerdifferedbetweentheirspokenandwrittenproduction,themajoritymademore,ratherthanless,frequentreferencetomannerinwriting.Thismatchestheoveralltrendreportedabove,andispredictablebasedonthedifferingdemandsandtimeconstraintsofthetwotasks.Themajorityofinstanceswheremannermarkingdiffered（bothwhenmannermarkingwasgreaterinwritingandwhenitwasgreaterinspeaking）occurredinthe“dogintobasket”event.Twotentativeexplanationsrelatetothecharacteristicsofthethreemotionevents,andtothenarrativestructure.Intermsofthecharacteristicsofthemotioneventsthemselves,the“dogintobasket”and“dogoutofbasket”eventsmaybemoreconducivetoexpressionwithamannerofmotionverb,partlybecausetheyareexplicitlydepictedinthepanelsofthecomicstrip.The“gotopark”event,bycontrast,isimpliedbythethirdpanelofthecomicstrip.Moreover,themannerofmotion（e.g.walking）maynotbenotableenoughforlearnerstoselectamannerofmotionverb.Indeed,L1Englishparticipantsusedmannerofmotionverbsleastfrequentlyforthe“gotopark”event.Intermsofnarrativestructure,someparticipantsdescribedthesituationinthefourthpanelintermsofaneventofdiscovery,asin（11）.Thisnarrativestrategyeliminatestheneedtodescribethemotionofthedogearlierinthenarrative.The“dogintobasket”eventispreciselytheeventwhichbothhassalientmannerofmotionandwhichisunsuitedtoexpressionwithastaticmotionexpression.Therefore,ifsufficienttimeisprovided,participantsaremorelikelytoattempttoexpressit.（11）Theywhentheyeattheirtheytheyopenthebasketthesurprisingtheirdogisinside（L2E_17）Overall,however,wecannotconcludethatahighproportionofthelearnersinthecurrentdatasetshowedevidenceofhavingacquirednativelikemarkingofmannerofmotion.Notonlywasmannerofmotionmarkedinfrequentlyincomparisonwithnativespeakers,theopportunitytorepeatthetaskinwritingwithfewertimeconstraintswasnotenoughtoincreaselearners’referencetomannerofmotionexceptinaminorityofcases（4/17;seeTable6）.TheotherareainwhicharelativelyhighdegreeofvariationwasobservedwasintheTable6IndividualdifferencesinmannerofmotionmarkingbetweenspokenandwrittenproductionCategorizationNumberoflearnersSamedegreeofmannermarking11Greaterdegreeofmannermarkinginwriting4Greaterdegreeofmannermarkinginspeech2096

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ExpressionofMotioninSpokenandWrittenL2EnglishNarrativesfrequencyofpathmarkinginthe“dogintobasket”event.IncontrasttothemannerofmotiondatainTable6,Table7showsthatalllearnersmaintainedorincreasedthenumberofreferencestopathintheirdescriptionsofthe“dogintobasket”event.Example（12）showstwohead-externalelementsbeingusedtomarkpathinwrittenproduction.Inthiscase,themultiplepath-markingelementsare（withtheexceptionofthedeicticelement）alsosimilartoL1patterns（13）,soitisperhapsunsurprisingthatlearnerswereabletomakeadditionalreferencestopathintheirwrittenproduction（12）Thedogjumpedoutfromthebasketandtheirsandwichesandappleswerealreadyeatenbythedog（L2E_27）（13）Surutobasukettokara,inugadetekimashita（L1J_14）‘Andthenthedogexitedfromthebasket［towardsthecharacters］’Pathmarkingfortheothertwoeventsanddeixismarkingforallthreeeventsappearedevenmoreuniform.Inallcases,13ormorelearnersexhibitedthesamedegreeofmarkingintheirspokenandwrittenproduction.Inotherwords,patternsofexpressionremainedconsistentdespitedifferingtaskcharacteristics.4.5ErrortrendsThissectionprovidesanoverviewoferrortrendsinthelearnerdata.Atotalof18relevanterrorsfrom11/17learnerswereattestedinthespokendata,comparedto10from6/17learnersinthewrittendata.Manyerrorsinthespokendatastemfromtheincorrectselectionofspatialprepositions,e.g.whenlearnersconfuseprepositionstoexpresssourcewiththosetoexpressgoal.Theseerrorsarelargelyabsentfromthewrittendata,andsocanbeattributedtotask-relateddifficulties.Incontrast,twoothernotableerrortypesappearinspokenandwrittenproductionalike.Webrieflyconsidereachinturn.Thefirstnotabletrendisverbomissionintheexpressionofmotionevents,whichoccurredinfourlearners’spokennarratives.Theexpressionoftheeventsin（14）and（15）exclusivelybyapath-markingelementisconsistentwithJapaneselexicalizationpatternsandresemblesBrown&Gullberg’sexample（8）citedabove.Giventhenatureoftheprepositioninto,itisreasonabletoassumethattheseareattemptstoexpressmotion,ratherthantheexpressionofastaticlocation,whichisanalternativeexplanationfortheexamplein（16）.（14）Andwhiletheyarelookingforlookingatthemapthedogintotheirthebucketbasket（L2E_01）Table7Individualdifferencesinpathmarkingbetweenspokenandwrittenproductionforthe“dogintobasket”eventCategorizationNumberoflearnersSamedegreeofpathmarking12Greaterdegreeofpathmarkinginwriting5Greaterdegreeofpathmarkinginspeech0097

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社会イノベーション研究（15）Andtheyfocusingonmapssotheycannottheycannotrealisetheirdog'sintothebasket（L2E_25）（16）Butdogsbutdogisinthebasket（L2E_08）Doublemarkingalsooccursinsomelearnernarratives.Englishtypicallydisallowspathmarkingbyanon-headelementwhenpathisalreadyexpressedinapathverb,atleastwhenexpressingliteralmotion.Errorslike（17）and（7）suggestthatlearnersprovideanelementtheyconsiderequivalenttoaJapaneseverbandpostpositionalphrase,bothofwhichencodepathintheirL1.（17）Ontheotherhand,adogenteredtobasket（L2E_22）Insummary,whilethedatasetissmall,erroranalysissuggeststhatpersistenterrorsacrossspokenandwrittenproductionmaybethosethatarerelatedtotypologicaldifferencesbetweenL1andL2v）.5.DiscussionThissectionreturnstotheresearchquestionsandconsidersthepresentstudy’sfindingsinrelationtoeach.1．TowhatextentdoJapaneselearnersofEnglishexpresseachmotioneventinthestimulusintheirspokenandwrittennarratives?2．TowhatextentdoJapaneselearnersofEnglishmakereferenceto（a）manner,（b）path,and（c）deixiswhenexpressingmotioneventsintheirspokenandwrittennarratives?3．TowhatextentdoindividuallearnersfollowtrendsidentifiedinRQ2?Inrelationtothefirstresearchquestion,expressionofmotioneventsdepictedinthestimulusappearedmostconsistentlyineventsofvolitionalself-motion.Learnersmarkedcausedmotioneventslessfrequentlythannativespeakers.Incontrast,learnersshowedahigherrateofexpressionofthe“gotothepark”event.Thiswasrelatedtothefactthatnativespeakersfrequentlyexpressedmotionintheparkaswellas,orinsteadof,motiontothepark.Onepossiblecontributingfactorwaslearners’limiteduseofmannerofmotionverbsthatwouldbeappropriatefordescribingmotioninthepark,themotioneventthatwasarguablydirectlydepictedbythestimulus.Inrelationtothesecondresearchquestion,learnersshowedatendencytoexpresspathfrequentlyinbothheadandhead-externalelements,butexpressionofmannerofmotionwaslimited.Therelativeabsenceofmannerofmotiondescriptioninthewrittenproductionsuggeststhattheabsenceoftarget-likemotionexpressionsisnotsimplyanissueofprocessingconstraintsinan“online”task.Inrelationtothethirdresearchquestion,analysisofindividuallearners’productionlargelyconfirmedthedifficultythatlearnersfaceapproximatingL2patternswhenexpressingmotionevents.ApproximationtoL1patternsinwrittenproductionandwiththebenefitoftaskrepetitionwasonlyattestedinasubsetoflearnersandmotionevents.Finally,weconsiderpedagogicalissues.Theresultsofthisstudysuggestthat（a）typologicaltrendsintheexpressionofmotioneventsarerobustevenintaskswhenparticipants’attentionisnotprimarilydrawntothe098

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ExpressionofMotioninSpokenandWrittenL2EnglishNarratives（accurateordetailed）expressionofsuchevents,and（b）typologicaltrendsarenotsignificantlymodulatedbymodeofproduction（spokenvs.written）.Intheviewoftheauthor,thisunderlinesthenecessityofprovidingfocusedinstructionontarget-likeexpressionsofmotionevents,sothatlearnersareabletobecomelessreliantonbasicmotionverbsandareabletoexpressmannerofmotionwhereappropriate.6.ConclusionThisstudywasdesignedtoexaminetheexpressionofmotioneventsincontextswithoutanexplicitfocusondepictionsofmotion.Assuch,itcannotsystematicallyexaminedifferentmanners,pathsandtypesofdeicticmotioninthemannerofsomeofthestudiesreferredtoinsection2.Withinthelimitationsoftheresearchdesign,itnonethelessprovidedinsightsintotheroleofmodeofproductioninL2expressionsofmotion,andunderlinedthedesirabilityofpedagogicalinterventions.Anumberofissuesareoutsidethescopeofthepresentpaperandremainasissuesforfuturestudies.First,itisnecessarytocomparethelearnersinthepresentstudywithlearnerswhoreportedstudyabroadexperience,toestablishtheextenttowhichtimeinanL2environmentcaninfluencemotionexpressions.Second,characteristicsofmotionexpressionsshouldbecontextualizedwithmoregeneralmeasuresofthecomplexity,accuracy,andfluencyoflearners’production.Finally,analysisofL1andL2EnglishshouldbecombinedwithanalysisofL1andL2Japanesetoachieveamorecomprehensiveunderstandingofcrosslinguisticinfluencebetweeneachlanguage.AcknowledgmentsThisstudywassupportedbyaSpecialResearchAssistanceGrantfromSeijoUniversity（成城大学特別研究助成：第二言語における移動表現の産出に関する類型論的研究）inthe2024/2025and2025/2026academicyears.Iwouldalsoliketoexpressmysincerethankstoalltheparticipantswhoagreedtotakepartinthestudy,andtoallthefacultymemberswhohelpedpublicizetheresearchproject.Anyerrorsorshortcomingsinthispaperaremyown.Notesi）L1JreferstonativespeakersofJapanese.ThesesentencesaretakenfromtheInternationalCorpusofJapaneseasaSecondLanguage（I-JAS）.TheIDshavebeenslightlymodifiedinthecurrentpaperbutthenumbershavebeenkeptthesame.L1EreferstonativespeakersofEnglish.ThesesentencearelikewisetakenfromI-JAS.L2EreferstolearnersofEnglishwhosenativelanguageisJapanese.TheL2Esentencesaretakenfromthedatacollectedbytheauthorforthepresentstudy.Sentenceswithoutcodesorsourcesareexamplescreatedbytheauthor.ii）SeeKoga（2025）fordiscussiononthemajorroleplayedbycomplexpredicatesintheexpressionofmotioneventsin（L1）Japanese.iii）I-JASincludesasecondstorytellingtaskusingadifferentcomicstrip,titled“Key”.Thisstudyselectedthe“Picnic”comicstripbecauseofthegreaterlikelihoodofmotionexpressionsappearinginlearners’production.iv）Theissueofthediscrepancyinratesofexpressionforthecausedmotionevent①mustbeleftasanissueforfutureresearch.Possiblecontributingfactorsincludethelackofarrowsinthecomicstrip,therelativelylowsaliencyofthecausedmotioneventgiventhemultitudeofothervisualinformationinthepanel,andtheinanimatenatureoftheFigure.v）However,doublemarkingmayalsobeadevelopmentalerrorattestedacrossmultipleL1groups,assuggestedbyYoshinarietal（2021）.References【Englishreferences】Beavers,J.,Levin,B.,&Tham,S.（2010）.Thetypologyofmotionexpressionsrevisited.JournalofLin-099

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社会イノベーション研究guistics,46（2）,331–377.Brown,A.,&Gullberg,M.（2010）.Changesinencodingofpathofmotioninafirstlanguageduringacquisitionofasecondlanguage.CognitiveLinguistics,21（2）,263–286.Brown,A.,&Gullberg,M.（2011）.Bidirectionalcross-linguisticinfluenceineventconceptualization?ExpressionsofPathamongJapaneselearnersofEnglish.Bilingualism:LanguageandCognition,14（1）,79–94.Brown,A.,&Gullberg,M.（2012）.L1-L2convergenceinclausalpackaginginJapaneseandEnglish.Bilingualism:LanguageandCognition,16（3）,477–494.Cadierno,T.（2020）.ThinkingforSpeakinginanL2:Fromresearchfindingstopedagogicalimplications.InW.Lowie,M.Michel,A.Rousse-Malpat,M.Keijzer&R.Steinkrauss（Eds.）,Usage-baseddynamicsinsecondlanguagedevelopment（pp.7–28）.MultilingualMatters.Croft,W.,Barðdal,J.,Hollmann,W.,Sotirova,V.,&Taoka,C.（2010）.RevisingTalmy’stypologicalclassificationofcomplexeventconstructions.InH.Boas（Ed.）,Contrastivestudiesinconstructiongrammar（pp.201–235）.JohnBenjamins.Ishikawa,S.（2023）.TheICNALEguide:AnintroductiontoalearnercorpusstudyonAsianlearners’L2English.Routledge.Jarvis,S.,&Pavlenko,A.（2008）.Crosslinguisticinfluenceinlanguageandcognition.Routledge.Koga,H.（2025）.MotioneventdescriptionsinJapanese:Theuseofverbalcomplexesanditsimpactontypologicalissues.InY.,Matsumoto（Ed.）,Motioneventdescriptionsacrosslanguagesvolume1:Casestudiesoflinguisticrepresentationsofmotion（pp.507–547）.DeGruyterMouton.Matsumoto,Y.（2003）.Typologiesoflexicalizationpatternsandeventintegration:Clarificationsandreformulations.InS.Chibaetal（Eds.）,Empiricalandtheoreticalinvestigationsintolanguage―AfestschriftforMasaruKajita―（pp.403–418）.Kaitakusha.Matsumoto,Y.（2025）.Introduction:NINJALprojectonmotioneventdescriptionsacrosslanguages（MEDAL）.InY.Matsumoto（Ed.）,Motioneventdescriptionsacrosslanguagesvolume1:Casestudiesoflinguisticrepresentationsofmotion（pp.1–52）.DeGruyterMouton.Slobin,D.（1996）.Twowaystotravel:VerbsofmotioninEnglishandSpanish.InM.Shibatani&S.Thompson（Eds.）,Grammaticalconstructions:Theirformandmeaning（pp.195–219）.OxfordUniversityPress.Slobin,D.（2003）.Languageandthoughtonline:Cognitiveconsequencesoflinguisticrelativity.InD.Gentner&S.Goldin-Meadow（Eds.）,Languageinmind:Advancesinthestudyoflanguageandthought（pp.157–191）.MITPress.Slobin,D.（2004）.Themanywaystosearchforafrog:Linguistictypologyandtheexpressionofmotionevents.InS.Strömqvist&L.Verhoeven（Eds.）,Relatingeventsinnarrativevolume2:Typologicalandcontextualperspectives（pp.219–257）.LawrenceErblaumAssociates.Spring,R.,&Horie,K.（2013）.Howcognitivetypologyaffectssecondlanguageacquisition:AstudyofJapaneseandChineselearnersofEnglish.CognitiveLinguistics,24（4）,689–710.Talmy,L.（2000）.Towardacognitivesemantics,volume2:Typologyandprocessinconceptstructuring.MITPress.【Japanesereferences】Koga,H.（2016）.Jiritsuidōhyōgennonichieihikaku–ruikeirontekishitenkara–.InK.Fujita&Y.Nishimura（Eds.）,Nichieitaishōbunpōtogoienotōgōtekiapurōchi–seiseibunpō/ninchigengogakutonihongogaku–（pp.219–245）.Kenkyusha.Matsumoto,Y.（Ed.）（2017）.Idōhyōgennoruikeiron.Kurosio.Sakoda,K.,Ishikawa,S.,&Lee,J.（Eds.）（2020）.NihongogakushūshakōpasuI-JASnyūmon:Kenkyū/kyōikunidōtsukauka.Kurosio.Yoshinari,Y.,Mano,M.,Eguchi,K.,&Matsumoto,Y.（2021）.Idōhyōgennoruikeirontodainigengoshūtoku:Nihongo/Eigo/Hangarigonotagentekihikaku.Kurosio.100

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社会イノベーション研究第21巻第2号（101-110）2026年3月合理的配慮概念の認知に関する比較研究2025年12月8日掲載承認合理的配慮概念の認知に関する比較研究―日本とアメリカの調査結果から―AComparativeStudyonRecognitionofReasonableAccommodation:FindingsFromSurveysinJapanandtheUnitedStates成城大学社会イノベーション学部准教授後藤悠里GOTOYuriはじめに2013年，日本において「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律（以下，障害者差別解消法）」が成立し，「合理的配慮」の提供が公的機関に義務付けられた。その後，法改正がなされ，2024年度からは，私的機関にも義務が課されるようになった。障害者差別解消法，とくに合理的配慮の実効性は，一人一人の行動に依存している。なぜならば，合理的配慮を申し出たり，合理的配慮を判断したり，合理的配慮を実施するのは，合理的配慮を必要とする障害者自身とその周りの人たちであるからである。したがって，人びとの合理的配慮の理解と受容が必要となってくるのであり，人びとの理解や受容を明らかにする必要がある。また，急いで付け加えなければいけないことは，法の趣旨からしても，社会の中にあるさまざまな障壁を取り除くために，社会の構成員一人一人が合理的配慮の概念を知る必要があるということである。ところで，日本の障害者差別解消法の制定過程においては，海外の先行事例が積極的に参照された。たとえば，法制定に向けた検討を行うために設置された「障がい者制度改革推進会議差別禁止部会」では，主要議題として，第2回（2011年1月31日開催），第3回（2011年4月8日開催），第4回（2011年5月13日開催），第5回（2011年6月10日開催）の4回にわたって，「差別禁止に関する諸外国の法制度について（ヒアリング）」が行われている（内閣府2025）。順に，EU，そして，イギリス，フランス，アメリカ，ドイツ，イギリス，韓国といった国々が参照されているが，この中では，アメリカが日本に与えた強い影響力を無視することはできない。アメリカは，障害者差別禁止法制定において，嚆矢としての役割を果たした国といわれることがある（矢嶋2018）。また，合理的配慮の概念も，アメリカにおいて，1964年公民権法に関連して生まれた概念である。そのため，日本において，先駆的な制度的取り組みとして，アメリカの取り組みがしばしば参照されている。先に挙げた，差別禁止部会もその一例である。また，1991年に出版された図書として八代英太らによる『ADA（障害をもつアメリカ人法）の衝撃』があるが，障害をもつアメリカ人法成立の翌年にこうした本が出版されたことからは，法が日本の人びとに与えた，まさに「衝撃」の大きさを感じることができるi）。しかし，制度的な取り組みそのものだけではなく，合理的配慮の理解や受容といった，人びとの意識に関係する領域についてアメリカから学ぶことができるのではないか。そのためには，日本だけでなく，アメリカについても合理的配慮の認知101

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社会イノベーション研究について問い，比較することがまずは必要だろう。本論文では，日本とアメリカで実施された調査結果から，日本とアメリカにおける，合理的配慮の認知の実態について示し，その上で，どのような違いがあるかを明らかにする。1．研究の背景第1節では，合理的配慮という概念が生まれ広がっていく歴史について記述したうえで，本研究の背景になる先行研究および先行している調査について言及する。1-1．合理的配慮の歴史合理的配慮は，差別を法律において禁止するという取り組みの中で生まれてきた考え方である。日本においては，障害者の文脈でのみ使われているが，アメリカでは異なる。アメリカでは，もともとは宗教に関連して生み出された考え方が，障害領域に応用されたという経緯がある。本項では，まず，アメリカに関する経緯をたどる。次に，日本についても見ていく。その際，国連の障害者権利条約についても言及することとする。なぜならば，日本の合理的配慮の定義に関する公的な文書では，障害者権利条約の定義が用いられており，関連が明らかであるからである。具体的に着目すべき法律および条約は，アメリカの「公民権法第7編」「改正公民権法」「障害を持つアメリカ人法」，国連の「障害者権利条約」，日本の「障害者差別解消法」「改正障害者差別解消法」である（表1）。第1に，アメリカについて見ていこう。1964年公民権法第7編は，雇用における人種（race），肌の色（color），宗教（religion），国籍（nationalorigin），性別（sex）に基づく差別を禁止する。法律を実効的なものとすることを目的として，翌年（1965年）には，平等雇用機会委員会（EqualEmploymentOpportunityCommission）が設立された。その後の公民権法の実施過程で，宗教についての課題が浮上した。この経緯は，Grisham&Hutton,2014,“ReligiousAccommodationintheWorkplace:CurrentTrendsUnderTitleVII”に詳しい。宗教上の理由によっては特定の曜日に勤務ができない者がいるが，企業はその曜日にその労働者を働かせることはできるのか。ある男性は，宗教上の理由から日曜日の仕事を拒否したことから解雇され，企業に対して訴訟を起こした（Grisham&Hutton2014）。司法判断については紆余曲折はあったものの，1972年には，本判決に影響されながら公民権法第7編が改正された。雇用主は従業員の宗教的背景に基づく申し表1合理的配慮にかかわるアメリカ・日本・国際的動向年代アメリカ日本国際的動向1960年代1970年代1964年公民権法制定1965年平等雇用機会委員会設立1972年公民権法改正1973年リハビリテーション法制定1980年代1990年代1990年障害を持つアメリカ人法制定2000年代2006年国連・障害者権利条約採択2010年代2020年代2013年障害者差別解消法制定2014年障害者権利条約批准2021年障害者差別解消法改正2024年改正法施行102

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合理的配慮概念の認知に関する比較研究出に対し，合理的に対応することを義務付けられることとなった（Grisham&Hutton2014）。ところで，1973年には，障害者に関する法律として「リハビリテーション法」が成立した。リハビリテーション法第504条は障害者差別を禁止したはじめての条項である（cf.Scotch1984=2000）。本条文は，連邦政府の財政的援助を受けている事業に対し，障害者の差別を禁止している。そして，施行規則において，合理的配慮について規定された（U.S.CommissiononCivilRights1983）。こうして，宗教の文脈で創出された合理的配慮概念は，障害領域にも適用されることとなった。リハビリテーション法は，連邦政府の財政的援助を受けている事業に対し，障害者の差別を禁止している。条文の対象を，連邦政府の財政的援助を受けていない事業，つまり民間企業にまで拡大したのが，「障害をもつアメリカ人法」である。障害をもつアメリカ人法においても，合理的配慮の考え方が位置付けられている。たとえば，「雇用」の「定義」の箇所（Sec.12111.）に「合理的配慮」についての定義がある。障害をもつアメリカ人法制定後，日本においても，障害者差別禁止法を作る動きがあったものの，なかなか実現しなかった。その間，国連で障害者権利条約が議論され，採択されている。障害者権利条約の批准に当たって，障害者団体は日本政府に障害者施策の整備を求め（森2013），その中で障害者差別解消法が制定された。日本の障害者差別解消法においては，不当な差別的取り扱いと合理的配慮の提供について言及されている。不当な差別的取り扱いについては，公的機関および私的機関を対象に禁止されていた。一方，合理的配慮の提供義務については，当初は，公的な機関のみ課せられていたが，2024年に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律」によって，私的な機関も合理的配慮を行うことが義務とされることとなった。1-2．合理的配慮についての先行調査日本において合理的配慮の概念の用法や理解，受容についての調査研究や論考が見られるようになっている（川島・飯野・西倉・星加2016;後藤・佐藤2018;飯野・星加・西倉2022;後藤2025など）。認知については，内閣府が積極的に調査を行っている。2009年には，「平成21年度障害を理由とする差別等に関する意識調査」を行い，合理的配慮についての認知を尋ねているii）。その後の世論調査は直接的に合理的配慮の認知を問うものはないが，たとえば，「障害者に関する世論調査」（2017）では，合理的配慮の具体例を示した上で，そうした配慮が行われなかった場合に「障害を理由とする差別」にあたると思うかを尋ねている。「差別に当たる場合があると思う」「どちらかといえば差別に当たる場合があると思う」と答えた者の割合は53.5％であり，合理的配慮の不提供が差別にあたるという正しい理解をしていない可能性がある者が半数近くいることが示されている。一方，アメリカにおいては，「障害のあるアメリカ人法」に関連する調査として，ケスラー財団・全米障害者機構によるものがある（Katz&DeRose2010;KesslerFoundation2010）。しかし，この調査は障害のある人たちとない人たちとの間のギャップを明らかにしようとしたものであり，一般市民の合理的配慮に対する認知度を調べた調査は管見の限り見当たらない。そこで，本研究では，日本とアメリカの一般市民を対象に合理的配慮の認知度を明らかにし，両国の間の比較を行うこととする。2．分析の方法日本についての調査は，クロス・マーケティング社に依頼し，2024年2月に，全国47都道府県に在住する18歳以上の男女1,000人を対象に，「多様性に関する調査」という題名で実施されたものである。男女比は男性500名，女性500名である。年齢は，18歳から29歳，30歳から39歳，40歳から49歳，50歳から59歳，60歳以上に分け，103

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社会イノベーション研究男女それぞれ100名ずつである。回答者の平均年齢は45.6歳（SD=15.10）であった。アメリカについての調査は，クロス・マーケティング社に依頼し，2025年2月に，アメリカに在住する18歳以上の450人を対象に実施されたものである。ただし，そのうち2名は年齢についての回答が18歳未満であったため，分析から除外した。内訳は，男性（Man）211名，女性232名（Woman），ノン・バイナリー（Non-binary）5名である。回答者の平均年齢は44.9歳（SD=15.87）であった。なお，日本の調査は2024年，アメリカの調査は2025年と，調査年が異なる。しかし，アメリカの合理的配慮の歴史は長く，またアメリカにおいて2024年から2025年の間にとくに大きな変更があったわけではないので，1年の違いによって，アメリカの人びとの合理的配慮の認知が大きく変わったとは考えることができない。そのため，本研究の目的に照らしても問題がないと考えられる。調査表作成にあたっては，内閣府（2009;2012）による調査の項目を参照している。合理的配慮の認知については，内閣府（2009）を一部文言を変更して用いている。きっかけ，障害者との関わりについては内閣府（2012）を一部文言を変更して用いている。また，アメリカ調査については，日本語の調査項目を英語に翻訳して調査を行っている。理的配慮という言葉は聞いたことがあった」と回答した者の割合）はどの程度なのだろうか。ただ，合理的配慮の認知をそのまま聞いても正しい回答は得られないと考えられる。なぜならば，正確な理解がなされていない可能性があるからである。内閣府の調査でも，合理的配慮の認知について尋ねる場合には，障害者権利条約に言及している。本調査も同様の形をとった。具体的な質問文は以下の通りである（内閣府2009を一部改変して使用）。障害者権利条約では，障害のある人がない人と同じように生活するために過重な負担とならない範囲で行う配慮や工夫を「合理的配慮」としています。また，「合理的配慮」を行わないことは差別として位置づけられています。あなたは，このような「合理的配慮」について，本アンケート参加前に知っていましたか。本質問で尋ねたところ，「合理的配慮の考え方について知っていた」と答えたのは，日本9.6％（96人），アメリカ71.9％（322人），「合理的配慮という言葉は聞いたことがあった」は日本17.3％（173人），アメリカ18.5％（83人），「合理的配慮については知らなかった」は日本73.1％（731人），アメリカ9.6％（43人）であった（表2）。日本の認知度は，26.9％，アメリカの認知度は90.4％であった。3．調査結果3-1．合理的配慮についての認知合理的配慮について，日本とアメリカの認知度（「合理的配慮の考え方について知っていた」「合3-2．合理的配慮を知ったきっかけ人びとは，合理的配慮をどのように知ったのだろうか。本調査では，報道（「テレビ，ラジオ，新聞などの報道」）やインターネット（「国や地方公共団体のホームページ」「人権関係団体のホー表2合理的配慮の認知度日本（n=1000）アメリカ（n=448）合理的配慮の考え方について知っていた9.6%（96人）71.9%（322人）合理的配慮という言葉は聞いたことがあった17.3%（173人）18.5%（83人）合理的配慮については知らなかった73.1%（731人）9.6%（43人）104

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合理的配慮概念の認知に関する比較研究ムページ」「国や地方公共団体，人権関係団体以外のホームページ」），広報誌など（「国や地方公共団体の広報誌，ポスター，パンフレット」「人権関係団体の広報誌，ポスター，パンフレット」），催し（「国や地方公共団体の行事や催し」「人権関係団体の行事や催し」），「人から聞いて」「その他」「わからない」が選択肢とされている。回答は複数回答可とした。その中で，多くの回答を集めた項目を表2に示す。なお，カッコ内は本質問に答えた者の回答者総数に対する割合である。日本では，第1位が「テレビ，ラジオ，新聞などの報道」（40.5%）であり，報道を情報源とする回答が最も多かった。第2位は「国や地方公共団体のホームページ」（12.3%），第3位は「国や地方公共団体の広報誌，ポスター，パンフレット」（11.5%）であり，公的機関も情報源の一つになっていることがわかる。第4位は「人権関係団体のホームページ」（10.8%），第5位は「人から聞いて」（9.7%）であった。アメリカでは，第1位が「人から聞いて」（36.3%）であった。続いて，第2位は「テレビ，ラジオ，新聞などの報道」（28.9%），第3位は「人権関係団体のホームページ」（21.7%），第4位は19.0%），第5位は「国や地方公共団体の広報誌，ポスター，パンフレット」（14.3%）であった。「その他」については，自由に書く欄を設けた。回答が比較的多かったことから，回答をカテゴリー別に分けた。カテゴリーを示しながら，具体的な回答をいくつか挙げる。日本については，17件の回答があった。仕事に関係したきっかけ（「そういう仕事に携わっていた」「仕事の中で」「職場」「職場で」「企業」「勤務先のアンケート」「研修」），インターネット（「YouTube」「YouTubeで」「ネットで調べた」「SNS」），その他，「子供が障害者と健常者の狭間にある子供だから」「大学」「ハローワーク」「参考書」「一般常識」「おぼえていない」との回答があった。アメリカ調査では49件の回答があった。このアンケートで初めて知ったという回答もあったが，仕事に関連したきっかけ，個人的経験，教育関係もあった。仕事に関連したきっかけについて具体的な回答を見ていこう。リハビリテーション関連の仕事に就いていると答えた人（Thisismybusiness.Rehabilitation.），教員として働いているときに配慮について強く意識していたと答えた人（Asateacher,Iwasverymuchawareofaccommodationsforstudentstobeabletoperformintheclassroomalongsideotherstudentswithoutdisabilities.Iwasveryusedtowritingaccommodationsthat〔原文ママ〕）などがいる。また，仕事の研修で知った人もいる。そのなかには，20年ほど前にマクドナルドでの職場研修時に，合理的配慮という言葉を学んだという回答もあった。個人的経験については，以下のような回答があった（なお，後の質問項目にて障害者との関係を尋ねており，その人数については後述する）。自分や配偶者，親，子ども，家族が障害者であったものがいる。たとえば，「私自身が障害者である（I'mdisabledmyself.）」「私は障害とともに成長した。だからこの言葉にとても親しみがある表3合理的配慮について知ったきっかけ日本（n=269）アメリカ（n=405）テレビ，ラジオ，新聞などの報道40.5%（109人）28.9%（117人）国や地方公共団体のホームページ12.3%（33人）19.0%（77人）国や地方公共団体の広報誌，ポスター，パンフレット11.5%（31人）14.3%（58人）人権関係団体のホームページ10.8%（29人）21.7%（88人）人から聞いて9.7%（26人）36.3%（147人）105

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社会イノベーション研究（Igrewupwithdisabilities.SoI’mveryfamiliarwiththeterminology.）」「障害者になった時（WhenIbecamehandicap.）」「私の亡くなった夫が障害者だった，そして，私自身も障害者である（Mydeceasedhusbandwasdisabled,andI,myself,amdisabled.）」「私の両親が障害者であった（MYPARENTSWEREHANDICAPPED.）」「障害のある子どもがいる（Havingadisabledchild.）」などの回答があった。「私は障害者である，そしてそれを聞いたことは一度もなかった（I'mdisabledandneverheardofit.）」と回答する者もいた。教育に関しては，「学校のなかでの語彙（Schoolvocabulary）」「大学でのコースの課題（Collegecoursework）」など，学校の中で学んだという回答があった。また，その他，「障害を持つアメリカ人（ADA）」「障害を持つアメリカ人法の研修と公的機関に関連した専門性（ADAtraining&expertiserelatedtopublicorganizations）」など障害を持つアメリカ人法に関連したきっかけ，「理学療法（Physicaltherapy）」「Google」といった回答もあった。3-3．⾃分自身が障害者であるか，周囲に障害者はいるか本節では自分自身が障害者であるか，周囲に障害者はいるかをまとめて，「障害者との関わり」と呼ぶ。障害者との関わりは，合理的配慮の認知度に影響を及ぼす可能性がある。そこで，「あなたの身近に障害のある人がいますか，または，これまでにいたことがありますか。あてはまるものをこの中からすべてあげてください」という質問を設けた。自分，周囲（「家族等身近な親族にいる・いた」「学校にいる・いた」「自分の職場にいる・いた」「自分の職場外の仕事関係にいる・いた」「隣近所にいる・いた」「趣味等の活動にいる・いた」），「身近にいたことはない」「わからない」という9つの選択肢を用意し，複数回答可とした。まず，「自分自身があてはまる」と答えた人は，日本5.7％（57人），アメリカ23.7％（106人）である。障害者との関わり（上位5つ）について日米を比較すると，順位は両国で同じであったが，割合に大きな違いが見られた。両国とも第1位は「家族等身近な親族にいる・いた」で，日本12.6%，アメリカ41.5%であった。第2位は「自分の職場にいる・いた」で，日本12.3%，アメリカ29.7%，第3位は「学校にいる・いた」で，日本11.4%，アメリカ24.1%であった。第4位は「隣近所にいる・いた」で，日本7.1%，アメリカ22.3%，第5位は「自分の職場外の仕事関係にいる・いた」で，日本5.1%，アメリカ11.8%であった。また，「身近にいたことはない」と答えた人は，表4障害者との関わり日本（n=1000）アメリカ（n=448）自分自身があてはまる5.7%（57人）23.7%（106人）家族等身近な親族にいる・いた12.6%（126人）41.5%（186人）自分の職場にいる・いた12.3%（123人）29.7%（133人）学校にいる・いた11.4%（114人）24.1%（108人）隣近所にいる・いた7.1%（71人）22.3%（100人）自分の職場外の仕事関係にいる・いた5.1%（51人）11.8%（53人）趣味等の活動にいる・いた1.6%（16人）6.3%（28人）身近にいたことはない45.0%（450人）9.2%（41人）わからない17.0%（170人）5.8%（26人）106

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合理的配慮概念の認知に関する比較研究日本45.0%（450人），アメリカ9.2%（41人）であった。日本では約半数が障害者との接点を持っていなかったが，アメリカでは障害者との接点を持たない人は10％程度と少なかった。3-4．障害者との関わりと認知度障害を持っていることや障害者がそばにいることと，合理的配慮の認知は関わっているのだろうか（表5，表6）。自分が障害者に当てはまると答えた人について，日本においての認知度は，59.7％（34人），「聞いたことがない」と答えた者が40.4％（23人）であった。一方，アメリカにおいては，順に，88.6％（94人），11.3％（12人）であった。日本については，障害者と，職場（「自分の職場にいる・いた」「自分の職場外の仕事関係にいる・いた」）や学校，隣近所での関わりを持っている人たちの，合理的配慮について知っていると答えた者の割合が40％を超えている。アメリカについては，家族や親族関係，職業関係，学校関係，近隣関係，趣味の関係のカテゴリーにおいて，認知度が90%を超えていた。「身近にいたことはない」と答えた人（41人）においても，90.3%（37人）が合理的配慮を知っていると答えている。4．考察：合理的配慮の認知，きっかけ，障害者との関わりについての日米比較本節では，合理的配慮の認知，きっかけ，障害者との関わりについて日本とアメリカを比較する。なお，本調査はモニターとして調査会社に登録した人たちに回答を依頼しているため，そもそもサンプルの偏りがある。また，3-2で述べたように，合理的配慮を知っていると答えた者の中にも，自由記述回答で合理的配慮について初めて知ったと記述している者がいることから，調査の信頼性を考える必要がある。そうしたことを留意しつつ，考察を行っていきたい。表5障害者との関わりと認知度（日本）知っている聞いたことはある聞いたことがない自分自身があてはまる21.1%（12人）38.6%（22人）40.4%（23人）家族等身近な親族にいる・いた14.3%（18人）12.7%（16人）73.0%（92人）自分の職場にいる・いた27.6%（34人）16.3%（20人）56.1%（69人）学校にいる・いた18.4%（21人）27.2%（31人）54.4%（62人）隣近所にいる・いた22.5%（16人）21.1%（15人）56.3%（40人）自分の職場外の仕事関係にいる・いた27.5%（14人）25.5%（13人）47.1%（24人）趣味等の活動にいる・いた18.8%（3人）12.5%（2人）68.8%（11人）身近にいたことはない5.8%（26人）13.3%（60人）80.9%（364人）わからない2.9%（5人）14.7%（25人）82.4%（140人）107

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社会イノベーション研究表6障害者との関わりと認知度（アメリカ）知っている聞いたことはある聞いたことがない自分自身があてはまる79.2%（84人）9.4%（10人）11.3%（12人）家族等身近な親族にいる・いた72.0%（134人）19.9%（37人）8.1%（15人）自分の職場にいる・いた76.7%（102人）19.5%（26人）3.8%（5人）学校にいる・いた69.4%（75人）21.3%（23人）9.3%（10人）隣近所にいる・いた79.0%（79人）14.0%（14人）7.0%（7人）自分の職場外の仕事関係にいる・いた77.4%（41人）18.9%（10人）3.8%（2人）趣味等の活動にいる・いた75.0%（21人）17.9%（5人）7.1%（2人）身近にいたことはない68.3%（28人）22.0%（9人）9.8%（4人）わからない74.1%（20人）7.4%（2人）18.5%（5人）4-1．合理的配慮についての知識合理的配慮についての認知度は，日本で26.9％となっている。一方，アメリカにおける合理的配慮の認知度は90.4％と，調査回答者のほとんどが合理的配慮を知っているということになる。この数字を比較すると，アメリカは日本の3倍近くの認知度を持っていることとなる。しかし，アメリカにおける認知度の高さについては，慎重な解釈が必要である。「ReasonableAccommodation」という表現が日常英語では「手ごろな値段（Reasonable）の宿泊施設（Accommodation）」という意味でも使われることから，回答者が障害者への配慮とは異なる意味で理解していた可能性も考えられる。4-2．合理的配慮を知ったきっかけ日本において，合理的配慮を知ったきっかけは，報道や公的機関のホームページ，広報誌が多かった。一方，アメリカにおいては「人から聞いて」が最も多かった。日本では公的ないしはやや公的とされている機関が情報源になっているのに対し，アメリカでは，コミュニケーションの中で合理的配慮が周知されている。アメリカでも公的な機関や報道が合理的配慮について言及していることが考えられることから，これは情報源の種類の多様化を示していると言えるだろう。アメリカでは自由記述の回答も多く，職場での研修や，自分や家族が障害者であることがきっかけとして挙げられていた。「20年前にマクドナルドの研修で聞いた」という回答は民間企業において合理的配慮の研修が行われていることを示している。法律の対象となる事業者が研修を継続的に実施することで，合理的配慮を知る人びとは増加する。このような企業研修の情報源の一つとして無視できないものである。そして，日本においても同様の取り組みが進めば，認知度の向上が期待できるのではないだろうか。4-3．障害者との関わり自身が障害者かどうかは，日本5.7％，アメリ108

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合理的配慮概念の認知に関する比較研究カ23.7％であった。実際のところ，この答えは，その国における障害者の定義に左右されるiii）。アメリカ疾病予防管理センター（CentersforDiseaseControlandPrevention2024）は，2022年の調査において，アメリカの成人のうちの25％以上が障害者であると報告したと述べている。一方，日本では，障害者の推計は人口の約9.3％程度とされる（厚生労働省2025）。日本やアメリカの障害者の割合は，こうした調査と整合的である。障害者との関わりは日本では少なかったが，アメリカでは非常に多かった。この結果からは，以下の可能性が示唆される。障害者と自分を見ている人たちの中には，周りに障害者であることを開示している人がいるかもしれない。障害者の総数が増えれば，開示している人の数も増えると考えられる。だからこそ，周りに障害者がいると答えた人が多くなっているのかもしれない，ということである。4-4．障害者との関わりと認知度日本においては，自分自身が障害者であることや，障害者との接点がある人の方が合理的配慮の認知度が高い傾向が見られた。一方，アメリカにおいては，障害者との接点の有無にかかわらず認知度が高く，「身近にいたことはない」と答えた人でも90％以上が合理的配慮を知っていた。このことから，アメリカでは合理的配慮という概念が社会全体に浸透していることがうかがえる。しかし，繰り返しになるが，この結論は慎重に行われるべきものかもしれない。5．おわりに本論文では，日本において合理的配慮の認知を高めることが必要であるという問題意識の下，先駆的な事例であるアメリカから学ぶために，第一段階として，日本とアメリカにおける合理的配慮の認知の実態を明らかにし，両国の違いを検討した。本研究は，調査を行って，合理的配慮の認知の日米比較を試みた点に独自性がある。合理的配慮の認知度については，日本とアメリカの違いが現れていた（ただし，誤解の可能性もある）。アメリカは合理的配慮の認知度が日本より3倍近く高かった。合理的配慮を知るきっかけについては，日本の人びとが公的またはやや公的と考えられる情報源を示している一方で，アメリカの人びとは「人から聞いて」と答える人が多かった。障害者の関わりについては，自分自身が障害者であると答える者や周りに障害者が多いと答える者が，日本に比べ多かった。合理的配慮の主観的な認知と障害者との関わりについての関連は，日本においては自分自身が当てはまると述べた人は比較的合理的配慮について聞いたことがあったと答えた。また，日本においては障害者との関わりがある場合に，合理的配慮の認知度が高まる傾向にあったが，アメリカは，そもそも合理的配慮についての認知度が高いため，どのカテゴリーにおいても知っている人や聞いたことがある人が多かった。慎重な解釈が必要ではあるが，アメリカにおいて，コンプライアンス意識を持った企業が研修をしたり，合理的配慮を知っている人が増えたりすることによって，情報源が増え，さらに認知度が高まるという「好循環」といったようなものが生じている可能性があるのではないか。日本はこの好循環をまずは作っていくことが必要であろう。しかし，本文中に繰り返し述べてきたように，今後検討しなければいけない課題がある。合理的配慮を知っていると答えた者が，正しく合理的配慮を知っているとは限らないことである。合理的配慮を知っていると答えた者の中に，本調査ではじめてこの概念を知ったと答えている者がいた。本調査では，合理的配慮についてのそれぞれの定義を自由記述式で書いてもらっている。合理的配慮を知っていると答えた者の，定義の正しさを確認することができるだろう。注i）ADAは「障害を持つアメリカ人法（AmericanswithDisabilitiesAct）」の略称である。ii）本調査の結果については以下の通りである。「合理的配慮の考え方について知っている」（4.3%），「合理的配慮という言葉は聞いたことがある」（19.9%），「合理的配慮については知らない」（75.8％）。109

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社会イノベーション研究iii）たとえば，WHOは，世界人口の約16％が何らかの障害を持つと推計している（WHO2022）。文献CentersforDiseaseControlandPrevention,2024,“CDCDataShowsOver70MillionU.S.AdultsReportedHavingaDisability”,（RetrievedNovember30,2025,https://www.cdc.gov/media/releases/2024/s0716-Adult-disability.html）.後藤悠里・佐藤剛介,2018,「『合理的配慮』は人々にいかに理解されているか――意識調査における自由記述回答の分析を通じて」『障害学研究』14：248-271．後藤悠里,2025,「合理的配慮概念の理解についての研究：2024年の調査から」『社会イノベーション研究』20（2）：37-48.Grisham,J.G&Hutton,R.W.,2014,“ReligiousAccommodationintheWorkplace:CurrentTrendsUnderTitleVII,”Engage,15（2）:60-69.飯野由里子・星加良司・西倉実季,2022,『「社会」を扱う新たなモード――『障害の社会モデル』の使い方』生活書院．Katz,E.,&RodgerDeRose,2010,“TheADA20YearsLater:The2010SurveyofAmericansWithDisabilities,”TheJournalofSpinalCordMedicine,33（4）:345.川島聡・飯野由里子・西倉実季・星加良司,2016,『合理的配慮――対話を開く，対話が拓く』有斐閣．KesslerFoundation,2010,“2010AnnualReport”,（RetrievedNovember30,2025,https://kesslerfoundation.org/sites/default/files/2019-07/Kessler_Foundation_Annual_2010.pdf#:~:text=Kessler%20Foundation%20partnered%20with%20the%20National%20Organization%20on,lifestyle%20gaps%20between%20Americans%20with%20and%20without%20disabilities）.厚生労働省,2025,「令和4年生活のしづらさなどに関する調査（全国在宅障害児・者等実態調査）：結果の概要」（2025年11月30日取得,https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/seikatsu_chousa_b_r04.html）．森祐司,2013,「基調報告：『障害者権利条約』批准と制度」改革」『日本障害フォーラム（JDF）全国フォーラム：障害者権利条約の批准と完全実施～国内法制の課題と取り組み～』（2025年11月30日取得,https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/rightafter/131204_JDF/jdf131204.html）．内閣府,2009,「『障害を理由とする差別等に関する意識調査』の公表について」（2025年11月30日取得,https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/tyosa/h21ishiki/pdf/kekka.pdf）．内閣府,2012,「調査票－障害者に関する世論調査（平成24年7月調査）」（2025年11月30日取得,https://survey.gov-online.go.jp/h24/h24-shougai/3_chosahyo.html）．内閣府,2017,「4ページ目－障害者に関する世論調査（平成29年8月調査）」（2025年11月30日取得,https://survey.gov-online.go.jp/h29/h29-shougai/2-3.html）．内閣府,2025,「障がい者制度改革推進本部，障がい者制度改革推進会議，差別禁止部会」（2025年11月30日取得,https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/kaikaku.html#bukai7）．Scotch,R.K.,1984,FromGoodWilltoCivilRights:TransformingFederalDisabilityPolicy,TempleUniversityPress.（=2000,竹前栄治監訳,『アメリカ初の障害者差別禁止法はこうして生まれた』明石書店.）U.S.CommissiononCivilRights,1983,AccommodatingtheSpectrumofIndividualAbilities,Washington,D.C.:U.S.CommissiononCivilRights.（RetrievedNovember30,2025,https://www.usccr.gov/files/historical/1983/83-019.pdf）.WHO,2022,GlobalReportonHealthEquityforPersonswithDisabilities,WorldHealthOrganization.矢嶋里絵,2018,「批准前の国内法整備」長瀬修・川島聡編『障害者権利条約の実施―批准後の日本の課題』信山社,5-31.八代英太・冨安芳和編,1991,『ADA（障害をもつアメリカ人法）の衝撃』学苑社.謝辞本調査は，成城大学特別研究助成（研究課題：合理的配慮概念の理解・受容に関する日米比較調査）を受けて実施されたものである。110

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社会イノベーション研究第21巻第2号（111-120）2026年3月認知的イノベーションとしてのOverview2026年1Effect月8日掲載承認の可能性認知的イノベーションとしてのOverviewEffectの可能性ThePotentialoftheOverviewEffectasCognitiveInnovation成城大学社会イノベーション学部教授成城大学社会イノベーション学部准教授新垣紀子SHINGAKINoriko，後藤悠里GOTOYuri1．はじめに1-1.研究の背景と目的人類の歴史は，単なる技術的進歩の積み重ねではなく，世界を捉える認知的枠組み（フレームワーク）を絶えず更新し，拡張してきたパラダイム変革の歴史といえる。本稿においてのパラダイム変革とは，単なる変化ではなく，「どこに視点を置くか」という前提そのものが覆ることを指す。かつて天文学において天動説から地動説へと視点が転換された。同様の変革はあらゆる領域で見られる。医学における「生物・心理・社会モデル」への転換（Engel,1977）は，疾患を局所的な不具合から全体的な生命の文脈へと解放した。ヒューマンインタフェース設計における「人間中心デザイン」への転換（Norman,1988）は，設計の出発点を見直す本質的な変革であった。人間が人工物の機能に従属し適応するという従来の状況を打破し，人工物がいかに人間の生活を豊かにし，幸福にすることができるかという視点で設計の根源を据え直すものだった。また，障害を個人の欠陥ではなく社会の障壁に帰属させる「障害の社会モデル」への転換（Oliver,（1990三島・山岸・山森・横須賀訳2006））も，個人への医学的介入から社会的障壁の解消への決定的な一歩となった。これらの変革に共通するのは，視点の置き所を限定された個（ミクロ）から包括的な全体（マクロ）へと移動させ，物事を構造的に捉え直すことで，未解決の問題に新たな解をもたらすという点にある。本稿で焦点を当てるOverviewEffectは，こうした人類史における認知的枠組みの更新の最も先端に位置する現象であるといえる。宇宙飛行士が国境という境界線のない地球を外側から眺める際に体験するこの心理的変容は，地上での様々な問題を，捉えなおす可能性をもっている。1-2.社会的課題の解決に向けた認知的アプローチ現代社会が直面する難民を巡る分断に対し，従来のアプローチの多くは，特定の個人の悲劇を強調することで感情的な反応を喚起し，支援行動を促進する手法に依存してきた。こうした現象は特定の犠牲者に対して支援が起動しやすい「識別可能な犠牲者効果」として知られている（Small,&Loewenstein,2003;Kogut＆Ritov,2005）。Small,etal.（2007）は，統計的多数の犠牲者よりも，具体的な一人の物語や写真が提示された場合に寄付が高まりやすいこと，さらに統計情報の付加や論理的思考への誘導によって，その寄付がむしろ低下し得ることを示した。すなわち，支援すべき対象がマクロ化・抽象111

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社会イノベーション研究化すると，共感や寄付が一貫して高まるわけではなく，全体として冷淡さが生じ得ることを示唆している（Smalletal.,2007）。この知見は，「個人の物語」が支援を引き出す一方で，対象が数百万の難民といった抽象的・大規模な集団へと拡大した際には，支援の動機づけが維持されにくいという構造的限界を示す。しかし重要なのは，支援の限界が単に感情の弱さだけで説明されるのではなく，援助関係そのものが非対称性を含み得る点である。社会心理学では，援助は道徳的善意にとどまらず，集団間の地位関係（権力関係）を維持・変化させる相互行為として理解されてきた。Nadler（2002）は，援助が高地位集団から低地位集団へおこなわれるという関係の中で，受け手の自律を促す援助ではなく，依存を生む援助として与えられる場合，既存の支配関係を温存し得ることを理論化している。さらに，社会的認知の研究では，ある集団を「温かみはあるが有能ではない」とみなすパターナリスティックなステレオタイプが，哀れみに近い情動反応を生みやすいことが示されている（Fiske,etal.,2002）。この理論では，支援が相手を“守るべき弱者”として固定化し，結果として相手を社会における対等な成員として扱わない可能性を示唆している。以上より，移民・難民のような社会的争点において，単に個別事例への感情喚起を強めるだけでは，支援の持続性や対立の緩和につながりにくい可能性がある。むしろ，支援者と被支援者が上下の救済関係として結びつく垂直的枠組みから脱却し，同じシステム（地球）を共有する成員として関係を再定義するような“水平的な連帯”への認知的転換が必要である。本稿では，垂直的な枠組みから水平的な連帯への認知的な転換を認知的イノベーションと位置づけ，その転換を促し得る現象として，OverviewEffectに着目する。2．OverviewEffectへの着目2-1.OverviewEffectとは1968年，アポロ8号の乗組員が月の周回軌道から撮影した「地球の出」の映像は，世界に衝撃を与えた。漆黒の宇宙に浮かぶ青い地球の姿は，多くの宇宙飛行士に劇的な心理的変容をもたらした。宇宙飛行士たちが「地球を見て人生観が変わった」「国境が無意味に感じられた」「地球を守らなければならないと思った」と語ったことは知られていた。しかしこれらの語りは体系的に整理されていなかった。White（1987）は，宇宙飛行士へのインタビューを行い，さらに宇宙飛行士の回想録を集めることで，そこに共通する心理的な特徴を整理し，これをOverviewEffectと呼んだ。この世界観の変化は，地球が宇宙の中で，薄い大気に守られた虚空に浮かんでいる小さく壊れやすい生命の球体であるという現実を直接目にする経験から生まれる。共通するのは，畏敬の念，すべての生命の相互関係に対する深い理解，そして環境を守ることへの責任感の構築などがある。宇宙という外側からの視点を得ることで，人類が地球という一つの共同体であるという深い認識に至ることが指摘されている（White,1987）。White（1987）によれば，OverviewEffectは，個人レベルの意識から社会レベル，さらには地球環境への意識にまで効果があるという。個人レベルの意識としては，自分中心の視点が弱まり，畏敬・超越感が生じ，人生の優先順位が変わる。成功・競争より責任・つながりを重視するようになるとした。また社会レベルの効果としては，国境や民族の対立が相対化され，ナショナリズムが相対的に弱まる。他集団への寛容さが増すことで，対立を消失させなくても対立を小さなものとして捉える視点を与える。White（1987）が最も重視した視点は，地球環境への効果である。大気の薄さや，地球の脆弱性を認識することで，環境保護意識や地球への責任感が高まると考察した。このように，OverviewEffectは，個人の価値観から社会・環境意識までを変容させる可能性を持つが，White（1987）の調査は，宇宙飛行士への事後的なインタビューからの見立てであり，これらの効果が，地球を外側から見ることによって生起されているのかという因果関係までは，明ら112

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認知的イノベーションとしてのOverviewEffectの可能性かではなかった。OverviewEffectは，次節で示す畏敬の構成要素である「広大さの知覚」と「認知的枠組みの更新」を極限的な形で満たす体験であり，畏敬が強く生起する事例として位置づけることができる。Yadenetal.（2016）は，宇宙飛行士たちの手記やインタビューを質的に分析し，OverviewEffectが畏敬の念と自己超越的な側面を持っていることを示した。本研究の目的は，OverviewEffectがもたらす畏敬の念が，個人の社会的態度や他者への寛容性を向上させるのではないかということを検討することにある。地球を外側から見るというマクロな視点の獲得が，移民・難民を同じ地球上の人として受容する心理的基盤を形成する可能性を検証する。2-2.畏敬の念と認知的枠組みの更新現代社会では，国家間，宗教間，あるいは民族間の小さな境界線を巡る紛争は絶えず起こっている。特に移民の受け入れを巡る議論では，自国民（内集団）と他国民（外集団）の人の間で分断が起こっている（北村・唐沢,2018）。このような社会的分断に対し，本研究では，畏敬の念からのアプローチを試みる。畏敬の念とは，広大で深遠なものに触れた際に，既存の認知的枠組みでは処理しきれないことで生じる複雑な感情である（Keltner&Haidt,2003）。Keltner&Haidt（2003）によれば，畏敬の念が成立するためには，2つの要素がある。一つは，「広大さ（Vastness）の知覚」である。自分自身や自分の日常的な基準をはるかに超える大きさを感じることが重要であり，物理的な大きさだけでなく，社会的地位の高さや名声，壮大な理論といった象徴的な広大さも含まれる。もう一つは，「認知的枠組みの更新の必要性（NeedforAccommodation）」である。目の前の巨大な経験が，自分の既存の知識や価値観では処理しきれず，世界理解の再構成を促す状態を指す。これにより，人は驚き，時には啓示に近い感覚を覚える。畏敬は，単なる喜びや恐怖ではなく，自己を超越させ，世界と深いつながりを感じさせる役割を果たしている。2000年代以降，畏敬の念を実験的に誘発し，その効果を検討する研究が蓄積されてきた（Shiotaetal.,2007;Ruddetal.,2012;Piffetal.,2015）。これらの研究では，壮大な自然映像や宇宙映像の視聴，過去の畏敬体験の想起といった方法が用いられ，畏敬の念が自己認識や社会的行動に与える影響が検討されている（Shiotaetal.,2007）。畏敬の念がどのような形で引き出されるにせよ，核となるのは観察者の通常の参照枠を何らかの次元や領域で劇的に拡大させる知覚である（Shiotaetal.,2007）。宇宙から地球を見るという体験は，人々に極限的な広大さを知覚させ，認知的枠組みの更新を必要とする刺激であるといえる。2-3.スモール・セルフによる水平的な視点の獲得過去の研究では，畏敬の念が社会的認知に及ぼす影響について議論されている。例えば，畏敬の念は，人々がより多くの利用可能な時間を持っていると感じさせ，幸福感を高めることができる（Ruddetal.,2012）。畏敬の念を覚えると，不確実性の感覚が誘発され，例えば，ランダムな数字列にも人の意図を感じやすい傾向がみられた（Valdesolo&Graham,2014）。また，私たちは，自分は自分よりも大きなものの一部であり，最も典型的なのは，コミュニティ，文化，人類，自然など，より大きなカテゴリーの一部であるという感覚とも結びついている。Shiotaetal.（2007）は，気質的畏敬の念が高い人は，「特別」や「唯一無二」といった個別的な用語を使って自分を定義する傾向が低く，例えば「人」や「地球の住人」といった大きなカテゴリーに属することを強調する傾向が高いことを発見した。畏敬はまた，自己の小ささという比喩的な感覚を引き起こす。畏敬の念を経験した参加者は，環境に対して自分が小さいと感じたと述べている（Camposetal.,2013）。畏敬の体験を想起した参加者は，自分自身よりも偉大な何かを認識し，自己を小さくて取るに足らないと感じ，個人的な日常的な関心事への注意が薄れると感じたと報告113

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社会イノベーション研究している（Shiotaetal.,2007）。これらの研究は，畏敬の念が，自己を超えた広大な存在や個人のアイデンティティより集団的な側面に注意を向けることを示唆している，そして，個人が個人的な関心事や目標に付与する重要性を低下させることを示唆する。こうした証拠の多くは，個人が過去の畏敬体験における顕著なテーマを回想する物語的データに基づくものであった。畏敬が自己表象にそのような変化をもたらすことを示すには，より多くの実験的研究が必要である。Piffetal.（2015）は，広大な自然などの対象に触れることで生じるスモール・セルフという感覚を実験的に検討した。畏敬の念を感じることで，個人のエゴや日常的な悩みが相対的に小さく感じられ（自己の矮小化），結果として「自分はより大きな存在（人類，地球，宇宙）の一部である」という集合的アイデンティティが強化されることを示した。Piffetal.（2015）の実験では，参加者に現在の自分を円で表現させた。広大な自然の映像を見て畏敬の念を抱いた参加者は，中立的な映像を見た群に比べ，自分を表す円を統計的に有意に小さく描いた。これは，物理的な広大さの処理が，自己の心理的な大きさの縮小に直結することを示唆している。宇宙飛行士が国境の消失や地球の脆弱性を強調する背景には，この自己の境界線の希薄化とスモール・セルフの心理的プロセスが存在していると考えられる。2-4.スモール・セルフによる社会的関心の拡大と水平的な視点の獲得スモール・セルフの状態に至ると，心理的リソースが自己の防衛や利益から水平的な助け合いの動機付けの強化，他者や社会，環境へと転換される。Shiotaetal.（2007）は，畏敬の念がポジティブ感情の中でも特に，注意を外界（自分以外のもの）に向けさせる機能が強いことを指摘している。この注意の外部化により，普段は敏感に反応してしまう自分と異なる他者への警戒心が解かれ，より包摂的な視点を持つことが可能になる。また，Piffetal.（2015）は一連の実験により，畏敬の念が向社会的な行動を促進することを検証した。畏敬の念によって自己が相対化されると，利己的な欲求が抑制され，集団や社会全体の利益を優先する傾向が強まった。壮大な大自然の映像（畏敬の念）を見たグループは，中立的な映像を見たグループに比べて，より倫理的な判断を下し，宝くじを他人に譲るなどの寛容さを見せた。大学のキャンパス内で，非常に高いユーカリの木を見上げた学生（畏敬群）と，普通のビルを見上げた学生を比較した。直後に実験者がペンをわざとバラまいた際，木を見上げた学生の方が，より積極的にペンを拾うのを手伝った。これらの研究は，宇宙飛行士が宇宙から地球をみることにより，地球帰還後に平和運動や環境保護活動に深く関与することとにもかかわると考えられる。これは，OverviewEffectによる行動を裏付ける実証的な根拠となる可能性がある。スモール・セルフのメカニズムは，「移民・難民の受け入れ」や「紛争の解消」などの寛容性に結びつく可能性がある。自己が小さくなることで，自己を定義していた「国籍」「人種」「社会階層」といった属性の重要性が低下する。さらに地球という巨大なスケールの中では，移民・難民も自分も「脆弱な生命維持システム（地球）に依存する共同体」であるという共通性が際立つ。また，スモール・セルフを経験した個人は，見返りを期待しない向社会的な行動をとる傾向が強まることから（Piffetal.,2015），これが未知の他者（移民・難民など）に対する受容的な態度へとつながると考えられる。このように，OverviewEffectによる「水平的な連帯」は，対象を「弱者」として憐れむのではなく，自分と同じ「小さくも尊い生命」として尊重する心理的プロセスに基づいている。これは，対象者を社会の一員としてではなく，救済を待つだけの弱者というカテゴリーに閉じ込め，結果として既存の社会的ステレオタイプを強化するスティグマ化を回避しつつ，社会的分断を乗り越えるための新たな認知的アプローチの核心となる可能性がある。114

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認知的イノベーションとしてのOverviewEffectの可能性3．実験室におけるOverviewEffectの試み本調査の実施にあたっては，著者らの所属機関の研究倫理審査委員会の承認を受けた。3-1-1.調査の目的OverviewEffectは実際の宇宙飛行という極めて特殊な条件下で報告された現象であり，その検証は主に質的記述に依存してきた。そのため，心理学的に操作・測定可能な形でOverviewEffect的体験を再現し，その効果や限界を実証的に検討することは困難であった。この点が，畏敬の念の研究とOverviewEffect研究を検討する上での方法論的な課題となっている。近年，この課題に対する有力なアプローチとして注目されているのが，バーチャル・リアリティ（VR）や没入型映像技術の活用である。VRは，高い没入感と視点操作を可能にし，参加者にその場にいる感覚を生じさせることができる（Slater&Sanchez-Vives,2016）。これにより，宇宙から地球を俯瞰する視点や，自己を取り巻く空間スケールの劇的な変化を，現実的かつ再現可能な形で提示することが可能となる。実際，近年の研究では，VRを用いた自然体験や宇宙的映像が，畏敬やスモール・セルフを効果的に誘発することが報告されている（Chiricoetal.,2018）。さらに，vanHorenetal.（2024）がVRを用いた実験により，宇宙から地球を俯瞰する体験が，単なる主観的な感情変容に留まらず，環境保護行動という具体的な向社会的行動を促進することを実証している。このようなVR映像を用いた体験は，実際の宇宙飛行には及ばないものの，OverviewEffectの要素である地球規模の広大さの知覚と認知的枠組みの更新を部分的に再現する疑似的なOverviewEffectとして位置づけることができる。したがって，映像を用いた実験的検討は，OverviewEffectを畏敬研究の枠組みの中で検証可能な現象へと橋渡しする重要な手段になると考えられる。以上を踏まえ，本調査では，簡便に映像刺激を用いて疑似的なOverviewEffect体験を誘発するか，また，それが社会的・環境的態度に及ぼす影響を検討することを目的とする。3-1-2.調査参加者日本の大学生145名（平均年齢20.20歳（SD＝0.91）を対象に調査を実施した。地球映像刺激群（78名），大学映像刺激群（67名）にランダムに割り当てた。なお，全参加者は著者らが所属する大学（以下，本学）の学生であり，日常生活において本学のキャンパスを利用している。3-1-3.実験デザインと刺激本研究では，1要因2水準の参加者間計画を用いた。独立変数は提示刺激とし，以下の2種類の映像刺激を設定した。映像はいずれも3分間の長さであった。地球映像（実験群）：宇宙空間から地球を捉えた高精細な映像。映像には国境線や文字情報は含まれず，暗黒の宇宙に浮かぶ青い地球がゆっくりと自転する様子を提示した。これは，先行研究（White,1987）が定義するOverviewEffectを誘発することを目的としたものである。大学映像（統制群）：本学キャンパスの風景を写した映像を用いた。日常的な光景を提示した。いずれの映像でも，音声はなしとした。3-1-4.測定項目自由記述，難民支援への募金意向額，難民受け入れ可否（10件法），および「身近な人と世界の人（1-10）」の幸福への願い（10件法）を測定した。3-1-5.手続き調査は教室環境にて実施された。調査の目的および個人情報の保護について事前に説明し，同意を得た。参加者はランダムに割り振られたいずれか一方の映像を約3分間スクリーンで視聴した。映像視聴後，直ちに映像視聴確認テストおよび3項目の意識調査および身近な人々の幸せと世界の人々の幸せのどちらを願うかを10件法で尋ねた。その後，属性質問等に回答した。実験終了後，デブリーフィングとしてOverviewEffect関するに115

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社会イノベーション研究研究の意図を説明した。3-2.結果（1）自由記述の分析表1～4に示す通り，地球映像群では「壮大」「綺麗」「神秘的」といった表1地球映像を見た感想における頻出名詞順位単語出現数主な文脈1位地球41回記述の中心。自転や大きさ，美しさについて言及する際の主語。2位映像14回「〜な映像だった」と媒体を客観的に捉える際に使用される表現。3位宇宙11回地球が存在する場としての広大さ。4位光8回夜の街の明かり，太陽の光，時間の経過。5位大陸6回地形への注目。「どこだろう」という推測。5位音6回「無音」「音がない」ことへの違和感や退屈さ。7位太陽4回明暗の差を作る原因，天体としての動き。7位夜4回都会の光が目立つ時間帯としての言及。9位自転3回理科的な知識と映像の動きの結びつけ。9位雲3回地球の表面でリアルに動くものへの注目。表2地球映像をみた感想における頻出形容詞・形容動詞順位単語出現数主な文脈1位綺麗/きれい12回視覚的な美しさに対する直感的な感想。2位面白い6回知的な発見や，映像の珍しさに対する評価。2位壮大6回スケールの大きさに対する圧倒された感覚。4位長い5回変化の少なさによる時間の経過感（ややネガティブ）。5位眠い4回映像のゆったりした動きによって生じる生理的反応。6位不思議3回日常と違う視点や，回転の方向への違和感。6位退屈3回刺激のなさに対する評価。8位暗い2回夜のエリアや宇宙空間のトーン。8位広い2回宇宙や地球の空間的な広がり。8位神秘的2回非日常的な美しさや神聖な雰囲気。表3大学映像を見た感想における頻出名詞順位単語出現数主な文脈1位大学16回帰属先としての意識。PR対象としての評価。2位ラウンジ12回映像の中に現れた特定の施設への言及。多すぎるとの指摘も。3位動画11回紹介動画，PR動画としての役割に注目。4位8号館9回特定の施設名。新しい場所への注目。4位人/生徒/友達9回知り合い探しや，男女比，マスクの有無。6位音7回音がないことによる雰囲気の伝わりにくさ。7位雰囲気6回学校全体の空気感や，演出されたイメージ。7位場所6回知っている場所と知らない場所の比較。9位日常5回普段の学生生活との合致や美化の検証。9位様子5回学生がどう過ごしているかという観察。116

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難民を日本が受け入れるべき難民支援金︵順位得点︶認知的イノベーションとしてのOverviewEffectの可能性表4大学映像をみた感想における頻出形容詞・形容動詞順位単語出現数主な文脈1位綺麗/きれい11回校舎の美しさや，動画の加工に対する評価。2位良い7回大学の印象や，紹介動画としての完成度。3位多い6回特定の場所（ラウンジ）や女性の映る頻度。4位明るい4回学校のイメージや，映像のトーン。4位楽しい4回充実した学生生活のイメージ。6位魅力的3回入学希望者が見た時のポジティブな効果。6位違和感3回現実との差。8位退屈2回音がない，あるいは見慣れた光景への反応。8位新鮮2回普段と違うアングルで見る自分の大学。8位爽やか2回映像全体の清潔感やトーンへの印象。スケールの大きさや美しさに関する語彙が頻出したのに対し，大学映像群では「日常」「雰囲気」や特定の施設名など，帰属先や現状に関する記述が中心であった。（2）定量的指標の比較提示された視覚刺激が具体的な社会課題への態度や価値観の優先順位に及ぼす影響を検討するため，「価値観の優先順位」，「難民受け入れに対する態度」，および「難民支援金」の3指標について群間比較を行った。・価値観の優先順位の比較1-10），あなたは次のどちらをより大切にしたいと思いますか」という問いについて，地球映像群（M=2.85,SD=1.59）と大学映像群（M=2.84,SD=1.53）の平均値に有意差は認められなかった（（t143）=0.040,p=.968,d=0.007）。・難民受け入れに対する態度の比較（図1参照）「難民を日本が受け入れるべきである」という態度について，地球映像群（M=4.74,SD=2.54）と大学映像群（M=5.03,SD=2.81）の間に有意な差は認められなかった（（t143）=−0.644,p=.520,d=−0.107）。・難民支援金（支払い意思額）の比較（図2参照）難民支援への支払い意思額についてはデータの分布を考慮しマン・ホイットニーのU検定を用いた。その結果，地球映像群（平均順位=73.58,n=78）と大学映像群（平均順位=72.33,n=67）の間に有意な差は認められなかった（U=2568.0,Z=−0.179,p=.858）。図1難民を日本がうけいれるべきか図2難民にいくら募金したいか������.����地球映像大学映像����.�地球映像大学映像����刺激��.�刺激※エラーバーは95％信頼区間117

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社会イノベーション研究（3）受け入れ理由の傾向地球群では「国際社会の一員としての責務」を選択する者がやや多かったが，同時に「受け入れるべきでない」という回答も21件見られ，態度の二極化が示唆された（表5・6参照）。3-3.考察本研究の映像刺激では向社会行動がみられなかった要因として，以下が考えられる。第一に，没入感の不足である。平面スクリーンによる3分間の映像では，既存の認知的枠組みを破壊するほどの「畏敬」を引き起こすには強度が不足していた可能性がある。第二に，難民問題は治安や経済に関わる具体的な課題であり，抽象的な宇宙視点のみでは，既存の信念やリスク認識を上書きできなかったと考えられる。第三に，地球を俯瞰しマクロな視点をとることで，かえって個々の人間の苦しみへの焦点が弱まった可能性も否定できない。4．総合考察実験の結果，地球俯瞰による「広大さの知覚」はある程度生起したものの，それが難民を支援するという具体的な社会的寛容性へと転換されるには至らなかった。宇宙からの視点は，地上の境界線を消し去り「水平的な連帯」の土壌を作る一方で，個々の人間が抱える具体的な苦しみや文脈を不可視化してしまう可能性がある。Smalletal.（2007）が指摘したマクロな統計的視点が共感を減退させるのと同様に，OverviewEffectは，難民という具体的な個人への焦点を弱め，結果として向社会的な動機づけを抽象的なレベルに留めてしまう可能性がある。しかし，今回の結果はOverviewEffectの有効性を否定するものではないだろう。地球映像群において「国際社会の一員としての責務」を理由に挙げる者が一定数存在した。これは，哀れみという情緒的な反応（垂直的関係）に頼らずとも，世表5日本が難民を受け入れるべきであると思う理由の選択件数（複数回答）地球映像群大学映像群日本の受け入れ数は，他の先進国と比較して少ないと思うから32受け入れることは，国際社会の一員としての責務であるから154受け入れることが，多様性のある社会の発展につながるから86受け入れることが，日本の人手不足の解決の一助になるから47受け入れることが，日本の人口減少による問題の解決の一助になるから01受け入れるべきでない2115表6日本が難民を受け入れるべきでないと思う理由の選択件数（複数回答）地球映像群大学映像群日本は，世界で生じている難民問題の解決や紛争などによる人道危機への対応のために，資金援助などの支援に力を入れているから受け入れると，地域での定住の支援を始めとする社会的な負担が大きくなることが心配だから受け入れることで，文化や価値観，生活習慣などの違いによる社会的摩擦が生じるなど，暮らしにくくなることが心配だから受け入れる人の中に，犯罪者などが混ざっていた場合には，治安が悪化する心配があるから受け入れることで，その人を頼って，更に多くの難民及び人道上の配慮が必要な人が日本に集まってくることが心配だから0035387410受け入れるべき2117118

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認知的イノベーションとしてのOverviewEffectの可能性界に対する理解を再定義する「認知的枠組みの更新（水平的関係）」が芽生えつつある兆候と捉えることもできる。この点に関して，vanHorenetal.（2024）は，擬似的なOverviewEffect体験が環境保護行動を促進することを実証している。同研究において「地球の保護」というマクロな対象への行動変容が認められた一方で，本研究の「難民支援」という対人的・社会的な領域で有意な変化が見られなかった点は，OverviewEffectが作用する対象の境界を示唆している可能性もある。すなわち，「地球を守る」という動機づけは映像刺激（青い地球の姿）から直接的に導かれやすいのに対し，特定の社会的属性を持つ「他者（難民）」への寛容性を引き出すには，物理的な広大さの知覚だけでは乗り越えがたい，より複雑な心理的障壁（治安への不安や経済的リスク認識など）が介在している可能性がある。宇宙から国境が消えて見えても，日常生活は依然として境界のある世界に規定されている。このギャップをいかに埋めるかが，今後の研究課題となるだろう。5．結論本研究は，社会的分断を解決する認知的イノベーションとしてOverviewEffectに着目した。映像による疑似的な方法では，社会的バイアスを完全に上書きするには至らなかったが，哀れみによるスティグマ化を伴わない，連帯を作り出すための新たな方策となる可能性を提示した。今後の課題は，このマクロな「水平的視点」と，個人に寄り添うミクロな「共感」をいかに統合するかにある。謝辞：本研究は，成城大学特別研究助成およびJSPS科研費JP23K11747の助成を受けた。参考文献Campos,B.,Shiota,M.N.,Keltner,D.,Gonzaga,G.C.,&Goetz,J.L.（2013）.Whatisshared,whatisdifferent?Corerelationalthemesandexpressivedisplaysofeightpositiveemotions.CognitionandEmotion,27,37–52.http://dx.doi.org/10.1080/02699931.2012.683852Chirico,A.,Ferrise,F.,Cordella,L.,&Gaggioli,A.（2018）.Designingaweinvirtualreality:Anexperimentalstudy.FrontiersinPsychology,8,2351.https://doi.org/10.3389/fpsyg.2017.02351Engel,G.L.（1977）.Theneedforanewmedicalmodel:Achallengeforbiomedicine.Science,196（4286）,129-136.https://doi.org/10.1126/science.847460.Fiske,S.T.,Cuddy,A.J.C.,Glick,P.,&Xu,J.（2002）.Amodelof（oftenmixed）stereotypecontent:Competenceandwarmthrespectivelyfollowfromperceivedstatusandcompetition.JournalofPersonalityandSocialPsychology,82（6）,878–902.https://doi.org/10.1037/0022-3514.82.6.878Keltner,D.,&Haidt,J.（2003）.Approachingawe,amoral,spiritual,andaestheticemotion.CognitionandEmotion,17（2）,297–314.https://doi.org/10.1080/02699930302297北村英哉・唐沢穣（編）（2018）偏見や差別はなぜ起こる？心理メカニズムの解明と減少の分析,ちとせプレス.Kogut,T.,&Ritov,I.（2005）.The"Identifiedvictim"effect:Anidentifiedgroup,orjustasingleindividual?JournalofBehavioralDecisionMaking,18（3）,157–167.https://doi.org/10.1002/bdm.492Nadler,A.（2002）.Inter-grouphelpingrelationsaspowerrelations:Maintainingorchallengingsocialdominancebetweengroupsthroughhelping.JournalofSocialIssues,58（3）,487–502.https://doi.org/10.1111/1540-4560.00272Norman,D.A.（1988）.ThePsychologyofEverydayThings.BasicBooks.Oliver,M.（2006）.障害の政治（三島亜紀子・山岸倫子・山森亮・横須賀俊司訳）明石書店.（OriginalworkPublished1990ThePoliticsofDisablement.London:MacmillanEducation.）．Piff,P.K.,Dietze,P.,Feinberg,M.,Stancato,D.M.,&Keltner,D.（2015）.Awe,thesmallself,andprosocialbehavior.JournalofPersonalityandSocialPsychology,108（6）,883-899.https://doi.org/10.1037/pspi0000018.Rudd,M.,Vohs,K.D.,&Aaker,J.（2012）.Aweexpandspeople’sperceptionoftime,altersdecisionmaking,andenhanceswell-being.PsychologicalScience,23（10）,1130–1135.https://doi.org/10.1177/0956797612438731Shiota,M.N.,Keltner,D.,&Mossman,A.（2007）.Thenatureofawe:Elicitors,appraisals,andeffectsonself-concept.CognitionandEmotion,21（5）,944–963.https://doi.org/10.1080/02699930600923668Slater,M.,&Sanchez-Vives,M.V.（2016）.Enhancingourliveswithimmersivevirtualreality.FrontiersinRoboticsandAI,3,74.https://doi.org/10.33891frobt.2016.00074Small,D.A.,&Loewenstein,G.（2003）.HelpingaVictimorHelpingtheVictim:AltruismandIdentifi-119

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社会イノベーション研究ability.JournalofRiskandUncertainty26,5–16.https://doi.org/10.1023/A:1022299422219Small,DeborahA.,Loewenstein,G.,&Slovic,P.（2007）.Sympathyandcallousness:Theimpactofdeliberativethoughtondonationstoidentifiableandstatisticalvictims.OrganizationalBehaviorandHumanDecisionProcesses,102（2）,143-153.https://doi.org/10.1016/j.obhdp.2006.01.005Stephens,B.,Park,G.,&Shiota,M.N.（2015）.Theovervieweffect:Spaceexplorationasatriggerforawe.PaperpresentedattheSocietyforPersonalityandSocialPsychologyAnnualConvention,LongBeach,CA.Valdesolo,P.,&Graham,J.（2014）.Awe,uncertainty,andagencydetection.PsychologicalScience,25（1）,170–178.http://dx.doi.org/10.1177/0956797613501884vanHorenF,MeijersM.H.C.,ZhangY,DelaneyM,NezamiA,VanLangePAM（2024）.Observingtheearthfromspace:Doesavirtualrealityovervieweffectexperienceincreasepro-environmentalbehaviour?PLoSONE19（5）:e0299883.https://doi.org/10.1371/journal.pone.0299883White,F.（1987）.Theovervieweffect:Spaceexplorationandhumanevolution.HoughtonMifflin.Yaden,D.B.,Iwry,J.,Slack,K.J.,Eichstaedt,J.C.,Zhao,Y.,Vaillant,G.E.,&Newberg,A.B.（2016）.Theovervieweffect:Aweandself-transcendentexperienceinspaceexploration.PsychologyofConsciousness:Theory,Research,andPractice,3（1）,1–11.https://doi.org/10.1037/cns0000086120

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社会イノベーション研究第21巻第2号（121-128）2026年3月2025年12月場所格交替再考14日掲載承認場所格交替再考─構文と百科事典的知識の関係の解明に向けて─LocativeAlternationConstructionRevisited:APreliminaryStudy成城大学社会イノベーション学部教授磯野達也ISONOTatsuya1．はじめに本稿は，場所格交替構文について，特にそこで用いられる動詞，名詞，構文，表される内容に関する生活文化の知識の関係に注目し，この構文の特徴について再考しようとする研究の予備的研究である。本稿で扱う事柄は，この構文のみならず，意味を扱う研究者には既に気づかれている問題である。ここでは，それらを整理することで，それぞれについて今後の考察の足がかりとしようするものである1）。日本語，英語の場所格交替構文は，これまで広く研究されてきた。（1）a.哲也はペンキを壁に塗った。（移動物目的語文）b.哲也は壁をペンキで塗った。（場所目的語文）（2）a.さゆりはジュースをコップに満たした。b.さゆりはコップをジュースで満たした。（3）a.Tetsuyasprayedpaintonthewall.b.Tetsuyasprayedthewallwithpaint.移動物が目的語になっているものを「移動物目的語文」，場所が目的語になっているものを「場所目的語文」と呼ぶことにする。移動物目的語文では，ペンキやジュースが移動してある場所に移る，ということ表しており移動構文，場所目的語文は，ある場所が移動物を得ることで変化する，ということを表していて状態変化構文，と考えられている。そして，場所格交替が可能な動詞は，上記2つの意味を併せ持っているものであり，端的にいえば，移動物（ペンキ，ジュース）と場所（壁，コップ）を目的語に取ることができるものである。これも広く知られているように，日本語と英語の例は必ずしも対応しない。例えば，日本語では英語の類似の意味を表すfillは交替できず，また，「飾る」が可能なのに対して，decorateは交替できない。（4）a.＊Sayurifilledwaterintheglass.b.Sayurifilledtheglasswithwater.（5）a.ゆたかは花を部屋に飾った。b.ゆたかは部屋を花で飾った。（6）a.＊Yutakadecoratedflowersintheroom.b.Yutakadecoratedtheroomwithflowers.反対に英語で可能でも日本語で不可能な場合もある。（7）a.Norikoloadedboxesonthetruck.b.Norikoloadedthetruckwithboxes.（8）a.のりこは箱をトラックに積んだ。b.＊のりこはトラックを箱で積んだ。121

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社会イノベーション研究これら，一方の文にしか用いられない動詞は，移動か状態変化しか表さない。例えば，decorateは，「ある場所をきれいに飾り付ける」という意味しか表さず，物の移動は表していないと考えられる。これに対して，「飾る」はある物の移動とある場所の状態変化とを表すので，場所格交替構文に用いることが可能となる。「積む」は「ある物をある場所に載せる」ということのみを表し，その場所の状態変化までは表さない。日英語の相違は，動詞の意味そのものの違いによるが，その違いはそれぞれの言語の特性に由来していると考えられる。本稿では，次の3点について考えを進めていくことにする。まず，日本語のほうがこの構文に用いられる動詞は限られていると考えられている。これまで見てきたように「塗る」は交替可能だが，次のような例はかなり不自然に感じられる。本稿では，構文，動詞，名詞，そして生活文化に関わる知識が容認性に影響を与えていることを見る。（9）a.道子はバターをパンに塗った。b.??道子はパンをバターで塗った。（10）a.健は日焼け止めを背中に塗った。b.??健は背中を日焼け止めで塗った。次に，場所格交替構文には自動詞も用いられる。（11）a.Touristsswarmedonthebeach.b.Thebeachswarmedwithtourists.（12）a.花が庭に満ちている。b.庭が花で満ちている。自動詞型の場所格交替構文にも様々な動詞が用いられ，光放出動詞や音放出動詞もそれらに含まれる。（13）a.Starsshimmerinthesky.b.Theskyshimmerswithstars.（14）a.星が夜空に輝いている。b.夜空が星で輝いている。ただし，場所が主語となっている場合，本当に輝いているのは空ではなく，星である。実際には，星の光によって空全体が輝いているように見えるときにこれらの表現が許される。そのような場合でも場所格交替が起こっているということができるのだろうか。さらに，自動詞型の構文では次のような例も挙げられる。（15）a.鐘の音が街に鳴り響いている。b.街が鐘の音で鳴り響いている。これに類して次のような擬音語や擬態語を用いた表現も場所格交替構文として扱われる場合がある。（16）a.子供の声が玄関でざわざわしている。a’.??子供の声が玄関にざわざわしている。（磯野による例）b.玄関が子供の声でざわざわしている。（16a）では，「玄関で」となっているが，（16a’）のように「玄関に」とするとかなり容認度が落ちるように感じる。これまで見てきた移動目的語構文では，場所は「に」格で表されていたのとは異なっている。こうした擬音語・擬態語は場所格交替構文に用いることが可能なのであろうか。本稿では，以上の3点について考えを進めていくことにする。2．他動詞型場所格交替2.1．典型的な例他動詞型の場所格交替構文は，これまで見てきた例（下に再掲）の他に，次のようなものがある。（17）a.哲也はペンキを壁に塗った。b.哲也は壁をペンキで塗った。（18）a.さゆりはジュースをコップに満たした。b.さゆりはコップをジュースで満たした。（19）a.ゆたかは花を部屋に飾った。b.ゆたかは部屋を花で飾った。（20）a.作業員は小石を通路に敷き詰めた。b.作業員は通路を小石で敷き詰めた。（21）a.子供がおもちゃを部屋に散らかした。b.子供が部屋をおもちゃで散らかした。前節で見たように，場所格交替構文に用いられる動詞は，物の移動と場所の変化の両方の意味を併せ持っている。このことは，例えば，次のような文を見るとわかる。（22a）の文は，次の2通りの意味を持つという点で曖昧である。この文は，「クリスマス122

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場所格交替再考ツリーを移動することによって，どこかを装飾する（22b）」という意味と，「クリスマスツリーに何かをつけることで装飾する（22c）」という2種類の意味を表す。つまり，「飾る」は，移動と状態変化の2つの意味を併せ持っているといえる。（22）a.装飾部の人がクリスマスツリーを飾った。b.装飾部の人がクリスマスツリーをロビーに飾った。（クリスマスツリー：移動物）c.装飾部の人がクリスマスツリーをカラフルなボールで飾った。（クリスマスツリー：場所）日本語では，他動詞型の場合は，「ある場所を満たす」という意味を表す動詞が多く，自動詞型の場合は，「ある場所が一杯になる」という意味を表すものが多いと言われている。満たす，一杯になる，ということは関係する場所がそういう状態になる，ということなので，状態変化を表していることになる。加えて，それぞれの動詞は移動も表していると考えられる。2.2．典型からはずれる例ここでは，前節で見たいわゆる完全な場所格交替から，やや外れているように思われる例を見ることにする。（23）a.章が串を鶏肉に刺した。b.章が鶏肉を串で刺した。「刺す」の場所目的語文で問題になるのは，場所が状態変化を起こしているかが判然としない点である。いわゆる場所格交替の場所目的語文では，場所はある物と一緒になることで，動詞が表す状態へと変化することを表す。「塗る」の場合には，「キャンバスを油絵の具で塗る」と言えば，キャンバスの少なくとも表面は塗られた状態へと変化し，同時にキャンバスと絵の具の一体性も含意される。（23b）では，確かに鶏肉は串を刺された状態に変化はしているが，鶏肉の状態そのものが変化しているかは，そして鶏肉と串の一体性についても判断が難しい。また，ここでは「串で」は道具を表していると考えることもできる。状況を変えて次のような例文では，（24b）で確かに警備員はナイフで刺された状態にはなっているが，ナイフを刺すことで警備員がどの程度の傷を負ったかは判然とせず，その点で「刺す」そのものは警備員の状態変化までを意味に含んではいないように思える。同じことは「巻く」にも言え，下の場所目的語文では，アスパラガスそのものが状態変化したかは判然としない。（24）a.強盗犯が太いナイフを警備員に刺した。b.強盗犯が警備員を太いナイフで刺した。（25）a.アルバイト学生がベーコンをアスパラガスに巻いた。b.アルバイト学生がアスパラガスをベーコンで巻いた。日本語で場所格交替構文が多くの動詞には認められないと考えるのはこうした例があるからである。ただし，最初に見たように，移動物と場所の双方を目的語とすることができるという点では，「刺す」も「巻く」も場所格交替を示すと考えることはできる。「からめる」「まぶす」「あえる」について考えてみよう。これらの動詞は場所格交替構文に用いられるとする先行研究もある。（容認性の判断は筆者による。）（26）a.勇太がソースをハンバーグにからめた。b.勇太がハンバーグをソースでからめた。（27）a.景子が白ごまを冷製パスタにまぶした。b.?景子が冷製パスタを白ごまでまぶした。（28）a.＊遥斗がマヨネーズをポテトサラダに和えた。b.遥斗がポテトサラダをマヨネーズで和えた。「からめる」はどろっとした液状のものをある物全体に塗りつけるといった意味を表し，場所目的語文では，場所の役割を担っているハンバーグが全体にソースのついた状態を表している。「まぶす」は「細かいものを全体になすりつける」という意味が基本なので，やはりパスタ全体に白ご123

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社会イノベーション研究まが付着した状態になっていることを表している。ただし，筆者にはこの表現はやや馴染みがないためか，容認度は少し下がるように感じる。これらに対して，「和える」は，調味料をあるものに混ぜて合わせるという意味で，一緒になった状態にするというある物（ここでは，場所目的語となっているポテトサラダ）の状態の変化を表している。しかし，マヨネーズの移動は表していないようである。ちなみに，「混ぜる」は，2つ以上のものを一緒にするという意味を表し，そのいずれか一方の状態変化に意味の焦点を当てているわけではないので，ある場所（ここでは，牛乳）の状態変化を表す場所目的語構文は容認されない。（29）a.順子が卵と牛乳を混ぜた。b.順子が卵を200ccの牛乳に混ぜた。c.＊順子が200ccの牛乳を卵で混ぜた。以上のように，先行研究で場所格交替が可能と言われている動詞について，実際に例を見て行くと，交替を起こしにくい動詞があることがわかる。ここでは，各動詞の意味を大雑把に考えながら，容認性が落ちる理由を考えたが，それぞれの動詞の意味をより詳細に分析して，場所格交替との関係を明らかにしていく必要がある。また，料理に関わる表現は，専門家が用いる独特な言い回しや時代の移り変わりによる変化がある可能性もあり，用例の容認性の判断やコーパスでの用例の検討が必要だと思われる。2.2.3．共起する名詞によって容認性が変わる場合本節では，場所格交替を起こすと考えられる動詞について，場所格交替構文の容認性が落ちる場合について，その理由を検討することにする。最初の節で見たように，「塗る」は場所格交替構文に用いられる典型的な動詞と考えられるが，次のような例は容認性が落ちる。（30）a.道子はバターをパンに塗った。b.??道子はパンをバターで塗った。（31）a.健は日焼け止めを背中に塗った。b.??健は背中を日焼け止めで塗った。「塗る」は，場所格交替を示すという点で，「ある場所に物（移動物）をこすりつけ，その場所の状態を変化させる」という意味を有していると考えられる。さらに日常生活で名詞と組み合わせて使用する場合は，その名詞が表す意味や生活文化の中で想定される意味や状況も読み込まれ，容認性にも影響を与えると考えられる。特に，日常生活ではパンにバターを塗るのは普通の行為なので，わざわざ「パンをバターで塗る」と言葉を発する場合には，それなりの変化が認められないと，やや違和感を感じる。また日本語では「〜で」は道具を表す場合もあり，バターナイフとは違ってバターを道具としては認識しにくい，という意識も反映されて容認性が落ちると思われる。次のように，バターの品質を明確にするなどして，その行為によってパンがどのように変化するのかが明確になると容認性はかなり改善される。（30）b’.道子はパンをオーガニック製法のバターで塗ったb’’.道子はパンを大安売りで購入したバターで塗った同様で，次のようにすることで，容認性はかなり上がる。（31）b’.健は背中を効果100％の日焼け止めで塗った。さらに次のような例を見ると，似たような物を塗る場合でも微妙に容認性が変わるように思われる。また，バターや日焼け止めの場合よりも容認性は高いようにも感じる。（32）a.?ひかるは唇をリップクリームで塗った。b.ひかるは唇を口紅で塗った。こうした容認性の違いは，これらの表現を日常でどれくらい用いているかということも影響しているだろう。これまで，語彙意味論では，場所格交替構文に用いられる動詞について，意味の共通性を追求して明らかにしてきた。しかし，日本語の動詞がこの交替現象にどのように関わるかは，個々の動詞についてその意味を検討するとともに，共起する名詞と組み合わされる中で，その表現が生活文化においてどのように捉えられるかまで考慮に入れる必要がある。いわゆる百科事典的知識も考慮することで，初めて日本語の場所格交124

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場所格交替再考替の全貌を捉えることができると考える。そうした研究は，既に認知文法，フレーム意味論，機能的構文論などでは行われているが，語と構文の多様な振る舞いを捉えるためには，こうした視点は欠くことができないだろう。3．自動詞型の場所格交替3.1．典型的な場所格交替とメタファー第3節では，日本語の自動詞型の場所格交替について，典型的なものとそれからやや逸脱していると思われるものについて観察する。ここでも，この構文交替は一枚岩ではなく，動詞や名詞，そして生活文化の中で，容認性や性質に違いがあるものが混在しているということを見る。既に見たように，日本語の場所格交替構文でいわゆる典型的な動詞は，ある場所を一杯にしたり満たしたりするものが多い。下の例からわかるように，同じことが自動詞型の交替にも言える。（自動詞型文では，便宜上，人や物が主語になっている文を物人主語文，場所が主語になっている文を場所主語文と呼ぶことにする。）（33）a.花が庭に満ちている。（物人主語文）b.庭が花で満ちている。（場所主語文）（34）a.観光客が新宿御苑に溢れている。b.新宿御苑が観光客で溢れている。英語でも，一杯になっている，満ちている，という意味を表す動詞が典型的に用いられる。（35）a.Touristsswarmedonthebeach.（物人主語型文）b.Thebeachswarmedwithtourists.（場所主語型文）（36）a.Rosesfloweredinthegarden.b.Thegardenfloweredwithroses.これらの動詞は「ある状態がある場所に存在している」という意味を含んでいる。そのことに基づいて磯野（2001），Isono（2008）では，自動詞型の場所格交替構文に用いられる動詞は，活動動詞であっても状態変化動詞であっても，あるものの存在を同時に含意していると考え，概略次のような意味構造を持っていると考えた。ここでは，（37a）は，ある物・人がある状態にあることを表し，（37b）はある物・人がある場所に存在することを表し，（37c）はある場所がある物・人を所有している（または，ある物・人とともにある）ことを表す。（37b）に意味的な焦点が置かれれば物人主語文となり，（37c）に焦点が置かれれば場所主語文となる。（37）a.xBEATSTATEb.xBEATyc.yHAVEx下に具体的な例を示す。（39a）は旅行者が集団になっていることを表し，ATSATEingroupが動詞swarmが表す「集団になっている，集団でいる」に一致すると考える。（39b）は旅行者が海岸にいることを表し，（39c）は海岸が旅行者を所有している，または旅行者と一緒に存在していることを表す。（38）a.Touristsswarmedonthebeach.（物人主語型文）b.Thebeachswarmedwithtourists.（場所主語型文）（39）swarma.touristsBEATSTATEingroupb.touristsBEATbeachc.beachHAVEtourists（39a）は常に含意され，同時に（39b）に焦点が当てられれば（38a）の文となり，（39c）に焦点が当てられれば（38b）の文となる。自動詞型場所格交替を示す英語動詞は，こうした意味表示をもっていると考えるが，日本語の場合も同じように考えることができるだろう。英語では，swarmのような集団での存在を表す動詞の他に放出動詞も自動詞型の場所格交替を示す。日本語でも類似の現象が見られる。（40）a.Starsshimmerinthesky.b.Theskyshimmerswithstars.（41）a.Conversationwasbuzzinginthehall.b.Thehallwasbuzzingwithconversation.（42）a.星が夜空に輝いている。125

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社会イノベーション研究b.夜空が星で輝いている。（43）a.鐘の音が街に鳴り響いている。b.街が鐘の音で鳴り響いている。（44）a.観衆がライブ会場でどよめいている。b.ライブ会場が観衆でどよめいている。以上はいずれも場所格交替として適格であると判断されるだろう。ただし，実際には，（41）以外のb文はいずれも比喩的な要素を含んでいる（buzzについては直後の説明を参照）。その点で，先に見た典型的な場所格交替とはやや性格を異にする。光放出動詞や音放出動詞が場所主語文で容認されるのは，そこで表される場面が想定できるからだろう。空は実際には，shimmerしたり輝きはせず，たくさんの星の光でそのように見えるのだが，あたかも空そのものが輝いているように思えるし見えるので，これらの交替が可能になると思われる。この点では，場所格交替が可能である，という判断には，既に生活文化にもとづく百科事典的知識が組み込まれていることになる。完全な場所格交替に対してこれらを擬似場所格交替，または準場所格交替と考えることもできると思われるが，重要なことは，どのような動詞，名詞，状況に関して場所格交替が許されるかをさらに丹念に検証していくことだと思われる。buzzについては，多くの英英辞典が「ある場所がbuzzするという用法もある」と記載している。それに対して，shimmerにはそのような記述は見られない。それでもshimmerやその他の多くの放出動詞がこの交替で用いられていると認識されている点が重要である。同じことが日本語にも言えるだろう。3.2．擬音語，擬態語と場所格交替本節では，擬音語や擬態語と場所格交替の関係を見ることにする。（45）a.子供の声が玄関でざわざわしている。b.玄関が子供の声でざわざわしている。a’.??子供の声が玄関にざわざわしている。次の例は虎谷（2019）で示されている非常に興味深い例である。（容認性の判断は磯野による。）（46）a.子供たちが（入り口で）ガヤガヤしている。b.入り口が（子供たちで）ガヤガヤしている。（47）a.泡がソーダ水でシューシューいっている。b.ソーダ水が泡でシューシューいっている。（48）a.熱いスープがなべでふつふつしている。a’.熱いスープがなべでふつふついっている。（磯野による例）b.?なべが熱いスープでふつふつしている。b’.なべが熱いスープでふつふついっている。（磯野による例）（49）a.腐った卵のにおいが冷蔵庫にプンプンする。b.冷蔵庫が腐った卵の臭いでプンプンする。（50）a.星が夜空にキラキラしている。b.夜空が星でキラキラしている。（51）a.霧が山頂のあたりにもやもやしている。b.山頂のあたりが霧でもやもやしている。（52）a.サメが白浜近辺にうようよしている。b.＊白浜近辺がサメでうようよしている。（53）a.ミツバチが庭にうじゃうじゃしている。b.＊庭がミツバチでうじゃうじゃしている。これらの例を見ていると，次の点に気付く。（54）a.物人主語文で「に」ではなく「で」が使われている例がある。b.「ふつふつしている」の例は，「ふつふついっている」にすると容認性が上がる。c.放出動詞や存在動詞に近い意味の表現がある。d.最後の2例は，「うようよといる」「うじゃうじゃといる」のように存在の様態を表している。そのためいずれもb文は容認性が落ちる。これらについて一つずつ見ていくことにする。126

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場所格交替再考a.「に」句の代わりに「で」句が用いられる前節で見た場所格交替では，物人主語文では，場所は「に」句で表されていた。このことから，物や人が「集団でいる」や「光を放っている」といったそれぞれの様態を伴いながら場所に存在しているという含意がある。それに対して，「ガヤガヤしている」「シューシューいっている」「ふつふつしている」は，状態的というよりは動的，または活動動詞的であると考えられる。これらのb文では，それぞれの場所に子供，泡，スープがその場所を満たすように存在しているので場所主語文の特徴は持っていると思われる。b.「ふつふつしている」「ふつふついっている」の相違実際，「と」を加えて「ふつふつと沸いている」のように「ふつふつと」で用いられることが多い。「ふつふつしている」を「ふつふつ（と）いっている」とすると，音放出動詞に近い意味になると思われる。そのため，（48b’）の容認度は（48b）よりも上がるように感じられる。ただし，上で見たように物人主語文では「で」格を用いるので動的な意味が強い。c.放出動詞・存在動詞に近い表現上で見た「ふつふついっている」とともに，放出動詞に意味が類似している。最初の2つは，物人主語文で「に」格を用いており場所格交替構文の特徴に合致している。また，「もやもやしている」は霧がその独特のあり様で存在していることを表しており，英語のbloomやflowerのような特徴的な様子で存在することを表す，一種の存在動詞のような意味を有していると思われる。これらの動詞は，「星がキラキラしている」「夜空がキラキラしている」のように，物や人，そして場所が双方主語になれるので，他動詞型の動詞がこれらをそれぞれ目的語に取れることに対応している。意味的にも場所格交替，または疑似場所格交替を示していると考えて良いと思われる。d.存在の様態を表す表現「うようよしている」「うじゃうじゃしている」はともに，「うようよといる」「うじゃうじゃといる」というある物の存在の様態を表している。「うようよ」や「うじゃうじゃ」は，サメやミツバチなど生物が多数いることを表している。そのため，場所を主語に取るのは難しいと思われる（場所を主語にする文は容認性がかなり落ちる）。この点で，すぐ上でみた「もやもやしている」が，「霧」も「山頂のあたり」も主語にできるのと対照的である。以上見てきたように，擬態語，擬音語を用いた場所格交替は，その容認性が様々で，それぞれの表現についてさらに検討することで，場所格交替そのものの性質をより深く捉えることができると思われる。4．結語本稿では，他動詞型場所格交替，自動詞型場所格交替について，その容認性に様々なレベルがあることを見てきた。放出動詞の場合には，比喩的と思われるものもある一方で，交替する際の2つの文で用いられる場合の意味が辞書に記載されてその動詞の完全な（または，動詞が獲得した）意味と認識されるものもあった。また，「塗る」の例で見たように，共起する名詞句によって容認性が変わる場合もあった。擬態語，擬音語の例も含めて，典型的なものから容認性のやや落ちるものも含めて，動詞や名詞の意味のみでなく，それに関係する生活文化的な知識が容認性に大きく関わっていることを整理した。本稿で扱った内容は，これまでこの交替を研究してきた研究者には広く気づかれていることである。しかし，これを整理することで，今後の構文の研究，意味の研究の方向性を確認することができたと考える。注1）本研究の一部は成城大学特別研究助成の助成を受けている。127

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社会イノベーション研究参考文献磯野達也（2003）「自動詞型場所格交替」『言語情報科学』1:pp.17--33.東京大学Isono,Tatsuya（2008）PolysemyandCompositionality:DerivingVariableBehaviorsofMotionVerbsandPrepositions.HituziShobo.Tokyo.伊藤たかね（2023）『ことばを科学する理論と実験で考える，新しい言語学入門』朝倉書店，東京影山太郎（2001）『動詞の意味と構文』大修館書店，東京Levin,Beth（1993）EnglishVerbClassesandAlternations:APreliminaryInvestigation.Chicago:ChicagoUniversityPress.野中大輔（2024）『場所格交替への認知言語学的アプローチ「豊かな文法」から捉える英語構文』くろしお出版，東京Pustejovsky,James（1995）Thegenerativelexicon.Cambridge:MITPress.高見健一・久野暲（2014）『日本語構文の意味と機能を探る』くらしお出版，東京虎谷紀世子（2019）「Swarm交替現象再考」『レキシコンの現代理論とその応用』，岸本秀樹（編），1-25，くろしお出版，東京128

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社会イノベーション研究第21巻第2号（129-137）2026年3月児童養護施設職員のバーンアウトに関する質的検討2025年11月30日掲載承認児童養護施設職員のバーンアウトに関する質的検討─三つの下位尺度を手掛かりに─QualitativeExplorationofBurnoutAmongChildren’sHomeStaff:UsingThreeBurnoutSubscalesasAnalyticalLenses成城大学社会イノベーション研究科博士課程前期林優太HAYASHIYutaはじめに−本稿の目的と問題意識−本稿の目的は，児童養護施設におけるバーンアウト現象の背景要因を3つの下位尺度の観点から考察し，組織的・心理的支援の方向性を示すことである．2017年に新たな社会的養育のビジョン（厚生労働省，2017）が示され，現在の児童養護施設では小規模化の推進が図られている．これにより，子どもたちにきめ細かいケアを提供できる一方で，1人勤務や宿直勤務の増加といった労働環境の悪化による職員の孤立や疲弊が懸念されている（西川，2024）．そのため施設職員に関する研究は増加しているが，組織行動論からの知見は十分に蓄積されていない．組織行動論とは「組織的な文脈において発生する人間行動を理解し，説明し，予測し，そして変化させることを目指す研究領域」（Wagner&Hollenbeck,1995；服部，2020訳）であり，労働環境が悪化している児童養護施設と関係している．例えば梅谷（2019）では，施設職員が自身の幸せな家庭環境をコンプレックスに感じ，葛藤を抱えていた際に「当時の施設長に『幸せは幸せを知ってる人にしか教えられへんで』と教えられたことで，児童養護施設の実践を通して『私は幸せを教えよう』と考えるようになった」ことが示されている．この施設長の行動は，「仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり，活力，熱意，没頭によって特徴付けられるもの」（SchaufeliandBakker,2004；大塚，2017訳）を意味する「ワーク・エンゲージメント」を高めるスーパーバイズとして捉えることができる．また，それを受けた施設職員が「私は幸せを教えよう」と自身の仕事の意味を再定義した行為は，「個人が自らの仕事のタスク境界もしくは関係的境界においてなす物理的・認知的変化WrzesniewskiandDutton,2001；高尾，2023訳）を意味する「ジョブ・クラフティング」と捉えることができる．以上のように，児童養護施設の職場と組織行動論は密接に関連しており，この視点からの研究には意義がある．そこで本稿では，組織行動論の理論的枠組みを児童養護施設において援用し，特に1．児童養護施設について［1−1児童養護施設とは］児童養護施設とは，児童福祉法にて定められたその他の環境上養護を必要とする児童を入所させて，129

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社会イノベーション研究これを養護し，併せて退所したものに対する相談，その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設」である．児童養護施設以外の選択肢としては里親家庭での養育が挙げられるが，直近の里親委託率は25.1%に留まっており（こども家庭庁，2025），日本の社会的養育においては児童養護施設が大きな役割を担っていることが分かる．そして，前述したように2017年に新たな社会的養育のビジョン（厚生労働省，2017）が示されたことも相まって，児童養護施設の重要度は高まっている．［1−2児童養護施設に対する期待と現実のギャップ］社会から寄せられている期待とは裏腹に，児童養護施設の現場は厳しい状況となっている．具体的には，施設職員の仕事が増加し高度化する一方で，それに見合った人材供給や育成がなされておらず，現場は疲弊し，数年で辞めていく職員が後を断たない現状がある（認定NPO法人ブリッジフォースマイル，2021）．このように児童養護施設では，「期待と現実の間で疲弊し，離職者が生まれ，仕事の増加と高度化が進み，また疲弊する」という負の循環が生まれている．そこで，負の循環の始まりに「疲弊」というワードがあることから，組織行動論の中でも「バーンアウト」という現象が特に重要であると考え，メインテーマとした．2．バーンアウトについて［2−1バーンアウトを構成する3つの下位尺度］まず，本稿におけるバーンアウトの定義は，「意欲的に働いていた人が，急に燃え尽きたように働かなくなる，または，働くのを厭うようになること」（久保・田尾，1991）を用いる．このバーンアウトの概念化において，久保・田尾（1992）によると，MaslachをはじめとしたグループがMaslachBurnoutInventory（MBI）を生み出した．また，MBI（Maslach&Jackson,1981）では，バーンアウトが「情緒的消耗感」，「脱人格化」，「個人的達成感の後退」という三つの下位尺度から構成されていることを述べている．「情緒的消耗感」とは，心理的な要素が中心となって起こる疲労感，虚脱感のことである．この彼らの世話やサービスを受ける人たちに対する消極的な対応へと繋がる．そして，「情緒的消耗感」と「脱人格化」を経験することは，ヒューマン・サービス従事者が提供するサービスの質そのものに影響を与え，仕事における成功感や自らの効力感を低める結果となる．これが「個人的達成感の後退」であると述べられている．筆者の言葉でまとめると，「情緒的消耗感」によって心に疲労が生じ，サービスの相手に対してその結果が「個人的達成感の後退」として如実に現れることで，離職や休職という選択につながると考えられる．本節では，バーンアウトには3つの下位尺度が存在することを確認した．［2−2施設職員とバーンアウトの関係性］では，施設職員とバーンアウトの関係性はどのようなものなのか．下木（2018）は，日本語版バーンアウト尺度17項目（久保，2004）に基づいて「情緒的消耗感」「脱人格化」「個人的達成感」の3つの下位尺度について採点することで，施設職員のバーンアウトの程度を調査した．すると，施設職員の約5人に1人が「情緒的消耗感」と「個人的達成感の低下」において上位20%というハイリスク群に該当することがわかった．また，これらの結果に離職の意思に関する項目を反映させると『この仕事を辞めたいと考えている』人，または『退職を決めている』人との間に，情緒的消耗感において有意な差が認められた」と述べている．つまり，離職の意思がある施設職員には「情緒的消耗感」が進行している傾向があり，「情緒的消耗感」の背景要因を探っていくことが施設職員の職場定着につながることを示唆している．ただ，「情緒的消耗感」の背景要因は多岐にわたるとしていることから，児童養護施設におけるバーンアウトの130

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児童養護施設職員のバーンアウトに関する質的検討背景要因，特に各下位尺度の背景要因は明らかにされていない部分があるのではないかと考えた．以上のことから，本稿では，児童養護施設におけるバーンアウトの背景要因を3つの下位尺度の観点から質的に検討することで，組織的・心理的支援の方向性を示す．3．調査方法［3−1インタビュー調査について］本稿では，インタビューを用いて「語り」を採取する．その理由は，児童養護施設のバーンアウト現象を定量的に測ることには限界があると考えたためである．施設職員に対する定性的な研究が充実していない現状も踏まえて独自性を高めつつ，施設職員のバーンアウトについて深い理解をするために，インタビューを用いる．2024年10月，児童養護施設において計18年間の勤務経験を持つ施設職員1名（以下「Aさん」とする）を対象に，約40分の半構造化インタビュー調査を実施した．主な質問項目は，久保（2004）の日本語バーンアウト尺度17項目を参考に，バーンアウトの各下位尺度に対応するものを作成した．具体的には，児童養護施設での仕事において「心から喜びを感じた出来事」，「気持ちが疲れ果てた出来事」，「面倒に感じた出来事」で，必要に応じて追加の質問をした（表1）．［3−2分析方法］インタビューデータの分析方法は，南山（2023）を下敷きとする．具体的には，インタビュー内容を対象者の承諾を得た上でICレコーダーに録音する．その後，録音データをもとにトランスクリ表1各下位尺度と対応する質問項目No.下位尺度質問項目1個人的達成感「心から喜びを感じた出来事」2情緒的消耗感「気持ちが疲れ果てた出来事」3脱人格化「面倒に感じた出来事」プトを作成し，繰り返し表現などを「語り」の意味内容に影響が生じない範囲で一定程度削除し，必要に応じて筆者による補足説明を括弧付きで加えた．こうして完成したトランスクリプトを精読しながら，バーンアウトを構成する3つの下位尺度に関係すると考えた「語り」をまとまり毎に見出しをつけ，解釈していく．これにより，児童養護施設のバーンアウトにおいて明らかにされていない背景要因を探る．なお，筆者の発言を「H」，Aさんの発言を「A」と表記する．4．「語り」の解釈［4−1個人的達成感に関する「語り」］まず，構成尺度の一つである「個人的達成感」に関する「語り」に注目したところ，勤務初期にH：児童養護施設での仕事を長年やってきた中で，心から喜びとか楽しかったとか，「上手くできたな」という出来事を教えていただきたいです．A：この仕事したいなと思ったのも「当たり前の生活を（筆者注釈:サポートしたい）」というところで入って飛び込んだんですが，思った以上にとても大変な，色んなお子さんがいて．もちろんそういう現実も分かっていたつもりではいたけど，やっぱり実際は今まで経験もしなかったような思いっていうのは沢山してきたところもありました．なので，なかなか「やったぞ」みたいな，そういうのって日々の中から見つけていくってすごく難しいな，って（以下略）．ここでは，勤務初期にぶつかる壁についての「語り」が見られる．まず，仕事へのモチベーションは，「子どもたちへの想い」が大きいことが考えられる．これこそが施設職員が持つ素晴らしい使命感である．ただ，覚悟していた苦労の度合いを超えてくるのが勤務初期であり，いつ「やったぞ（個人的達成感）」を感じられるのかが分からないこの「閉塞感」が，勤務初期にぶつかる壁の正131

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社会イノベーション研究体であると考えられる．その「閉塞感」に関して，このような「語り」もある．H：志は職員の方々で一緒でも，そういう環境の中であれ？って時があると心が折れちゃって，「やっぱりやめようかな」って思う人も出てくるものなんですかね．A：だと思います．それこそ本当に子供は正直だからあからさまに出しますよね．そして出された職員が誰かに相談したり，共感できる人がいたりとかっていう環境がないと埋もれちゃうと思います．で，塞ぎ込んじゃうっていうのはあると思います．本当に当たり前の生活をこう，（筆者注釈:サポート）していくっていうのがやりたくてしてるけれども，それこそがすごい難しくて（以下略）ここから，相談できる環境の有無が「閉塞感」をどれだけ軽減するかを決定すると考えられる．では，具体的にどのような環境が必要なのか．それについては共通した「語り」があった．A：私もこんなに（筆者注釈：勤続年数が長く）なってますけど，なんでだろうと思うと，やっぱりベテランの方たちが何かと気に掛けてくださったりとか，結構ありのまま私も喋れてしまったり，きっと救われてきたところが多くあるのかなと思います．H：ベテランの方からのサポートがありがたかったとおっしゃっていましたが，それは具体的に何が一番ありがたかったのでしょうか．A：普段の何気ない会話とか声かけとかがあるからこそ，子供のことだったり，人事のことだったり，いろんな変換期みたいなところで悩むことの方が多いので，そういう時に話をする機会をちゃんと確保してくれたりとか（中略）そこの話を受け止めてくれるところはありがたいなと思いながら（以下略）このように，勤務初期は会議などの固いコミュニケーションではなく，ベテラン職員との自然で柔軟な会話の機会を求めていると考えられる．また，その会話の機会はベテラン側から積極的に提供することが大切であると解釈できる．この理由としては，勤務初期は「閉塞感」と戦っており，自分からアクションを起こすことが難しいのではないか．だからこそ，周りの施設職員，特に経験豊富なベテランが積極的に会話の機会を提供し続けることで，勤務初期の「閉塞感」を乗り越えやすくなるのかもしれない．それは一方で，ベテラン職員の負担が増加することを意味し，ここにもケアが求められる．ここまでの内容をまとめると，「閉塞感」が生じるのは，勤務初期に達成感を感じる場面が少ないためである．また，ベテラン職員との自然で柔軟な会話の機会がないと「閉塞感」を強く感じる可能性がある．では，施設職員が達成感を感じる時はいつ，どのような場面なのか．それに関する「語り」が複数あった．A：ここ（筆者注釈：現在の施設）に来てから，食事作りの仕事に関わらせていただいたのが十年以上あって，元々料理が得意ではなかったので，どうかなと思ってましたけど，胃袋を掴むじゃないですけど，思春期の男の子と関係がうまくいってない時とかに，その子の好きななめこ汁を作ったりとか，頑張りながら好きなものを作って出したときに，全部食べたとか．そういう些細なことが今となると，せめてやれることって本当にそのぐらいなのかなと思う感じもあったり（以下略）A：（筆者注釈：子どもたちが施設を）出て行ってから，奥さんを連れてきてくれたことが，ついこの間あったので．卒園したら一番顔を見せに来るとかしないような子だろうななんて思ってた子が．（中略）そういうことも「答え」というか，大人な姿とか見ると，まあ吹っ飛ぶまではいかないけどいろんな日々があったからかなと思います．132

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児童養護施設職員のバーンアウトに関する質的検討施設職員の達成感とは，何かを成し遂げるというよりは，「自分がやってきたことは間違いではなかった」という「答え合わせ」のような側面が強いと考えられる．そしてそれは，子どもたちと分かり合った経験や成長の実感からくるものであり，子どもという特性上，長い年月を要することとなる．だからこそ，勤務初期の壁を乗り越えることは厳しくなり，「数年で辞めていく職員が後を断たない現状」（認定NPO法人ブリッジフォースマイル，2021）なのではないか．以上が，個人的達成感に関する「語り」を解釈した結果である．簡単にまとめると，勤務初期では達成感を感じる場面に遭遇することが難しいことから，「閉塞感」を強く感じることになる，また，職業柄「答え合わせ」に時間がかかるため，その［4−2情緒的消耗感に関する「語り」］では，バーンアウトの主要因とされている「情緒的消耗感」はどうなっているのか．H：差し支えなければ，疲れ果ててしまった出来事をお伺いしたいです．A：疲れ果ててしまったことって結構よくあるんですけど．子どもとの関係が上手くいかなくなっちゃうことってやっぱり想像以上に多くあって．人間同士なのでお互いが「本当はこう感じてた」とか．「いやそんな風に思ってないのに」っていうことの連続なので．特に思春期の子たちと関わっているとそういうことはあるなとは．で，「はぁ」と思うことはあります．それが「辞めたい」に直結することって，やっぱりこの仕事を選んでるのであんまりないかなっていうのは．ただ「今日も顔を合わせないと」とかそういうのは正直ありますね．この「語り」からは，施設職員特有の悩みが汲み取れる．その中でも思春期の子どもとの関わりにおいて，苦労があるように伺える．ただ，この職業を選んだ「使命感」があり，バーンアウトに直結することは考えにくいようだ．下木（2018）も同様に，子どもたちとの関わりの中で生じる苦労が離職を決める中心的な理由ではないことを示している．では，子どもたちとの関わり以外でどのような疲れを感じるのだろうか．H：宿直業務についてお伺いしたいですA：私は特にどこでも寝れるっていうタイプの人じゃないってことが．なのに（筆者注釈：よく仕事を）こんなに長くやってるなっていうのもあるんですけど．よく眠れないです．なのでその蓄積はきっとあるだろうなと思います．H：一応ルール的には子供たちが寝たら職員さんも寝れるという感じですか？A：そうですね．寝た後に事務作業して，事務作業始めるのがやっぱ11時とかになってくるから布団に入れるのが12時は絶対すぎちゃうというところがあるので．で，朝はお弁当作りっていうところからするので，きっちり6時間寝れるかって言ったら，私はそういうタイプじゃないので「眠れないなあ」みたいな感じで朝を迎えることが今でもよくあって．そこも気持ちは疲れてしまうところかもしれない．H：夜なにかあったら対応しなきゃいけない？A：それはもちろんそうですね．宿直業務は，単純に業務の関係から睡眠時間を削られるという側面に加えて，何かあった際に迅速な対応も求められるという責任も発生しており，肉体的・精神的な疲労を生み出していると考えられる．大袈裟に言えば24時間，「使命感」が発揮されている．「個人的達成感の低下」において「閉塞感」が関係していたのと同様に，「情緒的消耗感」には，強い「使命感」が背景要因としてあるのかもしれない．そこで「使命感」に関係する「語り」を見ていくと，多く見られたのは，職員同士のコミュニケーションにおいて滲み出る「使命感」である．A：どんなふうに子供育てていこうかっていうと133

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社会イノベーション研究ころでは（筆者注釈：職員同士の）コミュニケーションが大事だけれども大変．年代が若い者とそうでない者ってなるとすごく難しいなあっていうのは．辞めたいってところまではないけど大変だなっていうのは．養護を支えている一方で，「情緒的消耗感」を生み出すのではないかと解釈した．そして「使命感」は常に発揮されているため，施設職員の「情緒的消耗感」は継続的に存在するのではないかと考えた．A：多分職員の関係性は子供が一番感じると思う．家庭内でもそうだと思うんですよね．俯瞰というか直感というか，その感覚を持ってるのかなと思って．まさにこの間言われたんですよね．「私のいる時と誰誰のいる時の雰囲気が違う」みたいな．それはあるだろうなというのを職員が分かっていないとブレは本当にすぐできるし．「多少ブレはあっても同じ方向を向いているよ」っていう意識はなくさないようにしないと．A：本当にその記録，記録を読み返して，「この子とその職員こういうやり取りがあったんだな」「これって結果どうなったのかな」とか，「その時の表情どうだったのかな」とか．どうしても交代勤務なので，そのお部屋の雰囲気も誰の時でもなるべく同じように保ちたいけれどすごい難しくて．特に最近（筆者注釈：職員の）若い世代が増えてきたところですごく難しい．まさに今，私が直面しているのかなと思います．子どもたちをしっかりと育てるための職員間のコミュニケーションや，子どもたちが1人にならないための細かい配慮といった日常的な「使命感」が汲み取れる．このような「使命感」の積み重ねが，今日の児童養護施設にいる子どもたちの健やかな成長を支えており，大きな社会的意義を生み出している．これは社会全体でサポートしなければならない事柄だが，その責任が施設職員に，小さくとも継続的にのしかかり「情緒的消耗感」を生み出している可能性は否めない．以上が，「情緒的消耗感」に関する「語り」の解釈である．簡単にまとめると，子どもたちへのきめ細かい配慮の根底にある「使命感」を「語り」から読み取ることができた．それが今日の社会的［4−3脱人格化に関する「語り」］バーンアウト尺度の最後の一つである「脱人格化」を支持する「語り」は見つからなかった．これはサービスを提供する相手が大切な子どもたちであるからだと考えられる．次の「語り」は，用意した「脱人格化」に関する質問項目と，それに対する回答である．H：面倒に感じてしまった出来事がもしあれば，差し支えない範囲でお伺いしたいですA：まあこれも正直ありますけど．やっぱりコミュニケーションが難しい子かなと思います．あとは少し理解力が低い子とかに，あれこれ言ってもしょうがないことだと分かってはいつつも，なかなか意思疎通が取りにくいというか，トントンといかないことは日々ありますね．会うのが辛い？会いたくないなあと思いながらも「会わなきゃいけない」と思いながらやっている毎日という感じです．いつかその子が大きくなった時に，あの時面倒なやりとりをしたけれど，例えば「会社とかで働いて言われることってこのことだったのかな」というふうに思ってくれたらいいなと思いながらなんて．会うことに対してプラスの感情が出ない日においても，決して子どもたちに対して攻撃的にはならず，精力的に寄り添っていることがよくわかる．この「語り」の中には，「会わなきゃいけない」という既出の要素である「使命感」に近い内容や，「いつかその子が大きくなった時に（中略）思ってくれたらいいな」という「答え合わせ」に近い内容もある．以上のことから，本来であれば「脱人格化」に繋がるような状況が起きても，子どもたちの生活を守るという強い「使命感」や，経験を通して芽134

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児童養護施設職員のバーンアウトに関する質的検討生えた「答え合わせ」的思考によって，ベテランの施設職員に「脱人格化」は起こりづらいと解釈した．［4−4まとめ］［4−4−1個人的達成感について］勤務初期は「個人的達成感」を感じづらく「閉塞感」が高まると解釈できた．また，子どもの成長とともに，徐々に「答え合わせ」ができるイベントに遭遇できることから，「閉塞感」は月日と共に軽減していくことも考えられる．この現象は，「勤続年数が3年以内の離職者が全体の49%を占めている」（認定NPO法人ブリッジフォースマイル，2012）という調査結果を支持する内容となり，信頼性が高い．［4−4−2情緒的消耗感について］情緒的消耗感については，子どもたちとの関わりにおいて疲れることはあるが，それが「辞めたい」という気持ちに直結しないことが分かった．この理由は，「使命感」を原動力に日々仕事に取り組んでいるためである．これによって今日の社会的養護は支えられている一方で，その「使命感」が日々の業務に色濃く表れることで，「情緒的消耗感」に繋がっていると「語り」から解釈した．［4−4−3脱人格化について］「脱人格化」を支持する「語り」は見られなかった．これは，相手が未来ある大切な子どもたちであるからだと考えられる．特にベテランの施設職員は子どもたちの生活を守るという強い「使命感」に加えて，子どもたちが大きくなったら「答え合わせ」ができるという経験や思考法があるため，「脱人格化」は起こりづらいと考えられる．ただ，「情緒的消耗感」に繋がるとされた「使命感」が「脱人格化」を防いでいることから，この現象を楽観的に捉えることはできない．言い換えると，「脱人格化」リスクの代わりに「情緒的消耗感」のリスクが蓄積している可能性も十分に考えられる．［4−4−4本研究で示唆された現象］以上，本研究では，「①勤務初期に『閉塞感』が高まる現象」「②『答え合わせ』的思考・経験がバーンアウトを抑制する現象」「③『使命感』が，きめ細やかな配慮と『情緒的消耗感』の醸成を両立する諸刃の剣となっている現象」「④『脱人格化』リスクが少ない分，他尺度に分散されている現象」がバーンアウトに関連する現象として示唆された．5．組織的・心理的支援の検討［5−1組織的支援の検討］以上を踏まえると，組織的支援としては勤務初期の「閉塞感」を軽減するためのスーパービジョン体制の確立が求められているのではないか．「語り」から解釈したように，勤務初期は「個人的達成感」を感じるイベントに遭遇しづらく，「閉塞感」が高まる．加えて「語り」にもあったように，現場は「思った以上にとても大変」で，慣れない業務による疲労も蓄積する．これらのダメージは経験を重ねるごとに軽減していくが，勤務初期はこれらが集まった「閉塞感」と戦わなければならない．だからこそ，有識者によるスーパービジョン体制が求められる．それは業務の効率化などのアドバイスに加えて，バーンアウトを軽減する「答え合わせ」的思考の提供や，「語り」にもあったように，勤務初期の施設職員が悩みを話しやすい環境を整えるなどの精神的なサポートが有効であると考えられる．「新人が困っていたら助けることができる体制を整える」という，ありふれた支援策かもしれないが，これを達成するのが難しい．それらのサポートの多くはベテランの施設職員が担うことになるだろう．ただベテランの施設職員にも忙しい日々の業務があり，スーパーバイザー側のケアも必要になってくる．より具体的な提言をするために，今後も児童養護施設に関心を持っていきたい．［5−2心理的支援の検討］また，心理的支援としては「使命感」を守っていく取り組みが求められているのではないか．繰り返しとなるが，施設職員が持つ「使命感」は尊135

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社会イノベーション研究く，その積み重ねが今日の社会的養護を支えている．だからこそ施設職員が勤務時間外にリフレッシュすることができる環境を整えたり，社会全体で施設の子どもたちを支えているという実感を得る機会を作ることで，施設職員が余裕を持ちながら「使命感」を継続的に発揮することが可能になる．そのためには我々のような施設職員ではない人間も含めた社会全体が，まずは児童養護施設に興味を持ち，その先で寄付やボランティア，または新たな支援方法を模索，実行していくことが必要ではないかと考える．本研究をここまでお読みいただいた方が，以前よりわずかでも児童養護施設の子どもたちや，そこで働く職員の方々に思いを寄せる契機となれば幸いである．むすびにかえて本研究は「語り」を採取できたのが1名で，研究結果の一般化には程遠い．そして「語り」の部分では，起こりづらいとはいえ「脱人格化」に関するデータが集まらなかった．これらに関しては今後の課題としたい．また，はじめに触れたように，児童養護施設の現場においては「ワーク・エンゲージメント」や「ジョブ・クラフティング」など，組織行動論からの視点が役立つ余地があると考える．そのため，今後は更に広い視野を持ちながら研究を進めていきたい．最後に，児童養護施設をはじめとする社会的養護の現場で日々子どもたちを支えている全ての方々に敬意を表し，本稿を締めくくる．謝辞本稿の作成に際し，インタビュー調査にご協力いただいた施設職員のAさんに，深く感謝申し上げます．参考文献【和文】1.梅谷聡子（2019）「児童養護施設職員の子どもへの共感が援助感の形成に与える影響に関する考察―職員のライフストーリーに着目して」『評論・社会科学』130,1–21，同志社大学社会学会．2.大塚泰正（2017）「働く人にとってのモチベーションの意義―ワーク・エンゲージメントとワーカホリズムを中心に―」『日本労働研究雑誌』59（7）,59–68，労働政策研究・研究機構．3.久保真人（2004）『バーンアウトの心理学―燃え尽き症候群とは―』サイエンス社.4.久保真人・田尾雅夫（1991）「バーンアウト―概念と症状，因果関係について―」『心理学評論』34（3）,412–431.5.久保真人・田尾雅夫（1992）「バーンアウトの測定」『心理学評論』35（3）,361–376.6.下木猛史（2018）「児童養護施設職員の離職の意思とバーンアウトとの関係についての一考察―A県の児童養護施設職員へのアンケート調査を通して―」『鹿児島国際大学大学院学術論集』10,1–11.7.高尾義明（2023）「ジョブ・クラフティングの可能性の多角的検討」『日本労働研究雑誌』65（6）,68–79，労働政策研究・研究機構．8.西川勝利（2024）「施設養護における小規模化の検討と多機能化―児童養護施設を中心に―」『子ども・子育て支援研究センター年報』13,25–31.9.服部泰宏（2020）『組織行動論の考え方・使い方―良質のエビデンスを手にするために―』有斐閣.10.南山浩二（2023）「精神障害者の語りの実践と関心コミュニティ―セルフヘルプ活動のフィールドワークの結果から―」『社会イノベーション研究』18（2）,97–113.【英文】1.Maslach,C.,&Jackson,S.E.（1981）.TheMeasurementofExperiencedBurnout.JournalofOccupationalBehavior,2,99–113.2.Schaufeli,W.B.,&Bakker,A.B.（2004）.JobDemands,JobResources,andTheirRelationshipwithBurnoutandEngagement:AMulti-sampleStudy.JournalofOrganizationalBehavior,25（3）,293–315.3.Wagner,J.A.III,&Hollenbeck,J.R.（1995）.ManagementofOrganizationBehavior（2nded.）.Prentice-Hall.4.Wrzesniewski,A.,&Dutton,J.E.（2001）.CraftingaJob:RevisioningEmployeesasActiveCraftersofTheirWork.AcademyofManagementReview,26（2）,179–201.【URL】1.厚生労働省新たな社会的養育のあり方に関する検討会（2017）「新しい社会的養育ビジョン」（2025年11月3日閲覧）https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000173888.pdf2.こども家庭庁支援局家庭福祉課（2025）「社会的養育の推進に向けて（令和7年6月）」（2025年11月3日閲覧）136

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児童養護施設職員のバーンアウトに関する質的検討https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/8aba23f3-abb8-4f95-8202-f0fd487fbe16/292b57c9/20250715_policies_shakaitekiyougo_135.pdf3.認定NPO法人ブリッジフォースマイル（2021）「児童養護施設の職員たち」（2025年11月3日閲覧）https://www．b4s．jp/post-0-21/4.認定NPO法人ブリッジフォースマイル調査チーム（2012）「全国児童養護施設調査2012施設運営に関する調査」（2025年11月3日閲覧）https://www.b4s.jp/wp-content/uploads/2021/05/bfcf232bae6edc81cc25282451723ef9.pdf137

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執筆者紹介谷治和文佐藤達実中村晴文青山征彦村田光二成城大学社会イノベーション学部教授成城大学社会イノベーション研究科博士後期課程成城大学社会イノベーション学部卒業生成城大学社会イノベーション学部教授成城大学名誉教授L.ニューベリー・ペイトン成城大学社会イノベーション学部専任講師後藤悠里新垣紀子磯野達也成城大学社会イノベーション学部准教授成城大学社会イノベーション学部教授成城大学社会イノベーション学部教授林優太成城大学社会イノベーション研究科博士前期課程（第21巻第2号）2026年3月31日発行発行責任者南山浩二編集者成城大学社会イノベーション学会発行成城大学社会イノベーション学会〒157-8511東京都世田谷区成城6-1-20☎03-3482-9764FAX03-3482-8999製作株式会社白桃書房

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成城大学社会イノベーション学会会則（名称）第1条本会は、「成城大学社会イノベーション学会」と称する。（目的及び事業）第2条‌本会は、イノベーションの生成と普及及びイノベーションと社会との関連に関する研究の振興と教育活動への還元を図ることを目的とする。2前項の目的を達成するために、会誌『成城大学社会イノベーション研究』の発行、研究会、講演会等の開催その他の本会が必要と認めた事業を行うこととする。（会員）第3条本会は、次の会員をもってこれを組織する。（1）成城大学社会イノベーション学部の専任教員たる会員（2）成城大学大学院社会イノベーション研究科の学生たる会員（3）成城大学社会イノベーション学部の学生たる会員（4）成城大学大学院社会イノベーション研究科課程修了者のうち評議員会によって承認された会員（5）成城大学社会イノベーション学部卒業者のうち評議員会によって承認された会員（6）会長が推薦して評議員会の同意を得た会員（役員等）第4条本会に次の役員をおく。（1）会長会長は、成城大学社会イノベーション学部の学部長をもって充て、本会を代表し、会務を総理する。（2）評議員評議員は、第3条第1号の会員とする。（3）監事監事は、2名とし評議員のうちからこれを互選する。2本会に次の組織をおく。（1）評議員会評議員会は、会務について審議することを目的とし、評議員により構成する。なお、議長は、会長が務めるものとする。（2）会誌委員会会誌委員会は、会誌『成城大学社会イノベーション研究』その他調査研究資料の発行に関する事項を管掌し、会誌委員により構成する。なお、会誌委員長は、会誌委員のうちから1名を会長が任命する。（3）研究企画委員会研究企画委員会は、第2条第2項に規定する研究会、講演会等の企画及び運営を行い、研究企画委員により構成する。なお、研究企画委員長は、研究企画委員のうちから1名を会長が任命する。3本会に次の委員をおく。（1）会誌委員会誌委員は、若干名とし評議員のうちから会長がこれを委嘱する。ただし、会誌委員の任期は、2年とし重任を妨げないものとする。（2）研究企画委員研究企画委員は、若干名とし評議員のうちから会長がこれを委嘱する。ただし、研究企画委員の任期は、2年とし重任を妨げないものとする。（経費）第5条本会の経費は、会費、事業収入、成城大学補助金、寄附金その他の収入をもって支弁する。（会費）第6条会員は、会費を前納しなければならない。2前項に規定する会費の詳細は、別に定める。（会誌）第7条会員は‌、会誌『成城大学社会イノベーション研究』の配付を受け、会誌委員会の承認を経てこれに投稿することができる。2前項に規定する投稿の詳細は、別に定める。（会計期間）第8条本会の会計年度は、毎年5月1日に始まり翌年4月30日に終る。（事務組織）第9条‌本会の事務組織は、東京都世田谷区成城6丁目1番20号、成城大学社会イノベーション学部内におく。2025年度役員会長南山浩二評議員教授会メンバー全員会誌委員会委員長村田裕志会誌委員川村晶彦，後藤康雄，都築幸恵，村田裕志，山本理奈，L.ニューベリー・ペイトン会計郷香野子監事加藤敦宣，平井康大

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