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# Vol.16『[実践] 理念経営Labo』（2026 WINTER 1-3）

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人と組織の可能性を発見する研究誌理念経営実践2026WINTERLabo1-3Vol.16YKK精神「善の巡環」の実践YKK代表取締役会長大谷裕明［特集］企業精神を育み実践する家具を通じて多くの人に「わくわく」を届けるベガコーポレーション代表取締役社長浮城智和「五方良し経営」ですべての人が幸せになるさくら住宅相談役二宮生憲［松下幸之助経営塾志の実践］LOHASKYOTO代表社員大倉晶子［経営学で読み解く人と組織］東京経済大学准教授山口みどり

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『［実践］理念経営Labo』刊行にあたって現代の企業や組織において、経営理念を経営の軸に据えることの重要性はますます高まっています。一つには、資本主義社会のあり方が問い直され、企業の果たすべき責任がよりいっそう重視されつつあることが挙げられます。たとえば、行きすぎた株主重視の反省から、企業には社会的な課題解決が一段と強く求められるようになりました。ESG（環境、社会、ガバナンス）投資やSDGs（持続可能な開発目標）への関心の高まりからも、その傾向は明らかです。また、従来の経営理念に加えて新たに「パーパス」（存在意義）を掲げる企業も数多く出てきました。一方で、政府による働き方改革の推進、雇用慣行の変化、特に最近は新型コロナ感染症拡大をきっかけとしたリモートワーク導入促進の流れの中で、働く人々の価値観においても多様化が進み、組織を統合するための経営理念の役割も見直されています。私どもPHP理念経営研究センターは、複雑化する環境においても企業や組織が活力を持って高品質な商品やサービスを創出し、持続的な発展を遂げてゆくために、新たな理念経営のあり方を追求することを年に設立いたしました。この使命はパナソニックグループ創業者で弊社PHP研究所創設者でもある松下幸之助の「思い」から発しています。松下は、昭和7（1932）年5月5日、「人々の日常生活の必需品を充実豊富にして、その生こんしん活内容を改善拡充する。松下電器製作所はこの使命の達成を究極の目的とし、今後一層渾身の力を振るまいしんい、一路邁進せんことを期す」という趣旨の自社の「真使命」を宣言し、パナソニックグループを世界へと飛翔させました。また終戦後の世の乱れ、人心の荒廃を思い知らされたところから、「繁栄を通じて、平和と幸福を実現する」（PeaceandHappinessthroughProsperity）との思いに立ち、昭和21（1946）年11月3日にPHP研究所を設立いたしました。「初めに思いありき」の言葉通り、松下のいずれの事業活動もすべて「思い」を原点とした理念経営にほかなりません。こうした考えに立ち、PHP理念経営研究センターの情報発信の場として『［実践］理念経営Labo』をこのたび刊行いたします。誌名に「Labo」（ラボ）とつけたのは、本誌を生きた「理念経営の研究室」とし、より先端的な課題への取り組みに挑みたいとの思いがあってのことです。理念経営に挑戦している経営の現場を現代的見地にもとづいて取材し、理念実践の新たな指針を創出することを目指して誌面づくりに尽力していきたいと考えています。読者の皆様には、ぜひとも「Labo」の共同研究者として情報、ご感想を賜り、明日の「理念経営」のあり方に一石を投じるべくご支援、ご指導をお願いいたしたく存じます。2022年4月PHP理念経営研究センター代表渡邊祐介

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Contents──2026WINTER1-3（Vol.16）特集企業精神を育み実践する【Interview】YKK精神「善の巡環」の実践他人の利益を図らずして自らの繁栄はない【Interview】家具を通じて多くの人に「わくわく」を届ける「社会の公器」たるEC企業を目指して【Interview】「五方良し経営」ですべての人が幸せになる地域密着で28期連続黒字YKK代表取締役会長大谷裕明ベガコーポレーション代表取締役社長浮城智和さくら住宅相談役二宮生憲61014松下幸之助経営塾【志の実践】どんな人にも自分らしさを生きづらさを抱える人に寄り添う支援で評判【塾生通信】日に新たLOHASKYOTO代表社員大倉晶子1822Series【生涯現役研究会】社会・企業・個人から考える「生涯現役」「誰もが末永く元気で働き続ける社会」を探る24【経営学で読み解く人と組織】組織のエフェクチュエーション新市場を組織ルーティンでどう創るか東京経済大学准教授山口みどり26【教育現場から人と組織の成長を考える】志をもったリーダーを育てる目指すところは「自利利他円満」【現地レポート海外の地での挑戦】日豪をつなぐ架け橋になる！～逆境で見出した使命～【特別動画案内】MOVIEGALLERYPHP理念経営研究センター主席研究員的場正晃NichigoPressMediaGroup代表取締役馬場一哉303234誌面内容がよりよくわかる特別動画を右のQRコードからご視聴いただけます。動画は随時追加予定。メルマガにてご案内します。（メルマガ登録はP35下をご参照ください）

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［特集］企業精神を育み実践する「“この会社は何のために存在しているのか。この経営をどういう目的で、またどのようなやり方で行なっていくのか”という点について、しっかりとした基本の考え方をもつということである」（『実践経営哲学』より）創業者の思いがつまった会社の根幹をなす企業精神は、どのように育まれ、実践され、引き継がれていくのだろうか。本特集では、そのヒントを探るべく、企業の具体的な取り組みや実践例を紹介しながら考えていきたい。

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InterviewYKK精神「善の巡環」の実践他人の利益を図らずして自らの繁栄はないYKK株式会社代表取締役会長大谷裕明おおたに・ひろあき＊1959年生まれ。甲南大学卒業後、’82年にYKK入社。YKK深圳社社長、上海YKKジッパー社社長、YKK副社長などを経て、2017年、同社社長。中国事業を30年間手がけ、アジアでの事業展開の強化にあたった。’25年4月に同社会長に就任。YKK株式会社本社：東京都千代田区／創業：1934年／事業内容：ファスニング事業、ファスナー・面ファスナー・バックル・スナップ・ボタンなどの製造・販売非上場を貫き、70の国と地域で事業を展開するYKK。松下幸之助が、ファスナーという1つの商品で世界を席巻したYKKの経営に感嘆し、周囲に見学に行くようすすめたという逸話も残っている。YKK精神「善の巡環」は、創業者からいかに引き継がれ、どう世界中の拠点で浸透しているのだろうか。代表取締役会長の大谷裕明氏に、その実践について聞いた。取材・文：池口祥司写真・資料提供：YKK写真撮影：北嶋俊治（P9前沢ガーデンハウス）、奥村浩司（フォワードストローク：P9パッシブタウン）繰り返し聞くことでYKK精神が脳裏に焼きつく善の種をまいて、善を尽くしていけば、必ず善は報われていく――。YKKの𠮷田忠雄創業者は、YKK精神の「善の巡環」実現のため、84歳でその生涯を閉じるまで、ファスナー事業に取り組み続けたが、その経営哲学を事あるごとに語っていたという。「私が入社したのは今から43年前ですが、創業者𠮷田忠雄は健在で、入社式の際には壇上に立って一人で1時間くらい話し続けたと記憶しています。入社式に限らず、創業者は、『善の巡環』と『成果三分配』について繰り返し繰り返し話していました。『善の巡環』の真意は『他人の利益を図らずして自らの繁栄はない』ことであり、事業を通じて得られた利益は、お客様、お取引先の皆様、そして従業員も含めたYKKグループで三分配するというのが『成果三分配』の要諦です。創業者といえば、各地のお客様に新年のご挨拶をするため全国を回ることが恒例で、当時、私が働いていた大阪にもやってくるのですが、そ6［実践］理念経営Labo2026WINTER

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創業者・𠮷田忠雄氏のときもお客様にご挨拶しながら、『善の巡環』と『成果三分配』について何度も何度も説明していました。入社してから2年後、私が香港に転勤になった際も、香港までやってきて、現地の人たちを相手に同じことを繰り返し話していましたから、入社して数年もすると、私の脳精神が焼きつくことになりました」現在、YKKは世界で70の国と地域で事業を展開し、グループ会社は118社、従業員数は4万6000人を超えている。日本で生まれた「善の巡環」は海外の人々にどのように受け入れられたのだろうか。「今振り返って考えると、どの国や地域に行っても、YKKの精神に則り、考え、行動することが、今日の発展を支えていることを痛感しています。私は長らく中国に赴任していましたが、理想論、お題目だけ並べても、実践、実行がなければ誰も信用してくれません。なぜ、『善の巡環』が大切なのかを、『成果三分配』を組み合わせながら説明して、実際に利益が出て、しっかりと従業員に還元されて初めて、YKKという会社、YKKの人間は信用・信頼できるとなって、その結果、YKK精神も浸透していくという順番になります。それは、どの国や地域も同じだと感じます。たとえば、まずは『何のための利益なのか。利益が減るとどうなるのか』を徹底的に理解してもらう必要があります。私たちの目的は『善の巡環』の実践であって、利益はそのためのツールです。しかし、ツールがなければ実践できないわけですから、自ずと『利益』が必要になってくる。そして、その利益が出れば、『成果三分配』で従業員の皆さんの報酬が確保できるということを、何度も説明して、徹底的に理解してもらう。ですので、利益が減っている国・地域があれば、改善を追究することになりますが、それは『善の巡環』を実践するためなのです」その「善の巡環」を実践するためには人を育てることが大切だ。人材を育てるリーダーとしての役割にも揺るぎない指針がある。「私の好きな言葉の一つに、山本五十六の『やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ』というものがあります。現場では、まさにそれをそのまま実行しました。まずは自分自身でやってみて、話し合い、部下の意見に耳を傾け、信じて任せて、うまくいったら賞賛し、感謝を示すことの繰り返しでしか人は育ちませんし、信頼関係も生まれません。私はリーダー層に対して、『任せることは仕事ではない』と伝えています。ただ任せるだけなら誰でもできます。そうではなく、信じて任せられる人材を育てるのがリーダーの役割であり、忙しいからコミュニケーションできない、育てる時間がないというのは言い訳にすぎません。信頼関係構築という点では、コロ会長・社長が社員と直接対話をする車座集会ナ禍の車座集会も忘れられない記憶として残っています。ご存じの通り、コロナ禍は世界中の企業の事業活動、人々の生活に影響を与えました。当社においても、一時は受注が半減したので、国内外の従業員の多くが『自分の仕事はどうなってしまうのか』と不安な気持ちになっていることは想像に難くありませんでした。本当は現地に行って、各地の従業員と直接対話をしたかったのですが、そうもいきませんので、オンラインで車座集会を開催して、不安に思っていることに耳を傾け、『皆さんの生活は守ります。人員整理することはありませんので安心してください』と毎日毎日お伝えしました。当時の会長と私だけでも合計で1500人近くの従業員と画面越しではありますが、コミュニケーションしたのを覚えています」「土地っ子になれ」現地で生まれ育ったつもりでYKK精神の浸透には、トップの姿勢が大切になるとのことだが、ファスナーにおいては9割ほどを海外での生産に頼っているYKKでは、それぞれの地域でトップになる人材を選ぶ際のポイントがあるという。「当社は世界中に拠点を持っており、拠点ごとにトップ、責任者を配置しています。そのトップには、最も頭のいい人間、最もものづくりに［実践］理念経営Labo2026WINTER7

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YKK精神・経営理念・コアバリュー©2025YKKCORPORATIONた長けた人間がなるわけではありません。YKK精神をしっかりと理解し、正しく実践できる人、要は人間性によってトップを選ぶようにしています。もっと具体的に言えば、『YKKがこの国（あるいはこの地域）に来てくれてよかった』と、政府の方、地域の方に言っていただけるような経営を、一生懸命行なえる人間にトップに立ってもらっています」創業者は「土地っ子になれ」と呼びかけていた。そのメッセージは、海外の拠点においては非常に重要な意味合いを持っている。「創業者は『企業は社会の重要な構成員であり、共存してこそ存続できる』と考え、海外に進出するならば、その土地で生まれ育った人間のつもりで働くことを奨励しました。その言葉通り、私は30年間中国にいて、まさに土地っ子になったわけですが、日本から赴任した人間が現地に溶け込むだけでは不十分です。現地に溶け込んだ日本人からバトンを受け取った現地の人間がトップに立って、自分の国・地域の事業のイニシアティブをとることができて初めて、ＹＫＫはその国・地域の構成員となれると私たちは考えています。すでに歴史のある北米や欧州の多くの事業会社はその地域の人材が社長を務めています。中国においても、トップはまだ日本人ですが、現地の人材がトップを務める組織が複数存在しています」「土地っ子になれ」という言葉を象徴するような事例の一つが、1974年に、アメリカのジョージア州メーコン市に請われて建設された工場完成時の出来事だ。日本の旗を振って歓迎の意を表明する現地の人たちに対して、創業者は「ここはアメリカです。アメリカの国旗とYKKの社旗でお願いします」と言ったという。その言葉に心を動かされたのが、後に大統領になるジミー・カーター氏だ。カーター氏は大統領就任式に創業者夫婦を招待しただけでなく、後に、ＹＫＫの重要な製造開発拠点である富山県の黒部にも訪れ、工場等を視察。その際に滞在したという前沢ガーデンハウスの部屋は今も大切に保存されている。「公正」であることが企業価値につながるここまで組織内の理念の浸透についてうかがってきたが、対外的にどのようにＹＫＫ精神を発揮しているのかも気になるところだ。「組織内、組織外にかかわらず、YKKでは悪いことであればあるほど隠さずにすぐに共有して、みんなで解決する文化があります。失敗した事例がその後のケーススタディとなってしまうため、関係者としては複雑な心境かもしれませんが、1994年に2代目の𠮷田忠裕が制定した経営理念『更なるCORPORATEVALUEを求めて』は、私たちの活動は『公正』を根底としたものであり、そのことによって質を担保するという考えを遵守しています。これは胸を張って言うことではありませんが、過去に私たちのファスナーの品質の問題でお客様にご迷惑をおかけしたことがありました。ファスナー1本は数十円の単価ですから、不良などの問題が生じた場8［実践］理念経営Labo2026WINTER

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合、納品した分の金額をお返しすればいいという考え方もできるかもしれません。しかし、ファスナーがうまく機能しなければ、服であれ、バッグであれ、靴であれ、本来の性能を発揮できなくなってしまいます。私たちの経営理念に照らせば、ファスナー分だけ補償すればいいとはならず、多額の賠償金をお支払いしたケースもあります。もちろん、公正か否かをしっかりと検討したうえで、当社に非がないと判断した場合は、簡単には賠償を受け入れることはできません。当社にとって公正というのは非常に重要な判断軸であり、それこそが企業価値の源泉となっているのです」ちなみに、従業員からの提案で2007年に制定されたコアバリューの3つ「失敗しても成功せよ／信じて任せる」「品質にこだわり続ける」「一点の曇りなき信用」は、創業者の語録から、国内外の従業員約1万5000人によって選ばれたものであるという。また、YKK精神の「善の巡環」は、循環型社会、サステナビリティにも通じた思想であり、YKKは東日本大震災後の2010年代に黒部市で「パッシブタウン」の建設をスタートさせた。黒部の豊かな自然を活用して環境負荷を低減させる取り組みであり、2025年に全街区の開発が完了したが、今なお、様々な実証実験が行なわれている。わくわくするファスナーを世に送り出したい「善の巡環」が世界中に浸透していくなら、YKKの利益はさらに増え、社会への還元はもっと増えていくことになる。YKKは今、どのような未来を創造しようとしているのだろうか。「YKKは以前、ファスナーが地球を1周しているデザインの社章を採用していました。手作業でファスナーをつくっていた創業当初は地球を1周するのは夢のような話でしたが、今では年間80周できるくらいのファスナーをつくっています。これはYKKが社会の構成員として認められ、共存してきたことの表れであり、微力ながら産業界の発展に貢献できていることの証でもあります。今以上に『善の巡環』を実践していくことができれば、地球を100周することも不可能ではありませかきがらん。創業者が日本橋蛎殻町に、YKKの前身となるサンエス商会を設立したのが1934年ですから、あと8年するとYKKは創業100年を迎えます。その頃には地球を100周するだけでなく、今までにない新しいファスナー、わくわくするようなファスナーを世に送り出したいと思います。自然エネルギーの活用を積極的に追究しているパッシブタウンこの『わくわくする商品提案』は第7次中期事業方針実現のための7つの重点項目の1つにもなっています。わくわくする商品を開発するには、YKK全体が一体となり、情報共有を図りながら、YKK精神を体現することが必要になります。ここまで、ファスニング事業のことを中心にお話ししましたが、もうひとつの柱であるAP（建材）事業が生まれたのも、アルミ用押出機でつくるアルミ形材の生産量がファスナーの生産量以上となり、その残りを活用したところからスタートしています。当時の従業員たちが試行錯誤を重ねて、AP事業を生み出したように、私たちも新しい商品をぜひとも生み出していきたいと思います」そう語る大谷氏が紹介するのは、近年開発された磁石の力で開閉を容易にしたファスナーだ。小さい子供や手の不自由な方々であっても使いやすいユニバーサルデザインを意識してつくられたもので、素早く着脱する必要があるスポーツウェアなどにも適しているという。建築家の槇文彦氏が設計した会社のゲストハウスである前沢ガーデンハウス。米元大統領カーター氏も滞在したファスナーが地球を1周している社章もともとファスナーは1800年代くつひも後半に「靴紐」の代わりとして考案されたそうだが、今では宇宙服、テント、トンネルなどにも使われている。「善の巡環」が今よりいっそう普及した未来に、私たちはどんなファスナーを使っているのだろうか。L［実践］理念経営Labo2026WINTER9

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Interview家具を通じて多くの人に「わくわく」を届ける「社会の公器」たるEC企業を目指して株式会社ベガコーポレーション代表取締役社長浮城智和うきしろ・ともかず＊1976年生まれ。福岡県出身。2004年に北九州市でベガコーポレーションを創業し社長に就任。同年ロープライスで家具をネット販売するLOWYAをオープン。’10年に本社を福岡市博多区に移転。’16年に東証マザーズに上場し、’22年にはグロース市場へ移行。’23年以降は実店舗の全国チェーン展開に取り組んでいる。株式会社ベガコーポレーション本社：福岡市博多区／創業：2004年／事業内容／家具・インテリア等のインターネット通信販売事業および直営店の運営、越境ECプラットフォームの運営等家具ブランド「LロOWYAウヤ」で知られるベガコーポレーション。Eコマース（EC）がまだ海の物とも山の物ともれいめいつかなかった黎明期に、浮城智和社長は家具のネット販売に着目し、机ひとつとパソコン2台で事業を開始したうよきょくせつという。初期の紆余曲折を経て確固たる経営哲学を築き上げ、同社は幅広い支持を獲得している。これまでの歩みと直近の事業展開について、浮城氏に語っていただいた。取材・構成：森末祐二写真提供：ベガコーポレーション追い詰められた先で体感「好況よし、不況またよし」「あと2カ月この状態が続いたら資金がショートしてしまう！」家具・インテリアのインターネット通信販売事業で起業して3年目、2006年の夏のことでした。それまで当社は倍々ゲームで売上を伸ばしていたため、家賃6万9000円のワンルームマンションから家賃30万円の事務所に引っ越したばかりで、従業員も増やして「さぁ、これからだ」と思っていた矢先、急激に売上が落ち込んでしまったのです。その年の8月に単月で大きな赤字を出し、これが仮に9月、10月と続いたら運転資金が底をついてしまうという倒産の危機に、私は頭を抱えました。売上が落ちた理由は、それまで商品を仕入れていた家具・インテリアメーカーが独自にネット通販を開始し、当社の仕入れ値程度の販売価格で売り出したからでした。同じ商品が大幅に安ければ、消費者は当然そちらで購入するようになります。もとより参入障壁が低いネット通販業界に、いずれ競合相手が増えていくことは予想していました。しかしな10［実践］理念経営Labo2026WINTER

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特集企業精神を育み実践するがら、わずかな期間でここまで苦境に立たされるとは考えていなかったのです。そこで取り組んだのが、商品を紹介するホームページの内容を充実させ、より魅力的に、より買いたくなるよう見せ方を工夫することでした。全体的に売上が下がった中でも、買い上げ率が高い商品はいくつかあって、それらに共通していたのが「サイトの中で商品を細かく丁寧に説明していること」だったのです。つまり、他のサイトよりいくらか値段が高くても、商品の特長、寸法、デザイン、使い勝手などがお客様にきちんと伝われば売れるはずだと考えました。もっといえば、「この方法に賭けるしかない」という追い詰められた心境だったと思います。それから私は毎晩事務所に居残って、来る日も来る日も明け方近くまでホームページのつくり込みに没頭しました。そうしてすべての商品をとにかく詳しく説明することに全力を尽くしたのです。インターネットのいいところは、お客様にたくさんの情報を提供できると同時に、お客様自身は自分が知りたい情報だけを選び、それ以外は飛ばして見ることができる点にある。つまりいくら情報量が多くてもお客様の負担になりにくいということです。今では商品を詳しく説明するのはごく当たり前になっていますが、2006年当時の一般的なECサイトは簡素で情報量が少なかったため、当社のサイトはお客様に喜ばれ、売上は徐々に回復していきました。加えて、それまで国内のメーカーを通して商品を仕入れていたのを、中国や東南アジアの家具製造工場から直接仕入れる方法に切り替えたことも、当社にとって大きな転換点となりました。貿易業務の経験はありませんでしたが、なんとか勉強して自社で輸入するようにしたところ、思った以上に仕入れ値を下げることができたのです。サイトの好調に加えて利益率も確保できたことで、無事V字回復を果たし、それから4～5年は右肩上がりの成長が続きました。思い返せば、あのとき業績が悪化したおかげで、死に物狂いで業務改善に取り組み、かえってそれ以前よりも強い会社に成長できたわけです。そういう意味では、尊敬する松下幸之助さんの「好況よし、不況またよし」という教えを、図らずもビジネスの現場で体験できたといえるのかもしれません。インターネット×家具「LOWYA」を展開へ私が「起業」を志すようになったのは、大学在学中の19歳のときでした。実家が不動産業を営んでいたため、もともと会社員でやっていく気持ちはあまりなかったのですが、学生時代にいろいろなアルバイトを経験し、労働収入の限界を感じたことで、起業への意志はより強くなりました。時間給で働いている限り、おのずから収入の上限は決まってくるわけで、もっと上を目指していくには起業しなければ難しいと思ったのです。ちょうどその頃、Windows95が発売され、インターネットに出合ったことも大きな衝撃でした。特に文字情報が瞬時にほぼ無料で世界中に送信できるEメール、さらにはポータルサイト、検索エンジンというものも出てきて、「これから世界にとんでもない変化が起こるのではないか」と、全身に電流が走ったような気がしたのです。そうした経緯から、「将来はインターネットを活用したビジネスで起業したい」という気持ちを抱くようになりました。しかしながら、まだ経験の浅い若者だったため、インターネットを使ってどんな事業ができるのか見当もつきませんでした。そこで、30歳までにいろいろな職業を経験し、どういう仕事がネットビジネスにマッチするのかを考えることにしました。そのとき私は、どんなに楽しい年で必ず転職するというルールを自分に課したのです。LOWYAの商品はオシャレなだけでなく、「こんなのあったらいいな」というアイデアにあふれている［実践］理念経営Labo2026WINTER11

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そうして寿司店や携帯電話ショップ、不動産会社など、次々と経験値を増やしていったわけですが、このやり方は25歳の頃に早くもつまずくことになります。短期間で仕事を変え続けたのがあだとなって、なかなか次の会社に採用してもらえなくなり、26歳で一時期無職の状態になってしまったのです。もう誰も雇ってくれないのかと内心焦っていたとき、やっと見つかったのが家具を輸入販売している商社のアルバイトでした。どちらかといえば家具よりも貿易に関心があったのですが、実際に与えられた仕事は貿易と無関係の営業アシスタントで、いわば雑用係みたいなもの。ただそこで私は現在のベガコーポレーションのビジネスにつながる大きな発見をしたのです。それは、お客様が「家具の現物を見ずに購入されることが意外に多い」ということでした。イスにしてもタンスにしてもテーブルにしても、家具はそれなりにサイズが大きいものばかりですから、限られた店舗スペースに全商品を置くことはできません。たとえば収納棚にいくつかカラーバリエーションがあったとして、お客様のほしい色が在庫にないことも多いのです。にもかかわらず、お客様は実物を見ることも触ることもなく、カタログから色を指定して注文されていました。さらにその家具店では、注文された商品をメーカーからお客様のご自宅に宅配便で直送する方法で納品していました。これらの事実を知ることで初めて、「自分が実際に経験した仕事」と「ネットビジネスの可能性」が結びついたのです。当時すでに米国ではAmazonが、国内ではYahoo!ショッピングや楽天市場などができていて、インターネット通信販売、つまりEコマース事業が始まっていました。現物を見ずにカタログだけで家具の購入を決められるということは、インターネット上のホームページでも家具が売れるはずだと思いました。入った注文に対してメーカーから直接送ってもらえば、自分で倉庫を持って在庫を置いておく必要もありません。幸い日本は宅配便という物流システムが整っている国であり、福岡にいながらにして北海道から沖縄まで、どこにでも商品を届けることが可能です。こうして私は27歳で「家具のEコマース」というビジネスモデルにたどり着き、2004年7月に当社を創業するに至ったのです。7月なので七夕の織姫星「ベガ」にちなみ、「ベガコーポレーション」と社名をつけました。ベガは非常に明るい1等星であり、「最も輝く星になれるかもしれない」という思いも込めています。また「LOWYA」というネットショップ名は、「インターネットを活用して中間マージンを省き、よりよい商品をより安く（LOW）お届けしていく」という経営方針を表しています。何のために起業したのか幸之助哲学との出合い自宅のベッドの横に小さな机を置き、36回払いのローンで購入した15万円のノートパソコンと、もう1台あったパソコンと電話機が、私の創業時のビジネスツールのすべてでした。そしてホームページをつくってYahoo!ショッピングと楽天市場に出店し、それこそ毎日朝から晩まで夢中になって仕事をしていました。最初の半年は利益がほとんど出ず、缶コーヒーを買う余裕すらないほどの状態でしたが、業務の一部を手人でなんとかふんばり、徐々に売上が伸びていったのです。そうして順調に成長しつつあったさなかに、冒頭で述べた経営危機に陥ったものの、これを乗り越えて再び成長軌道に乗りました。しかし年億円ほどになって生活に多少歳のとき、ふと心に迷いが生じていることに気づきました。19歳の頃から起業を目標にしてそれを実現し、時間給では得られない収入を手にしたとき、そこにあったのは満足感ではなく、「自分は一体何のために会社を始めたのか」「これから先、自分は何を目指していけばいいのだろうか」というモヤモヤした気持ちだったのです。「世の中の社長はどんなことを考えているのだろうか」と思った私は、それから経営者の著書を片っ端から読むようになりました。そのなかで最も心を奪われたのが、松下幸之助さんの経営哲学でした。「企業は社会の公器である」「2階に昇りたいという熱意がハシゴを思いつかせる」等々、一つひとつの言葉に心底共感し、「松下さんの哲学の真似をしたい」「この価値観なら、正しいと思って人に伝えることができる」という確信みたいなものが得られたのです。私の商売の理念、経営者としての生き方や考え方は、松下さんに見習おうと決心しました。それ以降は家具のネット販売も順調に成長していきました。一時期スマートフォンのゲーム製作販売にも12［実践］理念経営Labo2026WINTER

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特集企業精神を育み実践する取り組み、それなりに成果は上がったものの、大手ゲーム会社の本格参入により継続が難しくなって売却しました。このときスマホゲーム事業を手がけたことで、世界に向けて販売するウェブマーケティングの手法が理解できたため、商材をゲームから家具以外の日本の様々な製品に切り替え、世界に向けて販売する越境ECサービスの「DドコデモOKODEMO」を2015年に開始しました。さらに翌2016年には東証マザーズに上場を果たし、2020年にはLOWYAの旗艦店を自社で開発したECシステムにフルリニューアルするなど、ネット販売態勢のさらなる強化を図っています。また松下幸之助さんの経営哲学を参考にしながら、次のような方針も打ち立てました。VISIONECの可能性を無限大にMISSION「わくわく」を届け、「アタリマエ」を変える社是誠実・愛・感謝・謙虚・調和このようにビジネスとしても、経営理念としても、ベガコーポレーションの理想のあり方が形成されていったのは、松下幸之助さんの教えのおかげだと考えています。そしてこれがわが社の伝統として、徐々に根づきつつあるといってもいいでしょう。人材の採用においては、単に高度な技術や知識を持っているとか、ECが好きだといったことよりも、当社の経営理念に合致した人材が採れるように努力しています。今でも最終面接には私が入り、価値観が共有できる人かどうかを判断しているのです。たとえば「あなたはこれまでどういうふうに考えて生きてきましたか？」と質問し、そのときの返答やリアクションを見るようにしています。入社後の社員教育では松下さんの著書を推奨するなどして、共通認識をつくっていけるよう工夫しています。若手だけでなく、上層部をヘッドハンティングする際にも、「うちは松下哲学の会社です」とはっきり伝えており、これに賛同してもらえる方に入社していただいています。こうした方針を徹底することで、よき伝統を築き上げていきたいと願っております。年商1000億円を目標に次のフェーズへ直近の大きなチャレンジとしては、2023年4月以降、実店舗のチェーン展開に取り組んでいます。実店舗を出す構想自体は10年以上前からありましたが、始めるのはもっと先だと予想していました。ところがコロナ禍によって、もともと実店舗のチェーンで成功していた大手がネット販売に力を入れ始め、マーケット全体で「実店舗での販売とすネット販売との棲み分けが曖昧になってきた」ことから、これまでネット販売専門だった当社も急いで実店舗をつくるべきだという考えに至ったのです。福岡市の郊外で1号店を出したとき、想像以上にたくさんのお客様にお越しいただいたことにまず驚きました。こんなにもLOWYAの商品を「見たい」と望むお客様がおられたのかと思い、それまでネット販売2023年にオープンした実店舗第1号となるLOWYA九大伊都店（福岡市）。初日は長蛇の列ができるほどの盛況ぶりだっただけにこだわり続けたのはエゴだったかもしれないと、反省の気持ちさえ湧いてきました。お客様からは「ネットを見て来ました」「実物を見に行ってきます」「実物がよかったので買いました」といったコメントをいただくことが増え、実店舗をつくったことによる大きな効果を感じており、これからもチェーン展開にいっそう力を注いでいくつもりです。あわせて海外市場への進出も本格的に進めることで、年商1000億円を達成することが現在の目標です。こうして着実に成長しながら、同時に松下哲学に基づく理念経営を定着させることができれば、「社会の公器」として、より多くの人々に「わくわく」を届けられる存在になれるのではないか。そう信じて今後まいしんも邁進してまいります。L［実践］理念経営Labo2026WINTER13

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Interview「五方良し経営」ですべての人が幸せになる地域密着で28期連続黒字株式会社さくら住宅相談役二宮生憲にのみや・たかのり＊1947年、愛媛県生まれ。法政大学卒業後、ミサワホームに入社。2年後に注文住宅の会社を4人で設立。その後、大手住宅メーカーの取締役を経て、’97年、神奈川県横浜市にさくら住宅を設立。「（一社）全国リフォーム合同会議」代表理事、「（一社）人を大切にする経営学会」副会長。著書に、『新版住宅リフォームを考えたら必ず読む本』（あさ出版）など。株式会社さくら住宅本社：神奈川県横浜市／創業：1997年／事業内容：リフォーム・耐震補強・新築・増築・改築・一戸建て全面改装・マンション全面改装などさくら住宅は、「ちょっとしたことでお困りの人は多いかもしれない」と考え、どんな小さな工事でも引き受けてきたことで、リフォーム会社として28期連続黒字を達成してきた。それは、創業者の経営哲学を、あらゆる取り組みに盛り込み、実践し、社員のみならず、業界全体にまで広げようとした結晶でもある。その創業者である相談役の二宮生憲氏に「社会のお役に立てる」経営哲学について語っていただいた。取材・構成：塚田有香写真提供：さくら住宅小さな工事でも引き受けリフォーム業界の悪習を覆すさくら住宅は、神奈川県横浜市に本社を置く地域密着型のリフォーム会社です。1997年の創業以来、「リフォームを通じて、社会のお役に立つ会社になる」との企業理念を掲げ、現在は年間約2000件の工事を手がけています。私がさくら住宅を創業したのは、51歳のときです。社会に出てから一貫して住宅業界に身を置き、前職の大手住宅メーカーでは取締役まで務めましたが、社長らの経営方針に疑問を感じ、自ら会社を立ち上げることにしました。リフォーム業を手がけることにした理由は単純で、創業当初はお金がなかったからです。リフォームなら注文住宅に比べて金額が手頃なので受注しやすく、工期が短いので売上もすぐに立つだろう。その程度の考えで始めたリフォームの仕事でしたが、しばらくするとこの業界の実態が見えてきました。私が驚いたのは、仕事が欲しいがために、無理な安売りに走るリフォーム会社が多いことです。たと14［実践］理念経営Labo2026WINTER

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えば最初は110万円の見積もりを出し、お客様（施主）が迷っていると、100万円、90万円と値引きして、なんとか受注を取ろうとする。一方のお客様も、複数の業者から相見積もりを取って、最も安いところを選ぶケースがほとんどです。しかし安さには理由があります。大幅な値引きをする代わりに、リフォーム後に問題や不具合が発生しても、きちんと対応しない業者があまりに多いのです。なかには施工後の保証内容を曖昧にしたまま受注し、仕事さえもらえばいいとばかりに、工事をやりっ放しにしたまま、おろそアフターサービスを疎かにする業者もいます。これではせっかく自宅をリフォームしても、お客様は安心して住み続けることができません。よって弊社は安易な値引きや安売りはせず、高品質な工事とサービスを適正な価格で提供するという経営方針を掲げています。私たちは10年先や20年先まで考えて工事を行ない、施工後にお客様から連絡があれば、すぐに駆けつけて対応します。お客様に見積もりを出す際も、「なぜこの価格なのかは、工事が終わった後になればわかっていただけます」とお伝えしています。リフォーム業界が抱える問題はほかにもありました。それは小さな工事を引き受ける業者が少ないことです。リフォーム業者が必要とされるのは、リノベーションや水回りの改装といった大きな工事だけではありません。水道が水漏れする、排水が詰まった、扉が開閉しにくいなど、「ちょっとしたお困りごと」があるときこそ、お客様は助けの手を求めます。しかし小さな工事は単価が安く、利益も出ないため、大半の業者新築した第2社屋「SAKU.LAB（さくらぼ）」。2階ではセミナーも開催できるはやりたくないのが本音です。願いしたい」と大きな工事を発注しだからこそさくら住宅は、どんなてくださるなど、より高額な受注に小さな工事でも引き受けてきましつながるケースも増えました。た。きっかけは創業間もない頃、あちなみに現在も、さくら住宅は年るお客様から「洗面所の鏡を交換し間2000件の工事のうち、5万円以てほしい」と頼まれたことでした。下の小規模工事が48％を占めます。当時はまだ仕事がほとんどなく、私他社がやらない小さな工事も積極的ともう一人の創業メンバーである福に引き受ける姿勢は、創業から28田（千恵子氏・現相談役）が、近隣年経った今も変わりません。の住宅街に会社のチラシをポスティ余談ですが、同時期にチラシを見ングする日々が続いていました。そたお客様から大規模リフォームを依枚を見たお客様が連絡を頼され、いきなり約5000万円の工くださったのです。事を受注したこともあります。設立話を聞くと「どの業者に頼んでもしたばかりの無名のリフォーム会社断られた」と大変お困りの様子だっによく連絡をくださったものだと思たので、私たちが引き受けることにいますが、朝から晩まで歩き回ってしました。受注金額は3000円程度枚ずつ投函するという地だったと記憶していますが、このと道な積み重ねが呼び込んだご縁だっきはお金のことより、目の前の人をたのでしょう。助けたい気持ちが勝りました。「人事をつくして天命を待つ」とこの経験から「ちょっとしたこというように、夢中になって自分にででお困りの人は多いのかもしれなきる努力をやり切ると、道がひらけい」と気づき、チラシに「どんな小ることがあることを実感しました。さな工事でもやります」と印刷してこうして従来のリフォーム業界に配ったところ、以前より多くの反応おける常識や慣習を覆す取り組みをが返ってくるようになりました。最続けた結果、小規模工事と大口の仕初は数千円の工事を依頼したお客様事をバランスよくいただけるようにが、「今度は浴室のリフォームをおなり、創業の翌年から現在まで28［実践］理念経営Labo2026WINTER15

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3代目として「五方良し経営」を継承代表取締役社長小林久期連続で黒字を達成しています。お客様を幸せにするにはまず社員と取引先から私は創業以来、自分なりの経営哲学を貫いてきましたが、今から十数年前に、自分が実践する経営を的確に言い表す言葉と出合いました。それが経営学者の坂本光司先生が提唱されている「五方良し経営」です。これは「①社員とその家族」「②取引先とその家族」「③お客様」「④地域住民」「⑤株主」のすべてを幸せにすることを目的とした経営であり、なおかつ順番の通りに実行することが大事であるというのが、坂本先生のお考えでした。ひさよし創業者である二宮相談役の理念を受け継ぎ、2022年に社長に就任しました。入社後は、主に企画営業の仕事に従事しましたが、お客様への丁寧な対応や提案、スピードに力を入れました。社長就任後は、地元にある特別支援学校の職業実習に協力するなど、新たな地域貢献にも取り組んでおり、創業者の思いを引き継ぎ「五方良し経営」を実践していきます。祉そのお話を聞いて、私が前々から考えていたことが言語化されて明確になり、「自分が求めていたのは、この“5人”を幸せにする経営なのふだ」と腑に落ちたのです。たとえば弊社が安売りに走らず、適正な価格で受注することは、社員や取引先に正当な対価を支払い、その家族を含めて皆が幸せに暮らすことにつながります。自分が実践してきた経営は、お客様だけでなく、社員や取引先を幸せにする経営でもあったことを、「五方良し経営」との出合いが確信させてくれました。なぜお客様の幸せの前に、社員や取引先の幸せを実現しなくてはいけないのか。幸せな社員は、どうすればお客様が幸せになるかを考えます。また職人さんや建材店さんなどの協力業者が幸せになれば、施工現場でお客様と誠実に向き合い、質の高い仕事をしてくれます。よってお客様を幸せにするには、まず社員や取引先の幸せを考えなくてはいけないのです。会社が稼いだ利益を社員とその家族にきちんと還元するため、さくら住宅では社員に会社の経営状態を公開しています。毎月の売上や利益は、翌月1週目に月次決算書としてパートを含めた全従業員に配布され、変動があった項目は小林久祉社長が朝礼で説明します。残念なことに、中小企業経営者の中には、家族で外食や旅行を楽しんだ費用を会社の経費で落とすなど、公私混同が常態化しているケースが少なくありません。自分で経費を膨らませておいて、「利益が少ないから社員の給与は上げられない」などと言い訳するのは、経営者として許されることではありません。弊社のように経理をガラス張りにすれば、経営者が儲けをごまかすことは不可能です。私は社員の給与をリフォーム業界で一番高くしたいと思っていますし、現時点でも業界内で高い水準を維持しています。取引先に対する支払いも迅速に行なっています。この業界では支払いが3カ月後や4カ月後になることも多い中、弊社の職人さんへの支払いは、すべて月末締めの翌月25日払い。さらに年末は、12月20日締めの同月28日払いとしています。年末年始は何かとお金がかかるので、個人事業主が多い職人さんたちは、手元に現金があれば心強いだろうと考えたからです。こうした対応が信頼関係の構築につながり、職人さんたちとは10年年の長いおつき合いが続いています。また職人さんや設備機器の卸問屋さん、建材店さんなどが加入する「さくら会」では、少人数のグループごとに分科会を定期的に開催し、弊社の社員と情報共有や意見交換をしながら、コミュニケーションを深めています。お客様を幸せにするための弊社独自の施策としては、「お客様株主制度」があります。その名の通り、お客様に株主になっていただくことで、利益を還元するのが目的です。現在は株主の40％近くがお客様で、加えて多くの社員や取引先も弊社の株主になっています。社員・取引先・お客様とともに利益を共有し、皆で幸せになることが創業者である私の願いでもあります。また「五方良し経営」で忘れてはならないのが、地域住民への貢献です。地域密着型の事業を展開するさくら住宅が存続できるのは、会社を支えてくださる地域の方たちの幸せがあってこそ。そんな思いから、地域の人たちとの交流やつながりを大切にしてきました。本社の隣に「さくらラウンジ」を作ったのも、地域の方たちに感謝の気持ちをお返しするためです。ここ16［実践］理念経営Labo2026WINTER

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特集企業精神を育み実践するは誰でも利用できるフリースペースで、近所の人がふらっと立ち寄っておしゃべりしたり、無料で提供しているコーヒーや紅茶を飲んだりしています。イベントやワークショップなどの会場としてもご利用いただけるので、地域の人たちが自作の絵画や手芸を展示したり、料理教室やミニコンサートを開催したりと、地域住民同士の交流も盛んです。このラウンジでは、障がい者サポートセンターの方たちが手作りした無添加のパンも販売しています。さくらラウンジでの販売をきっかけに、他の施設や店舗にも販路が広がったそうで、私たちも嬉しく思っています。「企業は社会の公器である」という松下幸之助さんの言葉通り、会社は社会や地域の役に立ってこそ存在する価値があります。会社が稼いだお金は、私たちが一時的にお預かりしているだけで、社会に利益として還元しなければいけない。自分さえ儲かればいいという考えでは、会社を永続させることはできません。今まで述べた様々な「五方良し」の実践を通じて、社員にはその考え方が伝わっていると感じています。業界全体の底上げと次世代の育成に尽力社内のみならず、リフォーム業界にも「五方良し経営」の考え方を広本社に隣接する「さくらラウンジ」。イベントを開催したり自作の作品を展示するなど、地域住民にひらかれている（作家さんの打ち合わせの様子）め、お客様が安心して工事を依頼できる会社を増やすため、2010年には「全国リフォーム合同会議」を設立しました。いまだにリフォーム業界は悪徳業者が多いとのイメージが根強く残っていますが、そんな状況を少しでも改善したいとの思いから、業界全体の意識改革と底上げに取り組んでいるのです。また最近は、未来のリフォーム業界を担う次世代の育成にも力を入れています。先日も仙台にある工科専門学校で、学生たちに講義を行ないました。「仕事とは何か」という基本的な話に始まり、建設業界の仕事やリフォームの魅力、五方良しの考え方まで、若い人たちにじっくりと私の考えを伝えたのです。私が今、社会のために最も重要だと考えているのは、エッセンシャルワーカーの育成と社会的地位の向上です。そこにはもちろん建設やリフォームの現場で働く監督や職人も含まれます。人口減少による人手不足が加速する中、住宅を建てたり、リフォームしたりする人がいなくなったら、この社会は安心して生活できる場さえ失ってしまいます。今の若い人は、「さくらラウンジ」では毎週1回、障がい者サポートセンターの方々手作りのパンが販売されているAIやITの技術者に憧れますが、建設やリフォームの専門技術を持つ職人も、同じくらい格好良くて稼げる職業なのだと知ってほしい。困っている人に頼られ、リフォーム工事をすれば「わが家をこんなにきれいにしてくれてありがとう」と感謝される。こんなにいい仕事はほかにありません。それを伝えたくて、学校から講義や講演の依頼があれば積極的に引き受けています。人を育てる立場になって実感するのは、幸之助さんがおっしゃる「素直な心」の大切さです。全国リフォーム合同会議に参加する若手経営者を見ていても、素直な人ほど伸びていきます。先日も合同会議で出会った経営者に、「あなたの会社は利益も多く、自己資本比率も高いのだから、社員の給与をもっと上げてはどうか」と意見したところ、良いと思ってくれ、すぐに実行してくれました。その後もこの会社は業績を伸ばしており、やはり素直さが人を成長させるのだと改めて感じた次第です。これからも次世代に「五方良し経営」を継承し、少しでも社会のお役に立てるように努めて参ります。L［実践］理念経営Labo2026WINTER17

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【志の実践】どんな人にも自分らしさを生きづらさを抱える人に寄り添う支援で評判合同会社LOHASKYOTO代表社員大倉晶子おおくら・しょうこ＊貧しい母子家庭で育ち、結婚後も事故により夫を失うつらい経験に直面するも、シングルマザーとして子育てをしながら、2014年に独立を決意、合同会社LOHASKYOTOを設立。京都市左京区で、精神科に特化した訪問看護・訪問介護・相談支援を運営し、生きづらさや日々の困難を抱える人たちへの支援を提供している。その一方で、医療・看護・介護職、ビジネスパーソン、子育て中の親に向けてカウンセリング、コーチング、各種講座も実施。アドラー流メンタルトレーナー、グリーフケアトレーナーをはじめ、多数の資格を有する。著書に『きっと、次の職場ではうまくいく――自分を見つめ直す旅』など。SMBエクセレント企業賞、京都市「地域企業輝き賞」を受賞。「松下幸之助経営塾」第29期卒塾。合同会社LOHASKYOTO本社：京都府京都市／設立：2014年／事業内容：訪問看護、訪問介護、相談支援、各種コンサルティング、カウンセリング精神障がいや発達障がいを抱える人が、地域で安心して暮らせるよう支援する。訪問看護や訪問介護、相談支援事KYOTOの大倉晶子代表は、母との葛藤や若くして夫を亡くした困難を乗り越え、人と人が支え合う仕組みを築いてきた。松下幸之助経営塾での学びを通して、自社のサービスが存在する意味や自社のスタッフを大切にすることの重要性に気づき、事業のさらなる充実・拡大に取り組んでいる。取材・構成：荒木さと子写真提供：LOHASKYOTO小学生から高齢者まで利用まずは本人の話をよく聴く当社は、精神障がいや発達障がいを抱えている方々のご自宅を訪問し、看護や生活支援、相談対応などを行なう事業をしています。サービスを利用される方々は小学生から高齢の方まで幅広く、それぞれの疾患や生活状況に応じたサポートを提供しています。「訪問看護」「訪問介護」と聞くと、どこか重篤な症状を抱えた方へのサービスであるとイメージされるかもしれませんが、私たちの仕事はまず、利用者さんのお話を聴くことから始まります。一人ひとりの心の状態を丁寧にひも解きながら、安心して生活できる環境づくりを進めています。たとえば、掃除や片づけが苦手な方には、ヘルパーや作業療法士が一緒になって住みやすい空間を整えていきます。また、自宅に閉じこもり18［実践］理念経営Labo2026WINTER

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どんな人にも自分らしさをがちな方には、福祉作業所等の地域の施設とつなぐことで社会参加を促すこともあります。相談支援事業では、利用者さんが1週間をどのように過ごすのかというプランをつくり、ご自身でできることを少しずつ増やしていくお手伝いをしています。感情を抑えた幼少期から自分らしさを取り戻すまで私は、2014年に当社を設立する以前は、精神科の専門病院に勤務していました。訪問看護や訪問介護のサービスを提供する部署に所属し、かたわ現場に出る傍ら、管理職として在宅事業所の統括業務にも携わっていました。働き始めた当時は、病棟によっては窓に鉄格子がはめられ、外から鍵がかけられている部屋もあり、精神科医療に対する偏見が根強く残っていました。「なぜ、そんな病院で働くの？」と聞かれたこともあります。しかし私は、自宅から近く、病院であれば安定した仕事ができそうだと思い、特に抵抗感なく就職したのです。ただ、抵抗感がなかったのは今思えば、私自身の生い立ちに関係していたのかもしれません。私は貧しい母子家庭で育ちました。母はとても厳しく怖い人で、常に母の顔色をうかがいながら過ごす日々でした。「優等生を演じていれば怒られない」と、自分の本心は横に置き、母に認められる正解だけを選んで生きていたのです。そんなある日、友達の家を訪ねたときのこと。友達のお母さんが一人ひとりに丁寧に紅茶をいれてくれる姿を見て、自分の母との違いに衝撃を受けると同時に、自分の育ってき当初は4人で始めた会社も、今では業務に関与する人をすべて含めると50人を超えている（左から2人目が大倉氏）た環境に違和感を覚え始めました。自宅では、泣かない、怒らない、「助けて」とも言えず、いつしか笑い方すら忘れてしまったのです。ちなみに今の私がピンクや赤などの明るく華やかな色の服を好んで着ているのは、幼少期に紺や黒、白などの地味な服しか着せてもらえなかった反動から、自分らしい色を選ぶことで心の自由を取り戻しているのかもしれません。高校生になると、アルバイトで働いて得たお金で、ちょっとしたお菓子や飲み物を買えるようになりました。家では与えられてこなかったので、とてもおいしく感じたのを覚えています。その一方で、自分で稼いで生きていかねば、という思いを強くしました。とはいえ、自分の生きづらさを相談できるような人は、周囲にはいませんでしたね。精神科の病院で働き始めてから、患者さんが悩みを打ち明ける姿を見かけるようになりました。「私も幼少の頃からこんなふうに話を聴いてくれる人がいたら、もう少し楽に生きてくることができたのに」と感じました。こういう経験が、間接的ではありますが、今の事業につながってきていると思うのです。夫を亡くし独立を決意利用者の希望をかなえるもっとも、事業を始めた直接的な理由は、もう少し別の点にあります。私は病院に勤務してから、結婚し、子供にも恵まれ、穏やかな日々を過ごしていました。ところが、思いがけない不幸が家族を襲います。夫を事故で失ったのです。残された私は、小学生の息子を育てていかなければなりませんでした。「いつまでも不幸にとらわれていても仕方ない。前に進みたい」という思いが募り、何か自分にできないかと、模索を始めました。ちょうどその頃、在宅サービスの利用者さんから、「夕食は晩の6時以降に食べたい」「お風呂を昼の3時ではなくて夜に入りたい」といった声があがっていました。しかし、職員の支援時間は午前9時から午後5時まで。大きな組織で労働組合もあり、容易にはその要望に応えられ［実践］理念経営Labo2026WINTER19

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松下幸之助経営塾で、従業員を大切にすべきであることを学ぶ。従業員は大切にされれば、おのずとお客様を大事にすることに気づく。従業員の健康にも留意し、毎週金曜早朝には、京都市内のオフィス向かいのスペースで体操を行なっているない現状がありました。それならば私がその環境をつくればいいと考えて独立し、2014年にLOHASKYOTOを設立することになったのです。当社設立後、翌2015年にヘルパーステーションを、2016年に訪問看護ステーションを立ち上げ、おかげさまで事業は順調に発展していきました。当初4人だったスタッフ（業務関与者）の数も、今では55人ほどに増えました。会社を興すきっかけとなった利用者さんの入浴時間については、ヘルパーさんの就業時間を22時までとすることで、夜に入浴していただける体制をとっています。2022年には、相談支援事業所も設けました。事業間の情報共有により個別の状況把握が可能に当社の現在の強みは、訪問看護、訪問介護、相談支援の3事業のサービスを一体で展開している点にあると思われます。拠点である京都市内には、単体でサービスを提供している事業所は数多くあるものの、3事業を一体で運営している事業者は限られてきます。3事業を1カ所に集約しているメリットは、情報共有のスピードと精度です。クラウド上に利用者さんごとの「個別の部屋」を設け、かかわるスタッフ全員が情報や気づきを書き込めるようにしています。これにより、利用者さんの状態をリアルタイムでもれなく把握できます。看護師さんとヘルパーさんが、電話やファクス、メール、対面での申し送りに頼る事業所が多いなかで、瞬時に情報共有できることが、支援の質の向上につながっているといえます。また当社は、利用者さんのためにこうしたサービスを展開すると同時に、社内のスタッフを大切にすることにも努めています。ＰＨＰ研究所の松下幸之助経営塾に入塾後、共に学んだ経営者の方が「従業員こそ一番大切だ」と発言され、私は強く印象に残りました。なぜならば私は、病院の患者さんや介護サービスの利用者さんを最も大切にすべきだという価値観の業界に長くいたからです。もちろんスタッフのことをないがしろにしていたわけではありませんが、よくよく考えてみれば、スタッフを大切にすると、おのずとスタッフも利用者さんを大切にするものです。松下幸之助経営塾に入ってから、あらためて当社で働いてくれるスタッフを心から大切にしようと思いました。ありがたいことに、スタッフはみな「人」が好きでこの仕事を選んでくれています。大学で福祉を学んだ方もいれば、大工さんや飲食店のホールスタッフなど、まったく異なる業界から転職してきた方もいます。後者の場合、現場でサービスを提供することができるよう、まずは当社の費用で学校に通ってもらい、必要な資格を取得してもらっています。ただ、なかには辞める方もおられます。そういうときは、「当社が合わなかったんだな。こちらにも原因があるのだろう」と受け止めています。だからこそ、仲間になってくれる人たちの存在が、いっそうありがたく感じられます。増える学生の利用社会の理解も背景に当社の発展の背景には、私たちの経営努力もありますが、同時に、社会的要因があることも指摘しておかなければなりません。近年は、精神障がいや発達障がいに対する社会の理解が進んでいます。かつてに比べれば、自分はその当事者であると、言いやすくなってきたとは感じています。また、高齢化により、障がいを抱えるお子様を家庭で支えてきた親御さんから、「この先、子供の面倒を見るのは難しいから外部にお願いしたい」という声も増えてきました。大学生のご利用も、明らかに増加20［実践］理念経営Labo2026WINTER

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どんな人にも自分らしさを2025年10月、京都府立京都学・歴彩館ホールで、京都市教育委員会の後援による特別講演会「あなたらしさで輝く講座」を開催。元ハウステンボス会長の坂口克彦氏（写真右）、自己肯定感の第一人者である中島輝氏（左）、トランスジェンダーのさくみ氏（右から2人目）を招き、盛況を呈したしています。京都は大学の多い地域で、一人暮らしの学生さんがたくさんおられます。親元を離れたことをきっかけに生活のリズムが崩れたり、凸凹のある特性に気づいて戸惑ったり。生活がうまく回らなくなって、大学に行けなくなるのですね。コロナ禍で授業がリモートとなり、周囲とのコミュニケーションが希薄になったことも関係しているように思います。そうした場合は、親御さんや大学からの連絡を受け、医療機関と連携しながら支援を行なっています。さらに、日本に暮らす外国人からの相談も増えています。そのため、英語や韓国語などに対応できるスタッフの存在は貴重です。日本語がある程度理解できても、やはり心のうちを表現するには母国語が欠かせません。もっともその一方で、「自分は大丈夫だ」と思っている方も少なくありません。周囲が異変に気づいても、本人が自覚するまでに時間がかかり、医療機関になかなかつながらないケースもあります。以前よりは精神障がいや発達障がいに対する社会の理解が進んだとはいうものの、依然として、障がいと認められることが悪であるかのような風潮が存在しているからでしょう。行政と連携し対策支援自己肯定感など各種講座も今後さらに魅力的な事業を展開しようと、新しい試みに取り組んでいます。松下幸之助経営塾の講師から、「世の中にとって、あなたの会社のサービスが発展したほうがいいのか。それとも発展しないほうがいい世の中なのか」という問いを投げかけられました。それまで考えたこともありませんでした。必要とされるから事業を拡大するのだという視点しか持っていませんでした。しかしあらためて考えてみると、精神障がいや発達障がいの方の生きづらさの背景には、環境的な要因もあり、何らかの対策を考えるのは大切なことです。たとえば母親が妊娠出産を迎える際、十分な支援体制が整っておらず、産後の精神的孤立が心の不調につながってしまうこともあります。そうならないためにも、「お母さん、あなたは一人ではない」というメッセージの発信と、相談できる仕組みづくりが必要です。それが実現できれば、私たちのサービスを使わなくてもいい世の中になるかもしれません。そんな思いから、現在、京都市と連携し、行政と民間が一体となって仕組みを構築する試みを始めています。また2022年に、新たな事業として「LOHASAcademy」を開設しました。企業や個人を対象に、コンサルティングやカウンセリングをはじめ、自己肯定感に関する正しい知識と実践的な技術を学べる講座を展開しています。さらに、NLP（神経言語プログラミング）やアドラー心理学をベースにした各種講座やイベントも開催し、多角的な学びの場を提供しています。トレーナーはいずれも、豊かな人生経験を持ち、NLPやアドラー心理学を体系的に学んだ専門家たちです。受講者一人ひとりが自分らしい生き方を見つけ、仕事や人生の悩みを解決できるよう丁寧にサポートしています。また、行政との連携による地域支援の仕組みづくりにも力を注ぎながら、今後は講座や教育活動を通じて、「心の健康」と「人の成長」を支える学びの場をさらに広げていきたいと考えています。2025年10月に単著『きっと、次の職場ではうまくいく――自分を見つめ直す旅』を出版。オンライン書店のAmazonで購入できる（上はKindle版の表紙画像。紙の書籍版も購入可）L［実践］理念経営Labo2026WINTER21

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塾生通信日に新た「松下幸之助経営塾」の情報と、卒塾生の近況をお伝えします30期生、31期生幸之助ゆかりの地を訪ねる2025年10月に松下幸之助経営塾の第30期第4回「本質を考える～自然の理法～」を開催しました。1日目は、松下幸之助が思索を深めた松下真々庵（非公開）を見学。「庭の説明を受けて、松下さんが『新しい人間観の提唱』で表明した思想を、庭園でも表現しようとしたこだわりに驚かされた」などの声が聞かれました。2日目は、元キリンビール副社長で100年プランニングの代表取締役を務める田村潤氏が、「『キリンビール高知支店の奇跡』と東洋思想」というテーマで特別講話を行ないました。キリンビール営業成績最下位であった高知支店のメンバーを理念によって奮い立たせ、県内トップシェアを達成した取り組みを紹介。「負け癖のついている社員を劇的に変化させた改革から学んだ」「社員10人で年間5万人のお客様の声を聞き回ったことを知り、全然できていないことを痛感した」など、理念によって社員の行動を変えるヒントが得られたようです。11月は第31期の第2回が、「志から理念へ～経営の使命～」というテーマで開催。1日目は幸之助が産業人の使命を悟るきっかけになった天理教教会本部（奈良県天理市）を訪れ、幸之助が1932年に視察した経路を追体験しました。また、幸之助の経営哲学にも詳しい、天理大学名誉教授の住原則也氏による、「天理教教会本部の訪問とめいち『命知』開眼～松下哲学の普遍的価値を考える～」と題した特別講義もありました。天理教の見学と講義の受講を通じて「組織発展の要因は、信念があることと相手の利益を考えることだと学んだ」「宗教からも経営の観点で学び取る松下さんの『素直さ』を身につけたいと思った」との感想が寄せられました。商売繫盛の神田明神に全国の「同志」が集結10月24日に、卒塾生らの集いである「第25回同志会」を、商売繁まつ盛の神様を祀る神田明神（東京都千代田区）にて開催。2025年に卒塾した28期生、29期生が仲間に加わり、約70名の「同志」と交流を深めました。テーマは「変革のリーダーシップ～自らの志・会社の使命を継承する～」。経営者の事業と志を次世代にいかに継承していくかについて、議論しました。卒塾生による「同志発表」では、ITを通じたコンサルティング事業を展開するサインポスト（東京都中かんばらやすし央区）の創業経営者である蒲原寧氏（第22期）が登壇。生い立ちから創業までを振り返るとともに、理念経営の具体的な進め方が披露されました。同社の強み（コア・コンピタンス）を活かし、これからの経けんいん済成長を牽引する「デジタル」「グリーン」に力を入れ、Ｚ世代やα世代の価値観に対応するための取り組みもなされているとのことです。その後、元ハウステンボス会長の坂口克彦氏（長崎県公立大学法人理事長）が「納得できない仕事はするな！」という演題で特別講話を行ないました。幸之助の直弟子である平田雅彦氏（元松下電器副社長）の薫陶を受け、その学びをユニ・チャームやハウステンボスの現場で実践し、社員の意識改革を断行したエピソードを披露。講話内容の詳細は、坂口克彦著『納得できない仕事はするな！』（ＰＨＰ研究所）に記されており、多くの方が同書を買い求め、坂口氏が快くサインに応じていました。12月5日に、関西ブロック同志会「天理教教会本部の見学会〈第2弾〉」を開催。東北、関東からの参加もあり、20名の方と幸之助のゆかりの地を探訪しました。追体験のスタートは天理駅から。神殿に到着後、2班に分かれて、住原則也氏とキャンパスサポート天理の松本泰歳氏から説明がありました。参加者の皆様は、寒さを忘れたかのような真坂口氏の実体験に基づく具体的な改革手法の話が参加者に感銘を与えた22［実践］理念経営Labo2026WINTER

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剣な眼差しで神殿の中心にある「ぢば」や教祖殿、祖霊殿を見学。その後、住原氏の講義を受け、質疑応答では、「具体的に、いつ使命に気づいたのか」「確立した理念を、どのように組織へ浸透させるのか」など、経営の実践に直結する質問が挙がり、白熱した議論が展開されました。懇親会でも経営や事業に関する意見が活発に交わされました。著作出版や新店舗など卒塾生の活躍が広がる新宮運送（兵庫県たつの市）の2代目社長である木南一志氏（第2期）が詩集『明日へ』（制作協力：ＰＨＰ研究所）を出版。長年にわたり書きためた詩を選定し、和風月名の12分類から構成されています。木南氏が長年愛読する松下幸之助著『道をひらく』をモチーフにしたデザインのカバーで、表題には人生の師とするイエローハット創業者のきごう故・鍵山秀三郎氏による揮毫が用いられています。本書の売上は全て能登半島地震被災地復興のために寄付されます。神吉一寿氏（第1期）が代表取締役社長を務める吉寿屋（大阪府摂津市）が、12月20日に「お菓子ミュージアム天保山」をオープンしました。同社のお菓子卸の流通網を活かし、全国の魅お問い合わせは新宮運送［☎0791-75-1212］まで力的なお菓子が集結。また、大阪・関西万博に出展した「お菓子で世界にスマイルプロジェクト」の作品をそのままに常設展示もされ、子供から大人まで、お菓子を見て、遊んで、学べる、世界唯一の施設となっています。L経営者が“経営の志”を確立・再確認するための長期講座松下幸之助経営塾本セミナーの特徴松下幸之助の経営哲学を根本から学べる唯一の講座弊社で70有余年にわたり研究を重ねた“松下幸之助の経営哲学の真髄”を、講義・討議・問答を通じて肚落ちさせる双方向型の講座です。人間観を養い高め、経営者としてのあり方を学ぶ本講座は、時代や環境の移り変わりの中で生まれる新しいマネジメント手法を学ぶものではありません。経営者のただ今、新規申込受付中詳しくはホームページで資料のご請求はホームページまたは下記窓口へお問い合わせください。https://www.php.co.jp/seminar/m-keieijuku/株式会社PHP研究所「松下幸之助経営塾」事務局〈京都〉TEL075（681）4442FAX075（681）5699「志」をキーワードとして、松下幸之助が最も大切にした“経営理念の確立と浸透・共感”を実現すべく、その基となる自然・宇宙観や人間観等を学び、より本質的な“経営者としての器量”を養い高めていただく講座です。「志」の確立に向けた、充実の10カ月10カ月の在籍期間中に１泊２日のセミナーを全６回、隔月で開催。学びと実践、検証をくり返しながら成果を高めていただけます。また、１クラスは12名の少人数制で、受講者間の討議・交流による相互啓発など受講者お一人おひとりに充実した環境を提供いたします。プログラム第1回『志とは何か～力強い経営の原動力～』第2回『志から理念へ～経営の使命～』第3回『人を活かす～事業は人なり～』第4回『本質を考える～自然の理法～』第５回『経営を革新する～日に新た～』第６回『志を伝える～私の命知発見～』開催要領◦受講資格：経営者ご本人、後継経営者（経営幹部）◦募集人数：12名⃝開講期間：10カ月1開催1泊2日、全6回（隔月開催）⃝受講料：158万4,000円（税込）⃝会場：株式会社PHP研究所京都本部（JR・近鉄「京都」駅八条口より徒歩５分）［実践］理念経営Labo2026WINTER23

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生涯現役研究会社会・企業・個人から考える「生涯現役」「誰もが末永く元気で働き続ける社会」を探る2025年11月25日、PHP研究所京都本部にて、第1回「生涯現役研究会」本部会が開催されました。テーマは「社会・企業・個人から考える生涯現役」。人生100年時代となった今、「誰もが末永く元気で働き続ける社会」を実現するための活発な意見が交わされました。取材・文：太田修一郎写真：PHP理念経営研究センター「元気に働きながら、会社から天国へ直行で行こう」高齢化社会の到来に伴い、高齢者が持つ知識や経験を最大限に活用できる社会の実現が求められています。一方、社会や企業の側では、シニア層の活躍を支える制度や仕組みはまだ未整備であり、働く個人の側では職務能力や健康、意欲、家庭の問題で不安があるなど、双方に多くの課題が存在しています。これらの課題の解決に向け、衆知を集めて研究・検討し、その成果を社会に発信することを目的として、このたび「生涯現役研究会」が発足しました。経営者、大学教授や研究者など多岐にわたる専門家で構成されており、生涯にわたって「働き続ける」「社会参加できる」「自立した生活が送れる」といった幅広い観点で議論していきます。開会にあたり、本研究会の発起人である小池由久氏（サエラ代表取締役）は、人生や仕事に「生きがい」や「やりがい」を見出す日本人の価値観は「生涯現役」と親和性が高いとし、企業や社会が高齢者の活躍を支える仕組みを構築していくことが、「生涯現役」を目指す人々の後押しになると主張しました。また、2070年に日本の総人口の約4割が65歳以上になるとの予測を踏まえ、自社では「幸せに、元気に働きながら、会社から天国へ直行で行こう」と提唱し、シニア雇用に注力していることを紹介。そのうえで、「我々と同じような思いを持つ企業を増やしていくために、汎用性の高い『方程式』や『公式』をこの研究会で探り出し、広く発信することで、持続可能な社会づくりに貢献していきたい」と述べました。そして、瀬津要（PHP研究所代表取締役社長）は、「現在は、経済的理由から働き続けるという選択をしている人が多いはずだ。一方で、松下幸之助は84歳のときに松下政経塾を設立し、最期を迎えるまで『日本の国を良くしていきたい』という思いを持って働き続けていた。同じように『生涯現役』の気概を持って活躍されている高齢者は、全国にたくさんいる。そうした実例とともに、本研究会に賛同いただいた皆様の知見をお借りして、高齢化社会の未来に一石を投じるような研究会にしていきたい」と述べました。失うものを受け止めると同時に得るものにも光を当てる続く第1発表「社会の変化とミドルシニアの価値と役割」では、坂本貴志氏（アナリスト）が、年代別の給与所得や家計支出の変化、シニア層の就業率といったデータを示しながら、シニア層が時間的・体力的に柔軟な働き方を選択できる仕組み、シニア雇用に適した人事制度やマネジメントに関する具体策について解説。近年深刻化する人手不足の解消という面でも、多くの企業が「生涯現役」型のキャリア・人事制度に変革する必要があると強調しました。また、役職定年（ポストオフ）を迎える50代は「就労観」の変化が生じやすいと指摘し、権限や収入の低下、将来への不安によって一時的24［実践］理念経営Labo2026WINTER

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生涯現役研究会豊富なデータをまじえて坂本氏が解説に仕事へのやる気を失う「谷」に落ち込んでしまう人が多いと述べました。坂本氏は、人生100年時代ということを考えると「失うものを受け止めると同時に得るものにも光を当てる」というマインドを持つことが大切になるとし、働く一人ひとりがミドル期までの「個人として成長し、高い収入や栄誉を得る」という就労観から離れ、「面白いと思える仕事をする」「人の役に立って感謝される」という就労観に変化していけるよう企業が様々な形で支援していくことが重要になると言及しました。第2発表「ジョブ・クラフティングから生涯現役へ」では、高尾義明氏（京都産業大学教授）が「ジョブ・クラフティング」という概念を紹介し、ミドルシニア期におけるポストオフ後の「ワーク・エンゲージメント（働きがい）」向上に役立つ事例などについて解説しました。ジョブ・クラフティングとは、働く人が主体的に仕事や人間関係に変化を加え、与えられた職務を「自分にとって意味のあるもの」に変えていくプロセスを指します。高尾教授は「普段から目の前の仕事に『自分なりの創意工夫（ひと匙）』を加えている人は、シニア期になってもモチベーションが高く、生き生きと働いている傾向にある」と主張し、社会全体でこうした人々を増やしていくことが「生涯現役」の実現につながると説明しました。また、こうした人々を支えるために、企業は職場における「エイジズム（年齢を根拠とした偏見や思い込ふっしょくみ）」の払拭に取り組み、一人ひとりの創意工夫を応援する制度などを通じて主体性が発揮できる組織風土を醸成していくことが大切になると指摘しました。質疑応答では、参加者から「ジョブ・クラフティング」の意義や効果を知らしめるための方策や、企業の人事制度改革の方向性に関する質問が寄せられました。坂本氏は、シニア層の就業率を向上させるためには、ポストオフ後のシニア層が抱えやすい不安を低減するようなインセンティブ設計を行なうことが重要だとし、その際は「生涯現役」を選択したときの経済的・社会的メリットを明確に示すことが大切になると指摘しました。高尾教授は、ジョブ・クラフティングの支援は本来、若い世代から始めることが効果的であるとしたうえで、知識・経験が豊富なシニア社員に対しても、あらためて自社の経営理念と働く個人の価値観・思いを重ね合わせる取り組みを促すことで、ポストオフ後も働きがいやウェルビーイング（幸福感）を高めていくことができると述べました。産学官民が連携してシニア期のマッチングの仕組みづくりを後半の「生涯現役を考える全体会議」では、今後の研究会の方向性について議論が交わされました。この中で菱田正博氏（サエラ専務取締役）は、「自治体の人材バンクなどはあるが、実際は知識・経験を持った『働き続けたいシニア』と、そうした人を求める企業・団体とのマッチングがうまくなされていない状況がある」とし、産学官民が連携してその仕組みを構築することが必要だと訴えました。渡邊祐介（PHP理念経営研究センター代表）は、「生涯現役」という言葉のイメージやとらえ方がまだ漠然としているため、その解像度を上げることが重要だと述べたうえで、一人ひとりが「働こうと思えばいつでも働ける」と感じられる社会になるよう、社会全体で働き方の選択肢を増やしていくことを提案しました。高尾教授は「身近なシニアが生き生きと働く姿を見て、自分もやってみようと感じる人は多い。その意味では、シニア期に他者とのつながりを広げていくことが『生涯現役』の促進につながる可能性がある」と述べました。これを受け、「生涯現役」のとらえ方を地域活動やボランティアまで広げていけば、シニア層の活躍の場がさらに広がるといった意見が出されました。このように活発な意見交換がなされた本研究会は、今後、隔月での開催を予定しており、学術的な知見や実践例を共有しながら、社会全体で「生涯現役」を実現するための議論を深めていく予定です。生涯現役研究会高尾氏は「ジョブ・クラフティング」の必要性について訴えた高齢化が進む中、高齢者が持つ知識や経験を最大限に活用できる社会実現のため、その課題の解決に向け、研究・検討し、成果を社会に発信する目的で発足。発起人小池由久（サエラ）瀬津要（PHP研究所）第1回のゲスト坂本貴志（アナリスト）高尾義明（京都産業大学）第1回の参加者菱田正博（サエラ）渡邊祐介（PHP研究所）的場正晃（同）佐々木賢治（同）會田広宣（同）大谷泰志（PHPエディターズ・グループ）太田修一郎（同）L［実践］理念経営Labo2026WINTER25

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経営学で読み解く人と組織組織のエフェクチュエーション新市場を組織ルーティンでどう創るか東京経済大学経営学部准教授山口みどりやまぐち・みどり＊東京都立大学法学部法律学科卒業。東京都立大学大学院社会科学研究科経済政策専攻博士課程単位取得退学。修士（経済学）。東京経済大学経営学部専任講師を経て、2009年4月より現職。専門は、経営組織論。特に、組織における新規事業創造プロセスに関する研究を行なっている。著書に、『制度的企業家』（共著、ナカニシヤ出版）など。起業家個人の意思決定に焦点があてられてきたエフェクチュエーション。今回は、その5原則が、組織的にも新市場創造の意思決定に活用されている事例を検討しています。松下幸之助の起業にみる意思決定松下幸之助は、1917年6月、22歳で会社を辞めて起業した。アイデアはソケットのみ。材料をどこで買うか、値段をいくらにするか、どうやって作るのかなど五里霧中での起業であった。10月になんとかソケットができ上がったが、売れたのは100個ほど。資金難で製品改良も難しい中、事業の存続を可能にしたのは、12月がいばんに思いがけず扇風機の碍盤1000枚の注文が入ったことねりものであった。ソケットの製造過程で煉物の技術を蓄積していた松下は、この注文に対応することができた。これは、初めての利益を生み出しただけでなく、注文主からの継続注文にもつながり、安定した収入をもたらした。これで電気器具の開発を本格的に行なえるようになったことが、「改良アタッチメントプラグ」や「二灯用差込みプラグ」の開発につながっていく。この経験について、松下は「こんなことは無謀なことである」と振り返る一方で、「今思うと、すべて物はこういう形においても成り立っていくのではないかと思う」とも述べている（松下,1986,66・75頁）。なかなか予期した通りにはいかないが、辛抱している中で周囲の情勢が変わったり、外部からの援助があったりして、最初の計画とは全く違う形でも成功へとつなげられるというのである。このような松下の考え方は、従来の経営学のコーゼーション的な考え方、すなわち、魅力的な市場機会を探索して目標を設定し、その目標を達成できる合理的な手段を選択して実行すべきとする考え方とは異なる。しかし近年のアントレプレナーシップ研究では、熟達した起業家は、不確実性が高い状況で、松下の考え方に近い「エフェクチュエーション」とよばれる意思決定を行なうことが明らかにされている。本稿では、新規事業だけでなく既存事業の不確実性も高まっている現在、これまで起業家の意思決定モデルとして研究されてきたエフェクチュエーションを、企業組織で活用することは可能か、という問題について考えてみたい。エフェクチュエーションの組織的活用エフェクチュエーションとは、特定の効果をもたらす手段を選択するのではなく、手持ちの手段でできる結果を選択する意思決定である（Sarasvathy,2001,p.245）。26［実践］理念経営Labo2026WINTER

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経営学で読み解く人と組織エフェクチュエーションでは、今ある手段でできることを積み重ねて新市場を創り出すため、事前にニーズや潜在顧客、期待利益を予測できない状況でも、起業に向けた行動を選択することが可能になる。エフェクチュエーションは、以下の5原則からなる。第1に、ある目的を達成できる手段を選ぶのではなく、手持ちの手段を使って目的を創り出す「手中の鳥の原則」。第2に、期待利益の最大化ではなく、その行動による損失が受容可能かによって行動を選択する「許容可能な損失の原則」。第3に、想定外の事態は、良いものも悪いものもテコとして活用して、望ましい未来を創り出す「レモネードの原則」。第4に、目的に合わせて利害関係者を選ぶのではなく、自発的に関わってくれる関与者と目的を共創していく「クレイジーキルトの原則」。第5に、未来が予測できなくても、今ここでコントロール可能な活動に集中して望ましい結果を創り出す「飛行機のパイロットの原則」である。これらの5原則を組み合わせたエフェクチュエーションのプロセスにおいて、熟達した起業家は、関与者を巻き込み、彼らの手持ちの手段を使いながらさらに関与者を増やす、というサイクルを繰り返し、当初は考えもしなかった新市場を創り出していく。では、長期にわたって継続的に新市場を創造して成長してきた企業、とりわけイントレプレナーなどの「個人」ではなく、組織的な分業体制を通じて新市場を創造している企業は、エフェクチュエーションを活用しているのだろうか。この問題について検討するために、本稿では、組織ルーティン（organizationalroutines）を分析対象とし、組織の新市場創造の意思決定に関わる組織ルーティンに、エフェクチュエーションの5原則が組み込まれているかを調べた。組織ルーティンとは、繰り返し起こる問題に対し、代替的選択肢を探索せず、過去に有効だった決定を参照して解決するという決定ルールである（Simon,1997,邦訳154頁）。エフェクチュエーション原則は、起業家が起業に熟達していくなかで形成された、過去に有効だった意思決定のパターンであるため、組織ルーティンに5原則を組み込むことで、組織メンバーがエフェクチュアルな意思決定を行なえるようになる。以下では、組織的に新市場創造を行なっているワークマンの事例を用いて、エフェクチュエーションの組織的活用の方法を明らかにしていく。ワークマンの組織的な新市場創造ワークマンは、個人向け作業服市場でトップシェアをとる企業である。同社の特徴は、創業以来ずっと個人向け作業服事業のみで成長してきたにもかかわらず、作業服市場の成熟に伴い2014年に新業態開発を始めてからは、ワークマンプラス（2018年）、♯ワークマン女子（2020年）、ワークマンシューズ（2022年）、ワークマンキッズ（2024年）と立て続けに新業態を開発していることにある。同社は、これらの新業態開発を通じて、低価格の機能性ウェア市場や機能性シューズ市場など、新市場を次々に創造してきた。ワークマンは、いかにしてこれらの新市場を創造したのだろうか。以下では山口（2024）に基づき、最初の新業態である「ワークマンプラス」ができるまでのエフェクチュエーションのプロセスを、（1）製品開発、（2）仕入れ、（3）SV（店舗指導員）、（4）広報、（5）経営層の5つの職能における組織ルーティンに注目しながら検討する（次頁の図1を参照）。まず、（1）の製品開発では、誰に何が売れるかわからない中で製品力を向上させ、作業者以外の新規顧客を開拓するという課題に直面した。この課題の解決のために、ワークマンではプライベートブランド（PB）製品の開発に本格的に取り組むことにした。PB製品の開発にあたって設定された組織ルーティンは、①低価格を徹底して追求すること（目標原価率65％）、②プロのニーズにも応えられる高い機能性を実現すること、③抜群の年間継続販売できるようにすることの3つであった。この3つを満たせば、作業服以外でも何を作ってもよいことにした（土屋,2020,21頁）。これは、「手中の鳥の原則」を組み込んだ組織ルーティンといえる。なぜなら、3つの条件を満たせば何を作ってもよいとすることで、製品開発担当者それぞれが、自分あるいは組織がもつ手段を使って、多様な製品アイデアを構想できるようになるからである。実際、こせきの組織ルーティンの導入後、堰製品が開発され、現在は店舗売上の7割近くをPB製品が占めているという（土屋,2020,66頁）。（2）の仕入れでは、開発されたPB製品を、何が誰にどれだけ売れるかわからない中、海外の協力工場に適切［実践］理念経営Labo2026WINTER27

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図1ワークマンのエフェクチュエーションプロセス（1）製品開発（2）仕入れ（3）SV（4）広報PB製品開発で製品力向上仕入れの工夫で売れ残り最小化売上最大化と異常値発見関与者探索と協力依頼手中の鳥許容可能な損失クレイジーキルトクレイジーキルト（5）経営層新業態で進出する市場を定義レモネード・飛行機のパイロットに発注するという課題に直面した。低価格戦略をとるワークマンでは、売れ残りが多数出てしまうと、在庫保管費用の増大によって低価格戦略の実現が阻害されかねないからである（土屋,2020,264頁）。そこで、「2年目までは適正量よりも少な目に発注する」という組織ルーティンが導入された。具体的には、1年目は類似品の売れ行きなどを参考に、かなり少なめに発注する。2年目は、前年のデータをもとに需要予測を行ない、需要予測よりも5％程度少なめに発注する。3年目から、需要予測にしたがって仕入れを行なう。この組織ルーティンは、「許容可能な損失の原則」を組み込んだものといえる。確かに需要予測はしているが、これはコーゼーションのような「期待利益の最大化」を目指したものではなく、売れ残り在庫による損失を許容可能な範囲内に収めることを目指したものだからである。（3）のSVは、PB製品の各店舗での売上を最大化するとともに、異常値の検知を通じて新たな顧客層や製品の新たな用途に気づくという役割を担っている。そのために、SVの組織ルーティンは以下の3つからなっている。まず、各店舗の課題の発見である。ワークマンでは製品の販売傾向などによって全国の店舗を24のクラスターに分類しており、各店舗の売上を同一クラスターの他店舗と比較することで課題を明らかにしている。次に、データ分析に基づく課題解決の方策の提案である。しなぞろ品揃えや陳列方法の改善によってどれだけ売上が変わるかを分析し、提案する。最後に、異常値の検知である。各アイテムの一般的な売れ方と異なる売れ行きの製品を特定し、その理由を分析する。これによって、新たな顧客層や、製品の新たな用途に気づくことができる。例えば、最初に異常値が検知されたのは、2015年頃の野外作業者向け防水防寒ウェアであった。売り切れになる店が続出したため理由を調べたところ、「防水性能の優秀さとコスパ」がネットで評判になり、一般のバイクユーザーに売れていたことが判明した。これらのSVの組織ルーティンは、「クレイジーキルトの原則」を組み込んだものといえる。なぜなら、異常値を手がかりに、ネットでの情報発信者や一般のバイクユーザーなど、自発的な関与者に気づくことができるようにしているからである。（4）の広報は、SVが異常値を通じてみつけた「自発的な関与者」をテコに、一般顧客を拡大していく役割を担う。広報の活動には、ネット上のブログやSNSの書き込みをチェックして、ワークマンの愛用者で自発的に製品情報を発信している人を探して話を聞くという組織ルーティンが追加され、これは2016年9月以降定期的に開催されている「ブロガー向け商品発表会」につながっていった。商品発表会では新作を披露し、試着した商品をブログで紹介してもらったり、製品に対する意見・要望をもらったりして翌年の新モデルに反映させている。こうした意見・要望を取り入れて、製品を改良したりラインナップを増やしたりすることで、当初のバイクユーザー以外の一般顧客にも製品が広まった。このような広報の組織ルーティンも、「クレイジーキルトの原則」を組み込んだものといえる。ワークマンの愛用者から、新製品の広報や製品開発への協力という新28［実践］理念経営Labo2026WINTER

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経営学で読み解く人と組織たなコミットメントを引き出すことで、利用可能な手中の鳥を増やしているからである。（5）の経営層の役割は、製品開発から広報までの各職能が協力してエフェクチュエーションのプロセスを回し、一般顧客にも売れるアイテムが増加する中、新たに進出する市場を定義し、よりよく売れる新業態を創ることである。そこで経営層は、「しない経営」とよばれる組織ルーティンに基づき、複数の目標をもたず、「作業服から一般向け市場への客層拡大」という1つの目標だけをやりきることを徹底した（土屋,2020,224頁）。例えば、新業態開発を主導した土屋常務（現専務）は、当初ワークマンの強みを生かせる市場としてアウトドア市場に注目したが、勝てるイメージがわかず、市場調査でも「ブランド力がないワークマンはアウトドア市場に参入できない」という結果が出た。しかし土屋はそこであきらめず、2軸で市場を細分化する市場戦略マップを何度も描き直して考え続けた。その試行錯誤の中で、競合のいない新市場である「機能性・低価格のアウトドア市場」が創出された。ワークマンはこの市場に向けて、2018年、作業服・作業用品1700アイテムから一品目を抽出し、外観・照明・陳列方法などの「製品の見せ方」を変えた新業態「ワークマンプラス」を開業した。この1号店は、連日行列ができ、初年度の売上目標1億2000万円を3カ月で達成したという。以上の経営層の組織ルーティンには、「レモネードの原則」と「飛行機のパイロットの原則」が組み込まれている。なぜなら、市場調査で予期せぬ結果が出てもあきらめず、それをテコとして市場の捉え方を工夫することで、「機能性・低価格のアウトドア市場」という、より自社に適した新市場を創り出しているからである。同社は、これらの組織ルーティンを活用して現在もエフェクチュエーションのプロセスを回し続けており、それが継続的な新業態・新市場の創造につながっている。エフェクチュエーション活用の条件以上の検討をもとに、エフェクチュエーションを活用できる組織の条件について、組織デザインと組織ルーティンの2つに焦点をあてて考えてみよう。組織デザインについては、従来、既存事業の効率性向上を追求する深化と、イノベーション創出に必要な探索は両立が難しいとされ、深化担当ユニットと探索担当ユニットを分ける「構造的両利き」が提案されてきた（O’ReillyandTushman,2016）。しかし、エフェクチュエーションを促進するには、同じ組織が深化に専念するフェーズと探索に専念するフェーズを分ける「逐次的両利き」（淺羽,2024,172頁）が有効である。なぜなら、ユニットを分けると既存事業で蓄積された「手中の鳥」が十分に活用できなくなり、エフェクチュエーションのプロセスが阻害されてしまうからである。組織ルーティンについては、従来、組織メンバーの行動を一義的に決める硬直的な行動パターンであると捉えられてきた（Becker,2004,pp.644-646）。しかし、FeldmanandPentland（2003）は、どのような組織ルーティンも、それが実践される際には、その時々のコンテキストや状況、他者の行動に合わせて調整されており、毎回硬直的に適用されるわけではないと指摘している。実際、Sarasvathy（2008）が行なった実験でも、27人の起業家は同じ架空の製品からスタートし、エフェクチュエーションという共通の意思決定パターンを用いて、18の異なる市場の定義に到達している。このように多様な行動を引き出す、組織ルーティンの創造的側面に注目し、それを活かす必要がある。今回は、組織におけるエフェクチュエーションの活用方法について検討したが、これをより深く追求することで、創造性を高める組織マネジメントについて新たな知見が得られるだろう。参考文献Becker,M.C.（2004）“OrganizationalRoutines:AReviewoftheLiterature,”IndustrialandCorporateChange,Vol.13,No.4,pp.643-677.Feldman,M.S.andB.T.Pentland（2003）“ReconceptualizingOrganizationalRoutinesasaSourceofFlexibilityandChange,”AdministrativeScienceQuarterly,Vol.48,No.1,pp.94-118.O’Reilly,C.A.andM.L.Tushman（2016）LeadandDisrupt:HowtoSolvetheInnovator’sDilemma,StanfordBusinessBooks（入山章栄監訳『両利きの経営：「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』東洋経済新報社,2019年）.Sarasvathy,S.D.（2001）“CausationandEffectuation:TowardaTheoreticalShiftfromEconomicInevitabilitytoEntrepreneurialContingency,”AcademyofManagementReview,Vol.26,No.2,pp.243-263.Sarasvathy,S.D.（2008）Effectuation:ElementsofEntrepreneurialExpertise,EdwardElgarPublishing（加護野忠男監訳『エフェクチュエーション：市場創造の実効理論』碩学舎,2015年）.Simon,H.A.（1997）AdministrativeBehavior,AStudyofDecision-MakingProcessesinAdministrativeOrganizations,4thedition,TheFreePress（二村敏子・桑田耕太郎・高尾義明・西脇暢子・高柳美香〔訳〕『新版経営行動：経営組織における意思決定過程の研究』ダイヤモンド社,2009年）.淺羽茂（2024）『二兎を追う経営：トレードオフからの脱却』日本経済新聞出版.土屋哲雄（2020）『ワークマン式「しない経営」：4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』ダイヤモンド社.松下幸之助（1986）『私の行き方考え方：わが半生の記録』PHP研究所.山口みどり（2024）「組織的な市場創造とエフェクチュエーション：ワークマンの事例分析」『東京経大学会誌（経営学）』Vol.324,127-149頁.L［実践］理念経営Labo2026WINTER29

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教育現場から人と組織の成長を考える志をもったリーダーを育てる目指すところは「自利利他円満」PHP理念経営研究センター主席研究員的場正晃長年、企業教育にたずさわってきた専門家が、豊富な現場経験をもとに、組織・人材開発に役立つ考え方や実践法をわかりやすく解説します。「志」ということばは、日常、使われる頻度が多くない用語ですが、その重要性は企業経営の現場で高まっています。今なぜ、経営に志が必要なのか、またどのようにして志を育めばいいのか、経営者教育の現場で得た知見をもとに、その要諦を考察します。「志を立てよう。本気になって、真剣に志を立てよう。生命をかけるほどの思いで志を立てよう。志を立てれば、事はもはや半ばは達せられたといってよい」（『道をひらく』松下幸之助）志の確立を求めて経営者が学びの場へ弊社が主催している「松下幸之助経営塾」は、2011年の開講以来、現在までに330名（2025年末現在）の卒塾生を輩出してきました。ここ数年は、毎期満席状態（定員12名）が続いているうえ、新規に受講を希望なさる方は、1年半以上お待ちいただかないと受講枠を確保できない状況になっています。当塾は、テクニックやノウハウ（Doing）を教えるのではなく、経営者としてのあり方（Being）1に焦点を当て、最終的に「わが経営の志」を確立していただくことを目的とした講座です。効率とスピードが重視される時代において、コスパ・タイパ両面から、そのトレンドと逆行するかのような学習内容にもかかわらず、学びを求めて全国から経営者が殺到しています。このような現象を見るにつけ、経営における「志」の重要性が年々、高まりつつあることを実感させられるのです。志を構成要素と構造から探る志とは、一般的に「目的をはっきりとさだめ、その実現のために努力しようとする気持」（『精選版日本国語大辞典』）とされています。一方、松下幸之助経営塾では志を「人生をかけて成し遂げたいこと。その目的が大義に則っていて、人々からの共感を得られること」と定義づけています。一般的な定義と比べると、自分のためだけではなく、他者への貢献という視点が含まれている点が特徴的です。その目指すところは、禅の教えにある「自利利他円満」2の境地に近いかもしれません。そして、志の構成要素とその構造は、図（P31）のようなピラミッド状態になっていると考えます。図に示しているように、人生観、経営観、人間観などから成る「狭義の志」が土台にあり、その上の「経営理念」と「実践的方針」を支えているというイメージです。このピラミッド全体を「広義の志」であると説明しています。このような志の定義や構造をデザインするうえで依拠した考え方が、「経営理念の根底には経営者の人生観、社会観、世界観がなければならない」という松下幸之助の経営哲学なのです。なぜリーダーに志が必要かなぜ今、志をもったリーダー育成の必要性が高まっているのでしょうか。産業界を取り巻く状況から推察すると、以下の2つの理由があるよ1Doingが具体的な行動や手段（何をやるか）に焦点を当てるのに対し、Beingは内面的な姿勢、価値観、人格、状態（どう在るか）に焦点を当てる30［実践］理念経営Labo2026WINTER

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教育現場から人と組織の成長を考えるうに思われます。1つは、社外のステークホルダーからの信頼獲得という視点です。昨今の社会全般の公益性を重視する意識の高まりを受け、自社の利益だけを考える企業は市場からの撤退を余儀なくされます。組織をけん引するリーダーが、本気で「世のため・人のため」を考えて活動しなければ、社会、投資家、消費者からの支持を得ることが難しい時代になってきました。もう1つは、社内の人材のエンゲージメント向上という視点です。最近の若い世代は、仕事をするうえでの大義名分にこだわる傾向があります。一緒に仕事をする上司や経営者の言動から志を感じることができなければ、失望感を感じて転職していく人も少なくありません。優秀な人材をやる気にさせ、組織につなぎ留めるためにも、志をもって仕事をするリーダーの存在が必要なのです。リーダーの育成に有効な3つのアプローチ志をもったリーダーの育成は、一朝一夕でできるものではありませんが、以下のようなアプローチが有効です。①自らの「観」を言語化する前述の通り、志を確立するためには「人生観」「経営観」「人間観」といった、自分なりの「観」をもっておく必要があります。観を考えるうえで、有益な気づきを提供してくれるのがリベラルアーツです。歴史や哲学、文学、宗教などの学習を通じて、視野が拡がり新たな気づきが得られます。そのうえで自分なりの観を言語化し、それを何度もバージョ実践的方針（事業計画、戦略等）経営理念（使命、目的）わが志（人生観、経営観、人間観）ンアップしていくことで、志の解像度が上がっていくでしょう。②日々の自己観照忙しい毎日であっても、その日一日を振り返る時間をもつことは大切です。松下幸之助は、自らを振り返る取り組みのことを「自己観照」ということばで表現していました。日々、自己観照をすることで、自らの課題に気づいたり、自分のやるべきこと、やりたいことが明確になってきます。そうした営みが、志の確立につながるのです。③フィードバックを受ける自分のことはわかっているようで案外わかっていない部分が多いと言われます。自己認知を高めるために有効なのが第三者からのフィードバックです。ときには、耳の痛いフィードバックを受けることがあるかもしれませんが、それを受容することで自らの課題の克服、人間的な成長を促進します。志の確立のためにも、周囲の人たちにフィードバックを求めていく積極性が必要です。志の構成要素切磋琢磨しながら取り組むまとば・まさあき事業観＋えんじゃくいずくん中国のことわざに、「燕雀安こうこくぞ鴻鵠の志を知らんや」があります。このことばが意味しているのは、燕や雀のような低い空を飛ぶ鳥には、高い空を飛ぶ大型の鳥の気持ちはわからないということです。つまり、レベルが異なると相手のことを理解できないというたとえなのです。そういう視点に立つと、レベルの高い人と交流することが自らのレベルを上げることにつながります。志をもつうえでも、自分一人で取り組むより、同じ目的をもった人同士が切磋琢磨しながら取り組むほうが、はるかに効果が上がるでしょう。L1990年、PHP研究所に入社、研修局に配属。以後、一貫して、PHPゼミナールの普及、および研修プログラムの開発に取り組む。2001～’03年まで神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。中小企業診断士。松下幸之助経営塾ファシリテーター。著作に『“強い現場をつくるリーダー”になるための5つの原則』（PHP通信ゼミナール）』がある。2自分自身を幸せにすること（自利）と、他者を幸せにすること（利他）は別々のものではなく、両方を完全に両立させるという仏教の理想［実践］理念経営Labo2026WINTER31

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現地レポート海外の地での挑戦日豪をつなぐ架け橋になる！～逆境で見出した使命～NichigoPressMediaGroup代表取締役馬場一哉ばば・かずや＊1977年東京生まれ。青山学院大学卒業。雑誌記者、ウェブ報道などメディア業界を経た後、2011年オーストラリアへと移住。’20年現地メディア「NichigoPressMediaGroup（日豪プレス）」代表取締役に。30代で安定を捨て、日本から新天地オーストラリアへ。編集者から一転、コロナ禍を機に経営者となった日豪プレスの馬場一哉氏。無数の壁にぶつかりながら彼が見出した使命とは？その覚悟の源泉に迫る。取材・文：岡本二朗写真提供：日豪プレス異国の地でキャリアの新天地を切り拓く日本で雑誌編集者として10年以上のキャリアを積み、100冊以上の雑誌を手掛けてきた。それは充実した日々であり、確かな自負もあった。しかし、馬場一哉氏の胸くすぶの内には、十代の頃から燻り続ける想いが存在していた。原体験は、学生時代に初めて訪れたオーストラリアの乾いた空気の中にある。受験戦争を勝ち抜き、英語の成績には自信があった。だが、その自信はネイティブの生もろきた言葉の前で脆くも崩れ去る。同時に、彼はある種の「自由」に心を奪われていた。敬語など、年齢や立場によって言葉を使い分ける日本の文化も美しい。しかし、階層のないフラットな英語でのコミュニケーションは、息苦しさから解放されるような心地よさがあった。「いつか、この地で」。その想いは、日々の仕事に没頭する中で、心の引き出しの奥にしまわれていた。だが、消えることはなかった。30代を迎え、人生のハンドルを自らの手で握り直すときが来たと感じた。「昔好きだった海外に、もう一度出てみようか」。金融機関に勤めるパートナーもまた、海外への志向が強かった。2人のベクトルが重なるのに、時間はかからなかった。3年という準備期間を経て、2011年に結婚、同時に夫婦は共にキャリアを捨て、学生としてオーストラリアの地を踏む。それは、すべてをリセットし、ゼロから未来を築くための大きな決断だった。移住当初、現実の壁は高かった。街にあふれる英語の洪水。「もうやめてくれ、日本語が読みたい」。そう、音を上げそうになった日もある。しかし、彼には揺るぎない武器があった。日本で培った10年以上のメディア人としての経験と実績だ。「私のようなキャリアを持つ人間は、客観的に見て、オーストラリアにはほとんどいないだろう」。その自信を胸に、彼は主に在豪日本人向けのメディアを発行する日豪プレス社の門を叩き、編集者としての新たなキャリアをスタートさせた。目の前に現れる困難を一つひとつ地道に乗り越え、異国の地で着実に自らの根を広げていったのである。CEOとして直面した孤独乗り越えるべき無数の壁ゼネラルマネージャー（GM）として現場のトップを走り、充実した日々を送っていた馬場氏を、未曾有の危機が襲う。新型コロナウイルスのパンデミックだ。32［実践］理念経営Labo2026WINTER

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現地レポート海外の地での挑戦2020年、ロックダウンにより、人々は街から姿を消した。紙媒体を主軸としていた日豪プレスのビジネスモデルは、根底からその存在意義を問われることになる。「配る場所すらない」。会社の空気は日に日に重くなっていった。そして同年、前オーナーは事業の継続を断念。会社は存亡の危機に立たされた。そのとき、馬場氏は腹を括る。知人と事業を買い取かじり、共同経営という形で経営の舵を取るようになるのだ。それは、守られた「社員」の立場を捨て、「経営者」になるという覚悟の瞬間だった。「GMとCEOはまったく違う。見える景色も、背負う責任も」。馬場氏は静かに語る。社員のトップとして見ていたのは、あくまで業務の遂行とマネジメント。しかし、経営者が見るべきは、資金繰り、会社の信用、そして全従業員の生活だ。スタッフは、ネイティブや中国系のオーストラリア人が入り混じり、フリーランス含めて15人ほど。その道は、想像以上に孤独だった。「常に壁です。クライアントとの壁、社内の壁、そして家庭とのバランスという壁……。とにかく壁にぶち当たっては、それをどう乗り越えるかを考え続ける毎日です」。数日後に迫る給料の支払い。その重圧を、従業員と分かち合うことはできない。「かつては、この苦労を理解してほしいと思った時期もありました。でも、それを求めるのは諦めました」。その言葉は、突き放した響きではなく、むしろ異なる立場で戦う者への敬意と、自らの責務を全うする覚悟の表れのように聞こえた。「経営サイドと働くサイドは、いるステージが違う」。その現実を受け入れたとき、彼は真の経営者になったのかもしれない。コロナ禍を経て、メディア事業の主軸を紙媒体からWEB（デジタル）へと移行。紙媒体の発行は年4回に絞り込む一方、こうした市場環境の変化に合わせたビジネスモデルの最適化により、経営の安定化を実現した。日豪の未来を紡ぐメディアの挑戦が始まる一方で、馬場氏は経営者としての確かな喜びも見出していた。その一つが、自ら立ち上げたスキー雑誌『jSnow』の存在だ。かつて日本で夢中になったスキー。その情熱を注ぎ込んだ雑誌が、今やオーストラリアの日本ファンにとって欠かせないメディアとなり、多くの人々を日本の雪山へと誘っている。「『jSnow』を見たから来たんだと言われるのが、何よりうれしいですね」。また、海外に出たからこそ、日本の素晴らしさに改めて気づかされたという。「言わなあうんのくても分かり合える、阿吽呼吸。何千年と続いてきた歴史と文化。日本人であることは、私の誇りです」。その想いは、彼の事業の核となっている。日豪プレス社が今、掲げるミッションは、日本とオーストラリアの文化をつなぐ「架け橋」になることだ。日本のスキーやポップカルチャーの魅力を伝え、オーストラリアの人々の関心を日本へ向ける。同時に、日本ではまだなじみの薄いオーストラリアの魅力を発信し、日本人の中にファンを増やす。メディアの力を通じて、双方向の文化交流を促進し、両国のプレゼンスを高めていく。それが、馬場氏が自らに課した使命だ。「メディアという立場だからこそ、元首相や各国の大使といった方々に直接お会いし、表には出せない貴重な話を聞くことができる。そこで得た知見を、どう次につだいごみなげていくか。それがこの仕事の醍醐味であり、責任だと思っています」編集者としてキャリアをスタートさせ、移住、そしてコロナ禍を越えて経営者へ。その道のりは決して平坦ではなかった。しかし、数々の逆境が、彼に「自らの事業が社会において果たすべき役割は何か」という根源的な問いを突きつけ、揺るぎない使命感を与えた。馬場氏の挑戦は、変化の時代を生きる我々に、自らの足で立ち、未来への橋を架けることの尊さを静かに、しかし力強く語りかけている。ビジネスパートナーの社員たちと元豪首相トニー・アボット氏と（2025年9月末）日豪プレスが発行している雑誌L［実践］理念経営Labo2026WINTER33

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特別動画案内MOVIEGALLERYこの世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所に北澤憲政氏（ピジョン株式会社代表取締役社長）『［実践］理念経営Labo』では、誌面内容がよりよくわかる特別動画をウェブサイトにてご視聴いただけます。今号の特集テーマ「企業精神を育み実践する」をさらに深く知るには、以下の動画もオススメ！（肩書きは掲載当時）POINT人工乳ではなく栄養のある母乳を。「赤ちゃんにやさしい」をつき詰めた同社が取り組む授乳・さく乳室と母乳バンク設置への思いとは視聴時間4分37秒掲載号/ページ2022AUTUMN10-12（Vol.3）/P6～9理念の確立が社風を変えた𠮷田旭宏氏（株式会社エレガンスヨシダ取締役社長）POINTジュエリー業界のディズニーランドになる――。理念の言語化によって、目指す姿が明確に。スタッフ全員の衆知を集める経営を心がける視聴時間8分54秒掲載号/ページ2023SUMMER7-9（Vol.6）/P20～23信念を受け継ぎ新たなものづくりに挑む細尾真孝氏（株式会社細尾代表取締役社長）POINT1200年もの歴史を持つ伝統工芸品「西陣織」。最先端分野との協業は、「伝統の強さを信じるからこそ壊すつもりで挑む」という視聴時間5分00秒掲載号/ページ2024SPRING4-6（Vol.9）/P6～934［実践］理念経営Labo2026WINTER

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経営者・経営幹部の方必見！２時間で学べるセミナー好評開催中は開催終了2026WINTER1-3（Vol.16）2026年1月27日発行発行人渡邊祐介編集主幹川上恒雄編集長會田広宣発行所PHP理念経営研究センター［編集スタッフ］〒601-8411京都市南区西九条北ノ内町11番地TEL075-681-9166メールkenkyu1@php.co.jpURLhttps://www.php-management.com/的場正晃／長尾梓／髙橋久実子／岡本二朗／高瀬浩平［制作・普及協力］池口祥司／時政和輝／大谷泰志／櫻井済徳／西岡拓真／川口宝馬動画順次公開＆メルマガ登録受付中誌面の内容がよりよくわかる特別動画をこちらのウェブサイトで順次公開しています。↓また、上記動画の公開時期および『［実践］理念経営Labo』の最新情報をメルマガ（無料）にてお届けします。ご希望の方はこちらのウェブサイトよりメールアドレスをご登録ください。↓［デザイン／制作］朝日メディアインターナショナル株式会社©PHPInstitute,Inc.2026Allrightsreserved

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第8巻12月24日発売ます。2026WINTER1-3（Vol.16）2026年1月27日発行ＰＨＰ理念経営研究センター2025年※第1巻〜第7巻好評発売中！・本体価格：第1～6、8巻各3,300円＋税第7巻3,400円＋税判型・製本：四六判上製装丁デザイン・文言に変更の可能性があり

