https://my.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/

# Vol.08『[実践] 理念経営Labo』（2024 WINTER 1-3）

## Page 01
![Page 01の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000001.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

人と組織の可能性を発見する研究誌理念経営実践Vol.8Labo2024WINTER1-3［特別企画］誰もやっていないことをやる！業界を発展に導いた経営哲学はせがわ相談役長谷川裕一［特集］理念がブランド力を高める自社ブランド開発で誇りとゆとりのモノづくり松山油脂代表取締役社長松山剛己“はかりしれない”技術と信頼を世界に広げるイシダ代表取締役社長石田隆英マーケティングに頼らず“思い”と“信用”を追求する伊那食品工業代表取締役社長塚越英弘「暮らすがえ」を理念に掲げつっぱり棒の可能性に挑む平安伸銅工業代表取締役社長竹内香予子［松下幸之助経営塾志の実践］青山プランニングアーツ取締役COO尾中俊之［道をひらく～私の流儀～］フジモトゆめグループ代表、隆生福祉会理事長藤本加代子

## Page 02
![Page 02の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000002.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

『［実践］理念経営Labo』刊行にあたって現代の企業や組織において、経営理念を経営の軸に据えることの重要性はますます高まっています。一つには、資本主義社会のあり方が問い直され、企業の果たすべき責任がよりいっそう重視されつつあることが挙げられます。たとえば、行きすぎた株主重視の反省から、企業には社会的な課題解決が一段と強く求められるようになりました。ESG（環境、社会、ガバナンス）投資やSDGs（持続可能な開発目標）への関心の高まりからも、その傾向は明らかです。また、従来の経営理念に加えて新たに「パーパス」（存在意義）を掲げる企業も数多く出てきました。一方で、政府による働き方改革の推進、雇用慣行の変化、特に最近は新型コロナ感染症拡大をきっかけとしたリモートワーク導入促進の流れの中で、働く人々の価値観においても多様化が進み、組織を統合するための経営理念の役割も見直されています。私どもPHP理念経営研究センターは、複雑化する環境においても企業や組織が活力を持って高品質な商品やサービスを創出し、持続的な発展を遂げてゆくために、新たな理念経営のあり方を追求することを年に設立いたしました。この使命はパナソニックグループ創業者で弊社PHP研究所創設者でもある松下幸之助の「思い」から発しています。松下は、昭和7（1932）年5月5日、「人々の日常生活の必需品を充実豊富にして、その生こんしん活内容を改善拡充する。松下電器製作所はこの使命の達成を究極の目的とし、今後一層渾身の力を振るまいしんい、一路邁進せんことを期す」という趣旨の自社の「真使命」を宣言し、パナソニックグループを世界へと飛翔させました。また終戦後の世の乱れ、人心の荒廃を思い知らされたところから、「繁栄を通じて、平和と幸福を実現する」（PeaceandHappinessthroughProsperity）との思いに立ち、昭和21（1946）年11月3日にPHP研究所を設立いたしました。「初めに思いありき」の言葉通り、松下のいずれの事業活動もすべて「思い」を原点とした理念経営にほかなりません。こうした考えに立ち、PHP理念経営研究センターの情報発信の場として『［実践］理念経営Labo』をこのたび刊行いたします。誌名に「Labo」（ラボ）とつけたのは、本誌を生きた「理念経営の研究室」とし、より先端的な課題への取り組みに挑みたいとの思いがあってのことです。理念経営に挑戦している経営の現場を現代的見地にもとづいて取材し、理念実践の新たな指針を創出することを目指して誌面づくりに尽力していきたいと考えています。読者の皆様には、ぜひとも「Labo」の共同研究者として情報、ご感想を賜り、明日の「理念経営」のあり方に一石を投じるべくご支援、ご指導をお願いいたしたく存じます。2022年4月PHP理念経営研究センター代表渡邊祐介

## Page 03
![Page 03の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000003.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

Contents──2024WINTER1-3（Vol.8）【SpecialInterview】誰もやっていないことをやる！業界を発展に導いた経営哲学「お仏壇のはせがわ」が実践する信用・感謝・喜びの共感経営とは特集理念がブランド力を高める【Report】自社ブランド開発で誇りとゆとりのモノづくり老舗の下請けメーカーが売上を20倍にできた理由とは【Interview】“はかりしれない”技術と信頼を世界に広げる「世の適社・適者」を掲げ躍進する「食のインフラ」のトップメーカー【Interview】マーケティングに頼らず“思い”と“信用”を追求する「年輪経営」で業界トップを行く伊那食品工業ならではのブランド論【Report】「暮らすがえ」を理念に掲げつっぱり棒の可能性に挑む画期的なアイデアで｢私らしさ｣を創造するパイオニア松下幸之助経営塾【志の実践】認知科学の応用で販売営業を革新するアートと最先端のITを融合させ、新しいビジネスに導くシンクタンク【塾生通信】日に新たはせがわ相談役長谷川裕一松山油脂代表取締役社長松山剛己イシダ代表取締役社長石田隆英伊那食品工業代表取締役社長塚越英弘平安伸銅工業代表取締役社長竹内香予子青山プランニングアーツ取締役COO尾中俊之4101418222630Series【道をひらく～私の流儀～】笑顔と夢が広がる“最高の場所”をつくる専業主婦から経営者になり、先進的な福祉事業に挑戦【プロ・ファシリテーターが斬る!!組織づくり・人づくりのヒント】変化の時代を生きるためのPDS4Aサイクル【特別動画案内】MOVIEGALLERYフジモトゆめグループ代表、隆生福祉会理事長藤本加代子PHP研究所人材開発普及部長・人材開発企画部長的場正晃323638誌面内容がよりよくわかる特別動画を右のQRコードからご視聴いただけます。動画は随時追加予定。メルマガにてご案内します。（メルマガ登録はP39下をご参照ください）

## Page 04
![Page 04の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000004.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

SpecialReportSpecialInterview誰もやっていないことをやる！業界を発展に導いた経営哲学「お仏壇のはせがわ」が実践する信用・感謝・喜びの共感経営とは株式会社はせがわ相談役長谷川裕一はせがわ・ひろかず＊1940年、福岡県直方市に生まれる。龍谷大学文学部仏教学科を卒業後、父が創業した長谷川仏具店（現はせがわ）に入社する。’66年に専務取締役、’82年に代表取締役社長、2008年に代表取締役会長に就任。仏壇販売を通して国内外への日本仏教文化の普及に努めるとともに、’07年、東京藝術大学に｢お仏壇のはせがわ賞｣を創設し文化財の製作・修復技術者の育成にも貢献。グループ会社である株式会社はせがわ美術工芸では、西本願寺の阿弥陀堂（本堂、国宝）や御影堂（大師堂、国宝）、太宰府天満宮の本殿（重要文化財）など、数多くの国宝・重要文化財の修復にも力を注ぐ。’14年、相談役に退き、後進の育成に努める。株式会社はせがわ本社：福岡県福岡市・東京都文京区／創業：1929年／事業内容：関東、東海、九州を中心に100店舗以上の直営店で仏壇仏具を製造・販売。その他に、墓石事業、屋内墓苑事業、飲食・食品・雑貨事業などを展開「おててのしわとしわをあわせてしあわせ」のCMで圧倒的知名度を誇るお仏壇のはせがわ。仏壇業界で初めてチェーン展開に成功し株式上場を果たすなど、常に業界に変革をもたらしてきたリーディングカンパニーだ。創業者の父から会社を引き継ぎ、長きにわたって経営の最前線に立ってきた相談役の長谷川裕一氏は、「会社が発展してきたのは『創業の精神』が根底にあるから」と語る。「信用本位」「感謝報恩」「よろこびのあきない」を重んじるその精神は、どのように会社と業界の発展につながったのか。PHP理念経営研究センター代表の渡邊祐介が、長谷川相談役に話をうかがった。構成：池口祥司写真提供：はせがわ幸せの根源は感謝の心渡邊まず、家業をお継ぎになるまでのことをお聞かせください。長谷川はせがわの始まりは、1929年に父が開いた仏具店で、当時は間けん口2間、奥行4間半の小さなお店でした。父は病気がちで思うように仕事ができなかったうえ、世界恐慌の影響で日本全体が大変な時代だったしこともあり、多くの苦労を強いられたようです。それゆえに、働くことの尊さや命の大切さを子供ながらに感じて育ちました。高校を卒業したら、すぐに父の仕事を手伝うつもりでした。4［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 05
![Page 05の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000005.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

当時、仏具店というのは、「人が死んだら儲かる仕事、陰気な仕事だ」と後ろ指をさされがちな風潮がありました。でも父は、そんなことは気に留めず、「お仏壇を納めるときは、家の裏口からではなく玄関から入らせていただき、家の中で一番いい場所に安置する。お客様はお仏壇に鯛を供えて仏様をお迎えされる。そして、今日は一番ありがたい、大切な日だと私たちに感謝してくださる。こんな尊い仕事はない。お仏壇を通して、ご先祖様を大切にする日本人のよき心は継承されているのだ」と言っていました。だから、父の仕事に尊敬の念を抱いていましたね。渡邊創業の精神に「感謝報恩」とありますが、お客様に感謝し、お客様から感謝されるというだけでなく、ご先祖様への感謝という意味合いも大きいのでしょうか。長谷川大きいですね。そもそも、「幸せの根源は感謝の心にある」と思っています。その感謝する心を与えてくださるのが仏様、ご先祖様です。仏様、ご先祖様を想うからこそ、感謝の気持ちが湧いてくる。感謝の心があれば、自分に命や様々な恵みが与えられていることに気づいて、そこに幸せを感じることができるのです。戦前の日本人はお仏壇でよく手を合わせて、ご先祖様に感謝をしていました。父も毎朝6時に近くのお寺にお参りして、お経をあげていましたよ。渡邊そうしたお父様の背中をご覧になっていたから、仕事のことで人やゆに揶揄されても、家業を継ぐ気持ちは揺らがなかったのですね。でも、高校卒業後は大学に進学された。長谷川そうです。それは、高校の友人に紹介してもらった1冊の本がきっかけでした。夏目漱石の『こころ』です。薦められてすぐに読んで、衝撃を受けたのです。登場人物の「先生」が、最終的には自死を選んでしまうほどにエゴイズムで悩み苦しむ。それを読んで、自分のエゴイズムを浮き彫りにされたと感じました。私は母の教育もあって小さい頃から正義感が強く、また腕っ節も強かったので、いじめや悪さをする同級生を懲らしめ、みんなに喜んでもらえる生き方をしたいと思っていました。しかし、その根底には、もしかしたらエゴイズムがあるのではないか、と不安になったのです。すると、自分は何のために生まれてきたのか、煩悩とは何か、宇宙の真理とは何か、というような人生における根源的な悩みが次々と湧いてきました。これらの問いに向き合い、エゴイズムを克服しなければ、生まれてきた甲斐がないと思い至って、大学で学ぶことを決心したのです。ちょうどその頃、父がお参りをしていたお寺のご住職のお父様が、親だいおんき鸞聖人七百回大遠忌法要の総長をされると聞いたので、相談に行きました。「自分自身のエゴイズムを克服するために、大学に行こうと思っています。仏教のシンボルである三宝がデザインされた校章の龍谷大学にしようと思っているのですが……」と言うと、「私もその大学を卒業しました。1639年からの伝統がある大学ですから、そこにしなさい」と背中を押してくださいました。渡邊大学進学には、漱石の影響があったのですね。ちなみに、どうしつてて伝手をたどってまで、その方にお会いになったのでしょうか。長谷川それは一番信頼できたから父で創業者の長谷川才蔵氏（右）から、仏具販売の尊さを教えてもらった。左は幼少期の長谷川相談役ですね。何か選択しなければならない肝心なときは、可能な限りその道に精通した方にお会いするようにしてきました。そうすると、自分としても覚悟が決まるんですね。私の父は「商売は信用本位だ。信用によって成り立っている」とよく言っていました。やはり信用にもとづいて物事を判断することが大切ですし、お客様から信用され、何か困ったことがあればこの人に相談しようと信頼される存在にならなければなりません。商品の声が聞こえてくる渡邊大学を卒業してご実家に戻られた頃は、従業員が2名だったそうですが、どんなことを考えて家業に励まれていたのでしょうか。長谷川最初の3カ月は店の掃除ばかりをしていました。お店があったのおがた直方市は、筑豊炭田で発展した都市で、ピーク時には日本全体の半分超の石炭を産出しています。ですかたびら、倉庫の中にいても、足袋の裏から鼻の中まですぐに黒くなるほどで、いくら掃除をしてもきりがないような状況でした。それでも毎日掃除をしながら、商品の検品などをやっていると、だんだんと商品の名前が頭に入ってきま［実践］理念経営Labo2024WINTER5

## Page 06
![Page 06の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000006.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

す。すると、不思議なことに商品の声が聞こえてくるようになるのです。「いつまでも箱の中に入っていたくない。早くお店に出してほしい」と。考えてみると、その通りですよね。長い時間かけて育った木を切って製材し、仏様によいだろうと思う素材を選んで、職人の苦心の末に商品ができあがる。それをお客様が店頭でご覧になって選んでいただいてこそ、ご先祖様に喜んでもらえるわけですから、倉庫で眠ったままでは仕様がありません。だから、漫然と掃除するのではなく、「どうすれば、もっと商品をお店に出せるか。もっとお客様に喜んでいただけるか」を考えていました。そのためか、木の声も聞こえ始め、仏具が生きているように思えてくるんですね。それぐらい打ち込まないと本物の商売はできないと思います。渡邊創業の精神の一つに「よろこびのあきない」を掲げておられますね。松下幸之助は、「物とあわせて心をつくり、物とともに心を売り、そしてお金とともに心をいただく」だいごみと言い、そこに商売の醍醐味があると考えていました。長谷川相談役は、「よろこびのあきない」について、どのようにお考えでしょうか。長谷川現実の生活は苦しいことが多いですよね。だからこそ、誰もが喜びを求めます。しかし、重要なのは、人様に喜んでいただくことが自分の喜びになるということです。自分だけの喜びはすぐに消えてしまいます。松下さんは、「お互いの心の通い合い」と言われたとのことですが、お客様と自分の喜びがかけ合わさって、2倍の喜びを感じられるということでしょう。すると、その喜びは他の方にも広がっていく。だから、人様に喜んでもらうことをいつも考えていると、毎日喜びの中で生きていけるようになる。喜びはすべての基本だと思います。商売で売上を上げるには、ものすごいエネルギーが必要です。だから、売上のためばかりに働くと、エネルギーを消耗し心身は疲れ、過剰なストレスによって病気になることもあります。では、どうするかといえば、お客様が喜んでくださる方法を考えるのです。売上目標に縛られると、「これをつくらないといけない」「あれもしないといけない」となって、ネガティブなイメージが先行し、ますます目標を達成できなくなります。そうではなく、これまでのイメージを一度捨てて、とにかく「お客様が喜んでくださることを考えよう」「おもしろいことをやろう」「誰もやっていないことにチャレンジをしよう」と、一心不乱にやってみるのです。誰もやっていないことにチャレンジするには、1番を目指すことです。2番、3番では、競合他社と比べてどう差別化するかという思考に止まり、自由な発想が阻害されてしまいます。けれども、1番になろうとすれば、1番になるための情報しか入ってきませんし、誰もやったことがないことをやるので、自由な発想で挑戦することができます。渡邊早くから「日本一の仏壇屋になる」という目標を掲げてこられたのは、そういうお考えからなのですね。長谷川おっしゃる通りです。志を高く持ったからこそ、この業界で初のチェーン展開に成功し、業界トップの売上を記録しました。また、1988年には、福岡証券取引所に上場して、業界で初の上場企業になりました。やるからには1番を目指して、お客様に喜んでいただき、私たちもワクワクする。これがまさに「よろこびのあきない」ですね。不退転の覚悟が可能にした異例のスピード納期渡邊経営者として長くご活躍されてきましたが、特に思い出に残っているエピソードなどはあるでしょうか。長谷川1967年、私が27歳のときのことです。西本願寺（京都市）直ちんぜい属寺院である本願寺鎮西別院（北九州市）の本堂を再建する話がありました。当初は、募財が思うように集しゅみだんは古まらずご本尊を安置する須弥壇いままの予定でしたが、門信徒の熱心な思いに動かされて、急遽、新造することが決まったのです。入札にしにせは、京都で1、2を争う老舗仏具店が参加していたものの、落慶法要に間に合わせるのは難しく、3カ月遅れることを見越した見積で入札していました。しかし、私は門信徒の気持ちになんとしてでも応えたいと思い、通常150日かかるところを100日で納入しようと考えたのです。社長も含めて社員4人しかいない無名の仏具店ですから、まわりから「そんなことできっこない」と笑われました。うるしをお仏壇を完成させるには、漆ぬしかざり塗る塗師、装飾の金具をつくる錺かなぐし金具師、ご本尊を安置するための御くうでん宮殿の木地をつくる宮殿師など、実に様々な職人の力が必要です。わが社にできるのは、漆塗りと金箔押しだけでした。そこで、他の仕事は京6［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 07
![Page 07の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000007.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

誰もやっていないことをやる！業界を発展に導いた経営哲学都の職人の中でも一流の方にお願いすることにしました。しかし、当時の京都の職人は、地方から直接頼まれた仕事はしないという不文律があったのですね。しかも、遠忌法要のために仕事を多く抱えた職人ばかりでしたから、納期の面でも条件は厳しくなります。そのため、私は並々ならぬ覚悟を持ってお願いをしにいきました。今だからこそ言えますが、実はもし引き受けてもらえないなら、目の前で割腹しようと短刀を持参していたのです。私は「門信徒のために、日本一のお仏壇をつくって、落慶法要に間に合わせたい」との一心で懇願しました。すると、相手はまず私が若いことに驚き、その必死の思いに大変感動されました。そして、即座にご快諾いただけたのです。それによって、異例のスピードで納入する見積が現実のものとなり、見事落札することができました。京都の職人との共同作業では、士気を高めるためにいろんな手を打ちました。おかげでなんとか落慶法要に間に合わせることができ、皆を驚かせましたよ。ぎょうこう思いがけない僥倖だったのは、このときの共同作業で優れた技術が直方に根づいたことです。その技術を活かして、後の西本願寺の昭和と平成の大修復や、その他数々の世界文化遺産、国宝・重要文化財の修復に携わらせていただくことになります。について雑誌でご対談されていましたね。また別の記事では、かつて458名が亡くなった三井三池炭鉱三かわこうたんじん川坑（福岡県大牟田市）の炭塵爆発事故のときに、ご遺族のお気持ちに寄り添った活動をされたことを拝見しました。長谷川相談役にとって、「共感」とはどのようなものでしょうか。長谷川あの事故が起きたのは、ちょうど私が入社した1963年の11月9日でした。2日後には現地入りして、現場責任者に面会したのですが、「人の不幸を商売にするのか」と怒鳴られました。でも、23歳の私は「犠牲になった方々をご供養しなくていいんですか！」と逆に思いをぶつけたのです。それから、結婚したばかりの家内を連れて、一軒一軒、「お仏壇のはせがわです。何かあったらお役に立たせてください」とお伝えして、線じゅず香と数珠を配って回りました。大手の仏壇屋は販売営業して、「こちらで買ったらこれだけ安い」とお金の話しかしなかったようです。私は一切お金のことは口にしませんでした。まずお亡くなりになった方々をご供養するのが先であり、最初から商売の話をするのは順番が違うと思ったからです。そして、結果的には、多くの方が私たちに注文してくださいました。渡邊寄り添う気持ち、真心がご遺み族の方々に伝わったのですね。長谷川「共感」は、先ほどお話しした「信頼」と通じるところがあります。創業者の思いを大切にして、社長、責任者、現場が「共感」「信あうん頼」して一つになれば、阿吽の呼吸で仕事が進み、スピードは格段に上がります。さっこん昨今、注目されるDX（デジタル・トランスフォーメーション）の本質は、この「共感」「信頼」にあると考えています。デジタル化を導入しても仕事の根底に「共感」「信頼」がなければ、かえって混乱を招いて非効率なものになるのです。多くの経営者は合理主義に傾いて、マニュアル化を図ろうとします。これは、頭のいい人にありがちです。実は、わが社も一時、合理主義が強くなって、業績が悪化したことがありました。しかし、今の社長である新貝（三四郎氏）は、その点をよく理解して、まさに「共感の経営」をやってくれています。理屈が先にくる欧米型の合理主義ではなく、日本人の精神性に合った「共感」を考えないと、会社は成長しないと思います。渡邊「創業の精神」から様々なエピソードをご紹介いただき、長谷川相談役の信念と覚悟に大変感銘を受けました。貴重なお話をありがとうございました。Lデジタル化の本質は「共感」「信頼」にあり渡邊長谷川相談役は以前、経営学者の野中郁次郎先生と「共感経営」はせがわのCMでお馴染みの、3代目しあわせ少女ゆうかちゃん伝統型からリビングに合うモダン型まで、幅広い仏壇・仏具を取り揃える［実践］理念経営Labo2024WINTER7

## Page 08
![Page 08の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000008.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

［特集］理念がブランド力を高める

## Page 09
![Page 09の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000009.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

「自分らしさ」を大事にする消費者が商品・サービスを選ぶこの時代において、それらを提供する企業には、“どんな思いやこだわりを持って取り組んでいるのか”と、背景にある考え方や姿勢が問われる。SNSの普及によってその傾向はよりいっそう強くなっているため、理念やパーパスを明確に打ち出し、多くの共感を得ることは、商品・サービスのブランド価値を高めるうえで今後さらに重要度を増していくだろう。そこで本特集では、独自の経営理念にもとづいて強いブランド力を確立した企業を取り上げ、その実践を紹介する。

## Page 10
![Page 10の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000010.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

Report自社ブランド開発で誇りとゆとりのモノづくり老舗の下請けメーカーが売上を20倍にできた理由とは松山油脂株式会社代表取締役社長松山剛己まつやま・つよし＊慶應義塾大学卒業後、博報堂、三菱商事を経て、1994年に家業である松山油脂合名会社（現松山油脂株式会社）に入社。’95年に同社初の自社ブランド「Mマークシリーズ」を発売する。その後2000年に5代目社長に就任。同年、関連会社として「マークスアンドウェブ」を設立し、同社代表取締役社長に就任する。松山油脂株式会社本社：東京都墨田区／創業：1908年／事業内容：透明石けん・化粧石けん・スキンケア製品の製造販売良品の生活雑貨を取り揃えるロフトやハンズ、ナチュラルローソンなどで、ロングセラーになっている石けんがしにせあるという。創業116年の老舗メーカー・松山油脂の製品だ。かつて大手メーカーの下請けだった同社は、先代が計画的廃業に踏み出していたが、現社長の松山剛己氏が家業に戻り、自社ブランドを立ち上げて見事成功。今ではブランドが複数あり、関連会社も設立して化粧品原料まで開発するなど、多彩な展開を見せている。はたして、どのようなモノづくりで起死回生の逆転劇が実現したのか。取材・文：桐本真理写真提供：松山油脂石けんメーカーが有機農法!?原料から手がけるこだわりかたど2つの山で「M」の字を象ったロゴが印象的な「Mマークシリーズ」。石けんやボディソープをはじめとするボディケア・ヘアケア・スキンケア製品を多数取り揃えるこのシリーズは、余計な成分が配合されていないため「肌にやさしい」と女性を中心に支持されている。実際に、石けんで洗ってみると泡のキメが細かく、使用後は肌につっぱり感がほとんどない。しっとりさらさらで、とても心地いい。その品質で、ベーシックなものは1個200～300円ほどの価格帯というからお値打ちの良品である。また、近年は「柚子（ゆず）ボディローション」という身体用の乳液が人気で、年間120万本も出ているという。配合している柚子精油は、自社抽出を始めるほど香りにこだわっている。爽やかなだけでなく、柚子特有のほろ苦さを含んだ香りが活きた逸品だ。「Ｍマークシリーズ」を手がける松山油脂は、2024年で創業116年を迎える。1908年に雑貨商として10［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 11
![Page 11の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000011.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

余計な成分を含まず、家族のみんなが毎日安心して使えると好評の「Mマークシリーズ」創業したのち、1946年より石けんの製造を開始し、長らく大手メーカーの下請けとして事業を営んできた。それが現在は、石けんやスキンケア製品の自社ブランドを展開。「Mマークシリーズ」以外にも、フェイスケア、ボディケア、ヘアケア、そして生活雑貨までを提案する「マークスアンドウェブ」を関連会社として立ち上げ、2023年12月現在、全国79店舗の直営店を展開している。2020年には徳島県の佐那ごうちそん河内村に「山神果樹薬草園」を設立わかんきつし、柚子やすだちなど和柑橘農園の運営、和柑橘精油やジュース、コーディアル（果物などを氷砂糖で漬け込んだ濃縮シロップ）の製造、アルコールの自家醸造蒸留からリキュールの製造を手がけるなど、そのモノづくりは石けんやスキンケア製品にとどまらない。さらに、農園は有機無農薬栽培を目指しているという。松山油脂は「日本と世界の人々のデイリーウェルネスに貢献する」という理念を掲げている。「デイリーウェルネス」とは心身のすこやかさと日常の豊かさを指すが、経営の舵と取りを担う松山剛己社長は、その理さなかじ念にもとづく同社のモノづくりについて、次のように語る。「デイリーウェルネスに貢献するためには、つくり手である私たち自身がすこやかな状態でモノづくりに取り組んでいることが大切です。一人ひとりが無理なく活き活きと、質の高い仕事ができるように働きやすさを整えています。その結果、価値が価格を上回る製品、高品質で価格が手頃な、みんなが使い続けられる製品を世の中に提供できれば、お客様の毎日がよりいっそう、すこやかになると考えているのです」消費者は同社の製品の品質やブラかもンドが醸すイメージから、こうしたつくり手の思いを自然と感じ取っているのではないだろうか。同社製品が広い客層に支持されているゆえんだろう。計画的廃業を目の前に自社ブランドに挑戦今でこそ多彩なブランド展開で目覚ましい業績の伸びをみせている同社だが、30年前に松山氏が入社を決意した当時は違っていた。大手メーカーが低コストの海外に生産拠点を移し始めたことや、技術者として会社を支えていた叔父を亡くしたことで、徐々に事業を縮小して計画的に廃業するつもりだと、松山氏は当時の社長である父から知らされた。「マークスアンドウェブ」のフェイスケア用品。日常的に使用できる品質と価格を大切にしている「それまで家業を継ぐことはまったく考えていなかったのですが、改めてそのことについて考えました。石けんはハイエンドなものではなく、みんなの日々の生活が半歩よくなるものだと思い至ったとき、石けん事業は悪くないかもしれない、自分のやりたいことかもしれないぞと、もう一人の自分に背中を押された気がします。入社した最初の1年間はかまだ工場で石けんの釜焚きに専念していましたが、それとともにできるだけ早く下請けの状態から脱却したいと考えていました。下請けでは製品のつくり方や価格、納期に至るまで委託元の意向に沿わねばならず、自分たちのやりたいモノづくりができないからです。これからの人生をかけて取り組むわけですから、下請けのままではつまらないという思いがありました」それまで大手の広告代理店や総合商社でキャリアを積んできた松山氏は、父や松山油脂の社員たちと異なる立場にいたからこそ、自社の強みについても客観的にとらえていた。それは他でもなく、松山油脂が培ってきた高い技術力である。熟練した職人が100時間をかけて天然油脂から純度の高い石けんをつくる釜焚き製法や、一つひとつ丁寧に磨くなど繊細な手仕事が求められる透明石けんの製造技術は、国内でもわずかなメーカーしか持っていない。その技術力を生かして自社ブランドを立ち上げれば、下請けからの脱却を実現することができるのではないか。そう考えた松山氏は、専務の職に就くと先頭に立って自社ブランド設立に向けて動き出した。だが、道のりは決して平坦なものではなかった。古参社員に新たな方針を理解してもらうことから難航したという。「朝礼で私が構想を語ると、みんながざわつくのです。あとから何人もが社長である父のもとに『本当に［実践］理念経営Labo2024WINTER11

## Page 12
![Page 12の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000012.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

専務の言った方針でやっていくんですか？』と確認にくるような有様でした。『この専務についていけば、きっと会社はよくなる』と信じてもらえない限り、いくら明確な方針を理路整然と示したところで、誰もついてこないのだと思い知ったのです」そこで松山氏は、大手メーカーに企画提案して製造を請け負うOEMの事業に注力することにした。100万円、200万円と入金がある仕事で小さな成功を積み重ねていき、社内での信頼を得ようと、愚直に取り組んだ。その成果が数字に表れてくるにつれ、社員たちから松山氏に対する期待感が徐々に出始めた。また、社内で粘り強く自社ブランドへの思いを説き続けてきたことで、若手社員を中心に共感が広がってきた。そうした社員たちの変化にも後押しされ、松山氏はいよいよ自社ブランドの立ち上げに取りかかった。まず、自社技術を生かした製品の開発に臨んだ。余計なものを含まず、誰でも安心して使い続けられるもの。試行錯誤の末、1995年に初の自社ブランド「Mマークシリーズ」が誕生する。だが、次なる問題があった。大手メーカーのものでもない無名ブランドの製品を、どうやって小売店に置いてもらい、消費者に選んでいただくか。品質には絶対的な自信を持っていたものの、問屋に出向いても口座を開いてもらえない。小売店のバイヤーに売り込むどころか、商談の機会すら得られない。そんな状況を松山氏はどのように打破したのか。「まず、ブランドのコンセプトに共感してくれそうなお店に狙いを絞って、売り場の販売スタッフに品質のよさをわかってもらおうと考えました。休みの日に買い物客として売り場を訪れて、販売スタッフの方と話をする。うまくコミュニケーションが取れたら、『実はこんな石けんをつくっているので、よかったら一度使ってみてください』と試供品をお渡しするのです。販売スタッフの方に品質のよさを実感してもらえたら、評判となってバイヤーの耳にも入るのでは、と期待したわけです。実際にそうなったお店では、製品を店頭に並べていただけました。ただし、無名のブランドで、販促用のポップや冊子などは置いてもらえません。そこで、お客様にブランドのことを知って選んでいただくために、製品パッケージに製法やこだわりなどを詳しく書きました。手に取っていただければ、なぜ、どのように品質がいいのか、お客様がおわかりになるようにしたのです」これらの試みが奏功し、「Mマークシリーズ」は品質のよさを重視する消費者から選ばれるブランドに育っていった。実績が認められ、松山氏は2000年に父の後を継いで社長に就任した。100時間かけて石けんを焚く効率より大切にしていること先に述べた通り、「Ｍマークシリーズ」をはじめとした同社の石けんは、「釜焚き」という昔ながらの製法でつくられている。原料の仕込けんみから仕上がりまでに100時間、鹸かせいち化、塩析、仕上げ塩析、静置という工程を経て、ときには職人がつきっきりとなり純度の高い石けんを焚き釜焚き製法の石けん素地を40時間以上かけて冷やし固めて裁断。7～20日間乾燥熟成させ、検品・包装して最終製品に上げるのだ。時間あたりの生産性でみれば効率がよいとはいえない。大手メーカーなど多くが採用している中和法であれば、4～5時間で大量生産が可能だというが、なぜそちらに移行しないのだろうか。「釜焚き製法では原料として天然の油脂を使います。天然油脂からつくると、何も加えなくても、人の肌を洗うのに適した石けんができあがる。手間はかかりますが、赤ちゃんからお年寄りまで安心して使えますし、保湿成分のグリセリンも自然に溶け込んでいるので、洗い上がりがしっとりするんです。時間をかけてでも、人の手でやり続けるところに私たちのモノづくりの原点があり、つくり手としての誇りを感じています。だからこそ、売上が当初の20倍にまで伸びた今でも、この製法を大切に守り続けているのです」同社のこだわりは、モノづくりの川上から川下にまで広く及んでいる。たとえば、2000年に立ち上げた「マークスアンドウェブ」では、お客様の声を直接聞けるようにと直営店を構えた。製品の出荷も自社で行なっている。そして、2020年には徳島県に「山神果樹薬草園」を設立し、製品の原料となる柑橘精油の抽出にも着手したのだ。「本音をいえば、業者に頼んだほうが安い場合もあります。それでも12［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 13
![Page 13の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000013.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

特集理念がブランド力を高める山神果樹薬草園の和柑橘農園。柚子やすだちなど和柑橘の有機無農薬栽培を目指した取り組みが日々進んでいるあえて、自分たちの手でやっているのは、製品をつくってからお客様のお手元に届くまでのプロセスを、社員一人ひとりが実感できるようにしたいと考えたからです。そうすることで、たとえば出荷の際にも、お客様が箱を開けたときにどんな気持ちになるかを考えて、細かなところにこんぽうも気を配った梱包をすることができるんですね。納品書よりもまず御礼のメッセージカードが目に入るように添えるとか、環境のために緩衝材を減らすといったことも、自分たちの思うように徹底することができます」はしばし松山氏が端々にまで気を配ることを重視するのは、消費者のブランドに対する印象が、そこで大きく変わると考えているからだ。疎かにされがちな細部にまでつくり手の思いが宿っていることを消費者に感じてもらえれば、会社やブランドの考え方への共感は、よりいっそう深いものになる。「お客様が製品を選ぶ際に、品質や価格などはもちろん重要な判断の要素になりますが、そのブランドや企業の姿勢に対して共感や信頼を持てることも、極めて大事なポイントです。しかし、それは一朝一夕で強化できるものではありません。私たちが行なってきたモノづくりのように、地道な取り組みが必要なのだと思います。結局は、社員一人ひとりが経営理念を実践できる人材として、しっかりと成長していくことに尽きるでしょう。その成長に合わせて、会社の規模も自然と大きくなることが望ましいと考えています」社員みずから働き方を選び、すこやかな自律した組織へ松山油脂では2016年から、社員の働き方や組織運営のあり方を大きく改革している。「下請けの仕事では、納期を守るためなら家庭や個の時間を犠牲にしてまで働くことが当たり前だったので、“残業や休日出勤をして、より多く滅私奉公する人が偉い”とする雰囲気が、長らく社内に残っていました。それを完全に払拭ふっしょくしたいと思って着手したのが、『WORK2020』という働き方改革プロジェクトです」プロジェクトのコンセプトは、「仕事」「家庭」「個」の3つのバランスにあるという。社員一人ひとりの人生を豊かなものにしていくために、各自のライフスタイルや仕事観に合わせて、これら3つに使う時間のバランスを社員みずからの意思で選べるようにした。「私も年齢を重ねたことで、いつまでも自分が先頭に立って物事を進めていては、限界が出てくると感じるようになりました。もっと社員がみずから考えて動く組織に強化していく必要があり、それにはこれまでの働き方を変えなければならないと考えました。そこで、総務人事のメンバーとともに泊まり込みで研修をし、今後どのような会社にしたいか、働き方を変えるためにどうしていくべきかなどの議論を重ね、『WORK2020』の中身をつくりあげていきました」具体的には、勤務時間や勤務地を選択できる制度のほか、新規または欠員が生じた職種に対して部門の垣根を越えて応募できる「ジョブリクエスト制度」、他部門に一定期間異動して業務への理解を深める「ジョブローテーション制度」などだ。「社員には、『仕事・家庭・個の3つのうち、どれが大きくなっても互いに認め合おう。ただ、仕事の比重を小さくするなら降格も降給もあるよ』と伝えています。その場合でも仕事の比重を元に戻せば、もちろん再び昇格・昇給が可能となります。こうしたセカンドチャンスも用意し、安心して働いてもらえる環境を整えました。弊社では、『互いに協力し合いながら、みんなで一歩一歩山を登っていく』という考え方を大切にしています。近道を求めず、山の高さを競わない。頂上でともに同じ景色を見ることを目指して、仲間と一緒に登っていくことが、私は楽しくて仕方がありません。社員たちもみんな、働くことが楽しいと思えるような会社にしたいと望んでいます。当社が掲げる『誇りとゆとりのモノづくり』の実践です。社員たちを応援することが、経営者である私の役割だと思っています」松山油脂を担っていく社員たちに、すこやかに育ってほしい。そんな松山氏の願いがうかがえる。デイリーウェルネスの理念を体現する社員の力が発揮され続ける限り、同社の製品を通して、世の中の人々にもすこやかで豊かな毎日が届けられることだろう。L［実践］理念経営Labo2024WINTER13

## Page 14
![Page 14の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000014.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

Interview“はかりしれない”技術と信頼を世界に広げる「世の適社・適者」を掲げ躍進する「食のインフラ」のトップメーカー株式会社イシダ代表取締役社長石田隆英いしだ・たかひで＊1970年、京都市生まれ。’93年、明治大学政治経済学部卒業。’97年、イシダ入社。2007年、マサチューセッツ工科大学経営大学院修了（MBA取得）。取締役技術本部長、常務取締役、取締役副社長を歴任。’10年、代表取締役社長に就任。京都経済同友会副代表幹事（現職）、経済産業省産業構造審議会臨時委員なども務める。株式会社イシダ本社：京都府京都市／創業：1893年／事業内容：食品・物流・医療などの分野を中心とした計量・包装・検査機器の製造販売世界2位のシェアを誇り、「食のインフラ」を支える計量機器メーカーのイシダ。ハカリのパイオニア企業として知られるが、時代の変化に合わせて食品・物流・医療などの幅広い分野で「はかる・包む・検査する」といった多様なニーズに応える製品を生み出し、グローバル・ニッチ・トップとして躍進。特に近年は印象的なテレビCMが大きな反響を呼ぶなど、企業ブランドの浸透が進む。その勢いは、130年の伝統の中で培われてきた理念を「ISHIDAMind」として再構築したことで、より強化されつつあるという。グローバルな視野でさらなる発展を目指す石田隆英社長に話をうかがった。構成：平林謙治写真提供：イシダ働く人からも選ばれたい――BtoB企業が異色CM企業ブランドの認知・浸透を図るうえで、テレビCMの効果はやはり絶大です。最近では2022－23年の年末年始に流れたあの44CMを見て、初めて当社「イシダ」を知ったという人も多いのではないでしょうか。独特のメークで知られるタレントMマットattさんと、父親で元プロ野球選手の桑田真澄さんの“親子共演”といえば、「ああ、あれ！」と思い出していただけるかもしれませんね。工場のラインを流れる大量のMattさんの中に一人まぎれ込んだ桑田さんが、当社の主力製品である検査装置に“異物”と検知されて取り除かれるというコミカルな設定で、当社のスローガンである「はかりしれない技術を、世界へ。」をアピールした作品です。年末年始はCMの繁忙期。有名各社がこぞって力を入れるときですが、そんな中でCM好感度調査の1位（2023年1月前期）に輝くなど、14［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 15
![Page 15の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000015.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

特集理念がブランド力を高める予想以上の反響がありました。調査を実施したCM総合研究所によると、当社のようなBtoB企業がCM好感度トップになるのは、異例中の異例だとか。しかしわれわれは、むしろBtoB企業だからこそ、CMを活用して一般層にもブランド浸透を図らなければならないと考えています。その狙いはズバリ、人材採用です。桑田さん親子を起用したのも、就活中の学生や転職を考えている若い世代とその親世代の両方に知名度の高いことが決め手でした。社業のどりょうこう出発点が度量衡（ハカリ）だけに、きちっとした“カタい会社”と思われがちですが、その先入観をいい意味で覆すというか、案外柔軟で面白そうと関心を持ってもらえたら嬉しいですね。当社はみずからの目指すべき姿として、「世の適社・適者――世界の人々に喜ばれ、世の中に必要とされる存在」を掲げています。お客様だけでなく、働く人々からも喜ばれ、選ばれる会社にならなければ、持続的な成長はありえません。ビジネス市場においても、また採用市場においても、そうした明確な理念こそがブランディングのカギを握ると、私は確信しています。130年の伝統を見つめ直し「ISHIDAMind」を掲げる当社は創業130年、社長も私で5代目です。もともと創業者の考えた理念があったはずですが、代を重ねるごとにその時々のトップの思いも重なり、つけ加えられていったのでしょう。私が2010年に就任したときにはあれもこれもフワッと混ざり合った状態で、理念同士の位置づけが不明瞭に映っていました。そこでまず一旦すべてを改廃の対象とし、当時はまだ健在だった先代の父とも相談しながら、理念の整理・再編にとりかかったのです。父は当社の中興の祖というべき存在で、経営理念にも自分の考え方をいろいろと盛り込んでいましたからね。その中でどうしても残したいものはどれかと、一つひとつ確認するところから始めました。そのうえで大いに参考にしたのが、世界最高のコンサルティング・ファームを築き上げたマービン・バウワーの経営書（邦題『マッキンゼー経営の本質』、ダイヤモンド社）です。P&Gや3Mといった世界的な優良企業が掲げる経営理念のケーススタディが解説されているのですが、それらを読むと、当社が従来大切にしてきた価値観とも意外と共通していて、いいなと。その共通する部分をベースに、理念を再編・再定義して社内でスローガンのコピーも募集するなど、言語化を進めていきました。そうして制定されたのが、現在の「ISHIDAMind」。目指すべき姿、企業理念、コーポレート・スローガン、ミッションステートメント、行動規範の5つの要素から構成されています。下図のように、目標の実現度を縦軸、時間の推移を横軸にとって位置づけを視覚的にイメージできるようにして、全社員で共有しています。右上に向かうベクトルの先にあるのが当社の目指すべき姿で、冒頭で述べた通り、われわれはそれを「世の適社・適者」と定めました。世の中に必要とされる企業になりましょう、ということですね。では、どうすればそこへ至ることができるのか。その拠り所となるのが、イシダの根幹にあって揺らぐこさんぽうとのない普遍的な企業理念「三方良し」です。創業以来最も大切にしてきた価値観であり、これが根底に流れている限り、われわれはどんな困難に直面しても、目指すべき姿を見失わずにいられるといっていいで「ISHIDAMind」の目標実現イメージMattさんの“異物”として桑田真澄さんが検知されるというユニークな設定で反響を呼んだテレビCM［実践］理念経営Labo2024WINTER15

## Page 16
![Page 16の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000016.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

しょう。そしてその道筋を正しく進むために、日々の実践レベルではメンバー一人ひとりが「異体同心」「三現主義」「Speed！Speed！Speed！」「智徳一体」「志、そして日々前進」という5つの行動規範を遵守しなければなりません。われわれはどこから来て、どこへ行くのか――130年もの歴史に裏打ちされた、イシダという企業のあり方を見つめ直し、その理念を「ISHIDAMind」として社内外に改めて打ち出すところから、私の社長業はスタートしました。イシダなら安心――信頼が「食のインフラ」の礎にイシダは“民間初のハカリメーカー”として知られ、先進の計量技術で社会に貢献してきました。近年は「はかる」だけでなく、包装や検査、表示、搬送、衛生などの分野にも事業領域を拡大し、特に「食」に関する業界では、川上から川下まで、あらゆる現場を網羅するトップブランドとして認知されています。イシダが「食のインフラ」を支えるといわれるゆえんです。当社がこうした地位を確立するに至った背景にも、先述した企業理念が深くかかわっていることは論をまちません。もとより「三方良し」を理念の根本に据え、「世の適社・適者」を目指すわけですから、目先の利益を重視する株主価値経営と一線を画すのは当然でしょう。お客様とはもちろん、協力工場さんや地域のコミュニティとも長期のパートナーシップを前提に、相手から喜ばれ、お互いに共存共栄できるビジネスを心がけてきました。その長年の積み重ねによって、信頼が醸成されます。特に食品業界は1度のミスやトラブルが企業の命取りになりかねない。そうしたリスクさらに晒されているお客様の企業から選ばれるには、信頼に応え続けてきた関係にまさるアドバンテージはありません。実際、当社は新規のお客様を次々と開拓するよりも、既存のお客様の課題を「三現主義」（現場に行く、現物を見る、現実を知る）にもとづいて深掘りし、お困りごとを新技術で解決することでご期待に応えてきました。確かな信頼関係があってこそのビジネスモデルです。具体例をあげましょう。スーパーマーケットをはじめ流通・小売りの現場では、最初は食品を計量するハカリを提供するだけでしたが、たとえば、それをトレーにのせて包装する機械がほしいという要望を受けて包装機を共同開発したり、値札もできないかと言われて電子棚札にチャレンジしたり。工場でも、重さをはかって袋詰めするところまで手がけたら、さらに「袋の中の異物を検査する装置もつくってほしい」といった具合です。ハカリメーカーですから、元来、包装も値札も検査もノウハウなどありません。「はかる」ことしかしていなかったのに、信頼関係ができると、その先や周辺の仕事まであれもこれもと任されて、結果的に、幅広い製品群をシステムで手がけるようになりました。面白いもので、ハカリ以外の案件が増えたのも、ハカリという製品の特殊性と無縁ではないでしょう。弁護士の方がつけるバッジの中央には天秤のマークが刻まれていますし、昔から「度量衡が乱れると世の中も乱れる」と言い伝えられるほど、ハ大きさや形状がばらばらの商品を一定量ごとにパッケージできる組み合わせ計量機情報を自由に表示できる電子棚札。病院の外来患者案内システムなどにも応用されるはかり売り総菜を瞬時に認識し商品管理を省力化できるAI画像認識システム「profumo」カリそのものに、正義や公正、厳格といった信頼に資するブランドイメージがありますからね。「ハカリを手がけてきたイシダなら、何を任せても安心」という信頼は何物にも代えがたい。それを裏切らないように、お客様の期待や要望に愚直に応え続けていかなければなりません。うたう当社が「ISHIDAMind」を謳だけでなく、現場への理念浸透に力を入れているのはそのためです。理念を現場に落とし込み意欲を高める社内表彰制度理念を言語化し、その内容を頭で16［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 17
![Page 17の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000017.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

特集理念がブランド力を高める理解したつもりでいても、実践にはなかなか結びつきません。そこで施策として導入したのが、当社独自の社内表彰制度です。「ISHIDAMind」を構成する理念・行動規範――「世の適社・適者」「異体同心」「三現主義」「Speed！Speed！Speed！」「智徳一体」「志、そして日々前進」の6つのカテゴリーそれぞれの賞を設け、各賞に最もふさわしく優れた行動をとった人を社員の投票にもとづいて表彰する仕組みを立ち上げました。これを「理念・行動規範優秀実践者表彰」と名づけ、半年に1回、全社を対象に実施しています。たとえば、「世の適社・適者」の実践については「チェンジ賞」。社会の情勢やニーズに応じて業務プロセスの改善に取り組むなど、何かしらのイノベーションにつながる行動を讃える賞で、最近だと生成AIを仕事にうまく活用した人に投票するとか、そういうイメージですね。行ひも動規範の「異体同心」に紐づく「コミュニケーション賞」では、日頃からコミュニケーションや声かけに努めている人を、また「志、そして日々前進」を体現する「成長賞」なら、去年と比べて顕著な成長がみられる人を対象にします。実際の進め方としては、まず各部門が企業理念・行動規範に照らして、部門ごとの行動指針と目標を策定し公表、社員にはそれに沿った活動が推奨されます。それぞれの業務に応じた、より具体的な指針と目標が示されることで、理念・行動規範が自然と現場に落とし込まれる仕組みになっているわけです。その後、社員全員が360度評価に近いかたちで投票を行ない、その結果を受けて各賞7、8人程度を決定、全員朝礼の場で表彰します。受賞者には賞金と記念盾、それに私からのお礼の手紙を添えて贈っています。加えて、投票者のコメントを全員にフィードバックします。なぜ投票したのか、どんな行動をいいと思ったのかという称賛のメッセージですね。投票してもらった人は、嬉しく思い、さらに頑張ろうと励みになるようです。仲間をきちんと認めて讃えるためには、また仲間からも認められて感謝されるためには、人と広く深くかかわり合い、互いの行動に関心を持ち合う――まさに「異体同心」のコミュニケーションを実践しなければなりません。表彰制度を導入したことで、仲間同士が認め合う「いい文化」「いいサイクル」が根づきつつあると同時に、以前よりも社員が理念・行動規範を考え、意識して行動する機会が確実に増えたと、私はみています。理念浸透に特化した研修などは行なっていませんが、やはり「三現主義」を掲げる以上、実践の中で身につけないと。座学だけでは真の成果につながらないでしょう。世界120カ国超で評価される技術と「三方良し」の精神当社は現在、世界100カ国以上で事業を展開しています。そこでよく質問されるのが、「企業理念は外国人にも伝わるのか、理解されるのか」――。現地スタッフ向けに英語や中国語のバージョンも用意されていて、たとえば「三方良し」は英語圏だと「スリーウェイハーモニー」という表現で理解してくれているようです。イギリスでの様子は、日本のテレビ番組でも取り上げられました。お客様だけでなく、社員を大切にし、地域社会にも貢献するというのは、いわゆる「ステークホルダー経営」にも通じる考え方ですから、現地の人にも受け入れやすいのでしょう。「ISHIDAMind」をつくった当初、私がグループ会社にもすべて足を運んで、みずから説明して回ったのですが、思った以上に好反応で「三方良し」などは海外でもすすんで使っていますよ。先日来社された中国のお客様にも、「三方良し」の精神を表したブロンズ像を見せて、その意味を説明すると、すごく感心してくださって。やはり世界共通の普遍的な価値観なのだと、意を強くしました。おかげさまで当社は、食にかかわる計量・検査・包装システム業界では国内1位、世界で2位のシェアを占め、特にイシダの代名詞ともいえる組み合わせ計量機は、アジア、欧米、アフリカなど120カ国以上で圧倒的なシェアを誇っています。先のコロナ禍にあっては、より安全・安心な食品管理への意識が高まる中で、正確かつ衛生的で、省人化にも貢献できるイシダの技術が高く評価されました。今後も、AIなどの技術革新や人手不足、グローバル競争の激化など様々な変化が予想されますが、いつ、いかなる環境においても、われわれは「世の適社・適者」であり続けるのみ。業界や国境を越えて、イシダブランドをさらに浸透させていく道筋を照らすものは、理念の光以外にないのですから。L［実践］理念経営Labo2024WINTER17

## Page 18
![Page 18の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000018.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

Interviewマーケティングに頼らず“思い”と“信用”を追求する「年輪経営」で業界トップを行く伊那食品工業ならではのブランド論伊那食品工業株式会社代表取締役社長塚越英弘つかこし・ひでひろ＊1965年生まれ。’90年、日本大学農獣医学部卒業後、自動機械装置メーカーに入社。’97年、伊那食品工業に入社。専務取締役、副社長を経て、2019年に代表取締役社長に就任。伊那食品工業株式会社本社：長野県伊那市／創業：1958年／事業内容：業務用・家庭用の寒天の製造販売および農業、清酒、園芸の各事業を行なう年々着実な成長を目指す「年輪経営」で48期連続増収増益を実現し、全国から経営者が数多く視察に訪れる長野県の寒天メーカー・伊那食品工業。築き上げた業務用・家庭用のブランドによって国内シェア8割を誇り、2023年には過去最高の売上を達成した。さぞや業界トップ企業ならではの卓越した販売戦略があるかと思いきや、本当に目を向けるべきはマーケットではなく、企業理念であると塚越英弘社長は語る。その真意をうかがった。取材・構成：塚田有香写真提供：伊那食品工業寒天をもっと身近に感じてもらいたい伊那食品工業は1958年の創業以来、寒天メーカーとして歩んできました。現在では寒天の国内シェアで約8割を占め、家庭用製品の「かんてんぱぱ」や業務用製品の「伊那寒天」の名も広く知られるようになったことから、「どのようにしてブランド力を高めてきたのか」と聞かれることも増えました。しかし弊社がシェア拡大やブランド力の向上を目指したことはありません。私たちが何より大事にしているのは、他でもない企業理念です。伊那食品工業の企業理念は、「いい会社をつくりましょう」です。「いい会社」とは、伊那食品工業で働く社員はもちろん、取引先や一般消費者、さらには地域の人々まで、弊社を取り巻くすべての人々をハッピーにする会社を意味します。企業理念は会社が目指す方向性であり、いつの時代も変わらぬ目的そのものです。当社が人々の幸せを追18［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 19
![Page 19の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000019.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

特集理念がブランド力を高める求し続けたからこそ、その結果として高いシェアやブランド力につながったのであって、会社の業績や競争力を高めること自体を目的化してはいけない。この考えは、私の父である塚越寛最高顧問が経営を担っていた頃から一貫して変わりません。企業理念を追求するため、伊那食品工業では50年以上にわたって、年々着実に成長を目指す「年輪経営」を実践しています。社員や取引先に無理をさせてまで急速な成長を目指すより、樹木が年輪を重ねるように、着実で永続的な安定成長を目指すほうが、より多くの人々を幸せにできる。最高顧問が辿り着いたこの考え方を私も受け継ぎ、社長として実践に励んでいます。伊那食品工業は業務用粉末寒天の製造から事業をスタートし、1960年代に入ると家庭用製品にも参入。1980年には、現在広く親しまれている「かんてんぱぱ」シリーズを発売しました。現在の売上構成は、業務用製品が約7割、家庭用製品が約3割です。業務用については、寒天を食品から医薬品まで幅広い用途で展開する「伊那寒天」、天然の多糖類を組み合わせた独自素材を提供する「イナゲル」、外食用食材の「イナショク」の3つのブランドが柱となっています。業務用から始まった当社が、家庭用に参入した理由は、「寒天をもっと身近に感じてもらいたい」との思いからでした。寒天は400年の歴史を持つ日本の伝統食材ですが、当時の用途は和菓子の製造に限られていました。寒天は海藻を原料とする安心・安全な食材であり、食物繊維が豊富でノンカロリーという特長があります。体にいい寒天を日常的に使っていただき、皆さんが健康な毎日を過ごすお手伝いができれば、人々を幸せにすることにつながる。そんな思いから、寒天を毎日の暮らしに手軽に取り入れる家庭用製品の開発に力を入れるようになりました。現在は「かんてんぱぱ」ブランドとして、材料を混ぜて固めるだけでプリンやゼリーをつくれる“デザートの素”から、ぞうすいやスープなどの食事もの、さらには寒天入りのお茶やカフェオレなどのドリンク類まで、多彩な商品を取り揃えています。最近では、雑穀米に粒状の寒天を加えた「ぱぱっと雑穀米」、生パスタのような食感が楽しめる「寒天パスタ」、フルーツやナッツに寒天シリアルを加えた「寒天グラノーラBAR」などの新商品を発売し、いずれも好評をいただいています。大手スーパーの誘いを断り「いい会社」の追求を貫くこれだけバラエティに富んだ商品が生まれるのは、商品開発の方針が「寒天を使っていて、かつ健康によくておいしいものなら何でもあり」だから。それ以外の限定条件はないので、社内から次々とアイデアが出てきます。よく驚かれるのですが、当社では新商品の企画開発にあたり、市場調査などのマーケティングは一切行ないません。「どんな商品がヒットす多彩なラインナップで、家庭で手軽に寒天を楽しめると好評の「かんてんぱぱ」シリーズるか」「この商品を発売したらどれくらい売れるか」といった売上の予測や検討すらしません。私たちが考えるのは、前述の通り「健康によくておいしいものをつくる」ということだけ。そして何がおいしいかを判断するのは自分たちです。「これなら自分も食べたい」「家族にも食べさせたい」と思えるものであればOKです。ですから当然、発売したものの、鳴かず飛ばずの商品もなかにはあります。だからといって、売れるかどうかを判断基準にしようとは思いません。自分たちが本当にいいと信じるものを世に出せば、同じ価値観や感性を持った人に思いが伝わります。万人受けはしなくても、「私もこんな商品が欲しかった」と共感してくださる一部の消費者に受け入れられれば、その人にとってなくてはならないものとして長く愛される商品になります。私はこれこそが「ブランド」の本質だと考えています。マーケティングにもとづいて企画開発すれば、たくさんの人に数多く売れる商品をつくることはできるかもしれません。でも、それはブランドではない。単［実践］理念経営Labo2024WINTER19

## Page 20
![Page 20の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000020.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

に多くの人に知られている商品というだけです。冒頭で申し上げたように、ブランド力は揺るがぬ企業理念があってこそ確立できるものです。「かんてんぱぱ」シリーズを発売したのは、一般の人たちに寒天を知ってもらうためでしたが、当時社長だった塚越最高顧問は大手スーパーマーケットには商品を卸しませんでした。なぜなら当時のスーパーは、安売りの代名詞的存在だったからです。自分たちが本当にいいと思うものをつくるには、一定のコストがかかります。ですが、スーパーの安売りに対応しようとすれば、どうしても品質を落とさざるをえない。それは当社の企業理念に反します。よって「かんてんぱぱ」は通販で直接お客様にお届けすることにし、小売店に卸す場合も、当社の理念に共感してくださる取引先のみとしました。これは今でも社内で語り継がれているエピソードですが、「かんてんぱぱ」シリーズの人気商品である「カップゼリー」の売れ行きが長野県内で伸び始めた頃、ある大手スーパーチェーンから「うちに卸して商品を全国展開しませんか」と話を持ちかけられたそうです。当時の伊那食品工業は、売上高が100億円に届かない田舎の中小企業。対する大手スーパーはカリスマ経営者が「価格破壊」で拡大路線をまいしん邁進していた全盛期で、売上高は1兆円に上る規模でした。もし当社が商品を卸していたら、「かんてんぱぱ」は一気に全国へ広がったでしょう。でも塚越最高顧問はこの話をきっぱりと断りました。「安売りを是とする御社とうちでは考え方が合わないので、一緒にはやりません」とはっきり伝えたのです。安さを追求すれば品質を保つことが困難になり、ひいては経営にも無理が生じてきます。目先の業績拡大に飛びついて、企業理念を失ってしまっては本末転倒です。「年輪経営」の着実な成長によって、人々を幸せにする「いい会社」であることを追求してきたからこその経営判断だったといえるでしょう。長く愛されるブランドというのはやはり、本当にいいものをつくりたいという思いを持ち続けた結果、生まれるものです。「かんてんぱぱ」をブランドとして評価してくださる方が多いのは、弊社がブランド化を目指したからではなく、「いい会社とはどうあるべきか」を常に考え、実践し続けた結果だと受け止めています。地元の魅力とともに思いや考え方を伝える現在は「かんてんぱぱ」のオンラインショップでの通販に加え、全国15カ所の直営店での販売にも力を入れています。自分たちでつくったものを自分たちで売れば、私たちの思いがより強くお客様に伝わるからです。通販用パンフレットも単なる商品紹介で終わらせず、当社の理念や思いを伝えるページを設けています。加えて最近は、新たに業務用製品の業務用製品パンフレット『INAValley』（右：表紙）。誌面では寒天製品の紹介にとどまらず、食やモノづくりへの思い、地元の魅力などを伝えるパンフレット制作も始めました。『INAValley（伊那バレー）』と題した雑誌のようなつくりの冊子で、こちらも製品の開発者がつくり手としての思いを語る企画などを掲載しています。さらには伊那食品工業が本社を置く長野県・伊那谷地域に関する記事も充実させています。たとえば、地元の蕎麦店を取材したり、日本酒やウイスキーなどの酒造りに取り組む人たちにインタビューして、食やモノづくりへの思いを紹介しています。これらの記事に弊社の商品や寒天はまったく登場しませんが、私たちと同様に「いいものをつくりたい」という思いを持つ人たちを紹介することで、当社の理念や考え方もしっかり伝わると考えています。またこのパンフレットを読んだ人が伊那谷に関心を持ってくだされば、私たちが本社敷地内で運営する施設「かんてんぱぱガーデン」への来訪につながるとの期待もあります。この施設は弊社の企業理念を具現化したもので、豊かな自然の中にレストランや喫茶、「かんてんぱぱ」のショップ、身体や食生活について楽しく学べる「健康パビリオン」な20［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 21
![Page 21の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000021.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

特集理念がブランド力を高めるどがあり、来訪者に私たちの思いや価値観を体感していただける空間となっています。2022年3月には、「おいしい出会いのある食のセレクトショップ」をコンセプトとした「モンテリイナ」をオープンしました。これは全国各地から厳選した特産品やデザインプロダクトを揃えたショップです。地方では扱う店が少ないこだわりの逸品を揃え、「ここにしかないもの」と出会える場を提供することで、地域の皆様に貢献したいと考えています。今では地域の人たちだけでなく、関東や東海など遠方からのお客様も増えています。毎年この場所で開催している「かんてんぱぱ祭」は、コロナ禍のため休止していましたが、2023年6月に4年ぶりに開催し、コにぎロナ前を上回る人出で大賑わいとなりました。築き上げてきた信用がブランドにつながるもちろん自社の社員の幸せを追求することも忘れていません。というより、すべての人々の幸せを追求するには、まず会社にとって“大事な家族”である社員が幸せを感じられることが、最も重要だと考えています。社員が幸せになるには、生活の安定が不可欠です。弊社は業績にかかわらず、社員の基本給を毎年2％ずさっこんつ上げていますが、昨今の急激な物価高を受けて、今年度は各種手当も増額しました。会社が社員のためにお金をたくさん使えば、社員の生活が豊かになるだけでなく、社員も自然に「自分たちのために使ってもらった分は頑張って働こう」という意識になります。会社が指示や命令をして仕事をさせるのではなく、社員が意欲を持って自発的に取り組むほうが楽しく働けるので、やはり本人の幸せにつながります。また組織の中で幸せを感じるには、人とのつながりやコミュニケーションが重要との思いから、社員旅行が毎年の恒例行事になっています。こちらもコロナ禍では中止せざるをえませんでしたが、2023年から復活させました。社員旅行や懇親会などの社内イベントができなかっ年間は、社内の雰囲気がなんとなく停滞気味に感じることもあったものの、久しぶりの社員旅行から帰ってきた社員たちが「ものすごく楽しかったです！」と満面の笑顔を見せてくれたので安心しました。今後も引き続き経営者として、社員同士が活き活きとやりがいを持って働ける環境づくりに注力していきたいと考えています。私が社長に就任してから、もうす年が経とうとしています。経営者として大事にしているのは、塚越最高顧問が築き上げた理念をずっと変えずに受け継いでいくこと。最高顧問が「いい会社をつくりましょう」という社是を定めたのは、40年以上前です。これだけ長きにわたり、変わることなく積み上げてきた思いや考え方、そしてその実現に向けて続けてきた取り組みは、なかなか他に真似することのできない、何よりも信用に値するものだと思います。それを人々は「ブランド」と呼ぶのかもしれません。現在の伊那食品工業は社員数が増え、規模も拡大しつつあります。それでも会社のあるべき姿を変えることなく、人々の幸せを追求し続ける。この大きなチャレンジを今後も続けていくことが私の使命です。L2023年6月に4年ぶりに開催され、大賑わいとなった「かんてんぱぱ祭」「モンテリイナ」のマルシェには、全国各地からの厳選された特産品やデザインプロダクトが揃う［実践］理念経営Labo2024WINTER21

## Page 22
![Page 22の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000022.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

Report｢暮らすがえ｣を理念に掲げつっぱり棒の可能性に挑む画期的なアイデアで｢私らしさ｣を創造するパイオニア平安伸銅工業株式会社代表取締役竹内香予子たけうち・かよこ＊1982年、兵庫県生まれ。大学卒業後、産経新聞社に入社。新聞記者として警察・行政の取材を担当する。2009年に同社を退職し、’10年に父親が経営する平安伸銅工業に入社。’15年、3代目社長に就任。’19年、つっぱり棒の企画開発で培ったノウハウを生かして「つっぱり棒研究所」を設立。’21年、関西財界セミナー賞2021「輝く女性賞」を受賞。現在は「つっぱり棒博士」として多数のメディアにも出演。整理収納アドバイザー。平安伸銅工業株式会社本社：大阪府大阪市／創業：1952年／事業内容：家庭日用品の企画開発、ウェブメディア運営今や多くの家庭で利用されている便利グッズ「つっぱり棒」を、収納用品として全国に普及させた平安伸銅工業。近年では、人気DIYパーツ「LABRICO（ラブリコ）」や、つっぱりポール「DRAWALINE（ドローアライン）」など、つっぱり棒の特性を生かしつつも、これまでにない画期的なアイデアによる商品ブランドの開発にも力を入れている。「アイデアと技術で『私らしい暮らし』を世界へ」をビジョンに掲げる同社では、ブランド力向上のためにどのような取り組みをしているのか。3代目社長・竹内香予子氏に話を聞いた。取材・文：長尾梓写真提供：平安伸銅工業SNSでDIY女子に大人気！簡単でおしゃれな収納実現「お父さんの日曜大工」のイメージが強かったDIYが、10年ほど前から女性を中心とした一大ブームとなり、「DIY女子」という言葉も耳にするようになった。100円均一ショップやホームセンターにはDIYコーナーが広く設けられ、そこで売られる様々なパーツを組み合わせてつくった家具や収納方法を紹介する投稿が、SNS上にあふれている。さらにコロナ禍での外出自粛や在宅勤務の普及により、住環境をよくしたいと考える人が増えたことで、YouTubeを中心に、自身の部屋を公開するルームツアー動画や片付け動画の人気が高まり、DIYブーム22［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 23
![Page 23の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000023.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

特集理念がブランド力を高めるが一段と広まった。そうした投稿の中に必ずといっていいほど登場するのが「つっぱり棒」である。物を引っかけるだけでなく、ワイヤーネットや板と組み合わせて棚にしたり、引き出しの中の仕切りとして活用するなど、その用途は幅広い。そんなつっぱり棒ブームを牽引してきたのが平安伸銅工業だ。2016年にDIYパーツブランド「LABRICO（ラブリコ）」、2017年にクリエイティブユニットとのコラボブランド「DRAWALINE（ドローアライン）」をリリースすると、DIY女子を中心に人気となる。ラブリコは、市販の板材に取り付けて上下につっぱることで簡単に柱を設置できるパーツのブランド。その柱を利用すれば壁に穴を開けずとも壁面収納を実現できることから、賃貸住宅や収納の少ないワンルームでもDIYが楽しめると評判だ。一方のドローアラインは、上下に伸びた1本のポールに飾り棚などを取り付けられる商品で、スタイリッシュな外観から、おしゃれに敏感な層からも注目を集めている。どちらも、従来のつっぱり棒の特性を生かしつつも、これまでの「目立たないところで使う便利グッズ」のイメージを覆し、それ自体が主役となって「見せる収納」を実現する画期的な商品ブランドだ。平安伸銅代目、竹内香予子社長はこう語る。「私が新聞社を退職して家庭日用品業界に入ったとき、全体的に、情緒的な価値に対する取り組みが弱いと感じました。結婚して家庭を持ち、住まいづくりに興味を持ち始めた私自身を1つの顧客ペルソナだとつっぱり棒の技術を活用したDIYパーツ・ラブリコ。板材と組み合わせることで空間収納を生み出すとらえてみると、自分の会社、ひいては業界全体が、私の購買意欲を掻き立てるような商品をつくっていない、と思ったんです。これはおかしい！私と同世代の人たちも同じように感じているに違いない！だったら、暮らしにもっと彩りや自分らしさといった情緒的な価値を加えられる商品を標準化すべきではないか。そんなところから生まれたのが、ラブリコやドローアラインでした」なかでもラブリコは、竹内社長自身がトレンドの芽を見つけ、育てていったブランド。10年ほど前、暮らしにまつわるトレンド調査からはやDIYが流行り始めているという情報を得た竹内社長は、専門小売店が主催するDIYのワークショップに参加した。ところが、実際にやってみると難易度が高い。「じゃあ、もっと簡単にできるDIY用品が必要じゃないか？」と疑問に思ったのがラブリコ誕生のきっかけになったという。竹内社長はこのように、常にトレンドに対するアンテナを張り、「これは！」と思うものがあればみずから足を運んで情報を集め、商品開発に取り組んできた。このあたりに新聞記者の経験が生きている。便利グッズのつっぱり棒をインテリアとして再定義したドローアライン課題山積の中で社長就任共通指標を理念に求める竹内社長によれば、つっぱり棒は意外な経緯で生まれたという。「もともとシャワーカーテンを吊るす道具として海外で普及していたものを、祖父が1975年に収納用品として発売し始めました。そこから徐々にバリエーションを増やし、国内で市場を広げていったのです」同社はつっぱり棒の発売を機に、それまでのアルミサッシ事業から日用品事業に転換した。アルミサッシとつっぱり棒、一見結びつかないように思えるが、どういう意図があったのか。竹内社長は「祖父の代の話なので伝聞になるのですが……」と前置きしたうえで、次のように語ってくれた。「当社では創業以来一貫して、人々の暮らしを豊かにすることを事業の目的としています。1952年の創業当時は、戦後の住宅復興に貢献することで人々の暮らしを豊かにしようと、アルミサッシ事業を営んでいました。その後、雨風をしのぐ意味での住宅の課題は解決したものの、住宅の内側を心地よくすること［実践］理念経営Labo2024WINTER23

## Page 24
![Page 24の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000024.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

に関してはまだ不十分ではないかと気づいたんですね。そこで、都市化が進む中での手狭な住宅環境を改善するものとして、つっぱり棒を考案したのです」平安伸銅工業では「暮らしを豊かに」という創業時からの一貫した思いはあったが、それを経営理念として明文化したのは竹内社長の代になってからだという。新聞記者として活躍していた竹内社長が2010年に同社に入社したとき、デフレが続いて会社の経営が厳しい状態だった。それに加え、昭和の時代から変わらない組織体制、仕事の属人化、チーム間での交流の欠如といった課題も山積。時代に合った一般的な組織の姿にしていくことを決意する中、社長就任前年の2014年には夫かずひろである一紘氏も県庁を退職し、常務取締役として経営に深く携わるようになった。「職務規定や報酬体系を整備し、指示命令系統を明確にするという、今思うと当たり前のところから再スタートしました。それが整ってきたら、新たなブランド開発に取り組みました。つっぱり棒とは異なる販路ができて顧客対象も変化し、それに付随して社内にも新しい機能、新しつっぱり棒を活用したクローゼット。子供の成長に合わせてつっぱり棒の位置を柔軟に変えることができるい部署が生まれました。その結果、従来とは違う役割が次々と増え、2代目である父の代からの仲間と、私の代から新たに加わってくれた仲間、世代や価値観の異なる者同士でともに同じ方向を向いて進んでいくということが難しくなってきたのです。共通のゴールをイメージするための指標が必要だと気づき、理念を言語化することにしました」ビジネスとカルチャーの両軸でビジョン実現を図る平安伸銅工業は2018年にビジョン「アイデアと技術で『私らしい暮らし』を世界へ」を定め、あわせて9つの「ヘイアンバリュー」（価値観）を策定した。しかし、それらを社内に浸透させようとする中で、このビジョン実現のために、具体的に何をすればいいのかがまだ明確になっていないことに気づく。ビジョンを実務に落とし込むにはビジネスモデルとカルチャーモデルの両軸を整備する必要があると感じた竹内社長は、2020年頃から中期経営計画を立てて社内に戦略を示すとともに、事業ドメインをはっきりさせるため、ミッション「『暮らすがえ』の文化を創る」を明示することにした。「私たちは『豊かな暮らし』を実現することを目的としているけれども、だからといって何でもやっていいわけじゃない。自分たちの事業の強みや市場の要望を掛け合わせて考えると、暮らしを柔軟に変化させていくための商品やサービスを提供することこそが、私たちの集中すべき領域なんだと、夫と議論することで見えてきました」「暮らしを柔軟に変化させる」ことを「暮らすがえ」と表現するところがユニークだ。「暮らすがえ」とはすなわち、ライフステージや気持ちの変化に応じて暮らしに手を加え、「私らしい暮らし」を実現することを意味する。リビングはこうあるべき、書斎はこうあるべき、といった固定観念にとらわれず、「在宅勤務が増えたからリビングをテレワークスペースに」など、フレキシブルな発想でより暮らしやすい環境を手に入れることだという。カスタマイズ性の高い商品を扱う平安伸銅工業ならではの発想だ。こうして整えたビジネスモデルとカルチャーモデルは、100ページほどもある「ヘイアンコンパス」にまとめて全員で共有。年度計画や来期の目標については毎年、各グループのリーダーとディスカッションを重ねながら更新している。また、ビジョン実現のための施策として、バリューを体現した人を表彰する制度やチームビルディングのためのワークショップ、経営陣が思いを発信する場づくりなど、様々な取り組みを実施。竹内社長もメディアプラットフォーム「note」に自身の考えを投稿している。その内容は仕事のことだけでなく、家事や育児、趣味といったプライベートな話も満載で、竹内社長の人となりがうかがい知れる。それは「あえて」そうしているとのこと。「公私を『分ける』よりも『統合する』方向で考えています。個人と会社のありたい姿の重なりを見つけることで、自分自身の価値観を理解し、平安伸銅で働く意義を感じながら仕事をしてもらいたいからです。また、会社の経営を担う私自身の24［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 25
![Page 25の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000025.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

特集理念がブランド力を高める考えや大切にしていることが、多かれ少なかれ組織の方向性に反映されやすいと思うので、私が何に悩み、どういうことを望んでいるのかをさらけ出すことで、社員にも会社の目指す姿をイメージしてもらいやすくなればと考えています」そんな思いを込めて発信するnoteも、万人に響くとは考えていないという。人それぞれ思考における“解像度”が上がる方法は異なり、論理的な文章が響く人もいれば、視覚的要素の強いものが印象に残る人、人間くさいエピソードを交えたほうが理解しやすい人もいる。だからこそ、ヘイアンコンパスや表彰制度、ワークショップなど多方面から社員を刺激し、理念浸透を試みているとのことである。選ばれるブランドになり「暮らすがえ」を促進竹内社長は、プロとして収納術などの家事スキルを紹介しているカリスマ主婦たちが婦人誌やメディアの公式ブログで自社のつっぱり棒を紹介してくれていることを知り、話を聞こうと、彼女たちの多くが持っている「整理収納アドバイザー」の資格を取得。「メーカーの人間だと名乗って聞くよりも、整理収納のことをしっかり学んだうえで『仲間』としてコミュニティに入っていったほうが、より深く情報を得られるのではないか」と考えたというのだ。このようなやり方は、行動力とコミュニケーションスキルに秀でた竹内社長だからこそできることであって、誰にでも同じようにできるとはいわ限らない。竹内社長曰く、「だから再現性が低いんです。どの社員であっても顧客理解を深め、開発のヒントを得られるよう、仕組みとして整えていきたいというのが今の課題で、いろいろと試行錯誤しています」。その仕組みづくりの一環として、資格を取るための補助制度や社内研修を実施。また、メンバーの主体性、自律性を育てるべく、先述のような理念浸透を促進する工夫もしている。「挑戦・冒険する人を応援します」というメッセージを掲げ、そのための人事制度も整えつつあるそうだ。正しいつっぱり棒の使い方を教える竹内社長扮する「ツッパリ嬢」（左、2019年）や、賃貸住宅の収納の悩みを解決する特撮ムービー「暗黒帝国アジャスター」（右、2023年）など、近年はユニークなプロモーションにも力を入れている組織体制の面では、ブランドチーム制度を導入し、全部門横断で、ブランドごとに横軸でチームを組成し、企画開発から製造、営業、プロモーションまでを一気通貫で設計することにも取り組み始めた。各ブランドにはブランドパーパスを設けてチームで共有し、ブランド力の強化を図っている。さらに数年前にはカスタマーサクセスグループが発足。ユーザーに対して商品認知や購買意欲を高めるような働きかけをするチームと、ユーザーの悩みを解決するチームの2部門をつくった。竹内社長は言う。「物をつくるだけではお客様の満足を十分に得られなかったり、真の課題解決に結びつかないことを実感しているので、コミュニケーションをよりきめ細やかにすることが、お客様に選ばれ、『平安の商品っていいよね』と思っていただける、重要な差別化要因になるととらえています。そこに今、力を入れています」理想は、キユーピーのマヨネーズや日清食品のカップヌードルのように、たとえコモディティ化しても「やっぱりこれがいい」と、店側やユーザーに選んでもらえるようなポジションをしっかりと確立できるぐらいのブランド力を築くことだという。「そのためには、製品の質を向上させることはもちろん、会社のユニークな文化も含めて総合的に応援してもらえる会社づくりを目指しています」と竹内社長。そのシナジー効果で「暮らすがえ」を体験する人を増やしていきたいと語る。そんな竹内社長にとって「つっぱり棒」とはどんな存在なのかを尋ねてみたところ、即答で「暮らしの相4棒です！」と返ってきた。それぞれの暮らしに寄り添い、その時々で、その人が一番求めている暮らしを実現させるアシストをしてくれる存在だという。5年後、10年後、人々がどのように「暮らすがえ」をしているのか、とても楽しみである。L［実践］理念経営Labo2024WINTER25

## Page 26
![Page 26の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000026.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

【志の実践】認知科学の応用で販売営業を革新するアートと最先端のITを融合させ新しいビジネスに導くシンクタンク株式会社青山プランニングアーツ取締役COO尾中俊之おなか・としゆき＊1989年9月生まれ。法政大学大学院デザイン工学研究科修士課程卒。2014年にソフトバンク・テクノロジー（現SBテクノロジー）入社、’17年6月、青山プランニングアーツに入社する。システムマネージャー、統括マネージャーを経て、’20年に取締役COOに就任。「松下幸之助経営塾」第22期卒塾。株式会社青山プランニングアーツ本社：東京都港区／設立：1993年／事業内容：認知科学を応用したコンテンツ企画・制作など映像という総合芸術（アート）と最先端のテクノロジー（コンピューティング）を融合し、さらに認知科学（サイエンス）をかけ合わせることで誕生した、画期的な営業支援ツール「ザ・ワールドヴィジョン」。このツールは、販売営業において、商品をわかりやすく紹介するだけでなく、顧客の脳に働きかけて、よりよい選択を促すと評判だ。導入した企業は、営業の効率化と高い顧客満足度によって、売上を伸ばしている。開発を手がけた青山プランニングアーツの取締役COOを務める尾中俊之氏に、その経緯やこれからのビジョンについて語っていただいた。取材・構成：時政和輝写真提供：青山プランニングアーツ脳医学の権威と共同で営業支援ツールを開発たくさんの車種の中から、自分の好みに合ったクルマを選ぶのに、苦労した経験はないでしょうか。大きい買い物だからこそ、しっかり納得して決めたいものです。私たちが開発した「ザ・ワールドヴィジョン」という映像ツールを使えば、クルマの走っている様子や評論家による詳しい解説、購入いただいたお客様の26［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 27
![Page 27の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000027.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

声など、多方面の情報をわかりやすく理解することができます。この映像ツールは、営業支援のために共同開発したものです。一般的には、営業スタッフは紙カタログを片手にクルマのことを1から10まで説明することが求められますが、このツールを使えば、スタッフが側について対応する必要がありません。また、お客様の不明な点や詳しく聞きたい点だけに絞って説明することで、お客様にとっても十分納得した買い物ができます。ここまで話を聞くと、映像コンテンツのメーカーだと思う方もおられるのではないでしょうか。実は、わが社は経営者の悩みを解決するコンサルタント業であり、さらには、まだ世の中にないものを研究開発する「新しいシンクタンク」を謳うたっています。ミッションは、「BringInnovationForever～永遠に革新をもたらす～」。社会を革新するようなプラットフォームの創造に尽力しています。「ザ・ワールドヴィジョン」の誕生は、2011年にトヨタのあるディーラーからきた依頼がきっかけでした。接客する営業スタッフによって、お客様の満足度にばらつきが出てしまうというご相談でした。お客様にとっては、そのときの担当スタッフによって買うか買わないかの判断が左右されてしまうことがあります。どうしたら質の高い安定したサービスを提供することができるか、頭を悩ませておられました。接客で差が出るのは、お客様ご来店時の初動の2点にあります。お客様の要望や課題を引き出し把握する「ザ・ワールドヴィジョン」は認知科学にもとづき分割画面で表現されている。右は分割画面の視聴時に脳がどのように反応するか実証実験する様子こと、そして、要望に合った商品を紹介し十分に理解いただくことです。私たちは、このお客様ご来店時から商談に入るまでをカスタマージャーニー（顧客が製品やサービスと出合い、購入や契約に至るまでの道筋）と位置づけて、お客様の満足度を高めるしかけを提案しました。その過程で新しく開発したツールが「ザ・ワールドヴィジョン」です。最初は、トップ級の成果を上げている営業スタッフの解説動画を、映像コンテンツにすることを検討しました。実証試験と議論を重ねていくうちに、その内容がお客様の記憶に残らないと意味がないという意見をいただき、この問題を解決しようと、認知科学の分野に足を踏み入れみちやすます。脳医学界で権威ある鈴木倫保先生（山口大学医学部教授）に協力を依頼し、共同研究がスタートしました。日本認知科学会によると、「認知科学（cognitivescience）とは、情報処理という観点から、生体（特に人）の知の働きや性質を理解する学問」と定義されています。1950年頃に全盛だった行動主義心理学に対抗するかたちで形成された比較的新しい学問です。映像制作の過程において、どのように視聴覚に働きかければ人の脳が活性化するのか実証実験を重ねて、定量的かつ定性的に分析しました。導入販売店が最高益に「顧客主体」で効果を発揮「ザ・ワールドヴィジョン」は、そんな学問的研究を重ねた末に生まれました。この映像ツールを用いることで、お客様の前頭葉が活性化されて集中力が増し、記憶力が高まります。紙カタログの閲覧に比べると、最低でも7倍の効果があるという研究結果も出ています。さらに、お客様の操作記録をビッグデータに蓄積し解析する機能も備えています。お客様の興味や関心をリアルタイムで解析することによって、営業戦略を組み立てることが可能です。その点で、従来の接客方法から変化が生まれています。つまり、営業スタッフが積極的にアピールして売る「売り込み型」営業から、お客様の関心に寄り添った「顧客主体」の営業に変わりました。後者においては、お客様の動向を観察し、ニーズを的確に吸い上げる力が重要です。そこで、お客様の興味・関心を引き出し、「ザ・ワールドヴィジョン」を効果的に活用するためのオペレーション・プランニングを提案し、商品導入の研修も行なっています。導入いただいた自動車販売店からは、「お客様にクルマの複雑な機能までもすんなり理解してもらえた」［実践］理念経営Labo2024WINTER27

## Page 28
![Page 28の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000028.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

「社員のトークスキルが課題だったが、『ザ・ワールドヴィジョン』が味方につき、自信を持って接客ができるようになった」「『ザ・ワールドヴィジョン』を見たお客様から『これはどういうこと？』と質問が出てくるので、会話の掴みが得やすい」といった声がたくさん届いています。最初はトヨペット販売店の数社からスタートしました。導入してからどの販売店もCS（顧客満足度）が向上したことで評判を呼び、3年後にはトヨペットの販売店で約40社、その後、トヨタ系ディーラーの全チャネルに広まり、約60社に導入いただいています。新たに社員研修を設計行動変容を促すと評判にわが社にとっても、「ザ・ワールドヴィジョン」の開発は、事業の安定と業容の拡大に大きく貢献しています。「ザ・ワールドヴィジョン」のノウハウを応用して、複数のサービスが生まれました。その1つが、ビジュアル面を強化した「ザ・サイバーヴィジョン」。オンラインや駅構内サイネージ、野外サイネージなどの広告宣伝を想定した、7秒または15秒の短い動画の制作です。たとえば、新しいクルマが発売されたとしたら、どの販売店で売っているかという認知を広げ、お客様へ効果的にインプットすることができます。人間の脳の構造上、説明を理解するときに出る脳波と、「これは何だろう？」と疑問に思うときに出る脳波は異なるのですが、後者の脳波が出やすいように映像をつくり込んでいます。また、意識や行動の変容を促すセミナー「ザ・ワールドヴィジョンカフェ」も開発しました。個々の社員の目標を可視化して、成功に導き、人生を豊かにする方法を体感してもらう研修です。講師による「講義」と、特定のテーマについて書き出す「ワーク」、それを参加者同士で話し合って共有する「シェア」の3つを10セットほど、スピーディーに回します。その中で、自分自身がどう生きたいか、ビジョンを文字に起こしてお互いに思いを発表し合います。この研修設計は認知科学がベースにあって、効果的に脳を活性化させ、日々の仕事や仲間との関係性の意味を見出すことで、行動変容を促します。これまで4500名以上の方が受講しました。そのうち93％が研修に満足し、70%が「受講して駅構内（左）や野外（右）のサイネージで放映される「ザ・サイバーヴィジョン」。短時間の視聴でより認知を広げる効果が期待できる意識が変わった」と回答しています。このように、認知科学の持つポテンシャルは高く、また研究も進んでいるので、わが社の商品も日々進化し続けています。北京オリンピック誘致や民主党政権の樹立にも貢献わが社は、1993年に父の尾中謙文が創業しました。大手の広告代理店勤務を経て、経営コンサルタントとして独立したのです。創業時の父には、「映像という総合芸術（アート）と最先端のテクノロジー（コンピューティング）を融合させることで、世の中にないまったく新しいものを生み出し、感動と利便性を提供して世の中のお役に立ちたい」という強い思いがあったと聞いています。広告代理店時代に、父はCMやテレビ番組の企画制作など、映像関係の仕事に携わっていました。そして、創業した当時はパソコンやOSの普及拡大から、ソフトウェアによって様々な利便性が生まれる予感があり、映像とテクノロジーをかけ合わせることで、物心ともに世の中を豊かにするツールが創造できる、という確信があったのでしょう。その父の思いは、今に引き継がれています。父は多くの業績を残してきました。わが社として節目になったのが、2000年に映像と統計学を駆使して開発した世界初のJavaネットワークシステムです。このシステムを利用して、200の島々からなるパラオ共和国の全家庭に対し、光ファイバーを利用した、世界初となる遠隔治療実験を行ないました。また、北京オリンピック2008の誘致に際しては、わが社が開発したプレゼンテーションツールが採択されて貢献しました。さらに、2003年に日本初となる政党マニフェストを企画制作するとともに、衆院選では当時の28［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 29
![Page 29の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000029.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

認知科学の応用で販売営業を革新する民主党がマニフェストなどをホームページに掲げるにあたり、わが社が動画を使って配信するシステム「D-Vision」を開発して、民主党政権の樹立にも一役買っています。父は研究開発の他にも、2006年にネット動画配信サイト「社長TV」をプロデュースし、社長や科学者、アーティストなど約200人にインタビューした映像を制作したり、2009年にダライ・ラマ法王14世と科学者が対話する「地球の未来への対話」にてモデレーターを担当したりと、幅広く活動してきました。その後、「ザ・ワールドヴィジョン」の開発に乗り出すことになったのです。技術者から経営者へ理念や人材の大切さを知る一方、私は大学では情報サイエンスを専攻し、集中豪雨のメカニズムを研究していました。豪雨を人工的に抑制するうえで、どのように豪雨が発生するのか、スーパーコンピューターでシミュレーションします。その頃から、プログラミングやITに興味があって、大学院卒業後は、SBテクノロジーに入社し、SIer（システム開発や運用を行なう）業務に従事していました。当時はその仕事が面白くて、父の会社を継ぐ気持ちはありませんでした。しかし、2016年に父から「トヨタのディーラー向けに、『ザ・ワールドヴィジョン』を広く展開していきたいので、協力してほしい」と話があって、入社を決めます。父はどちらかといえば、アーティストタイプで学究肌ということもあり、マネジメントのほうは実質、私が受け持つようになりました。ただ、経営は初めてのことで、技術進歩や流行の変化が早い今の時代に、いかに適応し社会に価値を提供し続けられるか、またそのための人材をどのように育成するか、課題を感じていました。そうした中、PHP研究所が主催する「松下幸之助経営塾」を、当時お付き合いのあったネッツトヨタ群馬の元社長から紹介していただきました。塾では最初、松下幸之助さんが最も重視した「経営理念の確立」について学びます。「事業経営においては、たとえば技術力も大事、販売力も大事、資金力も大事、また人も大事といったように大切なものは個々にはいろいろあるが、いちばん根本になるのは、正しい経営理念である」（『実践経営哲学』PHP研究所）と、松下幸之助さんは喝破しておられます。経営理念の大切さについては知っているつもりでしたが、父の創業理念を頭で理解しているだけで、自分自身が本気で考えたことはありませんでした。そこで、みずからが経営者として新しい経営理念を考えているところです。塾での学びから、人材育成の方針として、社員に求める3つのことを掲げました。①当事者意識を高める：担当する仕事に対して、経営者の意識を持って事象に取り組む。②お客様へのフォロー向上を意識する：自社製品を納入した後、フォローは「やりすぎる」ぐらいまで意識する。③自身の技術力向上を意識する：現状に満足せず、自身の技術力向上を常に心がける。また、他社製品や他業界にも関心を持つ。全社員が集まる朝礼で話をしたり、社員一人ひとりとの面談で繰り返し対話を重ねたりして、この方針の徹底を図っています。まだまだ道半ばではありますが、方向性については迷いがないため、今後も継続していきたいと考えております。事業面の課題としては、単発のビジネスが多く、将来を見据えた事業戦略を構築できていませんでした。しかし、「ザ・ワールドヴィジョン」を開発したことで、トヨタ系以外の自動車販売店へ横展開し、継続性のあるビジネスモデルができつつあります。さらに、他業種にも広がってきました。たとえば、金融業においては、みずほ銀行の将来の人生設計を考えるシミュレーションツール「ライフデザイン・ナビゲーション」について、利用者の理解を深める映像コンテンツを制作しました。また、食品業では、韓国チキンの店をチェーン展開するチョアチキンからの依頼で、印象に残るCMをつくりました。これらは、既存事業の改善と新規事業の探究との両立を目指す、いわゆる「両利きの経営」における「知の深化」にあたり、開発した技術に改善を重ね、他業種にも応用できるように、標準化・システムの構築を進めています。一方、新たな事業への「知の探索」については、もともとわが社は得意としてきました。新しい企業とのコラボレーションやナレッジの蓄積によって新規商材を研究開発しています。変化のスピードが早い今の時代だからこそ、わが社はますます社会に変革をもたらすような画期的なシステムを発明、開発し、社会実装に取り組むことで、世の中に貢献していきたいと考えています。L［実践］理念経営Labo2024WINTER29

## Page 30
![Page 30の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000030.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

塾生通信日に新た「松下幸之助経営塾」の情報と、卒塾生の近況をお伝えします同志会、交流活性化へ「地域ブロック制」始動2023年10月20日、松下幸之助経営塾の卒塾生の集い「PHP松下幸之助経営塾同志会」の第23回が、新たに卒塾した第25期生を迎えて開かれました。会場は前年に続き、神田明神（東京都千代田区）。「地域から日本を変える」をテーマに、地方創生に焦点を当てたプログラムで進行しました。「同志会」の世話人会代表で、三宝電機（大阪府大阪市）の嘉納秀憲社長（第1期）による開会のごあいさつの後、PHP理念経営研究センター首席研究員の川上恒雄が、地域ブロック制の趣旨について説明しました。地域ブロック制の目的は、全国を6つのブロック――北から北海道・東北ブロック、関東・首都圏ブロック、中部・北陸・甲信越ブロック、関西ブロック、中国・四国ブロック、九州・沖縄ブロック――に分け、各ブロックで代表・副代表を1名ずつに担っていただき、期を越えた会員同士の学び合いの機会を増やして、地域交流の活性化を目指すことにあります。すずプログラムの前半は、錫100％製テーブルウェアやインテリア用品を手がける能作（富山県高岡市）の能作克治会長による「人と、地域と、能作」と題した特別講話。近年、同社は台湾に直営店をオープンするなど、グローバルに活動する一方、観光客や地元の子供たちに伝統産業を知ってもらう「産業観光」にも力を入れて、地方創生に貢献しています。能作会長がこだわる「しない」経営、つまり「営業をしない」「競争をしない」「目標をもたない」「強要をしない」経営について、具体的にどのように取り組んでいるのか、フロアから質問があり、「参考になった」「感銘を受けた」などの声が寄せられました。後半では、各地域ブロックの代表者が登壇し、地域交流のアイデアや展望について、パネルディスカッションを行ないました。フロアからも、「地域を越えて他ブロックとも交流したい」「卒塾生以外にも参加できる企画を考えてほしい」など様々な意見があり、地域ブロックの活動に期待が高まりました。1月に開催の新年会を皮切りとして、それぞれの特色を生かした活動が展開される予定です。感動を呼んだ経営塾の特別講話松下幸之助経営塾では、11月に第27期第2回を開催し、元キリンビール副社長の田村潤氏よる特別講話「『キリンビール高知支店の奇跡』と東洋思想」が行なわれました。キリンビールのシェア首位奪回を実現する話を通じて、社員の主体性をいかに引き出すか、塾生との議論で盛り上がりました。また、12月に第26期第5回を開催。ケアシューズを製造・販売する徳武産業（香川県さぬき市）会長のそごう十河孝男氏が「寄り添いの経営」をテーマに特別講話を行ないました。同社は歩くことが困難なお客様の悩みに向き合い、「あゆみシューズ」を開発。実話をもとに制作したムービーに、多くの塾生が涙しました。卒塾生が新聞取材を受け当塾をアピール同志会では能作克治会長（前列中央）の特別講話で盛り上がりました（撮影：永島寿）同志会の北海道・東北ブロック代表に就任したタクミホーム（青森県八戸市）社長の木村昌義氏（第1期）は、デーリー東北新聞社の取材を受けて、「ものすごい人脈とネットワークがあり、自分にとってプラ30［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 31
![Page 31の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000031.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

塾生通信日に新たスになったのが経営塾。代表に選ばれたことはありがたい」と喜びを語りました。また、地域ブロックの活動について、「同志会は異業種間の情報交流もできる場。ネットワークを生かして社会貢献にもつなげていきたい」と意気込みを述べました。珠玉の言葉の数々『私の人生を支えた信条』2023年12月、PHP研究所から『トップが綴る私の人生を支えた信条』を出版しました（右上の写真）。経営塾の卒塾生28名を含め、各界で活躍するトップリーダー122名の方々が、苦悩に直面したときに支えられた金言を、エピソードとともに、見開き2ページ分で綴っています。リーダーとしての信念を養う一助として、お役立てください。創業50年を迎え地元に感謝を届ける当銘美彦氏（第25期）が社長を務め、外壁の修繕塗装などを手がける当銘ペイント商会（沖縄県豊見城市）が、2024年に創業50年を迎えます。当銘氏は「父が創業した当社は、地域の皆様に支えられて、今日を迎えることができました。これからも、地域の皆様に感謝とお陰様のPHP研究所編定価：2,200円（10%税込）心で貢献していきます。そして、創業50年を節目に、地元の小・中学校と高校に『PHP』誌を贈呈することに決めました。本誌を手に取り、人生を明るく前向きに生きる生徒が1人でも多く増えることを願っています」と述べています。L経営者が“経営の志”を確立・再確認するための研修講座松下幸之助経営塾本セミナーの特徴松下幸之助の経営哲学を根本から学べる唯一の講座弊社で70年有余にわたり研究を重ねた“松下幸之助の経営哲学の真髄”を、経営者の皆様に分かりやすくお伝えするためのセミナー形式の講座です。人間観を養い高め、経営者としてのあり方を学ぶ本講座は、時代や環境の移り変わりの中で生まれる新しいマネジメント手法を学ぶものではありません。経営者のただ今、新規申込受付中詳しくはホームページで資料のご請求はホームページまたは下記窓口へお問い合わせください。https://www.php.co.jp/seminar/m-keieijuku/株式会社PHP研究所第二事業本部〈京都〉TEL075（681）1295FAX075（681）2656〈東京〉TEL03（3520）9631FAX03（3520）9648「志」をキーワードとして、松下幸之助が最も大切にした“経営理念の確立と浸透・共感”を実現すべく、その基となる自然・宇宙観や人間観等を学び、より本質的な“経営者としての器量”を養い高めていただく講座です。「志」の確立に向けた、充実の10カ月10カ月の在籍期間中に１泊２日のセミナーを全６回、隔月で開催。学びと実践、検証をくり返しながら成果を高めていただけます。また、１クラスは最大でも12名の少人数制で、受講者間の討議・交流による相互啓発など受講者お一人おひとりに充実した環境を提供いたします。プログラム第１回『志から理念へ～経営の使命～』第２回『本質を考える～自然の理法～』第３回『原理原則を貫く～基本の徹底～』第４回『人を育てる～事業は人なり～』第５回『経営を革新する～日に新た～』第６回『志を伝える～私の命知発見～』開催要領◦受講資格：経営者ご本人、後継経営者（経営幹部）◦募集人数：12名⃝開講期間：10カ月1開催1泊2日、全6回（隔月開催）⃝受講料：122万1000円（税込）⃝会場：株式会社PHP研究所京都本部（JR・近鉄「京都」駅八条口より徒歩５分）［実践］理念経営Labo2024WINTER31

## Page 32
![Page 32の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000032.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

道をひらく～私の流儀～笑顔と夢が広がる“最高の場所”をつくる専業主婦から経営者になり先進的な福祉事業に挑戦フジモトゆめグループ代表、隆生福祉会理事長藤本加代子ふじもと・かよこ＊大阪生まれ。大阪薬科大学卒業後、関西医科大学付属病院薬剤部勤務。結婚して19年間専業主婦をつとめるが、進学塾と眼科医院を経営する夫・藤本隆生氏が腎臓ガンにより急逝し、事業を引き継ぐ。CS（顧客満足度）とES（従業員満足度）を経営の両輪にして事業を拡大し、現在スタッフ750名を超えるフジモトゆめグループ代表。主な役職は、株式会社高等進学塾代表取締役、医療法人敬生会フジモト眼科会長、社会福祉法人隆生福祉会理事長、一般社団法人関西経済同友会幹事、元大阪府特別職報酬等審議会委員、一般社団法人生産技術振興協会理事、一般社団法人万博サクヤヒメ会議代表理事など。社会福祉法人隆生福祉会所在地：大阪府大阪市／設立：2000年／事業内容：介護福祉施設、保育園などの運営「こんな素敵なところで人生のグランドフィナーレを飾りたい」――そんな思いを抱かせるような高齢者向け施設を大阪・兵庫で多数運営し、教育・医療の分野でも上質なサービスを提供しているフジモトゆめグループ。代表を務める藤本加代子氏は、かつてはごく普通の専業主婦だった。だが、進学塾と眼科医院を経営していた夫のきゅうせい急逝によって一転。それらを引き継ぎ、経営者としての道を歩むこととなった。専門知識どころか、ビジネスについて何もわからない状態から、どのようにしてそれぞれの事業を発展に導くことができたのか。その道のりと経営に対する思いについて話をうかがった。取材・構成：佐々木賢治写真提供：隆生福祉会普通の専業主婦から一転進学塾と医院の経営者にビジネスの世界にいる方々は「ほうれんそう」とか「かりいれ」と聞くと、「報・連・相（報告・連絡・相談）」「借入れ」をすぐに思い浮かべることでしょう。でも、専業主婦なら、野菜のこととか芝の刈り入れのことを連想してしまいます。結婚後19年間、専業主婦をつとめてきた私が、大学受験専門の進学塾と眼科医院を経営していた夫の急逝によってそれらを引き継ぐことになったとき、ビジネスについてはそれほど何もわかっていない状態でした。とにかく、スタッフみんなの協力を仰ぐしかありません。でも、塾の講師は学生アルバイトですから、遠慮なく好き勝手言うんですね。「ご主人のように東大の入試問題も解けるように勉強してください」とか「どうせもう数年で潰れますよ」とか。そんな心ない言葉に傷つきました。まずはみんなと仲よくなって、人32［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 33
![Page 33の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000033.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

道をひらく～私の流儀～として信用してもらうことが第一歩と思い、授業後に学生講師と一緒に食事をすることにしました。すると次第に打ち解けてきて、学生講師の「こうしたら生徒がもっと集まる」との意見に、「じゃあ、それやりましょうよ」と意気投合するようになりましたね。当時、講師は100人以上いたので、校舎ごと順番に会食して信頼を深め合っていきました。一方の眼科医院では、まだ珍しかった白内障の日帰り手術も手がけていたので業務は大変でしたが、夫と同窓の大阪大学医学部眼科のドクターたちが応援してくれて、なんとか続けていくことができました。事業を引き継ぐ際、病床にあった夫から「2年分の社員の給与とボーナスを決めておくので、その間はこれまで通りの運営をするように」と言われていたので、それをしっかりと守りつつ、毎日休みなく働いて仕事を覚えていきました。眼科医院には足の不自由な患者様がたくさんおられたので、自分でクルマを運転して送迎サービスを始めました。すると、患者様は私を送迎スタッフだと思って気兼ねなく話され、「おたくはホンマにいい眼科や。至れり尽くせりや」と喜んでくださるのです。その言葉を聞いて、仕事がとても楽しくなり、やりがいを感じるようになりました。ただやはり、経営者として人の上に立つにはほど遠かったですね。たとえばミーティングでも、みんなの意見を聞いているとなんだか自分が責められているような気がして、もう本当に怖かったんです。普通、経営者だったら「こうしてください」とか命令口調で言ったりしますが、私はとてもそんなふうには言えませんので、「ちょっとお願いがあるんしたてです」と、いつも下手でした。みんなも私にどう接していいかわからず、困ったでしょうね（笑）。そんなあるとき、たまたま訪問先の会社で経理社員が社長にお金の取り扱いについて注意している様子を目にしました。社長は意外にも「ごめん、ごめん」と低姿勢で平謝り。その姿を見て、私の中の経営者のイメージが大きく変わりました。「経営者だからといって偉そうにしている必要はなくて、ありのままでいいんだ。間違ったことをしたら、きちんと謝ればいい。そんな私についてきてくれるスタッフと一緒に頑張っていこう」。そう考えると肩の力が抜けて、自分らしく振る舞えるようになったのです。それからというもの、みんな私にいつでも遠慮なく話しかけてくれるぐらい、親しい関係性になっていきよそました。他所から転職してきた人は、誰もが驚きます。やはり、みんなと素直な心で仲よくなることが経営の基本だと思います。仲よく一緒に仕事をしていると、スタッフはみんな自分の子供のように、かわいく思えてきます。企業経営も家庭と同じで、愛する近しい人のために何かを一生懸命してあげて、一緒に幸せになることが大切。それはスタッフに限らず、お客様に対しても同じです。このような考え方を、私は「母性の経営」と呼んでいます。“最高の場所”実現を使命に介護の世界に飛び込む事業を引き継ぐことになったとき、夫から「経営していくのが難しければ、いつでもやめていい」と言われていました。もちろん、最初はいろいろと大変でした。でも、みんなと仲よく頑張っているうちに、経営が段々と面白くなってきました。塾の生徒数も次第に増え、8年後ぐらいに約2000人になりました。現在はトップレベルの生徒が多数在籍し、東京大学や京都大学、国公立大学の医学部を目指す東京医進館と医進予備校MEDiCも運営しています。講師陣もユニークで教え上手な人材が揃っています。学生講師からそのまま就職してくれる人たちが出てきて、より充実した講師陣になりました。就職先として選んでくれたことには本当に感謝の気持ちでいっぱいですが、同時にこの塾を“最高の場所”にしなければという使命感も強くなりましたね。こうして経営者として経験を重ねていたあるときのことです。友人が特別養護老人ホームをつくったのでお祝いに行きました。するとそこにはご利用者の方が寝たままで入れるお風呂があって、衝撃を受けました。というのも子供の頃、寝たきりになった祖母をお風呂に入れてあげることができず、とても悲しい思いをしたからです。「こんなお風呂があったら、祖母はもう少し快適に過ごせただろうし、介護していた母も辛くなかったのに……」。そんな思いが大きくなって、「特別養護老人ホームをつくりたい」という新たな夢が芽生えました。早速、市役所に行って相談したところ、話はしっかり聞いてくださるけれども、それで終わり。何の音沙汰もありませんでした。ところが、2年ぐらい経った頃で［実践］理念経営Labo2024WINTER33

## Page 34
![Page 34の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000034.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

しょうか、大阪市が都島区でデイサービスの事業者を募集しているという話を耳にしました。その機を逃さず応募申請して社会福祉法人「隆生福祉会」を立ち上げ、2000年にデイサービスを開設することができたのです。当時ご利用者様に対して十分な接遇ができているデイサービスはほとんどなかったので、私どものスタッフにはきちんとした制服姿で、丁寧なおもてなしを心がけてもらいました。すると、それが好評で、とても人気の施設になりました。私自身も介護のことを勉強しましたが、いいスタッフと出会えたのが幸運でした。介護経験のある眼科医院のスタッフが人材を紹介してくれるなど、人の輪がどんどん広がっていきましたから、人とのご縁には恵まれていたんでしょうね。この成功を受けて3年後に、念願だった特別養護老人ホームを設立することができました。これらの施設の名称には、夢が叶ったことから「ゆめ都島」「ゆめあまみ」というように「ゆめ」の2文字を冠しました。ちなみに、「ゆめあまみ」の名の由来は、9世紀初めに創建されたあまみと伝わる「阿麻美許曾神社」の境内の中につくったからです。ご利用者の皆様には、この上なく神様に近いところに住めると喜んでいただけています（笑）。スタッフの笑顔が、ご利用者をよりいっそう笑顔にするこそ介護職の仕事の意義は、ご利用者様の人生のグランドフィナーレを一番素晴らしいものにすること、つまり、人生の終わりに“最高の幸せ”を感じていただくことです。マザー・テレサの言葉に、こんな名言がありますね。「人生のたとえ99％が不幸だとしても、最期の1％が幸せならば、その人の人生は幸せなものに変わる」今は「人生100年時代」ですが、99歳で私どもの施設に入られたとしても、幸せな1年間を過ごしてもらえれば、その方の人生は幸せなものになるでしょう。そのために優しいスタッフ、きれいなお部屋、おいしい食事を取り揃えた“最高の施設”を目指して取り組んできました。現在は25の事業を展開し、「ゆめ」の2文字を冠した施設を大阪・兵庫の各地で運営しています。フィンランドと学び合い“5K”の職場を実現隆生福祉会は、「5つの笑顔」を理念として掲げています。まず「ご利用者様」と「ご家族様」、そして「地域」の方々、「職員」を笑顔に。加えて、「法人」そのものも笑顔になるようにしないと、事業を続けていくことはできません。これらのバランスが大事だと思います。「5つの笑顔」を実現していくう明るくきれいな施設内の各所に絵や花が飾られる（特別養護老人ホーム「ゆめパラティース」）えで要となるのは、「職員」です。スタッフが幸せを感じて、いつも自然な笑顔で誰とでも接することができれば、他の4つの笑顔を引き出すことができるからです。そのため、どうすればスタッフが自分の仕事や職場に誇りを感じられるかを考え、様々な工夫をしてきました。まずは、わかりやすく見た目が大事。制服は作業着のイメージにならないよう、私たちの志を象徴するオリジナルデザインの「こころざしの花」をエレガントにあしらったものにしています。介護職の名称も、ご利用者様に付き添って笑顔のグランドフィナーレにご案内するという意味で、「エスコート」とカッコいい呼び名にしました。施設内も明るくきれいにして、絵や花で美しく飾っています。これはご利用者様だけでなく、スタッフのためでもあります。他から羨ましがられるほど素敵な職場で働ければ、仕事の誇りにつながります。こういった制服とかインテリアをいろいろと考えるところでは、専業主婦として培った経験やセンスを生かすことができて嬉しく思います。人生に無駄なことはないものですね。もちろん、スタッフの処遇面の向上にも努めています。給料は業界水準よりも高く引き上げていますし、若くして施設長などの要職に就くことも可能です。楽しい職場づくりも、いろいろな取り組みをしています。コロナ前によく話題になったのは、「ゆめガール」「ゆめボーイ」です。あるとき、男性エスコートが夜中に高齢女性のご利用者様からナースコールで呼ばれたことがありました。「どうされましたか？」と尋ね34［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 35
![Page 35の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000035.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

ご利用者の夢だった挙式を実現世界各国の福祉関係者と交流の輪が広がる（前列中央が藤本氏）仲よく「こころざしの花」の制服でお揃いの「テレノイド」とスタッフると、ご利用者様がおっしゃったのは「あなたに会いたかったの」。それはもう、アイドルに会いたいファンの気持ちと同じですよね。ちょうどAKB48が「会いに行けるアイドル」として売り出し中でしたが、こちらは「会いに来てくれるアイドル」です（笑）。スタッフでアイドルグループを結成し、施設内のイベントの際に歌やダンスを披露してみるとなかなか好評で、介護福祉士会の集まりに呼ばれたりもしました。最近は「夢を叶えるプロジェクト」と題して、様々なイベントを行なっています。たとえば、結婚したときに式を挙げていなかったご利用者様のために挙式を企画したり、服飾デザインの経験がある方のためにファッションショーを開いたり、フラダンスを習っていた方にはリビングルームをハワイ風に仕立ててみんなで踊ったり。こういった取り組みでご利用者様に喜んでいただければ、スタッフ自身も嬉しくなり、やりがいを実感できます。モチベーションが上がって、ご利用者様のためにもっと何かしてあげたいと、喜びの好循環が生まれるのです。また、“最高の福祉”を目指して海外交流にも力を入れています。きっかけは、週刊誌の記事に「北欧に比べて、日本の介護は3Kだ。きつい、汚い、給料が安い」と載っていたことです。とてもショックでしたが、「北欧の介護がそんなに優れているのなら、実際に行って学びたい」と思い、2009年にスタッフ6名とフィンランドやスウェーデンの介護施設へ視察に行きました。そこから、フィンランドの国家教育委員会が承認した視察団との交流が始まりました。現在はスタッフの交換研修を年2回行ない、お互いの福祉を学び合っています。13年間でこちらから延べ115名が学びに行き、フィンランドのスタッフ延べ169名を受け入れました。フィンランドでは私どもの介護が「高齢者を敬い、楽しませ、ホスピタリティに溢れる」と高く評価され、なんと国立専門学校の教科書に採用されました。今では“3K”どころか、「きれい、カッコいい、給料が高い、健康になる、感謝される」の“5K”です。アンドロイドの活用で記憶や笑顔が甦る海外交流以外に、もう一つ力を入れていることがあります。それは、従来通りの介護ではなく、“最先端”を取り入れ、介護の仕事をもっとカッコいいものに変えていくこと。具体的にいうと、介護ロボットの導入です。私どもの施設では、アンドロイド研究の第一人者である大阪大学大学院の石黒浩教授やATR（国際電気通信基礎技術研究所）の研究にご協力して、介護ロボットの実証実験を行なっています。たとえば、「テレノイド」という遠隔操作型のアンドロイドでご利用者様と対話をすると、お忘れになっていた昔のことを思い出して話されたり、普段まったく笑わなかった方が笑顔になったりします。ロボットを介すことで、普通ならできないコミュニケーションが取れるようになり、スタッフはとても働きやすくなりました。他にも、車椅子の移乗介助をサポートするロボットを使うと、か弱い女性スタッフ1人でも上手にご利用者様をベッドからトイレまでお連れすることができ、大変助かっています。こうしたロボットは今後も積極的に導入していく予定で、スタッフにもどんなロボットや装置があったらもっと働きやすくなるか、どんな改良を加えたほうがよいか、どんどん意見を言ってもらっています。開発側からすると現場の意見はありがたいようで、スタッフも最先端の開発のお役に立てていることにすごくやりがいを感じています。これからも誇りややりがいのある職場づくりをさらに進めて、ご利用者様、ご家族様、地域、法人を笑顔にする“最高の場所”をもっともっと増やしていきたいですね。「ゆめ」は大きく広がります。L［実践］理念経営Labo2024WINTER35

## Page 36
![Page 36の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000036.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

プロ・ファシリテーターが斬る!!組織づくり・人づくりのヒント変化の時代を生きるためのPDS4AサイクルPHP研究所人材開発普及部長・人材開発企画部長的場正晃PHPでの長年の現場経験をもとに、組織や人材開発に役立つ情報をわかりやすく解説変化すること自体が常態化しつつある今、私たち一人ひとりの考え方や、仕事のすすめ方にも大きな転換が求められています。そこで本稿では、変化することを前提にした柔軟な発想や仕事のすすめ方とはどういうものなのか、考察したいと思います。基本とされたPDCAサイクル長年、ビジネスの世界では、PDCAサイクルを回すことが仕事の基本中の基本と言われてきました。今さら説明するまでもありませんが、PDCAサイクルとは、Plan（計画）、Do（実行）、Check（評価）、Action（改善）の頭文字を取ったもので、1950年代、「品質管理の父」と言われたW・エドワーズ・デミング博士によって提唱されたフレームワークです。企業のマネジメントは、事業計画を立て（Plan）、その達成のための活動を展開（Do）し、要所要所で進捗状況を確認（Check）していきます。もし、進捗状況が芳しくない場合は、以後の活動量を増やしたり、あるいは別の活動に切り替えたり、という修正行動（Action）を取りながら、計画達成を目指していきます。まさに組織も人もPDCAサイクルに則って思考し、行動が展開されてきたのです。Checkの限界年代の後半に、デミング博士は、Checkでは十分で（学習）でなければいけないと考え始め、「PDSAサイクル」という新たな概念を提唱したのです。なぜ、CheckではなくStudyなのでしょうか。それは、Checkだけでは計画に対する進捗状況の評価にとどまり、今後の修正行動が対症療法的な取り組みになりがちだからです。業績のふるわない事業や組織は、概ねそのような状態に陥っているのではないでしょうか。そして、計画と進捗状況とのあいだに乖離がある場合、その状態を生み出している真の原因（真因）を突き止めない限り、根本的な課題解決の取り組みを行なうことは困難です。そこで、真因を突き止めるうえPDCAサイクルからPDSAサイクルへActionPlanActionPlanCheckDoStudyDo36［実践］理念経営Labo2024WINTER

## Page 37
![Page 37の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000037.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

組織づくり・人づくりのヒントで必要になるのがStudyだというのです。Studyという英単語は、「熱意・情熱」を意味するラテン語のStudium（シュトゥーディウム）に由来しています。古いにしえの人たちは、熱意・情熱を持って目の前の事象をしっかり見つめ、思考を掘り下げながら新しい事実を発見し、文化・文明を発展させていったと言われています。変化が激しく、複雑さを増す現代は、かつて経験したことがないような出来事が次々に起きています。そうした状況下では、ものごとを表面的になぞって見ているだけでは、その本質をつかむことは到底できないでしょう。したがって、古の人たち以上に強い熱意・情熱を持って、しっかり現実を直視し、起きてくる事象の根底にある真因は何なのかを考え抜くスタンスが、われわれ現代人には求められているのです。「ふりかえり」のススメそして、Studyのためには、立ち止まって「ふりかえる」時間を確保する必要があります。松下幸之助は、著書の中で次のように述べ、ふりかえりの重要性を指摘していました。「体験というものは、何か事がおこらなくてはできないのかというと、そうではない。日々にやることが一つ一つ失敗の体験であり、また成功の体験であるということを認識することである。また失敗の体験は成功の過程にもあり、失敗の過程にも成功があるのである。今日一日をふりかえり、失敗や成功を見出し、その味をかみしめる。これが体験である。反省することなしにポカンと暮してしまえば、これは体験にならない」（『物の見方考え方』PHP研究所）幸之助のように実務経験を通じて構築した実践知だけではなく、社会科学の観点からも、ふりかえりの重要性は指摘されています。たとえば、経営学の領域では「経験学習モデル」（組織心理学者のデービッド・コルブが提唱。経験を省察する〈≒ふりかえる〉ことで、気づきが得られるとされる）という理論が注目を集めていますし、脳科学の領域では、瞑想や内省を通じていろいろな気づきが得られ、判断力が向上したり、仕事への意欲が高まるなどの効果が明らかにされています。息つく暇のないくらい忙しい人ほど、逆説的に動きを止めてふりかえる時間を確保してみることが大事なのではないでしょうか。ふりかえることによって、新たな気づきやひらめきが生まれ、仕事の成果が上がりやすくなるでしょう。デミング博士が遺したPDSAサイクルという概念はあまり知られていませんが、その本質は現代を生きる私たちにたくさんのヒントを与えてくれます。＊PHP研究所では、よりよき人材を育成するための各種マネジメント研修を提供しています。ウェブサイトよりお気軽にお問い合わせください。まとば・まさあき1990年、（株）PHP研究所に入社し、研修局に配属される。以後、一貫して、PHPゼミナールの普及、および研修プログラムの開発に取り組む。2001年から2003年まで神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得する。中小企業診断士。著作に『“強い現場をつくるリーダー”になるための5つの原則』（PHP通信ゼミナール）。LPHPゼミナール課長研修マネジメント革新コース「与える」マネジメントから「引き出す」マネジメントへ本セミナーの特徴課長職（ミドルマネジメント・中級管理職）を対象とした公開型セミナー。「与える」から「引き出す」へ、マネジメントを革新します。新任課長の昇格時研修、既任課長のフォロー研修に好評です。研修のねらい部下と組織の力を「引き出す」マネジメントの3つの条件①他を頼るのではなく自らの責任で課題を達成しようとする「使命感」②部下や周りの人材の意見に耳を傾ける「素直な心」③部下の可能性を信じる「人間観」対象受講料定員期間肯定的な人間観使命感を共有し、素直な心で衆知（多くの意見・考え方）を集め、肯定的な人間観で人を見ることが「引き出す」マネジメントの要諦です。実施要項総学習時間課長職の方々※一つのまとまった組織を運営し、組織としての成果を最大化することが求められている方々77,000円（税込）※「社員研修VA+」会員は10％割引集合研修：24名オンライン開催：30名※1開催1社5名まで2日間詳しくはウェブサイトをご覧ください引き出すマネジメント使命感13時間素直な心※掲載情報は2023年末時点のものです。［実践］理念経営Labo2024WINTER37

## Page 38
![Page 38の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000038.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

特別動画案内MOVIEGALLERY『［実践］理念経営Labo』では、誌面内容がよりよくわかる特別動画をウェブサイトにてご視聴いただけます。今号の特集テーマ「理念がブランド力を高める」をさらに深く知るには、以下の動画もオススメ！パナソニックらしいモビリティサービスを目指して永易正吏氏（パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社代表取締役社長執行役員）POINT視聴時間3分57秒会社のあり方を変えたシリコーンロックグラス太田泰造氏（錦城護謨株式会社代表取締役社長）パナソニックの理念にもとづき、物を売るだけでなく、移動にかかわるお困りごとを利用者目線で解決するサービスの展開を目指す掲載号/ページ2022SUMMER7-9（Vol.2）/P４～８POINT自社ブランド「KINJOJAPAN」を立ち上げ、環境にやさしく割れないシリコーンロックグラスを開発。物を大事にする日本のよさを世界に発信している視聴時間9分58秒BrandDOとBrandSAYをともに新名司氏（ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス合同会社アシスタントコミュニケーションマネジャー）掲載号/ページ2022SUMMER7-9（Vol.2）/P30～33POINTダヴ、ラックス、ヴァセリンなど、それぞれのブランドに独自のパーパスを設定。それらの発信だけで終わらず、実践に取り組む38［実践］理念経営Labo2024WINTER視聴時間9分42秒掲載号/ページ2022AUTUMN10-12（Vol.3）/P10～13

## Page 39
![Page 39の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000039.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

松下幸之助肉声講話＋PHP理念経営研究センタースタッフ解説PHP研究所公式チャンネルにて好評配信中！……ほか多数ご視聴＆チャンネル登録はこちらから→2024WINTER1-3（Vol.8）2024年1月27日発行発行人渡邊祐介編集主幹川上恒雄編集長佐々木賢治発行所PHP理念経営研究センター［編集スタッフ］〒601-8411京都市南区西九条北ノ内町11番地TEL075-681-9166メールkenkyu1@php.co.jpURLhttps://www.php-management.com/長尾梓／時政和輝／桐本真理［制作・普及協力］池口祥司／的場正晃／石田賢司／大谷泰志／松田一馬／常川一創動画順次公開＆メルマガ登録受付中誌面の内容がよりよくわかる特別動画をこちらのウェブサイトで順次公開しています。↓また、上記動画の公開時期および『［実践］理念経営Labo』の最新情報をメルマガ（無料）にてお届けします。ご希望の方はこちらのウェブサイトよりメールアドレスをご登録ください。↓［デザイン／制作］朝日メディアインターナショナル株式会社©PHPInstitute,Inc.2024Allrightsreserved

## Page 40
![Page 40の画像](https://img01.ebook5.net/phpkonosuke/labo008/contents/image/book/medium/image-000040.jpg)

【ページ内のテキスト情報】

2024WINTER1-3（Vol.8）2024年1月27日発行ＰＨＰ理念経営研究センター本書は、松下幸之助が人生への深い洞察をもとに綴った短編随筆集です。世代を問わず様々な読者に半世紀以上にわたって読み継がれ、発行560万部超、戦後第２位のロングセラーとなっています。最近では、サッカー日本代表・田中碧選手が「人生において大切にしている本」として紹介、2023年の東大入学式の祝辞でも引用されるなど、大きな話題となりました。読み継がれて半世紀松下幸之助著『道をひらく』定価：957円（10％税込）累計560万部突破自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。松下幸之助生誕130年130thAnniversaryofKonosukeMatsushita'sBirthSince1894

