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# Vol.06『[実践] 理念経営Labo』（2023 SUMMER 7-9）

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人と組織の可能性を発見する研究誌理念経営実践Vol.6Labo2023SUMMER7-9［特集］理念から変革を起こす「親孝行・人間大好」で“心価”を高める経営坂東太郎代表取締役会長青谷洋治「働くほど報われる」が成長の好循環を生み出すCKサンエツ代表取締役社長釣谷宏行「ユカイ」なものづくりでワクワクを世界に広げるユカイ工学代表取締役CEO青木俊介［松下幸之助経営塾志の実践］エレガンスヨシダ取締役社長吉吉田旭宏［「社会の公器」として輝く良い会社］琉球補聴器代表取締役社長森山賢［アントレプレナーの最前線］ニューラルポート代表取締役社長島藤安奈取締役島藤純奈

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『［実践］理念経営Labo』刊行にあたって現代の企業や組織において、経営理念を経営の軸に据えることの重要性はますます高まっています。一つには、資本主義社会のあり方が問い直され、企業の果たすべき責任がよりいっそう重視されつつあることが挙げられます。たとえば、行きすぎた株主重視の反省から、企業には社会的な課題解決が一段と強く求められるようになりました。ESG（環境、社会、ガバナンス）投資やSDGs（持続可能な開発目標）への関心の高まりからも、その傾向は明らかです。また、従来の経営理念に加えて新たに「パーパス」（存在意義）を掲げる企業も数多く出てきました。一方で、政府による働き方改革の推進、雇用慣行の変化、特に最近は新型コロナ感染症拡大をきっかけとしたリモートワーク導入促進の流れの中で、働く人々の価値観においても多様化が進み、組織を統合するための経営理念の役割も見直されています。私どもPHP理念経営研究センターは、複雑化する環境においても企業や組織が活力を持って高品質な商品やサービスを創出し、持続的な発展を遂げてゆくために、新たな理念経営のあり方を追求することを年に設立いたしました。この使命はパナソニックグループ創業者で弊社PHP研究所創設者でもある松下幸之助の「思い」から発しています。松下は、昭和7（1932）年5月5日、「人々の日常生活の必需品を充実豊富にして、その生こんしん活内容を改善拡充する。松下電器製作所はこの使命の達成を究極の目的とし、今後一層渾身の力を振るまいしんい、一路邁進せんことを期す」という趣旨の自社の「真使命」を宣言し、パナソニックグループを世界へと飛翔させました。また終戦後の世の乱れ、人心の荒廃を思い知らされたところから、「繁栄を通じて、平和と幸福を実現する」（PeaceandHappinessthroughProsperity）との思いに立ち、昭和21（1946）年11月3日にPHP研究所を設立いたしました。「初めに思いありき」の言葉通り、松下のいずれの事業活動もすべて「思い」を原点とした理念経営にほかなりません。こうした考えに立ち、PHP理念経営研究センターの情報発信の場として『［実践］理念経営Labo』をこのたび刊行いたします。誌名に「Labo」（ラボ）とつけたのは、本誌を生きた「理念経営の研究室」とし、より先端的な課題への取り組みに挑みたいとの思いがあってのことです。理念経営に挑戦している経営の現場を現代的見地にもとづいて取材し、理念実践の新たな指針を創出することを目指して誌面づくりに尽力していきたいと考えています。読者の皆様には、ぜひとも「Labo」の共同研究者として情報、ご感想を賜り、明日の「理念経営」のあり方に一石を投じるべくご支援、ご指導をお願いいたしたく存じます。2022年4月PHP理念経営研究センター代表渡邊祐介

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Contents──2023SUMMER7-9（Vol.6）特集理念から変革を起こす【Report】「親孝行・人間大好」で“心価”を高める経営「女将さん」「No.1賞」「里山構想」…幸せ創造企業・坂東太郎の挑戦とは【Interview】「働くほど報われる」が成長の好循環を生み出す賞与の“先出し”、夜勤レス、働き方選択で社員イキイキ！【Interview】「ユカイ」なものづくりでワクワクを世界に広げる人間の心に寄り添うロボット開発坂東太郎代表取締役会長青谷洋治ＣＫサンエツ代表取締役社長釣谷宏行ユカイ工学代表取締役CEO青木俊介61014【SpecialReview】革新や創造は使命感から松下幸之助が説いた“意識革命”松下幸之助経営塾【志の実践】「衆知経営」で業界に新風を呼び込むジュエリーのように輝く“キャスト”を育て、愛される会社に【塾生通信】日に新たＰＨＰ理念経営研究センター首席研究員川上恒雄エレガンスヨシダ取締役社長𠮷田旭宏182024Series【「社会の公器」として輝く良い会社】心のスイッチをONにしてお客様に寄り添える人材に評判の「朝礼」と感動の「社員の夢をかなえる制度」【アントレプレナーの最前線―時代をつくる旗手たち】人を“アップデート”する世界初の製品づくりに挑戦スポーツもビジネスも「ゾーン」が常識を変える！【「素直な心」研究会】どうすれば素直な心になれるか「素直な心」研究会での議論と考察【特別動画案内】MOVIEGALLERY琉球補聴器代表取締役社長森山賢ニューラルポート代表取締役社長/取締役島藤安奈/島藤純奈PHP研究所人材開発企画部長的場正晃26303438誌面内容がよりよくわかる特別動画を右のQRコードからご視聴いただけます。動画は随時追加予定。メルマガにてご案内します。（メルマガ登録はP39下をご参照ください）

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［特集］理念から変革を起こす「経営理念」と聞くと、“社員全員が堅持すべき規範”と感じる向きもある。もちろんそれも間違いではないが、できるならもっと積極的な受け止め方をしたい。経営理念は「こうありたい」と実現を目指す“組織としての意志”であり、「何のために活動を行なうか」との目的に対し“組織として抱く自覚”である。そういったところに焦点を当てて活動を展開していはぐくけば、企業としての持ち味が育まれ、競争力が高まっていく。そしてやがては、社内外に変革が生まれ、人材のさらなる成長につながるだろう。経営理念は、そのような好循環を生み出す“起爆剤”となりうるのである。本特集では、経営理念をもとに変革を生み出している企業の取り組みから、実践のヒントを探る。

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Report「親孝行・人間大好」で“心価”を高める経営「女将さん」「No.1賞」「里山構想」…幸せ創造企業・坂東太郎の挑戦とは株式会社坂東太郎代表取締役会長青谷洋治あおや・ようじ＊1951年、茨城県の農家に生まれ、幼い頃から農業に従事。15歳のとき母の死をきっかけに一家の大黒柱となる。20歳のときに農業のかたわら蕎麦店のアルバイトを始めて、’75年、24歳で独立。’86年に法人化し、株式会社坂東太郎設立。以後、坂東太郎グループを率いる。株式会社坂東太郎本社：茨城県古河市／創業：1975年／事業内容：北関東で15業態のレストラン84店舗を展開茨城県を中心に北関東で和食レストラン「ばんどう太郎」やとんかつの「かつ太郎」などの外食チェーンを幅広く展開している坂東太郎グループ。パート従業員ながら店舗を取り仕おかみ切って親身に接客する名物の「女将さん」や、家族で団らんを楽しめる店舗づくりで多くの地元客に喜ばれている。「親にんげんだいすき孝行・人間大好」を経営理念に掲げ、「幸せ創造企業」を目指す同社では、どのような取り組みが行なわれているのか。創業者でグループトップの青谷洋治会長へのインタビューから、その実践に迫る。取材・文：平林謙治写真提供：坂東太郎女将が活躍！家族の絆を深める店づくりコロナ禍の中で、多くの日本人は痛感した。「当たり前だと思っていた幸せは、実は当たり前ではなかった」と。その最たるものが、家族やつど親戚、友人など身近な人と集い、和気あいあいと過ごす“団らん”のひとときではないか。茨城県を中心として北関東に展開する外食チェーン「坂東太郎」グみぞうループの各店舗には、未曽有の危機に見舞われる以前から、“当たり前のようで、当たり前でない”一家団らんの幸せな風景があふれていた。「この3年間は大変でしたよ。でも、『家族の絆を深められる場を提供したい』という思いで頑張ってきたのは間違いじゃなかった。コロナ禍を経験して、改めて確信しましたね、お客様はやはりそれを求めているんだなと」グループ創業者の青谷洋治会長は、よみがえった店の賑わいに目を細める。主力ブランドである和食レストラン「ばんどう太郎」の利用客は、地元の家族連れが大半。祖父母から孫6［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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まで3世代で訪れる常連も珍しくない。100種類以上あるメニューの豊富さも各世代に重宝される理由の一つだが、それ以上に訪れた人の心をつかむのが、団らんにこだわった特徴的な店づくりだ。業態はファミレしつらスでありながら、料亭のような設えの個室を完備。普段の会食はもちくぞろん、お食い初めや一升餅、七五三祝いといった伝統行事にも店をあげて対応し、専用の和食器や心尽くしの料理で家族の特別な日を彩る。根底にあるのは「日本の家族の絆が薄れている」という危機感だと、青谷会長は語る。「外食産業に何ができるか。もう『安い・早い・量が多い』を競う時代ではありません。お客様の家族関きび係の機微にまで寄り添い、食を通じて幸せやぬくもりを感じていただけるような、きめ細かいおもてなしが求められているのです」同社ならではのおもてなしのカギを握るのが、2006年に導入した「女将さん」制度。店舗ごとに優秀な女性パート従業員を「女将さん」に任かっぽうぎ命し、割烹着姿の店の顔として、接客の取りしきりを託す仕組みだ。馴じ染み客の顔や名前、好みや家族構成などを事細かに把握し、ときには年配者の話し相手も務めるので、常連ほど女将さんにつきやすい。期待に応え、期待を超える――現場の女将さんたちの仕事ぶりに、制度をつくった青谷会長さえも驚かされ、感激させられた例は枚挙に暇がないという。「親孝行」の実践で喜びと感動を生み出すないとまある独り暮らしの高齢男性が亡くなったとき、発見した近所の人が身内よりも先に知らせたのは、男性があししげ亡き妻と足繁く通った、地元の「ばんどう太郎」だった。女将さんらが妻に先立たれた男性を心配して、男性が来店するたびに話し相手になったり、夕食用にと余った料理をプラスチック容器に詰めて持たせたり、本当の親のように何年も尽くしていたからである。「近所の人たちもそれを知っていて、『おじいちゃんが世話になったんだから、あの店に真っ先に知らせてやろう』となったそうなんです」と青谷会長。「私も報告を受けて驚きました。現場の裁量で自主的にやっていることですからね。掘り起こすと、にわかに信じられないような実話がいくつも出てくるんですよ」こういう例もある。常連の3世代家族が久しぶりに来店したが、祖母の姿が見えない。尋ねると、病気で亡くなったばかりだった。そのとき、女将さんがどんな行動をとったか――。青谷会長は、のちにその家族から手紙をもらい、初めて事の次第を知ったという。「前回のご来店から1年以上も空いていたのに、女将が、おばあちゃんはミニ天丼が好きだったことを覚えていて、おみやげに手渡したんです。『ご仏前にお供えください』と。息子さんが感激されてね。いただいたお手紙には『おふくろのことを、好きな料理まで覚ばんどう太郎みらい平店えてくれていて嬉しかった。どんな供養よりもありがたかった』と書いてありました」坂東太郎の店舗では、こうして従業員一人ひとりの思いやりが自然と形になり、喜びや感動を生み出していく。それは、青谷会長が創業以来掲げてきた「親孝行・人間大好」という企業理念の実践に他ならない。同社が目指す「親孝行」の「親」とは、自分の親だけでなく、上司や先輩、目上の人、お世話になった人すべてを表す。お客様はもちろん、食材の生産者や取引先も親のように大切に思うということだ。「孝」とは、その相手に理解してもらえるまで誠心誠意尽くすこと。「行」は、みずからの行動で実行し続けることを意味する。「私自身は親孝行ができなかったから」と語る青谷会長は、15歳で母を亡くし、病弱な父に代わって一家の大黒柱となった。蕎麦店で働き始め、苦労の末に24歳で独立開業。「女将さん」が心尽くしでおもてなし個室で家族水入らずの「お食い初め」［実践］理念経営Labo2023SUMMER7

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1986年に株式会社坂東太郎を興したが、「当時は『親孝行』が会社の理念だというと、よく笑われたものですよ。『親孝行なんて古臭いし、当たり前。当たり前のことを社是にするのはおかしい』とね」と振り返る。「だけど、家族団らんと同じく、親孝行も当たり前のようで、当たり前じゃない。できているようで、できていないのが親孝行なんです。今、世の中もそこに気づき始めたんじゃないでしょうか。当社が思う親孝行の実践は、根本的に人が好きでないと務まりません。親孝行＝『人間大好』といってもいい。だから、その言葉も理念に加えたのです」あわや労務倒産!?謝罪が転機にコロナの猛威が外食業を直撃し、坂東太郎の各店舗も休業を余儀なくされた時期、青谷会長は、店でおもてなしできないお客様の分まで、従業員のために特別の「親孝行」を実践した。同社の人材育成を担う共育こすげたいこ課の小菅泰子課長は、「会長の指示で、社員でもパートやアルバイトでかかも、コロナに罹って自宅療養中の従業員にはすべて、食料品などを詰めた『幸せボックス』という支援物資を送っていました」と説明する。「女将さんたちが定期的に集まって、日頃の工夫や経験を共有し合う『女将大会』という勉強の機会があるのですが、そこである女将が、自宅に幸せボックスが届いたときの話を披露してくれたんですよ。コロナに罹ったなんて、社内でもまだ大っぴらにしにくい時期だったにもかかわらず。お子さんから『お母さんの会社って、すごいね』と言われたのが嬉しくて、みんなと共有したかったと語っていました。当時、自社の働き手にそういうことをやっている民間企業はほとんどなかったと思います」（小菅氏）もっとも、当初からそうした信頼関係ができあがっていたわけではない。かつては働く人の幸せどころか、むしろ従業員が“恨み骨髄”で次々と辞めていき、深刻な人手不足に直面したことさえある。バブルの追い風にも乗り、5店舗ほどに増えた頃だ。残る従業員を早めに帰し、妻と2人で、5店舗分の片付けと翌日の仕込みを夜遅くまで続けたが、状況はひん変わらない。労務倒産の危機に瀕し、すがる思いで母の墓前に手を合わせると、耳元でささやく声が聞こえた。「働いている人が幸せじゃないから辞めていくんだよ」――確かに亡き母の声だったという。青谷会長は早速全従業員を集めて、自分のそれまでのやり方を皆に詫びた。そして、従業員にもホンネを吐き出してもらい、厳しい言葉をすべて受け止めた。「どれだけ泣かされたかわからない」「お茶に雑巾のしぼり汁を入れて飲ませたかった」とまで言われたのは、業容拡大を焦るあまちょうれいぼかいりに朝令暮改を繰り返し、現場を苦しめていたからだ。「つるし上げみたいな時間でしたが、ある部長が一言、『社長（当時）をいじめていても会社はよくならない』と言ってくれて。そこがターニングポイントでしたね。利益や成長ではなく、従業員をはじめ坂東太郎にかかわるすべての人の幸せを追求和やかな雰囲気の中、経営トップが現場の意見や要望に耳を傾ける「社長塾」していこうと、私も、会社も大きくひざを変わっていったんです。やはり膝交えて、みんなの声を聞かなきゃいかんと痛感しましたね。それが、今も続く『社長塾』という取り組みの原点なのです」名前は「社長塾」だが、同社のそれは、従業員が社長に教わる勉強会ではない。社長が現場の意見や要望を聞いて学ぶための開かれた場で、従業員は誰でも参加自由だ。エリアごとに年1回～数回開催され、貴重な懇親の機会にもなっている。働く人の幸せを追求したら理念が働き出した同社では「女将さん」とは別に、各店舗でスタッフに礼儀作法を指導する「花子さん」という役割を設けているが、この「女将さん・花子さん」制度にも、従業員に坂東太郎で働くことに誇りややりがいを持ってもらい、意欲を引き出そうという狙いがある。現に、前出の小菅氏によると、「一升餅やお食い初めといった伝統行事に対応するサービスは、女将さんたちの提案で始まった」というから素晴らしい。青谷会長もそうごうを「それが何より誇らしい」と相好崩す。8［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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特集理念から変革を起こす社員表彰や演舞などが行なわれ、お祭りのように盛り上がる「事業発展計画発表会」「働く人たちの幸せを本気で追求していったら、時間はかかったものの、あれほどバカにされた『親孝行』の理念が働き出して、会社がどんどんよくなっていきました。理念は掲げておけばよいわけでなく、働かせるべきものなんですね」業績に直結する数字だけでなく、思いやりや人間的魅力まで評価する年間表彰制度も、従業員のやりがいを引き出す独自施策の一つである。「笑顔がステキNo.1賞」「感動をありがとうNo.1賞」「一所懸命No.1賞」そして「親孝行No.1賞」など、一人ひとりの個性を尊重するユニークな賞が多数用意され、これらを受賞することが本人はもちろん、上司・同僚を含めた職場全体の誇りや励みになっている。毎年1月に大きな会場を借りて開催される、同社恒例の「事業発展計画発表会」も圧巻だ。従業員にとって、そこは一種の晴れ舞台。たとえば、司会や開閉会の挨拶といった大役も、“できる人”や“うまい人”がこなすのではなく、前年に仕事で頑張った人が“抜擢”される仕組みになっている。新入社員による「よさこい演舞」の披露も見どころで、そのために1年上の先輩が約3カ月かけて指導する。自分たちも先輩から教わったように指導するわけだが、教えることで逆に後輩から学ぶことも少なくない。「それは、日々の仕事でも同じです」と、小菅氏は強調する。「私たちも新人を指導するとき、逆に彼ら彼女らから、初心やひたむきさを教わることがよくあります。一方的に教える教育ではなく、教わる側も教える側も共に育つ“共育”が当社の理想。だから、私たちの部署名もあえて『共育課』に変えました」事業発展計画発表会に始まり、店長研修会、社員研修会、ファミリー（同社におけるパート従業員の呼称）研修会など、“共育”の場や仕組みは各階層でも充実している。このうちファミリー研修会だけは北関東一円に広がる事業エリアごとに分散して行なわれるが、青谷会長と長ひでまさ男の英将社長は、必ずそのすべてを回るという。従業員一人ひとりに「親孝行・人間大好」の理念にかける思いを直接語りかけるために。競争より共創が求められる「心価」の時代そもそも「坂東太郎」とは、日本一広い関東平野を貫いて流れる利根川のことだ。その大河からとった社名には、青谷会長の並々ならぬ郷土愛の強さ、深さが見てとれる。「貧しい農家の出で、つらい目に遭うこともあったけれど、それ以上に出逢いに恵まれ、地元の人々に支えられてきました。だから、少しでも恩返しがしたいんです。振り返ると、独立した頃は、大量生産・大量とね販売でひたすら前へ進む『進化』の時代でした。やがて、差別化や深掘りで勝負する『深化』の時代になり、バブルが弾けると、本物しか残らない『真価』の時代が到来。そして今は、東日本大震災やコロナ禍を機に、当たり前の幸せを大切にする心の価値＝『心価』が改めて見直されています。『心価』の時代に、競争や勝ち負けは向きません。地域でも、業界内でも助け合って、共に創造する『共創』が求められているのです」そうした発想から、巨額の負債をしにせ抱えて破産した、同じ北関東の老舗和菓子店の更生を引き受け、2018年にグループに加えた。表彰制度など青谷流のやる気を引き出す施策を菓子店にも導入し、不安を抱えていた従業員の「心価」を高めることで、グループ全体の「共創」へとつなげている。さらに、2005年に坂東太郎の原点として発表した「里山構想」も進ふもと行中だ。筑波山の麓に確保した約1万5000坪の土地に、青谷会長が描く理想郷が着々と具現化しつつある。それは単なる懐古趣味でも、たぐいテーマパークの類でもない。「里山の美しい田園風景の中に、日本の伝統文化を継承する学びの場や新事業創出の場をつくりたいのです。当地ではすでに10年前から、有識者を迎えて地元の経営者たちがかんごおり受講する『神郡塾』を開校しています。そこから、人々の幸せに寄与する真のリーダーが生まれることを願ってやみません」外食産業から、日本一の幸せ創造企業へ――創業45年を超えて、青谷会長の志はますます揺るぎない。L［実践］理念経営Labo2023SUMMER9

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Interview「働くほど報われる」が成長の好循環を生み出す賞与の“先出し”、夜勤レス、働き方選択で社員イキイキ！株式会社CKサンエツ代表取締役社長釣谷宏行つりや・ひろゆき＊1958年生まれ。富山県出身。信州大学経済学部卒業後、北陸銀行に入社。’86年シーケー金属株式会社に入社。’97年シーケー金属株式会社代表取締役社長（現任）に就任。2000年サンエツ金属株式会社代表取締役社長（現任）。’11年株式会社CKサンエツ代表取締役社長。中小企業診断士。株式会社CKサンエツ本社：富山県高岡市／創業：1920年／事業内容：伸銅・精密部品・配管・鍍金等の11事業子会社のグループ純粋持株会社めっき富山県を拠点とし、地球環境に配慮した配管機器と溶融亜鉛鍍金の加工メーカーであるシーケー金属と、国内最おうどうぼう大の黄銅棒・黄銅線メーカーのサンエツ金属を中核とするCKサンエツグループ。地方の生産財メーカーながら、「働きがいのある会社」ランキング（GPTWジャパン）で6年連続トップ10入りし、コロナ後に過去最高益を更新するなど、近年急成長を遂げている。「正直者が報われる会社に」という理念を掲げて経営改革に取り組んだ釣谷宏行代表取締役社長に、成長の好循環を生み出す仕組みについて語っていただいた。取材・構成：平林謙治写真提供：CKサンエツ社長就任初日に掲げた「働きがい」重視の理念企業ランキングの一つに、働きがいを評価軸にしたGPTWジャパンの「働きがいのある会社」ランキングベスト100があります。最新の2023年版において、当社CKサンエツは中規模部門（従業員数100～999人）の第3位にランクされました。同部門のトップ10入りは2018年以降6年連続です。また、上位40社のうち38社は首都圏か大阪の企業で、北陸の企業は当社しかありません。疑問に思う人もいるでしょう。「世間的には地味な『富山の生産財メーカー』が、なぜ働きがいのある会社なのか」と。その答えを本稿で明らかにしていきたいと思います。純粋持株会社の下に事業会社11社を擁するCKサンエツグループつぎては、鉄管継手（配管を接合する部品）を主力商品とするシーケー金属と、国内最大の黄銅製品メーカーであるサンエツ金属を中核として成長してきました。グループのルーツといえるのは、1920年創業のシーケー金属。私は1986年に、当時の社長10［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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特集理念から変革を起こすだった叔父の要請に応えて、前職の金融機関から同社へ転職しました。そして、1997年に第8代社長に就任し、初日に全社員の前で「働きがいのある会社を目指す」と所信表明したのです。それを聞いたある幹部社員が、「働きがいのある会社とただはどんな会社か」と質してきたので、私はこう答えました。「働きがいのある会社とは、正直者が馬鹿を見ない会社のことです。働けば働くほど報われる会社、働けば働くほど社員が得をする会社のことです」と――。裏を返せば、当社はそれまで「働きがいのある会社」ではなかった。むしろ「正直者が馬鹿を見る会社だった」ということです。私は従来から、そこが最大の経営課題だと痛感していました。というのも、私自身、それまでに実績を残し、自分でもよく働いていると思っていたのに、報われなかった。頑張っていない社員と比べても、待遇にそれほど差がなかったのです。経営陣が現場を顧みないために、年功序列の旧弊や口先だけの人あが出世するような悪しき風潮が組織にはびこっていました。そして、それ以上に深刻だったのが、そもそも頑張った社員に還元できるだけの利益を会社が出していなシーケー金属のオンリーワン製品。環境対応型の脱塩化ビニル継手やグッドデザイン賞を受賞した透明継手など、様々な機能の継手を取り揃えるい、いや、出そうとしていないことでした。金属・素材業界再編の嵐が避けられない中で、旧経営陣はただきゅうきゅう生き残りに汲々とするのみ。「業界はもう右肩下がりだから縮小均衡しかない、分配などできるはずがない」と思考停止に陥っていたのです。これでは働きがいどころではありません。「先出しジャンケン」で経営の好循環を生み出す確かに当時はバブル崩壊後の“失われた10年”の真っ只中でした。それでも、私は「努力して働くほど報われる職場を社会に提供する」と経営理念に掲げたのです。不況下でも、成長を目指し、拡大均衡路線を取り続けることに迷いはありませんでした。会社が成長軌道に乗れば、頑張った人に報いることができ、報われるとわかれば、社員も会社を信頼してますます頑張ってくれるので、利益はさらに増えていく。私は、そうした経営の好循環を確信し、社員に「必ずうまくいくから協力してほしい」と約束したのです。約束しただけではありません。経営の好循環が回り出す“最初の1周目”に勢いをつけようと、私は前もって社員に賞与を多めに支給しまサンエツ金属の環境対応黄銅棒（鉛レス黄銅六角棒）した。経営学の教科書では、実際に利益が出てはじめて社員に還元するのが定石でしょう。しかし、利益が出ると見込んで、社員に“先行投資”したわけです。利益は結果であり、出るか出ないかわかりませんが、仮に出なかったとしても、その結果の責任は経営者が取ればいいことですから。収益の改善より待遇の改善を先行した賞与の増額――私はこれを「後出しジャンケン」ならぬ、「先出しジャンケン」と呼び、シーケー金属だけでなく、2000年に社長に就任したグループ会社のサンエツ金属やM&A（合併・買収）によってグループ会社とした各企業にも、改革の手始めとして順次導入していきました。すると、何が起こったか。どの会社にももともと非常に手強い労働組合がありました。その上部団体が提示する統一要求の目標金額を、「先出しジャンケン」で増額した賞与の支給額がいきなり上回ったため、労使交渉の意味がなくなり、組合が次々と自主解散していったのです。一般社員も、実際に待遇が改善されたことで、「これからは組合に頼らずとも、頑張れば必ず会社が報いてくれる」と、希望を持つに至ったのでしょう。見違えるほど前向きになり、よく働いてくれるようになりました。こうした人心一新が、成長拡大路線を目指すうえで不可欠な新製品の開発にも大いに貢献したことは論をまちません。シーケー金属でもサンエツ金属でなまりも、鉛やカドミウム、六価クロム等の有害物質を使わない環境対応型製品の開発・量産化［実践］理念経営Labo2023SUMMER11

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を、世界に先がけて実現。差別優位性を追求するオンリーワンビジネスを推し進めてきました。環境志向の高まりやグッドデザイン賞獲得といった追い風にも恵まれ、気がつくと当社グループは、東証プライム市場に上場する国内トップクラスの生産財メーカーに成長していたのです。なぜ危機の直後に過去最高を更新できたのかもちろん、いいときばかりだったわけではありません。グループの純粋持株会社としてCKサンエツを設立した2011年には、ご存じのように東日本大震災があり、その3年前にはリーマン・ショックが起こりまみぞうした。未曽有の経済危機という意味では、2020年からのコロナ禍も記憶に新しいところです。リーマン・ショックやコロナ禍のもとでは需要が激減し、当社も他社と同様、工場の稼働停止を余儀なくされました。しかし、私はいずれのときも、まず社員の前で「生活の心配なんてしないでゆっくり休んでください。業績がどうなろうと、給与も賞与も一切カットせずに支給しますから」と宣言しました。一にも二にも、社員に落ち着いてもらうことが肝心だと判断したからです。真面目な人が多いほど不安や動揺が広がりやすく、組織全体の活力まで奪われかねない。そうした事態だけは、なんとしても避けなければなりませんでした。需要が回復すると一転、急に忙しくなるものですが、他社では工場を再開したくても、労働組合との調整が必要だったり、リストラの影響で人員が不足したりして、立ち遅れるケースが少なくありません。その点、当社は困難なときほど社員を守るので、信頼関係が強く、再開するやいきなりトップギアで頑張ってくれます。危機を乗り越えるたび、直後に当社の業績は過去最高益を更新するほどに急回復してきましたが、その“秘密”は、ここにあるのです。もっとも、安定した待遇の保証は、こうした「100年に1度」といわれるような有事の際だけの緊急措置ではありません。当社は、働きがいのある会社になるための仕組みの一つとして、2010年度から賞与の平均支給額を固定化しました。現在は1人あたり平均年間280万円を支給（140万円を2回）。賞与額の水準としては、北陸はもちろん、全国でもトップクラスでしょう。経営成績や景気の動向とは一切連動させず、「上がることはあっても下がることはない」というルールで運用しています。では、固定化された賞与をどう分配するか、すなわち一人ひとりの支給額はどうやって決まるのかというと、これはもう100％実力主義です。そうでなければ、まさに頑張って働いた人が報われません。そこで、人事評価システムも一新。金額の根拠とするために、一人ひとりの会社への貢献度を客観的な評価基準に沿って点数化・数値化し、面接で自己評価との乖離事由の擦り合わせや改善案の話し合いを行なうようにしました。そうすることで評価の妥当性・透明性を担保するとともに、社員の成長支援にも活かせるようにしています。社員がイキイキ！現場を変えた「夜勤レス」ここでいう「待遇」とは一義的には報酬（給与＋賞与）のことですが、それだけでなく、社員の働き方や職場の環境面の改善にも、社長就任以来、継続的に力を入れてきました。先述のGPTWランキングで当社の高評価ポイントとなった「夜勤レス」の実施も、その一つです。われわれは、新製品の開発で「鉛レス」「カドミウムレス」などと称して、様々な有害物質を除去してきました。「夜勤レス」という言葉も私の造語で、社員の働きやすさにとって有害でしかない夜勤という悪弊を生産現場から取り除こうとする取り組みです。2016年にシーケー金属の主力工場に夜間自動運転装置を導入して、夜勤を全廃したのを皮切りに、現在ではグループ内のほとんどの工場が「夜勤レス」へ移行しました。残りの現場でも、取り組みの進捗を夜勤率（総労働時間に対する夜勤の労働時間の割合）という指標で管理しな工場で活躍する若手社員。作業服は、「作業服らしくない」をコンセプトに社員たちがみずから考案した12［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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特集理念から変革を起こすがら、夜間の無人操業に向けて設備の改善を続けています。仮に、3交替制で24時間稼働させるのと同じ生産量を、定時の8時間操業だけで維持しようとすれば、工場設備を3倍に増やさなければなりません。ですが、当社はM&Aを積極的に推進することで、提携先が保有していた設備と人材を集約し、そのまま有効活用することができたのです。「夜勤レス」の狙いの第一は、社員の生活リズムを整え、全員にイキイキと健康的に活躍してもらうことにあります。さらに、全員が同じ時間帯に働くことで意思疎通が促され、チーム力が向上するメリットも大。私が入社した頃は、深夜に工場をのぞくとモラール（労働意欲）の低下が著しく、食堂や休憩室で人が寝転がっているような有様でした。管理監督者の目が行き届かないからです。人を育てるという意味でも、日中の勤務だけにして、若手の一人ひとりをみんなで手厚くサポートするほうが断然、効果的でしょう。また、交替制だと、「ここは自分の大切な職場だ」という愛着や思い入れが希薄になりやすく、他の班と共有する生産機械のメンテナンスにも身が入りません。そう考えると、「夜勤レス」がGPTWで高く評価がてんされたのも合点が行きます。社員のモチベーションやエンゲージメントを高め、精神的な意味での働きがいの創出に大きく寄与しているのですから。次の100年に向けて改革に終わりはない数年前に「働き方改革」が流行語になりましたが、私の認識からすると当社ではすでにそれ以前から「改革」の段階は終わっていました。先述した高額賞与の固定化や「夜勤レス」の推進をはじめ、フレックスタイム制の導入、社員寮・社宅の整備拡充、作業服や事務服の品質向上、社員の財産形成を支援するための社員株主優待制度の採用、構内の移動手段として電動キックボードを支給するなど、職場環境の改善と福利厚生の充実に向けて、打てる限りの手を打ってきました。そして「働き方改革」の時代から、一歩先の「働き方選択」の時代へ当社は進化しています。2017年には「働き方選択制度」を創設。これは、社員一人ひとりが自分のキャリアプランやライフステージに合わせて働き方を主体的に選べる制度です。働き方の選択肢は、①仕事最優先で超高待遇希望②仕事優先で高待遇希望③私生活優先で低待遇希望④私生活最優先で超低待遇希望の4パターン。社員は毎年8月に自年間の働き方を決められる仕組みになっています。子供が生まれたばかりだから、この1年は③か④にしたいとか、今はプロとして自分をもっと磨きたいから、①に挑戦してみようとか……。選択のチャンスが毎年あるので、自由に、柔軟に切り替えられるのが同制度のポイントです。実際に選択した結果、大まかな構成比は①15％、②70％、③15％、④0％となっています。4つの働き方は、いずれも経済合理性に適う“正しい働き方”に違いありません。したがって、選択する際に上司や同僚に気を遣う必要もなければ、①を選んだから評価が高くなる、ということもない。人事評価はあくまでも実績に対して行なわれ、働き方の選択には影響されないのがルールです。その代わり、繁忙期の残業対応や難易度の高い仕事なを選んだ社員に集中して声がかかりますし、研修や訓練の機会もそういう積極的な社員が優先されます。成功や成長のチャンスは、平等ではなく、意欲に応じて公平にしか与えられて然るべきでしょう。働き方だけでなく、仕事そのものに対する社員一人ひとりの要望を吸い上げて解決する仕組みも、当社にはあります。2005年に始まった「人事申告制度」です。異動したい、昇進したいといった意思や、現在の職場への不満、改善案などを人事申告書に書いて提出するもので、最近では要望をかなえられる率が毎年7割を超えるまでになりました。こうして社員の働きがいを高める仕組みをつくり、どこよりも恵まれた待遇を提供してきた結果、経営の好循環のサイクルがうまく回るようになりましたが、改革に終わりはありません。パナソニックグループ創業者の松下幸之助さんが、真の使命を何代にもわたって受け継ぎ、実現を目指す「250年計画」を唱えたように、創業100余年の当社も次の100年に向けて、たとえ“だらだら”でもいいから常に成長し、社会の期待を超えて貢献し続けることが大切だと、私は考えています。だからこそ、世界で一番「正直者が馬鹿を見ない会社」を目指さなければ。天才よりも正直者、すなわち真面目で意欲的に働いてくれる人材が、当社にとっては成長の源泉なのですから。L［実践］理念経営Labo2023SUMMER13

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Interview「ユカイ」なものづくりでユカイ工学株式会社代表取締役CEO青木俊介ワクワクを世界に広げる人間の心に寄り添うロボット開発あおき・しゅんすけ＊1978年神奈川県生まれ。東京大学工学部計数工学科卒業、東華大学信息科学技術学院修了。2001年、大学在学中にチームラボ株式会社を設立し、CTOに就任。’11年ユカイ工学株式会社を創業、CEOに就任。ユカイ工学株式会社本社：東京都新宿区／創業：2011年／事業内容：ロボット・ハードウェア開発・製造・販売人に共感する未来のファミリーロボット「BOCCOemo」（ボッコエモ）、しっぽのついたクッション型セラピーロボット「Qoobo」（クーボ）、やみつき体感ロボット「甘噛みハムハム」など、ユニークなロボットを次々に開発、販売しているロボティクスベンチャー、ユカイ工学。生み出す製品はいずれも、社名の通りユーザーをワクワク愉快にさせ、メディアの注目を集めている。「ロボティクスで、世界をユカイに。」をビジョンに掲げて取り組むものづくりについて、創業者でCEOの青木俊介氏が語る。取材・構成：長尾梓写真撮影：にったゆり（P14、16）写真提供：ユカイ工学誰のどんなアイデアも形にして真価を検証かったつ自分たちが自由闊達にものづくりをできる場をつくりたい――。ユカイ工学設立の背景には、そんな想いがありました。エンジニアというのは、基本的にみんなものづくりが好きな人たちです。しかし、実際に自分のアイデアを思ったように形にする機会に恵まれている人は、そう多くないでしょう。組織が大きくなればなるほど個人のアイデアは生かされにくくなりますし、お客様の注文を受けて開発するとなると、たいていの場合、裁量の余地はほとんどありません。本来の楽しさ、ワクワク感にあふれたものづくりをどこまでも追求したい――。当社は従業員数約30名の組織ですが、心からそう願っているメンバーが結集しています。社名の「ユカイ」は、ソニー創業者の井ぶかまさる深大氏が起草した同社設立趣意書の一節「自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」という考え方に共感してあやかりました。自由闊達にアイデアを出して形にできる組織と企業風土をつくり、「ユカイ」なものい14［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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特集理念から変革を起こすづくりを通して世界中のユーザーにも楽しさやワクワクを感じてもらうことが、当社の目指すところなのです。「ユカイ」な組織であるために、当社ではエンジニアやデザイナーはもちろん、営業やPR、人事、経理のスタッフまで、誰もが自分の企画を提案できるようにしています。それもただ単に企画書として提出するのではなく、各々がまず試作品をつくってみます。というのも、いい企画を生み出すことに立場はまったく関係ありませんし、いろいろなアイデアがあったほうが「ユカイ」なものづくりにつながるはずです。また、製品が持つ本当の価値というのは、実際に形にして触れてみないとわからないものです。たとえばセラピーロボットの「Qoobo」は言ってみれば「動くしっぽの生えたクッション」ですが、企画書でいくら説明されても、それのどこが「ユカイ」なのか、いまひとつピンときませんよね。でなも、実際に撫でて、しっぽが振れる様を目にすると、驚きや発見が生まれてきます。もちろん、商品化まで至らないケースも数多くありますが、どんなアイデアでも検証する価値はあるはずです。たとえ一度ボツになったとしても、時を経て新たな可能性が生撫でるとしっぽを振って心を癒してくれる「Qoobo」（左）と「PetitQoobo」（プチ・クーボ）みんなで“妄想”を形にする「メイカソン」まれてくることもあるので、アイデアはすべてわれわれの財産であると考えています。安心して“妄想”を語れる仕組みづくり当社ではアイデアを出す場として、「妄想会」という会議を毎週開催しています。画期的で「ユカイ」なアイデアは、他者の要請からよりも、むしろ個人の妄想的な願望から生まれるものです。「誰かの課題を解決する」という第三者的な視点ではなく、「誰にどう言われようと自分はこれが欲しい！」という強い想いをみんなで披露し合います。それらの妄想は、年1回開催する「メイカソン」で形にします。これは短期間で集中してプロトタイプ（試作モデル）をつくる全員参加の一大イベントで、毎年3月、4月頃から約2カ月かけて準備をして試作品を発表してもらっています。「甘噛みハムハム」や「Qoobo」など、ヒット商品がいくつもこのメイカソンから生まれました。このように、各人から出てくる妄想は、いわば当社の貴重な経営資源です。それを生み出すために重要となるのが、どんなアイデアでも安心して発表できる環境を整えること。「こんなに現実離れしたアイデアでは、くだらないと笑われたりするかも……」と不安に思ってしまうようでは、自由闊達に自分の妄想を語ることなどできません。誰もが安心して自分のアイデアを語り合える社内環境をつくるには、やはりまず社員がお互いをよく知ることでしょう。そのために、普段から社員同士で多くの時間を共有することが大切です。当社ではそれを促す仕組みの一つとして、部活制度を設けています。一定数以上の部員を集めると発足でき、活動費は会社から補助しています。業務時間外で一緒にバーベキューをしたり、ゲームをしたり、スポーツをしたりと、楽しい時間を共有する活動が盛んです。子育て中の社員もいるので、ファミリーで参加できるイベントも増えてきています。仕事とは一見関係なさそうに思えるこうした社員同士のふれあいこ［実践］理念経営Labo2023SUMMER15

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「甘噛みハムハム」の魅力について語るそ、実は「ユカイ」なものづくりを行なううえでとても大切だと考えています。人の心を動かすロボットでイノベーションを起こす私がロボットの開発を事業に選んだ理由は2つあります。1つは、昔からロボット開発に憧れがあったこと。中学生の頃、アメリカのSFアクション映画『ターミネーター2』を観て、ロボットそのものよりも、ロボットを開発しているエンジニアに対して「カッコいいな」と思い、それ以来、ロボットやAIを開発するような仕事がしたいと考えていました。もう1つは、2005年に開催された日本国際博覧会「愛・地球博」で、たくさんのロボットが登場するまのを目の当たりにしたことです。トヨタやホンダ、ソニーなどの大企業はもちろん、中小のメーカーもロボットを出展していて、スタートアップ企業でもロボットをつくれる時代になってきていることを実感しました。そして近い将来には、ロボットが1家に1台以上あるような時代が必ずくるはずだと確信したのです。かつて任天堂のゲーム機「ファミリーコンピュータ」が広く世界で普及したように、国内外の多くの家庭で愛用されるデバイスが、ロボット業界においても必ず生まれるだろうと考えました。ファミコンは、「ゲームはゲームセンターでやるもの」というそれまでの常識を打ち破り、自宅で手軽に楽しめることを当たり前にした革新的な製品でした。そのようなイノベーションをもたらす製品を自分たちの手で生み出し、世界中の人に使ってもらいたい。この想いを、当社のビジョン「ロボティクスで、世界をユカイに。」に込めているのです。では、どのように「世界をユカイ」にしていくのか。そのカギは、ロボットの役割にあります。私は、ロボットが人とAIなどのデジタル技術とをつなぐインターフェースであり、人の心を動かすことができるところに一番の強みがあると思っています。そのため、1家台普及するロボットとなると、それはおそらく、家事の効率を高めたぐいるという類のものではないと考えました。たとえば、食器洗いでいうと、人枚1枚ピックアップして洗う家事ロボットはいまだ登場していません。その作業はロボットにとって、とても難しい課題なのです。しかし、それにはすでにあるような家電の食器洗い機があれば十分間に合うわけですから、結局のところ、そういったタスクは家電に任せればいいでしょう。家電のほうが効率的でコストも安いので、そこをわざわざロボットに置き換える必要はありません。むしろ、これからのロボットは、もっと人の心に寄り添い、暮らしを「ユカイ」にするようなものが主流になるはずです。こうした考えにもとづいて、当社ではいずれの製品においても愛着が湧くような可愛らしいビジュアルや動きを持たせ、キャラクターとしての魅力を追求しています。言うまでもなく日本のアニメやキャラクターは世界中で人気がありますし、少し前のいわゆる「ゆるキャラ」ブームもまだ記憶に新しいところです。さらに歴史をたどれば、日本では妖怪のような、ただ恐あいきょういだけでなくどこか愛嬌のある存在も語り継がれてきました。つまり、日本には昔からキャラクターを愛する文化が存在しており、現代のロボット開発においても、キャラクター文化の強みを生かさない手はありません。その文化に根差したものづくりこそが、世界で闘うためには必要だと考えています。インターフェースとして広がる可能性当社の製品で、とりわけデジタル技術とのインターフェースとしてご好評をいただいているのは、コミュニケーションロボット「BOCCOemo」です。このロボットを介して家族と音声やテキストでメッセージをやり取りできるほか、「今日はゴミ出しの日だよ」と音声で教えてくれたり、ユーザーが何かつぶやけば、その気持ちに共感してほっぺを赤らめたりしつつ、独自の言葉で応えてくれます。現在、様々な領域の企業とパートナーシップを築き、すでに本サービ16［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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特集理念から変革を起こす薬を飲む時間を知らせて、シニア家庭のお茶の間でも大活躍の「BOCCOemo」ス化がスタートしているものもあります。セコム様との共同事業「あのね」もその一つで、「BOCCOemo」を使ったシニア向けの声かけサービスを提供しています。なかでも特に喜ばれているのが、薬を飲むリマインド機能です。シニアの方が「薬を飲んでね」と自分の子供や孫から言われると、人間同士の感情が邪魔して素直に聞き入れにくいこともあります。でも相手がロボットだとその心配はなく、シニアの方も喜んで応じてくれることが多いそうです。メッセージというのは単に伝えればよいわけではなく、相手に受容されなければ意味がないので、そこを補完するのがロボットの役割の一つだと考えています。たとえば車の運転中、急ブレーキや急発進をして助手席の人に注意をされると、イラッときますよね。でも、ロボットが驚いて怖がると、「ゴメンね」という気持ちになって、安全運転を心がけるようになるでしょう。実際に、「BOCCOemo」とカーナビを連携させた名古屋大学との実証実験でも、ロボットがいるほうがスピードが下がるという結果が出ています。このように「BOCCOemo」は、いろいろなものと連携させて機能を増やせるプラットフォームとなっています。他にも、ダイエットや語学の習得など、ユーザーがなりたい自分に近づけるようにサポートする機能をどんどん強化することを目指しています。こういうと、「目標としては、人気アニメの『ドラえもん』のようなイメージですか？」とよく聞かれます。それに対する私の答えは、「YES」でもあり、「NO」でもあります。「ドラえもん」というと、いろいろなひみつ道具を出して問題を解決することが注目されますが、その点は明らかに違います。私はむしろ、「ドラえもん」の最大の役割は、のび太の成長をサポートすることにあると思うのです。人間は誰しも苦手や弱い部分を持っていて、自分一人で何でもできる人はいません。たとえばダイエットや語学の勉強をすると決意しても、自分の意志だけで続けるのはなかなか難しいものです。そうしたときに、うまく誘導して習慣づけをしてくれるような機能をロボットに持たせる。これが私の考える「1家に1台のロボット」なのです。ただし、1台にあらゆる機能を詰め込もうとすると、ムダが多く生まれ、高価格になってしまいますので、あまり現実的ではありません。「Qoobo」であればしっぽを振る、「甘噛みハムハム」であれば甘噛みというように、コアな機能だけに絞っているのもそのためです。できるだけ用途はシンプルにして、1台といわず、2台3台と「多頭飼い」されるようになれば、「ユカイ」の度合いも相乗的に高まるのではないかと考えています。子供たちのワクワクで「世界をユカイ」に最近では、NHKと全国高等専門学校連合会が後援する「小学生ロボコン」の大会もお手伝いしており、公式キットの販売を手がけています。キットはモーターにいろいろな素材を取りつけて、段差を乗り越えるロボットやピンポン球を飛ばすロボット、飾りをくるくる回すロボットなど、様々な動きが実現可能です。もし間違えても何度でもやり直せて、改良を加えることもできます。この活動を始めたのは、日本全国の小学生にものづくりやプログラミングの楽しさを伝えたいとの想いからです。というのも、私は子供の頃にピアノを習わされたことがあり、基礎練習ばかりでとてもつまらない思いをしました。人類が太古から楽しんできたはずの音楽が、まったく面白くないものになってしまったのです。プログラミングが必修化されたときに子供たちに同じ思いをしてほしくないので、幼い頃からワクワクする楽しいものづくりに触れる機会をできるだけ多く提供したい。そうすれば、やがて子供たちが成長して、ワクワクするものづくりでユーザーをまたワクワクさせるはず。そんな好循環がどんどん広がれば、「世界をユカイ」にできるのではないかと考えています。ユカイ工学の工作キットは、子供たちのものづくりを楽しむ心を育むL［実践］理念経営Labo2023SUMMER17

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SpecialReview革新や創造は使命感から松下幸之助が説いた“意識革命”PHP理念経営研究センター首席研究員川上恒雄高度経済成長時代が終わる頃、松下電器産業（現パナソニック）はすでに世界的な一流企業としての地位を確立していた。しかし、創業者の松下幸之助は革新の気風が薄れてきたきぐことを危惧し、技術者の幹部社員に向けて使命感にもとづいた“意識革命”の必要性を説いたのだった。1970年、ラジオ事業部にて技術者の姿勢を問う1973年1月、松下電器産業のラジオ事業部で「在阪技術担当責任者対象講話会」が開かれた。京阪神地域の課長職以上の技術者ばかりを集めて実施された、松下幸之助の講話会である。当時78歳の幸之助は、出席した1200人の技術者に向かって、技術の専門的なことについては理解できなくなってきた面があると述べつつも、“意識革命”の必要性を訴えた。それは、従来の思考枠組みの延長線上で研究開発や製造の仕事に従事するのではなく、その枠組み自体を見直せということである。幸之助は、松下電器の利益率が伸けねんび悩んでいることに懸念を示していわずらった。このままでは大企業病を患てしまう――。講話では新年ということもあり、当初は上機嫌だった幸之助の口調も、次第に厳しくなる。「私が技術者の方々にときどき何か言うと、『それは難しい』と、こう言う。『難しいからやりがいがあるのやないか』『それはそんなものではない』と、こう言う」幸之助はみずから限界を設定するいらだ技術者の姿勢に苛立っていた。知識だけで技術的に可能か不可能かばかりを考え、世と人の繁栄や幸せのために何かを実現しようという使命感に欠けていたからだ。「できる」という確信講話会の会場となったラジオ事業部の原点は、1931年に自社で独自開発したラジオのヒットにある。もともと松下電器には、ラジオの専門知識を有する技術者がいなかった。それにもかかわらず、短期間で東京中央放送局（NHKの前身）のコン等の栄誉に輝くほどのラジオを開発し、新型のキャビネットに組み込んで発売したところ、市場で高い評価を得たのである。もっとも、松下電器はその前年の1930年にラジオ事業に進出していた。当時のラジオは日本国民にとってまさに“新時代”のオーディオ製品。ただ、新しいがゆえに製品としては発展途上の面もあって故障が多かった。そこで幸之助は、故障なきラジオをつくれば国民に喜ばれると考え、ラジオの製造販売に乗り出す。ただし製造については、自社に技術がなかったため、幸之助が信頼できると思ったラジオメーカーと提携することにした。ところが、同メーカーに対する幸18［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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特集理念から変革を起こす之助の期待は裏切られ、そのラジオにも故障が続出する。ならば独自に高品質のラジオを開発するしかないと判断した幸之助は、当時研究部主任の中尾哲二郎（のちの副社長）に開発の指示を出した。中尾は以前にも、専門外ながら、大ヒット商品となるアイロンを生み出した優秀な技術者だ。中尾は、アイロンの開発を命じられたときと同様、ラジオの製造に関しろうとしても素人同然だった。アイロンのときは幸之助から「きみならできる、必ずできるよ」と励まされておおいに発奮したが、ラジオについては「研究したことがないのですぐにはムリです。相当の時日をください」と答えて、消極的な姿勢を見せる。こんにちそれに対して幸之助は、「今日アマチュアでも立派にラジオを組み立てているではないか。できないことがあるものか。必ずつくれるという確信を持つかどうかが大切だ。私は確信している」と述べた。ここまで言われてしまっては、中尾も引き下がることはできない。研究部総動員で開発に取り組み、なんと3カ月で等のラジオを完成してしまったのである。1つのことにとらわれないこのエピソードで注目すべき点は、「できるはずがない」と思い込んでいたことも、「できるはずだ」という信念を持って開発に注力すれば、実現することもあるということだ。同様のケースは、他にもある。1960年代初頭、シガレットケース型のラジオが売れず、幸之助は現場の工場長に「半値にせい」と命じた。工場幹部らははじめ、その高すぎる要求を冗談だと受けとめてしばらく放っておいたそうだが、幸之助の指示が本気であることがわかり、根本から設計を見直す。その結果、劇的にコストを減らし、1963年にほぼ半値で発売。100万台の大ヒット商品となった。1961年、トヨタ自動車が貿易自由化を見据えてコストダウンを進める一環として、カーラジオを納入していた松下通信工業に対して、20％の価格引き下げを求めたことがある。松下側としては、そもそも％にすぎない取引なので、受け入れがたい要求だったが、幸之助は「日本の自動車産業の将来を考えて」価格引き下げを指示。シガレットケース型ラジオ同様、設計の抜本的見直しにより、性能を落とさずに大幅なコスト削減に成功した。先述の講話会で、幸之助は技術者こに向かって、凝り固まった知識にとらわれてはならないことを強調している。「技術者は、それが仕事だからどうしても1つのものに集中する。しかし、それにとらわれてしまってはいけない。集中するけれども、同時かいめんに頭を海綿のごとくしてやっていく。なんぼでも海綿のごとく吸収していく頭にならなければ、頑固オヤジになってしまう。ぼくは技術者の人に会ってみると、持てる知識、持てる才能、そういうものに凝り固まっていて、なかなか言っても入らない、これは困ったな、という人がときどきあります。いかなることにもとらわれてはいけないのです」幸之助は1つのことにとらわれないためにも、日頃から衆知を集めることの重要性を説いた。多様な見方を吸収することで、斬新なアイデアが浮かんでくるのだ。利己的動機を超えて幸之助がものづくりに関して重視したのは、単なる革新や創造ではなく、そこに使命感が伴われていることだ。1930年にどうしてわざわざ他社の力を借りてまで、ラジオの製造販売に乗り出したのか。それは故障のないラジオをつくることで、従来専門店に限定されていた流通ルートを広げて一般の電気店でも販売ができるようにし、ひいては多くの国民にラジオを普及できると考えたからだ。もう単に松下電器だけが儲ければよいのだとは思っていなかった。その証拠に、ある発明家が取得していたラ年に高額で買い取り、無償公開している。共存共栄の精神で、日本のラジオ産業全体の発展を願ってのことだった。自社に利益をもたらすから革新や創造への原動力になるのだというのも一つの見方だろう。しかし幸之助から学ぶべきは、こうした利己的動機だけではなく、世と人の繁栄や幸せをもたらすという使命感があれば、ラジオ事業のように困難をものともせず、斬新な製品開発への大きなモチベーションが生み出されるということだ。そのような使命感を強く持つことこそ、幸之助の説いた“意識革命”の出発点だといえよう。L［実践］理念経営Labo2023SUMMER19

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「衆知経営」で業界に【志の実践】新風を呼び込むジュエリーのように輝く“キャスト”を育て、愛される会社に株式会社エレガンスヨシダ取締役社長𠮷田旭宏よしだ・あきひろ＊1990年、奈良県生まれ。駒澤大学を卒業後、高野山真言宗直轄の修行機関・高野山専修学院に1年間の修行に入る。2014年、エレガンスヨシダに入社。店長、営業部長を経て、’18年に3代目取締役社長に就任。現在、奈良県内に6店舗を経営する。「松下幸之助経営塾」第16期卒塾。株式会社エレガンスヨシダ本社：奈良県北葛城郡王寺町／創業：1955年／事業内容：ジュエリー・貴金属・時計・アクセサリーの小売販売奈良県王寺町で宝飾小売店6店舗を展開するエレガンスヨシダ。28歳の若さで取締役社長に就任した𠮷田旭宏氏は、スピード感ある行動力と業界の慣習にとらわれない自由な発想で、地域から愛される会社づくりに挑戦し続けている。2021年には「第5回西日本ジュエリーショップ大賞若手経営部門」を受賞し、その経営力はますます注目を集める。経営者となる覚悟を持つために行なった高野山での修行体験から、経営理念実現に向けた取り組みまで、𠮷田氏本人が語る。取材・構成：時政和輝写真提供：エレガンスヨシダタイの鉱山で買付けお客様ニーズに応えるジュエリー業界のディズニーランドになる――。当社が掲げる経営理念です。お客様に非日常的な空間の中でワクワクを感じていただき、また来たいなと思ってもらえるお店でありたい。スタッフは販売員というよりも“キャスト”になってお客様に喜んでいただき、得た利益は商品やサービス、私たちの給与に投資し還元していく、そういう思いを込めました。「ディズニーランド」はそのことを感覚的に伝えてくれるピッ20［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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「衆知経営」で業界に新風を呼び込むタリの言葉です。私は、この理念を実現し、地域から愛される会社になまいしんることを目指して邁進しています。当社は、奈良県下でジュエリー、時計、バッグなどの小売や修理、貴金属の買い取りを生業としています。60年以上かけて培われた、有名メーカー、ブローカー、工場、デザイナー、職人とのつながりがあるので、高品質のジュエリーを適正な価格でご提供することができます。お客様からの様々なニーズに応えるために、今から5年前、ジュエリーの製造まで手を広げ、海外へ直接買付けにも行っています。ついこの前もタイの奥地の鉱山や、世界中から原石を輸入・研磨・輸出する海外工場にまで足を運びましたが、現地の方から「20代の日本人が訪ねに来たのは、君が初めてだ」と言われました（笑）。それだけ、まだ日本の業者、特に小売の立場の者がジュエリーの源流を求めて海外の発掘現場に行くことは珍しいからでしょう。逆にいえば、これから開拓する余地があるということです。ジュエリー業界の川上から川下へと一気通貫する事業ができれば、お客様が求める商品をより適正な価格でお届けすることができるのです。ジュエリー業界では通常、川上から川下までのあいだに、多くの業者や企業が介在します。海外で発掘海外の加工工場へ足を運び、鉱石の品定めをするした原石を扱い研磨する業者⇒現地のブローカー⇒現地の卸売業者や輸出業者⇒国内卸売業者や輸入業者⇒国内メーカー⇒問屋⇒小売⇒消費者というのが一般的な流れです。しかし、当社は川上から直接買付けするルートを模索し、さらに委託する工場や職人に製造してもらうことで、お客様により適正な価格でお届けすることができます。一般的なデザインの安価なアクセサリーと違い、本来のジュエリーは、自然の産物のため品番がなく、一つとして同じ商品がないことに特徴があります。だから、大量生産によって大きく価格を下げることができません。安価なものではないからこそ、お客様が本当に求める唯一のものを提供したいと、日々、考え続けています。倒産の危機に直面するも先代の改革で乗り越える当社は、私の祖父が奈良県で1955年に創業した小さな時計修理店が始まりです。祖父は、パナソニックグループ創業者の松下幸之助でっちさんと同じように、幼くして丁稚奉公に出た苦労人でした。奉公先は時計の修理店です。そこで手に職をつけた祖父は、下請けの時計修理の専門業として身を立てます。その後、高度経済成長の波に乗って、眼鏡、時計、婚約儀式の結納品の販売や写真の現像にも事業を広げました。ジュエリーを販売するようになったのは、結納関連で扱い始めたことがきっかけです。1980年代、多いときには9店舗まで拡大し、エリア展開を図りましたが、バブルが弾けると業界の市場は3分の1に激減し、当社も3店舗に縮小しました。父は、個人で多額の負債を抱えたそうです。これだけの危機的状況に陥ったのは、後にも先にもありません。父は2001年、社長に就任し、数々の改革を試みました。お客様に対して担当スタッフがフォローする顧客管理体制の構築や、社員評価システムの一新、子育てや介護をしながら働くことのできる勤務形態の導入、定年制の廃止、といったことに取り組み、自由で安心して働ける職場環境づくりを進めました。この改革は功を奏して、今では、10代から70代まで幅広い年齢層の人がイキイキと働いています。先日行なったアンケートでは、仕事への意識やモチベーションが非常に高いことがわかりました。そうした中、私は2014年に入社し、その4年後、社長に就任。ハイスピードで経営に携わるようになりますが、入社前に私自身も大きな試練と向き合っていました。仏門の道に!?ざんまい高野山での修行三昧実のところ私は当初、父の仕事を継ぐ気がありませんでした。大学進学のために上京してからは、様々なアルバイトを経験し、人とコミュニケーションを取る仕事が自分に合っていると気がつきます。そのまま東京の会社に就職して接客業をしたいと考えたり、一方で、商社に入って世界を股に掛けた仕事をしたいと思ったりして、就職活動もしました。しかし、事業を主導する父の背中を見てきて、一度きりの人生、たとえ大企業の規模でなくとも、一経営者として会社を大きくすることにほんそう奔走したほうが楽しいし、自分に向［実践］理念経営Labo2023SUMMER21

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いているのではないか、との思いがふつふつ沸々とわき起こり、父の会社を継ぐ決心をしたのです。ただ、私は大学生活を自由気ままに満喫していたので、経営のこともわからなければ、人の上に立つ責任感も持ち合わせていません。このままでは、会社経営はできないと思い、父に相談したところ、母の実家がお寺なので修行してみてはどうか、と提案してくれました。母は、和歌山県の白浜の近くにあすくまだにかんのんる「救馬渓観音真言系単立）の生まれです。その母の実家の援助を得て、私は大学卒業後、高野山に入って出家得度しました。1年間だけでしたが、私にとっては人生観が変わるほどの大きな意味を持つ期間でした。しどけ最も過酷だったのは、「四度加ぎょうあじゃり行」という、阿闍梨（密教における僧の位）になるための100日間に及ぶ行です。これを満行して、初めて真言宗の僧侶と認められます。早いときは夜明け前の3時に起床して、お勤め、掃除、修行の繰り返し。もちろん、肉、魚、酒は一切禁止で、体重が20キロも落ちました。お勤めが終わるのは21時、それから翌日の準備をすると、床に就けるのは23時という毎日でした。修行の最終段階では、普段の行に加えて、火を使う護摩行があり、12月の寒い時期に、高野山奥之院玉川にて水行に励む𠮷田氏（２列目右から２人目）ごま日に12時間、これを1週間やり続けることもあります。なかには疲労こんぱい困憊して、眠気で火の中に倒れ込みそうな人もいました。そうやって、自分自身の限界と向き合い続けたのです。これまでの学生生活の中で皆勤賞と無縁だった私が、無遅刻無欠席で満行できたのは、経営者になるという確固たる目標があったことと、それに伴い「この機会に今の自分を変えられなければ、一生変わることができない」と背水の陣を敷いたからでしょう。この1年間で、人間は強い覚悟があれば簡単には死なない、ということに気づかされました。自分の限界を超えられたことが、今の会社経営にも大きく役立っています。経営塾で問われる人生観と経営観高野山での修行を終え、父の会社に入社すると、最初は販売員として店舗に立ち、一から仕事を覚えましひいきた。社長の息子だから贔屓されていると周囲から思われたくなかったので、結果にこだわり、必死で働きました。具体的には、売上を上げることが、自分自身における至上命題になっていきます。新店舗を出した際には、店長を任せられ、店の経営を軌道に乗せました。父からその実績が認められ、営業部長を経て、28歳で取締役社長に就任します。私自身、まだ早いのではないかと不安もありましたが、現代の価値観に合った事業を展開するには若い人に任せるのがよい、と父が判断したからでしょう。PHP研究所が主催する「松下幸之助経営塾」について知ったのは、社長就任の数カ月前のことでした。きっかけは食事の際にたまたま父が目にした新聞広告で、松下幸之助さんの経営哲学なら間違いないという直感があり、入塾させていただくことになりました。経営塾では経営のテクニックやノウハウではなく、まず自分のものの見方・考え方が問われます。松下幸之助さんの経営哲学を学びながら、自分の自然観・人間観・経営観という「観」を養っていきました。そして、半年以上かけて私の志を確立し、その決意表明を行ないます。入社以来、ただ売上を上げて会社を大きくすることに一心だった私は、目うろこから鱗が落ちました。また、同期の経営者にも素晴らしい方がたくさんおられ、その考えを聞いて、よいと思ったことはすぐに会社に取り入れ実践しました。社長就任にあたって、コンサルタントの方から「なぜ経営者になるのか。なってどうしたいのか。自分なりの理念を考えたほうがいい」とアドバイスがあり、塾の中でも経営理念について学んだことが重なって、すぐに理念策定に取り掛かりました。そうしてできたのが、冒頭に紹介した経営理念です。文言が決まるまでに、スタッフやご贔屓いただいているお客様にも意見を聞いて回りました。理念を根づかせるために、朝礼や全スタッフが集まる場で、理念を交えた話を繰り返し行なっています。また、毎月の給与袋には、「経営理念・行動指針・商い三信条」の文言と、松下幸之助さんの言葉、私の経営に対する考えや、会社をどうしていきたいのかということについつづ用紙の裏面にまで綴った手紙22［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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を同封しています。驚いたのは、理念を重視するようになってから、売上全体が上がったことです。目指すところが明確になったからか、スタッフは以前よりもエネルギッシュになり、お店全体の雰囲気も明るくなったと第三者の方にもよく言われます。「発心すれば即ち到る」松下幸之助さんの経営に対する考え方の中で特に大きな学びとなったのは、「衆知経営」と「自主責任経営」でした。松下幸之助さんは「衆知」を集めることの大切さについて、次のように述べています。「いかにすぐれた人といえども、人間である以上、神のごとく全知全能というわけにはいかない。その知恵にはおのずと限りがある。その限りある自分の知恵だけで仕事をしていこうとすれば、いろいろと考えの及ばない点、かたよった点も出てきて、往々にしてそれが失敗に結びつもんじゅいてくる。やはり『三人寄れば文殊の知恵』という言葉もあるように、多くの人の知恵を集めてやるに如しくはないのである」（松下幸之助『実践経営哲学』PHP研究所）当社はかつて、経営危機を脱するために先代の父が強い権力を持たざるをえず、ワンマン経営に傾いていました。しかし、経営が軌道に乗った今、スタッフからも積極的に意見を取り入れて、全員で経営していくという意識を醸成したいと思っています。そのために重要となるのが、もう一つの「自主責任経営」です。「経営を進めていく場合、自主責任経営といいますか、それぞれの人が会社の基本方針にのっとりつつ、責任をもって自主的に仕事を進めていくという姿はきわめて好ましいと思います。いわゆるめい“命これに従う”ということで、いちいち上位者に指図され、いちいち上司にきいて仕事をしていたのでは、成果もあがらず、人も育たないでしょう。やはり全員が独立性をもって仕事をし、経営をしていくということでありたいと思うのです」（松下幸之助『経営心得帖』PHP研究所）すべてのスタッフが、経営理念や行動指針にのっとって、目の前のお客様にどう喜んでいただくか、自分で考え行動できるようになれば、仕事へのやりがいはますます高まり、その人の力を十二分に活かすことができるはずです。その取り組みの一端として、毎月行なっている店長会の名称をシンプルに「定例会」とし、店長以外も参加できるようにしました。スタッフの店舗経営への意識が高まることを目指しています。また、スタッフの売上目標については、本人が決められるようにしました。本来、目標は人にいわれて持つものではなく、自分自身で決めるものだと考えています。今では、スタッフの数字目標に対して、私はほぼ関与せず、店長の確認だけで済むようになりました。今まで社長権限で決定していたものも、意識して委譲するようにしています。創業65周年記念の展示会では、スタッフは思い思いのコスプレ衣装でお客様をもてなした当社は将来的に、事業拡大に合わせて分社化しホールディングスにすることを構想しており、現在その準備として、「パーパス」の策定に取り組んでいます。その前段階として、理念の実現化に向けての具体策を出し合うワークショップを、全スタッフをグループに分けて行ないましたが、私は敢えて加わらないようにしました。するとその結果、私には思いつかないような斬新なアイデアが出てきたことが驚きで、衆知を集めることの素晴らしさを実感することができました。最後に、私が高野山での修行時代に学んで、今も大事にしている空海の言葉をご紹介しましょう。めいごほっしん「迷悟我に在れば発心すれば即ち到る」（空海『般若心経秘鍵』）迷いや悟りは本来、自分自身の内にあるものだから、発心すなわち悟りを求めようとする心を興せば、ただちに悟りに到達できるという教えです。私は「発心」を「こうありたいとみずから強く思うこと」と理解しており、この言葉を通して、本気で考え覚悟すれば、物事は半分成しえたようなものだ、と主体性を持つ大切さをスタッフに語っています。そして私自身もまた、「ジュエリー業界のディズニーランドになる」という理念の実現に向けて、まずみずから発心することを心がけ、衆知を集めつつ取り組んでいきます。L［実践］理念経営Labo2023SUMMER23

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塾生通信日に新た「松下幸之助経営塾」に関する情報と卒塾生の近況をお伝えします第22回「同志会」ボードゲームで親睦深まる2023年4月21日、松下幸之助経営塾の卒塾生の集い「PHP松下幸之助経営塾同志会」の第22回が、新たに卒塾した第24期生を迎え、京都市内の島津製作所旧本社ビル「フォーチュンガーデン京都」で開かれました。今回のテーマは「体感！衆知経営～組織の『一体感』の高め方～」。前半では、昨年誕生したボードゲーム「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」の体験会が行なわれました。このゲームはプレイヤー間の勝負を競うものではなく、協働して事業の貢献値を上げていく“協力型”ゲームで、参加者からは「仕事で求められる全体観が養われる」「卒塾生の新しい一面を知れて関係が深まった」との声が聞かれました。次に、PHPゼミナール講師の井原恵津子氏による「心理的安全性を高める『ペップトーク』」の講演・演習が行なわれました。「ペップトーク」とは、「短く」「わかりやすく」「肯定的な」「魂を揺さぶる」ショートスピーチ。学習の効果もあって、のちの懇親会での長くなりがちな乾杯の挨拶が「簡潔で短い」と大好評でした。さらに、PHP理念経営研究センター代表で松下幸之助経営塾主幹講師の渡邊祐介が「部下を鼓舞する松下幸之助の話し方」について講話。幸之助のちょっとした声かけで、社員が感激、発憤したエピソードが紹介されました。同志会をフォーチュンガーデン京都で開催（撮影：永島寿）懇親会では、賞品の「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」をかけたじゃんけん大会が盛り上がるなど、充実した「同志会」となりました。なお、次回は10月20日、東京の神田明神で開催の予定です。第25期生の有志が清掃活動に参加松下幸之助経営塾は、4月14、15日に第26期がスタート。元松下電器産業副社長でぴあ終身相談役の佐久間曻二氏が「商品を売る前に経営理念を売って欲しい」と題して、特別講話を行ないました。ご高齢ながはつらつら元気溌剌としたお姿に接して、健康法にまで質問が及びました。5月19、20日には第25期の第5回が開催され、サイボウズ社長の青野慶久氏が特別講話にオンライン方式で登壇しました。テーマは「チームワークあふれる社会を創る」。経営が低迷して苦悩していたときに松下幸之助の言葉がきっかけで真剣に志を立てた話に感銘を受けたと、塾いくどうおん生は異口同音に感想を述べました。また有志数名で、「京都掃除に学ぶ会」の清掃活動に参加。早朝の繁華街をきれいにし、朝から気持ちのよい汗を流しました。掃除を大切にした松下幸之助の思いに触れる機会になりました。社長就任、「街盛プロジェクト」おいしいニュースも2023年4月1日、機械設計などを手がけるメニックス（滋賀県近江八幡市）の櫻井健太郎氏（第13期）が創立30年を期に代表取締役社長に就任しました。「2017年から経営に参画していたものの、会社を代表する立場に責任の重さを感じております。塾で学んだ志の大切さ、素直な心を持ち続けることを忘れずに、意見を聞き仕事を任せていく『人を活かす経営』を目指して日々、精進してまいります」との抱負。今後のご活躍を祈念します。久保寺亮介氏（第15期）が代表を務め、「社外社長室」サービスを提供するDドゥークスooox（東京都千代田区）24［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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塾生通信日に新たが地域活性化事業「街盛プロジェクト」を推進中です。地元の方が主役になり、地域の魅力開発や人材の流入経路拡大のため、持続的に実施可能な新規事業やコンテンツの創出を支援します。アイデア出しから、事業戦略・情報発信方法・資金調達手段の提案に加え、行政との連携・仲立ちを担います。最初のプロジェクトは、奈良県の田原本町でスタートしたマンゴー栽培。地元の企業メンバーで会社を設立し、将来的にはマンゴーを使ったスイーツの展開やブランド化、海外への出荷を目指しています。また、山口県岩国市では、“都会デトックス”をテーマに、都会で生活する経営者を招待して、里山の古民家を活用したイベントを行ないました。川遊び、山登り、薪わり体験など自然と触れ合うことで、心身がリフレッシュし、新しいアイデアが生まれたと好評でした。今後は他の地域でも同様の体験ができる場所を増やし、その土地ならではのイベントや、会員制を導入して長期的な活動ができるような展開を計画しています。角井美穂氏（第6期）が社長を務める角井食品（京都府宇治市）は、おいしく安心して飲めるジュース「miosai（ミオサイ）」シリーズを開発しました。国内に十数台しかない高圧処理機械を用いた独自製法により、化学的な添加物はおろか塩や砂糖、水も一切加えずつくられた栄養価の高い野菜ジュースで、「あらしぼり人参」「むらさき人参」「ビーツとトマト」など、多彩なラインナップが登場。野菜や果物の味や香りを自然のまま楽しめると好評を得ています。L経営者が“経営の志”を確立・再確認するための研修講座松下幸之助経営塾本セミナーの特徴松下幸之助の経営哲学を根本から学べる唯一の講座弊社で70年有余にわたり研究を重ねた“松下幸之助の経営哲学の真髄”を、経営者の皆様に分かりやすくお伝えするためのセミナー形式の講座です。人間観を養い高め、経営者としてのあり方を学ぶ本講座は、時代や環境の移り変わりの中で生まれる新しいマネジメント手法を学ぶものではありません。経営者のただ今、新規申込受付中詳しくはホームページで資料のご請求はホームページまたは下記窓口へお問い合わせください。https://www.php.co.jp/seminar/m-keieijuku/株式会社PHP研究所第二事業本部〈京都〉TEL075（681）1295FAX075（681）2656〈東京〉TEL03（3520）9631FAX03（3520）9648「志」をキーワードとして、松下幸之助が最も大切にした“経営理念の確立と浸透・共感”を実現すべく、その基となる自然・宇宙観や人間観等を学び、より本質的な“経営者としての器量”を養い高めていただく講座です。「志」の確立に向けた、充実の10カ月10カ月の在籍期間中に１泊２日のセミナーを全６回、隔月で開催。学びと実践、検証をくり返しながら成果を高めていただけます。また、１クラスは最大でも12名の少人数制で、受講者間の討議・交流による相互啓発など受講者お一人おひとりに充実した環境を提供いたします。プログラム第１回『志から理念へ～経営の使命～』第２回『本質を考える～自然の理法～』第３回『原理原則を貫く～基本の徹底～』第４回『人を育てる～事業は人なり～』第５回『経営を革新する～日に新た～』第６回『志を伝える～私の命知発見～』開催要領◦受講資格：経営者ご本人、後継経営者（経営幹部）◦募集人数：12名⃝開講期間：10カ月1開催1泊2日、全6回（隔月開催）⃝受講料：122万1000円（税込）⃝会場：株式会社PHP研究所京都本部（JR・近鉄「京都」駅八条口より徒歩５分）［実践］理念経営Labo2023SUMMER25

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「社会の公器」として輝く良い会社心のスイッチをONにしてお客様に寄り添える人材に評判の「朝礼」と感動の「社員の夢をかなえる制度」株式会社琉球補聴器代表取締役社長森山賢もりやま・けん＊1972年生まれ。沖縄県那覇市首里出身。東洋大学卒業後、東京で教材営業の仕事に従事したのち、補聴器販売会社勤務を経て、2004年、琉球補聴器に入社。‘07年、創業20周年で社長に就任。株式会社琉球補聴器本社：沖縄県那覇市／創業：1987年／事業内容：医療機器・補聴器・聴能訓練器等の販売、修理事業活動を通じてお客様や従業員、地域の人々に喜ばれ、「社会の公器」として信頼を集める“良い会社”。その会社づくりは、どのように行なわれているのか。沖縄県で補聴器販売の専門店を6店舗展開し、県内シェアの約7割を獲得している琉球補聴器は、創業以来30期連続黒字を達成する一方で、働きやすい職場づくりなどが評価され、2018年には県内で初めて、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞（人を大切にする経営学会等主催）の審査委員会特別賞にも輝いた。県内にとどまらず県外からも数々の企業が視察に訪れる同社のユニークな取り組みについて、森山賢社長に詳しく話をうかがった。取材・構成：池口祥司写真撮影：大谷泰志写真提供：琉球補聴器（P26）「商談」より「相談」でお客様に寄り添う補聴器を専門で扱っている当社は、ありがたいことに県内数多くのお客様にご愛顧いただいています。しかし、補聴器というのは、使わずにいられるならそのほうがいい。お越しになるお客様は、耳の聴こえが悪くなったり、違和感を覚えたからやむなくご来店されるというケースがほとんどなのです。そのため、当社のスタッフはみな、「商談」ではなく「相談」の姿勢でお客様に寄り添うよう心がけています。商談となるとどうしても「商品を買っていただきたい」という思いが強くなってしまいますが、「相談」と考えれば、「お客様は今日どんな思いで足を運ばれているのだろうか」「どれほどのお困りごとがあって、勇気を出してお越しになったのか」と思いを馳せることができるようになります。こうした姿勢を徹底するため、当社では「営業ノルマ」を一切設けていません。もちろん、目標は設定していますが、それを達成できなかったからといって給与が下がるなどのペナルティはないので、スタッフはとことん「相談」の姿勢を貫いてくれています。26［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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「社会の公器」として輝く良い会社こういうと、どうしてそれで経営が成り立っているのかと、不思議に思われるかもしれません。それも創業以来1度も赤字経営になっていないわけですから、「どこにその秘訣があるのか？」とよく聞かれます。実のところ、どこまでもお客様に寄り添う姿勢と経営を両立させるというのは本当に容易なことではないと、私自身いつも感じています。ただ、確かに一ついえるのは、先代の社長である父の時代から当社は、お客様に喜ばれ、広く信頼されることを経営理念に掲げ、それを徹底してやり続けてきたことです。当社の経営理念は、以下の通り、「深い人間性」「広い社会性」「高い生産性」を重んじています。○深い人間性：我が社は、永遠の発展を目指し、親切丁寧をモットーにお客様に最善を尽くします。○広い社会性：我が社は、聴こえる喜びを提供し、信頼される企業を目指します。○高い生産性：我が社は、専門家集団により、顧客満足を高め、相互の豊かさを追求します。そして私の代になってから、この経営理念を実践するための指針として「社訓」を新たにつくりました。その際、社員たちに現場でどんなことを実践したらよいか、文言の一字一句にこだわって考えてもらったので、「この部分は私の案がベースになっている」「読点の位置にも気を配った」といった会話が交わされるくらい、社員の中でも納得感、愛着のあるものになっています。社訓の最後に創業者精神の実践として「素直前向きコツコツ」と取り組むことをつけ加えたのは、私のこだわりです。いくらいい文言を掲げても実践につながらなければ意味がありませんので、何事にもその姿勢で臨んでほしいという願いを込めました。視察が絶えない1時間超の朝礼これらの経営理念や社訓を本当の意味で社員一人ひとりの心に浸透させるために、当社ではいくつかの取り組みを実施しています。その一つが毎日の「朝礼」です。朝礼といえば、当日の予定や連絡事項、目標の進捗状況などを共有して、5分、10分で終わるイメージをお持ちの方も多いと思います。ですが、当社の朝礼はだいたい1時間、長いときは1時間半くらいかけて以下の内容を行ないます。・経営理念、社訓の唱和・読み物の朗読・ロールプレイング・業務連絡・キャンペーン等の進捗報告・スピーチ・イメージ訓練・No.1宣言・挨拶訓練・ハイ訓練順を追って簡単に説明すると、はじめに経営理念と社訓を唱和し、その後の5分間は本の朗読会です。松下幸之助さんの『道をひらく』（PHP研究所）とか仕事や人生に役立つエピソード集などを読んだりしています。1日5分でも毎日コツコツ続ければ、年間で4～5冊くらい朝礼はテレビ回線をつないで全店舗一緒に行なう読むことになりますから、やるのとやらないのとでは、思考の深さ、人間的成長という点でも大きな違いが生まれると思っています。次に、ペアになって接客のロールプレイングを行ないます。これは単なるセールストークの練習ではなく、お客様の思いを感じ取り、不安感を和らげるコミュニケーション力を養うためのレッスンです。お客様の思いを感じ取るためには、「話す」ことよりも「聞く」ことのほうが大切です。お客様のお話割程度で、こち割程度というのが理想的なコミュニケーションだと考えています。業務関係の連絡・報告の後は、社員によるスピーチです。基本的には1人1分程度で、順番に自由なテーマで話していきます。仕事でお客様からお褒めやお叱りを受けたこととか、プライベートでどんなことが［実践］理念経営Labo2023SUMMER27

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あったかなど話題が盛りだくさんで、3分ぐらい話してしまう人も少なくありません。新入社員や話すことに不慣れだった人も、やっているうちに自分の発信したいことをうまく伝えられるようになります。加えて、人の話をきちんと聞く姿さっこん勢も身につきます。昨今、「組織の心理的安全性」が大切だとよくいわれますが、他のメンバーの話を聞くことで、情報の共有にとどまらず、相手の考えや状況を理解し、お互いに気遣えるようになるので、チームビルディングにおいてとても役立っていると感じています。当社では「プラスの言葉」「プラスの表情」「プラスの動作」「プラスのイメージ」の4つの「プラス」を大切にしており、それらを高める訓練も朝礼で行なっています。まず、自分の中で希望や感謝の気持ちを高めるのがイメージ訓練です。部屋を暗くしてBGMを流し、ナビゲート役が問題提起となる呼びかけを行ないます。たとえば、「これまでお母さんにどんなことをしてもらいましたか」「逆にこれからしてあげたいことは何ですか」と投げかけて、各々がイメージを膨らませるわけです。続いてNo.1宣言は、今日一日、どんなことでNo.1となるかをみんなの前で宣言するものです。たとえば、「.1でいきます！」「素直と感謝力、No.1でいきます！」というように、その日自分が誰よりも負けないぐらいに取り組みたい目標を言葉にします。挨拶訓練は文字通り、接客の基本である「おはようございます」「ありがとうございます」といった挨拶の練習で、ハイ訓練はお互いを鼓舞こぶするプラスの言葉と、ハイタッチや拍手などのプラスの動作や表情を交えてモチベーションを上げていくものです。これらの訓練を毎日開店前に行なうことで、全員「心のスイッチ」がONになり、元気いっぱいの希望にあふれた状態でお客様をお迎えできるようになります。耳のお悩みでやむなく来店されるお客様に対して不安を取り除き、「今日は来てよかった」と笑顔になっていただくことが私たちの使命。当社の朝礼は、お互いをそこに向かって臨める状態にするための場であり、人間成長の場ともなっているのです。朝礼にここまで時間をかけて取り組む企業は珍しいということで、見学のご要望を県内外から多数いただいておりますが、もしご興味のある方がいらっしゃいましたら、お気軽にお声がけいただければと思います。利益が出るほど社員の夢が実現する制度朝礼以外にも、良い会社づくりのために取り組んでいることを2つご紹介します。1つは、社員の夢を応援したいという思いで創設した「社員の夢をかなえる制度」です。これは決算での経常利益1000万円につき社員1名の夢をかなえるというもので、それにかかる費用はすべて会社が負担し、上限はありません。誰の夢をかなえるかというのは、全員が一堂に会する選考会での投票で決まります。社員は自分の夢をみんなの前でプレゼンテーションし、多くの支持を集めた人の夢が選ばれるというわけです。そのため、あまり共感が得られないような夢は選ばれず、応援してあげたくなるような夢が選ばれることになります。たとえば「冬の北海道に行って、家族でワカサギ釣りをしてみたい」といったものや、「小さな頃から家族ばらばらで、揃って食卓を囲んだ思い出がほとんどないので、焼き肉屋を借り切って食事会を開催したい」とか「苦労をかけた両親を海外旅行に招待したい」「介護車両が欲しい」といった夢がこれまでに選ばれています。夢の選考会は、社員としても自分年間頑張って働いて稼いだお金の使い道を決める重要なイベントであり、笑いあり涙ありの感動の瞬間で、いつも大変盛り上がります。利益が多い年ほどたくさんの社員の夢が実現することになるので、みんなのモチベーションを高めることにもつながっていると思います。もう一つの取り組みは、父の代から行なっている掃除活動です。毎週木曜日、全社員で本店の目の前にあそうげんじる崇元寺公園の石門や石垣、敷地内の公衆トイレを掃除しています。この取り組みには、3つの思いが込められています。当社は「崇元寺石門向いの琉球補聴器」をキャッチフレーズとしているため、1つは名前を使わせていただいていることへの感謝の気持ちです。2つ目は、地域への恩返しの気持ちです。私たちが店舗を構えて毎日営業することができているのは、地域の皆様にそれを認めてもらえているお陰だと考えています。そして3つ目には、掃除を通じて社員に「気づき」のアンテナを高めてほしいという経営者としての思いがあります。継続して取り組む中で、「ここはいつも汚れがあるな」28［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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「社会の公器」として輝く良い会社とか「こうしたほうがきれいになるな」というように、様々な気づきを得て工夫することを学びます。その経験は、仕事においてもお客様の思いを汲み取ったり、業務改善を図ることにつながるはずです。成長の阻害要因は「社長」転機となった社員の直言これらの取り組みを通して、私も今でこそ社員のみんなと信頼関係を築けるようになりましたが、実はそうなる以前に「痛恨の極み」ともいえる苦い思い出がありました。それ年ほど経った2011年のことです。社員研修の際に「琉球補聴器が良い会社になるうえで、阻害要因となっているものは何か」というアンケートを無記名で実施したところ、なんと「社長」という回答が一番多かったのです。「社員への愛情がない」「本音で接していない」「創業者への尊敬の思いがない」など、痛烈な批判のオンパレード。社員たちのま本音を目の当たりにし、悔しくてその日の夜は一睡もできませんでした。翌朝、私は社員たちの前で正座し、謝罪の言葉を述べました。「いつも口では会社を良くするためと言いながら、みんなのことを考えず、悪い影響をもたらしていることに気づかされました。本当に申し訳ありませんでした」そう言って頭を下げると、我慢していた涙が一気にあふれ出しました。それまでの私は、創業者である父の存在の大きさをプレッシャーに感じ、その教えや考え方を素直に受け森山社長はアンケートで寄せられた厳しい意見を今も大事に残している止められずにいました。そして2代枚の葉書です。尊敬していはや目経営者として先代を超えたいと逸る気持ちが、自分本位の考え方や行動となって表れていたのです。社員はみんな父が創業した琉球補聴器のことが大好きで、これからも良い会社でずっと働きたいと思っているからこそ、私に真っ直ぐな気持ちをぶつけてくれた――そう思い至ることができ、私は社員への感謝の念と、その期待に応えたいという思いを強く持ちました。先に述べた、社訓に「創業者精神」を加えたことも、「社員の夢をかなえる制度」を設けたのも、その思いにもとづいてのことです。人間は誰しも心の中にエゴを持っていて、それを全部取り去ることはできません。でも、努力して抑えることはできます。特に経営者は心の中のエゴの部分が大きくならないようにいつも自己点検をして、日々心を高めていかなければならないと思います。それを実践する意味で私が取り組んでいるのが、父に宛てて書いている経営者の方から教わった取り組みで、1日1枚ずつ、日頃の出来事や感じたことなどをしたためて送ります。やはり毎日続けるというのはなかなか難しく、実は忙しさにかまけて100枚もいかないうちに1度挫折してしまいました。楽しみつつ取り組む姿勢が足りなかったと反省して現在2回目に挑戦しており、今年10月頃に1000枚に到達する見込みです。これを通じて、私がどんな思いで経営に臨んでいるかを創業者である父に知ってもらえるだけでなく、自分自身のエゴと向き合い、心を整える時間を持てるようになりました。以上のような取り組みをこれからも社員たちと力を合わせて日々積み重ねていくことで、父や先輩社員の皆さん、そして地域のお客様によって築かれてきた琉球補聴器の良き風土を受け継ぎ、よりいっそう高めていきたいと考えています。L［実践］理念経営Labo2023SUMMER29

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〈アントレプレナーの最前線〉――時代をつくる旗手たち人を“アップデート”する世界初の製品づくりに挑戦スポーツもビジネスも「」が常識を変える！ゾーン株式会社ニューラルポート代表取締役社長島藤安奈（写真右）しまふじ・あんな＊1992年生まれ。同志社大学経済学部入学後、3年次に大阪大学人間科学部に編入。同大学大学院人間科学研究科修士課程修了、博士後期課程単位取得退学。2020年にニューラルポートを設立。国際電気通信基礎技術研究所脳情報研究所の専任研究技術員を経て、現在の事業をスタート。取締役島藤純奈（写真左）しまふじ・じゅんな＊1994年生まれ。ボクサーを経て、2018年から’22年まで農林水産省の輸出促進プロジェクト運営に携わる。’20年、姉の安奈氏とともに起業。株式会社ニューラルポート本社：兵庫県芦屋市／創業：2020年／事業内容：ヘルステック領域での製品開発「ミライの『フツウ』をつくろう」をコンセプトに、大阪大学発の学生ベンチャーとして2020年9月に設立されたニューラルポート。神経科学や発達心理学を研究する島藤安奈氏と、妹の島藤純奈氏が姉妹で創業し、2022年12月には世界初となる視線計測型VRストレスチェックシステムの実証を開始した。現在それをさらに進化させた「ゾーン状態」（超集中状態）をつくる製品の開発に取り組んでいる同社は、どのような“ミライ”の実現を目指しているのか。起業の経緯から製品開発にかける思い、今後の展望までを二人にうかがった。聞き手：編集部構成：塚田有香写真提供：ニューラルポート研究領域ではできない課題解決を目指して起業――まずは起業の経緯をお聞かせください。島藤安奈氏（以下、安奈氏）私は大阪大学で視線計測を研究していて、当初は発達障害やうつの新しい診断ツールの開発を目指していました。でも研究を進めるうち、心理領域だけではできることに限界があると感じるようになりました。そこで脳科学やロボティクスなど他の研究室の門を叩き、様々な領域の研究者と話をするうちに、大学で研究を続けるより、テクノロジーを活用して事業をやってみたいと考え始めたのです。特に大きかったのが30［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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脳科学との出会いで、縁あって国際電気通信基礎技術研究所の脳情報研究所に入り、「やるならこの領域だ」と確信しました。そして自分の研究を事業化し、ヘルステック領域の法人を立ち上げようと決めました。――起業することで、大学やラボの研究者の立場ではできないことにも挑戦できると考えたのですか？安奈氏研究領域ではどうしても「研究のための研究」になりがちで、世の中の課題や困りごとの解決に直結する研究事例は少ないのが実情です。私が取り組んでいた視線計測の研究も、研究成果を享受できる人の範囲は限られていて、1億人や10億人の規模で誰かの役に立てる製品に昇華するのは難しかった。私はより多くの人の課題解決につながるものを生み出したいという思いが強かったので、社会的インパクトのあるイノベーションを創出するには起業するしかないと思い、妹と一緒に創業することを決意しました。島藤純奈氏（以下、純奈氏）姉は研究開発や資金調達を、私は営業やデザイン、研究に協力してくださる方への対応などを担当し、二人で役割分担をして事業化を進めています。ロッカールームで「ZENEYEPRO」を使用する阪神タイガースの梅野隆太郎選手――昨年末にはニューラルポートにとって第1号となる製品をリリースしました。これはどのような機能や特徴を持つ製品ですか？安奈氏当社の第1号製品として開発したのが、視線計測型VRストレスチェックシステムの「ZENEYEPRO」（ゼン・アイ・プロ）です。ユーザーが視線の動きを測定できるVRゴーグルを着用し、仮想空間に表示される動画像群を眺めるだけで、ストレスの度合いをAIが診断できる仕組みになっています。ゴーグルの内部には赤外線を出す小さな装置が搭載され、瞳の角膜に照射することで、視線が動く方向や距離を測定しています。これは世界的に有名なメーカーの専属ライセンスで実現できた、他社製品にない機能です。たとえば特定の画像を2枚並べて、ユーザーがどちらの画像を、どの順番で、どれくらいの時間見るかを測定する。こうしたデータを取得し、AIが分析することで、これまで判断が難しかったストレスの状態を定量的に可視化できます。現在は「ZENEYEPRO」の進化版として、VRストレスチェックをもとにメディカルチェックを行なう「ZONE-Z」（ゾーン・ジー）の開発に取り組んでいます。こちらはユーザーが極限まで集中し、最高のパフォーマンスを発揮できる「ゾーン」と呼ばれる状態に入るのをサポートする製品です。――そんなことができるのですか!?安奈氏「ZONE-Z」は人間1人が中に座れるカプセルの形状になっていて、体温、脈拍、呼吸、心拍、脳波、体重などの各種データを測定できるセンサを内部に設置します。これによりストレス値だけでなく、あらゆるメディカルデータの測定が可能です。その結果をもとにユーザーがゾーンに入りやすい環境を人工的に設計すれば、パフォーマンスを最大化できます。たとえばストレスを緩和するアロマを放出したり、ユーザーが装着したARグラスに個々のストレスレベルに応じた3Dコンテンツを表示することで、ゾーン入りをサポートする方法を考えています。まずはアスリートをターゲットユーザーに――製品のターゲットはどのような層を想定していますか？純奈氏まずはアスリート向けの製品として販売していく計画です。私自身がかつてボクサーだったこともあり、アスリートのメンタルヘルスの状態を把握したり、スポーツチームの健康管理をする場面でニーズがあると考えました。そこで開発中の「ZONE-Z」をプロ野球球団に紹介したところ、非常［実践］理念経営Labo2023SUMMER31

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に良い反応が得られました。チームをマネジメントする担当者によれば、現在は選手自身に毎日の体温や体重などをスマートフォンに入力させているものの、なかなか続かなくて困っているので、ロッカールームに「ZONE-Z」を置いて選手が中に入るだけでメディカルデータを測定できるのであれば、大変ありがたいとのことでした。現在は導入に向けて話を進めているところです。また阪神タイガースの梅野隆太郎選手にVRゴーグルを使ってもらい、継続的にストレス値を測定する伴走研究も行なっています。今はプロ野球チームとのつながりが中心ですが、今後は他のアスリート団体にも広くアプローチしていく予定です。安奈氏梅野選手のケースではストレスチェックに加えて、目で見る能力を鍛えることによってメンタルの状態を向上させる「メンタルビジョントレーニング」の機能も提供しています。ボールが飛び出す映像をVRで表示し、その動きに合わせて視線を動かすことで、ゲーム感覚で深視力（遠近感や立体感を判断する「ZONE-Z」とスマートフォンアプリ（イメージ）目の能力）を鍛えられます。またモチベーションアップを促す動画を試合前に見てもらうなど、ゾーンに入るための様々なコンテンツを体験してもらっています。純奈氏モチベーションアップの動画については、梅野選手から「ゾーンに入って気持ちよくプレーできたのはどんな場面か」を具体的にお聞きし、そのシチュエーションを3D空間上で忠実に再現しました。ゆくゆくは「ZONE-Z」も使っていただき、各種データを取得してさらなる研究開発に役立てたいと考えています。外的な環境でゾーン状態をつくり出す――そもそも「ゾーン」とは、どのような状態を指すのですか？安奈氏脳波でいえば、リラックスと集中のバランスが取れたローベータ波が出ている状態です。脳波とメンタルの状態には関連があり、アルファ波が出るとリラックスし、ベータ波が出ると緊張が高まって少しイライラした状態になります。ローベータ波が出るとその中間の状態になり、身体は適度にリラックスしつつ、目の前の競技や仕事に集中できるのです。私は脳波の状態を視覚や聴覚の刺激によってフィードバックし、パフォーマンスを改善する「ニューロフィードバック」の研究に取り組んできました。そして研究を通じて、一人ひとりが自分自身で脳波をコントロールし、必要なときにローベータ波を出せる技術を実現したいと思うようになりました。リラックス状態にいる人が自分でアルファ波を抑制したり、逆にイライラしている人がベータ波を抑制したりできれば、ローベータ波が出る状態を意図的につくり出せます。最新の研究から人間がゾーンに入れる日に最大4時間とわかっているので、「今日は朝から仕事を頑張りたい」というときは、出社したら「ZONE-Z」に入って自分をゾーン状態にしてから仕事に取りかかる。そんな世界観を実現できれば、誰もがここぞというときに、最高のパフォーマンスを発揮できます。――意図的にゾーン状態に入ることで、心身に負担はかからないのでしょうか？安奈氏集中したいときに、カフェインやエナジードリンクなどを摂取する人は多いと思います。ただしそのときは集中できても、夜眠れなくなって睡眠障害を誘発したり、過剰摂取した場合は体調不良を引き起こしたりするリスクがある。これは健康面からみて大きな問題があります。ですから私たちは、外32［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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的な環境によって集中を高める技術を開発したい。体内に何らかの成分を取り込むことで無理に集中を高めるのではなく、「この環境にいれば自然とローベータ波が出る」という状態をつくることができれば、心身に負担をかけずに高い集中力を発揮できます。「世界初」を売りに海外市場も狙いにいく――「ZONE-Z」は開発段階ですが、今後の見通しを教えてください。安奈氏今年の8月頃までにデモ機が完成し、秋までに実証実験を行なう計画です。リラックスチェアのメーカーと協業し、第1弾はチェア型のデザインにする予定です。また生体センサについては、海外企業の製品を導入することが決まっています。日本の大手企業にも協力を打診し、検討してもらっているのですが、私たちスタートアップのスピードについてきてくださる会社はなかなかないのが現状です。一方、各国のセンサを取りまとめている代理店の中国人の担当者は、私たちがアプローチした翌日には必要な情報を調べ上げて、弊社の製品に合うセンサを提案してくれました。これがグローバルのスピード感なのだと実感しているところです。――開発を進めるうえで課題はありますか？安奈氏やはり資金調達ですね。今までにない製品を開発するには、億単位の資金が必要です。今年3月にロート製薬様を引受先として第三者割当増資を実施しましたが、引き続き調達先を探す必要があります。ロート製薬様から支援をいただいたきっかけは、関西の経営者とスタートアップが交流する「大阪イノベーションハブ」（OIH）で、私が視線に関する研究発表を行なったこと。ロート製薬様も目の研究をされているため、発表を聞いた山田邦雄ロート製薬の山田邦雄会長（中央）と会長が興味を持ってくださったのです。関西は創業家出身の経営者が多く、トップに直接話をして理解を得られれば、鶴の一声で出資や提携が決まりやすいのがメリット。大阪万博にもロート製薬様と共同で出展を目指しています。――ニューラルポートと同様の研究開発をしている競合はあるのですか？安奈氏おそらくありません。少なくとも、視線計測型VR機器やストレスレベルの定量化技術を用いたメンタルヘルス領域の製品は、「ZENEYEPRO」や「ZONE-Z」が世界初です。含めた一般向けの製品として販売することも考えていますか？純奈氏もちろんです。アスリートのあいだで評価されてブランディングできたら、そこから裾野を広げていき、すべての人にニューラルポートの製品を使っていただけるようにしたいですね。オフィスへの導入のほか、たとえばトレーニングジムや駅構内に設置すれば、より多くの方が活用できるはずです。安奈氏日本の労働人口が減少すれば、個人が仕事のパフォーマンスを高め、1人あたりの生産性を向上させることが必要となります。そのために弊社の製品を活用していただき純奈氏海外にも競合がいないのたいし、私たちもこの課題解決に貢で、野球のメジャーリーグやバス、アメリカンフットボールのNFLなどもゆくゆくは営業先として狙っていくつもりです。野球については、マイナーリーグにすでにアプローチをかけています。海外で先に販売実績をつくってから逆輸入すれば、日本国内で普及するスピードも速くなるはずです。献したいと思っています。未来のテクノロジーと聞くと、宇宙ロケットや空飛ぶ車などをイメージする人が多いのですが、私たちは人間に強い興味があります。だから人がより高い能力を発揮したり、より良い時間を過ごせるような、「人をアップデートする製品」をつくっていきたい。その目標に向けて、今後も研究開発に取り組んでいきま――将来的にはビジネスパーソンをす。L［実践］理念経営Labo2023SUMMER33

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「素直な心」研究会どうすれば素直な心になれるか「素直な心」研究会での議論と考察PHP研究所人材開発企画部長的場正晃素直な心は、松下幸之助が生涯追い求めていた境地でした。幸之助は、「素直な心はあなたを強く正しく聡明にいたします」と述べ、その重要性を強調していました。しかし、どうすればその境地に到達できるか、具体的な方策までは明らかにしていませんでした。そこで、PHP研究所では「素直な心」研究会を開催し、有識者の方のご協力を得ながら、素直な心に近づくための方法論を議論してきました。本稿では、その議論から導き出された知見をご紹介いたします。素直な心とは私たちが物事を見たり聞いたりするとき、必ずといっていいほど何らかの障害物が入ってきます。その障害物とは、具体的にいうと、次のようなものがあります。・私……私利私欲、私心、プライド、見栄、損得勘定など「素直な心」研究会・知……知識、常識、既成概念、経験・体験など・情……好き嫌い、愛憎、喜怒哀楽、機嫌、偏見など往々にして、私たちはこうした障害物にとらわれたり、こだわってしまいます。その結果、物事の真実の姿（実相）が見えなくなる、あるいはゆがんで見えたり別の色に見えたりするということになり、正しい判断ができにくくなります。PHP研究所が定義する素直な心とは、なにものにもとらわれることなく、物事の真実の姿を見る心のことなのです。松下幸之助が考えた素直な心の内容メンバー田村潤氏（元キリンビール副社長）素直な心とは具体的にはどのような心なのか、松下幸之助の著作『素川野泰周氏（臨済宗建長寺派林香寺住職/精神科医）渡邊祐介（PHP理念経営研究センター代表）川上恒雄（PHP理念経営研究センター首席研究員）的場正晃（PHP研究所人材開発企画部長）形態Zoomを使ったオンラインミーティング（２時間）実施期間2021年6月～2022年8月（全６回）松下幸之助『素直な心になるために』1976年、四六判定価：1,177円（10％税込）直な心になるために』（PHP研究所）から、「素直な心の内容」の10カ条をご紹介します。◆素直な心の内容10カ条①私心にとらわれない素直な心というものは、私利私欲にとらわれることのない心、私心にとらわれることのない心である②耳を傾ける素直な心というものは、だれに対しても何事に対しても、謙虚に耳を傾ける心である③寛容素直な心の内容の中には、万物万人いっさいを許しいれる広い寛容の心というものも含まれている④実相が見える素直な心というものは、物事のありのままの姿、本当の姿、実相というものが見える心である⑤道理を知る2004年、文庫判定価：565円（10％税込）34［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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35［実践］理念経営Labo2023SUMMER素直な心というものは、広い視野から物事を見、その道理を知ることのできる心である⑥すべてに学ぶ心素直な心というものは、すべてに対して学ぶ心で接し、そこから何らかの教えを得ようとする謙虚さをもった心である⑦融通無碍素直な心というものは、自由自在に見方、考え方を変え、よりよく対処していくことのできる融ゆう通ずう無む碍げの働きのある心である⑧平常心素直な心というものは、どのような物事に対しても、平静に、冷静に対処していくことのできる心である⑨価値を知る素直な心というものは、よいものはよいものと認識し、価値あるものはその価値を正しく認めることのできる心である⑩広い愛の心素直な心というものは、人間が本来備えている広い愛の心、慈悲の心を十二分に発揮させる心である素直な心に近づくための3ステップ素直な心は一朝一夕に到達できるものではありません。本研究会では、「何らかのルーティンをくり返し実践しながら、段階的に向上して素直な心に近づいていくのではないか」という議論が展開されました。そして、その主張を踏まえ、3つのステップからなるモデルを考案しました。ここで援用したのが、「行ぎょう入にゅう」と「理り入にゅう」という禅の世界の概念です。これは、修行のやり方を説明する概念で、「行入」は行動から入ることをいい、「理入」は理屈から入ることをいいます。この概念を3ステップのモデルに当てはめると、まず第1ステップで特定のルーティンを日々実践するところから始めます（行入）。ある一Zoomでの「素直な心」研究会の様子（上段右から2人目が筆者）衆知を集める行入【第１ステップ】【第２ステップ】【第３ステップ】理入素直な心見方を変えるフィードバック「事実」と「解釈」自分と向き合う・「自分が正しい」という前提を疑うようになる・感謝の気持ちが高まる・謙虚さが増す・崇高な存在を意識する・みずからの存在価値を認める・「自利利他円満」の境地になる・他者へ伝播する素直な心に近づくための３ステップ

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松下幸之助が揮毫した「素直」定期間、実践を続けるうちに、意識の持ち方、考え方、物事のとらえ方が徐々に変わってきます。そして、自分の内側にこのような変化が表れてくると、素直な心の意味や、その境地に近づくことの意義等、「理屈」がわかってくるようになります（理入）。この段階が第2ステップです。さらに、実践を継続していくと理屈に対する理解が深まり、第3ステップへとステップアップして、素直な心の境地に近づくことができるのです。研究会での議論を経て導き出された上記の仮説のもと、素直な心に近づくためのストーリーをまとめたモデルが、素直な心に近づくための3ステップなのです。日々実践する5つのルーティンこのモデルが機能するか否かは、第1ステップで上質な気づきが得られるかどうかにかかっています。そこで、第1ステップで提唱している5つのルーティンについて説明いたします。◆素直な心に近づくための実践5カ条①衆知を集めるけいちょう人の話を傾聴する、すべてからどんよく貪欲に学ぶ、謙虚に学ぶ［素直な心の現状チェック］□物事の判断をするとき、自分の欲望や感情にとらわれないよう心がけているうの□他人からの意見や情報を鵜呑みにせず、何が正しいか考えるようにしている□偏ったものの見方・考え方にならないようバランス感を重視している□自分にとって都合の悪いこと、耳の痛いことであっても聴くようにしているあやまい□相手の過ちや欠点を許し、受け容れる度量を持っている□「今、何をすべきか」、常に的確な判断を下すことができる□日々の出来事、世の中の動き、人のことばなど、すべてから学ぼうとしている□よりよい対処のためには、それまでの考え方や行動を柔軟に変えることができる□どんな人に対しても心をひらき、相手を大切にしている□自分よりも地位や年齢が下の人からも謙虚に意見を聴くことができるいろ□周りの人や物事に対して、レッテルを貼ったり色め眼がね鏡で見たりすることはない□過去の成功体験や常識などにとらわれすぎないように心がけている□考え方の異なる人の意見・主張にも耳を傾けることができる□困難に直面しても、ポジティブに受け止めることができる□日々を感謝して前向きに生きている□自分の間違いや過ちに対して素直に謝ることができる□常に相手の立場に立って考え、行動するようにしている□自分を客観的に見るために、その日一日を振り返る時間を取っている36［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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②見方を変える視座を上げて見る、視野を広げて見る、視点の角度を変えて見る③「事実」と「解釈」を区別するつかんだ事実を肯定的に解釈する④自分と向き合う自己観照（自分と向き合って内省すること）、メタ認知（みずからを客観視すること）、マインドフルネス瞑想等を実践する⑤他者からフィードバックを受ける耳の痛い意見や助言を受け入れる、自己認知を高める素直な心に近づくことで得られる変化地道な取り組みによって素直な心に近づいたとき、自身にどのような変化が起きてくるのでしょうか。研究会での議論では、以下の7つの変化を想定しました。①「自分が正しい」という前提を疑うようになる⇒対人関係が良好になる。学ぶ力が高まる②当たり前のことにも感謝できるようになる⇒精神的な安定感が増す③謙虚さが増す⇒人からの信頼感が高まる④崇高な存在を意識するようになる⇒「生かされている」という感覚を持つ⑤みずからの存在価値を認めるようになる⇒自己肯定感が高まる⑥「自利利他円満」（自分も大切、他者も大切と考えること）の境地に到達する⇒自分にも他人にも優しくなる⑦一人の変化が周囲に伝播する⇒周囲の人も素直になっていく［関連動画ご紹介］素直な心の現状を知るさらに、自身の素直さの現状を「見える化」するため、左の18個の設問を用意しました。日々の実践を通じてどのような変化が起きているか、定期的に自己チェックをすることで、さらなる実践へのモチベーションが高まるでしょう。素直な心の境地に達するのは容易なことではありません。だからといって素直な心になるのを諦めたり、素直な心になれないことを嘆いても得るものはないでしょう。大切なのは、「素直な心に近づこう」と決意し、日々努力を続けることです。焦らず、地道に、一歩ずつ自己を高めていく努力の積み重ねかんが、人間的な成長と、素直な心の涵よう養につながるのです。L研究会詳細はこちらから「個人の幸せ」と「企業の業績」が理念のもとで一体になる講話：田村潤氏約14分マインドフルネス瞑想の実践と素直な心講話：川野泰周氏約13分松下幸之助が大切にした「素直な心」解説：櫻井済徳（PHP研究所人材開発企画部課長）約14分まとば・まさあき1990年、（株）PHP研究所に入社し、研修局に配属される。以後、一貫して、PHPゼミナールの普及、および研修プログラムの開発に取り組む。2001年から2003年まで神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得する。中小企業診断士。著作に『“強い現場をつくるリーダー”になるための5つの原則』（PHP通信ゼミナール）。［実践］理念経営Labo2023SUMMER37

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特別動画案内MOVIEGALLERY理念は自己決定するためにある斉藤徹氏（株式会社hint代表、ビジネス・ブレークスルー大学教授）『［実践］理念経営Labo』では、誌面内容がよりよくわかる特別動画をウェブサイトにてご視聴いただけます。今号の特集テーマ「理念から変革を起こす」をさらに深く知るには、以下の動画もオススメ！POINT「自走する組織」になるためのキーこそが理念。上司はサーバントリーダーとしてメンバーの実践を支援し、一つの方向に導く視聴時間8分29秒掲載号/ページ小さなエビ工場の「争わない」経営武藤北斗氏（株式会社パプアニューギニア海産代表取締役）2022SUMMER7-9（Vol.2）/P10～13POINT「争わない」の理念から勤務時間自由、好きな仕事だけする、といった常識にとらわれない働き方を取り入れ、職場改革と業績向上を実現視聴時間9分40秒掲載号/ページファンとともに世界一の企業文化を目指す井手直行氏（株式会社ヤッホーブルーイング代表取締役社長）2022AUTUMN10-12（Vol.3）/P34～37POINT「ビールに味を！人生に幸せを！」の理念を体感するファンイベントの実施によって、社員が自律し成長する好循環を生み出す視聴時間9分50秒掲載号/ページ2023WINTER1-3（Vol.4）/P14～1738［実践］理念経営Labo2023SUMMER

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松下幸之助肉声講話＋PHP理念経営研究センタースタッフ解説PHP研究所公式チャンネルにて好評配信中！……ほか多数ご視聴＆チャンネル登録はこちらから→2023SUMMER7-9（Vol.6）2023年7月27日発行発行人渡邊祐介編集主幹川上恒雄編集長佐々木賢治発行所PHP理念経営研究センター［編集スタッフ］〒601-8411京都市南区西九条北ノ内町11番地TEL075-681-9166メールkenkyu1@php.co.jpURLhttps://www.php-management.com/長尾梓／時政和輝／桐本真理［制作・普及協力］池口祥司／的場正晃／石田賢司／安田照雄／大谷泰志／西岡拓真動画順次公開＆メルマガ登録受付中誌面の内容がよりよくわかる特別動画をこちらのウェブサイトで順次公開しています。↓また、上記動画の公開時期および『［実践］理念経営Labo』の最新情報をメルマガ（無料）にてお届けします。ご希望の方はこちらのウェブサイトよりメールアドレスをご登録ください。↓［デザイン／制作］朝日メディアインターナショナル株式会社©PHPInstitute,Inc.2023Allrightsreserved

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人的資本経営の本質と具体的な取り組みを紹介企業の人的資本に関する情報を有価証券報告書に記載し、ステークホルダー（利害関係者）に開示することが一部の企業に義務づけられるようになりました。人的資本経営の本質は、人を活かして企業の活力を向上させることにあります。そして人を活かすためには「そもそも人間とはどのような存在なのか」という人間観を、HR責任者が持っておく必要があります。そこで、本ガイドでは、ＰＨＰ研究所創設者・松下幸之助の人間観をもとに、人的資本経営の本質を明らかにすると同時に、成功するための具体的な取り組みをご紹介します。ダウンロードはこちらから無料eBook各種好評配信中！［編集・発行］株式会社ＰＨＰ研究所成功する経営人材の育成3つのポイントを紹介2023SUMMER7-9（Vol.6）2023年7月27日発行ＰＨＰ理念経営研究センター経営人材を育成するために、各企業でさまざまな取り組みがなされています。しかし、各種調査の結果をみると、従来型の取り組みが効果をあげているとは言い難く、今後、新しい発想で取り組んでいく必要があることが明らかになっています。そこで、本ガイドでは、ＰＨＰ研究所創設者・松下幸之助が経営人材の育成に関してどのような考えを持っていたかを紐解きつつ、これからの時代に求められる育成のポイントをご紹介します。ダウンロードはこちらから

