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# Vol.03『[実践] 理念経営Labo』（2022 AUTUMN 10-12）

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人と組織の可能性を発見する研究誌理念経営実践2022AUTUMNLabo10-12Vol.3［特集］パーパス経営実践のヒント「赤ちゃん」への特化で共感と意欲を生み出すピジョン代表取締役社長北澤憲政社員のパーパスを育みブランド展開につなげるユニリーバ・ジャパン・ホールディングスアシスタントコミュニケーションマネジャー新名司教習所の枠を超え、新たな事業創出に挑む広沢自動車学校代表取締役社長祖川嗣朗発見・共鳴・実装で個人と組織が変わるアイディール・リーダーズ代表取締役永井恒男［松下幸之助経営塾志の実践］OneDaySchool代表理事セシリア渡辺明日香［実践！企業風土改革］いなげや代表取締役社長本杉吉員［シン・働き方改革］パプアニューギニア海産代表取締役社長武藤北斗

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『［実践］理念経営Labo』刊行にあたって現代の企業や組織において、経営理念を経営の軸に据えることの重要性はますます高まっています。一つには、資本主義社会のあり方が問い直され、企業の果たすべき責任がよりいっそう重視されつつあることが挙げられます。たとえば、行きすぎた株主重視の反省から、企業には社会的な課題解決が一段と強く求められるようになりました。ESG（環境、社会、ガバナンス）投資やSDGs（持続可能な開発目標）への関心の高まりからも、その傾向は明らかです。また、従来の経営理念に加えて新たに「パーパス」（存在意義）を掲げる企業も数多く出てきました。一方で、政府による働き方改革の推進、雇用慣行の変化、特に最近は新型コロナ感染症拡大をきっかけとしたリモートワーク導入促進の流れの中で、働く人々の価値観においても多様化が進み、組織を統合するための経営理念の役割も見直されています。私どもPHP理念経営研究センターは、複雑化する環境においても企業や組織が活力を持って高品質な商品やサービスを創出し、持続的な発展を遂げてゆくために、新たな理念経営のあり方を追求することを年に設立いたしました。この使命はパナソニックグループ創業者で弊社PHP研究所創設者でもある松下幸之助の「思い」から発しています。松下は、昭和7（1932）年5月5日、「人々の日常生活の必需品を充実豊富にして、その生こんしん活内容を改善拡充する。松下電器製作所はこの使命の達成を究極の目的とし、今後一層渾身の力を振るまいしんい、一路邁進せんことを期す」という趣旨の自社の「真使命」を宣言し、パナソニックグループを世界へと飛翔させました。また終戦後の世の乱れ、人心の荒廃を思い知らされたところから、「繁栄を通じて、平和と幸福を実現する」（PeaceandHappinessthroughProsperity）との思いに立ち、昭和21（1946）年11月3日にPHP研究所を設立いたしました。「初めに思いありき」の言葉通り、松下のいずれの事業活動もすべて「思い」を原点とした理念経営にほかなりません。こうした考えに立ち、PHP理念経営研究センターの情報発信の場として『［実践］理念経営Labo』をこのたび刊行いたします。誌名に「Labo」（ラボ）とつけたのは、本誌を生きた「理念経営の研究室」とし、より先端的な課題への取り組みに挑みたいとの思いがあってのことです。理念経営に挑戦している経営の現場を現代的見地にもとづいて取材し、理念実践の新たな指針を創出することを目指して誌面づくりに尽力していきたいと考えています。読者の皆様には、ぜひとも「Labo」の共同研究者として情報、ご感想を賜り、明日の「理念経営」のあり方に一石を投じるべくご支援、ご指導をお願いいたしたく存じます。2022年4月PHP理念経営研究センター代表渡邊祐介

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Contents──2022AUTUMN10-12（Vol.3）特集パーパス経営実践のヒント【Interview】「赤ちゃん」への特化で共感と意欲を生み出す育児用品トップメーカーのパーパスによる経営改革【Interview】社員のパーパスを育みブランド展開につなげるサステナブルなビジネスのリーダーを目指して【Interview】教習所の枠を超え、新たな事業創出に挑むファンづくりで安全を広めて死亡事故ゼロへ【Interview】発見・共鳴・実装で個人と組織が変わるやる気と成果の向上をもたらすパーパス経営の要諦【SpecialOpinion】今こそ、人間が持つ無限の可能性を信じたい松下幸之助著『人間を考える』刊行50年にあたってピジョン代表取締役社長北澤憲政ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスアシスタントコミュニケーションマネジャー新名司広沢自動車学校代表取締役社長祖川嗣朗アイディール・リーダーズ代表取締役CEO永井恒男誌面内容がよりよくわかる特別動画を右のQRコードからご視聴いただけます。動画は随時追加予定。メルマガにてご案内します。（メルマガ登録はP47下をご参照ください）610141822松下幸之助経営塾【志の実践】「1日学校」世界へ！台湾出身の女性会社員が挑む【塾生通信】日に新た一般社団法人OneDaySchool代表理事セシリア渡辺明日香2428Series【実践！企業風土改革】よき企業文化の伝道師となり「人財」の力を引き出す「すこやけく」と「商人道」の実践を目指して【シン・働き方改革】好きな日に出社し、助け合わない職場改革従業員との対話から生まれた「働きやすさ」とは【松下幸之助の経営哲学】根源の“意志”を自覚し、実行者たらんとすなぜ「自然の理法」に従うべきなのか③【経営マインド探訪】経営者が「主体性」を育むために【プロ・ファシリテーターが斬る!!組織づくり・人づくりのヒント】「問い」が人を育てる【BOOKS〈知をひらく〉～経営の着眼点～】森から学ぶ絶対の安心感のある経営いなげや30パプアニューギニア海産代表取締役社長武藤北斗PHP理念経営研究センター首席研究員川上恒雄明治学院大学名誉教授、新潟産業大学特任教授大平浩二PHP研究所人材開発企画部長的場正晃昭和医療技術専門学校長プロ・コーチ山藤賢×山田博3438424446

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［特集］パーパス経営実践のヒント

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近年、世界で名だたるグローバルカンパニーが利益至上主義から方向転換を図り、またSDGs（持続可能な開発目標）やESG（環境・社会・ガバナンス）といった国際的な規範が重視され出したことを背景として、「パーパス」、つまり自社の存在意義や目的を掲げ、それにもとづいた経営を行なうことが注目を集めている。せんぎこうりもちろん、もともと日本には「三方よし」や「先義後利」などの理念が重んじられる企業風土があり、パナソニックグループ創業者・松下幸之助によって「企業は社会の公器」という考え方も早いうちから唱えられていた。そのため、パーパスを“古くて新しい考え方”とみる向きもあるかもしれない。だが、「自社は何のためにあるのか」を明確に打ち出すことによって、組織の一人ひとりが自分の存在意義や目的と重ね合わせ、働きがいを感じつつビジネスを発展させていく経営スタイルは、働く人の価値観が多様になった現代の企業に大きな推進力をもたらしうるのではないだろうか。単なる「ポーズ」に終わらない、パーパス経営を実践するためのヒントを探ってみたい。

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Interview「赤ちゃん」への特化で共感と意欲を生み出す育児用品トップメーカーのパーパスによる経営改革ピジョン株式会社代表取締役社長北澤憲政きたざわ・のりまさ＊1956年生まれ、長野県出身。’83年、ピジョンに入社。’98年から同社のシンガポール法人、2002年からは中国・上海法人において、いずれも代表取締役社長を務める。’19年に帰国し、同年4月より現職。’21年度には消費者庁主催の「消費者志向経営優良事例表彰」において、同社のパーパスにもとづいた消費者志向経営の取り組みが表彰されている。ピジョン株式会社本社：東京都中央区／創業：1957年／事業内容：育児・マタニティ・女性ケア・ホームヘルスケア・介護用品等の製造、販売および輸出入、ならびに保育事業1957年に創業して以来、育児用品全般を扱うメーカーとして業界をリードするピジョン。特に哺乳器のトップブランドとして名高く、その他にも育児用品分野で培ったノウハウを活かし、ヘルスケア・介護用品や女性ケア用品などの事業も行なっている。2019年にパーパス「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」を掲げた同社は、それを軸としてどのように事業を展開しているのか。パーパス経営を実践する社長の北澤憲政氏がみずから語る。取材・構成：桐本真理写真撮影：山口結子写真提供：ピジョン（P7、８、９左）ブランド戦略、働きがい…パーパスが生まれた理由「これからはパーパスの時代だよ」2018年頃、あるブランドコンサルティング会社の社長から言われた言葉です。当時はパーパスという言葉が世間的にまだあまり広まっていなかったということもあり、私には全然ピンと来ませんでした。ただ、その後もしばらく頭から離れなかった。具体的に考えるようになったのは、その翌年に社長に就任することが決まってからです。社長就任後、ブランド戦略として「ブランドプロミス（顧客に対してブランドがする約束）」を対外向けに打ち出すことになり、その文言をどのような内容にするか社員と議論していたところ、「ブランドプロミスというより、パーパスに適している」と思える文言があったのです。それが、現パーパス「赤ちゃんをい6［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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特集パーパス経営実践のヒントつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」の原案となりました。経営理念である「愛」や、社是「愛を生むは愛のみ」はすでにありましたが、新たにつくったパーパスは、社会に対する働きかけとして、より具体的で実際の行動に結びつきやすい内容にしています。対外的な戦略を練っている中で自然と出てきた言葉の一つでしたので、策定にはそれほど時間を要しませんでした。ただ、パーパスを策定した背景には、対内的な必要性も存在していました。当時は弊社の経営が安定し、社員の処遇もよくなっていたにもかかわらず、30代の中堅社員の離職が少し増え始めた頃でした。これは、社員が会社に社会的地位やお金だけを求めているのではないということの表れだったのかもしれません。その現状を打破するためにも、自社の存在意義（パーパス）を明文化し、全員がある程度同じ方向を向いて動いていけるような組織づくりが必要であると感じました。そうした経緯により掲げたのが、先ほどの文言なのです。社員への浸透で意欲が向上パーパスを策定しても、ただそれを掲げるだけでは当然社員には浸透しません。そこで弊社では、浸透を促すために2つの取り組みを行なっています。1つは、国内外全社員への手帳サイズの冊子「グローバルパスポート」の配付。弊社の基本姿勢や経営理念などを包括した“PigeonWay”（ピジョン・ウェイ）を3カ国語分制作し、世界中のピジョングループの社員一人ひとりがいつでも見ることができるようにしました。もう1つは、国内のピジョンにおいて、マテリアリティ（重要課題）の解決を通じてパーパスの実現に向けて取り組むという趣旨で、全社員が目標管理の中にマテリアリティのひも解決に紐づいた目標を立て、実行しています。その達成度合いは、毎年度末に上司とふり返ってもらいますし、結果は個人の評価にも反映されるようになっています。どういう行動がパーパスに結びつくのかを社員みずからが考え、実際の行動に移してもらうためにも、こういった取り組みが必要だと考えています。これは社員に限らず役員も同じで、役員の場合は「非財務KPI（重要業績評価指標）」という項目の中に、各自がパーパスに関連した行動目標を掲げています。これらはいずれもパーパスの浸透を促すため意図的に設けたものですが、その一方で、こちらが意図せずとも自然にパーパスが社員に浸透していると感じた場面もいくつかありました。たとえば、ピジョンの企画提案制度である「PigeonFrontierAwards（PFA）」で社員からあがってくる企画内容もその一つです。PFAのコンセプトは、「社員が働いていて楽しいと思える時間を増やし、未来に向けて、失敗を恐れず挑戦していくことを応援・表彰する」こと。社員に部署や担当業務の枠を超えて、やりたい企画案を自由に出してもらい、書類審査で進行を承諾年間プロジェクトを進行してもらいます。最終的にその内容に対して会社が表彰し、1位から3位までは賞金を出し、さらに翌年も企画の進行を承諾します。2019年から毎年実施しており、毎回最初の書類審査では20名程度の応募があります。受賞者の決め方は、新規性や公益性などいろいろな観点がありますが、最終的には、私の心にピンと突き刺さるものがあるかどうかです。このPFAの応募者の企画に目を通すと、強制しているわけでもないのにパーパスから外れたものが出てくることはほとんどないんですよ。もちろんこの制度は、直接的にはうたパーパスを謳っているわけではありません。しかし、これがパーパスを実現していくうえでの一つの手段となっているのでしょう。このPFAを通して、「どのようにして世界を赤ちゃんにやさしい場所にしていくか」と、社員たちが自発的に考えてくれるようになったと感じています。実際にあがった企画としては、たとえば一昨年に、母親の初乳を採取するデバイス開発の提案がありました。初乳は、低体重で生まれた子にとっては非常に重要な栄養源かつ免疫源となるので、一滴も無駄にせずしっかり集めて赤ちゃんに与える必要があります。これはそれに対応したデバイスです。また、去年の提案でもまったく別の切り口の非常に面白い商品が出てきており、現在進行中です。楽しみにしていてください。企画の実現性の難しさを考えるよりも、まずはよいと思ったことを形にして提案する。そ国内外の全社員に配付された「グローバルパスポート」［実践］理念経営Labo2022AUTUMN7

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ウェブで公開される社内報。社員の顔が見える記事づくりを行なうこに意味があると考えています。その中で採算性があり、継続できると判断した企画については、たとえば他社と共同で商品を開発するのもいいですし、3年計画で商品開発から販売まですべて自社で担う、というのでも構いません。そういった判断も企画者である社員みずからにしてもらうことで、ピジョンで働くことの意義や働きがいをより高めてもらうことを期待しています。国内外2000名以上の社員と社内報で想いを共有また、PFAのほかにパーパスが自然と浸透していると感じた場面は、数年前に内容を刷新した社内報です。以前の社内報は内容が形骸化し、発行してもほとんど読まれていないような状態でした。そこで、名称や内容など、イチから思い切って見直すことに。刷新後の社内報は「Lループoop」（ピジョングループの社員の「輪」「つながり」を意識）と名づけ、発行頻度も以前より多く週1回とし、さらに国内外にいる社員の半数である2000名強の社員が専用ウェブから閲覧できるようにしました。SNSのように「いいね」やコメント投稿機能も備えており、作成側による一方的な配信とならないよう、双方向のコミュニケーションを促す工夫も取り入れています。社内報で取り上げる内容は、その時期に社内で起きた出来事や、社長つづである私の考えを綴ったもの、そのほか社員の仕事に対する想いをインタビューした記事など様々です。毎回いろいろな部署の社員が寄稿してくれていますが、それらどれ一つ取っても、深く掘り下げていくと最終的にはパーパスに結びついた内容になっています。こちらからパーパスにつなげることを強要しているわけではありません。PFAの企画案にせよ社内報にせよ、パーパスにつながる行動や言葉がこれほど自発的に社員から出てきているところを見ると、やはりそれだけ多くの社員がパーパスに共感してくれているのだと思います。2度の自主回収の決断もパーパスがあればこそパーパス経営にシフトしたことで、経営判断も容易になったと感じています。お恥ずかしい話なのですが、弊社では昨年度ベビーカーの自主回収を2度行ないました。2度目の回収の事案においては、新生児であるうちの使用には安全上問題はありませんでした。しかし、ベビーカーにも経年劣化がありますので、使用範囲の体重を超えてもそれまでと同様に使っていると、怪我をさせてしまう恐れがあることが判明したのです。そのままにするか、自主回収するか。その判断をするにあたり、パーパスに立ち返って自問自答しました。「そのままにしておくことが、赤ちゃんにとってやさしい世界であるといえるのか？」と。そして「やはり回収すべきだ」との経営判断に至り、すぐに実行に移しました。このように、自社の存在意義を明確にしておくことが、経営者として物事を判断するうえでの物差しとなっています。これは経営者に限らず、社員個人においても同じことがいえるかもしれません。実際、私が社員の行動を評価する際の判断基準としても、「（彼／彼女の行動は）パーパスから外れていないかどうか」という点を見るようになりましたし、この基準があるおかげで判断しやすくなったともいえるからです。パーパスは新卒採用の面でもよい影響を与えています。内定段階でのさっこん辞退さえ多い昨今ですが、弊社では年の新卒の離職率が、ゼロなのです。新卒採用の最終面接は私が担当しているのですが、彼／彼女らの入社動機がパーパスへの共感にあることを強く感じています。また、新卒社員だけではなく、全体の離職率が以前と比べて低くなったことも、数字として明快に表れてきました。そして、PFAの取り組みでも述べたように、パーパスは商品開発時のベースにもなっています。“赤ちゃんにやさしい場所”を実現するためには、赤ちゃんだけではなく、その親御さんの育児ストレスを少しでも緩和してあげることが非常に重要である、と弊社では考えています。親御さんが商品を使う実際の8［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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特集パーパス経営実践のヒントシーンやそのときの気持ちに限りなく寄り添った商品づくりを日々心掛けています。ちょうど最近、お客様から届いたお声の中に、次のようなものがありました。「育児に疲れながらも夜中に起き、授乳して母乳パッド（母乳漏れを防ぐパッド）を取り換える際、商品の包装紙に『ママ今日もおつかれさま』とプリントされているのを見て、思わず泣いてしまいました」。これは弊社のパーパス実現に向けた行動が実を結んでいると思わせてくれる大変嬉しいお声でした。加えて、弊社では母乳バンクの活動にも力を入れています。母乳バンクとは、母乳を必要とする早産・極低出生体重児（出生体重1500g未満の赤ちゃん）が自分の母親から母乳を得られない場合に、医療機関からの要請に応じ、寄付された母乳を低温殺菌処理した安全な「ドナーミルク」として提供する施設です。世界50カ国以上で750カ所以上もの施設が開設されているにもかかわらず、日本国内では2020年時点でたった1カ所しかありませんでした。そうした現状を踏まえ、同年9月に国内2カ所目となる施設を弊社本社の1階に開設。同時に、大きな母乳パッドの包装紙には「ママ今日もおつかれさま」との母親の気持ちに寄り添ったメッセージが書かれている課題でもあった母乳バンクの認知度向上に向け、国内シェア1位を誇る弊社の母乳パッド商品のご購入1点につき、10円を日本母乳バンク協会へ寄付する仕組みを導入し、初年度は4カ月間で271万円もの寄付金が集まりました。これからも、弊社の商品やウェブサイト、冊子などを通じて母乳バンクの認知度を高めることで、ドナーミルクを必要とする赤ちゃんに届けられるよう、継続して力を入れていく予定です。あえて全体に配慮せず特化し存在意義を明確にピジョングループでは、ベビーケア事業に加えてヘルスケア・介護事業も行なっているのですが、ご承知のように、パーパスでは赤ちゃんのことにしか言及していません。そのため、パーパス策定直後は介護事業の社員から戸惑いの声がありました。パーパスを策定する前に掲げていたミッションでは、介護事業にも当てはまる内容が含まれていたからです。しかし、やはり弊社のメインは売上的にも赤ちゃんに向けた事業でしたので、すべての事業に配慮してピントのぼけたパーパスにするよりも、赤ちゃんに特化したものにしたほうが弊社の存在意義が明確になると考え、結果的に現在の内容となりました。介護事業の社員には、自分たちでみずからのパーパスをつくったらいいんだよ、と伝えています。もちろん、そう言われてすぐにできあがるものではありませんし、組織をどうしていくかということにも関連してきますので、急いでやるものでもないと思っています。最終的には、商品カテゴリーごとにパーパスを策定し、それぞれのカテゴリーで組織として成り立っている状態を目指しています。そうなったときに、組織全体をまとめる役割を担うものとして、現在のパーパスは今よりさらに大きな意味を持ってくることになるでしょう。行動原則やビジョンは社会情勢や実際の経営の状況に即して変更していく可能性がありますが、経営理念である「愛」と、社是「愛を生むは愛のみ」は、事業の内容にかかわらず普遍的に用い続けるものですので、弊社のすべてに通じるベースであるととらえています。その後に策定したパーパスも同様です。現在掲げているパーパスの内容であれば、この先何十年経っても見直す必要はないと考えています。それほどまでに、現パーパスは私を含めた社員の考えや行動に浸透しつつあり、弊社の存在意義を的確に表しているといえるからです。「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」。ピジョンが社会において存在している意味、そして果たすべき役割として、これからもこの言葉が私たちの言動の判断基準となり、また働くことの意義を見出す拠り所であり続けると思っています。L［実践］理念経営Labo2022AUTUMN9

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Interview社員のパーパスを育みブランド展開につなげるサステナブルなビジネスのリーダーを目指してユニリーバ・ジャパン・ホールディングス合同会社アシスタントコミュニケーションマネジャー新名司しんみょう・つかさ＊アメリカ・シラキュース大学大学院修士課程修了。2004年日本リーバ（現ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス）入社。’09年からアシスタントコミュニケーションマネジャー。「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」の日本市場への展開や、東日本大震災の被災地支援などに携わる。ユニリーバ・ジャパン本社：東京都目黒区／設立：1964年／事業内容：パーソナルケア、ホームケア用品の製造、販売などイギリスを本拠とし、190カ国で400以上のブランドを展開する世界最大級の消費財メーカー、ユニリーバ。日本でも、ダヴ、ラックス、アックスなど、広い層に長く愛される製品を多く製造、販売している。一方で、パーパスをいち早く経営に取り入れ、プロダクト開発や社員教育・育成にも生かしているパーパス経営のパイオニアとしても注目されている。その具体的な実践内容を、ユニリーバの日本法人、ユニリーバ・ジャパンでアシスタントコミュニケーションマネジャーを務める新名司氏からお聞きした。取材・構成：長尾梓写真提供：ユニリーバ・ジャパンパーパスのルーツは創業時の「サンライト」Tomakesustainablelivingcommonplace（サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”に）これは今から10年前の2012年に、ユニリーバが世界共通のパーパスとして発表したものです。といっても、その根本的な考え方は以前からあり、ルーツは創業時、140年近く前のイギリス・ヴィクトリア時代までさかのぼります。当時のイギリスにはまだ衛生的な習慣が根付いておらず、下痢や肺炎などで亡くなる人が後を絶ちませんでした。それを何とかしたいと考えた弊社の創業者、ウィリアム・リーバは、1884年に「サンライト」という石鹸を売り出します。これがユニリーバの最初の製品です。この「サンライト」の箱にはリーバの思い、「Tomakecleanlinesscommonplace（＝清潔さを暮らしの“あたりまえ”に）」という言葉が書かれていました。それから時代を経てユニリーバのビジネスは広がりましたが、一方で世界の課題もより複雑に、より大きくなっています。衛生の問題はいまだ世界中にありますし、それだけでなく気候変動や自然破壊、ごみ問題、人種差別、格差など、様々な課題が山積しています。そんな中で、ユニリーバは「清潔さ」に目を向けているだけでいいのだろうか、ほかに会社としてできることはないだろうかと、改めて会社の存在意義、目的を考え直しました。そこで生まれ10［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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特集パーパス経営実践のヒントユニリーバ最初の製品「サンライト」たのが冒頭に申し上げた現在のパーパスです。「サンライト」の箱に書かれていた言葉の「cleanliness」の部分が「sustainableliving」に置き換わっています。清潔に暮らせる。栄養たっぷりの食事を毎日摂れる。環境にやさしい生活を手軽にできる。自分らしく自由に生きられる。これらは本来、世界中のどこでも、誰にとってもあたりまえであるべきものですが、現実にはそうなっていません。それをユニリーバのビジネスとブランドを通してあたりまえにしていきたい。今日だけでなく、明日も明後日もこの先ずっとあたりまえにしていきたい。そんな思いがこのパーパスには込められています。つまり、このパーパスは創業時から受け継がれてきた思いを改めて現代的にアップデートし、明文化したものなのです。そうした思いを実現するための具体策として、2010年、パーパスに先行してユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン（USLP）を導入、「10億人以上のすこやかな暮らしに貢献」「製品ライフサイクル/2に削減」「数つの柱と、約50の数値目標を掲げました。それはあまりに壮大で、また環境や社会に対する項目が目立ったため、まだSDGsという言葉もない時代には批判の声も多く聞かれました。「NPOのような事業で利益を出せるのか」と会社を辞める社員も少なからずいたようですし、将来性が見込めないと判断されたのか、株価も10％ほど下がりました。ただ、これは会社として絶対に必要なことだという強いメッセージを上層部がリーダーシップを持って伝え続けたことに加え、実際に年々業績がついてきたことから、少しずつ社内外の信頼を勝ち得ることができました。ありのままの美しさダヴのワークショップでユニリーバでは会社としてだけでなく、いくつかのブランドにもパーパスを設定しています。たとえば、ボディウォッシュや洗顔料、シャンプーなどのブランド、ダヴのパーパスは、「すべての人が自分の美しさに気づくきっかけをつくる」。それは、自分本来の美しさに自信を持てている人は意外に少ないからです。なかでも日本はその傾向が強く、10代女性を対象にした独自調査では世界最低の7％でした。自分の容姿に自信がないと、人とのかかわりを避けたり、夢をあきらめたり、自分の意見に自信が持てないなど、社会的な活動にも影響があることがわかっています。つまりこれは個人の問題だけでなく社会的な損失でもあるのです。そこでダヴでは、ブランドを通じて自己肯定感を高め、誰もがありのままの自分を愛せる社会の実現を目指そうと考えました。その実践として、ダヴでは世界中すべての広告で一切の画像加工を行なっておらず、出演者も一般の方を起用しています。消費者に対する働きかけとしては、10代の子供たちを対象としたワークショップを、ガールスカウトと協働で開催しています。「大好きなわたし～FreeBeingMe～」をテーマに、「美」ふっしょくに対する思い込みを払拭して自分の魅力を再発見できるプログラムとなっており、日本ではのべ2万人にご参加いただいています。先日偶然、過去に参加したという高校生に会ったのですが、参加前は、憧れのタレントの容姿に近づく方法や美容整形について毎晩SNSで調べていたけれども、参加後はまったくしなくなったと話してくれました。ワークショップによって、自分の内面の魅力が外にも表れることに気づき、自分に自信が持てるようになって、人とのかかわり方も変わったというのです。実はこのワークショップは、受講しているあいだだけでなく、長期間効果が持続するような手法を心理学的観点から取り入れたうえで開発されています。彼女の話からその有効授業の一環として学校単位で実施されることも多いダヴのワークショップ［実践］理念経営Labo2022AUTUMN11

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性が実感でき、ブランドのパーパスに沿った意味ある取り組みだと改めて思えました。昨年は、文部科学省が主催する「青少年の体験活動推進企業表彰」にて「審査委員会優秀賞」を受賞しています。個人と会社を結びつける制度とオフィスの工夫社員にパーパスを浸透させるためには、先ほど申し上げた通り、リーダーが繰り返し伝える、伝わるまで伝えることが大切になりますが、同時に、社員自身が自分のパーパスを見つけ出し、それを会社のパーパスとつなげることも重要と考えています。ユニリーバでは入社すると、個人としてのパーパス、つまり人生において実現していきたいことを明文化し、上司と共有します。上司には、部下がそのパーパスをキャリアの中で実現できるようサポートすることが求められます。それらが人事制度にも組み込まれており、上司とのミーティングで年間目標の設定をし13たり、どれだけ達成できたかを話したりする際、個人のパーパスを振り返りつつキャリアプランについて話し合う機会を設けています。なぜこのようにしているかというと、やはり自分がやりたいことと仕事が結びついているほうがやる気が出るものだからです。やらされていると思いながら仕事をするより、この仕事をすることが自分の夢を叶える一歩になるとわかっているほうが頑張れる。だからユニリーバでは、社員一人ひとりに対し、①自分が何をしたいかを自覚してもらう、②それを周りと共有する状況をつくる、③そしてキャリアの中で生かせる仕組みをつくる、という3ステップで育成するようにしています。とはいっても、自分のパーパスを明文化すること自体、難しいものです。そこで、2010年頃からグローバルでパーパスワークショップを実施しています。ワークショップには、自分のパーパスを見つけるものと、パーパスを日々の仕事に落とし込むためのものの2種類があり、日本でも2018年頃から、まずは前者1消費者や市場、世界とつながりイノベーションを共創する「Connect」、2寝転びながら対話や休憩ができる「シエスタ・ルーム」など社内の人々とつながりイノベーションを共創する「Collaborate」、3仕事の合間にエネルギーをリチャージする「Charge」、4ひとりで深く考えカタチにする「Concentrate」の4つのコンセプトで構成された新オフィス24を管理職でスタート、今年中に全社員が受け終わる見込みです。私も先日受講し、「子供の頃好きだったこと」や「何をしているときに最もキラキラ、ワクワクしているか」など、ビジネス向けのワークショップではまず聞かれないような質問を事前に投げかけられ、家族にも意見をもらいつつ真剣に考えました。それらを当日発表し、同僚からフィードバックを受けながら、自身のパーパスを見出していくのです。自分の意外な面や、仕事とはまったくかかわりのないパーパスが見つかる人もたくさんいます。それをどう仕事と結びつけていくのかを、次のワークショップで考えていくことになると思います。このようにユニリーバでは、個人と会社の価値観の重なる部分を見つけることを大切に考えています。その一環として、2020年12月に中目黒本社を全面的にリノベーションしました。そもそもユニリーバ・ジャパンでは、2016年7月から、社員が働く時間と場所を自分で選べるWワーAA（WorkfromAnywhereandAnytime）という働き方を導入しています。平日5時から22時のあいだで、勤務時間も休憩時間も、働く場所も自由に決められる仕組みです。早朝にメールチェックして、家事をして、カフェで仕事して、ジョギングして……というように仕事と休憩を交互にすることも可能ですし、場所も問いません。このWAAの導入によって必ずしも会社で働かなくてもよくなったことに加え、コロナ禍で1年半以上も原則在宅勤務を続けたことで、社員の会社とのつながりが以前に比べて希薄になってきていました。そこで着目したのが、オフィスでした。仕事はどこでもできるけれど、オフィスでしかできないことがある。オフィスをイノベーションのための場所として再定義することにしたのです。「つながる・めぐるワー12［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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特集パーパス経営実践のヒントクプレイス」というテーマのもと、「Connect」「Collaborate」「Charge」「Concentrate」という、すべてCから始まる4つのコンセプトでフロアを分け、リノベーションしました。固定席はなく、社員は自分のやりたいことに合わせて4つのフロアをめぐり、社内外の人や物、事に出合ってイノベーションを生んでいくのです。また、壁中に会社の価値観、世界観を表現したイラストや文字があしらわれ、会社のパーパスを常に想起させるようになっています。会社とのつながりを再び見出してもらおうという試みです。今はまだ、出社率が10％に届くかどうかという状況なので、社員の反響も一部しか聞けていませんが、楽しいオフィスになったとか、久しぶりにいろんな人と話せて嬉しかったという声をよく耳にします。3つの信念とこれからのコンパスパーパスを発表して10年、ユニリーバでは3つの信念のもと、行動してきました。1つ目は「パーパスを持つブランドは成長する」。近年、サステナビリティやESG（環境・社会・ガバナンス）、パーパスへの関心が一般的にも高まっており、特に若い世代で、自分が共感できるパーパスを持つブランドを選びたいと考える人が増えています。ある世界的な調査では「強いパーパスを持つブランドは、そうでないブランドよりも175％速く成長している」という結果が出ていますし、ユニリーバの内部でもその傾向があります。2つ目が「パーパスを持つ人々は成功する」。先ほど会社と個人のパーパスを結びつけることの大切さをお話ししましたが、実際の調査でも、その効果が立証されています。今、世界の採用市場54のうち52の市場で、消費財部門における「働きたい企業」はユニリーバがナンバーワン。グローバルで実施した社内満足度調査でも、「ユニリーバで働け％超えなど高い数値が出ています。こうしたことが、優秀な人材の採用や離職率の低下、また社内で活躍する原動力にもつながると考えています。そして3つ目の信念が、「パーパスを持つ企業は存続する」。企業が存続するうえで、財務面が健全なことはとても大事です。ユニリーバでは、2008年から2020年までの工場の環境対応によって、1200億円以上のコスト削減を実現しています。また、リスクを避けることも重要です。たとえばサプライチェーンに細かく目配りし、環境や人にやさしい調達、製造方法を追求することで、人権問題や環境破壊などを未然に防げますし、万が一何か疑わしいことがあった場合も対処できます。そうすることで、人権や環境も、企業の評価も守ることができます。さらに、メーカーにとっては高品質な原料を将来にわたって調達し続けることも大切ですが、環境に配慮した農園から仕入れたり、再生可能エネルギー、再生プラスチックを使うなどを必要に迫られる前にやっておくことが、将来の調達リスクの軽減にもつながるのです。利益をあげること、株主に還元することももちろん大切ではあるものの、それだけを重視して、環境や社会がどうなろうが気にしないという考え方になると、長期的にビジネスを続けられなくなり、成功しません。両方の視点を持つことが大事です。今ユニリーバでは「サステナブルなビジネスのリーダーになる」ことをビジョンとして掲げています。成長とサステナビリティを両立し、サステナブルなビジネスが成功できることを世界に示せるような企業でありたいと考えています。またこのビジョンを受け、2021年からは、USLPの後継プランとして「ユニリーバ・コンパス」を導入しました。「地球の健康を改善する」「人々の健康、自信、ウェルビーイングを向上させる」「より公正で、より社会的にインクルーシブな世界に貢献する」の3つを柱としています。USLPでは環境負荷削減や社会課題の解決など、マイナスをゼロに持っていくような目標の立て方、取り組み方をしていたのに対し、コンパスには、ゼロからプラスに持っていくような目標を追加しています。さらにコンパスには、社員が日々の仕事の中で選択を迫られ悩んだときの指針という意味も込められています。本来、方位磁石としてのコンパスは、いつ、どこにいても北を指します。グローバルCEOのアラン・ジョープは、「ユニリーバにNorthはユニリーバ・コンパスである」と言っています。つまり、コンパスに立ち返って北を見れば、おのずと答えが見えてくる。実際に会議で意見が食い違っても、コンパスに照らせば着地点が見えてきます。ユニリーバ・コンパス、そしてパーパスやビジョンは、世界に15万人いる社員の共通言語なのです。L［実践］理念経営Labo2022AUTUMN13

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Interview教習所の枠を超え、新たな事業創出に挑むファンづくりで安全を広めて死亡事故ゼロへ株式会社広沢自動車学校代表取締役社長祖川嗣朗そがわ・しろう＊東京の大学を卒業後、広告代理店に就職する。2012年に広沢自動車学校入社、取締役に就任。’18年、関連会社としてシンク・スリーを創設し、ドローンスクールや映像事業を始める。’19年度に消費者庁が主催する「消費者志向経営優良事例表彰」にて、中小企業で初めて内閣府特命担当大臣表彰を受賞する。’20年から現職。株式会社広沢自動車学校本社：徳島県徳島市／創業：1963年／事業内容：徳島県公安委員会指定自動車教習所感動あふれる卒業式やみんなで仮装するハロウィンパーティーといった、涙あり笑いありのイベントで地元から愛される自動車教習所が徳島にある。「日本一の心温かい自動車学校を目指して」の経営理念を掲げる広沢自動車学校だ。代表取締役社長の祖川嗣朗氏は、「教習所はただ免許を取りに来るところではない。交通安全教育を通して社会に貢献していく場所である」と訴え、パーパスにもとづいた教習所の新しいあり方に挑戦している。その思いと具体的な取り組みについて語っていただいた。取材・構成：時政和輝写真提供：広沢自動車学校14［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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特集パーパス経営実践のヒント高校最後の思い出づくりで盛り上がる制服パーティー（左）と地域の方を巻き込んだハロウィンパーティー（右）満足度96％入校者数は過去最多に「心が温かすぎてやけどしそう！」「高校3年間で一番楽しかった」「最高の思い出をつくれる場所」これらは広沢自動車学校の卒業生たちが、インタビューで答えてくれた感想の一部です。1963年に開校して以来、5万人を超える卒業生を送り出していますが、「広沢に来てよかった」と回答してくれた方は実に96％に上ります。多くの人に満足いただけてとてもうれしく思います。その理由の一つに、従業員の親しみやすさがあります。従業員の平均年齢は30代で、他社に比べても若いのが特徴です。しかし、なによりも従業員一人ひとりが経営理念である「広沢母校～日本一の心温かい自動車学校を目指して～」に共感し、丁寧な指導や温かい声掛けに努めてくれていることが最大の理由です。全国の自動車教習所の入校者数は減少傾向にあります。その中で、2020年、わが社は過去最多を記録しました。なぜそのような成果を上げられたのか、疑問に思われるかもしれません。その理由は、先ほどの経営理念に加えて、わが社の社会的意義を見出したことにあると思います。社会的意義を考えるに至った経緯について、まずはお話ししましょう。卒業後もファンになる温かい場所づくり創業時はモータリゼーションを背景に、営業活動をしなくてもお客様が来てくださる時代でした。加えて、教習所は警察からの委託業務ですので、公務員的な要素が多分にあります。与えられたカリキュラムに従って、運転に関する知識や技術をただ教習すればよかった。そのため、よその教習所と同じように、生徒に対してサービスするという意識はほとんどありませんでした。しかし、高度経済成長やバブルの時代を経て、やがて少子高齢化の時代を迎えると、市場が飽和状態になり、競争は徐々に激化していきました。当然のことながら、サービス精神が欠如したわが社の業績は、悪化していきます。そのような状況の中で、2004年かじに経営の舵取りを引き継いだのが、現会長である私の母です。経営を立て直そうと試行錯誤した結果、お客様に感動と喜びを感じていただけるよう、おもてなしに力を入れていきました。そうして、社員の中から出てきた言葉が「広沢母校」、先ほどの経営理念です。わが社も学校と同じように、卒業しても帰ってこられる温かい場所でありたい。「広沢母校」にはそういう思いが込められています。自動車学校での接客や応対、休み時間などでの何気ない会話を大切にすることはもちろん、卒業後のアフターフォローにも取り組んでいます。免許取得後の1年間は事故率が高いので、3カ月、6カ月、1年のタイミングで、困り事や心配事がないか、SNSで気楽に相談できるようにしており、得た情報は欠かさず、全社員と共有します。また、お客様に自動車学校で素敵な思い出をつくってもらいたいと考え、様々なイベントを開催しています。大きなものとしては、毎年3月に行なう制服パーティー。高校最後の思い出に制服を着て、自動車学校［実践］理念経営Labo2022AUTUMN15

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に集まろうというイベントです。もう1つは、ハロウィンパーティー。必ず仮装することをルールに、ワクワクする出し物を企画して、みんなで盛り上がります。これらの運営は従業員だけでなく、卒業してもファンでいてくださる方が「お客様営業部隊」として加わり企画してくれています。スタッフ、現役生、卒業生、さらには地域の方も参加し、同じ時間を共有する大切な機会になっています。初心運転者事故率をKPIに導入私は2012年に入社したのですが、当時の経営のあり方について、実はもの足りなさを感じていたことがありました。卒業しても帰ってきてくれることは、私たちにとっても、お客様にとってもよいことに違いありません。しかし、社会に対して価値を生み出せているのだろうかと、疑問に思ったのです。そこで、私は経営理念に加え、社会的意義を根本に据えた経営を実践したいと思いました。つまり、今よくいわれているパーパス経営やCSVへの転換です。CSVとは「企業が社会のニーズや社会課題を解決する事業に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的価値（企業の利益）が創造されること」と定義されています。自動車教習所は運転免許を取るところだと一般に認知されています。しかし、今やクルマを運転する人は減っており、若者のクルマ離れや自動運転の技術開発の進展で、今後もこの傾向は変わらないでしょう。こうした状況にあって、これまで通り「運転免許を取る場所」という枠にとらわれていては、教習所の社会的価値は小さなものにとどまってしまいます。そこで私は、自動車学校を「安全運転教育を学ぶ場所」と再定義し、交通安全に教育の分野から貢献することを、わが社の使命としました。そうすれば、経営理念の「広沢母校」という、お客様とつながり続ける自社の提供価値が、初心運転者の交通事故をなくすことに結びつくと気づきました。なぜなら、従業員がお客様とつながり交通安全の大切さを訴え続け、なによりも「気に掛けている」状態をつくることで、交通事故の一番の原因である漫然運転や不注意といった精神的な要因を減らすことができるからです。交通死亡事故の件数は年々減少してはいますが、ゼロにならない限り、大切な人を失う悲しみはなくなりません。交通事故という社会課題に、広沢らしさを活かし、教育の分野で取り組もうと考えたのです。「初心運転者の交通死亡事故をゼロにする」これが私たちの掲げる具体的な目標です。この実現に向けてわが社のKPI（重要業績評価指標）には、毎年警察より公表されている初心運転者事故率を導入しました。その結果、当社の初心運転者の事故率は、10年前の1.41%から減少し続け、2021年度は0.2%にまで低下しました。これは、業界平均と比べても極めて良好な結果です。「リーダー制」で誰もが活躍できる場所へ社会的意義（パーパス）を実践するため、若手社員の育成にも注力しています。「教習所」の枠を超えての可能性を広げ、新しい事業を展開していくには、柔軟な発想ができる若者の力が重要になると考えているからです。そこで、私はパーパスを掲げるとともに、2つの制度を廃止しました。1つは役職制度です。部課長など、すべての役職をなくして、一般社員がリーダーに立候補できる「リーダー制」を導入しました。経験の有無にかかわらず、若手でもやる気さえあればリーダーになることができます。ただし、任期は1年です。役職者がいないので、リーダーは直接私に新しい仕事を提案できます。パーパスにかなっていて広沢らしさがあれば、すぐに実行できるから、仕事の展開がスピーディーになりました。もう1つは、これまで外部に委託していた新入社員研修を廃止しました。机上の勉強をするよりも、実際の仕事の中で私と密にコミュニケーションを取り、仕事の仕方やパーパスにもとづいた考え方を学んでもらいたいと考えたからです。新しいことへ果敢にチャレンジし、失敗を繰り返しながら成長した若手社員たちは、今度は自分たちが後輩の指導にあたってくれています。中小企業で初めての「内閣府特命担当大臣表彰」こうした取り組みが実を結んで、2019年度に消費者志向経営優良事例表彰選考にて、第1席の「内閣府特命担当大臣表彰」を受賞しました。これは全国の中小企業として初めての受賞です。16［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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特集パーパス経営実践のヒント消費者志向経営とは、企業などの事業者が、消費者と協働・共創して社会価値を向上させていくことを目指す経営のあり方です。わが社が、卒業後も交通安全のためにお客様やその保護者にもフォローしているという点で、「従来の自動車学校という枠にとらわれず、消費者側に踏み込んだ活動をしている」と評価していただきました。また私自身も、会社の変化を実感しています。特にそれが顕著に表れているのは、今年入ってきてくれた新入社員の志望動機です。これまでは、「教習所の指導員になりたい」という理由が大半だったのですが、今年の新入社員は、挑戦できる風土や理念に共鳴したと言ってくれています。社員の定着率も数年前に比べて格段によくなりました。ドローンスクールと映像学校を開校新しいことに挑戦するマインドが社員の中に育ってきたおかげで、様々な事業が生まれ成果を上げています。徳島県内で初となる、自動車学校が運営するドローンスクールがスタートしました。自動車学校で培ったノウハウを活かして、わかりやすさ、親しみやすさ、人と人の温かさを大切にして運営しています。なんと、１年間で100名を超える入校者があり、わが社の売上を支える事業へと成長しました。また、自動車学校では、以前から命の大切さを伝えるオリジナル映像の制作にも力を入れています。命の大切さについて、講義や教科書だけではどうしても生徒の心に響かせることは難しい。しかし、映像を通して疑似体験することで印象づけられます。映像の活用は他にも、自動車学校での講義の様子やイベントの風景をもとにして、わが社の理念を社内外に広く伝えるのに役立っています。このノウハウを他企業にも提供しようと、映像制作の支援や映像クリエイター養成講座を始めました。朝礼で「経営理念」を唱和し、理念にもとづいた実践事例を社員同士で発表し合うこれら2つの新規事業は現在、私が創設した関連会社のシンク・スリー（thinkthree）が運営しています。社名は、人と人をつなぐ第三者の支えが大事であるという考えからきていて、広沢自動車学校の理念を引き継いでいます。シンク・スリーは、新規事業による地方創生という大きな社会的使命があり、そのために必要なスキルはどんどん習得するよう推奨しています。教習所の豊かな資源を活用する「少子化」「若者のクルマ離れ」「自動運転化」による免許取得者数の減少は、全国の教習所が抱える深刻な課題です。それを自社だけで取り組むにはハードルが高く、できることも限られてしまいます。パーパスを実現するためにも、業界全体での新しい意義・価値の創造を行なうことが必須であると考えました。そこで、全国の同業他社に呼びかけて、業界団体「次世代教習所共創コンソーシアム（NDCC）」を昨年の9月に設立、私が代表理事を務めています。教習所の持つ潜在的な可能性を多方面から考察し、様々な業界との連携を検討したり、同業社の成功事例を共有したりすることで、新規事業の創出と事業プロセスの改善を行ないます。先日、開催したセミナーイベントには約130社、他業種の経営者も含めると150名近くの方が集まりました。自動車教習所は全国で約1300カ所あることを考えると、多くの賛同を得られたと感じています。まだ緒についたばかりで具体的なことはこれからですが、広大な土地、地域からの信頼、そして若い人とのつながりという資源を活かして、ベンチャー企業とのコラボができないか模索しています。昔ながらのやり方を続けていては、教習所の未来はありません。固定観念にとらわれることなく、交通死亡事故をゼロにするというパーパス実現に向けて、これからも新しい挑戦を続けていきます。L［実践］理念経営Labo2022AUTUMN17

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Interview発見・共鳴・実装で個人と組織が変わるやる気と成果の向上をもたらすパーパス経営の要諦アイディール・リーダーズ株式会社代表取締役CEO永井恒男ながい・つねお＊MidwesternStateUniversityにてMBA取得後、1997年、株式会社野村総合研究所に入社。経営コンサルタントとして活動後、2005年に社内ベンチャー制度を活用し、エグゼクティブコーチングと戦略コンサルティングを融合した新規事業IDELEA（イデリア）を立ち上げる。’15年4月、アイディール・リーダーズ株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業の社長・取締役に対して、経営者本人や企業のパーパスを再構築するプロジェクトを多く手がける。著書に『パーパス・ドリブンな組織のつくり方』（共著、日本能率協会マネジメントセンター）がある。「パーパスを持てば儲かるのか」「かっこいいパーパスをつくって会社の認知度を高めたい」……。パーパス経営への注目や期待が大きくなると、なかにはそういった考えで導入を検討する企業もあるという。しかし、パーパスを持つことが「目的」ではない。問われるのは、それをどう実践するか。上場企業の経営者にパーパス経営を指南してきたアイディール・リーダーズ代表の永井恒男氏は、そのプロセスを「発見」「共鳴」「実装」の3ステップでとらえ検証する。社員のモチベーションやパフォーマンスの向上につながるパーパス経営の実践メソッドとは。取材・構成：平林謙治写真提供：アイディール・リーダーズ利益追求のためだけに企業が在るのではない「あなたは、何のために社会で働いているのですか？」「パーパス」（purpose）という言葉が世間に広まる前から、私は、多くのビジネスリーダーにこう問いかけてきました。もちろん、今なら「あなたのパーパスは何ですか？」と尋ねるでしょう。そう、パーパスは直訳すると単なる「目的」ですが、より踏み込んだビジネスの文脈では「社会における存在意義」を意味するのです。さっこん昨今、先の見えないコロナ禍の大混乱を経験する中で、改めて「自分は何のために生きるのか」に思いを致した、という人も多いのではないでしょうか。個人がそう考えるように、その個人の集合体である企業や組織が「自分たちは何のために世あに在るのか」と考えるのは本来、ご18［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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特集パーパス経営実践のヒントく自然なことです。そもそも企業にとって、社会への貢献や存在意義といったパーパスは経営の起点であるといっていい。それが今になって注目されているのは、逆説的な言い方ですが、従来はあまりにも軽視されてきたからにほかなりません。米国流の「株主第一主義」のもとで、経営者は、短期的な利益の最大化にのみ集中して、投資家に報いるしよう強いられてきました。しかし「儲かればいい」という利益至上主義の傾向も、それが格差拡大や環境ひず悪化などの歪みを助長した反省から、徐々にですが、是正されつつあるように感じます。アップルからウォルマートまで、米国の主要な企業が名を連ねる経営者団体、ビジネ年8月に発表した声明は流れを大きく変えました。企業はもはや利益追求のためだけに存在するのではない、パーパスを見つめ直すべきだと宣言したのです。背景には、SDGs（持続可能な開発目標）に象徴される社会課題解決への関心の広がりとともに、それを強力に支持するミレニアル世代（1980年代～90年代前半生まれの世代）や後続のＺ世代（1990年代中頃～2000年代生まれの世代）の台頭という社会変化があります。「パーパスは一過性で終わらないか」と懸念する声もありますが、今後は「社会的な意義こそが重要」という新しい価値観を持つ世代が顧客や働き手として、ますます社会の中心を担っていくわけですから、一過性にはなりません。なりようがないのです。むしろ、誰も答えを持ちえない「VブーカUCA」（＊）と呼ばれる予測不可能な世界にあっては、企業であれ、個人であれ、パーパスをみずからの道標とする重要性は高まる一方でしょう。＊Volatility（変動性）、Uncertainty（不確実性）、Complexity（複雑性）、Ambiguity（あいまいさ）の頭文字をつなげた造語パーパスには独自性と社会的意義が必須私が代表を務めるアイディール・リーダーズでは、パーパスを起点とした経営を目指す企業を支援するためのコンサルティングを行なっています。上記の流れを受けて、弊社への相談や問い合わせも増えてきました。その中でよく出てくるのが、「パーパスはビジョンやミッションなどとどう違うのか？」という素朴な疑問です。確かに混同しやすいので、次のように整理するといいでしょう。本来はまず、「自社は何のために社会に存在するのか」（Why）というパーパスが、すべての起点として存在します。そして、パーパスのままに会社を経営することで「どこへ到達したいか」（Where）という未来の理想像がビジョン。パーパスやビジョンの実現に向けて具体的に「何をすべきか」（What）がミッションで、「どうするか」（How）の行動指針を示すのがバリューだというふうに、われわれは定義しています。企業のパーパスは「存在意義」だと述べましたが、さらにかみ砕くと、そこには「その企業独自の価値」（独自性）と「社会的な意義」が盛り込まれていなければなりません。独自性とは、組織にもともと備わっている自社らしさや強み。それを活かして社会にどう貢献するかを、端的に表現した言葉がパーパスになるわけです。一例を挙げましょう。「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」は、環境先進企業として知られる米アウトドアブランドのパタゴニアが掲げるパーパスです。早くから自然保護を訴え、環境配慮商品を世の中に送り出してきた同社の“らしさ”が、ストレートに伝わってきませんか。どんな社会貢献を志すにしても、そもそも「自分たちだからできること」でなければ、顧客からの信頼は得にくく、社員に向けても「なぜ、われわれがそれに取り組まなければならないのか」の説明がつきません。実現性にも疑問符がつくでしょう。また、パーパスに関する相談の中には、こんな“誤解”も散見されます。「パーパスを持つと儲かるのか？」「かっこいいパーパスをつくって会社の認知度を高めたい」気持ちはわかりますが、これではパーパスを利益向上やブランディングなど別の目的のための“手段”とはき違えていることになります。実際、「パーパス（目的）の目的って何ですか」と真顔で聞かれることもありますからね。パーパスはそれ自体が目的なので、手段として導入するというのであれば、入口から間違っていると言わざるをえません。［実践］理念経営Labo2022AUTUMN19

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パーパスへの共鳴がモチベーションの源泉にもちろん、真にパーパスに則した経営を実践すれば、効果はいろいろと期待できます。それらはあくまで効果であり、目的とは区別して考えるべきですが。たとえば、パーパスが掲げる社会的価値に経済的な価値も重ねて、きちっとビジネスモデルに落とし込むことができれば、そうした商品やサービスに対するニーズは高まっているので、利益に結びつきやすい。結果的に儲かり、企業の持続的成長が実現するはずです。効果はそれだけではありません。会社のパーパスに共鳴した社員のモチベーションが高まり、パフォーマンスや創造性も発揮されます。ただし、組織のパーパスへの共鳴は、構成員自身のパーパスが明確でなければ起こりえない――われわれが企業を支援する際、冒頭のように個人にも「何のために働くのか」と「自分の存在意義」を問いかけるゆえん所以です。本気でパーパス経営を目指すなら、組織のパーパスを考えるだけでなく、社員一人ひとりが個人のパーパスを明確にするプロセスも欠かせません。これは、従来のビジョン経営やミッション経営では求められなかった発想でしょう。実際、弊社が行なった調査でも、「自分のパーパスと自社のパーパスがどの程度重なっていると感じるか？」という質問に対して、「かなり感じる」と回答した人は全体の約2割でしたが、そのうち「会社のパーパスが自社で働く理由になっている」という人は約8割に上るという結果が出ました。会社と社員一人ひとりのパーパスを重ねることができれば、そこに大きなやりがいや幸福感が生まれる効果も期待できるのです。つくるのではなく「発見」するでは、パーパスに則した経営――パーパス経営は、具体的にどう実践していけばよいのでしょうか。パーパス経営とは、組織の全領域で戦略立案から意思決定、各種施策に至るまでのすべてを、パーパスを起点に一気通貫で実行すること。平たく言うと、パーパスを経営に「実装」することですから、ただつくって掲げるだけでは何の意味もありません。実装に至る手前には、パーパスの「発見」（策定）と、それを個人のパーパスに重ねて社員の心に響かせる「共鳴」のプロセスがあります。発見・共鳴・実装という3つのスようテップに沿って、パーパス経営の要てい諦を押さえておきましょう。まず「どうやってつくるか」ですが、厳密に言うと、パーパスはゼロから新たに作成するものではなく、「発見」するものだと私自身は考えています。なぜならパーパスに必要な自社らしさや強みは、もともと組織に根づいている文化やすでに社員たちが体現している価値の中にこそ潜んでいるから。それを発見するためには、社史をひも解いたり、社員にアンケートを実施したり、あるいは顧客や取引先にインタビューするのもいいでしょう。これまで自社の軸としてあった思いを掘り下げ、言語化して、パーパスとするのです。ポイントは、次の「共鳴」のステップも視野に入れて、そうした「発見」のプロセスにできるだけ多くの社員を巻き込むこと。弊社の調査によると、「パーパスをつくる過程になんらか関与した」と回答した人のうち、自社のパーパスが「自分の思考や行動に影響を与えている」と答えた人の割合は実に９割を超えました。パーパスの発見にかかわると、それに沿った思考や行動が促されやすくなることがわかったのです。逆に、経営陣だけで決めたパーパスを押しつけられても、自分事にはなりません。飲食店情報サイト「ぐるなび」を運営する株式会社ぐるなびでは、2021年春に打ち出した「食でつなぐ。人を満たす。」のパーパスを策定するにあたり、「きちんとみんなで話し切る」ことにこだわり、何度もワークショップを重ねました。最終的な枠組みが完成するまでに要した時間は14カ月でのべ1940時間。経営幹部だけでなく、次世代を担う若手社員も加わり、総参加人数は約70名まで増えたそうです。私も、ある企業への支援では経営陣を含む約150名の社員を招いてワークショップを実施し、また別の会社では、アンケートで1500名以上の社員からアイデアを集めたことがあります。個人と組織との重なりが自分事化の本質より多くの社員とともにパーパス20［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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特集パーパス経営実践のヒントを「発見」＝策定したら、最終的に「実装」したいと思えるように社員の心を動かさなければなりません。それが「共鳴」のフェーズです。「わかった」（理解）や「なるほど」（納得）、「いいね」（共感）だけでは、実装までつながりにくい。「共鳴」の場合はさらに強く、会社のパーパスと社員自身のパーパスが響き合い、触発されて、実際の行動に駆り立てられるような感覚が得られます。では、いかに共鳴を促すか。その第一歩は「自社のパーパスと自分自身のパーパスとの『重なり』を見つける」ことです。パーパスでも、理念やビジョンでも、よく「自分事化が大切」と言われますが、それは社員が会社のスタンスに合わせるとか、会社が語るように理念を語れるようになるとか、そういうことではありません。まず自分の目的や価値観を確立し、それと会社の存在意義との「重なり」をどこに、どれだけ見出せるか――自分事化という言葉の本質も、実はここにあるんですね。もちろん、双方のパーパスの重なりが多いほど共鳴は促されます。その結果、社員のモチベーションが高まり、幸福度やパフォーマンスが向上することも、弊社の調査によって明らかになりました。この重なりの大きさ、つまりパーパスの一致度は、当然のことながら目には見えません。そこで弊社では、個人と組織のパーパスの一致度を測定・可視化するアセスメントツール「カサナリ」を提供しています。〈個人のパーパスは明確か〉〈個人は組織のパーパスにどれほど共鳴しているか〉〈パーパス一致度を高める組織の取り組みは十分か〉の３つの観点から、役職・組織など属性別に測定・分析を行ない、課題を特定する仕組みです。実際に分析を進めると、そもそも社員個々のパーパスが明確でないために、組織のパーパスとの重なりを見出せないというケースも少なくありません。社員が自分のパーパスを発見するための支援策として、弊社では、社員相互のインタビューにより、他人に自身の価値観を掘り下げてもらうワークショップの開催を推奨しています。人と社会を大切にする経営で世界をよりよく前の記事（6～9ページ）で述べられているように、ベビー用品大手のピジョンでは、パーパスを策定してから2度、ベビーカーの自主回収を実施しています。収益上大きなマげんまイナスであることは言を俟ちません。特に2度目の自主回収は安全性に大きな問題はない事案でしたが、2019年にパーパスと定めた「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」に照らしたとき、自主回収という経営判断に迷いはなかったと言います。利益よりパーパス――こうした思考が自社の“当たり前”になってこそ、パーパスは「実装」されたといえるのでしょう。「実装」を進めるためには、「経営のリーダーシップ」「事業・プロダ組織のパーパスと個人のパーパスとの関係組織のパーパスクト・サービス」「人・組織」「構造・システム」「慣習・マインドセット」「社外との共創」の６つの観点から、理想と現状を整理し、可能な限りKPI（重要業績評価指標）も設定しながら、ギャップを着実に埋めていく姿勢が求められます。社会貢献を志すパーパスをつくったら、それを実際のビジネスや商品で、あるいは社内のマネジメントで、具体的に体現してはじめて社員はらの肚に落ちるのです。「パーパスでいぶか会社は変わるの？」と訝しがられることがありますが、変わらなければむしろおかしいのです。変わらないとしたら、それは共鳴も実装もしていない“フェイクパーパス”だから。残念ながら、そうした例も多く見てきました。しかし、パーパス経営とはつまるところ、人と社会を大切にする経営にほかなりません。本気で取り組む企業が1社でも増えれば、世界は確実によくなる。私は確信しています。そして、これからもその支援を続けていきたいと心から願っているのです。「人と社会を大切にする会社を増やします」――弊社自身のパーパスを胸に刻みながら。個人のパーパスL［実践］理念経営Labo2022AUTUMN21

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SpecialOpinion今こそ、人間が持つ無限の可能性を信じたい松下幸之助著『人間を考える』刊行50年にあたって人間とはいかなる存在か――。松下幸之助は、人間が繁栄・平和・幸福を実現するには「人間観」について探求することが不可欠であると考え、20年以上にわたって思索を重ねた成果を1972年（昭和47年）に『人間を考える』として刊行しました。同書において幸之助は、人間を「崇高にして偉大な存在である」とする「新しい人うた間観」を提唱し、人間の使命や衆知を重んじることを謳いました。「新しい人間観の提唱」宇宙に存在するすべてのものは、つねに生成し、たえず発展する。万物は日に新たであり、生成発展は自然の理法である。人間には、この宇宙の動きに順応しつつ万物を支配する力が、その本性として与えられている。人間は、たえず生成発展する宇宙に君臨し、宇宙にひそむ偉大なる力を開発し、万物に与えられたるそれぞれの本質を見出しながら、これを生かし活用することによって、物心一如の真の繁栄を生み出すことができるのである。かかる人間の特性は、自然の理法によって与えられた天命である。この天命が与えられているために、人間は万物の王者となり、その支配者となる。すなわち人間は、この天命に基づいて善悪を判断し、是非を定め、いっさいのものの存在理由を明らかにする。そしてなにものもかかる人間の判定を否定することはできない。まことに人間は崇高にして偉大な存在である。このすぐれた特性を与えられた人間も、個々の現実の姿を見れば、必ずしも公正にして力強い存在とはいえない。人間はつねに繁栄を求めつつも往々にして貧困に陥り、平和を願いつつもいつしか争いに明け暮れ、幸福を得んとしてしばしば不幸におそわれてきている。かかる人間の現実の姿こそ、みずからに与えられた天命を悟らず、個々の利害得失や知恵才覚にとらわれて歩まんとする結果にほかならない。すなわち、人間の偉大さは、個々の知恵、個々の力ではこれを十分に発揮することはできない。古今東西の先哲諸聖をはじめ幾多の人びとの知恵が、自由に、何のさまたげも受けずして高められつつ融合されていくとき、その時々の総和の知恵は衆知となって天命を生かすのである。まさに衆知こそ、自然の理法をひろく共同生活の上に具現せしめ、人間の天命を発揮させる最大の力である。まことに人間は崇高にして偉大な存在である。お互いにこの人間の偉大さを悟り、その天命を自覚し、衆知を高めつつ生成発展の大業を営まなければならない。長久なる人間の使命は、この天命を自覚実践することにある。この使命の意義を明らかにし、その達成を期せんがため、ここに新しい人間観を提唱するものである。昭和47年5月22［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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今こそ、人間が持つ無限の可能性を信じたい『人間を考える』刊行から50年を迎えた現在、社会は発展を遂げつつも依然として様々な問題を抱えており、「人間とは何か」「人間らしさとは何か」を問い直す必要が一段と高まっています。そこでこのたびPHP研究所は、以下の宣言文「今こそ、人間が持つ無限の可能性を信じたい」を発表しました。繁栄・平和・幸福の実現に向けて、皆様とともにこれまで以上に力強く歩んでまいります。「今こそ、人間が持つ無限の可能性を信じたい」世界では今、軍事的緊張や政治的対立への不安が高まっています。国際経済に大きな混乱がもたらされ、その余波は私たち一人ひとりの暮らしに影を落としています。いつになれば世界中の人びと皆が安心して豊かな生活を送ることができるのでしょうか。ＰＨＰ研究所の創設者・松下幸之助は、昭和の戦争に伴う混乱を経て、本来は繁栄・平和・幸福の実現を望んでいるはずの人間が、互いに争いを繰り返し、みずから不幸や貧困を招来している姿に強い疑問を覚えました。そして、人間を弱く愚かな存在とみなす旧来の見方に問題の真因があると考え、1972年（昭和47年）に『人間を考える』を出版、「新しい人間観」を提唱しました。幸之助はその中で、「人間は万物の王者である」と言明し、物心一如の繁栄・平和・幸福を実現するに値する力強い人間像を提示しました。人間が自らの偉大さを自覚すべきであると訴えるとともに、個々の知恵には限りがあり、衆知、すなわち古今東西の叡智を結集して大きな力を発揮すべきことも強調しています。『人間を考える』の刊行から50年たった現在、科学技術の飛躍的な進歩によって、私たちの生活は豊かになりました。その一方で、世界的な貧富の格差、新たに生み出される差別や偏見は、人類が抱えていた矛盾を浮き彫りにし、拡大し続ける人類の活動は、地球環境に深刻な影響を及ぼしかねないと懸念されています。私たち人間が繁栄・平和・幸福の担い手であると自認するには、ほど遠い状況だと言わざるをえません。加えて、人工知能やバイオテクノロジーの発展は、「人間らしさとは何か」という新たな問いを私たちにつきつけています。しかしながら、人間は今日まで繁栄・平和・幸福の実現を希求し、乗り越えることが不可能と思われた数多くの難題を克服してきました。現代に生きる私たちも、目下直面している大きな困難を打開しうる優れた特質を持っているはずです。本来の責務を自覚し、手を携えて衆知を集めることに徹すれば、人間はその偉大なる力を発揮し、理想社会の実現に向けてゆるぎなく邁進できるでしょう。今こそ、私たちは人間が持つ無限の可能性を信じたい。PHP研究所は現代にふさわしい人間観を模索しながら、繁栄・平和・幸福の実現に尽力してまいります。令和4年8月株式会社ＰＨＰ研究所松下政経塾×PHP総研オンラインシンポジウムのご案内次世代リーダーの育成機関である松下政経塾とPHP研究所の研究提言部門である政策シンクタンクPHP総研は、人類の過去・現在・未来と人間観のこれからについて考えるシンポジウムを11月3日（木・祝）にオンラインにて開催いたします。お申込みはこちらから➡松下幸之助著『人間を考える』PHP文庫定価：723円（10％税込）［実践］理念経営Labo2022AUTUMN23

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「1日学校」世界へ！【志の実践】台湾出身の女性会社員が挑む一般社団法人OneDaySchool代表理事セシリア渡辺明日香せしりあ・わたなべ・あすか＊台湾・台南生まれ。高校卒業後、東京の大学に留学。台湾に戻り、1994年に日本の大手商社の現地法人に就職。活躍が認められ、2001年、同社の日本本社に、海外現地法人社員としては異例の転籍。ミャンマーの村の子供たちと触れ合ったことをきっかけに、異文化体験を通した人と人とのつながりの必要性を感じ、商社で働きながら、’20年にOneDaySchool（ワンデースクール）の実行委員会を立ち上げる。’21年5月に一般社団法人として設立し、代表理事に就任。台湾では菓子づくりに関する著作も出版している。’22年7月、「松下幸之助経営塾」第23期卒塾。OneDaySchool、直訳すれば「1日学校」。大手商社でマーケティングなどの仕事に従事している一会社員の女性が、ミャンマーの村で出会った子供たちの学びに対する熱意に心を打たれ、1日だけならば、仕事で忙しくとも、この子供たちに充実した学びの機会を提供できると思い立つ。あいにく世界的な新型コロナの感染拡大と、同国の政変により、その構想は頓挫したが、あきらめることなく日本国内で、大人と子供合わせて150名近くを集めてイベントを開催。松下幸之助経営塾で志を立てることの大切さを学び、OneDaySchoolの世界的な普及を目指している女性リーダーが熱く語った。取材・構成：川上恒雄写真提供：セシリア渡辺明日香氏ミャンマーの村で使命を見出す2021年5月、仲間と共に一般社団法人OneDaySchoolを設立しました。「一生でたった１日の大切な時間を共有し、年代や国籍を超えて感動を分かち合う」というビジョンを掲げ、専門能力やスキルを持つ大人が子供に学びと体験の場を提供するイベントなどに力を入れています。テーマは「食」「音」「学」「遊」の4つ。「食」は食材や調理法、テーブルマナー、「音」は音楽や踊り、「学」は様々なことの学び、「遊」は異文化の遊びなどを内容としています。今年の5月に初めてのイベントOneDayCamp（ワンデーキャンプ）を千葉県で開催し、子供64名、大人80名ほどが参加しまし24［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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「1日学校」世界へ！た。次は来年に、私の母国、台湾で開催する予定です。日本の商社の一会社員である私DaySchoolの活動を始めたきっかけは、数年前にさかのぼります。いろいろ悩むことがあって精神的に落ち込んでいたとき、あるインド発祥の瞑想の会を知人に紹介してもらいました。勧められるまま10日間のコースに参加してみると、最初はきつかったのですが、指導者の指示に従って我慢して続けるうち、最後には気分がすっきりし、気持ちも前向きになりました。気に入ったのでその後も2度ほどこのコースを受講し、今度は新たな人生の目標を見つけようと、思い切って、2019年から20年にかけての年末年始に、ミャンマーでの瞑想コースにも参加しました。その際、とある村を訪れ、子供たちと触れ合う機会があったのです。笑顔あふれる子供たちからたくさんのエネルギーをもらいました。子供たちの学びに対する熱意が非常に強くて、この子たちのために何かできないかという気持ちもわいてきました。その晩、宿泊先でシャワーを浴びていたところ、突然「OneDaySchool」という言葉が、あたかも天から降ってきたように、私の心の中に聞こえてきました。不思議なことですが、本当なのです。「そうだ、OneDay、つまり1日だけの学校ならば、会社で働きながらできるかもしれない！」思い立ったら行動に移すのが私の性格です。村長さんに「この村に小中学生ぐらいの子供は何人いるのか」と尋ねると、「500人ほど」と言います。それを受けて私は、「今度、500人のためになることを教えにきます。ただ、日本から協力者を連れてくる準備をするので、1年半ほどお待ちいただけないでしょうか」と村長さんに伝え、帰国しました。帰国後しばらくして、他の商社勤務の男性が主催するオンライン飲み会に参加したときのことです。20歳の女子大生から「夢は何ですか？」と聞かれて、私がOneDaySchoolの構想を披露したところ、主催者の彼が「それは面白い。今度また、それについて話し合おう」と賛同してくれました。それで私がもう一人のかねてから信頼する友人の男性を誘って、3人で始めようということになりました。2020年5月に実行委員会を立ち上げます。賛同者を募るため、オンラインでの説明会のほか、ときには私の手料理をふるまってパーティを開いたりしました。その結果、賛同してくれる人が3カ月で30人を超えました。当初の実行委員会では、ミャンマーでOneDaySchoolのイベントを開催することを計画していたのですが、新型コロナの感染拡大が止まらないうえ、ミャンマーの政情が不安定になり、計画変更せざるをえミャンマーの子供たちとの交流がスクール誕生のきっかけになくなったのは残念です。しかし私は発起人として組織の立ち上げを進め、2021年5月、一般社団法人OneDaySchoolが設立されました。世代を超えた「250年計画」構想私がOneDaySchoolの代表理事に就任し、当初からその趣旨に賛同してくれた仲間が理事や顧問になってくれました。といっても、会社員である私には団体トップの経験がありません。ＰＨＰ研究所の「松下幸之助経営塾」で経営の考え方を学ぶことにしました。実は経営塾に入るまでは、松下幸之助さんのことをよく知りませんでした。誰かから経営塾を勧められたのでもありません。ミャンマーでの経験と似ていて、日課の瞑想をしていたとき、どこからともなく日本語で、「どのような困難にぶつかろうとも道はひらけてくる」「仕事の主人公であれ」とか、いくつかの言葉が私の心に響いてきたのです。ネットでそれらの言葉を調べてみると、「松下幸之助」という名前が次々と出てくるではないですか。私は導かれるように、松下幸之助経営塾に参加しました。経営塾では経営理念の重要性を学び、OneDaySchoolの理念を次のように策定しました。・世界中みんなの幸せのために、一人ひとりのつながりを大切にします・人々に豊かな暮らしと体験価値を提供し、子供たちにとって将来の夢を広げるようなきっかけを作ります［実践］理念経営Labo2022AUTUMN25

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OneDayCampで小学生たちも元気にお菓子づくりに挑戦・異文化のカルチャーと価値観の違いを大人と子供たちが一緒に体験し、発信することにより、強いきずなを創造します・国境を越え、想像も超えるような、お互いが共感・共鳴できるコミュニティーの場を提供します・愛と平和が溢れる社会貢献の場の創造に挑戦し続けますもちろん、こうしたミッションが容易に実現するとは思っていません。自分の中では「250年計画」と、長期の視点で考えています。数年以内の短期では活動の輪が広がらなくとも、10年後には現在の子供たちが大学生や社会人になって子供たちに教える側に回るようになります。さらに結婚して親となれば、そのまた子供たちがOneDaySchoolに集ってくるでしょう。それがさらに次世代にも繰り返されるかたちで受け継がれ、やがて活動の輪が世界中に拡大することを目指しています。ところで松下幸之助さんも、松下電器の真使命の実現に向けた「250年計画」の構想を1932（昭和7）年に発表されたとのことですが、経営塾に入ってから初めてそのことを知りました。本当に偶然の一致で驚いています。コロナで海外断念も千葉で開催し盛況にOneDaySchoolの最初のイベントは、先にも申し上げた通り、ミャンマーでの開催をあきらめ、千葉県内の会場で2022年5月にOneDayCampを実施することにしました。私がこだわったのは、子供たちに本物を学んでもらうこと。たとえば「食」であれば、富山県からお寿司屋さんを招いて、子供と一緒に本格的な寿司を握ってもらい、著名な料理研究家の藤野真紀子先生に洋菓子づくりを指導してもらいました。「学」であれば、着物の着付けをやりました。子供たち一人ひとりにきちんと着物を身に着ける体感をしてもらうことで、着物のすばらしさを理解してもらったのです。おかげさまで150名近くが参加したOneDayCampは非常に盛り上がり、幸先のよいスタートを切ることができました。次は10月に台湾で500人の子供たちと交流する計画でしたが、再び新型コロナの感染者数が急増し、開催を来年の4月に延期することになりました。海外での活動に力を入れようとした矢先、残念ではあるものの、中止ではなく、また、現地の政府や企業の協力も見込まれているので、成功に向けて着々と準備を進めていきます。とはいえ、今後の活動に向けた課題があることは否定できません。OneDaySchoolの運営が、常勤の専任スタッフではなく、私を含めてボランティアによってなされているため、代表理事として組織をまとめていく苦労はあります。また、設立間もない組織ということもあって、クラウドファンディングなどには力を入れているものの、活動を大きく広げていくだけの資金力には乏しいと言わざるをえないのが現状です。多くの人にOneDaySchoolへの関心を少しでも持ってもらおうと、最近、「あなたの人生を変えた1日」というテーマで、著名人への取材記事のウェブ連載も始めました。こうした取り組みなどを通して、入会者や協賛企業を増やすべく、日々努力をしています。菓子づくりに挑み国際コンクールで受賞OneDaySchoolの学びのテーマのうちで最初に「食」をあげているのは、私自身が食べることと料理をすることを第一の趣味としているからです。パーティをする場合は自分のつくった台湾料理を提供することが多いですし、台湾ではお菓子づくりの本も出版しています。私の台湾の実家は台湾料理店です。父が店のマネジメント、母が料理をしていました。子供の頃から父と食材の買い出しに出かけ、店ではよく仕込みをやったものです。自分のおやつは自分で料理をして食べていました。やがて料理の腕もあがり、母に代わって、お客様に注文の品を提供することもありました。ただ、自分自身は料理の道を志そうとは思っておらず、海外留学を志望していたので、高校を卒業後、東京の大学で学びました。父が倒れたこともあって途中で台湾に戻らざるをえなかったものの、英語と日本語の双方を習得していたことが強みとなり、1994年、日本の大手商社の現地法人に就職できたのです。26［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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「1日学校」世界へ！その後、営業部門での仕事の成果が認められ、ナショナルスタッフ（現地法人の社員）としては初めて、日本の本社に採用されました。2年ほど上海の現地法人に勤務した後、現在まで日本で働いています。お菓子づくりをするようになったのは、勤務先での異動がきっかけでした。2012年に会社が、人工甘味料に強いバイオ企業を買収し、私がそこの海外営業部門、特に食品分野でアジア方面を強化するための担当に選ばれました。当時の社内には食品分野に強い人材が少なく、勉強好きの私にとっては新たな道を開拓する、願ってもないチャンス。週末に製菓学校に通い、お菓子づくりを一から学びました。やるからには基本レベルで満足せず、5年間、通い続けたのです。各種コンクールにも挑戦しました。そのような努力の甲斐あって、2019年に韓国の釜山で開催されたInternationalArtisanFestival（国際職人祭）の手土産部門で金メダルや、最優秀技能賞を受賞。オランダやベルギー、カナダでの国際コンクールでも受賞し、その他コンクールでも審査員を務めるようになりました。これらのお菓子づくりの活動を通して、たくさんの食品業界の方々や、シェフやパティシエの皆さんとご縁をいただいたことで、私の社会活動への道もひらかれていきます。たとえば2019年、買収したバイオ企業が協賛している、フランス由来の食育活動「味覚の一週間」（毎年10月の第3週）における「味覚の授業」を、台湾料理研究家として、都内の小学校で受け持ちました。OneDaySchoolの発足当初から支援をしてくださっている藤野真紀子先生は、「味覚の一週間」の実行委員長の方からのご紹介でご縁がつながることになったのです。また、台日交流の活動の場も広がりました。台湾で10月に2冊目のお菓子づくりの本を出版予定である一方、台湾の中華餐旅文化交流協会（「餐旅」とはホスピタリティのこと）の理事や副会長、同じく台湾に本部を置く女性団体である世界華人工商婦女企管協会の日本分会の理事といったポストにも就きました。OneDaySchoolの活動を始めようと思った発端は、直接的にはミャンマーでの経験にあるものの、自分の人生を振り返ってみれば、台湾で生まれて以来、多くのご縁をいただいてきたことが、広く社会に向けた活動を始めるきっかけになったのかもしれません。不思議なことに多くの人とのご縁があって、今の私があるように思えてならないのです。愛らしく、しなやかに私の「5つの顔」とは私のことを「使命感の強い人」と言う人がいますが、私の意識の中では普通のことをやっているにすぎません。ただ、いつも自分が何かの看板を背負っているという意識はあります。たとえば、仕事で頻繁に海外に行きますが、そのときは日本の商社の看板を背負っている。さらに仕事を離れても、台湾で生まれて日本で暮らす私は常に、台湾の看板を背負っている。また、夫は亡くなってしまったのですが、私はまさに日本人と結婚しました。その意味で、台湾に行くときは、日本の看板を背負って行く。その看板を背負うのにふさわしい人であらなければならない、ということです。「松下幸之助経営塾」で、1964（昭和39）年にアメリカの『ライフ』誌が、松下幸之助さんを５つの顔（最高の産業人、稼ぐことの達人、哲学者、雑誌発行者、ベストセラー作家）を持つ人物であると紹介していることを知りました。私も5つの顔を持てるか、自分に問いかけてみたのです。・母親としての自分・新しい価値を創造できる、まじめな会社員としての自分・OneDaySchoolの代表理事として志を貫く自分・台湾の母から受け継ぐ家庭料理を世界に発信する自分・愛らしく、しなやかに生きる一人の女性としての自分これらは必ずしも並列するものではなく、最後の「愛らしく、しなやかに生きる」ことができているか、ということにすべてが収れんされます。OneDaySchoolの今後の発展も、自分自身の人間としての成長にかかっているでしょう。そんな意識を持って、これからも明るく前向きに生きていきたいと思います。L台湾で出版し好評を博しているレシピ本［実践］理念経営Labo2022AUTUMN27

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塾生通信日に新た「松下幸之助経営塾」の情報と、卒塾生の近況をお伝えしますシンデレラの世界177年前の曲の演奏もシンデレラのコレクター・研究家としてテレビなどでも紹介され著名な川田雅直さん（第14期）が社長を務めるデザイン会社アトランスチャーチ（東京都渋谷区）。同社のプリンセスミュージアムが「特別協力」している「シンデレラと音楽の世界展～夢見るプリンセスの物語～」が、山梨県の「河口湖音楽と森の美術館」で、2022年11月23日まで開催されています。「初めて、シンデレラの音楽にまつわる展示をしました。177年前の曲をはじめ、世界中のシンデレラの曲を７曲ほど演奏するなど、新たな試みに挑んでいます。松下幸之助経営塾で学んだことが生きています」と川田さん。期間中は貴重なコレクションの展示や映像上映にとどまらず、ガラスの靴を履くシンデレラ体験や、シンデレラが舞踏会で食べた再現スイーツなどもあるということです。10月15日には一夜限りの特別イベント「シンデレラの秘密の舞踏会」も開催。シンデレラのごとく、世界最大級のダンスオルガンとピアノの生演奏で踊れる素敵な舞踏会です。同展の詳細は、「河口湖音楽と森の美術館」のHPをご覧ください。また川田さんは、2022年9月16日放送のNHKテレビ番組「チコちゃんに叱られる！」でも、シンデレラについて企画協力しました。川田さん発のシンデレラ旋風が吹き荒れそうです。社長就任おめでとうございます！ご2022年5月27日、五だい大物産（大阪府大阪市）の山下治男さん（第15期）が代表取締役社長に就任しました。「50年の歴史ある五大物産の経営を任される責任の重さを感じています。時代の急激な変化に対応「河口湖音楽と森の美術館」の会場で。日本初公開の展示も（写真提供：川田雅直氏）できる企業変革を考え、経験豊富な社員の意見や今までにない新しい意見を取り入れて変革を進めたい」との抱負。今後のご活躍を祈念します。『森林経営』『清風魂』刊行相次ぐおけしょう桶庄（愛知県名古屋市）社長の佐藤寛之さん（第4期）が、PHP研究所から『人が輝く森林経営――創業200年を見据えて』を出版しました。「今年は創業150周年、そして年齢も40歳を迎えたのを機に出版できたのは大変うれしい。松下幸之助2022年、PHP研究所刊定価：1,705円（10％税込）2022年、PHP研究所刊（非売品）経営塾での学びを深め、実践し、社会に貢献し続ける会社でありたいと思っています」と佐藤さん。社員の個性や多様性が尊重され、お互いが良い影響を与え合って持続的な調和や生成発展につながっていくという「森林経営」論をはじめ、佐藤さんの思想や28［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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塾生通信日に新た実践の全貌がわかる本です。清風中学校・高等学校（大阪府大阪市）の副校長を務める平岡弘章さん（第1期）の父、平岡英信氏（学校法人清風学園理事長）が、同じくPHP研究所より、『萬古清風魂』を刊行しました。同学園関係者向けの非売品ですが、一般の人が読んでも味わいのある人生哲学の書です。注目すべきは弘章さんによる「あとがきにかえて」。英信氏の父として、というよりも、私利私欲とは無縁である人間としての偉大さがわかります。同時に、弘章さんの英信氏に対する敬意も伝わってきます。24期と25期が進行プロ・コーチの指導も松下幸之助経営塾は現在、第24期と第25期（2022年9月開始）が進行しています。第24期から、受講生の皆様が学習に取り組みやすいよう、講義を90分単位とし、できるだけ討議の時間をとれるよう、時間割の構成を少し変えました。松下幸之助の経営観や人間観の学習を通して志を高めるという、プログラムの中心部分に大きな変更はありません。また、受講生の皆様には、視野を広げ、志を明確にすることの一助として、プロのエグゼクティブ・コーチングをつけることにしました。60分コーチングを3回、実施します。ご受講生一人ひとりの実態に合わせた個別指導となります。なお、第23期生が、2022年7月に卒塾しました。新型コロナの感染拡大による政府の行動制限の方針で、懇親会を開けない回もありましたが、受講生同士の結束力が高く、皆様の今後の活躍が楽しみです。L経営者が“経営の志”を確立・再確認するための研修講座松下幸之助経営塾本セミナーの特徴松下幸之助の経営哲学を根本から学べる唯一の講座弊社で70年有余にわたり研究を重ねた“松下幸之助の経営哲学の真髄”を、経営者の皆様に分かりやすくお伝えするためのセミナー形式の講座です。人間観を養い高め、経営者としてのあり方を学ぶ本講座は、時代や環境の移り変わりの中で生まれる新しいマネジメント手法を学ぶものではありません。経営者のただ今、新規申込受付中詳しくはホームページで資料のご請求はホームページまたは下記窓口へお問い合わせください。https://www.php.co.jp/seminar/m-keieijuku/株式会社PHP研究所第二事業普及本部〈京都〉TEL075（681）1295FAX075（681）2656〈東京〉TEL03（3520）9631FAX03（3520）9648「志」をキーワードとして、松下幸之助が最も大切にした“経営理念の確立と浸透・共感”を実現すべく、その基となる自然・宇宙観や人間観等を学び、より本質的な“経営者としての器量”を養い高めていただく講座です。「志」の確立に向けた、充実の10カ月10カ月の在籍期間中に１泊２日のセミナーを全６回、隔月で開催。学びと実践、検証をくり返しながら成果を高めていただけます。また、１クラスは最大でも12名の少人数制で、受講者間の討議・交流による相互啓発など受講者お一人おひとりに充実した環境を提供いたします。プログラム第１回『志から理念へ～経営の使命～』第２回『本質を考える～自然の理法～』第３回『原理原則を貫く～基本の徹底～』第４回『人を育てる～事業は人なり～』第５回『経営を革新する～日に新た～』第６回『志を伝える～私の命知発見～』開催要領◦受講資格：経営者ご本人、後継経営者（経営幹部）◦募集人数：12名⃝開講期間：10カ月1開催1泊2日、全6回（隔月開催）⃝受講料：118万8000円（税込）⃝会場：株式会社PHP研究所京都本部（JR・近鉄「京都」駅八条口より徒歩５分）［実践］理念経営Labo2022AUTUMN29

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30［実践］理念経営Labo2022AUTUMN「すこやけく」「商人道」歴史の中で生まれた理念コロナ禍に加え、価格高騰や円安などでかつてないほどの経営環境の変化が続いている小売業界。消費者と日々向き合っているスーパーマーケットでは、売り場はもちろん、全社的な経営革新が求められている。創業122年を数える老しにせ舗スーパーマーケットチェーンの「いなげや」も例外ではない。仕入れ、物流、販売戦略など各方面で新たな課題への対応が迫られている。だが、そのような中で、「いなげや」が重視しているのは、創業精神や経営理念に立ち返り、「人財」の力を強化することだという。その目指すところは「いなげや」がこれまでに歩んできた道のりを振り返ることで、いくらかうかがい知ることができよう。「いなげや」の創業は1900年。現在の神奈川県川崎市多摩区と東京都稲城市の境付近の農家を出た猿さ渡わたり波なみ蔵ぞう氏が、甲武鉄道（現・JR中央線）立川駅前で大八車を曳ひいて鮮魚組織や職場の風土をどのように変革するか。実践企業の取り組みをレポートする。今回は、関東を中心に132店舗のスーパーマーケットをチェーン展開する「いなげや」の取り組みについて紹介する。取材・文：佐々木賢治写真提供：いなげや昭和初期のいなげやよき企業文化の伝道師となり「人財」の力を引き出す「すこやけく」と「商人道」の実践を目指して株式会社いなげや本社：東京都立川市／創業：1900年／事業内容：スーパーマーケット事業

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31［実践］理念経営Labo2022AUTUMNを売り歩いたことに始まる。「お客様の喜ばれるお顔が何より嬉しい」というのが波蔵氏の口癖で、どんな悪天候のときでも決まった日時に訪問する真しん摯しで誠実な商いがあちこちで評判に。やがてお得意様も増えて、店舗を構えるようになると、多摩地区随一の繁盛店となった。戦後、個人商店から会社組織へと発展した「いなげや」は、2代目社長の猿渡栄一氏のもとで経営理念がつくられた。海軍飛行予備学生、いわゆる特攻隊の生き残りであった栄一氏は、「自分は一度死んでいる。残ったこの命は、健全な社会の実現のために捧げたい」との思いを抱き、次のような理念を打ち立てた。●すこやけくの実現お客様の健康で豊かな、暖かい日常生活と、より健全な社会の実現に貢献する●商人道の実践お客様のお喜びを、自分自身の喜びとして感じることができる人間集団「すこやけく」とは、「健やか」と「希け求く」を合わせて「すこやかなことをこいねがうこと」を意味する造語である。以後、このお客様第一の理念にもとづいてチェーンストアを展開し、業容も拡大。わが国有数のスーパーマーケットチェーンへと成長を遂げていく。「すこやけく創造塾」で全方位の人財育成を目指す現在の経営トップを務める本もと杉すぎ吉よし員かず氏が社長に就任したのは、2020年4月のこと。コロナ禍が始まった多難な時期だった。どのような思いで経営の舵かじ取りに臨んだのか。本杉社長は次のように語ってくれた。「私たちのスーパーマーケット業界には、『食のインフラ』として皆様の生活を支える役割がありますので、店を開け続けることがまず大切です。ただ、もちろん従業員の安全を確保することも同じく大切ですから、特にはじめのうちは営業を継続できるように手探りで対策を講じていました。パスタや小麦粉など一部の商品が品不足になったり、駆け込み需要でお客様がどっと来店されたりと、いろいろと大変な時期もありましたが、現場の従業員たちにはお客様第一の気持ちでよく頑張ってもらえたと、本当に感謝しております」「いなげや」では人材を財産ととらえて、猿渡栄一社長の時代以来、伝統的に「人財」と呼びならわしてきたという。コロナ禍の緊急事態にあっても、その人財の力が経営を力強く下支えした。人づくりに心血を注いできた「いなげや」の面めん目もく躍やく如じょといえよう。「私どもには『すこやけくの実現』と『商人道の実践』を目指すための指針として、『考こう働どう指針』というものがあります。みずから考え、働くことで、会社の発展と自己の成長に結びつけていこうとする考え方です。ここには、お客様第一の考え方や、地域に根ざした店づくり、仕本杉吉員社長

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事に対する姿勢や心構えなどが明記されていますが、加えて『人の為につくすことを最大の喜びと出来る最も格調の高い人物像』を目指していうたくことも謳われています。立派な社会人、立派な市民、立派な国民となるところに、私たちが最終的に目指す人物像があるのです。私が社長に就任した2020年は創業120年にあたり、今後創業150年、200年に向けて、『いなげや』を支える人財を育てていくことを大きなテーマの一つとして考えていました。そこで、『全方位の教育』と言っているのですが、売り場のパート社員やアルバイトの方も含めて、全員に可能な限り平等に社員教育を受けてもらい、それぞれが成長できるようにしたいと考えました。その方針をもとにして立ち上がったのが、『すこやけく創造塾』です。会社の歴史や理念を学び、継承するとともに、外部講師の知見も得ながら部門別研修を行なっています」（本杉社長）理念はただの精神論!?受講して変わった考えコロナの緊急事態を乗り越えた2021年に、「すこやけく創造塾」におけるリーダー教育の一環として、PHP研究所が行なっているリーダー養成研修プログラム「5つの原則」が導入された。このプログラムの特長は、座学にとどまらず、実践課程を通して、リーダーに求められる考え方や行動を身につける点にある。今回は執行役員や部長クラスを対象として、リーダー研修が行なわれた。「すこやけく創造塾」の立ち上げから実務を担い、研修コーディネーやたかずひさトを務めてきた谷田和久氏は、研修導入の狙いについて、次のように話してくれた。「やはりなんといっても、『いなげや』の社是や経営理念の浸透を図ることが狙いです。その点、PHP研究所では松下幸之助さんの経営理念を重んじ、その浸透を図っておられるので、とても親和性があると感じました。『いなげや』の歴史や考え方をベースに研修プログラムを設計してもらえるというのも、非常にありがたかったですね。担当の的場正晃さん（PHP研究所人材開発企画部長、同プログラム開発責任者）とは何度も話し合いを重ねて、経営理念を実践する過程をできる限り充実させてもらいました。最終的に8回も計画変更をお願いして大変ご迷惑をおかけいたしましたが、その分、素晴らしいプログラムに仕上げていただけたと満足しています」このときの“こだわり”によく表れているように、谷田氏には人財育成に並々ならぬ思いがある。今から37年前に入社し、店長も14年間務めた経験があるが、その頃は「いなげや」の伝統や組織文化がどんなに素晴らしいかを語ってくれる先輩がまわりにたくさんいたのだという。しかし、そうした人財もやがて定年を迎えて少なくなってきた。だからこそ、「すこやけく創造塾」がそれを担っていかなければならないと谷田氏は考えている。「最初はこの研修の狙いが必ずしも全員に理解されていたわけではありません。『そんな精神論をやるのではなくて、実践で働ける人財を育てることが必要じゃないか』という役職者もいたぐらいですから。ところが、何度か受講するうちに、その谷田和久氏人は『考えが変わった。自分が間違っていた』と言って、経営理念を学ぶことの大切さに気づいてくれました。そんな声が何人からも聞こえてきます」（谷田氏）経営幹部はよき伝道師たれ今回のリーダー研修では、最終成果として、経営幹部全員で「経営幹部5則」を策定するにいたった。それは、以下の通りである。①企業観：経済と道徳の両立――経営幹部は、会社は社会の「公器」と捉え、「経済と道徳の両立」を追求せよ②経営観：お客様第一主義――経営幹部は、会社の使命に基づいて、「お客様の幸せ」と「従業員の幸せ」を両立せよ③使命観：変革と挑戦――経営幹部は、会社の永続・発展に向け、「強い意志」を持って「変革」「挑戦」し続けよ④自然観：共存共栄――経営幹部は、「健全な会社と人」が「健全な商売」を生み、「健全な社会」32［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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の実現に貢献すると心得よ⑤人間観：感謝の心――経営幹部は、常に「感謝の心」「素直な心」「謙虚な心」を持ち、全員参加の組織を構築せよこの「経営幹部5則」は、各自がデスクまわりに掲げて、日々心に刻むようにしているという。本杉社長は経営幹部が改めて責任と役割を自覚して、みずからにその実践を課したことを評価し、大きな期待を寄せている。「この経営幹部5則を実践するうえで、もう一つ『リーダー観』を加えました。組織を正しく導けるリーダー――経営幹部は、社是・経営理念の『伝道師』たれ。一般社員はもとより、現場のパート社員、アルバイトの方に至るまで、『いなげや』の考え方をどのように広げていくか。それが今後の課題です。なにも大上段に構えて説法をぶつ必要はありません。たとえば、きちんと挨拶をできるようにしましょう、というときに、経営幹部やリーダーが『いなげや』では何のためにそうするのかという本質の部分をしっかりと伝える。そして、みずかそっせんすいはんら率先垂範で実行する。これが大切です。そのように『考働』を通して伝えていけば、私たちは何のために卓上に「経営幹部5則」を掲げ、常に心がける商売をしているのかということも、『いなげや』のよき企業文化とともに、より深く理解してもらえるようになるのではないかと思います」（本杉社長）若い人の背中を押してやりときには背中を見せて示す「伝道師」たらんとするには、コミュニケーションのあり方がカギとなる。谷田氏もやはり、その点を重視している。「店舗を訪れれば、そこの店長の考えが従業員に十分伝わっているかどうかがよくわかりますね。いい店舗は、やはりコミュニケーションがしっかり取れています。挨拶も明るくて気持ちいい。『いなげや』は『すこやけく』を目指していますから、素直な心を持った人が多いんですね。過去の歴史を振り返っても、何かあったときに、正しいと思うことにみんなが一致団結して取り組める。そういう底力みたいなものがあるんですよ。『いなげや』ってこんな歴史があって、困難もこうやって乗り越えてきた。だから、そうやって頑張ればいいんだよ、と言って若い人たちの背中をそっと押してあげたり、ときには自分の背中で見せて示してあげることが大切なんだと思います」（谷田氏）これまでに経験のないほどの経営環境の変化の中で、「いなげや」が人財の力でどのように改革をなしとげ、新たな歴史の1ページを刻むのだろうか。今後も注目していきたい。L講師派遣型研修松下幸之助のマネジメントに学ぶ「5つの原則」「5つの原則」研修とは松下幸之助のマネジメント論を凝縮した「5つの原則」をフレームワークとして、職場の現状を把握し、現場力を強化するための課題を設定、それに取り組んでいただきます。単なる座学ではなく、現場で壁にぶち当たり、汗をかきながら問題を解決する経験を通じて、風土改革の勘所を体得する実践的な学習プログラムです。「5つの原則」1．使命を正しく認識すること：まずは使命（組織のミッション）を明確に掲げる2．素直な心になること：素直な心で衆知を集め、現状を正しく認識する3．人間観をもつこと：肯定的な人間観をもって、人を活かす4．自然の理法に従うこと：自然の理法に適った、職場風土変革の課題を設定する5．自主責任経営を心がけること：自主自立の気概をもって最後までやり抜く覚悟を固める実施要項対象定員主に中間管理職（部長・課長）、経営幹部候補者実施形態講師派遣型集合研修費用20名2,200,000円（税込）＋通信教育（受講料〈お一人〉17,160円〈税込〉）×ご受講人数※1別途、講師の出張交通費、宿泊費をご負担いただきます。※2原則として標準パッケージをご提供。カスタマイズの場合は別途費用が発生します。※3通信教育費用は受講人数によって変動します。詳しくはウェブサイトをご覧ください［実践］理念経営Labo2022AUTUMN33

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シン・働き方改革好きな日に出社し、助け合わない職場改革従業員との対話から生まれた「働きやすさ」とは株式会社パプアニューギニア海産代表取締役武藤北斗むとう・ほくと＊1975年福岡県生まれ。大学を卒業後、築地市場の荷受けに就職し、せり人を目指す。2000年にパプアニューギニア海産に入社。’11年の東日本大震災により、宮城県石巻市にある本社が津波で流され、大阪に移転する。’21年に代表取締役に就任。パート社員の自由な働き方がメディアの注目を集める。著書に『生きる職場小さなエビ工場の人を縛らない働き方』（イースト・プレス）。株式会社パプアニューギニア海産本社：大阪府摂津市／創業：1991年／事業内容：パプアニューギニア産天然エビの輸入・加工・販売「パート社員は好きな日に出社し、働く時間も自由に決めてよい」「嫌な仕事はやってはいけない」「助け合いは禁止」——。大阪で天然エビの加工・販売を行なっているパプアニューギニア海産は、どこもやっていない変わった方法で改革に成功している。常識では考えられないルールづくりはどのようにして生まれたのか。働き方改革に一石を投じる同社代表取締役の武藤北斗氏に、具体的な取り組みとその背景にある考え方を語っていただいた。取材・構成：時政和輝写真提供：パプアニューギニア海産ストレスフリーな働き方好きな日に出勤して、勤務時間も自由。休むときも連絡不要（むしろ禁止）。仕事は自分の好き嫌いで自由に選んでいい――。そんな職場があるとしたら、どのように思いますか。従業員の立場では、「働きやすそうでいいな」と感じる人が多いでしょう。一方、マネジメントをする立場では、「全体の業務はうまく回るの？」と懐疑的に思われるかもしれません。「勤務時間も業務内容もきちんと定めて、しっかりと従事させるべきだ」と考えるのが普通です。実は私も以前はそうでした。従業員の作業効率を高めるために、作業場に監視カメラを設置して各々の作業を管理していたほどですから。しかし現在は、私たちのエビ加工工場で最初に挙げたような働き方をパート社員が実際に行なっています。各自の都合で出勤したい日に出勤し、工場が稼働する8時半から17時の間でその日の勤務時間を自由に決めてやりたい仕事をするという「フリースケジュール」です。出勤するかどうかの連絡を禁止に34［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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シン・働き方改革しているのは、一切気兼ねなく休んでもらうためです。パート社員は子育て中の母親が多く、お子さんが熱を出して急に休んだり、学校行事などでイレギュラーに休むケースがあります。そんなときは休みの連絡をすること自体がストレスとなり、他のパート社員にも余計な気を遣います。ですから、すべて連絡なしで休んでいいことに。それも、徹底するために「連絡禁止」としています。このように出勤を自由にすると、従業員がその日に何人出社するかわからない、それどころか誰も来ないことさえあるのではと疑念を持たれるかもしれません。しかし、「フリースケジュール」を始めてからの9年間で誰も出社しなかった日は、たった1日だけです。コロナ禍の緊急事態の期間でも、特に心配はありませんでした。家族が在宅勤務になったため、かえって出勤が増えた人もいるぐらいです。弊社のパート社員は現在21名で、全員時給制で働いています。それぞれが目標とする収入を得るために働きに来ているわけですから、全体の出勤時間はある程度決まってきます。もちろん、日によって作業人数の偏りは出ますが、それはその日の作業量を調整すればよいだけです。どうしても作業人数が必要なときは、私を含めて4名いる社員がその作業をして、滞らないようにします。また、仕事内容を選べる点についても、それぞれ好き嫌いが異なっていて、全体での偏りはありません。もし、誰もやりたくない作業が出てくれば、平等に分担することも考えています。ですから、この働き方はうまく機能して、これまで欠品したことは一度もありません。経営観を変えた2つの転機最近、弊社のこうした取り組みがいろいろなところで話題となり、どうして始めたのかということをよく聞かれます。世間の目には思い切った施策に映り、その導入にあたってはさぞ大きな決断があったのではないかと思われるのでしょう。背景としては、2つの大きな転機が影響していると思います。現在の工場は大阪府摂津市にありますが、2011年3月11日までは宮城県石巻市にありました。そう、東日本大震災の津波で工場が丸ごと流されてしまったのです。さらに福島第一原発の事故によって避難生活を余儀なくされ、当時経営を担っていた父や家族と「このまま会社をたたんでしまおうか」という話にもなりました。そんな私たちの窮状を知った取引先の方が救いの手を差し伸べてくださり、大阪で再建を目指すことができる状況になりました。ただし、宮城で再建できない以上、地元で働いてくれていた従業員を解雇せざるをえません。その決断を下すことに悩みに悩んだ中で、人が働き、生きることの意味を嫌というほど考えました。これが最初の転機で、当時の経験が今の私の経営観の土台を形づくっています。大阪での再建は私と父と、そして石巻から一緒に来てくれた若手社員人で始まりました。2カ月後には新しいパート社員が集まり、工場を稼働することができるようになったので、一緒について来てくれたその社員を工場長に任命しました。2つ目の転機はその2年後に訪れました。ある日突然、工場長が辞めると言ってきたのです。私は急遽、工場長をかけ持つことになり、まずパート社員が何を思っているのか、一人ひとりと面談することにしました。すると、私の知らないところで、深刻な問題が起こっていることがわかりました。工場で働くパート社員たちの間に派閥ができて人間関係が複雑にこじれ、職場がギスギスした最悪な状態になっていたのです。経営者でありながら私はまったくフォローもせず、信頼関係のないすさ荒んだ現場を工場長一人に任せ、その責任を背負わせてしまっていました。不退転の覚悟で再出発を決意したにもかかわらず、従業員に辛い思いをさせてしまった痛恨事でした。「挨拶は1回だけ」50以上のルールをつくる反省の念を深くした私が改めて取り組み直したのは、パート社員としっかり対話をすることでした。「関係性が悪化した職場をどうすれば働きやすい環境に変えられるか」。これをパート社員の声をもとに考え抜いたのです。その結果、「フリースケジュール」や「嫌な仕事はやらない」をはじめとした、ストレスのない自分の生活を大事にした職場づくりのルールを数々打ち出していくことになりました。「挨拶は出勤時の1回だけ」「旅行先のお土産は禁止」「会社の飲み会は禁止」など、今ではざっと50以上ものルールが生まれています。いずれも、従業員が人間関係で余計なストレスを持つことなく、気分よく働けるようにするための約束事です。なかには、「エビの殻は自分で［実践］理念経営Labo2022AUTUMN35

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「フリースケジュールはパート社員との繰り返しの対話から生まれた」と言う捨てにいく」という一風変わったものもあります。他の人の殻を自分のものと一緒に捨ててあげることは一見親切のように思えますが、殻を捨てにいく際に軽くストレッチをして気分をリフレッシュする機会にしている人もいることが、対話をしてわかったからです。最初こそ、パート社員は不信感を持っていましたし、考え方が合わず辞めてしまう人も何人かいました。しかし、多くのパート社員は対話を通して徐々に私の考え方を理解し、働き続けることを選んでくれました。対等な目線で“真”の対話をする私が従業員たちと対話をする際に心がけているのは、フラットな関係性で向き合うようにすることです。「聞いてあげている」という“上から目線”になってしまうと、相手と“真”の対話をすることができません。具体的にどうするか。まず、会議室などの改まった場所ではなく、普段からよく出入りするような場所を選びます。ちょっとしたスペースにパイプ椅子を並べるだけで十分です。相手に威圧感を与えないように手や足を組んだりはせず、話しやすい雰囲気づくりに細心の注意を払います。無理やり何かを聞き出そうとするのではなく、話してくれることに耳を傾ける姿勢が大切です。その後の段階でよくあるのが、意見を言ったものの何も反応がないというケース。私は言ってもらった意見や提案は、「みんなの間で争いが起きないか」という視点で検討し、その結果をきちんと理由をつけて説明します。もし反対があれば、直接意見を聞いて、再び検討。納得するまでこれを繰り返します。従業員たちにとっては、自分の意見が通ること以上に、このようなプロセスで納得感が得られることのほうが重要なのです。“本気”で働きやすい環境をつくろうとしている私の思いが伝われば、反対意見を持っていた人も大抵納得してくれます。もう一つ重要なのは、マネジメントをする側も現場を知ること。従業員の言うことをできる限り理解するため、私自身もほぼ毎日、工場で一緒に作業をしています。現場を知っているからこそ、従業員は私を信頼して意見を言ってくれるし、私もその言わんとすることがよく理解できるのです。働き方改革の効果は絶大！これらの改革は、採算度外視で何よりも働きやすい職場にしたいという思いだけで始めたことですが、いろいろな面でいい変化が生まれてきました。まず、パート社員からもルールの改善案を積極的に提案してくれるようになり、プラスの循環ができてきました。また、人材が定着し、採用にコストをかける必要がなくなったことで、人件費が約40％減少。同時にパート社員のスキルが上達し、エビの品質は見違えるほどよくなりました。以前と今のエビフライを比べると、食感や味わいがまるで違います。一方で、私自身にも新しい気づきフリースケジュール導入前（上）と導入後（下）の「天然エビフライ」。上はエビの形が揃ってなく、パン粉のつき方も均一でないことがわかる36［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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シン・働き方改革が生まれました。まず「フリースケジュール」を導入したことで、従業員が会社に出てきて働いてくれていることに心から感謝できるようになりました。そして、職場づくりは経営者のマインドが決定的に重要だということもわかりました。働き方を変えた数カ月後、パート社員が数人辞めた程度でメンバーはほとんど同じです。しかし、工場の雰囲気はすっかり変わりました。つまり、どのような職場風土をつくるかは、従業員ではなく、経営者の考え方や姿勢にかかっているということです。紆余曲折はあったものの、そのことに気づけたのは貴重な経験だったと思います。もう一つ、その経験を通して実感しているのは、職場改革にはスピードが大事だということです。新しいアイデアが出てくれば、恐れずに、まずやってみる。ダメならまた元に戻せばいい。失敗を経験した分、経験値が上がってよりよい職場づくりに一歩近づけるわけですから。人を排除しない組織が社会を変える弊社のこのような取り組みを表面的に見れば、細かいルールをたくさんつくって従業員をがんじがらめにしているような印象を持たれるかもしれません。でも私の考え方は真逆で、誰もが働きやすい環境をつくることが一番の目的です。そもそも人間が集まれば、考え方や好みの違いから、どうしても争いが生まれやすいものです。すると居心地悪く感じる人が出て、全体の雰囲気も生産性も悪くなります。そうならないように、できる限りうよ争いの芽をつむことが経営者の責務です。対話を通してその場その場に適したルールをつくっていくことで、争わない組織ができると思っています。よく驚かれますが、弊社には「助け合わない」というルー武藤氏（右）は工場の作業を通じ現場の様子を把握するよう努めているルもあります。なぜ助け合うことを禁止しているかというと、そもそも「助ける」という行為には、優れた人と劣った人の存在が前提となっていて、関係性がフラットではないからです。職場でその関係性ができてしまうと、手助けされる人はそれを引け目に感じ、手助けする人は相手にどこか不満を感じることになり、やがて摩擦が生じます。もし、高いところに物があって、背の低い人が取れずに困っているとしましょう。それを背の高い人が助けてあげる姿は、一般社会では美しいものです。しかし、職場内のこととして考えると、必要な物が誰でも取れる場所に置かれていないこと自体が不適切なのではないでしょうか。働きやすい職場づくりとは、誰もが人の助けを借りなくてもできるように環境を改善していくことだと思います。弊社のような仕組みがあれば、一般的な会社では働くのが難しいとされる方も、一緒に働きやすくなります。数年前、障がいのある方が弊社に応募してきてくれました。もちろい」というルールがありますから、やりたい作業だけやってもらえれば何の問題もありません。ほかのパート社員と同様に働くことができます。ところが実際には、それ以上のよい影響がありました。その方が入ってきてから、一段と職場の雰囲気がよくなったのです。もちろんそれは、助け合う社風ができたからということではありません。「この職場は誰も排除せず、一緒に働ける方法を考えてくれる安心できる場所だ」と、みんなの認識が深まったからです。私はこのような職場改革を通して、みんなにとって働きやすい、争わない環境づくりが、人を排除しない職場風土につながることを実感しました。近年、「インクルージョン」（多様な属性の人を包括し受け入れること）ということがいわれているように、排除しない組織が増えれば、日本の社会はきっと豊かで強いものになると信じています。まずは、自分の会社でそれを証明し、多くの方に興味を持っていただきたいん、「嫌な作業をやってはいけなと思います。L［実践］理念経営Labo2022AUTUMN37

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松下幸之助の経営哲学根源の“意志”を自覚し、実行者たらんとすなぜ「自然の理法」に従うべきなのか③川上恒雄（PHP理念経営研究センター首席研究員）写真撮影：貝塚裕松下幸之助は、1978年に刊行した経営に関する主著『実践経営哲学』の中で、経営の根本について、「人知を超えた大きな天地自然の理に従って経営をしていくということでなくてはならない」と述べている（文庫版50ページ）。しかし同書には、当然なすべきことをなすのが「自然の理法」（「天地自然の理」に同じ）に従った姿であると説明されているにすぎず、「自然の理法」それ自体についての詳細な記述が見当たらない。「自然の理法」とは何だろうか。前回の最後に、幸之助が戦前、「自然の理法」に対する関心を持ち始めた経緯を推察したが、今回は、戦後の議論に焦点を当て、幸之助の経営書ではあまり明確に語られなかった「自然の理法」について、彼の宇宙観や人間観とのかかわりにおいて明らかにしたい。「人知」と「自然」前回、松下電器の「順応同化の精神」について述べた。これは、1933年制定の「松下電器の遵奉すべき五精神」に、新たに1937年に追加された「精神」のうちの一つである。この事実は、そのときまでに、松下幸之助が経営の実践にあたって「自然の理法」に従う（順応同化する）ことを心がけるようになっていたことを示唆している。ただし戦前においては、幸之助がどれほど「自然の理法」を重視していたのか、具体的には判然としない面が多い。ところが戦後になると、「自然の理法に従う経営」の強調が鮮明になる。たとえば、1946年11月3日のPHP研究所（正確には、改称前の「経営経済研究所」）発足直後、同月10日に行なわれた講話の中で、次のように述べている。「人間のもつ知恵才覚というものは、自然の真理、法則を発見することは可能であるが、宇宙の真理を創造し変動することは、これは絶対にできないのである。ところが、人間は才知の発達に伴いこの真理を忘れて、何でも人力によってなしうるとうぬぼれやすいのである。これがすべて過誤をおかす因である。科学のみならず、政治、経済、経営、生活等々、すべて自然に立脚し、自然の法則に従い、宇宙の真理にもとづいて行動されねばならないのである。諸君はこのことを深く認識してもらいたい。自然に順応し、その法則にまっと従うところにのみ人類の生存が全うされ、繁栄がもたらされるのである。商売も、事業の経営についてもすべてそうである。これらもみな自然の法則に従い営まれるべきであり、これにそむくときは決して成功しない。一時的に成功するときはあっても、必ず衰微するに違いないのである」（PHP総合研究所研究本部編『松下幸之助発言集29』PHP研究所、361ページ）この発言によれば、人間の過誤は、自然の法則（「自然の理法」と同義）に従わず、何事もみずからの知恵才覚によってできるとうぬぼれているところにある。経営や商売も例外ではない。人知には限界があり、自然の理法に適応すべきだというのだ。1937年の「順応同化の精神」では、人知の限界は特に強調されていなかった。ところが戦後になると、「人知」対「自然」（あるいは「人為」対「自然」）の対比が、繰り返し幸之助の口から語られるようになる。38［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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松下幸之助の経営哲学理由は定かでないが、その諸々の発言内容から推測す号まで、途中何度かの休載をはさんで連載されたるに、戦争が大きく影響したようだ。幸之助は、万物の「PHPの原理」である（以下引用の際は、旧字・旧仮名霊長であるはずの人間が互いに争うのは、人間自身が些遣いを現代表記に改める）。細なことにとらわれているからだと考えた。その一方で、人間以外の動植物は、多数の人間が命や生活の基盤宇宙根源の力を失う中、自然法則に従うまま、のびのびと、たくましく生きている。人間はいつしか自然の恵みを忘れ、せま幸之助によると、人間の共通の願いは、繁栄・平和・い人知にとらわれてしまったというのだ。幸福の実現である。『PHPのことば』に掲載の「人間の幸之助は、PHP研究所を設立すると、繁栄による平目的」では、この願いを人間の「主観的立場」と呼んで和と幸福（PeaceandHappinessthroughProsperityいる。そして、この主観は、宇宙の真理の「客観的立:PHP）の実現に向けた研究に取り組み始めるが、政治場」に合致しなければならないと説く。なぜなら、いくや経済に関する具体的な議論よりも、「自然の理法」をら主観的に望んでいても、宇宙の真理に則していなけれ重視する独自の宇宙観や人間観の探究に乗り出す。このば、実現しないからだという。探究は哲学的あるいは宗教的な色合いが濃く、一見するそれでは、「客観的立場」とは何か。幸之助は議論のと企業経営とは関係が薄そうにみえる。しかし、企業の大前提として、宇宙が生成発展しているのは厳然たる事経営者も従業員も、宇宙に存在する人間であることには実であるとみなした。すなわち、生成発展は「自然の理変わりなく、幸之助は宇宙観や人間観の探究をごく当然法」である。のことであるとみなしていたようだ。そもそも近代学校なるほど、この地球は宇宙の進化の過程で生まれたも教育をほとんど受けていない幸之助にとって、自然科学のであるし、現代の科学的知見からも、宇宙は加速度的や社会科学、人文学などの分類は自明の前提ではなく、に膨張しているとされている。幸之助はこうした事実か既定の学問的範囲や方法から自由であったといってよら、宇宙のすべての営みが生成発展の原則に従って行ない。われていると考えた。本稿では、幸之助が昭和20年代（1940年代後半からしたがって、宇宙の中に存在する人間も例外なくその1950年代前半まで）に発表した論考や発言にもとづき、原則に支配されており、人間には本来、進歩発展するす「自然の理法」について、かなり抽象的にはなるものの、べてが与えられているという。「もしも（宇宙の）真理宇宙観や人間観の文脈で解説を試みる。この時期におおよその考え方が確立されているからだ。特に依拠する文献は、①1948年2月年6月まで毎月開催されたPHP研究定例講座での発表内容を主にまとめた著書『PHPのことば』（PHP研究所）と、②これらの発表内容を体系化することを意図して、月刊誌『PHP』年6月号から1953年10月京都・東山山麓にある真々庵でPHPの研究と活動に取り組んだ（1963年）［実践］理念経営Labo2022AUTUMN39

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に意志があるとしますと、真理は人間が生成発展するこを超越して、実に整然と、厳然たる姿をもって、この広とを望んでいる、人間に繫栄せよと呼びかけていることい宇宙に張りめぐらされているのであります。そして、になると思うのであります」と述べている（『PHPのここの法則に乗った時、万物すべてが、生成発展の姿をあとば』PHP研究所、354～355ページ）。らわすのであります」（同40ページ）。これが宇宙の真理からみた「客観的立場」である。つここでいう「宇宙の法則」とは、「自然の理法」と同まり主観と客観の双方の「立場」が合致する――繁栄・義である。「PHPの原理」の中の「神と法則」による平和・幸福実現への人間の主観的願いは正しいし、人間と、神ともいえる「宇宙根源の力」は、その「力」を乱にはその実現に向けた客観的使命が与えられている――用せず、必ず「宇宙の法則」（すなわち「自然の理法」）というわけだ。を通じて万物に働きかけるという。したがって人間は、ここで奇妙なのは、「客観的立場」において「宇宙のいつどこでも正しき「自然の理法」に順応することを心真理」が主語になっていることだ。先の引用で「真理にがけることで、生成発展する、つまり繁栄・平和・幸福意志があるとしますと」と記されていることに注目されの実現に近づけることになる。たい。意志のある神のような絶対的存在であるらしい。幸之助によると、問題は当の人間がそのことを自覚し幸之助はこの意志ある存在を「宇宙根源の力」と呼んていないことにある。先に述べたように、往々にしてせだ。「PHPの原理」の中の「天地自然の理」と題されたまい人知にとらわれ、貧困・争い・不幸を招来してしま項目において、以下のように説明している。う。ビジネスに従事する者もその例外ではなく、「自然「この宇宙が存在するためには、万物をつくり出し、の理法」を忘れた経営や商売をすれば、本来は成功するこれを動かし（中略）生かしている何か根源の力がなけ力が与えられているのに、うまくいかなくなるのだといればならないのであります。それを一応、宇宙根源の力う。と呼んでおきたいと思います。これは実に偉大な力であります。太陽も月も地球も、木も草も動物も、そして人「生命力」と個人の使命間も一切をつくり出して、しかもこれを日々生かし動かしているのであります。われわれが住む太陽系のような「いくら『自然の理法に順応せよ』と言われても、そものを無限に含む大宇宙そのものが、この力によって造の理法自体が不明なので、どうすればよいのかわからなられ、支えられ、かつ動かされているのであります。そい」という向きもあるだろう。幸之助は、自然科学にみれは宇宙を超える絶対無辺の力であります」（『PHP』られるような法則が、その他のあらゆる分野においても1949年10月号、40ページ）「自然の理法」として存在するはずだと指摘しているも前回、幸之助が戦前に「大いなる力」の実在を確信しのの、幸之助自身も「自然の理法」の具体的内容を認識ていたと述べたが、戦後になってその大本を「宇宙根源していたわけではない。そていの力」であると明示したのである。そして、「宇宙根源しかし、そもそも「宇宙根源の力」なる存在を措定しの力」は、「自然の理法」に従って万物に働くのだといている幸之助の宇宙観自体が宗教的であり、「自然の理う。法」の存在を、それこそ「人知」で証明できるはずもな「この宇宙根源の力は、どのような形で万物に働きかい。証明はできないけれども、「自然の理法」にもとづけているのかと申しますと、その働きは、一定の法則にく「宇宙根源の力」の働きが与えられていることに、素もとづいて働いているのであります。花が咲くのも、実直に感謝すべきだと幸之助は説く。こうした感謝の心がが稔るのも、この法則にもとづいてあらわれてくる結果あれば、少なくとも私利私欲にかられ、小さな「人知」であります。この法則を、一応、宇宙の法則と呼んでおにとらわれて道理に反するようなことはしなくなるといきたいと思います。う。この法則は、実に整然と、一分の隙もなく、宇宙のすさらに、そんな感謝の念の源は、私たち一人ひとりがみずみまでゆきわたっているのであります。人間の意志「宇宙根源の力」によって生かされていることにあると40［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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松下幸之助の経営哲学する。「PHPの原理」の「生命力」の項目によれば、「宇宙根源の力」の働きには「人間を生かそうという意志」があり、その意志が「生命力」となって人間に与えられている。そしてこの「生命力」の内実は、みな同一ではなく、人によって異なる。これまでの議論では、個々人を区別せずに人間一般と「宇宙根源の力」との関係を示してきたが、幸之助は、このように人間の個別性も強調している。『PHPのことば』の中の「人間としての成功」の項において、以下のようにその点が明示されている。「人にはおのおのみな異なった生命力が与えられております。この生命力は私たちの生命の根底となっている一つの力で、その内容は、生きようとする力と、いかに生きるかという使命を示す力との二つから成立っていると思うのであります。この生命力が宇宙根源の力によってすべての人に与えられているのであります。ところが、前者の生きようとする力、（中略）この力はすべての人に共通であり、そこに何の差別もないのでありますが、後者の、いかに生きるかというその人の使命を与える力は、人によってみな異なるのであります」（263ページ）個人間の特性の違いは、与えられた使命あるいは生き方の相違によるのだという。ただ、その使命なるものは、「自然の理法」同様、自分自身でも明確には認識できない。けれども、幸之助が1932年に「産業人の使命」を悟ったように、それは一人ひとりが人生経験を重ねるうちに、気づいたり発見したりするものである。「宇宙根源の力」による天命に生きることができれば、「人生の成功である」と幸之助は訴えている。人間個々人に相違があることは、幸之助の経営を理解するうえで重要な点である。まず、人を大事にすること。これは単に、従業員の雇用を守ったり、指導や教育を熱心にしたりすることにとどまらない。個々人それぞれに異なる使命が与えられているのだから、それを尊重すべきだということだ。「宇宙根源の力」が「自然の理法」にもとづいて、この世に生を与えているから、無用な人材であるはずがないのだ。次に、個々人の知識や知恵に限りがあるとはいえ、それぞれの多様な知識や知恵を結集して生かせば、大きな力になると考えたこと。すなわち、幸之助が唱えた「衆知を集めた全員経営」である。人材の多様性が組織力を高めると考えたのだ。最後に、経営者自身、何のために事業をしているのか、みずからの使命に自覚的であらねばならないことである。幸之助は、「人間は、宇宙根源の力（あるいはこれを神と言い換えてもよいと思いますが）の代弁者として、その神の意志の認識者であり、実行者としての本質を与えられている」（『PHPのことば』245ページ）と述べており、人間を「宇宙根源の力」の意志を実行する、この世における担い手と位置づけている。とすると、人間の中でも特に経営者は、事業を通して生成発展を推進する大きな使命が本来、与えられているということだ。その自覚さえあれば、限りある人知にとらわれることなく、衆知を生かし、「自然の理法」に順応した経営ができると、幸之助は考えたのである。次回は、戦後の経営の具体的な文脈において、幸之助自身が「自然の理法」について論じたことに焦点を当てたい。真々庵にある根源社（こんげんのやしろ）にて手を合わせ、宇宙根源の力に生かされていることに感謝と祈念を奉げた（1963年）L［実践］理念経営Labo2022AUTUMN41

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経営マインド探訪経営者が「主体性」を育むために大平浩二（明治学院大学名誉教授、新潟産業大学特任教授）岐路に立つ現代の企業経営。日本経済を導いた経営者たちの考え方をひも解き、今に求められる指針を見出す世の中は常に揺れ動いているのであるが、この2～3年はとりわけ変化が激しいように思えてならない。新型コロナによるパンデミックに加えて、ウクライナ戦争、台湾情勢、急激な為替の変動と物価の上昇……。こうした状況に直面すると、私たちは目前の個々の変化に目を奪われて、本来の自分の立ち位置である「軸」を見失ってしまいそうである。前回は、革新を生み出すために経営者が経なければならない苦しいプロセスとして、「ネガティブ・ケイパビリティ」に触れた。今回は、そうした苦労にもブレない軸となって支える「主体性」について考えたい。名経営者といわれる人たちは自分の「理念や哲学」をつくり上げてきた中で、彼らなりの「主体性」を必ず持っていたからである。世界標準となっている「他律的規準」「主体性」というのは、平易なよがんちくうでいて、結構含蓄のある言葉である。私たちのどれくらいが、自分自身の「主体性」を認識しているだろうか。そもそも、何をもって「主体性がある」といえるのか。「主体性」の本来の意味は、どこにあるのだろうか。まず、なぜ筆者がこの「主体性」に関心を持ったのかについて触れておきたい。前にも書いたように、今日の世界の経済や特に企業経営の評価基準があまりにも「見える化」を求めるあまりに、過度な「実証主義的数値化」に走ってしまっている、という現実がある。その数値化のほとんどが海の向こうからやって来たモノサシである。具体的にはROE（自己資本利益率）、ROA（総資産利益率）、SDGs（持続可能な開発目標）、ESG（環境・社会・ガバナンス）などであるが、いうまでもなくこれらは他者のルールにもとづく「他律的規準」である。そして、多くの経済人がいつの間にか何の疑いもなく、さも当たり前のように受け入れている（ように見える）。しかし、経済も企業経営も、多くの人たちからなるもっと複雑で総合的なものではなかろうか、というのが筆者のそもそもの疑問である。これらの点に関連して、京セラ創業者・稲盛和夫氏がニューヨーク証券取引所上場時に発した言葉を改めて明記しておきたい。「私たちが株主の利益を最も大事にする、ということを１回も言ったことがありません。京セラという会社は、“全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類社会の進歩発展に貢献する”ことが目的であると言い続けてきたが、アメリカの投資家の皆さんから一言も批判はありませんでした」（詳しくは拙著）普遍的な理念・哲学は個々の経営者の揺るぎない「主体性」から生まれるのである。諏訪の地場産業を手がかりとしてでは、その「主体性」は一体どのようにして育まれるのだろうか。この点を考えるにあたってヒントになる書物に出合った。前にも紹介した、作家、映画プロデューサーとして活躍する小倉美惠子氏の『諏訪式。』である。小倉氏は同書で、長野県の諏訪地方において明治期以前から多くの産業人が輩出していることに注目している。そして、その理由を諏訪地方の地方性（歴史・風土・気候等々）から説き起こし、この地方性こそが“産業人の明確な意志の決定”の源になっている、と述べている。小倉氏によれば、諏訪地方には2000社を超えるものづくり企業が集積し、人口比では100人に1人の経営者が輩出している。それは首都しの圏の比率をはるかに凌いでいるそうだ。そして、諏訪地方と首都圏の産業には、根源的な違いがあるという。「東京近郊の近代産業は、それ以前の歴史とは断絶している。つまり、地元で代々暮らしてきた漁師や農民たちの土地を召し上げて、そこすわ42［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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経営マインド探訪をコンクリートで埋め塞いだ上に大企業の工場が移転してきたのだ。（中略）『地価や税金が安い』などの理由で移転してきた外様企業で、地域との関係が希薄だった。ところが諏訪では、江戸時代の地場産業から近代の製糸業、戦後の精密機械産業からIT、メカトロニクスといわれる現在に至るまで、その主体は地生えの諏訪人たちであることに驚かされる。（中略）表の看板は代わっても主体は変わらない」（同書11～12ページ）セイコーエプソンや三協精機（現・日本電産サンキョー）、チノンといった諏訪地方に淵源を持つ企業は、味噌蔵、製糸工場、寒天工場といった地場産業の「遺産」を土台にしている。その三協精機の創業者の1人である山田正彦氏には、次のような言葉がある。「原点は百姓です。背広を着てどんなにいい恰好をしても百姓は百姓です。それを忘れてしまったら挫折します」（同書16ページ）「軸足のある人」による「合わせ技」でのものづくり小倉氏は、この三協精機のケースを、諏訪伝統の農・産業にある原点（「諏訪にあるもの」）を忘れない意識と、それに加えての新しい技術（「諏訪にないもの」）の「合わせ技」と呼び、「『諏訪にあるもの』の側に重心を置くことで『主体性』が保たれた」（同書16ページ）と書いている。これは重要な指摘だと思う。諏訪でっちの経営者たちが、若い頃に丁稚見習いに出て商売の基礎を身につけ、“商”や“工”の経験と知識を養い、自分に足らないところを「合わせ技」で補ってきたからである。私は、日本のものづくりの根底には、この「合わせ技」が生きていると思っている。産業革命による効率的な大量生産はものづくりの現場を一変させたが、日本人は「効率的大量生産方式」と日本人の得意とする「伝統的職人芸」を「合わせ技」でもってうまく統合したのである（その過程を「擦り合せ」ともいう）。「QCサークル」「カイゼン」に代表される日本のものづくりの成果を見ても、「Q：quality＝品質」は数値だけでは「C：control＝管理統制」できないことがうかがえる。そこには表からは見えない「合わせ技」があったのである。この絶妙な「合わせ技」は、具体的な数値で表されるものではない。そしてこの習得のプロセスは、まさに「ネガティブ・ケイパビリティ」そのものでもある。小倉氏はまた、諏訪の「ものづく」である「合わせ技」のこくようせきの源流について「縄文時代の黒耀石さかのぼ加工流通」にまで遡る諏訪人の精神の基層にある、という（同書20ページ）。そしてさらに、「上京してもなお諏訪の風土をその身に宿す諏訪人」を「軸足のある人」と呼んでいる（同書116ページ）。その「軸足のある人」こそが「見えるもの」、つまり目先の損得勘定や分析的な思考から生まれる“効率的数値”だけでなく、その背後にある大切な「見えないもの」（心に宿した「自然」や「風土」に照らして考える力）を見ることができる「目利き」となりうるのだと指摘する。さんぽう近江商人にいう「三方よし」も、それにあてはあまるであろう。日本の風土に由来する強みを経営に生かす日本にはこのような「軸足」となりうる、特色のある地域文化や伝統が数多く存在していると思う。それには、日本という国が置かれた地理的な条件や気候風土が色濃く影響しているのだろう。日本は海に囲まれているので「海の国」のように思われるけれども、むしろ「山の国」であるように思えてならない。それは、山の持つ豊かさが河川を通じて下流の平野を肥沃ほうじょうにし、ひいては海も豊穣にしているからである。おおひら・こうじひよく加えて、“高温多湿”という気候風土では、様々な微生物の活動が見られることとなる。それによって、多くの発酵食品がつくられてきたのである。そこで、次回は微生物の働きという、一見すると「見えないもの」の持つ機能を近代科学との「合わせ技」で新しい素材の発見・開発につなげた勇心酒造の例を取り上げ、徳山孝社長の「主体性」と「生かされている哲学」について見ていきたい。大平氏の最新刊『見えないものを見る力』1951年生まれ。明治学院大学経済学部専任講師、助教授、教授を経て、現在名誉教授。ケルン大学客員教授（1991〜92年）、2021年より新潟産業大学特任教授を務める。専攻は経営学説史、経営組織論。経営哲学学会会長、日本経営学会理事等を歴任。L2022年、PHP研究所刊定価：1,760円（10％税込）［実践］理念経営Labo2022AUTUMN43

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「問い」が人を育てるプロ・ファシリテーターが斬る!!組織づくり・人づくりのヒントPHP研究所人材開発企画部長的場正晃PHPでの長年の現場経験をもとに、組織や人材開発に役立つ情報をわかりやすく解説「問い」には、人の意識に働きかける強力なパワーがあります。人を育てるのが上手なリーダーは、自分が話すよりも、相手が話すことを重視する傾向にあります。つまり、適切な問いを的確なタイミングで投げかけ、相手に深く考えさせるような指導を行なっているのです。そこで本稿では、人の意欲と主体性を引き出しながら、成長を促進するような問いかけの仕方について考察します。「君、どない思う？」人材育成の達人の問いかけ松下幸之助の口癖の一つが、「君、どない思う（どう思う）？」でした。小学校を４年で中退して商売の道に入ったため、学校教育をまともに受けることのできなかった幸之助には、すべての人が師（先生）に見ひんぱんえたようです。だから、頻繁に周囲の人に問いかけて衆知（多くの人の意見や考え）を集め、それを意思決定の判断材料にしていたのです。一方、周囲の人たちは、幸之助から問いかけられるたびに深く考えるようになり、自然と課題発見・形成力が高まっていきました。ある元幹部は、会社の最高経営責任者である幸之助から意見を求められることがうれしくて、「もっと喜んでもらえるような提案や情報を提供しよう」と前向きなエネルギーが高まっていった、と当時を振り返っています。幸之助は「人材育成の達人」と言われましたが、その特徴は、問いかけによって相手をやる気にさせ、その人の可能性を開花させることでした。現代風に解釈すれば、松下幸之助は「名コーチ」であったと言えるでしょう。人を育てる問い相手の問題意識を高め、行動変容を促す、簡単な問いかけの仕方があります。それは、「どうしたい（どうなりたい）？」という問いと、「それに対して現状はどうなっている？」という問いをセットで投げかGROWモデルReality現状けることです。たとえば、部下に「君は３年後、どのようなビジネスパーソンになりたい？」という問いかけをしたとしましょう。それに対して、「デジタルマーケティングの専門家になりたいです」という答えが返ってきたら、すかさず「デジタルマーケティングの専門家になりたいんだね。それに対して、現状はどうなっている？」と、問いの深掘りをするのです。そうすると、「知識が不足しているので、勉強しないといけません」とか、「今でも、そこそこのレベルですが、その状態を維持するためには、新しい情報をインプットし続ける必要があります」等々、何らかの答えが返ってくるでしょう。ギャップ質問に対する回答の内容は様々でGoal問いを投げかけて見える化なりたい姿44［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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組織づくり・人づくりのヒントしょうが、いずれにしても、一連のやり取りの中で、答えた本人が自分の発したことばからたくさんの気づきを得ること（心理学では「オートクライン効果」と言う）が期待できます。GROWモデルに則った問いの組み立てこの質問の仕方は、コーチングの「ＧＲＯＷモデル」（Goal、Reality／Resource、Options、Willの頭文字を取ってこう呼ばれる）の一部をフレームワークとして活用しています。つまり、Goal（なりたい姿）とReality（現状）のあいだに存在するギャップを「見える化」することで、今、何をしなければいけないかに気づかせ、行動変容を促進するものです。相手に対して、このような問いを投げかけることによって、長期的・ふかん俯瞰的・客観的にみずからを見つめることができ、意識と行動の変容が実現するのです。自分には「なぜ」よりも「何」で未来志向に一方、自分と向き合って内省をする際にも、問いは様々な気づきを提供してくれます。ただし、内省する際には、「なぜ」という問いはなるべく使わないほうがいいでしょう。組織心理学の研究によると、「なぜ」という問いに対して自分が考え出す理由は正しくない場合が多く、誤った自己認知につながる可能性があるとされています。また、「な44ぜ」という自問が、過度の自責の考え方（うまくいかない原因はすべて自分のせいだ）を誘発し、ネガティブな思考パターンに陥ってしまうと言われています。では、「なぜ」ではなく、どのような問いを内省に使えばいいのでしょうか。組織心理学者のターシャ・ユーリックは、有効な問いについて次のように述べています。「生産的な自己洞察を増やし、非生産的な堂々めぐりを減らすためには、『なぜ』ではなく『何』を問いかけるべきだ。『何』という問いは、客観性と未来志向を保つ一助となり、新たな洞察に基づいて行動を起こす後押しとなる」（ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編『セルフ・アウェアネス』ダイヤモンド社）たとえば、「なぜ、うまくいかないのか」という問いよりも「うまくいくためには何をする必要があるだろうか」という問いのほうが、前進するための前向きなエネルギーを生み出しやすくなるのです。相手に対する問いであれ、自分に対する問いであれ、いずれも思考の拡張と様々な気づきにつながることが脳科学的にも証明されています。人を育てる立場にある人は、相手の成長のため、また自身の成長のため、問いかけの達人を目指していただきたいものです。＊PHP研究所では、よりよき人材を育成するための各種マネジメント研修を提供しています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。まとば・まさあき1990年、（株）PHP研究所に入社し、研修局に配属される。以後、一貫して、PHPゼミナールの普及、および研修プログラムの開発に取り組む。2001年から2003年まで神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得する。中小企業診断士。著作に『“強い現場をつくるリーダー”になるための5つの原則』（PHP通信ゼミナール）。LPHPゼミナール課長研修マネジメント革新コース「与える」マネジメントから「引き出す」マネジメントへ本セミナーの特徴課長職（ミドルマネジメント・中級）管理職を対象とした公開型セミナー。「与える」から「引き出す」へ、マネジメントを革新します。新任課長の昇格時研修、既任課長のフォロー研修に好評です。研修のねらい部下と組織の力を「引き出す」マネジメントの3つの条件①他を頼るのではなく自らの責任で課題を達成しようとする「使命感」②部下や周りの人材の意見に耳を傾ける「素直な心」③部下の可能性を信じる「人間観」対象受講料定員期間肯定的な人間観使命感を共有し、素直な心で衆知（多くの意見・考え方）を集め、肯定的な人間観で人を見ることが「引き出す」マネジメントの要諦です。実施要項総学習時間課長職の方々※一つのまとまった組織を運営し、組織としての成果を最大化することが求められている方々77,000円（税込）※1資料代［集合研修は昼食代］含む※2「社員研修VA+」会員は10％割引集合研修：18名オンライン開催：25名※1開催1社5名まで2日間詳しくはウェブサイトをご覧ください引き出すマネジメント使命感14.5時間素直な心［実践］理念経営Labo2022AUTUMN45

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BOOKS〈知をひらく〉～経営の着眼点～森から学ぶ絶対の安心感のある経営山藤賢×山田博『森のような経営―社員が驚くほど自由で生き生きする。「心理的安全性」に溢れた組織づくり』2021年、ワニ・プラス刊定価：1,650円（10％税込）回は『森のような経営』を著今した山藤賢氏（昭和医療技術専門学校学校長）と山田博氏（プロ・コーチ）から、森をヒントに、一人ひとりが活き活きと働ける経営のあり方について話をうかがう。――本書では、森でのワークショップを主催する山田さんのナビゲートで、医療の専門学校を経営する山藤さんが森での気づきを実際の経営に活かしておられることについて語り合われています。この対談は、どのような経緯で実現したのですか。山藤山田さんが主催する「森のリトリート」（リトリート：非日常の空間で自分と向き合うこと）に私が参加して、意気投合したのが始まりです。学校にも見学に来てもらったのですが、「まるで森のようだ」と言ってくださいました。山田誰にも開かれていて、明るく、職員も生徒も自然体で活き活きとしていました。雰囲気だけでなく、国家試験の合格率も全国トップクラス。山藤さんの経営観を「森」というフィルターに通してみたら、面白いものができるのでは、と思いました。――他の会社や学校と何が違うのでしょうか。山藤私が経営する学校では、売上目標や予算を立てませんし、お金の話は一切しません。それよりも、シンプルに「良い学校」をどうやってつくるか、みんなで話し合い、日々最善を尽くしています。山田森にはもちろん、ビジョンや目標はなく、ピラミッド組織もありません。その点も「森」に共通したものを感じますね。――その学校運営は森へ行ったことがきっかけとなったのでしょうか。山藤思いは昔から変わっていません。でも、森へ行くようになって、出来事を善し悪しで判断しなくなったことは大きいです。本書でも出てくる、「ヨコから見ている」という第三者的に眺める感覚です。森に触れると、何が起こっても「大丈夫」と思えるようになりました。それを職員にも感じてもらいたくて、森に連れて行っています。――「安心感」は本書のキーワードですが、それはどこから来るのでしょうか。山藤森をじっと観察していると、何がよくて何が悪いのか簡単に割り切れないことに気づきます。物事は複雑に絡み合っているから、すべてを理解できない。善し悪しや判断を捨てられると、目の前のことを受け入れられるようになりました。山田会社では売上目標があって、計画通りに進まないのでは、と不安がつきまといます。しかし、森では、虫は虫、鳥は鳥と、“ありのまま”で生きています。基準や目標がないので、他者と比べる必要がない。それを感じて、自分も“ありのまま”でいいのだ、と安心できるのでしょう。――先行き不透明な時代に、「森」は何を教えてくれますか。山田森は目標や計画を持たずに、そのときに起きることを受け入れながら、相互に影響し合って持続的に繁栄しているように見えます。経営も、不測の事態を素直に受け入れられるか、一人ひとりが知恵を出し試行錯誤して進められるかが重要です。そのベースに、「絶対の安心感」が必要です。山藤安心感を与えられるリーダーの存在がキーになると思います。本書では「森のような人」とも言っていて、どのようなリーダーシップを持っている人か、具体的に話し合いましたね。山田森にいると、自分が森から生まれてきたと思う瞬間があります。ひざもと子供は親の膝下にいるとき、一番安心しますよね。同様に、大自然とつながっているとき、人は「絶対の安さっこん心感」を抱きます。昨今、「ウェルビーイング」や「心理的安全性」がいわれていますが、森から学べることがたくさんあると思います。Lさんどう・まさる医療法人社団昭和育英会理事長。昭和医療技術専門学校学校長。医学博士。1972年東京都生まれ。Jリーグ、サッカー日本代表各世代のチームドクターを歴任。やまだ・ひろしプロ・コーチ。「株式会社森へ」創業者。1964年東京都生まれ。㈱リクルートを経て、2004年にプロ・コーチとして独立。’06年より「森のワークショップ」をスタート。山伏でもある。46［実践］理念経営Labo2022AUTUMN

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松下幸之助肉声講話＋PHP理念経営研究センタースタッフ解説PHP研究所公式チャンネルにて好評配信中！……ほか多数ご視聴＆チャンネル登録はこちらから→2022AUTUMN10-12（Vol.3）2022年10月27日発行発行人渡邊祐介編集主幹川上恒雄編集長佐々木賢治発行所PHP理念経営研究センター［編集スタッフ］〒601-8411京都市南区西九条北ノ内町11番地TEL075-681-9166メールkenkyu1@php.co.jpURLhttps://www.php-management.com/長尾梓／時政和輝／桐本真理［編集・普及協力］的場正晃／石田賢司／川浪光治／西岡拓真／伊勢田陶朱／大久拡動画順次公開＆メルマガ登録受付中誌面の内容がよりよくわかる特別動画をこちらのウェブサイトで順次公開しています。↓また、上記動画の公開時期および『［実践］理念経営Labo』の最新情報をメルマガ（無料）にてお届けします。ご希望の方はこちらのウェブサイトよりメールアドレスをご登録ください。↓［デザイン／制作］朝日メディアインターナショナル株式会社©PHPInstitute,Inc.2022Allrightsreserved

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松下幸之助に学ぶ商品企画＆マーケティング講座その商品はヒットする要素を備えているか!?勝てるマーケティングとは!?講師開催日時POINTパナソニックの小型家電を成長させた商品企画のプロと『モノ・マガジン』の創刊を手がけたマーケティングのプロそして松下幸之助の研究者が事業創造プランの理論と事例研究を直接指導！市場環境の変化を読みながら、人びとのお役に立つ商品を企画する考え方と手法を学ぶと同時に、商品の価値を的確に訴求するためのポイントを、パナソニックにおける実践知をもとに学習する連続講座です。戸田一雄氏元松下電器産業代表取締役副社長坪井一雄氏ワールドフォトプレス常務取締役渡邊祐介ＰＨＰ理念経営研究センター代表①2022年11/22火13:00～17:00「市場を理解する」･･･ヒット商品創りの原点を学ぶ②〃12/22木13:00～17:00「自社の強み、弱みを理解する」･･･ニーズを我が物にするには？③2023年1/24火13:00～17:00「商品を最高度に輝かせるパブリシティ＆マーケティング」④〃2/24金13:00～17:00「事業創造プラン発表会」･･･私の実行計画発表2022AUTUMN10-12（Vol.3）2022年10月27日発行ＰＨＰ理念経営研究センター対象経営者・経営幹部・商品企画担当者定員12名（1社2名×6社）トライアル実施につき受講料無料お申込みお問い合わせ株式会社ＰＨＰ研究所人材開発企画部長ma-matoba@php.co.jp的場正晃

