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# Vol.02『[実践] 理念経営Labo』（2022 SUMMER 7-9）

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人と組織の可能性を発見する研究誌理念経営実践2022SUMMERLabo7-9Vol.2［特別企画］｢パナソニックらしさ｣で競争力を生み出すパナソニックオートモーティブシステムズ代表取締役社長執行役員永易正吏［特集］働きがいのつくり方幸せ視点で考える経営hint代表、ビジネス・ブレークスルー大学教授斉藤徹管理職のいない組織で従業員の自主性を育むカワトT.P.C.代表取締役社長川戸俊彦場所に制約されない働き方の選択肢をLASSIC代表取締役社長若山幸司［松下幸之助経営塾講義録］京都先端科学大学教授名和高司［アントレプレナーの最前線］錦城護謨代表取締役社長太田泰造

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『［実践］理念経営Labo』刊行にあたって現代の企業や組織において、経営理念を経営の軸に据えることの重要性はますます高まっています。一つには、資本主義社会のあり方が問い直され、企業の果たすべき責任がよりいっそう重視されつつあることが挙げられます。たとえば、行きすぎた株主重視の反省から、企業には社会的な課題解決が一段と強く求められるようになりました。ESG（環境、社会、ガバナンス）投資やSDGs（持続可能な開発目標）への関心の高まりからも、その傾向は明らかです。また、従来の経営理念に加えて新たに「パーパス」（存在意義）を掲げる企業も数多く出てきました。一方で、政府による働き方改革の推進、雇用慣行の変化、特に最近は新型コロナ感染症拡大をきっかけとしたリモートワーク導入促進の流れの中で、働く人々の価値観においても多様化が進み、組織を統合するための経営理念の役割も見直されています。私どもPHP理念経営研究センターは、複雑化する環境においても企業や組織が活力を持って高品質な商品やサービスを創出し、持続的な発展を遂げてゆくために、新たな理念経営のあり方を追求することを年に設立いたしました。この使命はパナソニックグループ創業者で弊社PHP研究所創設者でもある松下幸之助の「思い」から発しています。松下は、昭和7（1932）年5月5日、「人々の日常生活の必需品を充実豊富にして、その生こんしん活内容を改善拡充する。松下電器製作所はこの使命の達成を究極の目的とし、今後一層渾身の力を振るまいしんい、一路邁進せんことを期す」という趣旨の自社の「真使命」を宣言し、パナソニックグループを世界へと飛翔させました。また終戦後の世の乱れ、人心の荒廃を思い知らされたところから、「繁栄を通じて、平和と幸福を実現する」（PeaceandHappinessthroughProsperity）との思いに立ち、昭和21（1946）年11月3日にPHP研究所を設立いたしました。「初めに思いありき」の言葉通り、松下のいずれの事業活動もすべて「思い」を原点とした理念経営にほかなりません。こうした考えに立ち、PHP理念経営研究センターの情報発信の場として『［実践］理念経営Labo』をこのたび刊行いたします。誌名に「Labo」（ラボ）とつけたのは、本誌を生きた「理念経営の研究室」とし、より先端的な課題への取り組みに挑みたいとの思いがあってのことです。理念経営に挑戦している経営の現場を現代的見地にもとづいて取材し、理念実践の新たな指針を創出することを目指して誌面づくりに尽力していきたいと考えています。読者の皆様には、ぜひとも「Labo」の共同研究者として情報、ご感想を賜り、明日の「理念経営」のあり方に一石を投じるべくご支援、ご指導をお願いいたしたく存じます。2022年4月PHP理念経営研究センター代表渡邊祐介

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Contents──2022SUMMER7-9（Vol.2）【SpecialInterview】「パナソニックらしさ」で競争力を生み出す「自主責任経営」の実践に向けたビジョンと戦略特集働きがいのつくり方【Interview】幸せ視点で考える経営「自走する組織」に変わるためにパナソニックオートモーティブシステムズ代表取締役社長執行役員永易正吏hint代表、ビジネス・ブレークスルー大学教授斉藤徹410【Interview】管理職のいない組織で従業員の自主性を育むやる気と経営意識を高める「グループ制」【Interview】場所に制約されない働き方の選択肢をそれぞれの「らしく」の実現をサポートするために松下幸之助経営塾カワトT.P.C.代表取締役社長川戸俊彦LASSIC代表取締役社長若山幸司1418【講義録】パーパス経営が時代を切り拓く「新SDGs」と「志本主義」のあり方【塾生通信】日に新た京都先端科学大学教授、一橋大学ビジネススクール客員教授名和高司2226【SpecialReport】大反響！自主責任経営が体感できる「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」参加者の関係の質を強め、主体性とチームワークを養うSeries【アントレプレナーの最前線―時代をつくる旗手たち】わが社らしさの見える化で事業創出「KINJOJAPAN」で日本のよさを世界へ発信するPHP理念経営研究センター代表渡邊祐介錦城護謨代表取締役社長太田泰造2830【実践！企業風土改革】組織に好循環を生み出したリーダー養成プロジェクト「お客様に寄り添う」の実現を目指して京都中央信用金庫34【松下幸之助の経営哲学】自分の意志を超えた働きを確信するなぜ「自然の理法」に従うべきなのか②【経営マインド探訪】革新をもたらす苦悩のプロセス【プロ・ファシリテーターが斬る!!組織づくり・人づくりのヒント】「指導」と「育成」―人づくりの本質を考える【BOOKS〈知をひらく〉～経営の着眼点～】従業員の連携で甦った最高のおもてなしPHP理念経営研究センター首席研究員川上恒雄明治学院大学名誉教授、新潟産業大学特任教授大平浩二PHP研究所人材開発企画部長的場正晃ＰＨＰ理念経営研究センター研究員時政和輝38424446

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SpecialInterview「パナソニックらしさ」で競争力を生み出す「自主責任経営」の実践に向けたビジョンと戦略本社にて。仕事に集中できる環境やコミュニケーションが生まれる場など、随所に工夫が凝らされているパナソニックオートモーティブシステムズ株式会社代表取締役社長執行役員永易正吏ながやす・まさし＊愛媛県出身。1984年、松下電器産業に入社。海外インダストリー営業やオートモーティブ営業で責任者を歴任。2016年にパナソニック役員、オートモーティブ＆インダストリアルシステムズ社副社長。’21年、パナソニック常務執行役員・オートモーティブ社（現・パナソニックオートモーティブシステムズ）社長に就任。パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社本社：神奈川県横浜市／設立：2022年4月／事業内容：車載コックピットシステム、先進運転支援システム・デバイス、車載充電器、xEV向けシステム・デバイスなどの開発・製造・販売取材・構成：塚田有香写真撮影：山口結子（P4、6上、8）写真提供：パナソニックオートモーティブシステムズ今年４月、パナソニックグループは、持株会社であるパナソニックホールディングスと8つの事業会社および国内外の関係会社からなる事業会社制に移行。独立したそれぞれの新会社において、松下幸之助創業者が重んじた「自主責任経営」の実践が求められる。それに向けて、具体的にどのような取り組みを行なうのか。車載事業を担う新会社「パナソニックオートモーティブシステムズ」の永易正吏社長にビジョンと戦略をうかがった。4［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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「パナソニックらしさ」で競争力を生み出す自主責任経営に向けたミッションとビジョン2022年４月にパナソニックグループが「事業会社制」へ移行したのに伴い、旧オートモーティブ社は「パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社」として新たなスタートを切りました。新体制では各事業会社に大幅な権限移譲が行なわれ、当社も独立性を持った法人として自主責任経営の推進に取り組んでいます。新会社の始動にあたり、まず着手したのがミッション・ビジョンの策定です。パナソニックグループの経営理念を表現した「綱領」「信条」「私たちの遵奉すべき精神（七精神）」および新ブランドスローガン「幸せの、チカラに。」にもとづいて、当社の使命や存在意義、将来の姿はどうあるべきかを考え抜いた末、次のように決定しました。［ミッション］一人ひとりのより良いくらしの実現のため、持続可能なモビリティ社会を創造する［ビジョン］愛をもって人に寄り添い、卓越した技術と知恵で新たなユーザー価値を創造し、より快適で安心安全な移動空間の実現により、人に幸せをもたらし続ける最高のチーム、最高のパートナーになるさらにミッション・ビジョンを簡潔に表現したスローガンもつくりました。それが「Heartmotive――こころ動かす出会いを創り続ける」です。「Heartmotive」とはHeart（人の心）とAutomotive（クルマ）を組み合わせた造語で、「パナソニックらしいオートモーティブ事業をやりたい」という私たちの思いを込めました。綱領に「社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与せんことを期す」とあることや、ブランドスローガンの意味を踏まえると、私たちの使命は「世界中の一人ひとりのより良いくらしを実現すること」となります。それには環境問題や渋滞問題、交通事故など、移動に伴うあらゆる課題の解決に貢献し、持続可能なモビリティ社会を創造することが求められます。このミッションを果たすために私たちができるのは、パナソニックが長いあいだ人々のくらしに寄り添ってきた経験や技術をモビリティ社会に生かすことです。人に寄り添うことが競争力の源泉にビジョンの中で「愛をもって」という表現を使ったのは、私のこだわりです。愛があるからこそ、お客様に対しても、ともに働く仲間に対しても、一生懸命になれる。特にこれから新会社、新たな組織でやっていくには、社内の人間がお互いに愛をもって協力し合い、最高のチームをつくらなければいけません。パナソニックグループが掲げる経営基本方針の「衆知を集めた全員経営」を実践し、自主責任経営を推進するためにも、やはり愛がなければダメだと考えました。それに続く「人に寄り添い」も、私たちにとって重要なキーワードです。なぜならこれこそが“パナソニックらしさ”を象徴しているからです。完全自動運転の時代（2030年頃）を想定した「車室空間コンセプトカー」当社の事業は自動車メーカーをお客様とするBtoBですが、本質的にはBtoBtoCであり、クルマを利用するユーザーを意識することが大切です。つまりクルマに乗る人たちが抱えている悩みや問題、すなわちペインポイントは何かを考え、それを解決するのが私たちの仕事で［実践］理念経営Labo2022SUMMER5

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ある。これはまさしく愛をもって人に寄り添うことでしか成しえません。パナソニックは創業以来、人々のくらしを良くすることを使命とし、この社会で生活する一人ひとりに寄り添ってきた会社です。よって人に寄り添うことは私たちの「強み」であり、競争力の源泉なのです。自動車メーカーのお客様が当社に期待するのも、この点にあります。自動車業界は今、「100年に1度の変革期」といわれ、EV（電気自動車）への移行が加速しています。従来の自動車は各社が独自開発するエンジンによって性能や機能を差別化できましたが、EVではどのように差別化し、価値を提供すればいいか、自動車メーカーも悩んでいます。そこで私たちが「パナソニックらしさを生かして快適で安心安全な車室空間を実現し、移動体験価値を向上させることで差別化に貢献したい」とお話しすると、どのお客様も強い期待を寄せてくださいます。BtoBの先のtoCまで意識し、人に寄り添ったソリューションを提供することが自動車メーカーへの貢献になり、ひいては当社の競争力強化につながると確信しています。していくことが求められます。ユーザーである人を起点に価値を生み出すには、まず未来の姿を予測し、10年後や20年後の人々はどのようなペインを抱えていて、どうすればそれを解決できるのかを考えて商品開発をしなければいけない。つまり未来から逆算する「バックキャスト型」の思考に切り替える必要があります。たとえば2030年のクルマ社会を予測すると、世界で稼働する1億台のうち、3分の1はEVになるといわれています。また自動運転については、ほぼすべてのクルマに少なくともレベル1（運転支援）・2（部分運転自動化）の機能が搭載されるでしょう。さらにはクルマを所有する人が減り、利用するだけの人が増えていく可能性も考えられます。現在の当社はものづくり・もの売りの会社ですが、未来を見据えてサービス事業の開発にも注力していく考えです。すでにグループ会社のパナソニックITSが北海道室蘭市と共同でMマースaaS（次世代交通サービス）の実証実験を行なっており、カーナビ技術を活用したマッチングアプリを開発して、クルマを持たない高齢者や学生がタクシーの手配や相乗りができるサービスを提供しています。またゴミ収集の人手不足を解消するため、収集済み／未収集のゴミステーションをアプリで記録して、業務効率化を促進するサービスも提供中です。バックキャスト型思考で新たな価値を創出ただし、当社はこれまでBtoBに徹してきたので、今後はCを意識した新たな価値創造プロセスを社内で構築北海道室蘭市とパナソニックITSの「廃棄物収集効率化」合同記者会見の様子（2021年6月11日）6［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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「パナソニックらしさ」で競争力を生み出す人に寄り添って発想すれば、世の中には移動に関するお困りごとがたくさんあることに気づきます。パナソニックらしさを生かして解決できる社会課題はいくらでもあるはずです。また、環境への貢献も大きなテーマです。世界中でCO2や排出ガスに関する規制が厳しさを増していますが、これに受け身で対応するのではなく、むしろ競争力強化につなげるべきだと考え、当社では「攻めの環境革新」に挑んでいます。パナソニックグループは2030年までにカーボンニュートラル（温室効果ガスの実質的な排出量ゼロ）を達成すると宣言していますが、当社はそれに先行して2022年度の達成を目標に掲げています。国際基準のスコープ3では、自社だけでなくサプライチェーン全体での取り組みが必要になるため、CO2排出量を見える化するデータベース・プラットフォームを開発するなど、攻めのアプローチを積極的に仕掛けていくつもりです。変化にアジャイルに臨み勝てる組織を目指すにメッセージを発信しています。社内風土改革で組織・人の横連携を強化ミッション・ビジョンを実現するため、「ProjectC」と名づけた様々な社内風土改革プロジェクトにもすでに取り組んできました。なかでも私が重視しているのが、事業部間や社員間の横連携の強化です。新しい会社になったからこそ、今まで以上に社員全員が一体感を持てる環境をつくることが大切で、皆がオープンに自分の考えや意見を出し合えるように心理的安全性を担保しなければいけない。そのためには、組織や個人が横同士のつながりを深める仕組みをつくることが必要です。そこで今、ある事業部で「ハッピーユニット」という取り組みを行なっています。これは別々のチームに所属するメンバーをランダムに5～6人集めて1つのユニットをつくり、トップに提案する機会を設けたり、イベントを行なったりして、交流を深めてもらうための仕掛けこのような未来を見据えたチャレンジの一方で、足元の経営強化も急務です。収益性を高めて自主責任経営を実践するには、キャッシュフローの改善が必須となります。そこで事業戦略として、今後3年間はオペレーション力の強化に集中する方針を掲げました。私たちのビジネスには受注・開発・量産の3つのフェーズがあり、特に開発には莫大なコストがかかります。そのため、各工程のオペレーションを効率化し、うまく連携できるようプロセスの見直しを行なっているところです。オペレーションを効率化すれば、変化への対応力も向上します。直近でも上海のロックダウンやロシアのウクライナ侵攻など大きな環境変化が次々と起こり、自動車業界でも半導体の不足やサプライチェーンの混乱が続いています。だからこそ当社が今のうちに変化に対応できる強い仕組みを構築すれば、他社と差別化できる。柔軟かつしなやかに変化できるアジャイル（機敏）な体質になれば、失敗を恐れずどんどん新たなチャレンジをしながら、スピード経営も実践できます。こうした取り組みによって変化の激しいモビリティ業界で勝てる組織をつくることが、自主責任経営の推進につながるのだと社内ProjectC活動での社員による対話会の様子社内に掲示されているProjectC啓蒙ポスター［実践］理念経営Labo2022SUMMER7

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です。最初のうちは「やらされている感」のある人もいましたが、次第に皆が横同士のコミュニケーションを楽しむようになり、昨年オンラインで開催した夏祭りではメンバー同士がワイワイと夢を語り合う光景が見られました。当初は事業部内の一部のビジネスユニットだけで試したのですが、組織や人同士の壁を取り払う効果が高いとわかったので、今後はこの取り組みを事業部や会社全体へと広げていく予定です。また、経営責任者会議を社員にライブで公開しているのも、ProjectCの一環です。幹部同士が何を話しているのかをオープンにすることで、誰もが言うべきことをかったつ言える自由闊達な職場をつくることが目的です。私も社内への発信を大事にしていて、現在は月に1度、自分がホストになってゲストと対談するライブイベントを社内コミュニケーションツールで配信しています。これまでレーシングドライバーの佐藤琢磨さんや、全体最適のマきしらネジメントで著名なゴールドラットジャパン代表の岸良裕司さんなどに社外ゲストとしてご登場いただきましくすみゆうきた。もちろん、パナソニックグループの楠見雄規CEOにも出てもらっています。社員たちはそれを見ながらチャットで感想を言い合うなど、自由なコミュニケーションの場になっています。「私たちの遵奉すべき精神（七精神）」が壁面に大きく書かれている会議室にて100年に1度の変革期こそ経営理念を拠り所に先ほども述べたように、モビリティ業界は歴史的な変革期に直面し、これから当社としても様々な課題や困難を乗り越えていかなければいけません。それは決して簡単ではありませんが、困難なときほどみずからを成長モードに切り替え、ピンチをチャンスに変えていくことが経営には必要です。そのときに社員の拠り所となるのは、やはり経営理念です。共通の理念があるからこそ、それを拠り所として個人と組織が統合され、大きな力を発揮することができるのです。私は昨年4月にオートモーティブ社の社長に就任した際、「変えること」「変えないこと」を明確に分けてメッセージを発信しました。前者の変えることはマインドセットであり、「不安」を「自信」に、「心配」を「健全な危機感」に、「計画至上主義」を「チャレンジマインド」に変えていく。一方で変えないことの筆頭に挙げたのが経営理念でした。これこそが私たちのバックボーンであり、事業会社制へ移行してもパナソニックグループの一員として創業者の精神や思想を継承していかねばならないと考えたからです。これからも私たちは経営理念を拠り所とし、みずからのミッション・ビジョンを実現することで、「パナソニックらしいオートモーティブ事業」を追求していきます。L誌面の内容がよりよくわかる特別動画をこちらのQRコードからご視聴いただけます。8［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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［特集］働きがいのつくり方日本企業は働く人のエンゲージメントが低いとされる。また、リモートワークの導入が進み、働き方が多様になった現在、「なぜ、この会社で今の仕事をしているのだろうか」と、一人ひとりが働くことについて考え直す機会も増えた。そのような状況において企業が求心力を保ち、競争力を高めていくには、一人ひとりの働きがいに目を向け、育んでいく姿勢がこれまで以上に求められるのではないだろうか。そこで今回は、働く意欲を生み出し、生産性を高めるための考え方や取り組みを取り上げる。「人口減少」「リモートワーク」「ソーシャルシフト」「Z世代」といった現代的なキーワードから、これからの働きがいのつくり方を考えてみたい。

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Interview幸せ視点で考える経営「自走する組織」に変わるために起業家、経営学者株式会社hint代表ビジネス・ブレークスルー大学教授斉藤徹さいとう・とおる＊1985年、日本IBM入社。’91年に独立しフレックスファーム創業。2005年にループス・コミュニケーションズ創業。ソーシャルシフト提唱者として、知識社会における組織改革を企業に提言する。’20年からビジネス・ブレークスルー大学教授に就任。’18年に開講した社会人向けオンラインスクール「hintゼミ」は、卒業生が700名を超え、3カ月ごとに約100名の仲間が増えている。主な著書に、『だから僕たちは、組織を変えていける』（クロスメディア・パブリッシング）、『業界破壊企業』（光文社）、『ソーシャルシフト』（日本経済新聞出版）がある。『だから僕たちは、組織を変えていける』（クロスメディア・パブリッシング）のベストセラーで今注目の斉藤徹氏は、事業家として行きすぎた資本主義の課題を目の当たりにし、ソーシャルシフト以後の新しい経営のあり方や組織づくりを追究し続けてきた。コロナ・ショックでさらに加速する変革期に、これから求められる理念経営や働きがいについて語る。取材・構成：時政和輝写真撮影：長谷川博一誌面の内容がよりよくわかる特別動画をこちらのQRコードからご視聴いただけます。ソーシャルシフトの真っ只中で私たちは今、新たなパラダイムシフトに直面し、かつてない変革の真っ只中にあります。産業革命以降、大量生産・大量消費の工業社会が隆盛を極め、1990年代から2000年初頭にかけて、いわゆる「IT革命」によって情報社会へと発展しました。そして今、迎えているのが「ソーシャルシフト」。SNSなどソーシャルメディアによってもたらされた社会変革です。ソーシャルシフトが進むにつれて、ビジネスや会社組織のあり方はもちろんのこと、私たち一人ひとり10［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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特集働きがいのつくり方の働き方や人生プランまでもが、これまでとはまったく違ったものに変わっていくでしょう。そして当然ながら、私たちにもマインドチェンジが必要となります。私はその際にキーワードとなるのが、「幸せ視点」だと考えています。そう思うようになったわけは、私の苦い経営体験にあります。大学卒業後、コンピュータ業界で技術者として仕事をしていた私は、IT技術の進歩とともに世の中が指数関数的なスピードで変わっていくことを肌で感じました。そこで30代前半で独立し、ソフトウェア開発の会社を2度起業しました。しかし、その中で4度も倒産の危機に見舞われたのです。特に4度目は2008年に起きたリーマン・ショックの影響をまともに受け、契約寸前だった大型案件が消滅。1億5000万円の債務超過を抱えることになり、50人いた社員も7人までに激減しました。倒産危機に陥り「お金視点の経営」を見直すなぜ、何度も倒産危機に陥ったのか。問題の根底には、急速な事業拡大を求めた無理な資金調達がありました。お金を借りたり調達したりすると、必ず一定期間に一定量のお金を返さなくてはいけません。すると、経営判断もお金に縛られたものになっていきます。“これをやりたい”という思いや理念があっても、お金中心の考え方にならざるをえず、次第に思いや理念から逸れていく。皮肉なことに、お金を追求すると、かえってお金に苦しめられるのです。当時、私は47歳でした。人生も後半にさしかかっています。はたして、どうしたら残りの人生を幸せに生きられるのだろうかと、改めて自分に問い直しました。「みんなが幸せになってほしい。そのために、私は生まれ変わりたいし、会社も変えたい」。それが私の偽らざる思いでした。これまでの「お金視点の経営」をきっぱり止めて、「幸せ視点の経営」を実践することを決意したのです。それからは、顧客の立場になってコンサルティングをするのはもちろんのこと、顧客のためになるなら自社製品にこだわらず他社製品を採用したりと、徹底的に顧客のことを第一に考えました。短期的に利益を上げるために顧客とつき合うのではなく、長期的な信頼関係を築いていこうと、方針を180度変更したわけです。社員たちにもいろいろと苦労をかけましたが、私の思いを信じて一緒によく頑張ってくれました。そして2年後、ついに多額の借金を7人で返済することができたのです。お客様の幸せをどこまでも追求していく。これがビジネスの原点だと改めて痛感しました。そして何より大きな収穫は、そのような考えで活動するうちに社員たちにも幸せな表情が浮かぶようになり、みんな充実感を持って仕事に取り組んでくれるようになったことでした。こうした経験によって、追求していくべきは「幸せ視点の経営」だと確信した私は、連続起業家として活動するかたわら、大学やオンラインスクールでソーシャルシフトに向けた経営学やビジネスのあり方を探究し、教え広めてきました。やる気に満ちた組織へ変えていくための方法を、幸せ視点と経営学の知見にもとづいて提案する「共感」「信頼」がキーワード世界を揺るがしたリーマン・ショックと時を同じくして、もう一つエポックメイキングな出来事がありました。ソーシャルメディアの登場です。SNSなどのソーシャルメディアを利用して誰でも手軽に情報を発信できるようになったことで、情報をシェアする文化が生まれました。それは、良いことも悪いこともソーシャルメディアを通して瞬またたく間に世界に拡散されるという、これまでにない社会変革です。その結果、ビジネスにおいて、人や環境にやさしい取り組みをする企業、顧客との信頼関係を大切にする企業は生活者から支持され、一方で不誠実な言動によって反感を買う企業は大きなダメージを被るという現象が生じるようになりました。「ブラック企業」という言葉が出てきたのもこの頃です。社会や組織の中で、一人ひとりの個人は弱い立場に［実践］理念経営Labo2022SUMMER11

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あっても、組合などをつくって連帯すれば大きな力を持ちますが、それと同じようにソーシャルメディアによって一般の人々がつながり、大きな影響力を持つようになったのです。このようなソーシャルシフトの社会では、「共感」や「信頼」という心の通った関係性がキーワードとなります。企業経営においては、理念を大事にして、人々の共感や信頼を得ることが、これまで以上に重要となるでしょう。とはいえ、理念にもとづいて経営を行なうことは、そう容易ではありません。理念をつくってもそれを浸透させて成果が出るまで時間も労力もかかります。それよりも、単純に経営戦略で一気に拡大を目指すほうが簡単です。マスメディアを通して大々的に宣伝し、新規開拓やM＆Aを繰り返すなどすれば、短期間で会社を大きくすることも可能でしょう。これまではそのやり方が有効でした。しかし、これからは違います。経営戦略だけでは、人々の共感や信頼を得ることにつながりません。あまつさえ、「お金視点」の姿勢が露呈し人々に不信感を持たれようものなら、信頼が失われ、たちどころに経営危機に陥る可能性さえあるでしょう。だからこそ、ソーシャルシフト時代には「幸せ視点」で理念経営を行なうことが求められるのです。コロナで仕事の意義に疑問が生まれたソーシャルシフトはまた、近年のコロナ・ショックによって、さらに加速度を増しています。ビジネスパーソンが在宅勤務をするようになったことで、物理的にも心理的にも家族との距離が近くなり、会社や仕事のことを冷静に見つめ直す機会が増えたことがその大きな要因です。コロナ前にあったのは、「お金視点」でひたすら利益を追求する責務を負わされ、仕事に埋没していた日々。ところが、家族を前に仕事をする中で多くの人がそこから解き放たれ、「この仕事を続けていて幸せになるのだろうか」と改めて考えるようになりました。会社では主に「市場規範」、すなわち利益をあげるためにどうするかという損得勘定で動きます。そして会社の外へ出ると、社会的な規則や道徳である「社会規範」が強くなります。2つの規範が対照的に分かれていたのが、コロナ前でした。しかし、在宅勤務になると、それあいまいらの区別が曖昧になります。それまで市場規範で考えていたものを社会規範でとらえ直したときに、大きなズレを感じる場合は、仕事の意義に疑問が生じてくる。すると、次第に会社から心が離れていき、エンゲージメントが低下することになります。実際に、コロナ禍を通じて、主要国の中で特に日本でエンゲージメントが著しく低下しているというデータも報告されています。「自走する組織」づくりのポイント共感や信頼でつながる社会においじょういかたつては、上意下達で一方的に社員に忠誠心を求めるような組織に未来はありません。高いエンゲージメントを持って各自が主体的に考えて行動する「自走する組織」に変わっていく必要があります。現場の人たちが自走する状態になるには、まず「理念」を目標として共有することが不可欠です。それにあたってよくある悪い例が、朝礼で理念を唱和して、言葉を教条的に刷り込むやり方です。これでは社員たちが自分で意味を考えず、思考停止状態になってしまいます。なかには、文言だけを表面的にとらえて理念を都合よく解釈したり、権威づけの材料として利用する人も出てきます。それらは本来の理念経営とはまったくかけ離れた姿です。そうではなく、一人ひとりが理念じぶんごとを「自分事」に落とし込むことができるようにしなければなりません。まず、自分たちの働き方の中で理念をどう実践するかを各自がよく考え、みんなできちんと話し合うことです。その際、リーダーが上の立場から「こう行動しなさい」と言わないように心がける必要があります。「私はこういうことをやりたいと思っているけど、どうだろう。こんなにいいことにつながるよ」と情熱を込め12［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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特集働きがいのつくり方て語るのです。このような対話を通じて理念が経済的な合理性より上に位置づけられていることがメンバーに伝われば、思いに共感する人たちによって行動が生まれます。またこれと同時に、できるだけ権限を委譲することが重要です。理念や方針は経営者が決めるとしても、それをどう実践するかについては、できる限り現場に任せるのです。自分たちで考えて、自分たちで決めることができてこそ、「自分事」になるのですから。ただし、このような取り組みには手間も時間もかかります。組織全体が早期に目覚ましく変わることを期待しても難しいでしょう。ですから、まずはやる気のある人たちから始めていけばいいと思います。集団で何か新しいことに挑戦しようとするとき、積極的に取り組む人、様子見の人、無関心な人の割合は大体2：6：2だといわれています。最初はその積極的な2割の人たちから取り組みを進めていけば、残りの人たちも次第に影響され、やがて組織全体が大きく変わっていくはずです。それにあたっては、どんな小さな成果でもきちんと社内に広報し、共有することがポイントです。「こうすると、組織がよくなった」とわかれば、様子見の人も動き出しやすくなるでしょう。意味づけ、フロー体験で働きがいを生み出す社員一人ひとりが自走するためには、与えられた仕事に対して、自分なりの新たな意味づけをしていくことも重要です。これを「ジョブ・クラフティング」といいます。これは、個人視点であるところに意義があり、仕事の意味づけ次第で「やらされ仕事」を「やりがいある仕事」に変えることができ、働きがいやエンゲージメントのレベルを高めることにつながります。上司は部下がジョブ・クラフティングできるようにあくまでもそれをサポートするだけです。「この仕事はこういう意味だ」と上司の答えを押しつけるのではなく、「自分はこういうふうに考えて、この仕事をしてきた」と伝えるくらいにとどめます。考えるヒントだけ与えて、あとは自己決定できるように環境を整えるのが上司の役目です。本人の自発的なやる気を引き出すには、自己決定をさせることが重要なポイントです。部下がみずから仕事に意味づけをして、自分の成長やお客様の幸せを感じながら仕事をしていくうちに、実はそれが働きがいの一番の根っこのところになってくるのです。特にキャリアの浅い若手社員の場合は、まだ一人立ちできていないために事細かに指導をしてしまいがちですが、それは自己決定したり仕事の意味を考える機会を奪うことにつながります。ですから、本人の実力やキャパシティに応じて適度に仕事を任せ、自分で考えて取り組めるようにする必要があります。そして、任せた仕事ができるようになれば少し難易度を上げた次のステップを用意し、本人がワクワク感を持って仕事に没頭できるようにします。このワクワクして没頭する状態を「フロー体験」といいますが、それを体験させることが働きがいを育むのです。ソーシャルシフト時代の価値観を持ったZ世代今では1990年代中頃以降に生まれた「Z世代」が入社してくるようになりました。Z世代はSNSがコミュニケーションツールとして当たり前になっている世代で、実は、一般的にここまで述べてきたようなソーシャルシフト時代の価値観を大切にしています。まず、人とのつながりを非常に重んじています。SNSでいつも誰かとつながっていて、その中で心地よく生きたいという気持ちが強いため、人との対立を避けます。ですから、「共感」することを望み、「押しつけ」は最も敬遠されます。また、お金や地位に対してのこだわりが弱く、それほど多くを求めません。Z世代にとっては生まれてこの方、日本は経済成長もなく、人口減少で衰退しつつある国だというイメージがあるからです。お金の大切さはわかっているけれども、人間関係を我慢してまで求めようとはしません。まず人間関係が大切で、次いで社会への貢献、自己成長やワクワク感を重視しているのです。このようなZ世代に続いて、ソーシャルシフト時代の価値観を持ったビジネスパーソンがこれからますます増えていくでしょう。それは「幸せ視点の経営」に切り替える大きなチャンスともいえます。一人でも多くの人が仕事を通して幸せを実感し、豊かな人生を送れるように、私はこれからも「幸せ視点の経営」を追究していきます。それが私の働きがいであり、生きがいなのです。L［実践］理念経営Labo2022SUMMER13

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Interview管理職のいない組織で従業員の自主性を育むやる気と経営意識を高める「グループ制」株式会社カワトT.P.C.代表取締役川戸俊彦かわと・としひこ＊1953年、京都府生まれ。高校卒業後、自動車メーカー勤務などを経て’89年に川戸鉄工を創業。2014年にグループ会社を合併し、カワトT.P.C.へ社名変更。’16年度「日経トップリーダー・人づくり大賞」最優秀賞受賞。本社を置く山口県においても多数の表彰や認定を受けるなど、同社の働き方は県内外から高い評価を受けている。株式会社カワトT.P.C.本社：山口県岩国市／創業：1989年／事業内容：樹脂加工事業、金属加工事業山口県岩国市に本社を構え、マンションや商業施設などの給湯給水に使う樹脂製配管システムの製造を主力事業と.P.C.。「企業は地元の雇用の為だけにある。」を経営理念に掲げる同社は、仕事を県外の大都市圏で受注し、それを地元で請け負うというスタイルを貫いており、近年では全国のマンションの約3割に同社の製品が使われる。注目すべきは、組織に課長や部長といった管理職を置かず、現場チームがそれぞれ主体的に経営を担う「グループ制」というユニークな仕組みを採用していることだ。それによって、従業員のモチベーションをどのように維持し、会社が成長を続けているのか。川戸俊彦社長に詳細をうかがった。取材・構成：桐本真理写真提供：カワトT.P.C.14［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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特集働きがいのつくり方58の少人数グループがみずから経営を担うかつて日本全国の地方には、企業誘致によりつくられた工場がたくさんあり、ここ岩国も繊維や紙パルプ工場、石油化学コンビナートなどが立地する工業都市として発展してきました。しかし、平成の約30年間で人件費の安い海外へ工場を移転する企業が増え、さらに過疎化や高齢化が進んだことで多くの地方が活力を失ってしまいました。それでも、地方に拠点を置く私たちのような製造業が雇用を生みながら成長していけば、その地域全体の発展に貢献することができると考えています。私たちの会社では、樹脂製のプレハブ型配管システムを企画・製造しています。都市部にいる施主やゼネコン、サブコン、管材商などから仕事を受注し、地元で製造するというビジネスモデルで雇用を生み出してきました。雇用を増やし、維持していくためには、効率的で安定して成長する経営の仕組みが必要です。従来のようじょういかたつな上意下達のピラミッド型の組織ではなく、現場主体のフラットな組織づくりが望ましいと考えました。そのうえで、いかに従業員に自主性を持って日々の仕事にいきいきと取り組んでもらうか。ここに重点を置いて様々な仕組みづくりをしてきました。その中心となるのが「グループ制」です。従業員を持ち場ごとに少人数のグループに分け、それぞれのグループが自立したかたちでみずから経営を担うという仕組みです。現在は約380人いる従業員を58のグループに分けています。各グループで計画を立案し、仕事の割り振りや手順などもすべて自分たちで工夫して考え、目標達成に向けて協力して取り組んでもらっています。1グループは5～10人で構成されており、その中から「グループリーダー」と「サブリーダー」が1名ずつ、仕事に応じた評価をもとに選ばれます。グループリーダーの任期は2年で、その期間に利益が出せていればグループは継続します。サブリーダーはリーダーの予備軍に相当し、グループの経営管理を任せられるくらいに成長したら、新たなグループのリーダーに昇格します。一方、任期中に利益を出せなければ、そのグループは解散となり、他のグループに吸収されます。解散したグループのメンバーには、問題点と成長しなかった要因を自分たちでよく考えてもらいます。決して「解散したら終わり」ということではなく、違うグループでの再挑戦の機会を与えるのです。このやり方を本格的に導入したのは、今から5年ぐらい前のことです。きっかけは、長年私の右腕として活躍してくれていた女性副社長の退職でした。次の副社長を誰にするかと考えたときに、適任者がいなかった。そこで、組織を細分化して複数のグループをつくり、それぞれのグループリーダーに権限を与え、グループの経営を任せることにしたのです。その「権限」には、人事権も含まれます。実のところ、社長である私には人事権がありません。グループに属する従業員の評価は各グループリーダーに査定させていますし、グループリーダーの評価も、経営目標である利益率3%をあげているかどうかといった基準をベースに決まります。そこまでしないと、経営意識がゆるみ、「自分は雇われている」という気になってしまうのです。報酬を見える化他部門への「出稼ぎ」もグループリーダーは全員、自分の仕事と並行して、生産管理や人材マネジメントなど、幅広い業務を行なっています。そのような価値の高い仕事をしてくれている人の給料は、実績に応じて大手企業の課長や部長クラスと同水準にしています。ただし、当社では課長や部長といった肩書を持つ管理職は置いていません。従業員一人ひとりが責任を自覚し、経営をよくしようと主体的に仕事に取り組む意識を持っていれば、そういった役職者は必要ないのです。会社として何か新しいことを行なう場合にも、グループリーダー同士の多数決により、実施可否を決めてもらいます。やってみていい効果が見えてくれば、何ら問題ありません。たとえば週休3日制の採用も、自分たちの確保すべき成果が得られグループのメンバー同士でコミュニケーションが取りやすいよう、デスクはグループごとに配置されている［実践］理念経営Labo2022SUMMER15

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るようであれば、全然構わないと思っています。グループ制では利益率を上げるための一つの手段として、他グループへの「出稼ぎ」も認めています。仕事に余裕の出たグループが人手を必要とする別のグループの手伝いをすると、その対価として一人あたり時給2400円で報酬がもらえる仕組みです。稼いだ額は、自分のグループの収益になります。たとえば定時より1時間早く仕事を終えることができたら、その1時間で出稼ぎをするわけです。経理グループのメンバーであれば、月末などの繁忙期が過ぎると時間に余裕が生まれるので、生産部門へ出稼ぎに行ったりするという具合に。支援を必要とするグループは、そのことを日々の打ち合わせの中で情報発信し、手伝ってくれる人を事前に募集します。手伝う側のグループは手伝っただけの対価を得ることができますが、報酬を支払うグループはその分利益が少なくなるので、業務をできるだけ効率よく行なって定時内に終わらせたほうが絶対にいい。そういうことを5年ほどかけて従業員に身をもって学んでもらったので、今では残業もほとんどなくなりました。各グループは利益率3%を経営目標としてその達成を目指し、それ以上の利益を出せれば、グループのメンバーに「利益還元手当」として給料の最大10％を上乗せします。当日間を「ひと月」の単位として毎月決算を行なっていますので、自分たちの生み出した利益が翌月の給料の金額に反映されます。ですから、従業員たちはグループの経営に貢献できていることを、半年後などではなく、直近の時点で実感することができます。こういった報酬の見える化は、従業員の働きがいにつながると考えています。また、各自のモチベーションを高めるだけではなく、「自分も経営に参加している」という意識を強く持ってもらう狙いもあります。従業員に経営意識が定着してきたことは経営数字にも表れていて、売上は着実に上がっています。ただし、利益率は上がりません。今ご説明したように、目標以上に出た利益は従業員に還元するからです。また、従業員にみずから考え能動的に動いてもらうために、会計の数字も基本的にすべてオープンにしました。電気代も消耗品代も、すべて自分たちのグループで経費として計上してもらう。つまり、こういった変動費は使った分だけ自分たちのグループの会計から引かれることになります。固定費についても、火災保険や固定資産税など会社全体にかかる費用は人数割りでグループごとに計上しますが、設備の購入費は購入の判断をグループに任せていますので、各グループで計上します。このようにお金の使い方を各グループの裁量に任せたことで、一人ひとりが利益をあげることに敏感になってくれたと思います。全員が経営の数字に関心を持たないと、グループ制はうまくいきません。このやり方が定着して社長である私が少し寂しく感じるのは、従業員の誰からも「ボーナス支給ありがとうございました」「昇給ありがとうございます」などと言われなくなったことです（笑）。でもそれは、従業員自身が「このお金は自分たちが稼いだんだ」と実感してくれている営業部生産管理部グループ制組織図（一部抜粋、G＝グループ）証拠だと、むしろ誇らしく思っています。営業1営業2営業推進G図面作成G営業3営業4G管理見積作成G図面作成購買G業務GMSSG1G2G3G1G2G3G1G2G1G2G3G4G5G6G7G8G1G2GITを活用し、働きやすい環境をつくる最近では当社も、DX（デジタルトランスフォーメーション）やAI、IoTなどの技術を積極的に取り入れています。というと、省人化で人件費削減を目指しているのではないかと思われるかもしれませんが、そうではありません。機械やコンピュータに任せられる部分はそれらに任せて、人間にしかできない価値のある仕事により多くの人員を振り分け、そこから新たな仕事や雇用を生んで16［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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特集働きがいのつくり方いきたいと考えているからです。その一環として、コロナを機に金属加工の工場で無人化運転を開始しました。タブレット端末があれば、工場にいなくても機械を運転し続けることができるようにしたのです。もちろん機械に材料を投入したり、それを動かす人員は最低限必要ですが、以前のように休日や夜間にわざわざ工場へ出向いて様子を確認する必要はなくなりました。担当者は自宅などからタブレット端末で工場の状況をしっかり把握できますので、今年のゴールデンウィークのときも、現場に誰かが常駐せずとも何の問題もなく稼働し続けることができました。また、3年ほど前から完全ペーパーレスで業務を行なっています。従業員が仕事で得た知恵やノウハウを各自の頭の中だけに留めたり紙に残したりするのではなく、すべてデータ化して社内全体で共有しているのです。しかも、ノウハウを「初級編」「中級編」「上級編」に分類して、Q&A形式でわかりやすく確認できるようにしているので、困ったことがあればいつでもこのデータを見て、問題を各自で解決することができます。当社では女性従業員が多く、産休や育休の際には業務の引き継ぎが必要となりますが、こうすることで引き継ぎが短期間で済むようになりました。またコロナ禍においても、家庭の都合で出社できない従業員がリモートワークをするにあたって非常に役立っているようです。このようにペーパーレス化が進んだことによって、私がすることといえば、自分のところにまわってきた書類に電子上で承認印を押すことくらいになりました。それも私の承認を得てようやく事が動き出すのではなく、私は書類を通して事後報告を受けるだけです。つまり、それはグループリーダーたちが経営意識を持って自律的に動いてくれていることの表れだといえます。私はいつも従業員たちに「何かやろうと思い立ったら、まず動いてみるように」と言ってきました。一度やってかんばみて結果が芳しくなければ、もう一度PDCAのサイクルを回せばいいだけです。逆に、行動に移す前に考えすぎると、せっかくのモチベーションが薄れてしまう。能動的にやってみようという意欲を育むことが、働きがいを生み出すことにつながるのだと思います。企業の最大の使命は雇用の拡大にある私がグループ制によって従業員たちに経営を担ってもらい、会社や地域産業の発展に貢献する人材を育成している背景には、「企業の最大のしょうがい使命は雇用拡大（障碍者雇用を含む）」という信念があります。この会社を存続させ、地域の雇用を支えることが、後に続く世代の人たちのためにつながると考えているからです。儲け重視ではなく、次世代に何を残していくか。このような観点から、私たちが次にやろうと考えているのは、岩国市以外の地方でも雇用を創出していくことです。過疎地域では、たとえば高校全体人ぐらいしかいないというのが現状です。そこに住む若者は、いくら地元に残りたくても、学びの場や職を求めて都市部に移らざるをえません。彼らがその後も地元に帰ってこない一番の理由は、働くところがないからです。でも、地元に残りたい人に私たちが仕事を提供できれば、その地域は廃れることなく発展していけるはずです。家業の農業や漁業に従事しながら、当社の業務を副業として働くのでも構いません。先に述べたように、DXやIoTなどの環境があれば自宅にいながら機械の生産状況を遠隔管理することが可能となり、会社に出社する必要はなくなります。家業を優先しながら当社の業務を両立できれば、地方都市の平均給与支給額を受給することができるため、将来的な子供の学費問題もクリアできますし、自身のスキルを活かしたUターン転職も可能になると考えます。そういう働き方を、DXやAIなどの技術を使って実現すべく、本気で取り組んでいきたいと考えています。L［実践］理念経営Labo2022SUMMER17

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Interview場所に制約されない働き方の選択肢をそれぞれの「らしく」の実現をサポートするために株式会社LASSIC代表取締役社長若山幸司わかやま・こうじ＊1972年埼玉県生まれ。金融系システム開発のSEを経て、’98年に株式会社インテリジェンス（現・パーソルキャリア株式会社）入社。IT派遣事業の立ち上げに参画。2002年同社執行役員に就任し、IT派遣事業、人材紹介事業の事業責任者を歴任。’09年7月株式会社LASSIC入社、代表取締役社長に就任。株式会社LASSIC本社：東京都港区、鳥取県鳥取市／創業：2006年／システムインテグレーション事業、エージェントサービス事業、地域イノベーション支援事業、感情解析研究開発事業などリモートワークに特化した人材サービス事業とシステムインテグレーション事業で地方の活性化を目指す株式会社LASSIC（ラシック）は、鳥取県に拠点を置きつつも、社員の大半が、2006年の創業当時から場所に制約されない働き方を実現している。なかには、夏のあいだはカヌーのインストラクターをしている社員もいるという。多様な働き方を尊重する理由は何か。15年以上の経験と実績にもとづくリモートワークの課題と、それを解決するために大切なこととは――。社長の若山幸司氏に話をうかがった。誌面の内容がよりよくわかる特別動画をこちらのQRコードからご視聴いただけます。取材・構成：長尾梓写真撮影：山口結子写真提供：LASSIC（P21）18［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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特集働きがいのつくり方「働く場の魅力」向上へ鳥取で事業を立ち上げる東京の仕事を地方に持ってくることができないか――。LASSICは、現在副社長である西尾知宏のそんな思いから、2006年に鳥取県で創業した会社です。私はその3年後の2009年に代表として加わりました。当社が鳥取に拠点を置いた理由は2つあり、1つは西尾の出身地だったこと。その地元の鳥取は全国で一番人口が少なく、マーケットも小さい県です。西尾は、何か地元の活性化に寄与したい、自分が起業し、何かしらの影響を与えられないか、それを果たすことができれば他の地域にも展開していけるのではないか、といったことを考えました。それが2つ目の理由です。LASSICには「企業理念」と「経営理念」があり、前者は根底にある普遍的な理念、後者はそのときどきの社会課題に応じて変えていくもの、と定義しています。基軸となる企業理念は、「『らしく』の実現をサポートする」。個人でも、企業でも、地域でも、それぞれの「らしさ」をお持ちだと思いますが、そうした「らしく」の実現を、私どものサービスを通じてサポートしていきたい。この考え方は、社名の由来にもなっています。「らしく」の実現をサポートするにあたっては、「どんな人生を送りたいか」が重要だと考えています。たとえば「働き方」について考えた場合、自分の理想とする人生を送るうえでの最適な働き方は何か、「こういう人たちのためにこういう働き方をしたい」と思い描き、実際の働き方がそのイメージに合致しているのであれば、「自分らしい働き方」になっているのではないでしょうか。働き方の「らしく」を実現するためにはまず、選択肢を増やす必要があります。生まれた地域によって、就業機会、キャリア形成機会には差が見られるのが現実で、地方の大学を卒業し、地方で就職しようと思うと、選択肢が少ないですよね。「地元に残りたい、でもやりたい仕事は東京にしかない」とすると、どちらかをあきらめざるをえない。一方で、東京で生まれ育った人は、おそらく住む場所も仕事も、どちらも妥協せずに選べることが多いと思うのです。インターネットでモノを買うときには場所の制約を受けないのに、「働く」ということに関しては依然として、地域差があるのが実情です。そのような現実を前に、私どもは何をするべきか。これがLASSICの経営理念「～鳥取発～ITで、地方創生」にもつながってきます。私は地域の魅力は4つの要素で構成されていると考えています。まず「生活する場」としての魅力。2つ目が「学ぶ場」としての魅力。3つ目が「働く場」としての魅力。4つ目が「遊ぶ場」としての魅力。生活する場としての魅力は、地方にも○がつくのではないでしょうか。学ぶ場としての魅力も、高校生ぐらいまでは○がつく。ただ、大学を選択するときに、行きたい大学、学部が少ないという意味で△になる場合もある。働く場としての魅力は、地方だと選択肢が少なく、やりたい職に就けないことが多いため、残念ながら×がついてしまう。遊ぶ場としての魅力は、地域によっていろいろとあるでしょう。労働力人口が総人口の約半数を占める日本では、働く場の魅力が高いか低いかが肝心で、これが低いと、どうしても人口が流出してしまいやすく、逆に流入はしにくい構造といえます。ならば、地域の魅力を高めるためには、働く場の魅力を高めていく必要がある。オンラインで働ける社会になれば、地方に住んだまま東京の会社に就職できるのではないか。東京の仕事を地方に持ってくることができれば、地方の活性化にもつながるのではないか。そうしたことに寄与できる事業をやっていこうとスタートしました。人材サービス「リモグ」で地方創生につなげる現在のLASSICの事業は大きく人材サービスとITのシステムインテグレーションに分けられます。創業時からの事業であるシステムインテグレーションは、東京の仕事を鳥取や岡山、仙台のオフィスからリモートワークとして取り組んでまいりました。さらなる経営理念の実現に向けて2018年にスタートした人材サービス「Remogu（リモグ）」は、リモートワークの求人のみを扱っています。この「リモートワークの求人のみを扱う」ことが、結局は、場所に関係なく仕事ができる構造、ひいては地方創生につながると考えているからです。とはいえ、リモグの事業立ち上げ当初は苦労もしました。今でこそコロナ禍で急速にリモートワークを導入する企業が増えましたが、当時は本当に少なかった。大手の企業から［実践］理念経営Labo2022SUMMER19

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求人のご相談をいただき、話を聞くと、通常のオフィス勤務の人材を要望されるケースもありました。目先の利益を考えれば、それをお受けしたほうが会社のためになり、お客様にも貢献することができます。しかし、LASSICには「地方創生」という軸があります。ここがぶれてはいけないと思い、お受けしませんでした。今やリモグはLASSICの収益に貢献する事業の一つとなり、一貫性の重要さを改めて感じています。一貫した理念はいわば「ロマン」的なものですが、一方で、「そろばん」すなわち、しっかりとした事業計画もないとダメだと痛感した出来事もありました。LASSICでは以前、ITを活用したメンタルヘルスの事業もやっていましたが、うまくいきませんでした。事業への思いや内容は、手前みそながら、なかなかよかったと思っていますが、事業として成り立たなかった。つまり、採算が取れず継続できないのです。そうすると、従業員のやりがいを奪うことにもつながりかねない。また、メンタルヘルスの事業は自治体からもずいぶんとサポートをしていただきました。ところが、収益が上がらずに終了となったため、多くの人に期待させて巻き込んだ揚げ句、振り回すだけに終わってしまいました。当たり前のことなのですが、「ロマン」だけでなく「そろばん」の意識も持たなければ周囲に迷惑をかけるだけだということを、身をもって経験しました。リモートの課題は仕組みづくりで解消もLASSICでは創業当初から、社員の多くがリモートワークをしています。リモートとは必ずしも在宅勤務のみにとどまらず、地方の拠点やコワーキングスペース、シェアオフィスなども含まれます。リモートによる働き方で課題だととらえている点は主に2つありまそごす。1点目は、齟齬が発生しやすいこと。お互い顔が見えるオフィスでは自然とうまくいくことが、相手の状態がわからないリモートだと成立しないこともよくあります。その問題を解消するには、「何のために」その仕事をしているのかという目的、意義の共有が重要です。リモートでも問題なく仕事ができる人は、おそらくそこが明確に共有できているから、自身もメンバーも同じゴールに向かって進んでいけるのではないでしょうか。2点目は、コミュニケーションの問題です。オフィスで仕事をしていれば、受け身であっても何かしらコミュニケーションをする機会があると思います。「ちょっといいですか」と声をかけやすいし、かけられやすい。そういった気軽さというのが、リモートの場合はどうしても減ってしまいます。そこを補うためには、定型コミュニケーションも非定型コミュニケーションも意図的に増やす仕組みをつくることが重要です。たとえば、LASSICのある部門は、この2年間度しか上司と部下がリアルで対面したことがないような完全リモートワークとなっていますが、ES（従業員満足度）調査を実施したところ、全国平均を大きく上回り、100点中約90点という結果でした。その部門は定型では、毎日必ずあさかい「朝会」「夕会」というかたちで面談の時間を設けています。また非定型では、雑談やキャリア形成、任せている仕事の意義などにテーマを絞って話すマイクロミーティングを多く実施するようにしています。仕事の合間の雑談、すれ違うときのあいさつ、そういうちょっとしたことがリモートだと全部なくなりますので、潤滑油になるようなものをわざと設けておかないと、オイル切れになってしまうのです。うつ一時期「リモート鬱」という言葉がよく聞かれましたが、リモートワークでもメンタルダウンをする人は多くいます。オフィスであれば、たとえば上司から叱られたときに同僚に話を聞いてもらったり、お客様からクレームを受けたときに周囲にフォローしてもらったりと、ストレスを発散する場、構造が自然とできているけれども、リモートで独り仕事をしているとそれがない。息抜きにサウナやスポーツで汗を流したり、飲みに行くなどして能動的に発散できる人は問題ないのですが、そうでない人はストレスが溜まりやすくなります。そうした意味でも、意図的にコミュニケーションを増やすことが重要だと考えています。20［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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特集働きがいのつくり方働く理由につながる社員の事業参画が大切にリモートワークでもオフィスワークでも、社員の働きがいを育むことは経営者にとっての重要な課題です。そこで必要なのは、「何のために働くのか」というところまで立ち返ってみること。一人ひとりの働く理由と、会社の理念や方向性、ビジョン等が重なっているかどうか、ベクトルが合っているかどうかが大切です。次に、その方向感やベクトルが一致している仲間がいること。たとえば学生時代の部活動など「あの頃は充実していたな」と思えるときには、たいてい前提条件として、同じ目標に向かう仲間がいたことが多いのではないでしょうか。「肉体的にはしんどかったけれど、精神的にはとても楽しかった」と思えたように、目指すものが共通する仲間がいることは、働きがいにも大きく作用してくるのです。そこで私は、社員にせよ社外の協力者にせよ、理念を前面に出し、共感してくれる仲間を集めることを大切にしています。そして、これは先ほどの話にも通じますが、理念につながる事業をすること。この軸をぶれさせないことも重要です。こうした考えにもとづき、社員の事業づくりへの参画機会を意図的に設けています。一人ひとりの人生の目的、働く理由につながるような事業を、自分たちでつくってもらう。そうすると、理念が働く理由に直結していることを体感してもらいやすくなります。コロナ前には何度か、廃校を使った宿泊体験を実施しました。普段はリモートで仕事をする社員がリアルで一堂に会し、時間と空間を共有することで、密度の濃い体験となります。そのうえで、地域住民の方々との共同作業やワークショップによって「何のために」の部分をみずから考えてもらうのです。社内に掲げられたリモグのバリュー。策定には新入社員も参加したまた最近の例でいうと、リモグの事業に関しては、ミッション、ビジョンはあったもののバリューの部分を策定していなかったので、それを新入社員も交えて皆でつくってもらいました。完成するまでに半年かかりました。生産性を考えると、ある程度上層部でつくって下ろしたほうが早いのですが、それだと意味がない。たとえ時間がかかっても、自分たちでつくってもらうことにこだわりました。LASSICは発展途上の会社ですので、まだ「廃校宿泊体験」で地域住民と社員が交流まだできていないこと、あるいはできることがあると思っています。まずは、オンラインでどこでも買い物ができるように、働き方に関しても、リモートワークが選択肢の一つとして普通にあるような世の中にしていきたい。また、自分らしい働き方はライフステージによっても変わってくるものです。独身のとき、結婚したとき、子供が生まれたとき、子供が巣立ったあと……。家の住み替えのように、そのときどきのライフステージに見合った働き方ができる人を増やしたいとも思っています。鳥取で創業した会社だからこそ、痛感することがあります。それは、事業成長性は高いのに人材が採用できない、外部委託できる会社が少ないといった理由で、成長機会を失っている会社が地方には多く存在することです。世の中の様々なものがオンラインとオフラインを併用する時代になっているように、働くことも、採用も、業務委託に関しても、オンラインとオフラインを併用できるようになれば、地方でも成長機会を多分に生み出せるのではないでしょうか。LASSICでは、そうした成長機会につながる事業、サービスを今後も開発し、世の中へのお役立ちをしていきたいと考えています。L［実践］理念経営Labo2022SUMMER21

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【講義録】パーパス経営が時代を切り拓く「新SDGs」と「志本主義」のあり方京都先端科学大学教授一橋大学ビジネススクール客員教授名和高司なわ・たかし＊1980年東京大学法学部卒業、三菱商事入社。’90年ハーバード・ビジネススクールにてMBA取得。その後、約20年間マッキンゼーのディレクターとしてコンサルティングに従事する。次世代成長戦略や企業変革などのプロジェクトに幅広く従事して、2018年より現職。ファーストリテイリング、味の素など４社の社外取締役やシニアアドバイザーを兼務。主な著書に『パーパス経営』『企業変革の教科書』（以上、東洋経済新報社）がある。誌面の内容がよりよくわかる特別動画をこちらのQRコードからご視聴いただけます。志をもとにした「パーパス経営」がこれからのビジネスの基軸になる――。豊富な経営コンサルティングの経験からそう力説する名和高司氏が、今年4月23日、松下幸之助経営塾の卒塾生が一堂に会する同志会に特別講師として登壇。「パーパス経営」とは、企業の存在意義を意味する「パーパス（Purpose）」に軸を置いた経営のことで、名和氏は「志本経営」と訳す。「パーパス経営」がなぜ重要なのか、さらには実践するための方法論まで語っていただいた。その要旨を紹介する。構成：時政和輝資料提供：名和高司氏「なぜ」が問われる時代世界中で「パーパス」が注目されています。グーグルで「purpose」の年間ヒット数を調べると、その傾向がよくわかります。まず、急激年。これはリーマン・ショック直後です。さらに、2年前から始まったコロナ禍で大きく伸びています。最近ではロシアのウクライナ侵攻がありますが、こうした世界的な社会不安がパーパスに関心を向かわせていることがわかります。では、パーパスが注目されるようになった過程を時系列で辿ってみましょう。まず、リーマン・ショックをきっかけにして、目先の利益追求がもたらす所得格差や環境問題が議論され始め、株主資本主義を見直す声が出てきました。その中で、世界的に有名なコンサルタントのサ年、優22［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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パーパス経営が時代を切り拓くれたリーダーの共通点を説明する「ゴールデン・サークル理論」を発表します。影響力を持つリーダーは、「何を」（What）や「どうやって」（How）からではなく、「なぜそれをするのか」（Why）、すなわちパーパスを示すことで、多くの人をインスパイア（触発）してきたと述べます。企業経営においても、成果や方法論ではなく、Whyに関心が集まるようになりました。その後、資本市場の側からも「株主第一主義」が見直されます。2019年、世界最大の資産運用会社ブラックロックのCEOラリー・フィンク氏は、「企業価値の長期的創出には『パーパス』が重要であり、利益は結果であって目的であってはならない」と発表。同年、米国の経営者団体のビジネス・ラウンドテーブルでは、「米国の経済界は株主だけでなく、顧客や従業員、取引先、地域社会のすべてのステークホルダーに経済的利益をもたらす責任がある」と声明を出します。そして、2020年のダボス会議では「株主資本主義からマルチステークホルダー資本主義に変わろう」という宣言が出されて大きな話題になりました。このように世界の潮流として、株主資本主義に代わる新しい資本主義が求められるようになりました。私サイモン・シネックの「ゴールデン・サークル」はそれを志にもとづく「志本主義（パーパシズム）」といっています。外発から内発へ自分事化できる理念に経営者の皆さんの中には、「ミッション・ビジョン・バリュー」を掲げている方が多いと思います。しかし、これからは「パーパス（志）・ドリーム（夢）・ビリーフ（信念）」だと私はいっています。なぜなら、ミッションは、もともと神様や上から与えられたものを意味するので、どうしても「○○すべき」という義務になじぶんごとり、自分事化することが難しくなりがちです。それに対して、パーパスは内発的です。「○○すべき」ではなくて、「○○したい」。自分の中から湧いてくる、主体的なものです。なぜ「志」なのかというと、志は「士」の「心」と書きます。「士」は、武士の士、栄養士の士で、つまりプロフェッショナルのことです。プロフェッショナルという言葉をさらに「求道者」、すなわち「道を究める人」と読み替えて、志を「道を究める人の心」と解釈します。つまり、みずから主体的に求めていくことがパーパスです。次にビジョンよりドリームという点について、京セラ創業者の稲盛和夫さんや日本電産創業者の永守重信さんもよく、「夢」といいます。稲盛さんは「カラーの夢でなければダメ」だとも。リアリティ満載で自分がそこに登場するようなはっきりしたドリームでないと実現しません。それから、バリューではなくてビリーフとするのは、信じる思いは言資本主義から「志本主義」へCapitalism（20thCentury）Purposism（21stCentury）うまでもなく、内発的で、心に強く刻まれているからです。これからの企業経営においては、外発的なものよりも、このように内側からにじみ出てくる思いがより一層求められるようになります。ただよくあるのが、社長や役員だけが盛り上がっているケース。社員一人ひとりがパーパスを自分事化することが肝腎です。SDGsの先を見据えて国連が提唱するSDGs（SustainableDevelopmentGoals：持続可能な開発目標）の目標年まで10年を切りました。私はさらに2050年を見据えた「新SDGs」を提唱しています。Sは同じサステナビリティ（Sustainability）ですが、Ｄはデジタル（Digital）、Ｇはグローバルズ（Globals）です。（※講義スライドを一部編集）持続可能な社会をつくらないといけないという趣旨はSDGsと変わりません。しかし、世界をリードする企業は17の目標に加えて「18枚目のカード」を掲げ始めています。「18枚目のカード」とは、その会社が本当にやりたいことです。私は、SDGsの17の目標は「規定演技」だと考えています。これをとうたやらない企業は社会から淘汰されま［実践］理念経営Labo2022SUMMER23

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トヨタ自動車の「志本経営」の取り組みモビリティトヨタフィロソフィー果実す。しかし、それに取り組めば十分なのではなく、そのうえで「自由演技」を行なわなくてはいけません。それが「18枚目のカード」です。これから2050年に向けて各社が思い思いの志を掲げることがサステナビリティを可能にします。もっといいクルマお客様の期待を超えるクルマづくりただサステナビリティが難しいのは、下手をすると綺麗事で終わってしまう恐れがあるからです。「SDGsウォッシング」という言葉もあるように、やっているふりをしている企業はやがて洗い出されて暴かれてしまうのです。SDGsに本気で取り組むとなると、生産性や創造性を格段に上げる必要があります。そのために、Ｄのデジタルを積極的に導入することが不可欠なのです。そしてGのグローバルズについてですが、あえて複数形にしたのは、コロナやウクライナ紛争のように、世界の分断が顕著になっているからです。この「ボーダフル」な世界をもう一度結合し、グローバルを繋ぎ直していくという意味があります。これら3つの真ん中をしっかりピン止めしているのがパーパスです。SDGsのような社会課題を解決しようとすると、多くの場合、売上は増持続的成長木の根（出所：トヨタ自動車株式会社のホームぺージ）果実木の幹トヨタ共有の価値観豊田綱領トヨタ基本理念トヨタグローバルビジョンいい町・いい社会豊かな地域社会づくりへの貢献新たなモビリティ社会への貢献安定した経営基盤トヨタウェイえますが、利益は減ります。目の前に困っている人がいて需要はあっても儲からない、だから社会課題になっています。その課題を克服していくためには、本業の中で今の仕組みをつくり変えるような大きなイノベーションを起こす。そこに、パーパスが大きな役割を果たします。形式的にSDGsを取り組むのではなく、本業の中でしっかり利益を出せるような仕組みをつくり出すことが重要です。社会をリードする企業たちトヨタ自動車は2020年、「18枚目のカード」にあたるものを掲げました。それが“Andexcitementforeveryone”（さらに、すべての人に感動を）です。その目標に向けて「わたしたちは、幸せを量産する。」という理念を定めました。今までクルマを量産することが当たり前だった会社が、単なる交通手段ではなく、その先にある「幸せ」に焦点を当ててクルマをとらえ直した言葉だと推察できます。トヨタはこれらの理念を体系化しています。一番上にあるのが「豊田綱領」で、創業者・豊田佐吉の時代から変わりません。その下に「トヨタウェイ」。さらに、新しく加えた「幸せを量産する」と「可動性を社会の可能性に変える」があります。また、グローバルビジョンは図の通りです。木の根にはトヨタ的な価値観を示したトヨタウェイ。幹は安定した経営基盤。これがしっかりしてはじめて、2つの果実ができます。1つは「もっといいクルマ」、もう1つが「いい町・いい社会」。これらをカラー写真付きで、12のドリームとして示していて、トヨタが何をやっているかがよくわかります。地方企業の事例として、新潟県三条市に本社を置くアウトドア用品メーカーのスノーピークがあげられます。約10年前に「山ガール」という言葉が出てきて、登山ブームにもなりました。今は山だけではなく、都市に自然と触れ合う空間をつくり出すことが新しいパーパスになっています。スノーピークの企画した商品は、つばめ燕三条の地元職人たちによって製造されます。同社は、産業の変化にともなって衰退していた地元産業の職人たちを束ね直して、伝統技術に現代的デザインを掛け合わせた新しい商品をプロデュースしています。最近では、すまいの中にアウトドアライフを取りこんだ「半ソト空間」という新しい空間を創出し、都会にもアウトドア感覚を入れる活動を展開しています。スノーピークはパーパスに「人間性の回復」を打ち出しました。都会生活と仕事に埋もれてしまい、人間性を見失ってしまいそうな現代人に、もう一度自然に返ることを提案します。これがコロナ禍で大ブームになって、純利益が過去最高を記録しました。彼らは単にアウトドア製品を提供しているのではなく、「人間性の回復」というパーパスを軸にすることで、一般家庭もターゲット24［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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パーパス経営が時代を切り拓くにして、新しい生活空間の創出を可能にしたといえます。危機感からではなく「志命感」からの変革昨年に行なったウェブセミナーで、約300人の経営者にパーパスに関するアンケートを取りました。「明文化したパーパスがある」と答えた経営者は全体の74％。その中で「パーパス経営」を行なううえでの課題について聞くと、「従業員への浸透が進まない」が40％で最多。しかし、もっと深刻なのは、「パーパスの定義が難しい」と答えた人が25％もいたことです。要するに、自分たちのパーパスが綺麗事だと感じているということです。パーパスに対して、そもそも投資していない、トップがコミットしていない、といった会社も多くありました。そこで、私はパーパスをつくり、自分事化するためのワークショップを提案しています。これは社員みずから考えてもらうために、各職場で行なうことを薦めています。まず、3つの問いに答えてもらいます。①「顧客」や「顧客の顧客」にとって、あなたはどういう価値を提供したいのか。②「社員」にとって、どういう会社でありたいのか。③「社会（コミュニティ）」「地球（未来の子供たち）」にとって、あなたはどういう価値を残したいのか。これら3つの問いに対して、付せんに答えを書いて貼っていきます。キーワードや絵などを描いてもらい、それらをグルーピングしていくと、パーパスの原型ができ上がります。同時に、コアバリューや自分た次世代成長に向けたMX（マネジメント・トランスフォーメーション）へⅡ．自社の「クセ」（課題：Problems）・Speed/Scaleの欠如（「やってるつもり」病）・ThousandFlowers（「POC」病）・トップ・現場、各機能間の「つなぎ」の弱さ（「出島」病）ちらしさとの関係性にも意識を置いて、最終的なパーパスへと仕上げていきます。*MassiveTransformativePurpose（北極星）（※講義スライドを一部編集）すでに明文化したパーパスがある場合には、それが“ありたい姿”になっているか見直してもらいます。パーパスを“あるべき姿”ではなく、“ありたい姿”にするためのキーワードがあります。①「ワクワク」、②「ならでは」、③「できる」。あなたの理念は“ワクワク”しますか？創業者やトップが“ワクワク”している可能性はありますが、全員がワクワクしているか。また、その会社“ならでは”ですか？残念ながら他社でも同じことがいえてしまうことがしばしばあります。最後に“できる”と思えますか？自分がそれをやれる、お客さんがそれを聞いて「あなたの会社ならやれそうだ」と思ってもらえるか。この3つを押さえてもらいます。パーパスが定まると、次に「内省セッション」を行ないます。なぜ、私たちはこんなにワクワクする世界があるのに、そこに行くことができていないのか？多くの場合、仕事が忙しいからと答えます。しかし、実際はムダな仕事がほとんどで、9割が「ブルシットジョブ」（どうでもいい仕事）だともいわれています。やらなくていい書類づくり、営業日誌、それから報・連・相。徹底的にムダを省いていくと、かなりの時間が浮いてきます。留意すべきなのは、危機感に迫られてやらないこと。危機感からになると、目の前の仕事で精一杯になり、パーパスを意識するどころではありません。危機感からではなく、志から湧いてくる「志命感」で内発的な反省を促します。今の自分を変えたいという躍動感が大切です。自分たちは今よりも10倍の価値を生み出せると思えたとき、みんながその気になります。危機から脱出するだけではつまらない。ソニーやコマツもV字回復をしたあと、目を見張るほどいい会社になりました。それを目指すには、危機から逃れるだけではなくて、パーパスでもう1回みんなの心に火をつけることが大事です。それぞれの会社で「ワクワク」「ならでは」「できる」のパーパスを掲げて、新しい時代を乗り切っていただきたいと思います。Ⅰ.「ありたい姿」（志・Purpose)・ワクワク♥・ならでは★・できる！Ⅲ．変革の方向性(脱学習・Pivot)・Innovation@edges・ミドルを核としたメビウス運動・Scalingのためのアルゴリズム（クリエーティブ・ルーティン）の埋め込みL［実践］理念経営Labo2022SUMMER25

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塾生通信日に新た「松下幸之助経営塾」の情報と、卒塾生の近況をお伝えします第20回の「同志会」リアル開催で大盛況2022年4月22日と23日、松下幸之助経営塾の卒塾生の集い「ＰＨＰ松下幸之助経営塾同志会」の第20回が、新たに卒塾した第22期生を迎え、ＰＨＰ研究所京都本部で開催されました。新型コロナ感染症の拡大以来、オンライン方式を導入するなど、変則的な形式で実施せざるをえなかったものの、第20回は久しぶりに、参加者全員が会場に集うことができました。今回の全体テーマは「パーパス経営を実現するための考え方と行動」。初日は、「同志会」の世話人会代表で三宝電機（大阪府大阪市）社長の嘉納秀憲さん（第1期）のごあいさつ、第22期卒塾生のご紹介に続き、佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表の佐々木常夫氏による特別講話がありました。テーマは「人を動かす志の経営」。うつ病で自殺未遂を何度かした妻や自閉症の長男を抱えながら、勤務先だった東レで3人の社長に仕え、定年まで勤め上げたお話は多くの卒塾生の涙を誘いました。その一方で、家庭と仕事を両立できるよう定時退社を実践するためのタイムマネジメント、およびリーダーが備えるべき人間性についてのお話は、すべて実体験に裏づけられているからこそ説得力があり、多くの学びを得ることができました。2日目は、京都先端科学大学ビジネススクール教授で一橋大学ビジネススクール客員教授の名和高司氏による特別講話「パーパス経営」を拝聴しました。名和氏をお招きした理由は、日本のパーパス研究の第一人者であることはもちろんですが、松下幸之助経営塾ならではの理由もあります。名和氏の父上が、『松下幸之助「経営の神髄を語る」』（1983年、国際商業出版）の著者である名和太郎氏（元朝日新聞記者）だからです。名和氏によれば、父上の著作の作成をお手伝いされたとのこと。なお、名和氏の講話については、本誌22ページで紹介していますので、コロナ対策も緩和され、「同志会」では久しぶりににぎやかな懇親会を開催（撮影：永島寿）ご参照ください。また、産業廃棄物処理をはじめ環けいわ境事業を手掛ける恵和興業（宮城県仙台市）社長の笹川慎太郎さん（第19期）が「同志発表」を、「わが志（人生観、経営観、人間観）」というテーマで行ないました。他の卒塾生らと熱く議論を戦わせる場面もみられ、3代目の経営トップとして奮闘する笹川さんの志が強く感じられる発表となりました。最後に、ＰＨＰ理念経営研究センター代表で松下幸之助経営塾主幹講師の渡邊祐介が「松下幸之助とパーパス経営」について講話。今回も充実した「同志会」となりました。なお、松下幸之助経営塾は現在、第23期と第24期が進行し、第23期生が7月にご卒塾の予定です。創業150周年、新会社設立おめでとうございます！佐藤寛之さん（第4期）が社長をおけしょう務める桶庄（愛知県名古屋市）が創業150周年を迎えました。創業の年は1872（明治5）年。現在は住宅設備機器の販売施工修理や、リフォーム・リノベーション、不動産の売買・仲介などを手掛けていますが、社名が示す通り、もともとは桶屋さんでした。長い歴史を経て、ガス機器類の販売などを手掛けるようになり、業容が拡大し、現在に至っているとのことです。150周年を記念して各店で「150周年大感謝祭」を催したほか、記念26［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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塾生通信日に新たのノベルティの作成や、日頃のお客月に1泊2日のバス旅行を実施しました。なお、佐藤さんにご関心のある方は『「志」の経営』（ＰＨＰ研究所）所収の「善循環すべては、私たちの明日の笑顔のために！」をご覧ください。また、斎木洋成さん（第15期）が独立し、ドローンによる建物診断や火災保険金の請求支援、リフォームの提案などを手掛けるアイディ住宅メンテナンス（東京都江東区）を設立しました。今後のご活躍を祈念します。出版事業を立ち上げ自著も刊行！美術印刷・商業印刷を手がける大通（大阪府大阪市）社長の大江美佐さん（第1期）が出版社「スター出版」を設立しました。すでに何冊かの書籍を出版していますが、なかでも注目したいのは大江さんの初の自著『風にそよいで、根はまもる』。4月の「同志会」でも大きな話題を呼びました。同書のパンフレットには「中小企業創業者の娘として大阪に生まれ、2代目社長を継ぎ奮闘した日々を振り返って描いたノンフィクション本。10年の時を経て『社長』として成長するまでの、不安や喜び、驚きスター出版の本はAmazonで購入できますや感謝が入り乱れる心の中までさらけ出しました」と紹介。大江さんの内面の葛藤や、経営者としての強さが読み取れる本です。今後は出版業界に新しい風を吹き込んでくれることを、心から願っています。L経営者が“経営の志”を確立・再確認するための研修講座松下幸之助経営塾本セミナーの特徴松下幸之助の経営哲学を根本から学べる唯一の講座弊社で70年有余にわたり研究を重ねた“松下幸之助の経営哲学の真髄”を、経営者の皆様に分かりやすくお伝えするためのセミナー形式の講座です。人間観を養い高め、経営者としてのあり方を学ぶ本講座は、時代や環境の移り変わりの中で生まれる新しいマネジメント手法を学ぶものではありません。経営者のただ今、新規申込受付中詳しくはホームページで資料のご請求はホームページまたは下記窓口へお問い合わせください。https://www.php.co.jp/seminar/m-keieijuku/株式会社PHP研究所第二事業普及本部〈京都〉TEL075（681）1295FAX075（681）2656〈東京〉TEL03（3520）9631FAX03（3520）9648「志」をキーワードとして、松下幸之助が最も大切にした“経営理念の確立と浸透・共感”を実現すべく、その基となる自然・宇宙観や人間観等を学び、より本質的な“経営者としての器量”を養い高めていただく講座です。「志」の確立に向けた、充実の10カ月10カ月の在籍期間中に１泊２日のセミナーを全６回、隔月で開催。学びと実践、検証をくり返しながら成果を高めていただけます。また、１クラスは最大でも12名の少人数制で、受講者間の討議・交流による相互啓発など受講者お一人おひとりに充実した環境を提供いたします。プログラム第１回『志から理念へ～経営の使命～』第２回『本質を考える～自然の理法～』第３回『原理原則を貫く～基本の徹底～』第４回『人を育てる～事業は人なり～』第５回『経営を革新する～日に新た～』第６回『志を伝える～私の命知発見～』開催要領◦受講資格：経営者ご本人、後継経営者（経営幹部）◦募集人数：12名⃝開講期間：10カ月1開催1泊2日、全6回（隔月開催）⃝受講料：118万8000円（税込）⃝会場：株式会社PHP研究所京都本部（JR・近鉄「京都」駅八条口より徒歩５分）［実践］理念経営Labo2022SUMMER27

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SpecialReport大反響！自主責任経営が体感できる「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」参加者の関係の質を強め、主体性とチームワークを養う文：渡邊祐介（PHP理念経営研究センター代表）前号において、主体性やチームワークを養う新たなツールとして開発の経緯を紹介した「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」。今年5月31日からクラウドファンディングにて受注を開始したところ、開始10分で支援金は目標額を達成。さらに1週間で800万円を超え、大きな反響を呼んでいる。その魅力はどこにあるのか。他にない特長と体験者の反応を紹介しよう。経営者として「共存共栄」を目指す協力型ゲーム「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」の最大の特長は、プレイヤーの主体性やチームワークを高める点にある。ボードゲームでよくあるのは、サイコロやルーレットを回し、いち早くゴールした人が勝ち。あるいは進んだマスで遭遇する指示やイベントに応じてポイントが加算／減算され、最終的により多くポイントを獲得したプレイヤーが勝利するといったものだろう。つまり、各自が競い合うというのが基本だ。しかし、この「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」はまったく違った発想にもとづいてつくられている。プレイヤーが互いに競い合うのではなく、全員で協力して目標の達成を目指すというのが最大の眼目なのだ。もう少し具体的に説明しよう。松下幸之助が創業したパナソニックグループのように、世界的に活動を展開するメーカーの経営を担うというのが基本設定。3～6人のプレイヤーそれぞれが経営主体、つまりグループにおける一事業会社の経営トップ（あるいは一つの会社における部門長）として、みずから率いる組織の経営を行ない、他のプレイヤーと協力して全社の経営に貢献することを目指す。世界を舞台としたメインボードに各プレイヤーがコマを置き、サイコロで縦横に進む中で得た資金をもとに、みずから率いる組織で雇用や仕入、製造、営業を強化していく。ときには会議を開いて他のプレイヤーと話し合って戦略を立てたり、資金や資材などを調達し合ったりも。28［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」29［実践］理念経営Labo2022SUMMERゲーム」を実際にプレイした方にどのような意識の変化があったかを尋ねると、右の図表のようなかたちに集約される。この意識の変化は、実は松下幸之助の経営哲学・理念でいう「自主責任経営」の感覚を養うプロセスと重なり合う。「自主責任経営」の実践にあたって、組織の舵かじ取りを任された責任者は、自己の責任のもとに自分の裁量で経営判断を下し独自の行動を取るが、ただ自己利益を追求すればいいというわけではない。やはり全体の利益のために何ができるかを忘れてはならない。このボードゲームの中でも、プレイヤーはともすれば自分の経営力を高めるだけの判断をしてしまうという落とし穴がある。ついつい目の前の小利を得ることや部分最適を図ることに考えが向いてしまい、「何のために行なっているのか」という使命や大きな目的を見失ってしまう。それがゲームの中でも起きてしまうのだ。そんな体験から「自主責任経営」の何たるかに気づきを得ることができるのである。このボードゲームではゲームを通じてプレイヤー同士が「関係の質」を強め、協力関係を築けるかどうかが重要なポイントとなるというのは先に述べた通りだが、実際の組織の力というのも、詰まるところ個人と個人の関係性、そして組織と個人の関係性で決まるものであろう。このボードゲームは個人個人が互いに結びつく意義を理解させ、組織の中の個人として、どんな役割を果たすべきかを自覚させようとする。この感覚が「自主責任経営」を鍛える肝きもとなってくるわけだ。ボードゲームではあるものの、「参加者の関係の質を変えられる教材」として活かせる可能性を十分に持っているといえそうだ。社内研修等においても工夫次第で本格的な運用が図れるだろう。「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」が組織内のコミュニケーションの壁を取り払う特効薬となるものと期待したい。このように各プレイヤーが時々刻々と変化する全体の状況を読みながら、それに合った経営判断を下していくところにこのボードゲームの1つの面白さがあるのだが、それだけではない。他のプレイヤーと協力し合う中で全社への「貢献値」を獲得していくため、実際にそれを達成したときには全員で喜びを分かち合うことができる。それこそがこのボードゲームの最大の魅力である。互いの経営判断を称え合い、さらなる目標を一緒に目指していこうという気運がどんどん高まっていくのだ。最初は自分の“経営方針”をどうしようかと迷ったり、サイコロの目が思うように出ず“経営不振”に戸惑ったりすることもあるかもしれないが、一緒に取り組むプレイヤーとコミュニケーションを重ねて「関係の質」を強めていくうちに、おのずと“経営パートナー”として協力体制を築き、松下幸之助が志向していた「共存共栄」の世界が生まれてくるのである。「自主責任経営」を鍛える効果「松下幸之助〈理念経営〉実践Lプレイヤーの意識の変化1ゲームの仕組みがよくわからなくても、基本ルールを押さえて「とりあえずやってみる」（雇用や仕入、製造をする）→まずそれぞれの行動から2ルールなどを教え合っているうちに、「自分がやるべきこと」がわかってくる（それぞれが勝手にやっても非効率だ）→メンバー間の対話と自立が始まる3その繰り返しの中で、おのずと「お互いの状況」が見えてくる（ある人は営業が強い、ある人は製造が強い）→チームに共感が生まれる4さらに、今の状況の中で、「相手のために自分がやれること」に気づく（自分は仕入に特化しよう！）→リアルな協働が動き出す5そして、お互いが持っているものを活かして「全体としてどうすればいいか」「それぞれがどんな役割を果たせばいいか」がより明確にわかる→組織として自主責任経営が生まれる

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〈アントレプレナーの最前線〉――時代をつくる旗手たちわが社らしさの見える化で事業創出「KINJOJAPAN」で日本のよさを世界へ発信するきんじょうご錦城護む謨太田泰造株式会社代表取締役社長おおた・たいぞう＊1972年生まれ、大阪府出身。’96年、近畿大学商経学部卒業後、富士ゼロックス株式会社に入社。2001年、錦城護謨株式会社に入社し土木事業部長、専務取締役を経て、’09年、代表取締役社長に就任。福祉事業を立ち上げ、視覚障がい者歩行誘導マット「歩導くん」を販売。’20年には一般消費者向け自社ブランド「KINJOJAPAN」を立ち上げ、「シリコーンロックグラス」の製造販売を開始する。「2021ForbesJAPAN100」に選ばれる。錦城護謨株式会社本社：大阪府八尾市／創業：1936年／事業内容：ゴムメーカーとして、工業用ゴム・樹脂製品・土木資材・バリアフリー商品などの開発・製造・販売「割れないロックグラス」として、メディアでたびたび取り上げられている「シリコーンロックグラス」。その製品開発を手がけたのが、八尾市にある老舗ゴムメーカーの錦城護謨だ。長年、BtoBのゴム資材の製造・販売をメイ取材・構成：塚田有香写真提供：錦城護謨やおしにせンにしてきた同社だが、なぜ一般消費者向けの商品を開発するに至ったのか。また、商品開発をきっかけに会社がどのように変わっていったのか。そして、新規事業を立ち上げるうえで求められるアントレプレナーシップについて、同社代表取締役社長の太田泰造氏に語っていただいた。ゴムが社会課題を解決する錦城護謨は1936年にゴム材料商社として創業しました。その後は家電や自動車、医療器具などの部品に広く使われるゴム製品の製造・販売、および地盤改良などの土木関連事業を2本柱として展開し、今年で創業87年目を迎えます。加えて2009年に私が社長に就任して以降、力を入れているのが新規事業の開発です。わが社では約5000種類のプロダクトを製造していますが、1つの製品のライフサイ年から5年程度。10年先も残る製品がどれだけあるかと考えると、このまま既存事業だけに依存していられないのは明らかです。そこで会社の未来のため、3本目本目となる新たな事業の柱を立てようという声が社内からも上がり始めました。ただし、闇雲に新しいことに手を30［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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出しても成功確率は低いので、市場とニーズが存在する分野を見極めなければいけない。そこでまずはターゲットとする4つのセグメントを決めました。それが「防災・健康・環境・福祉」です。日本が超高齢化社会を迎えた今、これらの分野で大きな市場が生まれるのは間違いありません。そんな中、土木事業のお客様からの紹介で視覚障がい者の方と出会ったのを機に、錦城護謨として初の福祉事業に着手します。それが視覚障ほどうがい者歩行誘導マット「歩導くん」の製造・販売です。視覚障がい者の歩行を助ける手段としては点字ブロックがよく使われますが、凹凸があるため車椅子の車輪やハイヒールなどが引っかかりやすいという課題がありました。その方は当事者としてこの社会課題を解決すべく、誰もが安心して利用できるゴム製の誘導マットをご自身で考案されたのですが、実際にものをつくったり、営業したりするのは難しい。そこで知人であるお客様が、ゴム製品を扱うわが社を紹介してくださったのです。ちょうど私が社長に就任した直後のタイミングでしたが、ターゲットとする「福祉」の分野に該当する公共性の高い製品であり、すぐに新規事業として取り組むことを決断しました。とはいえ、わが社は中小企業ですから、いきなり大規模な設備投資をするのは難しい。そこで最初は全国にある土木事業の営業網を活用し、製品の販売やPRのお手伝いから始めました。その過程で誘導マットを設置する建設業者などから製品へのフィードバックが集まったので、それらの意見を反映させて、さらによい製品へバージョンアップすることに。今度はわが社が持つものづくりの技術を活用し、2015年に「HODOH-KUNGuideway」として製造・販売を開始しました。世界初の商品だったため、当初は福祉業界から「実績はあるのか」「本当に大丈夫か」といったネガティブな反応もありました。それでも粘り強く営業を続けて認知と理解を促した結果、現在では全国で1000カ所以上に設置され、わが社の福祉事業を支える主力製品へと成長を遂げています。“錦城護謨らしさ”を求めて次なる挑戦へ私たちが次の新規事業創出に向けてチャレンジを始めたのは、2019年のこと。きっかけは、錦城護謨が本社を置く大阪・八尾市による行政プロジェクト「YAOYAPROJECT」への参加でした。これは市内の事業者とクリエイターを結び、八尾市の魅力やものづくりの力を発信することを目的とした取り組みで、私たちもこのプロジェクトを通じてデザイナーの小林新也さんと出会い、新たなプロダクトを生み出しました。それがオリジナルブランド「KINJOJAPAN」のシリコーンロックグラ視覚障がい者用歩行誘導ソフトマット「HODOHKUNGuideway」。凹凸がないために段差でつまずきにくく、設置も簡単スです。見た目はガラスそのものなのに、シリコーンゴム製なので落としても割れない。長く使えるサステナブルな製品です。シリコーンの素材であるケイ素は、地球上で酸素に次いで豊富に存在するといわれる天然由来の成分で、再利用も可能。ターゲットとする「環境」の分野にマッチする新規事業です。そもそもなぜ私たちが八尾市のプロジェクトに参加したかといえば、「“錦城護謨らしさ”を象徴するプロダクトをつくりたい」という思いがあったからです。これにはわが社が持つ技術を対外的に発信するという意味合いと、自分たちの仕事に対する誇りや会社へのエンゲージメントを醸成するという対社内的な意味合いの両面があります。私たちが日頃から感じていた課題は、ＢtoＢの部品メーカーなのでエンドユーザーと接点がなく、自分たちがつくるものが誰の役に立ち、誰に喜んでもらえているか見えにくいことにありました。だから社員は自分の仕事に誇りを持ちにくく、目の前の作業をただ黙々とこなすだけになりがちです。これでは現場に活気や明るさが生まれないし、仕事にやりがいを感じられず離職する人も出てきます。さらに私がショックだったのは、ある社員に「何のために働いていますか？」と聞いたら、「お金」という答えが返ってきたこと。確かにそれはそうですが、はっきり言われると寂しいやら、やるせないやらで。錦城護謨には優れた技術があり、多くのお客様に愛され、素晴らしいプロダクトをたくさん生み出している。にもかかわらず、社員たちには［実践］理念経営Labo2022SUMMER31

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〈アントレプレナーの最前線〉――時代をつくる旗手たち32［実践］理念経営Labo2022SUMMERそれが伝わっていないのだと痛感しました。ならばこの会社のよさや魅力を見える化し、「これが錦城護謨だ」と社員が胸を張って言える象徴的なプロダクトを生み出せば、自分たちの仕事の価値を実感できるのではないか。そう考えていたときに八尾市のプロジェクトを知り、この機会を借りてエンドユーザーに直接届くＢtoＣの新製品を開発しようと決意したのです。技術力を結集した画期的なグラスシリコーンゴムを使ったグラスのアイデアは、デザイナーの小林さんから出されたものです。複数のクリエイターからわが社が持つ技術を活用したプロダクトの提案をいただき、その中から最終的に「グラスでいこう」と決めました。理由は、どの家庭にもあるものだから。錦城護謨の技術を広く知ってもらうにはうってつけです。しかもグラスを落として割ってしまった経験は誰にでもあるので、「割れないグラス」のすごさを十分に実感してもらえる。わが社が扱う素材のよさを象徴するプロダクトとして最適だと考えました。さらにロックグラスは、わが社の技術力を最大限に発揮できる製品でもあります。私たちが開発したグラスはデザイン性が高く、表面にエッジの効いたカッティングを施していますが、これはガラスや樹脂では再現が難しい加工技術です。しかも透過度が94％とガラスより高い。素材の技術、金型の技術、成型の技術が3つとも揃わなければ実現が難しい数値です。まさに錦城護謨らしさの詰まった製品といえるでしょう。シリコーンゴムのグラスというだけなら、すでに世の中に存在しています。でも、まるでガラスにしか見えない美しさを備えた製品はなかった。シリコーンゴムの機能性にデザイン性を掛け合わせたことで、イノベーションが起こったのです。スピード開発を支えた強い使命感今回の八尾市のプロジェクトは、半年間でプロダクトを製作し、クラウドファンディングに出品するという目標設定だったので、実際のところ、時間的にはかなり厳しいチャレンジでした。通常の開発は最低でも1年から1年半かけるので、半分以下の期間で製品を完成させなければならない。それを成し遂げられたのは、4人のプロジェクトメンバーのおかげです。「この会社のよさを内外に伝えたい」という私の思いに共感してくれた者が事業部の垣根を越えて集まり、強い使命感と責任感を持ってこの難題に取り組んでくれました。とはいえ、ＢtoＣの完成品をつくるのも初めてなら、クラウドファンディングも初めてですから、出品する前は「本当に買ってくれる人がいるんだろうか」と不安しかありませんでした。そこで恐る恐るという感じで、目標販売額を30万円に設定したのですが、結果的に初日だけでその額を達成。そこでようやく「やはり自分たちがつくったものには価値があるのだ」と私たちも確信できました。最終的には目標達成率900％、売上は約280万円に達しましたが、数字の大きさ以上に、エンドユーザーの皆さんから「あなたたちの挑戦は間違っていないよ」と背中を押していただいたことに大きな価値があったと感じています。社員がイキイキと変わり始めた！ただし短期のプロジェクトでは成功しても、本格的に新規事業として立ち上げるとなると、また別の大変さがあります。そもそもＢtoＣに必要なマーケティングや広報といった機能が社内にないので、アウトソースすれば初期投資が必要となり、それを回収するには一定の時間がかかります。よって社内からは、「目の前に既存事業の仕事があるのに、なぜ今コストをかけてまで新しい事業をやらなければいけないのか」と疑問や反発の声が上がりました。それに対して私が社内に発信しゴム製の割れない「シリコーンロックグラス」。機能性と切子ガラスのような美しさを併せ持つ

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たのは、「新規事業の立ち上げは、あくまでフラッグシップである」というメッセージです。ＢtoＣに取り組む目的は私たちの技術やものづくりに対する思いを見える化することであり、それをきっかけに新たな業界や顧客とつながることで、基盤の事業になっているＢtoＢにもプラスの影響となって返ってくる。「toＣからtoＢへ」のサイクルを回して会社全体を成長させていくことが最大の狙いであり、既存事業が自社にとって重要であることに変わりはない。そんな表現で新規事業に取り組む意義を伝えた結果、ＢtoＢに従事する社員たちも、ＢtoＣを他人事ではなく自分事としてとらえるようになり、次第に応援してくれる人が増えていきました。それに伴い、社内の空気も少しずつ変化しています。やはりエンドユーザーから直接反応や感想をもらえるのは嬉しいし、現場を活性化する原動力になる。最初は新規事業にかかわるメンバーが変わり、その変でんぱ化が周囲にもじわじわと伝播して、他の社員からも「自分も何か新しいことをやってみようかな」といった声が聞かれるようになりました。さらには、お客様から見た錦城護謨のイメージも変化し始めています。これまでは「ゴムの部品をつく※メーカー」だったのが、「新しくて面白いものを生み出す開発メーカー」として見られる機会が増えつつあるのを現場も実感しているようです。今後はおそらくＢtoＢでも開発提案型の案件が増えていくと予想しています。お客様に対してより高い付加価値を提供できれば、社員の仕事に対するロイヤリティも高まり、よい循環が生まれま一般消費者向けブランド「ＫINJOＪAPAN」を立ち上げたメンバー4人と、デザイナーの小林新也氏（中央）す。特に会社の未来を担う若手が「この会社ならやりがいのある仕事ができる」と感じてくれれば、錦城護謨にとって大きなパワーになるでしょう。成功の鍵は「志」の見える化「KINJOJAPAN」のブランド名には、日本のよさを世界に発信したいという思いが込められています。昭和の大量生産、大量消費の時代は終わり、SDGs（持続可能な開発目標）のようにサステナブルなものが求められている今、日本がものを大事に扱い、長く使おうとする文化を世界に発信していく使命を感じています。私は現在、地元企業間の交流を目的としたイノベーション推進拠点「みせるばやお」の代表理事を務めており、スタートアップや新しいビジネスが育つ環境づくりにも力を入れています。私自身が経営者として新規事業開発に奮闘してきた経験からいえるのは、「アントレプレナーにとって最も大事なのは、大義であり、志である」ということ。新しい会社や事業を立ち上げるからには、「こんな課題を解決したい」「現状をもっとよくしたい」など、起業のきっかけとなった思いが必ずあるはずです。自分の根幹に確たる志があり、それを見える化してチームメンバーや社員と共有すれば、きっと応援してくれる人が現れる。リーダーに強い思いがあるからこそ、共感して一緒に戦ってくれる仲間が増え、結果的に大きなビジネスを成し遂げられるのです。スタートアップの若手起業家たちと話していると、「会社を大きくするには資金調達が重要」とか「できるだけ早く上場したい」といった言葉をよく耳にしますが、それが目的化してしまったら本末転倒です。本当に大きなことを成し遂げたいなら、原点となる自分自身の志を大切にしてほしいと思います。誌面の内容がよりよくわかる特別動画をこちらのQRコードからご視聴いただけます。L※OEM＝相手先ブランドによる製造［実践］理念経営Labo2022SUMMER33

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組織に好循環を生み出したリーダー養成プロジェクト「お客様に寄り添う」の実現を目指して林万祐子さん（OnYourSide事業部次長）上田未来さん（戦略企画部業務役）岩井由香さん（事務サポート部次長）長谷川雄一さん（山科中支店支店長）西村崇さん（久我支店支店長）組織や職場の風土をどのように変革するか。実践企業の取り組みをレポートする。今回は、信用金庫として国内トップの規模を誇る京都中央信用金庫の方々にお話をうかがった。京都中央信用金庫本店：京都府京都市下京区／創立：1940年／事業内容：地域金融機関としての預金・貸出業務、経営サポートなど取材・文：佐々木賢治写真撮影：白岩貞昭「OnYourSide」に向けたリーダー育成プロジェクト京都を中心に近畿圏で132の支店を展開し、「中信（ちゅうしん）」の愛称で地域のお客様に親しまれている京都中央信用金庫。「ONYOURSIDE～一緒がうれしい～」を合言葉に、常にお客様に寄り添う良きパートナーであり続けることを目指しており、その実現に向けて人材育成にことのほか力を入れている。コロナ禍においてもその姿勢は変わらず、2021年研究所のリーダー養成研修プログラム「5つ年間をかけて受講。そこでの学びの実践が、今それぞれの現場で図られているという。人材開発やCSRなどを担うOnYourSide事業部の林万祐子次長は、「人づくり」に寄せる思いを次のように話してくれた。「当金庫は信用金庫としては規模が大きく、支店数もたくさんあります。どこの組織でも規模が大きくなってくると、縦割りの官僚的な組織文化になってお客様へのサービスの質が低下する傾向があります。そうならないように自主的・能動的に考えて行動できる人材を育成することに取り組んでいます。特にこれからの金融業界で生き残っていくためには、それが必須になってくるでしょう。そこで京都中央信用金庫では、2020年に迎えた創立80周年を機に『リーダー育成プロジェクト』を立ち上げ、リーダーの育成に取り組んできました。要となる支店長や本部の管理職にチームマネジメント力を高めてもらい、より強い現場づくりを通じて、部下育成へと広げていくイメージで考えています」今回の「リーダー育成プロジェク34［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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しらはト」は白波せ瀬誠理事長の肝いりで、OnYourSide事業部だけでなく、人事部と戦略企画部の3部署合同で推進する特別なものだという。まさに全組織を挙げた一大プロジェクトであり、京都中央信用金庫の人材育成にかける本気さがうかがわれる。ジャガイモ栽培で支店改革!?日々育まれる一体感研修プログラム「5つの原則」では、複数回の集合研修で強い現場づくりのメソッドを学び、リーダーに必要な人間力を養う。またそれと並行して各回のあいだに現場で変革に取り組み、実践的なリーダーシップを磨いていくという仕組みになっている。そのため、集合研修に留まらず、日々の職場自体が学びの場であるといえる。実際にどのような取りやましななか組みや学びがあったのか。山科中支店の長谷川雄一支店長（研修時はかたぎはら樫原支店）にうかがった。「最初の集合研修では、１つ目の原則として『使命を正しく認識する』ということを学びました。そこでまず支店の全職員に、自分たちの使命は何か、どんな風になりたいか、アンケートで聞き取りを行なっ山科中支店長谷川雄一支店長たのです。どちらかというと、職員たちはお互いに無関心になっていじぶんごとととて、全体のミッションを自分事らえていないのではないかといった印象があったのですが、アンケートではお客様を喜ばせたい、地域社会に貢献したいという声がほとんどで、自分と同じ方向を向いてくれていることをうれしく思いました。それを受けて支店のミッションに定めたのが、『おWINの関係性を構築できる集団になること』です。その第一歩として、支店内をとにかく明るい雰囲気に変えたいと思い、みずから“声出しリーダー”に徹してメンバーに声をかけ、いいコミュニケーションができる環境づくりに取り組みました」まずは、職員同士の信頼関係を高めるところから取り組んだということだが、それに大いに役立ったのは、なんと「ジャガイモの栽培」だという。「提案したのは、窓口業務を担当する入社4年目の女性職員でした。みんなで一緒に野菜を育てたら、気持ちが一つになるんじゃないか、と。それにどの程度効果があるか、私自身もよくわかっていませんでしたが、職員が出してくれた意見はできるだけ取り上げて、実現したいと思っていました。それが職員たちの自発性を引き出すことにつながるからです。実際にジャガイモの栽培をやってみると、毎日水をあげたりする中でなご会話が生まれ、支店内が和やかな雰囲気に変わっていきました。虫が出あやませんていたり、過って枝を全部剪定してしまったりと失敗もありましたが、最後は収穫したジャガイモをみんなでOnYourSide事業部林万祐子次長調理して、美味しくいただきました。その過程で本当に支店内の気持ちが一つになったと実感できたので、やってみてよかったなと思います」（長谷川支店長）ジャガイモ栽培は素人でも比較的簡単にできるのでオススメだとか。この取り組みは京都中央信用金庫内でも話題になり、野菜の栽培がちょっとしたブームになりつつあるこがようだ。久我支店の西村崇支店長ひゃくまんべん（研修時は百万遍支店）は、現在の支店のプロジェクトとして京都の伝はたけな統野菜である畑菜の水耕栽培に取り組んでいるという。「畑菜は支店のある久我地域で昔からよく栽培されていて、“久我菜”とも呼ばれています。支店のみんなで種つけをしてロビーで育てていますが、芽が出ただけでも支店内が盛り上がるんですね。農家の方とも交流が生まれました。無事に育ったら、地域のレストランでメニュー開発をしてもらったり、イベントを開催したりしてブランド京野菜として広めたいと、地域とともに盛り上がっていく壮大なプロジェクトをみんなで語り合っています」（西村支店長）［実践］理念経営Labo2022SUMMER35

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職員がチラシ配りまで!?「デカ盛り」で地域活性化夢のような話と思えるかもしれないが、西村支店長にはそのように地域を盛り立てていった実績がある。前任の百万遍支店で2021年10月に「百万遍!京のデカ盛り!すとりぃと」なるプロジェクトを立ち上げ、メディアでも多数紹介されるなど、地域の活性化に貢献した。「コロナ禍で地域の飲食店の皆さんが辛い思いをされているなかで、私たちに何かお役に立てることはないだろうかと支店のみんなでアイデアを出し合ったのが始まりです。もともと学生さんの多い地域ですから、デカ盛りメニューを提供すればお客さんも満足され、お店や地域も賑わって喜ばれるのではないか、と。お店に参加を呼びかけたり、チラシやポスターをつくって街で配り、貼ってもらえるようお願いしたりなど、支店のみんなで取り組みました。通常の業務とまったく違う仕事「百万遍!京のデカ盛り!すとりぃと」のポスター（写真提供：京都中央信用金庫）なので、全員が前向きに取り組んでくれるのか不安がなかったわけではありませんが、『地域のお客様のために』というミッションやビジョンがかなり共有されていたおかげで、みんな一生懸命動いてくれましたね。結果としては、飲食店をはじめとした地域のお客様に、『中信さんはここまでやってくれるのか』と信頼を寄せていただけたことが大きな収穫です。それと支店内では、私たちの使命を果たしていくための考え方や行動が明確になり、共有されたのではないかと手応えを感じています」（西村支店長）対話などで関係の質が高まれば、思考の質、行動の質の向上がもたらされ、それがよい結果へとつながる――。研修プログラム「5つの原則」で強調されるダニエル・キム元MIT教授の「成功循環モデル」でいうグッドサイクルが、百万遍支店の取り組みに見てとれる。「『成功循環モデル』については本当に目からウロコでした。今までは、結果の質を追求する意識から始まっていたために、メンバー間の関係も必ずしも良好とはいえず、思考も行動も振るわないというバッドサイクルに陥っていたことに気づきました。そうではなく、『関係の質』から始めればいいんだ、と。ですから、今の久我支店でも肯定的な人間観を大事にして、私が感銘したことを動画などでみんなに伝えて共有してもらえるように努めています」（西村支店長）支店長で支店は変わる！若手職員に生まれてきた変化このような取り組みによって生ま久我支店西村崇支店長成功循環モデル（ダニエル・キム）関係の質グッドサイクル結果の質バッドサイクル思考の質行動の質れつつある現場の職場風土の変化については、本部のほうでもひしひしと感じているという。OnYourSide事業部の林次長は、こう話す。「これまでにいろんな支店を見てきましたが、やはり支店は支店長次第で大きく変わるものなんですね。好循環が生まれている支店は、お客様への対応や業績はもちろんいいですし、それ以前に雰囲気も明るく整理整頓も行き届いていて、訪問すればすぐにわかります。逆にそうでない支店は、そもそも活気がなくて職員同士のコミュニケーションがよくありません。支店長と役席者や職員の向いている方向がバラバラというか……。だからいろいろと解決すべき課題があり、さらに雰囲気が悪くなる。それはお客様にも伝わってしまいますので、まさに悪循環です。でも、支店長の姿勢や考え方、取36［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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り組みが変わると、職員にもそれが伝わって、いい流れが生まれてくる。実際に、今回のプロジェクトがきっかけでいい取り組みができるようになった支店の若手職員からは、支店長も支店の雰囲気もすごく変わってよかったという声が聞こえてきます」事務サポート部の岩井由香次長（研修時は人事部）も若手職員の変化を感じている。「支店を訪問して若手職員の意見を聞いてみると、悩みながらもいろんな意見を出し合って、取り組むことを考えていました。これまでは意見することに戸惑いもあったようですが、今回のリーダー育成プロジェクトを通じて、若手職員を中心に積極的に意見を出し合い、行動できるようになってきていると感じています」同じく若手職員の成長に手応えを感じている戦略企画部の上田未来業務役は、職場の活性化に期待を寄せる。「若手職員の話を聞くと、先ほどの野菜づくりもそうですし、挨拶や掃除に力を入れるなど、自分で考えて率先して取り組もうとしてくれて戦略企画部上田未来業務役事務サポート部岩井由香次長います。それによって支店内だけでなくお客様ともいい関係が生まれてきて、小学校で出前授業を行なったりと、活動が少しずつ発展していっているのです。“NoPlay,NoError”ではなくて、まずはやってみる。それがどんな結果につながるのか最初はわからなくても、自分たちの発想を生かして協力し合ううちに、何か収穫が得られるということを、若手職員たちは実感してくれているようです。職場でわくわくしたり、どうやったらもっと楽しくなるかという発想を持つようになってきているのが本当にうれしいですね。職場にいい影響が生まれていると感じます」PHP研究所人材開発企画部長で、「５つの原則」プログラムの開発責任者でもある的場正晃によると、人材育成において本部の施策と現場のかいり取り組みが乖離している例がよく見られるが、ここまでうまく連動してまれいるのは稀だという。それは現場を本部がきめ細かくサポートし、よい取り組みがあればその情報を汲み上げて横展開を図っているからだろう。京都中央信用金庫が大事にする「寄り添う」姿勢は、そんなところにも見てとれる。これからもどんな好循環が生まれていくのか、期待は高まるばかりだ。L講師派遣型研修松下幸之助のマネジメントに学ぶ「5つの原則」「5つの原則」研修とは松下幸之助のマネジメント論を凝縮した「5つの原則」をフレームワークとして、職場の現状を把握し、現場力を強化するための課題を設定、それに取り組んでいただきます。単なる座学ではなく、現場で壁にぶち当たり、汗をかきながら問題を解決する経験を通じて、風土改革の勘所を体得する実践的な学習プログラムです。「5つの原則」1．使命を正しく認識すること：まずは使命（組織のミッション）を明確に掲げる2．素直な心になること：素直な心で衆知を集め、現状を正しく認識する3．人間観をもつこと：肯定的な人間観をもって、人を活かす4．自然の理法に従うこと：自然の理法に適った、職場風土変革の課題を設定する5．自主責任経営を心がけること：自主自立の気概をもって最後までやり抜く覚悟を固める実施要項対象定員主に中間管理職（部長・課長）、経営幹部候補者実施形態講師派遣型集合研修費用20名2,200,000円（税込）＋通信教育（受講料〈お一人〉17,160円〈税込〉）×ご受講人数※1別途、講師の出張交通費、宿泊費をご負担いただきます。※2原則として標準パッケージをご提供。カスタマイズの場合は別途費用が発生します。※3通信教育費用は受講人数によって変動します。詳しくはウェブサイトをご覧ください［実践］理念経営Labo2022SUMMER37

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松下幸之助の経営哲学自分の意志を超えた働きを確信するなぜ「自然の理法」に従うべきなのか②川上恒雄（PHP理念経営研究センター首席研究員）写真撮影：貝塚裕松下幸之助の経営哲学の根底には、「自然の理法」に順応すべきだという考え方がある。幸之助にとって、「自然の理法」は単なる概念ではなく、目には見えないけれども実在する働きや摂理だ。なぜそのような不可視の実在を幸之助は信じるようになったのか。前回は、その手がかりとして、独立前の幸之助の「運」に対する関心に注目した。今回は、独立後に時間軸の射程を広げ、幸之助にとって「運」が一時的・偶然的なものではなく、その連鎖や他者との対比などから、自分の意志とは独立した大きな力が働いていることを確信したことに焦点を当てる。最後に、戦前において、その大きな力の働きが「自然の理法」であると認識した要因の一つを推察する。「悲運」を「強運」に転化する幸之助は10代前半に奉公していた頃、自分の身分では学校に通えず、商売の道を進む以外に将来の可能性が閉ざされていることを「悲運」であると嘆いていたが、セメント会社や大阪電燈に勤務した10代後半以降は対照的に、交通事故や病気の克服などの経験を経て、自分は容易に死なない「強運」の持ち主であると認識するようになった経緯を前回検討した。この「悲運」から「強運」への転化は、別の文脈からも読み解ける。それは、大阪電燈で屋内配線工事の仕事を通して「社会」を学んだことに関係する。幸之助は、1977年の国家公務員合同初任研修での講話で当時のことを振り返り、「電灯会社の6年間で仕事に行った先の各家庭の状況、商店、会社の人の使い方を見聞きして覚えたことが、一種の学問といえば学問になったと思うんしです」「知らず識らず社会学が身についたわけですな」などと話している（PHP総合研究所研究本部編『松下幸之助発言集８』PHP研究所、124および123ページ）。具体的にはどういうことか。幸之助によると、当時の日本人は感電を恐れ、電気関係の工事やトラブルは専門業者に任せるのが一般的であったという。それゆえ幸之助も、電気が通っている、あるいはこれから電気を通そうという家や建物に、出入りする機会が多かった。工事先の住人の暮らしぶりの一端を垣間見ることの多い仕事であったことがうかがえる。幸之助は15歳のときに内線係見習工として大阪電燈に入社し、16歳で早くも内線係担当者に昇格した。担当者と見習工は主従関係にあり、年長の見習工を従えて工事に出たという。そして仕事先について、「自慢ではないが、技能は非常によくて、相当に羽振りをきかせ、担当者になりたてからいい仕事を多く与えられたものであった。したがって高級住宅の新・増設工事方面に多く行かされたものである」と述べている（『私の行き方考え方――わが半生の記録』ＰＨＰ研究所、文庫版44ページ）。この記述に従えば、富裕層の邸宅での工事が多かったよさぶろうのだろう。特に実業家である八木與三郎（八木商店＝現創業者）の家が印象に残ったらしく、敷地の広さや部屋の数、そして来客用の風呂（加えて、1977年の講演によれば、女中用の風呂もあったようだ）の存在に驚き、「（八木家の）漬物小屋にも劣っている」（同51ページ）自宅と対比している。38［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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松下幸之助の経営哲学また、八木のことを、「まことに立志伝中の人で、綿糸問屋の一小僧から、当時すでに大阪一流の綿布商になっていた人」（同50ページ）と評している。ヤギのホームページによれば、八木は「綿糸問屋」ではなく、叔父の米穀店で修業したと記されているが、同様に少年の頃は「一小僧」でもあった幸之助は、八木のような実業界での成功者の存在は大いに勇気づけられたことだろう。八木家の人は、幸之助ら工事人を丁重に扱ってくれたという。しかしその一方で、工事先の中には、「工事人としての私らを無視するような無理解な家」（同52ページ）も少なからず存在した。幸之助は1977年の講話でも、電灯を引く工事に対してひと言の礼もなかった家のことに言及している。よほど理不尽な記憶として残っていたらしい。しかしこれもまた、社会勉強だ。高級住宅街に住んでいるからといって、誰もが人として立派なわけではない。一方、自分は貧しい境遇に育っても、奉公先で厳しくしつけられ、商売や工事の仕事を通して人情の機微を知った。それが働いたり生活したりするうえで非常に役立っている。幸之助は、「社会」を知ることによって、自分の境遇を相対化することができた。過去を振り返れば、一時期は「悲運」であったのかもしれないが、長い目でみれば、辛いこともあったその一時期を経験したからこそ、他の人よりも生き抜く力が身についた。その意味で「強運」である。実際、工事担当者として活躍していた頃の幸之助の記憶は概して明るく、悲壮感をあまり感じない。余裕のある生活ではなかったものの、電気の世界の将来性も相まって、将来への希望の持てる時代であったのだろう。「死なない」ことは「運」の強さかこのように独立前から、幸之助は少なくとも「悲運」さいなであることに苛まれることは、ほとんどなくなったのでないかと思われる。むしろ社会の人々の中では、実は運に恵まれている面もあると思うようになる。さらにそれだけではなく、前回述べたように、事故や病気に巻き込まれようとも自身が容易に「死なない」という事実に、運の強さを確信するようになった。次は、この「死なない」という幸之助の信念に焦点を当ててみたい。幸之助は独立後、「死なない」ことを、単に運が強いとか弱いとかという次元では語り尽くせない現実に直面する。前掲の自叙伝『私の行き方考え方』によると、大正バブルの頃の1919（大正8）年の暮れ、「3年前に高等工業の電気科を出て大阪電燈へ入社した相当な資産家の息子」（同94ページ）が幸之助を訪ねてきた。少ない資本でコツコツやっていても面白くないだろうから、会社組織にして大きく事業を展開したらどうかと提案する。幸之助は驚いたが、それも一理あると考え、数日後に元同僚の家を訪問することを約束した。約束通り4～5日後に赴くと、待ちかねていた様子の元同僚は、「君が決心してくれれば僕はあす直ちに会社へ辞表を出して、2、3日国へ帰って10軒ほど親戚をた口5000円ずつ、5万円は調達してくる」（同95ページ）と断言する。幸之助は、「取締役」と呼ばれる自分の姿を夢想し、つい承諾してしまうが、よくよく考えてみれば、元同僚が信頼に値する人物であるのかどうか、よく知らない。いくら親戚が資産家であるとはいえ、そんな簡単に大金を集めることができるのか疑問を感じて、再び相談しようと、数日後に元同僚の家を訪ねる。ところが、本人は急性肺炎で死んでいた――。幸之助はむろん彼の死に衝撃を受けるが、同時に、自分自身の運について改めて考える。なぜならば、自分が「強運」であると認識した自動車との衝突事故が、同じ年内の近い時期に起きたからだ。裕福な家で育った元同僚は死ぬ。貧しい境遇に育った自分は死なない――。「こういうことが人間の運の強弱というものだろうか」（同97ページ）と幸之助は語っているが、もしもまだ小さな町工場を、そもそもよく知らない元同僚の資金に頼って会社組織にしていたら「松下電器の今日はなかったのではないか」（同96ページ）とも述べており、単なる偶然の「運」とは理解していなかったことがうかがえる。なおこの1919年は、幸之助の姉にあたる五女のあい歳で亡くなっている。それだけでなく2年後の1921（大正10）年には、長姉のイワが逝去。1894（明治27）年に幸之助が誕生したとき、末子の幸之助を含人のきょうだいと両親の10人家族だったが、早世が多く、ついにはイワの死によって、幸之助だけが生き残ることに。一方、1921年は、幸之助夫婦の初めての子供（長女）が誕生した年でもある。この死と生が同一年であることもまた、偶然の一致だろうか。［実践］理念経営Labo2022SUMMER39

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「死なない」ということが幸之助にとってなぜ大きな意味を持つのか、これらの事実だけでもよくわかるが、こうした生命にかかわる出来事の連鎖は、幸之助にしてみれば「運」というひと言では片づけられるものではなく、自分を生かしている何らかの力が働いているのではないのかと、考えざるをえなかったであろう。実際、幸之助は晩年に次のように回顧している。ほりゅうたち「ぼくは生まれつき蒲柳の質でしてね。長じても医者の手をわずらわすことが多く、こんなにまで長生きできるとは思いもよりませんでした。ほんとにありがたいことです。これにはやはり、自分の意志や力を超えた運命とでも呼ぶしかない大きな力の働きを感ぜずにはいられませんね」（『人生談義』PHP研究所、文庫版19ページ）すなわち、幸之助はいつの頃からか、「自分の意志や力を超えた運命」の存在を信じるようになったのである。「運」と「運命」「運」と「運命」は何が異なるのか。幸之助自身は、両者を混同しているのか、あまり明確に使い分けてはいない。たとえば、1980年に松下政経塾の1年生に向けて、船から落ちた事故と自動車との衝突事故から助かったことに触れ、以下のような発言をしている。「そういうことで、運が強いということが2回もあったわけです。そのときに、わしは死なんぞということを感じましたね。だから、やっぱり運が強くなければいけない。私は運が強いかどうか分からないけれども、そのように何度も死にかけて、そのあとも肺がまた再発して、死ぬかもしれないということもあった。だから、今日あることは、やはり目に見えない何かそういう運命というものをもっているのではないかと思います」（『松下幸之助発言集44』PHP研究所、78ページ）さらにまた、以下のよく知られた一節でも、一見、「強運」と「運命」が混同されている。でっち「家が貧しかったために、丁稚奉公に出されたけれど、そのおかげで幼いうちから商人としてのしつけを受け、世の辛酸を多少なりとも味わうことができた。生来体が弱かったがために、人に頼んで仕事をしてもらうことを覚えた。学歴がなかったので、常に人に教えを請うことができた。あるいは何度かの九死に一生を得た経験を通じて、自分の強運を信じることができた。こういうように、自分に与えられた運命をいわば積極的に受けとめ、それを知らず識らず前向きに生かしてきたからこそ、そこに一つの道がひらけてきたとも考えられます」（『人生心得帖』PHP研究所、文庫版21～22ページ）以上のように、「運」と「運命」が同次元で語られているようにみえることは確かである。ただ、「運命」については、「自分の意志や力を超えた」「目に見えない何か」「自分に与えられた」といった表現で形容されている。この表現に従えば、「運命」とは、不可視であるけれども、一個人の人生に、その人の努力や意志から独立して影響を及ぼす、所与の実在であるといえよう。偶発的・一時的な「運」とは異なる。ところが、そんな「運」と表現している事象も、時間軸に沿ってつないでみると、一つの太くて抗うことのできない流れのように感じられ、「運命」として認識されることもありえる。ここで、実業家としての幸之助を考えるにあたって重要なことは、個人的な努力や意志の力はもちろん大切であるけれども、それは経済的成功への十分条件ではないということだ。人生を制約しているように思われる「運命」を、先の引用中の幸之助の言葉にみられるように、「積極的に受けとめ」「前向きに生かして」いくことが重要なのである。いわば「運命」に従い、その波や流れに乗ることだ。「人間は、一面では自分の意志で道を求めることができるけれども、反面、自分の意志以外の大きな力の作用によって動かされてもいる。それは否定できない事実です。（中略）何ごとも、自分の意志だけで動いているのだと思っていると、何か事があった場合に、どうしても動揺しがちです。しかし、自分はもっと大きな力によって動かされているのだと考えれば、そこにあきらめ、というと語弊がありますが、ある種の安心感が生まれてきて、ジタバタ動揺せず、これに素直に従っていこうということにもなってくるでしょう」（同89～90ページ）もっとも、年齢が20代半ばであった1920年前後の先の話の頃は、ここまで「運命」を受け入れるという見方はとっていなかったようだ。幸之助は松下電気器具製作所を創業して数年しかたっておらず、まずは事業を軌道に乗せることに精一杯であったと思われる。「運命」を生かすなどと考える余裕すらなかったはずだ。ただ、偶然の「運」とは異なる、見えざる力の働きが大きく自分の人生に作用していることは確信したことであろう。40［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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松下幸之助の経営哲学実際、当時の幸之助が「運命」という表現を積極的な意味で用いていた発言記録をほとんどみかけたことがない。しかし戦後になると、「運命」の実在を明確に肯定し、それは「天地自然の理」、すなわち「自然の理法」によって与えられるとした。幸之助にとって、自身の境遇を形成しているのは「運命」だが、その形成自体に働きかけているのが結局、「自然の理法」なのである。順応同化の精神幸之助は戦後になって「運命」についての持論を積極的に展開するようになるが、「自然の理法」に対する意識は戦前から強かった。1932（昭和7）年に幸之助は、のちに「水道哲学」とせんめいして知られる「松下電器の真の使命」を闡明し、翌33（昭和8）年5月に松下電器が事業部制発足と同時に全事業場で朝会・夕会を開始する。そして同年7月、幸之助は「松下電器の遵奉すべき五精神」（産業報国の精神、公明正大の精神、和親一致の精神、力闘向上の精神、礼節を尽すの精神）を定め、以来、それは朝会で唱和されることとなった。さらに37（昭和12）年、幸之助は「五精神」に「順応同化の精神」「感謝報恩の精神」を加え、「七精神」とする。注目すべきは、「順応同化の精神」である。「進歩発達えがたは自然の摂理に順応同化するにあらざれば得難し社会のごと大勢に即せず人為に偏する如きにては決して成功は望み得ざるべし」と付記されており、何に対して「順応同化」するのかといえば、「自然の摂理」、すなわち「自然の理法」であることがわかる。また幸之助は、「順応同化の精神」について、次のように解説している。「順応同化の精神は、大いなる誠であると私は思う。ほうようすべてを抱擁し、大いなる正しき動きに忠誠の誠をささげるの心である。大いなる誠に従うすなおな心力の現われは、いわゆる神に従う心である。神を信じ、神に従う心はすなわち順応同化の精神であると解すべきである。己れをむなしうして大いなる力を立てる精神である」（『私の行き方考え方』324～325ページ）。この中で、「大いなる誠」「大いなる正しき動き」「神」「大いなる力」という語を用いており、その頃には幸之助が何らかの宗教的世界観を有していたのではないかとも感じられる表現だ。むろん、幸之助が「松下電器の真の使命」を自覚するきっかけとなった天理教の影響も多少はあるのかもしれない。それに加えて筆者の私見では、大正期から昭和期初めにかけて精力的にモラロジー（道徳科学）を提唱した廣池千九郎の影響が、直接あるいは間接にあったのではないかと推測する。その理由は、①モラロジー研究所（当時）の藤井大拙氏によれば「順応同化」とは廣池に特有の表現である、②廣池も「天地自然の法則」「神意」を強調した、③1931（昭和6）年9月に大阪毎日新聞社講堂でモラロジー大講演会が開かれ多くの実業家を集めた（あるいは翌32年3月の大阪第1回モラロジー講習会）、④幸之助はモラロジーの話を聞いたことがある（時期は不明）――の4点にある。なお、①については、廣池の大著『道徳科学の論文』（道徳科学研究所）に、「順応同化」という表現の由来が書いてある（第二巻第六章）。「順応」は進化論や社会学で用いられる“adaptation”、「同化」は生理学の用語である“assimilation”。そして、この二つの作用の究極の（最高道徳における）かたちが「絶対服従」であるという。同書の別の箇所（第一巻第十四章第七項第八節）には、「自我を没却して、神の心に同化し、自然の法則に絶対的に服従する」と記されており、「己れをむなしうして大いなる力を立てる精神である」という幸之助の考え方に相通じるところがある。廣池の思想は実業界に一定の影響を与えたとされるが、学者である廣池の著作の内容は必ずしも容易でなく、幸之助がそれを読んだ可能性はあまり考えられない。廣池に関する情報を得たとするならば、講演会等で話を聞いたか、間接的に彼の思想を知ったことによるだろう。見えざる大きな力の存在を感じていた幸之助は、廣池の考え方がすっと頭に入ってきて、「自然の摂理に順応同化する」といった表現で言語化できたのかもしれない。いずれにせよ、1937年に「順応同化の精神」を松下電器の遵奉すべき精神に加えたときまでには、幸之助にとって、大いなる力としての「自然の理法」が経営を進めていくうえで重要な概念となっていたことは明白である。創業当時、23歳頃の松下幸之助L［実践］理念経営Labo2022SUMMER41

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経営マインド探訪革新をもたらす苦悩のプロセス大平浩二（明治学院大学名誉教授、新潟産業大学特任教授）岐路に立つ現代の企業経営。日本経済を導いた経営者たちの考え方をひも解き、今に求められる指針を見出す前回は、私たちがあまりにも「見えるもの」（企業経営に対する行きすぎた数値化による評価）を求めすぎてはいないか、と書いた。渋沢栄一や松下幸之助などの偉大な経済人や経営者は、企業経営における合理的な思考だけでなく、さらにそれを超えた世界を見る目も兼ね備え、企業経営を成功に導いたのである。今回は、そのような合理的な側面を超えたアイデア（思想や理念も含む）の発見、着想の過程について、もう少し掘り下げたい。斬新なアイデアで世界観が変わる新しいアイデアを思いつくことによって、そこに革新が生まれる。つまり、それまで見えていなかった世界が、“突然”見えるようになる。あるいは、これまでの世界が別の見え方をするようになる。松下幸之助でいえば、創業してまもない頃に町中で偶然目にした光景から生産者の使命すなわち、有名な「水道哲学」についての着想を得たという逸話がある。夏の暑い日に、とが通りがかった人が誰に咎められるこのどともなく道端の水道で喉を潤していた。それは水道の水が安価で無尽蔵に供給されるからで、自分のつくる電気製品も安価で良いものを世の中に広く提供しようと考える契機となったという。素晴らしいアイデアを思いつくことが、それ以降の人生を大きく変える例は、企業経営に限らず、どの分野でもある。ノーベル賞受賞につながる仮説の発見などは、その好例だ。だから誰しもが、世間をアッと言わせるような斬新なアイデアを探し求める。だいぶ前の話であるが、アメリカのチャールズ・サンダース・パース（Peirce,C.S.:1839－1914）という哲学者が、「アブダクション」という概念を使ってこの問題を説明しようとしたことがある。日本のマーケティング関係者のあいだでも取り上げられたことがあったので、ご存じの方もおられるかも知れない。しかし、この概念では、そうは簡単に問屋が卸さなかったようである。ネガティブ・ケイパビリティとの奇跡的な出会い斬新なアイデアで世界観が変わる。このプロセスにかかわる重要な概念が、前回に少し紹介したジョ1821）の「ネガティブ・ケイパビリティ」（不確実なものや未解決のものを受容する能力）である。私がこれに出合ったのは、精神科ははきぎほうせい医で作家でもある帚木蓬生氏の『ネガティブ・ケイパビリティ答えの出ない事態に耐える力』（朝日新聞出版）という著書だった。この言葉は、実は世の中にほとんど知られていない。文学ないしは精神分析由来の用語で、精神分析を専門とする親しい同僚に聞いてみても知らなかったくらいである。ン・キーツ（Keats,John:1795－この概念を生み出したジョン・キーツは、今から200年ほど前のイギリスの詩人で、駆け出しの精神科医でもあった。26歳の若さで亡くなったので、精神科医としても、また詩人としても、それほど業績を残したわけでもない。どちらかと言えば、詩人としてのほうが知られているようだ。しかも、キーツがこの言葉を使ったのは、1817年に弟に宛てて綴つづった手紙の中でのたった1回だけ。彼の死後150年ほど経って、イギリスの精神分析学者・精神科医のウィルフレッド・ビオン（Bion,W.R.:1897－1979）によってそれが奇跡的に発見され、改めて評価されることとなった。苦悩のプロセスから生まれる「発見」キーツの心にこの概念が浮かんだのは、シェイクスピアの創作の過程を想像したことによるという。キーツ自身の定義に従えば、「消極的応力……つまり不確実さとか不可解さとか疑惑の中にあっても、事実や理由を求めていらいらすることが少しもなくていられる状態42［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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経営マインド探訪のこと」かである。帚木氏がもう少し噛み砕いた説明をされているので、そちらも載せておく。「不可解さに性急に結論を与えず、神秘さと不可思議さに身を浸しつつ、宙ぶらりんを耐え抜く力」私が重要であると思うのは、これに続く帚木氏のビオンについての指摘である。「ビオンという単に医師・精神分析医だけにとどまらず、歴史や哲学、文学を修めた教養人であったからこそ、キーツの吐いた言葉に目をとめ、精神医学の分野で蘇生させたのだと思われます。私はここに何か人智を超えた力が働いているように感じるのです」（前掲書60ページ）文学や芸術に限らず、企業経営においても、アイデアや発想の源は、広い経験と掘り下げた知識（広い意味での教養）に由来する「研ぎ澄まされた感性」にあると思う。この意味においてビオンによる発見はまったくの偶然・奇跡ではなかった。たとえば小説に親しんだり絵画を鑑賞した経験や知識が要因となり、後年になってその人の「発見」への道筋を形成するのである。それらの要因が「発見」への何らかの契機になっていることは間違いないのだが、誰もその関連を具体的（実証的）に示すことができない。なぜなら、「発見」はその人の全人格的なエッセンスが発酵した末に湧き出るものだからだ。そこには苦悩と、努力によってそれを克服するプロセスが内在しているのである。数字の背後にあるものに目を向けるこの苦しみのプロセスに思い至ることによって、もう1つの気づきが生まれると思われる。医師であったビオンは、若い医師が教科書だけを頼りにして、目の前の患者への直接の対応をおろそかにしていることへきぐの危惧を示している。これに関してビオンは、患者に対する「共感」が大切だ、と言っている。もう随分前の話であるが、「最近の若い医者は聴診器を使って診断しないため、使えなくなってしまった」と聞いたことがある。つまり、自分の五感、さらには第六感を用いて直接患者を診ることができなくなったという趣旨だったと思う。患者を診るのが、検査結果というデータだけになってしまったわけである。患者という“人間”を診る。その意味で、科学的なデータを得たことが本当にどこまで「進歩」といえるのかを考えさせる話であった。患者の病気の背後には、その“人間”が持つ様々な要因が隠されているに違いないからである。現実の背後にある「見えないものを見る能力」が、今の私たちには段々と衰えてきているように感じられてならない。企業経営においても、単に表面上の数値だけで会社を評価することにつながっているように思える。経営者が思いを形にしようと苦悩したそのプロセスに、もっと目を向けるべきではないだろうか。建設的な“ネガティブ”で「次の手」を発想するネガティブ・ケイパビリティは間違いなく、経営者が日常の経営活動の中で苦悩し、必死に「次の手」を思いつこうとするプロセスにおいても通用するだろう。ただ、ここで1つ留意しておきたいのは、ネガティブ・ケイパビリティを考える際に、“ネガティブ”という否定的な部分だけにとらわれてはいけないということである。この“ネガティブ”は、「その先に何かがある」「何かに到達できる」「まだポジティブにはなっていないが、これから発現する」という、建設的な意味での“ネガティブ”なのである。その考え方にもとづけば、相手（市場・顧客・社員）を自分との二項対立関係としてとらえるのではなく、「共感」関係としてとらえる見方が生まれる。「顧客満足」という言葉にしても、一般的には「顧客を満足させる」という意味合いで考えられているが、そうではなく、「顧客とともに、共感できるものをつくる」ととらえるのが本当ではないか。企業で働く社員一人ひとりも、また別の場面では顧客であるはずだから。ときには自分の“我”や“欲望”から離れることによって、経営の幅と深みが生まれ、そこに理念や哲学も生まれてくるのではないだろうか。おおひら・こうじ大平氏の最新刊『見えないものを見る力』1951年生まれ。明治学院大学経済学部専任講師、助教授、教授を経て、現在名誉教授。ケルン大学客員教授（1991〜92年）、2021年より新潟産業大学特任教授を務める。専攻は経営学説史、経営組織論。経営哲学学会会長、日本経営学会理事等を歴任。L2022年、PHP研究所刊定価：1,760円（10％税込）［実践］理念経営Labo2022SUMMER43

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プロ・ファシリテーターが斬る!!組織づくり・人づくりのヒント「指導」と「育成」―人づくりの本質を考えるPHP研究所人材開発企画部長的場正晃PHPでの長年の現場経験をもとに、組織や人材開発に役立つ情報をわかりやすく解説企業は人なり。ニューノーマルの時代に、最も大切な経営資源である人の能力をいかにして開発していくかが、企業を成長軌道に乗せるための重要成功要因（KFS：KeyFactorforSuccess）であるという議論が盛んになってきました。能力開発に関する用語は多様ですが、本稿では「指導」と「育成」の意味の違いに焦点を当てながら、人づくりの本質について考えてみたいと思います。仕事力を授ける「指導」部下指導、指導員、個別指導、指導要綱、指導者等々、「指導」ということばはビジネスシーンだけでなく、学校教育の現場や日常生活においてもなじみのあることばとして多用されています。しかし、そのことばの本質的な意味を理解して使っている人はどれくらいいるでしょうか。指導とは、「ある目的・方向に向かって教え導くこと」（デジタル大辞泉）と定義づけられていますが、より具体的には、・良くない物事をしないように注意すること・技術や知識などを身につけさせること・任務や指示などを伝えることなどの行為を指しています。これら、具体的な行為を見てわかるように、指導とは目先の業務遂行に必要な考え方や行動する力（≒仕事力）を授けることであり、短期的な視点の人づくりといえるでしょう。人間力を育む「育成」一方、人材育成、育成制度、育成枠、新規事業育成等々、指導と同じようによく使われる「育成」という概念にはどのような定義が当てはめられているのでしょうか。育成の定義は、「育て上げること。育ててりっぱにすること」（デジタル大辞泉）であり、その具体的な行為とは、・発展を助ける、または成長を助けること・人の心を育む、または礼儀を身につけるための訓練と教育を通じて社会化すること・人を社会に受け入れられる一員として育てることなどとされています。すなわち、育成に観察は組織人、社会人に求められる力（≒人間力）を育むという意味合いが包含されていて、中・長期的な視点での取り組みが必要とされるものなのです。指導はしているけれど、育成はしていない？ここまで指導と育成の違いについて考えてきましたが、そのねらいは、定義の違いに焦点を当て、ことば遊びをすることではありません。両者の目的の違いを明確にしたうえで、部下を持つすべての上司の方に「指導と育成の両方ができているか」を振り返っていただきたいのです。管理職研修などで、人づくりに関して議論をすると、指導に関しては人材育成における３つの視点傾聴やれること（能力）やりたいこと（欲求）やるべきこと（義務・役割）説明44［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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組織づくり・人づくりのヒント「できている」と答える受講者がたくさんいらっしゃいます。ところが、育成に関しては「できていない」「難しい」「自信がない」といった意見が大半を占め、なかには「そういう発想がなかった」という率直な感想を述べる方もいます。つまり、部下を指導はしているけれど、育成はしていない上司が多数存在するというのが企業の現場の実態なのです。育成に関しては、「部下がいつまでこの会社にいるかわからないので長期的な支援がしにくい」という意見があります。確かに、最近の若手社員は転職志向が強いので、定年まで同じ会社で勤め上げる人はわずかでしょう。でも、彼ら・彼女たちの転職行動を左右する要素に、「成長できる職場かどうか」という判断があると言われています。「上司が指導だけでなく、育成の観点からも自分の成長を支援してくれている」という感覚を持たせられれば、若手社員の早期離職をある程度、防止することができるでしょう。育成には、厳しさと上司の覚悟が求められる育成と言っても、特別に難しく考える必要はありません。大切なのは、コミュニケーションの量と質を上げ、対話を重ねることです。キャリア発達理論の領域では、すべての人には、｢やりたいこと｣｢やれること｣「やるべきこと」があるとされています。部下の育成のけいちょうために上司は、｢傾聴｣によって本人の「やりたいこと」（欲求）を把握し、｢観察｣によって｢やれること｣（能力）を見極め、｢説明｣によって「やるべきこと」（義務・役割）を理解させる必要があります。そして、3つの円の重なりが大きくなっていくことが本人の成長であり、それを支援するのが育成なのです。ただし、ここで留意しておかなければいけないのは、「やりたいこと」「やれること」に意識を向けすぎてしまうと「やるべきこと」がおろそかになりがちなので、3つのバランスを重視するということです。「やるべきこと」の中には、本人がやりたくないことや、現状ではやれないこともあるでしょう。でも、上司がそのことに妥協せず、強い意志でやるべきことをやり続けさせなければいけません。やり続ける過程で、その仕事の面白さが見えてきたり、やれる能力が身につくようになって成長が促進されるのです。優しくて物分かりのいい上司のもとでは、ゆるい雰囲気が醸成され、部下は成長することができません。大切な人材を育成するためには、愛情に裏打ちされた厳しさを持つことです。職場の人材育成機能が低下していると指摘される今、すべての上司にその覚悟と気概が求められているのではないでしょうか。＊PHP研究所では、よりよき人材を育成するための各種マネジメント研修を提供しています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。まとば・まさあき1990年、（株）PHP研究所に入社し、研修局に配属される。以後、一貫して、PHPゼミナールの普及、および研修プログラムの開発に取り組む。2001年から2003年まで神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得する。中小企業診断士。著作に『“強い現場をつくるリーダー”になるための5つの原則』（PHP通信ゼミナール）。LPHPゼミナール課長研修マネジメント革新コース「与える」マネジメントから「引き出す」マネジメントへ本セミナーの特徴課長職（ミドルマネジメント・中級）管理職を対象とした公開型セミナー。「与える」から「引き出す」へ、マネジメントを革新します。新任課長の昇格時研修、既任課長のフォロー研修に好評です。研修のねらい部下と組織の力を「引き出す」マネジメントの3つの条件①他を頼るのではなく自らの責任で課題を達成しようとする「使命感」②部下や周りの人材の意見に耳を傾ける「素直な心」③部下の可能性を信じる「人間観」対象受講料定員期間肯定的な人間観使命感を共有し、素直な心で衆知（多くの意見・考え方）を集め、肯定的な人間観で人を見ることが「引き出す」マネジメントの要諦です。実施要項総学習時間課長職の方々※一つのまとまった組織を運営し、組織としての成果を最大化することが求められている方々77,000円（税込）※1資料代［集合研修は昼食代］含む※2「社員研修VA+」会員は10％割引集合研修：18名オンライン開催：25名※1開催1社5名まで2日間詳しくはウェブサイトをご覧ください引き出すマネジメント使命感14.5時間素直な心［実践］理念経営Labo2022SUMMER45

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BOOKS〈知をひらく〉～経営の着眼点～従業員の連携で甦った最高のおもてなし志賀内泰弘『No.1トヨタの心づかいレクサス星が丘の流儀』2022年、ＰＨＰ研究所刊定価：1,650円（10％税込）ＰＨＰ理念経営研究センター研究員来いかに大をなすとも常に「将一商人たるの観念を忘れず」とは、パナソニック創業者・松下幸之助が、社員に心がけるべきこととして基本内規に記した文言だ。松下電器が世界に冠たる大会社になろうとも、商売人としての本分は変わることなく、お客様への役立ちにあると明言している。この“一商人”の心がまえを持って、目覚ましい成果を上げているカーディーラーがある。トヨタ自動車の高級車レクサスを専門に扱う「レクサス星が丘」だ。コロナ禍で多くの接客業が大打撃を受ける中、従業員一人ひとりがイキイキと最高のおもてなしを提供し続け、販売とCS（顧客満足度）は業界トップクラスを誇っている。本書は、今から8年前に発刊された『No.1トヨタのおもてなしレクサス星が丘の奇跡』（ＰＨＰ研究所）に続く2作目だ。前作は様々なマスメディアに取り上げられて話題となり、日本全国、いや世界からも、そのおもてなし精神を一目見ようと多くの人が押しかけてきたほどあざなごとだ。しかし、「禍福は糾える縄の如し」、新規のお客様が集中したことに対応しきれず、「駐車場がいっぱいで入れない」「点検の予約の希望ひんが通らない」など、クレームが頻ぱつ発。長年かけて築き上げた信頼が損なわれる事態を招いた。レクサス星が丘はこのどん底から時政和輝いかにして復活を成し遂げたのか。しがないやすひろ本書はその過程を作家の志賀内泰弘氏が丹念なインタビュー調査をもとに描き出している。危機を克服するためにまず考えられたのは、「創業の精神」に立ち返ることだ。レクサス星が丘を運営するトヨタモビリティ東名古屋株式会みねし社の山口峰伺社長は、100ページにもわたって理念とその事例が記された「レクサス星が丘WAY」をもとに、みずからが講師と進行役となって「フィロソフィー研修」を実施した。理念の再確認はもちろんのこと、どう実践したらお客様に喜んでいただけたかについても、全従業員で共有した。研修を始めた頃は、意に適うような発表がなく、焦りといら立ちが募ったと山口社長は漏らす。しかし、基本を疎かにせず、「時間をかける」「すぐに効果を求めない」を信条に、地道に研修を重ねていく。理念の理解だけにとどまらず、一緒に働く仲間の姿勢から学び合ったことで、従業員が互いに尊敬の念を深め、よりよいサービスを目指して刺激し合うことができた。経験の浅い従業員も、先輩の後ろ姿を真似して行動に移せるようになっていく。そして、お客様へ対応が十分にできなかったときは他の人がどうフォローできたのか確認するうちに、徐々にクレームの数は減っていった。理念は言葉で伝える以上に、行動によって人から人へ伝わっていく。そんなエピソードがたくさん描かれている。特に印象に残っているのは、警備さかえ員の栄さんの話だ。栄さんは極度のコミュニケーション下手だったのだが、お店の前を通るすべてのレクサスのオーナーに丁寧なお辞儀をしている先輩警備員の姿を間近で見るうちに感化され、お客様の気持ちを先回りして声かけができるほどに働きぶりが変わっていった。松下幸之助は「一人の目覚めは全員の目覚めに通ずる」といい、人の大きな可能性を信じていた。レクサス星が丘は、「フィロソフィー研修」を通して一人ひとりの持っている本来の力を見事に花開かせることができた。接客する人だけでなく、バックヤードにいる全従業員がお客様のことを第一に考えて連携し合うからこそ、「そこまでやってくれるのか」と感動させるほどのおもてなしが提供できているのだ。お客様の要望が多様化し、サービスのあり方にこれが正解というマニュアルはない。目の前のお客様に対して、どう役立つことができるのか、喜んでいただけるのか、日々向き合うところに、商売の原点があることを気づかせてくれる一冊だ。L46［実践］理念経営Labo2022SUMMER

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松下幸之助肉声講話＋PHP理念経営研究センタースタッフ解説PHP研究所公式チャンネルにて好評配信中！……ほか多数ご視聴＆チャンネル登録はこちらから→2022SUMMER7-9（Vol.2）2022年7月27日発行発行人渡邊祐介編集主幹川上恒雄編集長佐々木賢治発行所PHP理念経営研究センター［編集スタッフ］〒601-8411京都市南区西九条北ノ内町11番地TEL075-681-9166メールkenkyu1@php.co.jpURLhttps://www.php-management.com/長尾梓／時政和輝／桐本真理［編集・普及協力］的場正晃／石田賢司／川浪光治／関大智／野崎竜也メルマガ登録受付中『［実践］理念経営Labo』に関する最新情報をお届けします（無料）。ご希望の方はこちらのウェブサイトよりメールアドレスをご登録ください。↓［デザイン／制作］朝日メディアインターナショナル株式会社©PHPInstitute,Inc.2022Allrightsreserved

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★松下幸之助の経営哲学がボードゲームに！チームを今よりも前に進めるために必要となるものが見えてくる2022年8月発売予定定価：33,000円（10％税込）成果を出すためのリーダーシップチーム力を高めるコミュニケーション自分の個性、他人の個性を理解すること状況に合わせた判断力や対応力大局的思考「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」は、松下電器（現パナソニック）を一代で世界企業へと築き上げた松下幸之助の「経営哲学」、なかでも「自主責任経営の実践」を楽しみながら体験できるゲームです。個々の自己成長を加速させ、人のつながりを深めて強いチーム（現場）をつくることを目的としています。プレイ時間：60～120分プレイ人数：3～6人対象年齢：12歳以上2022SUMMER7-9（Vol.2）2022年7月27日発行ＰＨＰ理念経営研究センタークラウドファンディング開始10分で目標金額達成!!

