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# Vol.01『[実践] 理念経営Labo』（2022 SPRING 4-6）

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人と組織の可能性を発見する研究誌理念経営実践2022SPRING4-6Vol.1Labo［特集］理念浸透のしかけオフィスが理念浸透のツールに!?Legaseed代表取締役CEO近藤悦康理念浸透を図るカギは「四重人格」の理解にあり変人（かわりびと）小堀健一新たなツールとしてボードゲームを開発ボードゲームソムリエ、ボードゲームデザイナー松永直樹［アントレプレナーの最前線―時代をつくる旗手たち］マグチグループ取締役COO川田宏行

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『［実践］理念経営Labo』刊行にあたって現代の企業や組織において、経営理念を経営の軸に据えることの重要性はますます高まっています。一つには、資本主義社会のあり方が問い直され、企業の果たすべき責任がよりいっそう重視されつつあることが挙げられます。たとえば、行きすぎた株主重視の反省から、企業には社会的な課題解決が一段と強く求められるようになりました。ESG（環境、社会、ガバナンス）投資やSDGs（持続可能な開発目標）への関心の高まりからも、その傾向は明らかです。また、従来の経営理念に加えて新たに「パーパス」（存在意義）を掲げる企業も数多く出てきました。一方で、政府による働き方改革の推進、雇用慣行の変化、特に最近は新型コロナ感染症拡大をきっかけとしたリモートワーク導入促進の流れの中で、働く人々の価値観においても多様化が進み、組織を統合するための経営理念の役割も見直されています。私どもPHP理念経営研究センターは、複雑化する環境においても企業や組織が活力を持って高品質な商品やサービスを創出し、持続的な発展を遂げてゆくために、新たな理念経営のあり方を追求することを年に設立いたしました。この使命はパナソニックグループ創業者で弊社PHP研究所創設者でもある松下幸之助の「思い」から発しています。松下は、昭和7（1932）年5月5日、「人々の日常生活の必需品を充実豊富にして、その生こんしん活内容を改善拡充する。松下電器製作所はこの使命の達成を究極の目的とし、今後一層渾身の力を振るまいしんい、一路邁進せんことを期す」という趣旨の自社の「真使命」を宣言し、パナソニックグループを世界へと飛翔させました。また終戦後の世の乱れ、人心の荒廃を思い知らされたところから、「繁栄を通じて、平和と幸福を実現する」（PeaceandHappinessthroughProsperity）との思いに立ち、昭和21（1946）年11月3日にPHP研究所を設立いたしました。「初めに思いありき」の言葉通り、松下のいずれの事業活動もすべて「思い」を原点とした理念経営にほかなりません。こうした考えに立ち、PHP理念経営研究センターの情報発信の場として『［実践］理念経営Labo』をこのたび刊行いたします。誌名に「Labo」（ラボ）とつけたのは、本誌を生きた「理念経営の研究室」とし、より先端的な課題への取り組みに挑みたいとの思いがあってのことです。理念経営に挑戦している経営の現場を現代的見地にもとづいて取材し、理念実践の新たな指針を創出することを目指して誌面づくりに尽力していきたいと考えています。読者の皆様には、ぜひとも「Labo」の共同研究者として情報、ご感想を賜り、明日の「理念経営」のあり方に一石を投じるべくご支援、ご指導をお願いいたしたく存じます。2022年4月PHP理念経営研究センター代表渡邊祐介

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Contents──2022SPRING4-6（Vol.1）【Opinion】理念経営の新たな地平をいかにして切り拓くか企業力を高め、正しい経営を実現するための「これからの課題」PHP理念経営研究センター代表渡邊祐介4特集理念浸透のしかけ【Interview】オフィスが理念浸透のツールに!?お客様に会社の価値観を伝え、社員もイキイキとさせるしかけ【Interview】理念浸透を図るカギは「四重人格」の理解にあり成果や結果を「結ぶ」ために、互いを「ひも解く」【Report】新たなツールとしてボードゲームを開発「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」で主体性とチームワークを引き出す松下幸之助経営塾Legaseed代表取締役CEO近藤悦康変人（かわりびと）小堀健一ボードゲームソムリエ、ボードゲームデザイナー松永直樹101418【松下幸之助経営塾スタッフ放談】講師とファシリテーターが語る経営塾の魅力と展望【塾生通信】日に新た2226Series【アントレプレナーの最前線―時代をつくる旗手たち】パーパスを軸としたスピードが成功を生むつながりで挑む起業家支援【松下幸之助の経営哲学】「悲運」の少年松下、「強運」の青年松下なぜ「自然の理法」に従うべきなのか①【「素直な心」研究会】「素直な心」を現代的に再解釈マインドフルネスを手掛かりに【経営マインド探訪】日本の企業経営に忍び寄る危機【プロ・ファシリテーターが斬る!!組織づくり・人づくりのヒント】“Why”が人のやる気を駆り立てる【BOOKS〈知をひらく〉～経営の着眼点～】デジタル破壊の先を見据えて今立ち戻りたい日本独自の商業倫理マグチグループ取締役COO川田宏行PHP理念経営研究センター首席研究員川上恒雄明治学院大学名誉教授、新潟産業大学特任教授大平浩二PHP研究所人材開発企画部長的場正晃老舗ジャーナリスト前川洋一郎283236384042

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Opinion理念経営の新たな地平をいかにして切り拓くか企業力を高め、正しい経営を実現するための「これからの課題」PHP理念経営研究センター代表渡邊祐介本誌『［実践］理念経営Labo』のメインテーマは、「理念経営をいかに実現していくか」である。それをどのような考えにもとづいて追究していくか。そして、理念経営のこれからの課題とは何か。PHP理念経営研究センター代表が研究の「新たな地平」を切り拓くための主要点を論じる。理念経営の意義への「気づき」を得られるかＰＨＰ理念経営研究センターでは、「理念経営」を「経営理念にもとづく経営」あるいは「経営理念の実現を追求する経営」と考えている。経営理念とは、「この会社は何のために存在しているのか」「どのような目的で経営を行なっていくのか」という、経営を行なっていくうえでの基本的な考え方のことである。その考えをしっかりと持って社内外に宣言し、実現に向けて取り組むことで、社員のやる気や幸福感が高まり、社会にも貢献をもたらすことが期待される。それゆえ、企業はみな経営理念をもとにその実現を目指して事業展開を図ることが望ましいと考えている。このような考え方に対して、「経営理念で飯が食えるか」と言う経営者もいるかもしれない。経営理念は建前きれいごともうの綺麗事にすぎず、企業はとにかく儲ければいいのだという価値観に立つなら、そうとも考えられる。しかし、たんらくそれは短絡的で一面的なものの見方・考え方だといえる。たとえば、優れた経営理念は企業のブランド力を支える基盤になる。また、経営の健全性を高め、不祥事発生の抑止力をもたらす。そして何より、「人づくり」に果たす効果は大である。人材育成や社内風土づくりは言うまでもないが、近年は採用においてもどのような経営理念を掲げているかによって、応募してくる人材の質が大きく違ってくる傾向にある。と、このように経営理念には様々な効用が期待されうる。経営理念はいうなれば、「企業力」を高めて正しい4［実践］理念経営Labo2022SPRING

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理念経営の新たな地平をいかにして切り拓くか経営へと導いてくれる強力なベクトルであり、原動力なのである。経営に携わる者にとってそれがどれほど大きな存在かということは、実際にみずから経験する中で感得していくものではあるが、実践者の経験からも少しはうかがい知れるだろう。パナソニックグループ創業者・松下幸之助は、経営のようてい要諦を凝集した著書『実践経営哲学』（PHP研究所）で真っ先に「経営理念を確立すること」を挙げているように、理念経営を追求した経営者として知られている。独立当初は確たる経営理念を持っていなかったが、創業15年目のときに訪問した天理教本部で嬉々として建設作業に取り組む信徒たちの姿に感銘を受け、「産業人のせんめい使命」を闡明した。それ以降の松下電器について、松下は自伝『私の行き方考え方』（PHP研究所）で、「松下電器の伸びゆく姿が鉄路を走る列車の正確さをもって進行していくほどの確実さをひしひしと感じ」と記している。また、松下の考え方に影響を受けた経営者としてよく知られているのが、京セラ創業者の稲盛和夫氏である。稲盛氏も最初は自分の技術を世の中に問いたいとの思いから独立したが、創業3年目のときに社員との団体交渉をきっかけに経営理念に目覚めた。三日三晩の交渉の末に危機を切り抜けた経験から、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」という経営理念を定めるに至った。以降、「京セラは技術を世に問うことを目指した会社から、全従業員の幸福を目指す会社へと生まれ変わり、会社経営の確固たる基盤を据えることができた」という（京セラHPより）。このように理念経営を実践したことで有名な経営者でも、最初は必ずしも自覚的ではなかった。しかし、経営体験のどこかの段階で理念経営についての「気づき」をまいしん得て、その実践に邁進したことがうかがえる。「気づき」のきっかけとなる事柄はそれぞれの経営者で異なってくるであろうが、それを得るための一助となるコンテンツを今後弊誌において提供していきたいと考えている。まずは経営理念の確立からでは、理念経営をどのように実践していけばよいのだろうか。それにあたっての主なポイントをみていきたい。オーソドックスな問題も当然含まれるが、新しい課題としてこれから取り組むべきものにもいくつか論及しておこう。まずは、やはり経営理念の確立についてである。経営学の世界では、経営理念の歴史や定義に関する先行研究は決して少なくない。しかし、経営理念の内容、すなわち「どのような経営理念が望ましいのか」についての研究はあまりみかけない。学術研究としてはそれほど重要ではないのかもしれないが、経営の現場からすれば、極めて重要なテーマである。経営理念の確立にあたって大切なのは、自社にふさわしい内容・体系を整備することだ。したがって、自社オリジナルの文言を追求することが重要だといえる。筆者は特に、よい経営理念には「社会に貢献する高い志、よりよい社会へと導く価値観」が表現されていると考える。「エクセレントカンパニー」といわれる企業には内容的にも優れた経営理念が確立されており、大いに参考になるだろう。その代表例としてジョンソン・エンド・ジョンソンの「我が信条」はよく知られている。最近の例でいえば、ファーストリテイリングの「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という経営理念は事業の意義・社会への貢献を一文で力強く表現しており、文言としても優れていると思う。文言を洗練させていくことは極めて重要なことである。ただ、優れた経営理念を確立すれば、それで理念経営ができるかというと、そう簡単な話ではない。実は、理念経営の真価が問われるのはそれからである。第一に、経営理念を社員にどのようにして伝え、社内への浸透を図るか。もちろん、経営者はじめ経営幹部は組織一体となって、その意義を繰り返し述べるだろう。従来ではそのために朝会での経営理念の唱和や集合研修などが行なわれてきた。しかし、現在のようなリモートワークが導入された状［実践］理念経営Labo2022SPRING5

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況になってもなお、従来通りのやり方だけで事足りるものだろうか。これには会社それぞれの文化や地域性、各業界での働き方に応じて、新たな方法や仕組みが必要となってくるものと思われる。経営理念の機能不全という課題それ以上に本質的な課題は、「経営理念の機能不全」である。どんなに優れた経営理念を確立していようと、成熟した企業の内部では経営理念が次第に機能不全へとおちい陥っていくリスクが存在する。それにはいくつかの要因が考えられ、それらが複合的になっていることもある。よくあるケースは、経営理念の意義が強調される以上に、売上達成や利益追求が重視されているというもの。それはやがて不祥事の温床を生むことにつながる。つまり、経営理念に拠れば善悪の是非が明確に選択できるはずなのに、厳しいノルマや競争にさらされているうちに、善悪の判断よりも売上や利益をあげることが優先されていくのである。かつて名門食品企業で起こった賞味期限の改ざんや原材料の不当表示、また有名料亭における客への食べ残し食材の再提供といった不祥事は、その代表例だった。現実社会の人や組織には、「非合理な善」より「不健全な合理性」を選択してしまうという弱さがあるのも事実だろう。経営理念の呼称と階層の例階層呼称単層型2階層型3階層型企業理念基本理念—宣言経営理念—行動指針スローガン―理念基本理念—社是—運営方針目指す姿—宣言—社是スピリッツ―ブランドステートメント―ミッション4階層型理念—Way—行動規範—ビジョン他にも、複数の理念が階層を持った体系として存在することなどから、「理念の混乱」が起こるケースもある。帝塚山大学教授の田中雅子氏は、階層のある経営理念の例を左下の図表のように示している。階層型の経営理念には上位と下位の区別がわかりやすいという長所がある半面、田中氏の執筆した『経営理念浸透のメカニズム』（中央経済社、P15～16）によれば、以下のような問題も生じる可能性があるという。①盛り込まれるキーワードの数や表現が、階層を成すほどに増えていき、記憶することすらむずかしい。そのため、すべてをたやすく実行に移すことができない。②どの層を理念ととらえるかが各人にとって異なる。ベクトルを合わすはずの理念が、共通認識とならず、ずれが生じる。③階層ごとに理解と実践が求められることになるが、たとえば行動指針は理解できるが、経営理念の３つ目の文言は実践できているかどうかわからないというように、階層間に混乱が生じる。このように経営理念が重層化している場合は、認識のずれが生じやすい。思い当たることも多いのではないだろうか。田中雅子著『経営理念浸透のメカニズム』（中央経済社）P15の図表1-3をもとに作成階層の問題は経営理念の側に限ったものではなく、逆に組織の側に起因する場合もある。つまり、会社全体のみならず各本部や部・課といった階層ごとに経営理念が設定されるようなケースである。各組織独自の経営理念をつくるという考え方にもとづいてのことだろうが、それが行きすぎた結果、会社のそこら中に経営理念が溢れ返り、整合性が取れなくなるという話もしばしば聞かれる。「どのような目的で経営を行なっていくのか」を指し示すはずの経営理念が、逆に社員に進むべき方6［実践］理念経営Labo2022SPRING

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理念経営の新たな地平をいかにして切り拓くか向性をわからなくさせてしまうとなれば、それは本末転倒であろう。こうした問題は、理念を浸透させようと過剰に意識していることが原因なのではないだろうか。その状態が続けば、いずれ“理念疲れ”につながると思われる。これは筆者の造語だが、どんなに立派な経営理念があってもじゅんしゅその遵守がやたらと叫ばれることが常態化すれば、やがて社員たちは経営理念に対して「食傷気味」になってしまうということを指している。たとえば、極めて崇高な社会的使命を理念に掲げている場合。それはそれで素晴らしいことではあるが、理念があまりにも現実とかけ離れていて、どれほど実践に取り組んでもまったくその成果が見えてこないということであれば、経営理念に対する意識の低下につながる。そしれでもなお、実践のために社員に過度な労働を強いるようなら、心身ともに大きなストレスを与えてしまうだろう。社会のあり方の変化に応じて柔軟な見直しも経営者の側に立てば社員に使命感を感じさせることは大変重要であるが、社会のあり方の変化に応じて「真に追求すべきものは何か」をもう一度よく考える必要がある。たとえば、最近のテーマで、「顧客満足（CS）」と「従業員満足（ES）」のどちらが大切かという議論がある。「お客様は神様です」といったフレーズがかつてよく言われたように、顧客志向の考え方が常にビジネスの底流にあるのは間違いないものの、それが何よりも優先されるべきものなのか、よくよく考えてみる必要があるだろう。その点について、滋賀ダイハツ会長・後藤敬一氏からうかがった考え方が参考になる。滋賀ダイハツには「五こう幸」という経営理念があり、①「お客様の幸せ」、②「お取引店様の幸せ」、③「ダイハツグループの幸せ」、④「地域の人々の幸せ」、⑤「社員の幸せ」を追求することとしていた。後藤氏は最初この順序を信じて疑わなかったが、あるとき、「お客様は必ずしも滋賀ダイハツごで商品を買わなくても、他社の商品を買えば幸せになれる」ということに思い至った。そうであれば、これからはやはり「社員の幸せ」を第一にしなければならない。社員が幸せでなければ、お客様を幸せにすることはできない、という考えに改めたのだ。その結果、現在の「五、「お客様の幸せ」が②となって、以下、③「お取引店様の幸せ」、④「ダイハツグループの幸せ」、⑤「地域の人々の幸せ」の順で追求されるかたちになっている。このように社員のために経営理念を変えるということも、理念経営のための手段の一つといえるだろう。働き方が多様化しつつある中で、こうした経営者の柔軟な思考は、よりいっそう不可欠なものになってくると思われる。新たな地平の開拓を目指して最後に、理念経営の実践に向けた今後の研究のアプローチについても少し触れておきたい。従来のように経営理念の内容や理念浸透の方法の見直しを個別に取り上げるにとどまらず、これからは理念経営のあり方をより広く多面的に追究していくことが求められよう。たとえば、経営者においては、そのリーダーシップやパフォーマンスの問題もあるし、経営理念と経営戦略との関わりも重要だ。あるいはものづくり、宣伝の仕方、経理の考え方といった各職能と経営理念との関わりも、理念経営の体系がどんなかたちで実践されるのかを検討するうえでは興味深い。つまり、理念経営実現のための方法は、発想次第でいくらでも見出せるはずだ。いずれの方法であれ、多くのステークホルダーの期待に沿う経営が実現されていれば、よい理念経営が実践できているといえるだろう。本誌では今後、様々な仮説に目を向け、その観点を一つひとつ検証しながら、理念経営の新たな地平を切り拓いていきたい。これから目指す理念経営は、きっと社会全体の生成発展に寄与し、関わるすべての人々の幸福を招来するものであると信じている。L［実践］理念経営Labo2022SPRING7

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［特集］理念浸透のしかけ経営理念を社内組織にどのように浸透させ、実践につなげるか。定番の方法としては、研修のほか、朝礼で理念を唱和する、社歌を歌うなどだろう。だが、働く人の価値観が多様化している今、画一的な方法に終始していては、高い効果は期待できない。「押しつけがましい」と感じられようものなら、逆効果にもなりうる。そこで、今回は理念浸透の新しいかたちを考えてみたい。社員一人ひとりに向き合う研修のフレームワークや、オフィスを丸ごと理念の理解を促すためのツールとしたり、ボードゲームの活用で楽しみつつ学びにつなげるといった新しい理念浸透の「しかけ」を取り上げる。そうした試みによって、社員の中に理念に対する「気づき」が芽生え、実践へとつながる可能性が広がってくるのではないだろうか。

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Interviewオフィスが理念浸透のツールに!?お客様に会社の価値観を伝え、社員もイキイキとさせるしかけ株式会社Legaseed代表取締役CEO近藤悦康こんどう・よしやす＊1979年岡山県生まれ。千葉工業大学大学院（経営工学）修了。2002年、大学院在学中に人材教育コンサルティング会社に入社し、’13年にLegaseedを設立。「はたらくを、しあわせに。」を理念に、500社を超える企業に対して、組織変革のコンサルティングを実施する。創業以来、黒字経営・増収を続ける。株式会社Legaseed本社：東京都港区／創業：2013年／事業内容：コンサルティング事業、アウトソーシング事業、プロダクト事業、メディア事業など新卒採用を主として人材に焦点を当てたコンサルティングサービスを提供する株式会社Legaseed（レガシード）は、昨年に約１万7000人のインターン応募があり、「楽天みん就2021年卒インターン人気企業ランキング」で総合10位に入るなど、学生から絶大な人気を集める。その理由の一つとして注目されるのがテーマパークのような同社のオフィスだ。そこには、経営理念浸透のための様々な工夫が散りばめられている。このようなオフィスづくりの狙いについて、創業者で社長の近藤悦康氏がみずから語る。誌面ではご紹介できなかったこぼれ話をこちらのQRコードから動画でご視聴いただけます。取材・構成：時政和輝写真撮影：山口結子写真提供：Legaseed（P12下の2点）10［実践］理念経営Labo2022SPRING

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特集理念浸透のしかけ言葉と行動を連動させるレガシードの経営理念は「はたらくを、しあわせに。」です。言葉の表面だけをとらえると、自分が働くことを楽しくする、と思われるかもしれませんが、そうではありません。われわれの考える「しあわせ」とは、単に自分がハッピーに仕事をするということではなく、相手のためにできることを一所懸命に考えて感動を与え、その結果、自分もエキサイトすること。それが「しあわせ」な状態だと定義しています。たとえば、外科手術をする場合、ミスは許されませんから、楽しく仕事しようなどとは思わないでしょう。１分１秒が真剣勝負です。それと同じように、私たちの仕事も、持てる力を相手に対して100％費やすことで感動していただく。そこまでできて、初めてやりがいや達成感を感じられます。この一連のプロセスがエキサイティングである、という意味です。経営理念は、会社の存在目的そのものです。理念に魂を入れるには、経営者が自己と向き合い、心の底から湧き上がってきた思いを言葉にしていくことが大切です。よく他社の理念を借りてきて、形式的につくっている企業もありますが、それでは意味がない。生きた理念であればこ経営計画手帳『COMPASS』そ、共感する人が集まってきます。レガシードには、理念やその背景にある思いを共有するツールとして、私自身が書いている経営計画手帳『COMPASS』があります。この手帳には、社員プロフィール一覧から始まって、会社ロゴの意味やミッション・ビジョン、そして長期事業構想や過去の実績の推移、会社の財務情報に至るまで、社員が共有すべき基本事項がすべて記されています。この『COMPASS』は全社員に配付していますし、iPhoneやiPad上でも見ることができます。毎日の朝礼では、『COMPASS』に書かれている理念などを社員が一人ずつ輪読していきます。私が一番大事にしているのがフィロソフィー（行動指針）。お客様にご満足いただき感動を届けるための重要な要素として、10項目を選びました。もちろん、これらを覚えているだけでは行動につながりません。そこで、朝礼の時にフィロソフィーに該当する取り組みを、社員同士で発表し称賛し合います。具体的なエピソードを共有することで、フィロソフィーの行動がイメージできて、実践しやすくなります。また年に１回、フィロソフィーを一番体現した人を社員の投票によって選んで表彰する「レガシードアワード」を開催したり、年に2回『COMPASS』に掲載されている文章の穴埋めや会社の歴史に関するテストを行なったりもしています。「ツアー」体験で理解促進さらに、理念浸透にオフィスを活用していることがレガシードの大き社員の執務スペースに掲げるフィロソフィーな特長です。私は会社のオフィスとは、戦国時代の“城”のようなものだと考えています。城は城主が治めいくさる地域の象徴であり、そこでの戦を有利に運ぶための様々なしかけが埋め込まれています。われわれのオフィスもただの作業スペースではなく、会社の価値を体現した空間であり、他社と差別化して、お客様を創造・保持することができるしかけを埋め込みたいと考えました。オフィスを活用した理念浸透は、社外のお客様に当社の理念や考え方を理解していただくうえでも有効です。たとえば当社では「オフィスツアー」を行なっており、オフィス空間に埋め込まれた当社の考え方や理念を、実際にお客様を案内しながら紹介していきます。来社されたお客様には、まず初めにこのツアーを体験していただきます。私たちがどういう会社なのかをしっかり伝えていくことは、お客様と信頼関係を築くうえでも、質の高いサービスを提供していくうえでも、必要不可欠であると考えているからです。社員には「オフィスツアー」の案内役ができるように指導しており、誰もが会社の理念や歴史を第三者に語ることができます。社員はオフィスツアーを繰り返していく中で、より自信を持って語れるように試行錯誤を重ねるので、理念への理解を深めることができます。［実践］理念経営Labo2022SPRING11

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オフィスツアーを体験してみよう！6「オアシス」の壁には近藤社長が選定した格言が書かれている。集めた3000個の格言から65個を厳選たこ○凧が一番高く上がるのは、風に向かっている時である。風に流されている時ではない（。ウィンストン・チャーチル)○リーダーとは「希望を配る人」のことだ。(ナポレオン・ボナパルト)○人生とは自分を見つけることではない。人生とは自分を創ることである。(ジョージ・バーナード・ショー)どうくつ2暗い洞窟を抜けると「オアシス」というフリースペースが広がる。BGMに鳥のさえずりや水の音が流れ、仕事や商いこ談の場であるのみならず、社員同士の憩いの場でもある5下り坂で設計されたフューチャーロード。自然と勢いがつき、未来に向けて加速するイメージが持てる564321ここからスタート！4「永遠の木」と呼ばれるバオバブは、「社員からも、その家族からも、お客様からも、社会からも、永遠に愛され、必要とされ続ける会社になる」というレガシードのビジョンを象徴している3「オアシス」の奥には「DEWBAR（デューバー）」がある。勤務時間外であれば、社とろ員は自由にお酒を飲むことができる。DEWは「露、しずく」、転じて「吐露ぐちする」という意味合いで、悩みや愚痴を吐き出してもいいレガシードのオフィスマップ。オフィス全体が「∞」の形になっており、「オフィスの無限大の可能性」を表している1スタートはオフィスのエントランスから。そこは冒険の始まりをイメージした洞窟。壁にはレガシードの歩みを表現した壁画が描かれている12［実践］理念経営Labo2022SPRING

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特集理念浸透のしかけコロナ禍での決断東京・品川の現オフィスに移転してきたのは、2020年9月、コロナ禍の真っただ中でした。リモートワークが普及する中、社員から「オフィスは要らないのではないか」という声もありましたが、新オフィスへの億円以上を投じました。当社では現在もリモートワークを認めていますが、97％の社員が出社しています。それは、このオフィスが働きやすく、また成果を出しやすい空間だからです。なぜコロナ禍の中、あえてオフィスに投資する決断に至ったのか。まず、コロナ禍という状況をいったん脇に置いたとき、われわれの目指すオフィスのかたちは何かを考えました。やはり、お客様に当社の価値を感じていただくオフィス、社員がイキイキと働けるオフィス、新卒採用者が当社で働きたいと思ってくれるオフィス、そういう空間をつくっていきたい。それならば、いい場所が見つかったタイミングでオフィスを移転し、そういう空間をつくろうと決心しました。商談成約率が４倍にそもそもオフィスを重視するという私の考えは、以前からありました。当社のようなBtoBのビジネスを中心とする会社では、一般的にオフィスにはあまりお金をかけない傾向がみられますが、BtoCのビジネスでは状況が違ってきます。たとえば、高級ブランドショップなどは内装費をかけることでブランドイメージを高めているでしょう。ケーキ屋さんのような店舗でも、お客様にワクワクしてもらえるような演出をしたり、買いたくなったりするようなしかけを、店舗のデザインに入れ込んでいます。私がオフィスにこだわるのは、その発想と同じです。魅力的なオフィスであれば、そこで働く社員はやりがいを感じ、訪問するお客様にも興味を持っていただけるので、結果、売上も上がると考えました。ただ店舗販売と異なるのは、われわれがコンサルティングサービスという無形商材を扱っている点です。商品の実物を手に取って、そのよさを確かめてもらうことはできません。でも、お客様にとっても魅力的に映るオフィスでイキイキと働く社員の姿を見てもらえば、われわれのサービスの価値を理解していただくことができます。レガシードの社員の平均年齢は26歳。一方、お客様は会社の経営者や人事責任者などの年長者であることが多い。そうしたお客様は、訪歳前後の若者に経営とか組織づくりをどこまで任せてよいものか、見極めようとしています。社員はそうした中で商談をするわけですから、相当なプレッシャーがかかり、パフォーマンスにも影響が出ます。これはスポーツの試合でいえば、アウェーで戦っているようなものです。すると社員も、当社のサービスの本来の価値をお客様に伝えられないということが考えられます。それはわれわれにとってマイナスなだけでなく、お客様にとっても大きな損失です。私は発想を逆転して、お客様の会社を訪問するのではなく、レガシード本社にお越しいただいて、考え方や理念を正確に、しかも効果的に伝えることを考えました。オフィスの至るところに会社の理念や大事にしている価値観を散りばめていますので、当社に興味を持っていただきながら、私たちの思いを伝えることができます。私はオフィス自体が収益を生み出す機能を持つという意味で、ここを「プロフィット・オフィス」と呼んでいます。利益を生み出す仕組みがあるからこそ、2億円の投資ができました。「プロフィット・オフィス」を利用した商談を始めてから、従来の訪問・オンライン商談と比べて、成約率は約4倍にはね上がりました。お陰様で創業以来、黒字経営、増収を続けています。現在、毎日のように経営者をはじめとしたお客様がわれわれのオフィスへ見学に来られます。レガシードは、そうしたお客様方にも、希望やインスピレーションを与えられるようなオフィスづくりを通して、貢献していきたいと思っています。新刊の紹介近藤悦康『できる人がやっている上司を操る仕事術』2021年、PHPエディターズ・グループ刊定価：1,540円（10％税込）仕事ができる人は、上司の指示にただ忠実に従うというのではなく、逆に上司を操るという視点に立っていることを説く。若手社員は経験も知識も発展途上にあるからこそ、上司の力を使いこなして、成果を出す能力が求められているという。その方法を、近藤氏の実体験をもとにして、50項目にわたって具体的に紹介。上司からの信頼を得られるだけでなく、社会人としても大きく成長する秘訣が明かされている。L［実践］理念経営Labo2022SPRING13

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Interview理念浸透を図るカギは「四重人格」の理解にあり成果や結果を「結ぶ」ために、互いを「ひも解く」変人（かわりびと）小堀健一こぼり・けんいち＊1975年生まれ、京都府出身。ミュージシャンとして活動したのち、2002年より人材開発・支援企業にて勤務。’15年に独立し、中小企業の組織風土改革のコンサルティングを行なっている。関西を拠点に、独自のノウハウを駆使した研修で様々な中小企業の組織風土改革に携わっている小堀健一氏。小堀氏による研修の評判は高く、自社の経営理念を現場に落とし込みたいと本気で考える経営者の駆け込み寺となっている。同氏が開発した理念浸透のノウハウは、20年以上にわたり人材マネジメントの現場で培ってきた知識と経験に裏打ちされており、その一つが“「四重人格」フレームワーク”である。このフレームワークを理解すると、理念浸透も図りやすくなるという。そのポイントについて話をうかがった。取材・構成：桐本真理写真提供：変人（かわりびと）14［実践］理念経営Labo2022SPRING

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特集理念浸透のしかけ理念を押しつけていないか「経営理念をつくったが、社員になかなか浸透しない」と悩む経営者は少なくありません。話を聞けば、「誰からも賛同してもらえそうな立派な理念を確立する」「経営理念を学ぶ機会を設ける」「経営理念を人事や評価制度に取り入れる」といった取り組みをされているようですが、浸透される側（社員）のことをよく理解しないまま進めているのではないでしょうか。それでは社員に理念を一方的に押しつけているだけで、理念浸透はうまくいきません。成果や結果に結びつけるには、まず社員の実情をひも解くところから始める必要があります。私が主宰する研修では、浸透させる側（経営陣）に対して、まず社員の境遇や心理状態を検証することを提案しています。その検証はまず、社員の立場の理解から始まります。ひとくくりに社員といっても、細かく見ていけば、いろいろな境遇の人がいますよね。経営理念が策定された創業時から入社している人もいれば、他社での勤務を経て中途入社で新たに経営理念に触れるという人もいます。また、特にパート・アルバイト社員の中には、「その経営理念は私の仕事と関係あるの？お給料さえもらえればそれでいい」と思っている人も少なくないでしょう。多様な働き方が進む中で、経営者は社員それぞれへの理解を深め、きめ細やかに理念浸透を図る必要があります。社員の反応には4パターンある理念浸透を図るうえでこのような前提があることを理解したら、次にやることは、社員一人ひとりの態度（表面）と心境（内面）の検証です。心境の検証とは、社員本人が、自分の主語で現在の心境を語れるかどうかを見ることであり、そうすることが社員それぞれへの理解を深めることにつながります。経営陣から「理念浸透の実践を」と言われた社員の反応は、下図の4つのパターンに分類することができ、私はこれを“「四重人格」フレームワーク”と呼んでいます。「四重人格」とは、図の①～④の4つの人格に相当します。1人がこの①～④すべての反応を持ちえているこ「四重人格」フレームワーク③表面：積極的内面：消極的①表面：積極的内面：積極的社員④表面：消極的内面：消極的②表面：消極的内面：積極的［実践］理念経営Labo2022SPRING15

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とに注意すべきで、本人を取り巻く環境や状況に応じて、いかようにでも変化します。たとえば、④の「表面：消極的、内面：消極的」の人は、経営理念の実践に対してやる気も興味もなさそうに見え、実際、本人のモチベーションも高くありません。しかし、上司や取引先から褒められたり、プロジェクトが成功したりといったことがきっかけとなって、本人の仕事に対する自信が高まることもあります。そんなときに経営陣から「経営理念の実践を」と言われれば、態度（表面）においても心境（内面）においても積極的な①の状態になりえるでしょう。このように人の態度や心境は流動的であるため、安易に①～④の個別の良し悪しで判断しないことが大切です。仮に④の消極的な社員がいるとしても、それを悪いと即断しない。今は①で積極的な人だって、つい最近までは④だったのかもしれないのです。「なんだ。では、どうすればよいか」と、皆で考えていくことが大事です。研修ではまず対話から私はいつも研修を始めるにあたって、「今からこういうことをやろうと思うんですけど、皆さんの率直な思いや意気込みを聞かせてください」と受講者にお願いしています。すると、「私は会社の指示で研修を受けにきているだけで、本当は参加したくないのです」とキッパリ言われることが珍しくありません。また、「研修を頑張ります！」と言いながら、心の中では逆のことを思っている人や、「この研修は自分にとって何の意味があるのだろう」と思っている人もいます。それが現実であり、当然のことであると思っています。ですから、まず受講者に対して、「研修を受けている」という概念をなくしてもらっています。ごとけんさん「研修」とは字の如く、受講者が「研鑽」して「修める」こと。しかし、研鑽する気持ちがなければ、しっかり修められるはずがありません。それならむしろ、「研修」と身構えないようにしてもらったほうがいいのです。ただ現実には、研修に対して消極的な意思表示をしてくれる受講者はまだいいほうで、そもそも本当に思っていることを話すことのできる人があまりいません。会社の中では自分の立場や周囲とのしがらみがあって、これまで他人に本音を話す機会があまりなかったせいでしょう。それに加え、日本の学校教育が影響しているのか、「正解を言わないといけない」「間違いたくないから何も話さないでおこう」と思っている社員が半分以上はいると感じています。受講者に話をしてもらうことを促すためにも、私は対話を重視しています。たとえば4人1組のグループ対私で話すこともありますが、個人面談も比較的よくします。そして会社に関することだけではなく、本人の生い立ちなども含めて対話をします。そうすると、本音が引き出しやすくなります。こうして本音を包み隠さず話せるようになってようやく、理念を浸透していくうえでの事前準備が整います。受講者である社員の皆さんと私の対話がうまくできたら、次は経営陣と社員同士で本音で対話できる状態を目指します。経営陣は社員に一方的に理念を浸透させようとするのではなく、理念を通じて社員に影響を与えつつ、社員からも影響を受けられる関係になることが理想です。「お互いにどのような影響を与え合いたいのか」を常に考えて対話できる組織は、一方通行のコミュニケーションに陥らず、理念浸透もうまくいきやすい。これまでの研修を通しても、そう感じています。いかに互いを許容し合えるか本音を話せるようになれば、「お互いに許容する状態」が生まれます。「いろいろな境遇を持つ社員がいて、理念に対する受け止め方も、人によって様々。それでいいんだ」と受け入れることができれば、「この後はどうしていきたい？」ということをお互いに考え、言い合え16［実践］理念経営Labo2022SPRING

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特集理念浸透のしかける組織になってきます。そうやって互いに問いかけ続けるうちに、一人ひとり自分のしたいことやありたい状態が言葉で出てくる。その風土をつくることが、経営理念を浸透させていくうえで、一番の肝になります。互いの違いを理解したうえで、「どう変わりたいのですか？」という問いかけの対話をいかに重ねていけるか。違いを受け入れられないまま、“「四重人格」フレームワーク”の①のような積極的な状態に全社員を持っていきたいという気持ちだけが先走ってしまうと、④のような消極的な面を持つ人に対して「ダメ」というレッテルを貼ることにつながり、浸透させたい側（経営陣）と浸透される側（社員）の双方に、ますますストレスがかかってしまいます。いかに互いを認め、許容し合える風土を社内につくれるか。注力すべきはそこなのです。消極的な人を積極的に変えるにはとはいえ、いくらお互いに認め合える環境をつくったしょせんところで、「所詮、仕事は給料を得る手段でしかない」という考えの人も確かにいます。そういう人に対しては、「経営も人生も、どちらも同じ“営み”なんだよ」ということを説明します。「営み」は、すべてのことが関連し合って成り立っています。たとえば、会社経営で売上を出すには、大前提として社屋や工場などの設備が必要ですし、それも定期的に掃除したりメンテナンスしたりする必要があります。そして製造業であれば、まず商品が必要でしょう。生産部門がそれを製造し、営業部門が販売して売上を出す。それらの人員を雇うためには人事が面接をして採用し、また出した売上は経理が処理する必要がある――といった具合に、多くのことが循環しています。社員が受け取る給料は、こういった循環があってこそ生み出されるものなのです。そしてまた、その社員自身の生活も循環のうえに成り立っています。お金を得るためにはまず労働する必要があり、労働によって得たお金で物を買ったり、家族を養ったり、余暇を過ごしたりする。そういった物事がすそろべて揃って「営み」になっており、会社の「営み」と社員個人の「営み」はつながっている。ですから、会社を含めた「営み」を今後どうしていきたいかよく考え、実行していくことが、個人としても大切だと理解してもらうのです。はそれを一言で表現すれば、「思いを馳せる」ということです。自分の仕事をしていればそれで十分というわけではなく、もっと他の人のことに思いを馳せる必要がある。それができていれば、消極的なマインドを脱し、自分の仕事や人生において、積極的な姿勢に変わっていくはずです。経営理念が社員に浸透している会社では、こうした「営み」がうまく循環しているのを感じます。挨拶の仕方やコミュニケーションの様子といった日常のささいなところからも、それをうかがうことができます。経営も人生も、どちらも同じ「営み」で、すべてが循環している。そうした視点でとらえることが理念浸透のカギになるのだと思います。L誌面ではご紹介できなかったこぼれ話をこちらのQRコードから動画でご視聴いただけます。［実践］理念経営Labo2022SPRING17

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Report新たなツールとしてボードゲームを開発「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」で主体性とチームワークを引き出す取材・文：渡邊祐介（PHP理念経営研究センター代表）ボードゲームソムリエ、ボードゲームデザイナー松永直樹まつなが・なおき＊1990年生まれ。6歳で「人生ゲーム®」に出合い、以後ボードゲームの世界にのめり込む。大学3年生のときに世界最大のボードゲームの祭典に参加した体験から、ボードゲームの魅力を提供する「ボードゲームソムリエ」として活動を開始。2015年、「7つの習慣®」のボードゲーム制作にてデザインを担当。その後、大手企業のボードゲームなど、様々な作品の開発や監修を行なう。人気TV番組『マツコの知らない世界』をはじめとしたメディア出演や、『戦略と情熱で仕事をつくる』（ダイヤモンド社）を著すなど、その活動の幅を広げている。2016年1月、高名なスティーブン・R・コヴィー博士の著書『7つの習慣』（キングベアー出版）の要素を取り入れたボードゲーム「7つの習慣ボードゲーム」がリリースされた。この作品は、ボードゲームになじみの薄い日本のビジネスパーソンに新たなゲームの面白さと学びの機会をもたらし、絶大な支持を得たことで話題となった。そのゲームデザインを担当した松永直樹氏は今、新たに「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」（仮称）の制作を手がけている。経営者個人の経営理念の世界をどのようにゲーム化し、実践に資する作品につくり上げようとしているのか。その挑戦をレポートする。「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」の試技の様子をこちらのQRコードから動画で視聴いただけます。写真提供：松永直樹氏18［実践］理念経営Labo2022SPRING

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特集理念浸透のしかけなぜボードゲームの制作に至ったか経営理念をどのように組織に浸透させ、実践につなげるかということには、多くの経営者が頭を悩ませている。その対策として、実際、様々な工夫がなされてきた。社歌を歌う、理念を唱和する、面談をする。研修はもとよりのことである。だが、“知っておいてもらわないと困る”といった「押しつけ感」が伴ってしまうと、かえって社員の反発を招くこともありうる。そういう意味でも、ボードゲームによって「押しつけ感」なく自然に経営理念に親しみ学べる機会が生まれることは、経営者にとって非常にありがたい。2016年の春先、弊社の研修を受講する若い経営者たちから、こんな会話のやり取りがよく聞かれた。Ａ：「あれ、やってみた？『7つの習慣ボードゲーム』、面白いなぁ」Ｂ：「やった、やった」Ｃ：「何それ？」Ａ：「知らない？面白くていろいろ学べるから、まずとにかくやってみるといいよ」その「7つの習慣ボードゲーム」は若いビジネスパーソンのあいだでとても評判だそうで、全国各地でゲーム会も催されているという。その後、筆者のもとにも、共同でプロジェクトを推進していた大手書店グループのプロデューサーが訪ねてきて、「7つの習慣ボードゲーム」の斬新さを絶賛したうえで、「ぜひとも松下幸之助版のボードゲームを制作すべきだ」と強く勧められた。こうした経緯があって、筆者もほどなく部下2人とともに「7つの習慣ボードゲーム」を体験してみることにした。実際にやってみると、評判となった理由がすぐにわかった。サイコロを振ってコマを進めるため、運任せでゴールを目指して楽しむゲームかと思いきや、さにあらず。個人的な思惑だけで先に進もうとしてもゴールできないようになっていて、他のプレイヤーと“交渉”を重ねながら進まないといけない。それがプレイヤー同士の盛り上がりを高める画期的な仕組みになっていた。さらに自社の同輩たちとゲーム会を重ねるうちに、短時間で参加者間の関係性を強めるという、大きな効果があることも実感した。この「7つの習慣ボードゲーム」にすっかり魅了されてしまった筆者と弊社の研修担当者が開発者の松永直樹氏を訪ねたのは、2018年のことである。6歳のときに「人生ゲーム®」と出合って熱中したという松永氏は、中学生の頃に、最も世界的権威のある賞を受賞したゲーム「カルカソンヌ」の面白さに感動し、以後、青春をボードゲームに注ぎ込んだ人物だ。大学3年生のときにドイツで開催される世界最大のボードゲームの祭典「シュピール」に参加したところ、日本ではマニアックと見られがちなボードゲームが海外では老若男女で楽しまれていることに衝撃を受け、帰国後、「ボードゲームソムリエ」として活動を開始した。やがてボードゲームデザイナーを兼ねるようになったのも自然な流れであった。以上のように「7つの習慣ボードゲーム」の成功と松永氏のバックグラウンドからボードゲームに大きな可能性を感じた筆者たちは、経営理念を実践に生かすための一つのツールとして「松下幸之助をテーマとしたゲーム」が成立しうると考え、松永氏にその制作を依頼したのである。松永直樹氏に聞くボードゲームの可能性開発から4年目を迎える今、「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」というかたちでようやく完成を目前に控えるまでになった。理念浸透という課題にボードゲームはどこまで迫れたのか。制作を担った松永直樹氏に、ボードゲームの本質と開発の工夫について話をうかがった。――私どもPHP研究所からの依頼で、パナソニックグループ創業者・松下幸之助の経営哲学、理念をテーマとしたゲームの制作に取り組んでいただき、完成も目前となりました。個人の、しかも経営者の精神世界をゲーム化するというチャレンジについて、率直な感想をお聞かせいただけますか。松永このゲームを制作するにあたって松下幸之助さんの本をたくさん読みました。その中で最も心に刺さったのは、松下さんが「使命感の共有」と「人間関係の質の向上」に大変重きを置かれていたことです。ビジネスにおいて強い現場力を生み出すためには人間関係の構築が大切であり、知識も実践知が問われている。だからこそ、先の展開を読んで他のプレイヤーと協力したりすることが重要な要素となるボードゲームと相性がよかったのだと思っています。［実践］理念経営Labo2022SPRING19

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「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」をいざ社内試技！1「貢献値」を高めることを目指して、3～６人でプレイ。各プレイヤーが順番にサイコロを振り、世界を舞台にコマを進める。そこで得た資金をもとに雇用を増やし、「仕入」「製造」「営業」に人員を配置2「社内会議」でプレイヤー同士が戦略を練り、最適な資源配分ができるよう、資金やアイテムの交換なども行なう。各プレイヤーで役割分担をして、協力することがカギ3「使命感カード」に書かれた条件を達成できれば「貢献値」が得られ、チームで喜びを分かち合う。盛り上がるうちに各プレイヤーの主体性や協力する姿勢が生まれ、職場風土の改善につながる松下さんに関するいろんな資料を拝見して感じたのは、組織マネジメントへの思いの強さです。松下さんは創業経営者として、いかに人を生かすか、自分より他の人をどう動かすかというところに、すごくフォーカスされていると感じました。今回すはそこをゲームの中心に据えたのですが、前例のない挑戦でしたので、これまで制作したボードゲームとは内容もシステムもテーマ性も大きく違ったものになっています。――そういう意味では、ご苦労も多かったと思います。松永とはいえ、コロナの影響で制作が長引いたことが一番の苦労でした（笑）。それ以外では、松下さんの資料があまりに大量で、その中から本質的なメッセージを決めるのがなかなか大変でした。テーマを決定するにあたって、それをボードゲームにする価値があるか、言い換えれば、それが新しいボードゲームの魅力となりうるのか。そのあたりを見極める作業が重要ですから。――今回のゲーム制作におけるポイントは何でしょうか？松永ボードゲームは社員研修においても用いられるように、本来、マネジメントとの相性はいいといえますうせいす。ただ、時代の趨勢として、マネジメントでもAIが人に代わって管理をカバーし、人間は管理よりも決断や選択を担うことに特化しつつある。だから、今回のボードゲームにおいても「選択」の要素が強く出る内容になっています。実際、ビジネスパーソンの日常は選択の連続ですので、その視点をうまく体現できるようにゲームのルールをつくってみました。あと、御社で松下さんの経営理念を「5つの原則」という研修セミナーのかたちでメソッド化されていたことが制作を進めるうえですごく大きかったです。その体系がゲームの骨格になりましたから。もし「5つの原則」の体系がなかったら、ゲームに合う要素だけを組み合わせたものになってしまっていたかもしれません。この作品が松下さんの世界観を体験できるゲームに仕上がりつつある20［実践］理念経営Labo2022SPRING

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特集理念浸透のしかけのは、メソッドの有効性をしっかりと取り入れることができているからではないかと思います。――「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」も3年以上の制作期間を経て、完成間近です。ここまで制作に尽力されてきて、完成への手応えはいかがでしょうか？松永ボードゲーム制作においては、実際に何度もやってみてゲームの要素の組み合わせを調整することが最も難しく、その分時間もかかります。なおかつ、試技を重ねれば重ねるほどゲームの仕組みは洗練されていきますが、どれぐらいやれば十分ということはありません。実際のところ、完璧なゲームというのはなかなかないものです。ただ、私の中にある「いいゲーム」の評価基準は、ゴールできなかった人、つまり負けた人が、それでも「面白かった」という感想を持ってくれるかどうか。それを私は一つの指標としています。――「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」は、ボードゲームの可能性を開くものになるといえますか？松永私はゲームをプレイする空間そのものを大切にしていて、常に「このゲームの世界をこのメンバーで過ごす空間」をとにかく上質なものにすることを心がけてゲーム制作に臨んでいます。その点、今回のゲームはプレイヤー同士のインタラクション（交流、相互作用）を確実に向上させる作品になると確信しています。理念浸透への新しい取り組みに松永氏のインタビューから、「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」は、①素材となる経営者の理念が体系化されていたこと、②その理念の中にゲームの要素が存在していたこと（人を動かすことなど）があって成立したといえる。それらがあったからこそ、空間の中でプレイヤー同士のインタラクションを確実に向上させるという、ボードゲームの本来の効果が生まれたのだ。実際、ボードゲームの試技を重ねた筆者も、これらの点は疑うところがなかった。誰しもゲームを始めるときは多少なりとも緊張するし、まだ盛り上がりにはほど遠い。ところが、サイコロを振ってコマを動かし、自分が最適と思う選択を一つひとつ行ない、ターン（手番）を重ねるごとに、いつのまにかゲームに没頭していって、その成果が他のプレイヤーをも刺激していく。すると、会話もおのずと交わされ、弾んでくる。つまり、プレイヤー同士の関係性が極めて短時間のうちに高まっていくのである。それはエンゲージメント（信頼）の向上にほかならない。では、さらに理念の浸透における効果についてはどうか。実際のところ、それにはプレイヤーによって都度変化する部分があると思われる。これは自分のアクションを選択する際に、理念を認知しているかどうかが問われるというたぐ類いのものではない。この点について松永氏は大事な指いわ摘をしてくれた。曰く、経営理念の文言をゲーム中でプレイヤーにより深く理解させようという意識を強く持ちすぎない、ということである。そこにこだわるとゲームの空間が説教臭いものになり、楽しむことが阻害されるというのだ。「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」では、幸之助の世界観を知ってもらうために、著書『実践経営哲学』（PHP研究所）の内容20項目が「使命感カード」に書き込まれている。それらのカードをプレイヤーがゲーム中のどういった状況で手にするかによって、その効果は大きく変わってくるのである。理念のしさ意図することが大きな示唆を与えるかもしれないし、そのときの状況にそぐわないこともあるかもしれない。だが、いずれにせよ、ゲームの中でその言葉を口にする、あるいは他のプレイヤーのカードとして視認するだけでも、ゲームの世界観を形づくる経営哲学にプレイヤーは何がしかの刺激を受けるはずである。経営理念に親しみを持てるようになり、その実践について心理的な負担を感じずゲーム感覚で考えることができる。そこに効果のポイントがあるのだ。このゲームを研修に取り入れる場合は、ミーティングやフィードバックを組み込むことによって、その教育効果はおおいに高まるだろう。他のメソッドとの連携、もしくはテキストを読んでもらうなどすれば、理解がさらに深まっていくはずである。今後はこのような「理念浸透」への新しい取り組みがおおいに期待できるだろう。「松下幸之助〈理念経営〉実践ゲーム」はPR効果も期待して、近くクラウドファンディングにより受注を行なう予定である。数多くのビジネスパーソンにゲームの面白さと経営理念の学びを提供できることと確信している。L［実践］理念経営Labo2022SPRING21

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松下幸之助経営塾スタッフ放談講師とファシリテーターが語る経営塾の魅力と展望PHP研究所が主催する「松下幸之助経営塾」は、経営者が松下幸之助の経営哲学を学び、志を確立・再確認するたずさための研修講座。その運営に携わってきた講師とファシリテーターが、これまでの歩みを振り返りつつ、当塾ならではの魅力を考察し、これからの展望を語り明かす。主幹講師：渡邊祐介（PHP理念経営研究センター代表）講師：川上恒雄（同研究センター首席研究員）ファシリテーター：的場正晃（PHP研究所人材開発企画部長）10年間の歩みを振り返って川上2011年2月に始まった「松下幸之助経営塾」（以下、経営塾）は、今年4月から第24期の受講生を迎えます。10年以上続いて、PHP研究所が主催する研修セミナーの中でも代表的な講座の一つになってきたといえるのではないでしょうか。私は途中から参加したのですが、もともとはどういう塾にしようとしていたか覚えていますか？渡邊最初、社内でも松下幸之助の名前を冠するセミナーを開発したいという思いが明確にあり、幸之助の経営哲学をどのように学んでもらうかということを議論しましたね。幸之助の人生観とか経営観のエッセンスを抽出し、6つの大きな柱としてプログラムを構成しました。ただ、今からみれば、当初は松下幸之助についての知識を座学で教授するような側面がやや強かったかもしれませんね。的場幸之助が亡くなって時間が経ってくると、次第に幸之助のことをよく知らない人も増えてきますから、幸之助がどんな考え方を持っていたかを理解し、共感する経営者を増やしていこうという考えもありました。川上最初は募集をオープンにしていませんでしたが、ある時期から松下幸之助経営塾プログラム１：志から理念へ～経営の使命～２：本質を考える～自然の理法～３：原理原則を貫く～基本の徹底～４：人を育てる～事業は人なり～５：経営を革新する～日に新た～６：志を伝える～私の命知発見～22［実践］理念経営Labo2022SPRING

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スタッフ放談オープンにしたので、受講者層の幅が広がりました。特に、まだ若くて経営の経験が浅い受講生が増え、自己成長していったように思います。受講生の平均年齢は40代ぐらいで、どちらかというと松下幸之助のことはあまり知らないけれども、学ぶ意欲が旺盛な方が増えてきたでしょうか。的場そうですね。経営についてまだあまり学んでいなくても、素直に学ぶ心のある人、反省や自問自答をすることに重きを置いている人に来ていただけてありがたいです。その人自身が経営者としてどう成長していくかが、一番大切ですから。渡邊確かに松下幸之助について詳しい知識を持たずに入ってこられた方が幸之助の経営哲学を理解して活躍されている例が増えるにつれて、手応えを感じるようになりました。川上回を追うごとに考え方や発言がしっかりしてきたり、上に立つ者としての風格が備わるなど、劇的に変わる人が出てきました。それはやはり、ともに学ぶ経営者から刺激を受けるからなんでしょうね。的場毎回2日間の日程ですが、会場まで通える範囲にある方も含めて泊2日で泊まり込みをすることになっているのは、受講生にこの2日間は経営塾に専念するという覚悟を持っていただきたいのと、もう一つは受講生同士で交流を深めていただきたいからです。今はコロナ禍でできませんが、夜は受講生同士で一緒に飲んだりして、いろんな語り合いをしてほしいと思います。渡邊お互いの考え方や思いをぶつけて学び合う場があるのが、経営塾が他の経営セミナーと一線を画かくすところでしょうね。的場皆さんよくおっしゃるのは、いろんなセミナーとか経営者の集まりに顔を出すけれども、こんなにも志ということを真面目に考えている集まりの場はない。ここで受ける刺激はもう半端じゃない、と。まさにその通りだろうと思います。この経営塾で学んだことを半信半疑で実践したら、倒産寸前から急成長する会社に変わったという例もあります。学んだことを実践にまで落とし込んで成果に結びつけることを体得したわけですから、もうその経営者は強いものです。経営者の講師が語る経営の本質的場第13期からアドバイザー制度が始まったのが大きな転機となりました。経営の実践経験が豊富な先生方にアドバイザーとして入っていただくことで、先生方のご経験からより具体的で実践的な内容に踏み込めるようになったと思います。川上受講生からも非常に好評を得ていますね。渡邊たとえば、キリンビールで活躍された田村潤先生は回を重ねるごとに幸之助の考え方に共感され、ご自身の経験と重ね合わせて解説をしてくださっています。そういう意味では、幸之助の経営哲学に時代を超えた普遍性があることを田村先生に証明していただけたような感じですよね。川上「経営理念が大事」といっても、具体的にどう大事なのかというのは、書物に書かれているようなことをなぞらえるだけでは受講生に伝わりません。田村先生は実際に理念を戦略に落とし込んだ経営に取り組んでキリンビール高知支店を立て直し、その他の地区や全社的にもそれを横展開して改革された。それはやはり具体的で非常に説得力がありますよね。的場田村先生はサービス精神旺盛で、受講生のディスカッションにも参加してくださり、受講生も大変喜んでいます。渡邊松下幸之助とそれほど接点がなかったにもかかわらず、その考え方を田村先生が深く理解されたというのは、やはり幸之助と同じく物事の本質や原理原則を問いながら経営をしてこられたからでしょう。的場特別講師を務めてくださる経営者の方々の話を聞くと、やはりみんな共通項があるんですよね。成功する共通項というか。JR九州前会からいけこうじ長の唐池恒二さんにしても、大戸屋みつもりひさみを創業した三森久実さんにしても業種業態は全然違いますが、おっしゃっていることを突き詰めていしゅうれんくと、経営の本質に収斂していく。その行き着く先は、幸之助が言っていることと同じなんだと感じます。渡邊最初、特別講師は幸之助と接点がある方でなければと思い込んでいました。しかし、幸之助のことをよく知っているとはいえない方でも、話されることの中に幸之助の考え方と通じるものがあり、その方の経験を通じて幸之助の考え方の普遍性が証明されていることがわかるので、われわれが言わんとする真意も受講生にしっかり伝わっているという手応えがありますね。自己観照をなぜ重視するのか川上一般的な経営セミナーとの違いでいうと、この経営塾では経営者［実践］理念経営Labo2022SPRING23

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自身が客観的に自分を見つめ直すじこかんしょう「自己観照」を重視している点が挙げられます。実際に受講生の中には、それまですぐ従業員に怒りをぶつけていたのが、素直な心で自己観照をするように心がけて謙虚な姿勢になったという方もいました。的場幸之助の考え方を知識として得るだけでなく、それを通して自分と向き合うことができるようになったためでしょう。ここで得たものを自分の会社で置き換えてみることができているのです。ポイントはそこだと思うんですよね。もっともっと自分と向き合ってもらいたい。川上それを意識して、自分と向き合うためのディスカッションを行なう時間を多くしています。第24期からは自己観照を支援するために、プログラムにエグゼクティブ向けのコーチングも導入しますね。的場会社のトップには相談相手が多くないですし、ましてや耳の痛いことを言ってくれる存在もいなくなって心地よい情報しか入ってこなくなるので、「本当に自分は正しいぎしんあんきんだろうか」と疑心暗鬼になってしまうようです。そのため、コーチングを通じて、自分を客観視することが非常に有効になります。コーチングではコーチが様々な質問をして、受講者に視野を変えさせようとします。自分や自分の会社の経営を相手の立場から見たらどうか。あるいは今の自分を10年後から逆算して見たらどうか。さらにはもっと掘り下げて、今起きていることの背景にどんな問題があるのか。そこに目を向けましょうと導くような質問を投げかけます。普段考えたこともない角度から自分や自社を見ることによって新たな気づきが得られると、受講者には喜んでいただいています。ただし、コーチングは視野の転換を促してはくれるけれども、答えまでは与えてくれません。最終的に決めるのは経営者自身です。幸之助のたいかん場合もそうでした。加藤大観さんという禅僧に人生や経営の相談役となってもらっていましたが、幸之助は大観さんからアドバイスをもらっうのても、それをそのまま鵜呑みにしていたわけではなかったですよね。あくまで実行するのは経営者自身ですから。渡邊今日のビジネスを取り巻く環境は変化が激しく複雑で、コロナ禍のように突発的に障害が発生することもしばしばです。それによって、個人と組織の関係も常に揺らいでいます。そのような前提に立てば、経営者が自己観照の訓練をして、変化に対応する力を養っておく必要があるでしょう。認知科学の見地にもとづく考え方に、長年の経験の中から選び抜いた勝ちパターンのビジネスモデルを構築する「ドミナント・ロジック」という概念があります。同じビジネス環境が続く場合はそのロジックでうまく機能するのですが、環境が変化する中では下手をするとそのロジックに固執してしまい、変化に対応でおちいきない事態に陥る恐れがあります。でも、自己観照を体得していれば、そうはなりません。幸之助はトップの人間が自己観照をして、自分の考えに間違いがあっただたことに気づけば、直ちに素直に認めて方針転換するよう説いています。「君子は日に百転す」ということがあってよいと。幸之助が言うように、「素直な心」を持って物事をとらえればきちんと変化に対応できるわけですから、いわば「素直な心」というのは、あらゆる状況に対応できる「究極の心がけ」といえるのかもしれません。そこを教えているのは、この経営塾以外にないでしょうね。受講生の気づきをさらに促していくために的場他の経営セミナーを見てみると、講師陣に著名な経営者が揃そろっていても、全体として一貫した理念にもとづいていない場合が多いのではないでしょうか。それでは受講しても、単に著名な経営者と会えるだけで終わってしまいますよね。渡邊何らかの体系にもとづいて学ぶことが重要だと思います。講師が自分の考えでそれぞれ違うことを教えていたら、受講する側は何を取り入れればいいかわからなくなってしまい、やがて離れていってしまうでしょうね。的場その通りで、経営塾に受講者が集まってこられるのも口コミが大きくて、それだけ信頼されているということだと思います。松下正幸塾長がいつも話しているように、この塾はノウハウを教えるところではなく、経営者としてのあり方、ものの見方・考え方を養う場です。毎期10カ月間ずっとそこにこだわってやり続けていますが、そういう経営セミナーは他にはないでしょうね。そうやって受講生がとことん考え抜くことによって、経営者として大切な理念や哲学が芽生えてくるんだと思います。川上そこがこの経営塾の一番の特24［実践］理念経営Labo2022SPRING

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スタッフ放談長でしょうね。的場そうですね。扱っている内容は経営にとどまらず、人間を考えたりとか抽象度が高いので、その分受講生の視点が上がり視野が広がります。具体的な内容に終始すれば表層をなぞるだけで終わってしまいますが、抽象度高く物事を考え続けたら、深い気づきが生まれます。実際に気づきを得て見違えるほど変わった受講生が何人もいますよね。川上そういう強みを生かしていくには、受講生がお互いに議論できるような雰囲気をさらにつくっていくことが大事です。渡邊そうそう、刺激的な議論を促す工夫をもっとたくさんしていきたい。的場やや的外れな意見が出たとしても決して否定せずに受け入れるような雰囲気があることも大事ですよね。そうすれば、「あの塾ではどんなことを投げかけても大丈夫だ。最初から何か答えが決められていて、それを押しつけられる塾じゃないんだ」という安心感が持てて、今以上に活発な議論が繰り広げられるようになると思います。渡邊幸之助の場合、題材となるエピソードが豊富にあるので、それらからどんなことが学べるかと議論して掘り下げていけますよね。的場それこそ、かつて幸之助と弊社の研究員が問答して、経営や人間の本質を探求していったような感じにもなりうるのではないでしょうか。広がる卒塾生のネットワーク川上最後に卒塾生たちが集う同志会についても振り返っておきたいと思います。同志会で行なわれている特別講話は毎回評判がいいですね。今後どういうふうにしていきたいと思いますか。的場講師の方をお招きしてお話しいただくのはこれからも続けていきたいと思いますが、ご紹介したように経営塾で学んで自社の経営が劇的によくなった経営者もたくさん出てきましたので、その方にゲストスピーカーとして話してもらって、経営学の観点からケーススタディとして分析したら面白いのではないかと考えています。また、企業経営者でなくても、たとえばスポーツとか芸術などの分野で幸之助哲学を実践してきた人に講師としてお話しいただくのも有益だと思いますね。川上なるほど、それは面白そうですね。卒塾生は現在270名ほどになっていますが、皆さん同志会を通じて、同じく学んだ方同士長くつながりを保っておられます。また、期を超えたつながりが生まれたりもします。これは他の経営セミナーではほとんどないことだそうですので、そのあたりもこの塾の特長の一つですね。的場同志会で期を超えて人脈がつながって、お互いのビジネスにアドバイスをし合ったり、公私ともにつき合いを深めたり、なかにはビジネスを一緒に始めた方もいらっしゃいますね。東北地方の経営者から聞いた話では、各県に地元で影響力のある経営者がいて、皆さん経営塾を受講されている。ですから、東北地方の各要所で松下幸之助の経営哲学にもとづいた会社経営をしておられ、地域でネットワークが生まれているそうです。川上それはすごくいいですね。他の地域でも、同様の試みが活発になれば、さらにネットワークが広がります。いろんな地域で人脈がつながるといいですね。L［実践］理念経営Labo2022SPRING25

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塾生通信日に新た「松下幸之助経営塾」の情報と、卒塾生の近況をお伝えしますアントレプレナーとして受賞！2021年10月、住宅事業をはじめしょうえい介護や飲食の事業も手がける正栄産業（富山県富山市）の森藤正浩社長（第1期）が、EY（アーンスト・アンド・ヤング）の日本法人EYJapanが主催するアントレプレナー表彰制度「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2021ジャパン（EOY2021Japan）」の「東海・北陸地区Accelerating部門審査委員特別賞」を受賞しました。アントレプレナーの貢献をたたえるEOYは、毎年約60カ国と、グローバルな規模で開催されています。森藤社長、おめでとうございます。また、櫻井均さん（第20期）が取締役を務める介護事業会社いきいき（青森県青森市）の提案事業「地域課題をつなぎ、分け隔てなく皆が交わる小さなまちの実現」（他3社との共同提案）が、国土交通省「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」（令和3年度第1回）に選定されました。高齢者、障害児、健常児にそれぞれ対応した専門組織が連携して多世代の拠点を整備する計画などが審査で高い評価を得ています。櫻井さんが卒塾時に志として掲げた地域づくりが実現するよう、心より応援申し上げます。神吉一寿社長（第1期）の経営すよしやる菓子卸販売の吉寿屋（大阪府摂津市）が新ブランド「スイーツボンボンよしや」を立ち上げ、2021年10月、松坂屋高槻店内にオープンしました。コンセプトは「お菓子のセレクトショップ」。全国の珍しいお菓子だけではなく、SDGs関連のコーナーを設置し、観光客の減少で行き場を失ったお土産物や、福祉施設でつくられたお菓子、割れおかきなど（食品ロスの削減のため）を扱い、来店客にお菓子を通じて社会課題の解決に関心を持ってもらうことも狙っています。まさに神吉社長の使命感を体現したような店舗になっています。社長就任おめでとうございます！2021年6月、久保寺亮介さん（第15期）が新会社Dドゥークスooox（東京都港区）を設立し、代表取締役社長に就任しました。主な事業内容は、中小中堅企業の社長室代行業。社長の分身あるいは参謀として、「新しい取り組み」「オーナー社長業務の棚卸し・組織化」「後継者選定・育成」「資産承継」の4領域を中心に実行支援されているとのことです。また2022年1月、三宝電機（大阪府大阪市）の嘉納秀憲さん（第1期）が代表取締役社長に就任。卒塾生の集いである「同志会」では、お名前（かのう）になぞらえて「不可能を可能にする男」として知られる嘉納さん。経営トップとしても、「不可能を可能にする」力強さをきっと発揮してくれることでしょう。久保寺さんと嘉納さんの今後のご活躍が楽しみです。「わが志」を発表！第22期生が卒塾来客でにぎわう「スイーツボンボンよしや」（松坂屋高槻店）松下幸之助経営塾は、2022年2月に第22期が終了し、現在、第23期26［実践］理念経営Labo2022SPRING

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塾生通信日に新たと第24期が進行中です。2月11日から12日にかけて弊社京都本部で開催された第22期の最終回は、あいにく京都府が「まん延防止重点措置」の期間中だったため夕食懇談会の実施を断念せざるをえなかったものの、塾生の皆様が力のこもった「わが志」、そして「5年後の自分に向けてのメッセージ」の発表をされました。講師やともに学んできた塾生から、厳しくも愛情のあるコメントが贈られました。初日の特別講話は最終回恒例のけんPHP研究所客員・岩井虔による「松下幸之助に学んだもの」。28年くんとう間、松下幸之助から直接薫陶を受けた岩井が、人間味あふれる幸之助のエピソードを数多く披露しました。また2日目には、幸之助の孫でもある塾長の松下正幸が、家庭におけるプライベートな幸之助の顔を紹介しつつ、卒塾生に対して、「この塾で学んだことを実地で生かしてほしい」とエールを送りました。最後に、アドバイザー・講師陣からのメッセージがあり、第22期生がめでたく卒塾。皆様の今後のご活躍を祈念します。L28年間、松下幸之助の薫陶を受けた岩井虔経営者が“経営の志”を確立・再確認するための研修講座松下幸之助経営塾本セミナーの特徴松下幸之助の経営哲学を根本から学べる唯一の講座弊社で70年有余にわたり研究を重ねた“松下幸之助の経営哲学の真髄”を、経営者の皆様に分かりやすくお伝えするためのセミナー形式の講座です。人間観を養い高め、経営者としてのあり方を学ぶ本講座は、時代や環境の移り変わりの中で生まれる新しいマネジメント手法を学ぶものではありません。経営者のただ今、新規申込受付中詳しくはホームページで資料のご請求はホームページまたは下記窓口へお問い合わせください。https://www.php.co.jp/seminar/m-keieijuku/株式会社PHP研究所第二事業普及本部〈京都〉TEL075（681）1295FAX075（681）2656〈東京〉TEL03（3520）9631FAX03（3520）9648「志」をキーワードとして、松下幸之助が最も大切にした“経営理念の確立と浸透・共感”を実現すべく、その基となる自然・宇宙観や人間観等を学び、より本質的な“経営者としての器量”を養い高めていただく講座です。「志」の確立に向けた、充実の10カ月10カ月の在籍期間中に１泊２日のセミナーを全６回、隔月で開催。学びと実践、検証をくり返しながら成果を高めていただけます。また、１クラスは最大でも12名の少人数制で、受講者間の討議・交流による相互啓発など受講者お一人おひとりに充実した環境を提供いたします。プログラム第１回『志から理念へ～経営の使命～』第２回『本質を考える～自然の理法～』第３回『原理原則を貫く～基本の徹底～』第４回『人を育てる～事業は人なり～』第５回『経営を革新する～日に新た～』第６回『志を伝える～私の命知発見～』開催要領◦受講資格：経営者ご本人、後継経営者（経営幹部）◦募集人数：12名⃝開講期間：10カ月1開催1泊2日、全6回（隔月開催）⃝受講料：118万8000円（税込）⃝会場：株式会社PHP研究所京都本部（JR・近鉄「京都」駅八条口より徒歩５分）［実践］理念経営Labo2022SPRING27

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〈アントレプレナーの最前線〉――時代をつくる旗手たちパーパスを軸としたスピードが成功を生むつながりで挑む起業家支援マグチグループ株式会社取締役COO川田宏行かわた・ひろゆき＊間口グループの中でも、間口ジェネラルサービスをはじめ、6社の代表取締役を兼任し、スタートアップの「ミライ事業」全体を管掌する。マグチグループ株式会社本社：大阪府大阪市港区／創業：1901年／事業内容：港湾運送事業、物流事業、倉庫業、一般貨物自動車運送事業など創業120年の歴史がある間口グループは、マグチグループ株式会社と社（ディヴィジョンカンパニーを含む）、従業員数約1万4000人を誇る総合物流企業だ。2014年からはスタートアップ事業を立ち上げ、近年ではドローンサービスや「空飛ぶクルマ」に協業するなど、最先端のテクノロジーを活用した事業にも着手している。これらスタートアップの「ミライ事業」全体を管掌するのが、マグチグループ取締役COOの川田宏行氏である。現在は特に、コワーキングスペースやレンタルオフィスを提供して、スタートアップ起業家を支援する「billageOSAKA大阪駅前第１ビル」に力を入れているという。支援を通じて見えてきた起業家に求められる素質とは何か、川田氏が語る。取材・構成：塚田有香写真提供：マグチグループ株式会社28［実践］理念経営Labo2022SPRING

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中国・深圳での体験が転機に間口グループは、マグチグループ株式会社と33社の事業会社で構成される総合物流企業です。1901年に港湾事業者として創業、1970年代からは流通業界などの内陸物流事業にも進出しました。しかし近年は少子高齢化による人手不足の傾向が顕著となり、弊社も港湾や物流などの労働集約型事業から、人力に頼らない事業にもシフトする必要があると考えました。そこで2014年からグループの新たな柱となる事業体の創出を目指して始まったのが、現在のミライ事業です。グループ会社の一つであり、私が代表取締役を務める間口ジェネラルサービスでも、この新規事業を推進しています。現在は、大学発ベンチャーと協業してドローン事業を展開するほか、起業家支援のエコシステム（複数企業による共通の収益環境）構築にも力を入れています。2020年4月には大阪・梅田に総面積200坪のシェアオフィス「billageOSAKA大阪駅前第１ビル」を開業。起業家たちの交流を促進し、事業の立ち上げや拡大をサポートするためのプログラムなども提供して、スタートアップの成長を支援しています。このオフィスをつくるきっかけとなったのが、3年半前に訪問した中しんせん国・深圳での体験でした。この地にはオープンイノベーションを生み出すためのエコシステムが確立されており、中国全土から起業を目指す若者たちが集まります。広大な敷地内には、セミナー会場もあれば、スタートアップに資金提供するベンチャーキャピタルのオフィスもあり、会社の設立や運営をサポートする税理士や会計士などの士業が集まるビルもある。スタートアップが育つ環境が整備されていたのです。ひるがえ翻って日本の状況を考えると、深そろ圳のような環境が揃った場所はまだありません。ならば間口グループの創業の地である大阪にエコシステムの拠点をつくり、関西発のスタートアップを世に送り出したい。その中から間口グループと協業し、ともに次世代の事業をつくっていくパートナーが見つかれば、弊社の成長にもつながります。こうして立ち上げたのが、「billageOSAKA大阪駅前第1ビル」でした。このシェアオフィスが入るビルには、コンビニや飲食店、郵便局などの施設が揃い、利用者は外へ出ることなく、1日の時間を研究開発に費やせます。ビル内には士業のオフィスが多く、さらには16の道県が大阪事務所を開設しているため、地元で起業したいと考える地方出身者の相談窓口も揃っています。もちろん深圳に比べれば規模は小さいですが、この場所のほかにスタートアップが育つのに適したところはないと確信しました。シェアオフィスをオープンしたのがコロナ禍の真っ只中だったため、しばらくは利用者が集まりませんでした。しかし緊急事態宣言が発令され、同じ梅田にある大規模商業施設内のシェアオフィスが閉鎖されると、入居していたスタートアップ関係者は拠点を失い、困り果てていました。そこで私たちは「うちはまだ利用者が少なくてスペースが空いているから、元のオフィスが再開されるまで無料で使っていいですよ」と、オフィスを開放したのです。私のほうもできるだけ部屋を埋めて、活発な交流が生まれる雰囲気をつくりたかったというのがあります。それが口コミで伝わり、緊急事態宣言が解除されてからも、引き続き私たちのシェアオフィスを使ってくれる利用者が増えていきました。オープンから9カ月後の2021年1月には、早くも黒字化を達成。現在は約100社が入居しています。「つながり」という強み私たちがスタートアップを支援するうえで、大事にしている5つの価値があります。それは「つながり」「シェア」「コラボ」「コミュニティ」「継続性」です。特に重視しているのが「つながり」です。利用者同士はもちろん、起業家と民間企業や行政、地域の人々をつなぐことで、スタートアップの事業をサポートしています。間口グループは創業120周年を迎えたしにせ老舗企業であり、長年の経営で培った幅広い人脈があります。これこそが起業して間もないスタートアップには持ちえない大きな強みであり、弊社が持つ様々なつながりを活用すれば、起業家がぶつかりがちな壁を乗り越えるための手助けができます。その一例が、「空飛ぶクルマ」の開発で注目を集めている企業です。その企業は2018年に起業しましたが、事業を確立するのに苦労しており、ある日、代表の方が私のもとへ相談に来られました。聞けば、2025年開催の大阪万博みすを見据えて事業開発を急ぎたいと考えているが、実証実験や関係各所と［実践］理念経営Labo2022SPRING29

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〈アントレプレナーの最前線〉――時代をつくる旗手たちの調整が思うように進んでいないとのこと。このままでは自分たちの事業は行き詰まってしまうと悩んでおられました。そこで私のほうから行政の方に連絡を取り、空飛ぶクルマが大きな将来性を持つ事業であることを説明したところ、物事が一気に前へ進み出したのです。2021年秋にはその企業と大阪府・大阪市が連携協定を締結し、大阪万博での運行実現を目指しています。大阪港で進行中のスケートボードによる地域創生プロジェクトも、私たちがスタートアップと行政をつないだことから始まりました。このスタートアップはスケートボードの動画メディアを運営しているのですが、代表が言うには、実は大阪にはスケートパーク（練習場）がないとのこと。日本のスケートボード業界を発展させるため、これまでに何度もパーク建設を求める署名を集めて役所に提出したが、受け付けてもらえなかったそうです。そこで今度も、弊社の地元である大阪市港区の役所へ彼らを連れて行入居者同士の交流を深める「ムラビトナイト」を定期的に開催きました。スケートパークをつくってイベントをSNSで発信していけば、若者たちがどんどん集まって、港区は「行きたい街」「住みたい街」として活性化する。そう提案したところ多くの賛同を受けることができました。また、地元の町内会や女性部会、老人会に声をかけて、スケートボードで地域活性化を図る計画をプレゼンしました。その結果、地元の人たちからも共感が得られたことで行政も動きやすくなり、現在、大阪港でスケートパークの計画が進められています。「billageOSAKA大阪駅前第1ビル」を利用する起業家の多くは、豊かな感性と発想力を持ち合わせていますが、経験が少ない分、自分たちのビジョンを実現するまでにたくさんの障壁があります。だからこそ間口グループの強みである人脈や企業とのつながりを活かし、ビジネスモデルを確立、マネタイズできるように責任を持ってサポートしたいと実証実験として、大阪湾岸で空飛ぶクルマ（スケールモデル）のデモフライトを行なった考えています。私たちがこだわるのは、あくまでもスタートアップが必要とする環境を用意して“支援”することであり、“教育”ではないということです。これからの社会をつくっていく彼らの柔軟な発想とアイデアを邪魔してはいけません。私たちは、それぞれのスタートアップが成長するために何が必要かを見極め、それが得られる環境を用意しています。よい環境さえあれば、起業家たちはお互いに学び合い、競い合い、高め合いながら、みずからの力で成長していきます。月に1度開催する全入居者を対象とした懇親会「ムラビトナイト」では、人を紹介し合ったり、情報交換をしたりと、学びのコミュニティが形成されています。また、自分のスキルや経験を他の人たちと共有するセミナーも定期的に開催しています。あるエンジニア出身の起業家が、プログラミング技術がなくてもWebサービスを開発できるノーコードのスキルをセミナーで紹介したところ、他のスタートアップも自力でWebサイトやアプリをつくれるようになりました。これらの開発を外部に発注すると多額の費用がかかるため、それがネックとなって事業が止まってしまうケースが多いのですが、スキルの共30［実践］理念経営Labo2022SPRING

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有によって壁を乗り越える力が身についたのです。こうして「billageOSAKA大阪駅前第1ビル」がスタートアップの育つ環境として機能していることを、大変嬉しく思います。アントレプレナーの条件入居企業の中には、ベンチャーキャピタルから資金提供を受けて事業を拡大したり、次世代の起業家を発掘する数多くのビジネスアワードめざで受賞したりと、目覚ましい成長を遂げる事例が続々と出ています。それを見てわかったのは、成功するアントレプレナーはスピード感が違うということ。変化が激しく不確実性の高い今の時代には、新しいことにチャレンジして失敗したら、すぐ次のチャレンジに移る切り替えの速さが求められます。しかも単に行動が速いだけでなく、自分たちのパーパス（存在意義）に従ってスピードを上げていく。これが現代における重要なアントレプレナーシップといえるでしょう。変化に対応する際、軸となるパーパスがなければ間違った方向へシフトしてしまう危険性がある。「この会社は何のために存在するか」を明確にし、自分たちはどのような社会課題を解決したいのかという到達点を常に追い続けるからこそ、正しい方向へスピーディに変化できるのです。その意味で3年後の大阪万博は、スタートアップがパーパスを起点に成長できる場になると期待しています。この万博では社会課題であるSDGsの達成に貢献するため、多様な参加者が主体となって未来社会の共創を目指す「TEAMEXPO2025」が展開されています。このプログラムには、未来に向けて行動を起こしている企業・グループが登録可能な「共創チャレンジ」という無料参加枠があり、「billageOSAKA大阪駅前第1ビル」を利用するスタートアップも積極的に参画しています。実は先ほど紹介したスケートボード動画メディアを運営するスタートアップも、共創チャレンジに参加しています。彼らが掲げたＳＤＧｓのチャレンジ目標は、「スケートボードの聖地を創る事で、スケートボードショップやストリートファッション等のコンテンツ産業を生み出すきっかけとなる」「誰もが平等にスケートボードを楽しめる空間を創る」「若者やスケートボーダーが住みたいと思うにぎわいのあるまちづくりを行う」。これらはSDGsの17の目標のうち、「９．産業と技術革新の基盤をつくろう」「10．人や国の不平等をなくそう」「11．住み続けられるまちづくりを」に関連します。こうしてスタートアップが自社のパーパスをSDGsの目標と結びつけ、世の中に自分たちの事業や活動を発信できる。これはまたとないチャンスです。しかも今回の万博は、オンライン上でも開催されます。仮に世界約80億人のうち、1割がバーチャル会場を訪れるとして、約8億もの人々に自社の取り組みや技術を見てもらえる可能性があるのです。さらに大阪万博の先には、内閣府が推進する「ムーンショット目標」大阪湾岸にて、地域の子供たちを集めたスケートボード体験会の様子があります。将来の社会課題解決に向けて達成すべき9つの目標が掲げられ、例えば「目標1」は「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」とあります。自分の分身となるアバターを動かし、誰もが多様な社会活動に参加できる未来が現実になれば、新たな市場が生まれ、ビジネスチャンスは無限に広がります。私もシェアオフィスの利用者たちにムーンショット目標を紹介し、2050年の未来を見据えてビジネスを展開する重要性を伝えています。これからも間口グループはスタートアップを支えるパートナーとして、未来ある起業家を支援し、多くの関西発ユニコーン企業が輩出することを夢見て、全力を注いでいきます。誌面ではご紹介できなかったこぼれ話をこちらのQRコードから動画でご視聴いただけます。L［実践］理念経営Labo2022SPRING31

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松下幸之助の経営哲学「悲運」の少年松下、「強運」の青年松下なぜ「自然の理法」に従うべきなのか①川上恒雄（PHP理念経営研究センター首席研究員）写真撮影：貝塚裕本シリーズは、松下幸之助の経営理念や、経営者としての姿勢の背後にある固有の経験、そしてそれによって形成された世界観や人間観を考察することにより、幸之助の経営哲学の特徴を浮き彫りにする。まずは、幸之助の経営論の中でも不可欠だがむずかしいといわれる「自然の理法」に焦点を当ててみたい。幸之助によると、会社経営には経営理念が大切だが、その根底には「自然の理法」がなくてはならない。また、経営者は素直な心を持つべきだと主張する半面、それは「自然の理法」に順応する心であるともいう。しかし、そもそも「自然の理法」とは何なのか、幸之助の経営書を読んでも判然としない。それに、特段「自然の理法」という概念を使わずとも、幸之助の経営論は成立しているようにみえる。にもかかわらず、なぜ幸之助は繰り返し、「自然の理法」に従うべきだと訴えたのか。幸之助の経営者としての側面にとどまらず、むしろ人間としての側面に焦点を当てることで、その解明を試みる。『実践経営哲学』で頻出するキーコンセプト松下幸之助の数ある著作の中でも、1978年刊の『実践経営哲学』（PHP研究所）は、経営についての考え方がよくまとめられている。全20項目から構成され、最重要と考えられる最初の項目が、「まず経営理念を確立すること」。また、劣らず重要と思われる最後の項目には、「素直な心になること」と記されている。幸之助は実際、経営理念と素直な心について、他の著作でもその重要性を繰り返し訴えているので、最初と最後で強調されているのはある意味、当然のことといえよう。しかし、テキスト全文を通読してみると、それとは別に、「自然の理法」「自然の理」「自然の摂理」といったひんしゅつ表現が頻出していることに気づく。同書の5番目の項目に「自然の理法に従うこと」とあるので、その項目内では当然、繰り返し使われているのだが、全体の半分以上は他の項目内で用いられている。幸之助の経営論を理解するには、「自然の理法」はキーコンセプト（重要概念）であるということだ。あまたそれにもかかわらず、幸之助に関する数多の解説文献に「経営理念」や「素直な心」という言葉はみられても、「自然の理法」に言及している文献はかなり少ない。一見すると、経営とは何ら関連のない概念と理解されるからだろう。そもそも「自然の理法」とは、同書の中ではどのように説明されているのだろうか。「天地自然の理法に従った経営などというと、いかにもむずかしそうだが、たとえていえば、雨が降れば傘をさすというようなことである。雨が降ってきたら傘をさすというのはだれでもやっているきわめて当然なことである。もしも、雨が降ってきても傘をささなければ、ぬれてしまう。これまた当然のことである。そのように当然のことを当然にやっていくというのが私の経営についての行き方、考え方である」（文庫版46ページ）加えて、次のようにも述べている。「私のいう“天地自然の理に従った経営”というのは、当然なすべきことをなすということである。それに尽き32［実践］理念経営Labo2022SPRING

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松下幸之助の経営哲学るといってもいいかもしれない。その、なすべきことをキチンとなしていれば、経営というものは必ずうまくいくものである」（同前、47～48ページ）以上の引用によると、「自然の理法に従うこと」とは、雨が降れば自然と傘をさすように、経営も、当然やるべき基本中の基本を徹底すべきだということである。幸之助が「自然の理法」を特に強調するようになったのは、1964年の東京オリンピック後の「昭和40年不況」のときである。多くの会社の経営が、過剰投資やそれに伴う銀行からの多額の借り入れ、経営の多角化の失敗などによって傾いた。幸之助によると、好景気がいつまでも続くはずがないのに、実力以上の無理な経営をやっている、つまり「自然の理法」に反した経営を行なっている会社が多いという。しかしその趣旨は理解できても、「自然の理法」という「いかにもむずかしそう」な表現を使って説明することの必然性は感じられない。「基本的な原理原則に徹せよ」とでも表現すれば十分だ。それでもなぜ、幸之助は「自然の理法に従うこと」にこだわったのか、非凡な経営者であるだけに興味深い。もっとも、「自然の理法」については、幸之助が自身の宇宙観や人間観を展開している『人間を考える』（PHP研究所）の中でたびたび言及されている。しかし、依然として「自然の理法」の存在あるいは働きが前提とされているので、それに従わなければならない理由を、具体的な経営実践の文脈に落とし込んで理解することはむずかしいのである。己の身分を知る選択できない未来そもそもなぜ幸之助は、目には見えない「理法」のような存在を信じるようになったのか。こうした問いを立てると、幸之助が何らかの宗教や精神世界の影響を受けたのではないのかと探りたくなるが、その前に、まずは幸之助が22歳で独立する頃までの若き日の経験に目を向けたい。人間誰しも、その頃の経験や社会化が、のちの人生観や世界観を少なからず規定するからである。幸之助はみずからの人生について、10代の頃までのでっち境遇（とりわけ9歳から15歳までの丁稚時代）と経営者として活躍する現在の境遇とを対比して振り返ることが多い。世間的に見れば、前者は「どん底」「悲運」であり、後者はその逆だというのである。そして、前者から後者への転換に成功できたのは、自身の努力も多少はあったかもしれないが、そもそもそのようになる「運命」であったと語っている。たとえば、少しでも前の時代に生まれていれば電気の仕事にかかわることもなかっただろうし、仮に会社経営者になったとしても、戦争が起こらなければかなり異なる道を歩んだはずだと述べている。経営者としての成功を「運命」に帰することは一面、みずからの経済的成功をひけらかさない幸之助の謙虚さを示しているという見方もできるが、そんなに単純なものであるとはいえない。幸之助が「どん底」「悲運」と表現した自身の社会的境遇を明確に意識したのは、10歳のときに五代自転車商会に奉公を始めてからのことである。幸之助のような丁稚と学校に通っている子供とのあいだには、越えることのできない壁があった。「小学校さえ中途で奉公に出たわたしにとっては、学校・学生姿というものが、やはり大きな魅力だったのです。ことにわたしが奉公していた自転車店のお向かいの家には、わたしと同じ年の男の子がいて、寒い朝、わたしがまっかになった手をふうふう息であたためながら、ほうきを使い、冷たい水で家の表のふき掃除をしているとき、『行ってまいります！』と、元気な声を投げて学校へ出かけていたのです。わたしは、思わずふき掃除の手を止めて、そのうしろ姿を見送りながら、なんとはなしに小さなため息をついたものでした。学校へ行きたい――という気持ちはひどく切実であり、そのうらやましさは、いうにいえないほどだったように思います。そのたびに、わたしは、われとわが身をしかり、慰めて、『身分がちがうのだ。望んでもかなわないことだ。あ［実践］理念経営Labo2022SPRING33

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きらめなさい』と、心のなかでいい、手を切るような冷たい水でぞうきんをしぼったものでした」（『若さに贈る』PHP研究所、新書版33ページ）幸之助は少年ながらも、社会における格差の現実を痛いほど知るのであった。やがて自分は将来の職業を選べるような境遇にはなく、商売の道で生きていくこと以外ていねんに選択肢はないのだという諦念を持つようになる。自分は死なない事故と病の「強運」ところが、10歳から15歳までの少年時代のあいだに五代自転車商会で商売の世界を知るにつれ、野心が芽生えてくる。幸之助が丁稚奉公をしていた頃の大阪は栄華を誇っていた。「東洋のマンチェスター」と呼ばれ、や1905（明治38）年、五代自転車商会の店主夫人と当時10歳の幸之助がて「大大阪」へと発展しようとしていた頃の時代である。街には路面電車が走り、私鉄の開通も相次ぐ。自転車がようやく普及し始めた時代ではあったものの、幸之助には、人々の移動手段が劇的に変わることが感じられた。電力を使った新産業の勃興のうねりが目に見えて感じられる大阪で商売をしていれば、電気の世界に魅力を覚えたのも無理はない。でんとう大阪電燈で配線工としての職を得たいとの思いが募っ歳の幸之助は、小売業から問屋業に発展していたいそうろう五代自転車商会を半ば無断で離れ、義兄の家に居候する。けれどもすぐには大阪電燈に採用されず、一時的に義兄の勤務するセメント会社で臨時工として働くことになった。勤務地は大阪の築港から蒸気船で渡った埋立地である。この蒸気船での通勤最中にも思いもかけないことが起こった。船上で足を滑らした船員に巻き込まれて、海に落ちたのである。季節が夏であったことと、気づいた船が助けに戻ってきたことで、なんとか助かった。他人のせいで落ちてしまったうえに、船が気づかなければ死んでいたかもしれない事故である。それにもかかわらず、幸之助は憤慨も悲嘆もせずに、「ほんとうに運がよかった」と思ったという。そしてさらに運がよいことに、その後まもなく、大阪電燈に入ることができた。ちなみに22歳で独立した後にも、幸之助は事故に巻き込まれたことがある。交通事故だ。自転車で配達に回っていたところ、自動車と正面衝突して、5メートルほど飛ばされて電車の線路上に落ちたのだという。そこに電車が走ってきたが、数メートル手前で止まった。自転車はグシャグシャになっていたものの、幸之助はかすり傷一つなし。一般の人であれば、こんな交通事故に巻き込まれて運が悪いと思うはずだ。仮に相手に非があるにせよ、自転車運転には気をつけるべきだと反省するだろう。ところが幸之助はこのときも、「自分には運があるのだ」と考えたという。さらに幸之助は、病気を患っても強運だと思った。大けったん歳の頃、血痰を吐く。医者かはいせんら肺尖カタル、すなわち結核の初期症状であると診断され、養生を勧められる。しかし、幸之助にはもはや、養34［実践］理念経営Labo2022SPRING

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松下幸之助の経営哲学生のために帰る場所がない。幸之助は8人きょうだいの末っ子だが、その頃までに、両親のみならず、姉の2人を除いて亡くなっていた（その姉たちも幸之助が26歳のときまでに死去）。日給を得て生活するために、3日日休みをとりつつ働き続けざるをえなかったのである。初期症状とはいえ、当時の結核は不治の病であるとみられた。加えて病死をしている家族が多いため、幸之助は「次に死ぬのは自分かもしれない」と思い悩んだことだろう。ところが、まだ年齢が若く体力があったことも幸いしたのか、病状が極度に悪化することはなかった。依然として病弱ではあったものの、ひょっとしたら自分は容易に死なないのではないかと思ったという。幸之助は言う。「海に落ちて助かったのも、車と衝突してケガがなかったのも、また病気にかかって死ななかったのも、悪くとろうと思えばとれる。つまり、海に落ちるなどとは運が悪い、車と衝突するなどとは運が悪い、病気にかかったのも運が悪い。（中略）世間には、こういう見方もっとも、こうした確信は、幸之助が少年から青年へと成長するにつれ、社会を広く知るようになったことを反映している面もあると思われる。自叙伝『私の行き方考え方』（PHP研究所）には、大阪電燈で配線工として働き始めてから、様々な家や建物に工事に入ることで受けた印象やエピソードなどが記されている。つまり、いろいろな人の生活の実態を知り、丁稚奉公の頃とは異なって、必ずしも自分が社会の底辺に位置するわけではないことを認識したはずだ。さらに、とりわけ実業の世界では、学歴など持たずとも、経済的に成功している人が珍しくないことも知ったことだろう。事故や病気に巻き込まれても、生きていさえすれば、自分の努力と才覚で社会の上層に上がっていくチャンスはあるという思いが高まってきても無理はない。しかし、幸之助が非凡だったのは、こうした「みずからの意志と努力で物事を成し遂げていくことで成功への道がひらかれるのだ」という見方にとどまらなかったことである。成功を目指して努力する中で、いつしか「自然の理法」の働きを感ずることにもつながっていくことをする姿も少なくないのではあるまいか。しかし、私は、そういう見方はとらなかった。むしろ運が強いのだ、自分は死ぬような場合でも死なないほどの強い運をもっているのだ、というように考えた」（『人を活かす経営』PHP研究所、新書版162ページ）幸之助は奉公していた五代自転車商会を離れてから、セメント会社時代、大阪電燈時代、そして22歳の独立後にあって運の強さを感じ、人生に多少の苦難があっても乗り越えることができるはずだという確信をを、次回に論じる予定だ。L得たという。大阪電燈時代の幸之助（後列中央）［実践］理念経営Labo2022SPRING35

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「素直な心」研究会「素直な心」を現代的に再解釈マインドフルネスを手掛かりに研究会を発足昨年6月、ＰＨＰ研究所は、研修事業を担っている人材開発企画部長の的場正晃を中心に、「素直な心」研究会を発足した。松下幸之助が大切にした「素直な心」のあり方を改めて見直し、特にビジネスパーソンがどうしたら「素直な心」に近づけるのか、その現代的な方法を探究することを目指している。研究会のメンバーは、的場のほか、ＰＨＰ理念経営研究センター代表の渡邊祐介と同首席研究員の川上恒雄、そして外部識者として、精神科医で禅僧（臨済宗建長寺派林香寺たいしゅう住職）でもある川野泰周氏と、ベストセラー『キリンビール高知支店の奇跡――勝利の法則は現場で拾え！』（講談社）の著者として知ら年プランニング代表取締役の田村潤氏名。まず第1回の会合では、松下幸之助の考える「素直な心」について概念の整理をした。「素直な心」とは何かを理解しなければ、「素直な心」になるための実践方法も検討できない。幸之助の著作には、「素直な心」に関する説明が「寛容」や「愛」などの多様な表現でみられるものの、基本的には「私心にとらわれず実相を見極める心」であるとの理解で一致をみた。さらに幸之助によると、「素直な心」になるには、自分自身を客観視する「自己観照」の習慣が大切だと述べていることも注目された。「気づき」「受容」「自慈心」同年8月には研究会の第2回が開催され、今ビジネス界でも注目のマインドフルネスについて著作も出版されている川野氏から、そのマインドフルネスと「素直な心」の関係についての発表があった。写真提供：林香寺川野氏によれば、マインドフルネスとは、「今この瞬間の体験に注意を向け、評価をせず、とらわれのない状態で観ること」。そして、その2大要素が、「気づき」（アウェアネス）と「受容」（アクセプタンス）である。「気づき」とは、自分の中に入ってくる情報に対して細やかに気づく力を磨くこと。一方の「受容」とは、得た情報に対して善し悪しの判断をはさまずにいったん受け入れること。日常生活の中で「気づき」と「受容」の瞑想を繰り返すことで、自身の心に変化がもたらされてくるという。マインドフルネス瞑想を繰り返すことによって、自分のネガティブな側面や過去の苦しみ、将来への不安をだんだんと受け入れられるようになり、自分への慈しみの心が湧いてくることが重要だ。この自分への慈じじしんしみの心を「自慈心」といい、川野氏によると、アメリカでは「セルフ・コンパッション」と称して学術しゃか研究が進んでいる。ちなみに、釈迦ぼだいじゅが6年間の難行苦行を経て、菩提樹の下で瞑想をして得た悟りが、「自慈心」に相当するそうだ。では、マインドフルネスと「素直な心」はどのように関係するのだろうか。川野氏の説明を要約すれば、まず、瞑想によって気づきと受容を得ていく中で、自慈心が生まれてくる。すると、他人にも何かをしてあげたいという心が起こる。そんな心を皆が持てるようになれば、お互いを思いやる世界ができてくる。それを大乗仏教の世界では、「自利利他円満」と呼ぶ。この「自利利他円満」こそ、マインドフルネスの本質である。川野氏によると、幸之助の私心にとらわれない「素直な心」はマインドフルネスにも通じているのではないかという。研究会では川野氏の発表を受けて、「自利」についての議論が集中した。「自利利他」を「まず儲じりりたもうけてから人に施す」、つまり「自利→利36［実践］理念経営Labo2022SPRING

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他」というように考えやすいが、マインドフルネスにおいては、自分を慈しむ「自利」があればこそ、見返りを求めず他者のために行動できるようになると考える。つまり、いかに「自利」を行なえるかが重要であるとの理解を深めた研究会となった。素直な心共主体性をどう育てるか同年10月に開催された第3回会合では、田村氏が、業績不振を極めたキリンビール高知支店を、支店長として全国トップに引き上げたエピソードに触れながら、「素直な心」の重要性について語った。田村氏が高知支店の業績立て直しに成功したのは、理念の実現に向けて仕事をする姿勢を、支店の社員全写真撮影：白岩貞昭「素直な心」とマインドフルネスは近似する「気づく」（アウェアネス）存共栄自慈心が湧く世のため、人のため員が持つようになったからだという。寛容広い愛の心「受容」（アクセプタンス）それ以前は、支店の社員のモチベーションは低く、売上はライバル会社に引き離されるばかりだった。かつてキリンのシェアが大きすぎて、「積極的に売るな」という時代があったことも関係しているのかもしれないという。田村氏はまず、キリンビールを扱っている県内の飲食店に通っては、「キリンビールをどう思うか」と、何千人もの客に聞いて回った。すると、キリンビールが嫌いなわけではなく、その魅力を伝えきれていないことに気づく。そこで、「1人でも多くのお客様にキリンビールを飲んで喜んでいただく」という理念を掲げ、社員に徹底した。支店の売上を伸ばすという利己的な目的ではなく、「高知県民のために」キリンビールを飲んで幸せになってもらいたいという一心で営業活動をするようになると、次第にお客様の反応も変わってきた。それがまた、支店の社員のモチベーションを高め、結果的に県内におけるキリンのシェアがどんどん上がっていったという。ついには全国最上位の業績を上げる支店になった。以上の経験をふまえて、田村氏自フルネス自利利利他円満自己観照利他マインドは、他人や社会のためという善なる理念にコミットすることで、幸之助が「素直な心」について述べているように、社員が私心にとらわれずに行動できるようになったという。ただ、皆が善なる理念の実現に向かって動くようになるには、組織内で最初に行動に立ち上がる人物が出てこなくてはいけない。とはいえ、最初に手を上げることは、時間とエネルギーを費やすので、なかなかやりたがらないものだ。その対策として田村氏は、川野氏の紹介したマインドフルネスの研修プログラムを企業に導入することで、自慈心のある社員が育ち、理念を主体的に考えて行動できるようになるのではないかという。田村氏の発表後、責任転嫁をする経営者や社員が多い中、どうしたら高知支店の社員のように、「素直な心」になって理念の「自分ごと化」をできるのか、活発な意見が交わされた。田村氏も川野氏も、会社の仕事と禅の修行という背景の相違はあるものの、理論や知識の習得にとどまらず、実践を通して体感するプロセスが重要であるという点で意見が一致した。当研究会では今後、さらに多くの企業で働く人たちの具体的な事例を参考に、現代的な視点から「素直な心」になるための方法を検討する予定である。研究会での議論を踏まえた動画を公開中！今後も順次、追加していきます。ぜひご視聴ください。L［実践］理念経営Labo2022SPRING37

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経営マインド探訪日本の企業経営に忍び寄る危機大平浩二（明治学院大学名誉教授、新潟産業大学特任教授）岐路に立つ現代の企業経営。日本経済を導いた経営者たちの考え方をひも解き、今に求められる指針を見出す「この30年間で経済成長は低いままだし、給料も上がっていない」と聞くことが多くなった。私もまったく同感であるが、もう少し別の角度で、経営者の理念や哲学といった“経営マインド”の視点から企業経営について思いをめぐらせてみたい。日本の産業界を牽引した“経営マインド”「私の専門は経営学です」と言うと、さぞや企業経営に詳しいだろうと思われ、「経営を立て直すためにお知恵をお借りしたい」と言われてとまど大いに戸惑ってしまうことがある。だが、経営学といっても私の場合、企業経営の歴史やあり方を学問として究明するものであり、将来予想などができるものなら、とっくの昔に貧乏学者を卒業しているはずである。というわけで、明日の経営戦略を妄想するよりも、昔のことを追想することのほうがよっぽど性に合っている。今回のテーマで少し考えてみても、渋沢栄一はじめ、松下幸之助、小倉昌男、そして稲盛和夫なけんいんど、日本の産業界を牽引してきた人きらごと物が、綺羅星の如く浮かんでくる。このような偉大な経営者はもちろん他にもたくさんおられるのだが、彼らは皆それぞれの時代を背負い、その中で自分の思想・哲学を生み出した。そして、それが私たちの社会に還元されて、大きな財産となっている。時代がこのような偉大な人たちを生み、また彼らが時代をつくってきたともいえる。この方々に共通している点がある。それは企業経営についての合理的かつ科学的な思考と、さらにそれを超えた世界を見る目の双方を兼ね備えていることである。例えば、渋そろばん沢栄一「論語と算盤」、松下幸之助「世界的にも早い時期での事業部制の導入と、日本人の豊かな生活の希求」、小倉昌男「宅急便というビジネスモデルの構築と、生きた福祉経営の実行」、稲盛和夫「セラミックという先端技術の開発と、みずからの哲学の実践」という具合に。それぞれの2つの側面は、「経営の合理的側面の訴求」と「各々の心の中に秘めた思い」を表しているといえるが、この人たちの偉大さの源は、後者の「思い」、すなわち“経営マインド”のほうにより多くあったと思うのである。経営についてみる際、私たちは往々にして会社の業績（数字）に目を向けがちであるけれども、自分の思いを形にしようと苦悩したそのプロセスにもっと目を向けるべきではないだろうか。数値化への偏重が感性を死滅させる私は今、この“経営マインド”、つまり経営者の理念や哲学が大きなひんし危機に直面し、瀕死の状態にあることを心配している。それをもたらしているのは、今日の世界経済にじわじわと忍び寄る流れ、とりわけ企業経営に対する行きすぎた“数値化による評価”である。この“数値化による評価”の最たるものには、「ROE」（自己資本利益率）といった経営指標があるが、最近では環境、社会、ガバナンスへ（投資）などが加わり、新聞やビジネス雑誌でもざた盛んに取り沙汰されている。これらの数値が表しているのは、10年後の企業像ではなく、今期、いや四半期の業績にすぎない。今や、それらを重視する「もの言う株主」のあまりに強烈な物言いに、多くの経営者がそちらのほうをせんせんきょうきょう向いて戦々恐々としている気がする。もちろんその一方で、企業と共に長くつき合い、共に成長しようとする投資ファンドがあることも忘れてはなるまい。企業経営では、科学的な知識と“経営マインド”の両方が合致してはじめて豊かな成果が生まれると私は思っている。双方のバランスが肝心だ。しかし今の経済や経営においては、過度な実証的数値化が進みすぎているように思えてならない。それによって、人間の創造力の源泉であきそんの危る“経営者のマインド”が毀損38［実践］理念経営Labo2022SPRING

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経営マインド探訪機にある。数値に振り回されると、人間の“感性”、そして“マインド”は徐々に鈍くなり、最後には死滅してしまう。企業経営も科学の研究も、そして芸術も“感性”が命であることを忘れてはならない。ただ一つだけお断りしておくが、私はなにも古いだけの知識や過度に精神主義的な評価を残すべきといっているのではまったくない。産業構造が常に変化し続けなければならないのは当然のことである。しかし、その根底には人間と社会に対する変わらない“マインド”が必須だと思っている。試行錯誤によってマインドが熟成する先述の偉大な経営者に共通する特徴がある。それは、それぞれの考えを無理やり数値化やデータ化したり、あるいは検証したりなどしていないということだ。私が思うに、自分たちの思索を自分の中だけに留めないで、自分の周りの時空を超えた広い世界との対話を通して熟成してきた、ということである。ここに、“経営マインド”の持つ深さと難しさがある。経営の合理化（効率や能率）が前向きのポジティブな印象を与えるのに対し、自分の思いの実現に向けて試行錯誤しながら苦悩することは、決して格好いいものではない。企業経営に限らずどの分野にも共通するこうした苦しみを、200年前のイギリスの詩人であり医師であったJ.キーツは、“ネガティブ・ケイパビリティ”（不確実なものや未解決のものを受容する能力）と呼び、創造における不可避的なプロセスと位置づけた。そうした観点からいえば、先述の方々ほど有名ではないが、現代の経営において科学とマインドの双方のバランスをうまく合致させた人物として、香川県にある清酒メーカー・勇心酒造の徳山孝社長を挙げることができる。徳山氏は長年の思索の結晶である「生かされている」という哲学を土台に、日本の伝統的な発酵技術と近代科学の成果をうまく合わせて、そこから新しい皮膚の水分保持能（ライスパワーエキス）を発見した。まさに、伝統の知恵にもとづごういつく創造と科学の合一といえる。また、作家、映画プロデューサーとして活躍する小倉美恵子氏は、著すわ書『諏訪式。』（亜紀書房）の中で、伝統のマインドと新しい技術の「合わせ技」によって長野の諏訪地方の経営者たちが“マインドフル”な特徴を持っていることを示している。とうや“マインド”を形成し、陶冶する姿勢は、子供の頃からの自然との対話や多くの人との交わり、失敗からの学びなどによって、長い時間をかはぐくけて育まれる。私が『日本経済新聞』の連載「私の履歴書」を好んで読むのは、経営者のそのような生い立ちからの経緯が示されているからにほかならない。生い立ちからの経緯を知ることによって、その人物の人柄がわかってくる。主体性を持った「もの言う経営者」にこのように長い時間をかけて自分の背景（自然観・社会観）をしっかりと築き上げ、いかなる事態にも覚悟を持って臨む姿勢をつくることが、やがては企業経営における土台と柱になるのだと思う。私はこうした背景を「主体性」と呼んでいる。主体性を持った経営マインドを示す好例として、京セラ創業者の稲盛氏の言葉を紹介しよう。同社がニューヨーク証券取引所に上場したことに関して、稲盛氏は次のように語っている。「『われわれは株主の利益を最も大事にします』ということを、京セラの経営陣は１回も言ったことがありません。京セラという会社は、“全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類社会の進歩発展に貢献する”ことが目的であると言い続けてきましたが、アメリカの投資家の皆さんから一言も批判はありませんでした」“主体性を持った経営マインド”はその人の全人格であり、数字で示されるものではない。数字はあとからついてくるものであって、この順序を間違えてはならない。主体性を持ってはじめて、「もの言う経営者」になれるのである。先行きが見通しにくい現代だからこそ、経営者が主体性を養い、数字だけでは見えてこない世界へマインドを向けることが、ますます重要になっていくのではないだろうか。Lおおひら・こうじ大平氏の最新刊『見えないものを見る力』2022年、PHP研究所刊定価：1,760円（10％税込）1951年生まれ。明治学院大学経済学部専任講師、助教授、教授を経て、現在名誉教授。ケルン大学客員教授（1991〜92年）、2021年より新潟産業大学特任教授を務める。専攻は経営学説史、経営組織論。経営哲学学会会長、日本経営学会理事等を歴任。［実践］理念経営Labo2022SPRING39

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プロ・ファシリテーターが斬る!!組織づくり・人づくりのヒント“Why”が人のやる気を駆り立てるPHP研究所人材開発企画部長的場正晃PHPでの長年の現場経験をもとに、組織や人材開発に役立つ情報をわかりやすく解説やる気は、すべての活動を前進させるために必要なエンジンの役割を果たします。ところが、米国ギャラップ社の調査（2017年発表）によると、やる気の指標の一つであるエンゲージメント（仕事や所属組織への愛着心、思い入れなど）が、日本では非常に低いという結果が明らかになっています。どうすれば従業員（部下）のやる気を上げることができるのか、内発的動機づけという観点から、そのポイントを考えてみたいと思います。「目的」と「目標」ＰＨＰ研究所が提供するマネジメント研修では、ミッションの重要性を理解することを学習の主眼としています。研修の中で、受講者である部・課長の方がたに「あなたの部門のミッションは何ですか」という問いを投げかけると、「今期〇億円の販売計画を達成すること」「新卒者を〇〇名採用すること」「不良率を〇％低減させること」といった答えが返ってきます。現場の第一線で部門を率い、成果獲得のために奮闘している部・課長の方がたですから、自分とチームが果たすべき役割と業務について詳細かつ雄弁に語ることができます。しかしながら残念なことに、彼らが語っている内容の大半44なはミッションではなく、業務目標のです。ミッションとは、部門（事業）の果たすべき使命・存在意義を明文化したもの、つまり「何のためにわが部門があるのか」「何のためにこの事業を営むのか」といった根本的な44目的を表現したものですが、それを語れる部・課長が驚くほど少ないのです。目的が人の心に火をつける人の心に火をつけるのは、目標ではなく目的です。内発的動機づけのヒントを与えるメタファー（比喩）としてよく引き合いに出されるのが「3人の石工」という寓話です。石を切って積み上人の石工に対して、何をしているかを聞くと、1人めは「生計を立てている」、2人めは「石切りの最高の仕事をしてい図ゴールデン・サークルWhy•何のためにするのか（目的、意味）HowWhat•どのようにするのか（方法、理論）•何をするのか（商品、サービス）WhyHowWhatサイモン・シネック［著］栗木さつき［訳］『WHYから始めよ！インスパイア型リーダーはここが違う』（日本経済新聞出版）P45の図より作成40［実践］理念経営Labo2022SPRING

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組織づくり・人づくりのヒントる」、3人めは「教会を建てている」とそれぞれ答えました。3人とも同じ作業をしているのですが、何を目的とするかによって、取り組む際のエネルギー量が異なってくるという教訓を示しているのです。米国のコンサルタントサイモン・シネックは著書『WHYから始めよ！インスパイア型リーダーはここが違う』の中で、「崇高な目的をもって出社する社員は、困難に耐えられるし、困難に直面したときにこそチャンスを見つけることができる」と述べています。結局、人は「何のために」という目的によって、動機づけられ、やる気や主体性を発揮する生き物なのです。人を動機づけるフレームワーク「ゴールデン・サークル」目的によって人を動機づけるマネジメントのために、シネックが提喝したコンセプトが「ゴールデン・サークル」です。ゴールデン・サークルとは、物事の本質を説明するためのフレームワークで、Why、How、Whatの３つの円で構成されたものです（前ページ図）。従業員（部下）に対して、何をすべきか（What）を提示しているリーダーは多いでしょう。しかし、それをやるための方法（How）まできちんと伝えているかと問われたら、どれほどのリーダーが「できている」と答えられるでしょうか。さらに、それをやる目的、意味（Why）を自分の言葉で語っているかと言われたら、ほとんどのリーダーが「できていない」と答えるのではないでしょうか。日本企業の社員のエンゲージメントが高まらない理由もここにあるように思われます。Whyにこだわる職場風土づくりを部門や事業のWhyにこだわり、それをチームで共有するところから、働きがいのある職場風土が醸成され、働く一人ひとりのやる気が高まるでしょう。そこで大切なのが、チームを牽引するリーダーが、部門（事業）のWhyを明らかにし、自分の言葉で語り続けることです。ただ、自分の考えを発信したら、それで完了ではありません。フォロワー（部下）たちが、そのメッセージをどのように受け止めたか、双方向のコミュニケーションによって確認する作業が必要になります。個人の価値観は人によって様々ですので、リーダーから発せられるメッセージに対する反応も一律ではないでしょう。そこで、対話を繰り返しながら、各人の価値観と部門が掲げる価値観の接点を探るのです。地道な取り組みを重ねてチームと各人のWhyのすり合わせが成功すれば、個の成長と組織の発展が同時に実現するような職場風土が醸成されるでしょう。＊PHP研究所では、エンゲージメントを高めるための考え方と手法を学ぶ、各種マネジメント研修を提供しています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。まとば・まさあき1990年、（株）PHP研究所に入社し、研修局に配属される。以後、一貫して、PHPゼミナールの普及、および研修プログラムの開発に取り組む。2001年から2003年まで神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得する。中小企業診断士。著作に『“強い現場をつくるリーダー”になるための5つの原則』（PHP通信ゼミナール）。LPHPゼミナール課長研修マネジメント革新コース「与える」マネジメントから「引き出す」マネジメントへ本セミナーの特徴課長職（ミドルマネジメント・中級）管理職を対象とした公開型セミナー。「与える」から「引き出す」へ、マネジメントを革新します。新任課長の昇格時研修、既任課長のフォロー研修に好評です。研修のねらい部下と組織の力を「引き出す」マネジメントの3つの条件①他を頼るのではなく自らの責任で課題を達成しようとする「使命感」②部下や周りの人材の意見に耳を傾ける「素直な心」③部下の可能性を信じる「人間観」対象受講料定員期間肯定的な人間観使命感を共有し、素直な心で衆知（多くの意見・考え方）を集め、肯定的な人間観で人を見ることが「引き出す」マネジメントの要諦です。実施要項総学習時間課長職の方々※一つのまとまった組織を運営し、組織としての成果を最大化することが求められている方々77,000円（税込）※1資料代［集合研修は昼食代］含む※2「社員研修VA+」会員は10％割引集合研修：18名オンライン開催：25名※1開催1社5名まで2日間詳しくはウェブサイトをご覧ください引き出すマネジメント使命感14.5時間素直な心［実践］理念経営Labo2022SPRING41

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BOOKS〈知をひらく〉～経営の着眼点～デジタル破壊の先を見据えて―今立ち戻りたい日本独自の商業倫理―老舗ジャーナリスト前川洋一郎矢作敏行『コマースの興亡史―商業倫理・流通革命・デジタル破壊』2021年、日本経済新聞出版刊定価：3,850円（10％税込）本書は、著者の50年に及ぶ研つむこんしん究から紡ぎ出された渾身の作である。グローバルな視点で、日本の近世から現在に至るコマース史をふかん俯瞰し、各時代の経営革新行動を可能とした共通要因が何だったのか、商業者なら誰もが知りたい本質に迫る。本議論のベースにあるのが、商業史の「3つの分水嶺」だ。①19世紀初めの「百貨店と消費生活共同組合に代表される商業の近代化と商業倫理の確立」、②20世紀初めの「仕入れと販売の分業によって生まれたチェーンストアの流通革命」、③21世紀初めの「eコマースの台頭とデジタルの破壊的創造」である。日本の商業がなぜかくも円滑に近代化できたのか、戦後復興の中、なぜ日本は流通産業化に成功したのか。それらの答えは、西欧よりも早く江戸時代に確立した日本独自の商業倫理にあると結論づける。そして、今やデジタル社会の到来により、巨大ＩＴ企業が各分野で独り勝ちしている不平等な環境や個人情報が保護されていないことに強い危機感が示されている。同時に、これらの問題を解消し産業が発展していくためには、デジタル社会における実店舗の必要性を再確認している。本書全体に通底するのが、商業倫さかのぼっあると考えており、そこまで遡て、倫理と商業がどのような関係にあるのか、より広く考えてみるのも面白いと思う。インターネットの普及により、リアルで商品を「交換」するという習慣が変わりつつある今、新しい商業倫理というだけでなく、そこに日本人らしい倫理観というものが、求められているのではないだろうか。本書はそれを考える好著である。本書の議論の延長として、私がこれからの若手研究者に期待したいのは、産業革命史とコマース興亡史の連関である。①石炭燃料による軽工業の機械化、②石油燃料による重工業の機械化・大量生産化、③コンピュータとインターネットによる単純化作業の自動化、④現在に至るAIやIoTを利用した高度な知的活動の自動化。これら4度の産業革命と「3つの分水嶺」とを交差させたとき、産業構造全体のダイナミックな流れを俯瞰することができるのではないだろうか。こうした期待も、これだけの精緻な検証を本書で読めたからのことである。それほど読みどころ満載の大著を著者は、「1冊で数冊分の学びができるコスパが売り」と謙遜している。とんでもない。この1冊を読破すれば、今日のデジタル・コマースの行く末が見え、新しい資本主義への道筋もきっと発見できる。コスパ以上の価値がある1冊である。L理とそれを体現した近代化・産業化の担い手たちだ。著者は、ヨーロッパの商業近代化の前提として、ものの交換を通して公正さや慈恵心が生まれるという、経済学の祖アダム・スミスの洞察に注目する。コマースの興亡史が、商業倫理の確立と表裏の関係にあるとするのはとても興味深い。第2章で、「第2次世界大戦後の急速な流通産業化は、そうした日本独自の商業倫理確立のプロセスの上に成り立っており、江戸から明治・大正を経て昭和の時代に至る一本の明確な道筋が通っている」（P54）と論じる。私はさらに、近江商人や江戸商人、船場商人の持つ倫理観の根底には、中世の武士道・奉公精神、聖徳太子の「和」の精神がまえかわ・よういちろう1944年大阪府生まれ。神戸大学経営学部卒業後、松下電器産業株式会社入社。経営企画室長、ｅネット事業本部長、取締役などを経て2005年退職。高知工科大学大学院で学位取得後、大阪商業大学大学院などで教鞭をとり、現在は老舗ジャーナリスト、公益資本主義推進協議会理事。主な著書に、『なぜあの会社は100年も繁盛しているのか』（PHP研究所）がある。42［実践］理念経営Labo2022SPRING

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松下幸之助肉声講話＋PHP理念経営研究センタースタッフ解説PHP研究所公式チャンネルにて好評配信中！……ほか多数ご視聴＆チャンネル登録はこちらから→2022SPRING4-6（Vol.1）2022年4月27日発行発行人渡邊祐介編集主幹川上恒雄編集長佐々木賢治発行所PHP理念経営研究センター［編集スタッフ］〒601-8411京都市南区西九条北ノ内町11番地TEL075-681-9166メールkenkyu1@php.co.jpURLhttps://www.php-management.com/長尾梓／時政和輝／桐本真理［編集・普及協力］的場正晃／櫻井済徳／石田賢司／川浪光治メルマガ登録受付中『［実践］理念経営Labo』に関する最新情報をお届けします（無料）。ご希望の方はこちらのウェブサイトよりメールアドレスをご登録ください。↓［デザイン／制作］朝日メディアインターナショナル株式会社@PHPInstitute,Inc.2022Allrightsreserved

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2022SPRING4-6（Vol.1）2022年4月27日発行ＰＨＰ理念経営研究センター多くの人々に影響を与えてきた名著、待望の復刊！本文よりＰＨＰ研究所編［新装版］松下幸之助日々のことば生きる知恵・仕事のヒント推薦サイボウズ社長青野慶久氏広島東洋カープ元監督緒方孝市氏１月１日本気になって真剣に志を立てよう。強い志があれば事は半ば達せられたといってもよい。７月４日謙虚さを欠いた信念は、うぬぼれや自己過信に通じ失敗をもたらす場合が多い。９月29日今が最善だと思っても、それは今日の最善であり明日の最善ではない。物事は日々進歩している。定価：1,320円（10％税込）ＰＨＰ研究所ISBN978-4-569-85162-4新書判、219ページ好評発売中！《担当編集者からのメッセージ》広島東洋カープの優勝を支え、若きベンチャー企業の危機を救った魔法の書。ページを開けば今、自分に必要なことばが必ず見つかる、あらゆる組織のリーダー必携の１冊です。

