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本内容はパナソニックの社員向け冊子を社外公開用にアレンジしたものです~勤務地「地球」のみなさまへ~Ver.12022.2発行

最近よく聞く「気候変動問題」や「CO2削減」。でも、そのために私たちは何をすればいいんだろう?この冊子は、パナソニックの気候変動問題への取り組みをまとめたものです。より良いくらしと持続可能な地球環境の両立に向けた、パナソニックグループの姿勢やアクションを知っていただくきっかけになればと考えています。2

その会社は、暗闇に光を届け、静寂に音を届けてきました。3

家事の負担を減らし、日々の楽しみを増やしてきました。4

快適な空間をつくり、安心なくらしを提供してきました。5

健やかな毎日をお手伝いし、自分らしく生きることを後押ししてきました。6

創業から100年の時を経て、いまでは世界10億人以上のお客様がパナソニック製品を使っています。*17

しかし、地球温暖化が深刻化する中で、私たちは、あることに気づきました。豊かであれば良かった20世紀から、持続可能な豊かさでなければ意味を持たない21世紀へ。時代が求める価値は大きく変化しているのです。8

いま、パナソニックが直面している課題は、一企業として、「社会の公器」として、どんな21世紀を歩んでいくかということ。それは、社員全員で取り組むべき大きなテーマです。9

パナソニックはモノづくり企業。世界約250カ所の工場で、たくさんのエネルギーを使い、大量のCO2を排出しています。パナソニックの約250の工場では、毎年約50億kWh相当のエネルギーを使用し、約220万トンのCO2を排出しています。これを風力発電でまかなおうとすると、1,600基以上の風車が必要となります。10

さらに、お客様がパナソニック製品を使用することに伴い排出されるCO2は、その約40倍になります。実は、お客様のもとで工場よりも多くのCO2が排出されています。パナソニックグループ全体のグローバルでの排出量は、日本全体のCO2排出量の約10%。これは、スカンジナビア3国(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク)の合計よりも大きく、国別のCO2排出量に当てはめると世界第37位となるほどです。11

環境を無視する企業は、きっと世界から無視される企業になります。環境への取り組みに消極的な企業は、商品の購入先、取引先、投資先として選ばれなくなる時代になりつつあります。サプライヤーに対して高い基準でCO2削減を要求する動きが、さまざまな大企業で続々と始まっています。また、就職先としても優秀な人材が集まらなくなるなど、企業としての存続さえも危うくなると予想されます。12

CO2をなくしていかないと、私たちの利益もなくなるかもしれません。企業のCO2排出に対して課税や上限枠の設定を行う「カーボンプライシング」の導入や、CO2排出に対する規制がゆるい国の商品に関税を課す「国境炭素調整措置」の検討がグローバルで進められています。CO2の排出や削減が金銭的価値で評価され始めたいま、この動きがさらに加速すれば、パナソニックも膨大なコストを支払い、利益が減っていく可能性があります。13

パナソニックが過去の企業になるか、未来の企業になるかは、私たちにかかっているのです。14

責任の大きさにだけ注目すると、大変な未来が待ち受けているように思えます。しかしパナソニックは、毎日10億人以上のくらしと社会のあらゆるシーンを支える会社。そして何より、社会課題の解決を志す人たちの集まりです。私たちなら、きっとできる。15

かけがえのない毎日のくらしが、ずっと続いていくために。気候変動問題に対して、どんな行動を起こしていくのか。いま、私たち一人ひとりに問われています。16

①・気候変動問題とは?・温室効果ガスとスコープ1・2・3・環境の位置づけが変わってきた投資・排出権取引制度・その他、企業経営面での変化・世界の動き・日本の方針気候変動問題と社会17

この1400年で、気候変動問題とは?いま、地球は過去1400年でもっとも暖かくなっています。いちばん世界中で気温や海水温が上昇し、氷河や氷床が縮小しています。こうした地球温暖化は、さまざまな気候の変動を引き起こし、熱波・大雨・干ばつといった異常気象につながっています。あつい地球。そして、それらは生態系をも変化させ、水資源や農作物など、私たち人間のくらしにも影響を与えています。今後も地球の気温はさらに上昇すると予想され、より深刻な影響が生じると考えられます。そんな気候変動問題の主な原因が「温室効果ガス(GHG)」です。もともと地球の温度を保つために不可欠なものですが、人間活動によって増えすぎてしまいました。中でも地球温暖化に及ぼす影響がもっとも大きいものが、温室効果ガスの7~8割を占めるCO2(二酸化炭素)です。石炭や石油の消費、セメントの生産などによって、大量のCO2が大気中に放出される一方で、大気中のCO2を吸収してくれる森林が減少。その結果、CO2は年々増加しているのです。フロン類など一酸化二窒素2.0%6.2%CO2メタン15.8%(森林減少や土地利用変化など)10.8%CO2(化石燃料由来)65.2%人為起源の温室効果ガスの総排出量に占めるガスの種類別の割合①気候変動問題と社会18

その温室効果ガスは、どこで生まれたんだろう?温室効果ガスとスコープ1・2・3温室効果ガス(GHG)の排出量が、世界中で重要な意味を持つようになりました。それに伴って国際的な算定・報告の基準が必要になり、生まれたのが「GHGプロトコル」。これは、スコープ1・2・3のカテゴリーに区分されていて、工場など自社での直接的な排出量だけでなく、原材料や輸送・配送、お客様ご購入後の製品使用時など、バリューチェーン全体から排出するCO2排出量を対象としています。スコープ1事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料燃焼、工業プロセス)スコープ2他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出スコープ3スコープ1・2以外の間接排出事業者の活動に(関連する他社の排出)原材料輸送・配送通勤燃料の燃焼電気の使用製品の使用製品の廃棄スコープ1・2・3の「先」?他社のCO2排出を減らす貢献のこと上記のスコープ1・2・3はいずれも、自社、サプライヤー、お客様という「自社バリューチェーンからの排出量」の話です。一方で、今後、重要になってくる考え方として、「自社活動により、他社バリューチェーンから排出されるCO2を削減する貢献」があります。たとえば、宅配ボックスは再配達を減らし、運送事業者のCO2排出を減らします。製造や物流の現場を効率化するソリューションは、顧客企業のCO2削減に貢献できると考えています。この領域でパナソニックの貢献を拡げていくことが、社会全体のCO2削減に直結していくのです。①気候変動問題と社会19

いま、環境問題はビジネス問題でもある。環境の位置づけが変わってきた環境問題は、いまに始まったことではありません。1960年頃から、公害や有害廃棄物など人間活動が生み出したひずみに人々が気づき始め、倫理的な視点から環境問題が注目されるようになりました。1990年以降は、自然や生態系を守るという、いわゆるエコと結びつきました。パナソニックが業界に先駆けて「環境管理基本方針(松下環境憲章)」(1991年)、「環境宣言」(1993年)を制定したのも、この時代。企業や消費者の良心と努力によって、さまざまなエコへの取り組みが行われ、商品やライフスタイルが変わっていきました。しかし、世界中で環境・エネルギー問題が深刻化。国連によるSDGs(持続可能な開発目標)の公表(2015年)や、世界が一致して温暖化対策に取り組むことを定めた「パリ協定」の発効(2016年)も、こうした流れを象徴するものです。そんな「環境は危機」という考え方のもと、2015年から、環境問題が資本市場と結びつくというまったく新しい変化を見せました。以前のような想いや取り組みだけでは不十分。責任の所在や情報公開など、よりはっきりとした形が求められることで、ビジネスの世界でもESG投資(21ページ)や排出権取引制度(22ページ)など、環境への取り組みがお金で評価されたり、お金と交換することが可能になったのです。1960年-第1次“環境は倫理”1990-2010年第2次“環境はエコ”2015年-第3次“環境は危機”・公害・有害廃棄物・自然環境保護・リサイクル・良心と努力14001・環境マネジメント・お得か否か資本市場との統合①気候変動問題と社会20

環境を無視する企業は、世界から2019年の「国連気候行動サミット」では、締めくくりのメッセージの中で、企業に対してより意欲的な行動を起こすことが求められました。グローバルな社会課題の解決に向けて、企業の果たす役割への期待はますます高まっており、ここ数年で社会から求められるものも大きく変化しています。その中でもとくに重要な「ESG投資」と「排出権取引制度」について見ていきましょう。ESG投資無視される。「ESG」とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字。この3つは世界が目指すサステナブル(持続可能)な社会の実現に関わる要素であり、企業の長期的な成長の基盤として、近年注目されてきたものです。とくにESGを考慮した投資「ESG投資」が、年金や保険など長期的な資産を運用する機関投資家を中心に広まり、その投資額はすでに4,000兆円と言われています。人権問題などさまざまな要素を含むESGの中でも、気候変動問題はとくに重要なテーマとして関心が高まっています。こうした問題にきちんと取り組み、投資家のみなさんに情報公開することが、これからの企業には不可欠。ESGに向き合わない企業は、長期的成長が望めないと投資家から評価され、資金調達が困難になってしまうのです。■ESG投資の高まりTotalassetsinenvironmental,socialandgovernanceandsociallyresponsibleETFs($bn)2015105ESGマネーは4,000兆円とも言われており、その大半は年金や保険などの長期の運用資金です。長期リスクの高い投資先を排除するために、ESGなどの「非財務情報」を投資先企業評価に組み込んだり、企業の行動変容を促すための働きかけや対話を重視する動きも広がっています。2006200820092010201120122013201420152016201720182019出典:EPFRGlobal©FT①気候変動問題と社会21

排出権取引制度温室効果ガス(GHG)に対する世界の考え方は、「排出している国や企業が責任を持つべき」というものが主流になりつつあります。それを現実的に支えていく仕組みが、決められた排出枠を国や企業がお金で取引できる「排出権取引制度」。それぞれの排出上限を決めて、上限以内におさまれば余った分を売却でき、おさまらなければ不足分を購入しなければならないというものです。すでに欧州などでは排出権の取引市場が整備されています。今後は国ごとに排出枠の設定などが行われ、国際取引市場が整備されていくでしょう。排出権がお金と同じように取引されるようになる日は、そう遠くはないと考えられます。欧州の取引市場における排出権の相場価格は、2021年9月時点で約60ユーロ(約7,700円)/トン。今後も上昇すると予測されています。もしこの価格でパナソニックのスコープ1・2排出量(約220万トン)を相殺するとしたら約160億円。さらにスコープ3排出量(1億トン以上)を相殺するとしたら8,000億円以上の費用となります。■排出権取引のイメージ購入決められた排出枠不足取引市場不足分を余剰実際の排出量A社B社余剰分を売却①気候変動問題と社会22

その他、企業経営面での変化それだけではありません。取引先からパナソニックに対してCO2フリー製造(納品する製品の製造工程でCO2を排出しないこと)の要望が増えています。一般の消費者の考え方も変化し、サステナブルな企業から商品を買うという「エシカル消費」が広まっています。毎日のようにテレビからSDGsという言葉が流れ、小学校でもSDGsを教える時代。今後、環境にやさしくない企業は、投資先、取引先、商品やサービスの購入先、さらには就職先としても選ばれなくなるでしょう。それは、あらゆる企業活動が立ち行かなくなることを意味しています。①気候変動問題と社会23

あの国も、この国も。世界の動き下の世界地図で赤く塗られた部分が示すように、すでに125カ国・1地域が2050年までのカーボンニュートラルをコミットしています。さらに、世界最大のCO2排出国である中国も2060年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。そうなれば、世界全体のCO2排出量に占めるこれらの国・地域の割合は65%以上となります。世界が目指す、カーボンニュートラル。そして、カーボンニュートラルを実現するために、欧州では、気候目標の引き上げや関連規制の見直しとともに、環境課題の解決を中心に7,500億ユーロの投資を柱とする「グリーンディール/グリーンリカバリー」がスタートしています。米国では、気候変動対策を重視するバイデン政権のもと、クリーンエネルギーのインフラなどに4年間で2兆ドルを投資する計画が発表されました。■2050カーボンニュートラルにコミットしている国125カ国・1地域(2021年4月時点)COP25におけるClimateAmbitionAlliance及び国連への長期戦略提出状況等を受けて経済産業省作成(2021年4月末時点)2050年までのカーボンニュートラルにコミットしている国・地域が全世界のCO2排出量に占める割合は39.0%。※ブラジルは気候サミット(2021年4月)において、2050年カーボンニュートラルを表明。①気候変動問題と社会24

ネルギー輸送・製造家庭・オフィス日本が取り組む成長が期待される14分野を規定、パナソニックの事業貢献の機会は多い30年まで1,000万kW、40年まで3,000-4,500万kW14分野。あなたの関わる分野はありますか?日本の方針2020年10月、日本政府が「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」と、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。さらに、それを後押しする産業政策として策定されたのが、水素社会への移行期で主力。30年まで火力の20%混燃依存度を低減しつつ安全性を向上させて活用(次世代革新炉で国際協力)50年までに代替化(燃料電池船、EV船、ガス燃料船等)「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」。成長が期待される14の産業分野で具体的な目標を掲げるとともに、その実現を目指す企業を後押しすることになりました。コンクリート、バイオ燃料、人工光合成樹脂、排気中CO2の分離回収それら14分野の多くは、パナソニックが直接的・間接的に関わっているもの。つまり、これから日本が国を挙げて挑む環境への取り組みにおいて、パナソニックが貢献できる機会がたくさんあるのです。2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略エ1洋上風力23456789燃料アンモニア水素原子力自動車・蓄電池半導体・情報通信船舶物流・人流・土木インフラ食料・農林水産利用(タービン、トラック)、輸送、製造(水電解)50年まで2,000万トン30年代半ばまでに新車を電動車100%実現。商用車も検討蓄電池LC-CO2見える化、材料の倫理調達、リユースの国際標準化家庭用電池の性能ラベル開発・標準化、調整力市場参入の制度設計30年DX24兆円、需要効率化(データセンター)、省エネ半導体新技術活用のCO2排出の少ない輸送システム導入促進自転車活用:自転車通行空間の整備や自転車活用の促進走行中給電技術の研究支援。EV充電器の公道設置も含め検討クリーンエネルギーの創出モビリティの変革モビリティの変革スマート農業、高層木造建築、海域貯蔵炭素の活用(ブルーカーボン)クリーンエネルギーの活用(蓄電、エネマネ)現場プロセスの変革1011航空機カーボンリサイクル電動化(装備推進系)、水素、軽量化・効率化、バイオ燃料モビリティの変革121314住宅・建築物/次世代型太陽光資源循環ライフスタイルエネマネ(AI・IoT・EVを活用)、LC-Cマイナス建築、ZEH・ZEB、住宅の省エネ、木造建築、高性能建材・設備、次世代型太陽電池リデュース、リニューアブル(バイオプラ等)、リユース、リサイクル、排ガス活用・固定化、廃棄物発電、熱利用、バイオガス住まい・移動のマネジメント(省エネ機器、地域再エネ、EV/FCV)、ナッジ・デジタル化・シェアリングによる行動変容、科学基盤充実サーキュラーエコノミーモビリティの変革エネルギー効率の追求空間ソリューション、エネマネ、省エネロス削減※青文字:とくに関係が大きいと想定される領域パナソニックの事業貢献の機会①気候変動問題と社会25

②・パナソニックの電力使用量・パナソニックのCO2排出量・パナソニックのスコープ1・2・3・カーボンニュートラルに向けたパナソニックの事業貢献・2030コミットメント・パナソニック環境ビジョン2050・「エネルギーの逆転」に必要なことパナソニックの課題と取り組み26

パナソニック製品は世界中で電気を3兆円分使っています。パナソニックの電力使用量現在、10億人以上の人々に使われているパナソニック製品。年間で販売される製品の消費電力を合計して、日本円に換算すると約3兆円にもなります。温室効果ガス排出量世界TOP100気候変動問題が深刻化する中、投資家が投資先企業の財務リスクを管理するために、温室効果ガスの排出削減や気候変動対策に関する情報開示などを求める必要性が高まってきました。そうした中で2017年12月にスタートした5年間のプロジェクトが、「ClimateAction100+」。これは、世界各地域の機関投資家と国連PRIが連名で、温室効果ガス排出量の多いグローバル企業100社に対して、協働エンゲージメント(企業との対話)を通じて気候変動への対応を求める活動です。2021年6月現在、対象企業は167社(日本は10社)。パナソニックはそのうちの1社として、地球規模の温室効果ガス削減に大きな使命を負っています。日本企業10社エンゲージメント対象企業より一部抜粋ClimateAction100+公開資料をもとにQUICKESG研究所作成©2018QUICKCorp.AllRightsReserved.②パナソニックの課題と取り組み27

パナソニックのCO2排出量■CO2年間排出量2019年実績パナソニックが1年間に排出するCO2の量を簡単に算出することはできませんが、1年間に販売された製品が廃棄されるまでに排出するCO2の量で、おおよその目安を知ることはできます。その量はスコープ1・2・3をあわせて約1.1億トンにものぼります。日本約12.1億トンパナソニック(グローバル)約1.1億トン世界のCO2排出量は約335億トンそのうち電力消費によるCO2排出量は約84億トン。つまり、世界の電力消費によるCO2排出量の1%以上は、パナソニックが排出していることになります。*2■世界のCO2排出量(国別排出割合)出典:EDMC/エネルギー・経済統計要覧2021年版それは、日本で排出されるCO2のおよそ10分の1に匹敵する量。もしパナソニックがひとつの国だとすれば、世界37位に相当します。これは、スカンジナビア3国をあわせたよりも大きな量。パナソニックがいかに多くのCO2を排出しているかがわかります。フランス0.9%イタリア0.9%イギリス1.1%オーストラリア1.1%ブラジル1.2%メキシコ1.3%インドネシア1.6%カナダ1.7%韓国1.8%ドイツ2.1%その他28.3%2018年世界CO2排出量合計約335億トン②パナソニックの課題と取り組み28日本3.2%ロシア4.7%インド6.9%中国28.4%アメリカ14.7%

80%ものCO2が販売後に出ています。それも私たちの責任です。パナソニックのスコープ1・2・3パナソニックは世界に約250の工場があり、約50億kWhの電気を使っています(2020年度)。これをCO2に換算すると、約220万トンにもなります。スコープ1・2がこれにあたります。しかし、前ページでもご紹介したように、スコープ1・2・3をあわせたパナソニックグループ全体で排出されるCO2は約1.1億トン。つまり、工場から排出されるCO2は全体のわずか2%程度にすぎません。残りの約98%は「スコープ3」。そのうちの約80%を占めるのが、お客様が製品を使用する時に排出されているCO2です。つまり、工場で排出される約40倍ものCO2が、お客様への販売後に製品から排出されているのです。これはパナソニックがさまざまな電気製品をお客様に提供しているため。自動車業界と同様に、エネルギーを使用する製品のメーカーの宿命といえるでしょう。■パナソニックグループの「使うエネルギー」内訳※2020年度、CO2換算約1.1億トン工場220万トン調達1,656万トン製品の使用8,593万トンその他282万トンスコープ1・2スコープ3②パナソニックの課題と取り組み29

カーボンニュートラルに向けたパナソニックの事業貢献温室効果ガスの視点からパナソニックの事業を見渡すと、下図のようになります。CO2排出削減でパナソニックが果たせる役割は想像以上に大きいのです。電気の流れ水素の流れ排出削減量(は推定)温室効果ガス排出量排出資源の流れLH2排出削減AEV18012■設備省エネ支援■産業用モータお取引先工場工場商業施設複合ビル(オフィス、店舗)水力発電火力発電原子力発電洋上風力発電水素運搬船■太陽光発電ソリューション■再生樹脂循環■大気循環ソリューション■畜産換気ソリューション■業務用冷蔵庫/冷凍庫■店舗統合コントローラー■角形車載用リチウムイオン電池■円筒形車載用リチウムイオン電池■EVリレー■車載充電器■電動アシスト自転車中央集中型通勤/移動排出循環資源■純水素型燃料電池システム循環資源モビリティの変革運輸/移動家庭/業務お客様工場ファクトリーオートメーション現場プロセス変革■生産設備ソリューション■水循環ソリューション■土壌改良ソリューション■電子回路基板材料産業■実装機チップマウンタ()自律分散型再エネ水素■ルームエアコン■家庭用冷蔵庫■洗濯機■食器洗い乾燥機■薄型テレビ■ドライヤー■アイロン■家庭用電気シャワー■自然冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機■照明器具・システム水素ステーション排出削減排出削減排出削減排出削減排出削減■家庭用燃料電池■太陽光発電システム■創蓄連携システム■ガス自動検針・集中監視システム■蓄電モジュール■純水素型燃料電池システム1,738万トン調達/物流オフィス・施設■業務用空調機器■空調ソリューション■空質関連機器■真空断熱ガラス■ノートパソコン■プロジェクター空質空調ソリューションパナソニックによる温室効果ガスの直接排出(燃料燃焼、工業プロセス)他社からパナソニックに供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出スコープ1・2以外の間接排出(パナソニックの事業活動に関連する他社の排出)スコープ3220万トンパナソニックスコープ1・28,593万トン製品・サービススコープ3スコープ1スコープ2スコープ3クリーンエネルギースコープ3※円の大きさは温室効果ガス排出量の大きさを示しています※温室効果ガス排出量、排出削減量は、エネルギー利用量から温室効果ガスとして算出したものです②パナソニックの課題と取り組み30

CO2ゼロへの、スピードを上げよう。2030コミットメント2021年5月、パナソニックは、2030年までにグループの全事業会社の事業活動に伴うCO2排出量ネットゼロ化を実現することを宣言しました。スコープ1(事業活動からの直接の排出量)とスコープ2(光熱費等の間接排出量)が、その対象となります。省エネ+再エネ利活用+再エネ調達目標実現の手法としては、・省エネ取り組みの加速・自拠点における再生可能エネルギー利活用・再生可能エネルギー調達点。そのモデルケースのひとつが、スマートエネルギーシステム事業部草津工場。太陽光発電と水素燃料を使った新型燃料電池を軸に据えた発電システムを導入し、再エネ100%へ向けた実証を開始。その成果を踏まえて、今後、他の事業拠点にも拡大していくほか、2023年度以降にはシステムの外販も目指します。また、太陽光発電で得た自社使用分を上回る電力の外販も展開していきます。草津拠点RE100化ソリューション実証施設完成イメージ②パナソニックの課題と取り組み31

使うエネルギー<創るエネルギーで、CO2は減らせる。パナソニック環境ビジョン20502017年6月、パナソニックは「パナソニック環境ビジョン2050」を策定しました。ステークホルダー(パナソニックと利害関係のあるすべての方)からの期待や要請に応えていくため、パナソニックが目指す姿を定めたものです。環境ビジョン2050は、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向けて、クリーンなエネルギーでより良く快適にくらせる社会を目指し、使うエネルギーを削減すると同時に、それを超えるクリーンなエネルギーの創出・活用を進めるものです。パナソニックは製造時も製品使用時も「エネルギー」を使用するメーカー。そのため、「エネルギー」を軸に温室効果ガスを実質ゼロにする未来を描いたのです。使うエネルギー<創るエネルギーそれを一言で示したのが、使うエネルギー<創るエネルギー。「使うエネルギー」とは、生産などパナソニックの事業活動で使うエネルギーはもちろん、パナソニックの製品がお客様のもとで使うエネルギー、原材料や輸送・配送で使うエネルギーまでを含みます。つまり、スコープ1・2・3のすべてに関わるエネルギーです。「創るエネルギー」とは、太陽光発電、燃料電池、車載電池、定置用蓄電池、水素ソリューションなど、パナソニックの製品やサービスが創出・活用可能にするクリーンなエネルギーを指します。2020年の時点では、「創るエネルギー」は「/14程度にとどまっていました。どうすれば、「創るエネルギー」が「使うエネルギー」を超えることができるのでしょうか?「パナソニック環境ビジョン2050」より②パナソニックの課題と取り組み32

「エネルギーの逆転」に必要なこと環境ビジョン2050の実現、つまり、「創るエネルギー」と「使うエネルギー」の逆転に必要なことは、主にふたつあります。ひとつは、「使うエネルギー」を可能なかぎり抑えていくこと。製品の省エネ性能向上のための技術開発や、モノづくりプロセスの革新を、これまで以上に進めていくことが必要です。もうひとつは、「創るエネルギー」を伸ばしていくこと。創・蓄エネルギー事業の拡大や、水素社会など新しい社会システムへの貢献を通じて、クリーンなエネルギーの活用機会を増やすことができます。こうした取り組みを通じて、パナソニックは「エネルギーの逆転」に挑戦していきます。「パナソニック環境ビジョン2050」より②パナソニックの課題と取り組み33

③・電化によってくらしを豊かにしてきた20世紀・創業者の水道哲学・物心一如の「理想の社会」へ・環境分野をリードする存在を目指してこれまでの歩み、これからの責任34

求めたのは物質的な豊かさ、だけじゃない。電化によってくらしを豊かにしてきた20世紀パナソニック創業期の代表的な商品は、1918年に発売した「アタッチメントプラグ」、そして、1920年に発売した「2灯用クラスタ」。いずれも、当時の電力事情の中で電化製品を不便なく使うためのもの。さらに、従来製品より品質が良く、手ごろな価格で、人気を博しました。その後も、富裕層しか手にできなかったアイロンの低価格化を実現したり、当時の常識をくつがえすような、故障が起こりにくいラジオを開発しました。戦後、日本でテレビ放送が始まった頃、松下幸之助創業者は、当時の高価すぎるテレビに「もっと普通の人が手の届く価格帯で作らなければダメだ」と決意。その後の家庭電化ブームでは、量産によって価格を下げることで、人々のあこがれの的だった三種の神器(テレビ・冷蔵庫・洗濯機)をより身近な存在に変えていきました。まだまだ、世の中全体が貧しく生活が不便だった時代に、パナソニックは、手の届く電気製品を人々に届けることで豊かなくらしを後押ししてきたのです。③これまでの歩み、これからの責任35

創業者の水道哲学こうしたパナソニックの原動力ともいえるのが、松下幸之助創業者が1932年に示した「水道哲学」です。それは「生産に次ぐ生産をもって貧乏を克服し、富を増大する」という理念。人々が水道水のように手軽に商品を入手できる大量生産社会を目標としました。これまでの私たちのくらしを見渡せば、それが現実のものになったことがわかります。しかし、水道哲学は物質的な豊かさだけを求めたものではありません。ぶっしんいちにょ創業者の考えをたどると、水道哲学は「物心一如」という思想にもとづいていることがわかります。物心一如とは、モノと心の豊かさが相まって人生の幸福が安定するという考え方です。いくらモノが充実しても、それだけでは「理想の社会」を達成できず、「人々の精神的な安定」も同等に大事であることを意味します。水道哲学が発表された第1回創業記念式(1932年)物心一如の「理想の社会」へ現在の世界に置き換えるなら、いくら物質的に豊かになっても地球の未来に不安が残るようなら、それは「理想の社会」とは言えません。電化の恵みを、くらしに拡げてきたこれまでの歩みと同様に、環境負荷の低い商品やサービスをより普及しやすいものにすることで、現在と未来の不安を払拭していくこと。これこそが、いま私たちの果たすべき使命なのです。③これまでの歩み、これからの責任36

責任はとても大きい。可能性はとてつもなく大きい。環境分野をリードする存在を目指してこれからの世界のために、人々が快適にくらしながら環境への負荷を減らしていくことが、パナソニックの使命です。それはけっして簡単なことではありませんが、一つひとつの取り組みを積み重ねていくことで大きな貢献ができると、私たちは考えています。まずは、自社の事業活動からのCO2排出(スコープ1・2)。パナソニックの場合、モノづくりの工場などが中心ですが、CO2ゼロ工場を推進していくと同時に、社員一人ひとりが省エネやカーボンフットプリントの低い業務スタイルを心がけることでも減らしていくことができます。製品が使われる時に排出されるCO2(スコープ3)は、エネルギー効率の良い製品を開発し、お客様に提供していくことで減らしていけるでしょう。社会とくらしのさまざまな分野に深く関わっているパナソニックには、ほかにも、CO2排出削減に貢献できる商品やサービスが数多くあります。③これまでの歩み、これからの責任37

たとえば、純水素型燃料電池システムや太陽光発電ソリューションなど、クリーンエネルギー創出を後押しすることで大きな環境貢献が期待されます。産業分野では、生産設備ソリューションをはじめ、サプライチェーンの業務を効率化する現場プロセス変革、オフィス・施設の空質空調ソリューションなどでもCO2削減に貢献することができるでしょう。ほかにも、製品・部品・材料の3つの循環を拡大し、資源の循環を推し進めることでもCO2削減は可能です。くらしやビジネスのCO2排出を減らすことで社会に貢献していくこと。それこそが「環境ビジョン」に描かれた、私たちのあるべき姿なのです。私たちには、さまざまな分野で培ってきた技術力があります。世界で毎日10億人以上の人々が製品を使っている普及力もあります。100年以上にわたって培ってきた信頼があります。それらを磨き、集結することで、私たちはCO2を増やさないくらしやビジネスを社会に根付かせていくことができます。持続可能な社会実現のために、いま、私たち一人ひとりが、産業人として、生活者として、何ができるかを考え、行動する時期が来ているのです。③これまでの歩み、これからの責任38

後注*1主要家電製品について、国内外のシェア/出荷台数から推計された一日に当社製品に触れる人数から算出。(当社調べ)*2IPCC公表値により、世界のCO2排出量約335億トン。その中で電気・熱の一次エネルギーによるCO2排出量は25%相当と考えて約84億トン。これらのことから、電気使用による間接排出のうち、当社使用分1.1億トンは、全体の約1%になると推計。39

あとがき気候変動問題で最も難しいことのひとつは、それを正しく伝えることです。用語ひとつとっても色々な使われ方があり、CO2排出にもさまざまな区分や考え方があり、考え方すら存在しない領域もあり…。まだまだオン・ゴーイング、世界中が手探りの状態です。とはいえ、パナソニックにとって気候変動問題への対応は待ったなし。まずは、グループ社員として最低限知っておくべき数字やファクト、視点を集め、誰にでもわかりやすい言葉やビジュアルにしました。本ハンドブックを制作したのは、さまざまな職能部門、事業会社、地域をまたぐ有志型組織「サステナブル経営推進コンソーシアム」のメンバーです。気候変動問題に詳しい人、詳しくない人が入り混じり、言いたいことを言いあいながら、つくりました。かつて創業者が商品について語ったように、何かを知らない人にとっては、それは存在しないのと同じ…なのであれば、まずは全社員が、問題を正しく知ることから。この大いなる社会課題の解決に向けて、グループを挙げて取り組むきっかけのひとつになれば幸いです。パナソニック株式会社サステナブル経営推進コンソーシアム一同40

勤務地「地球」のみなさまへ。あなたの行動が、きっと未来を変えていく。
