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岡部友が提唱する揺るがないマインドの作り方美尻トレは「自分を愛するための手段」美尻トレーニングを軸に、女性らしいボディラインや健康な体作りを提案するスポーツトレーナーの岡部友さん。なぜ今トレーニングが必要なのか。その一つの答えがここにある。PhotoTONYTANIUCHITextNile’sNILE006

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「日本の女性が、社会的な期待という呪縛から解き放たれ、自分らしく輝いてほしい」そう語るのは、女性専用フィットネスジム「SPICEUPFITNESS」の代表を務める岡部友さんだ。単なるボディメイクの枠を超え、多くの女性たちの「生き方」そのものを変えてきた彼女の哲学に迫る。「痩せれば幸せ」という幻想を超えてアメリカでの学生時代、日本の友人が「女性はこうあるべき」という固定観念に縛られている姿に違和感を覚えたことが、岡部さんの原点だ。フロリダ大学で運動生理学や解剖学を専攻し、アスリートの体作りを学ぶ中で、彼女の関心は「日本の女性の生きづらさ」へと向かう。「体を変えることで自信を持てるのではないか」—そう考えた彼女は、心理学も修めた後、帰国。マンションの一室から、女性のためのサポートをスタートさせた。当初はダイエットを主軸にしていたが、現在は「単に痩せること」を目的としていない。そこには、日本人特有の骨格に対する深い考察がある。きゃしゃ「骨格の華奢な日本人がただ減量しても、理想のグラマラスやみくもももな体にはなりません。かといって闇雲に鍛えれば、腿やふくらはぎまで太くなってしまう。試行錯誤の末にたどり着いたのが、ウエストとヒップの差を際立たせる『美尻トレーニング』でした。これなら、どんな体型の方でも女性らしい曲線美を作れるのです」眠っている「お尻」を呼び覚ますでんきんヒップにフォーカスする理由は、見た目だけではない。臀筋(お尻の筋肉)は二足歩行の要であり、人体の動きの根幹をつかさどる。現代人の多くは、長時間のデスクワークにより、この大切な筋肉の「使い道」さえ忘れてしまっているという。ステップ1:筋膜の調整(エラーを取り除く)ステップ2:神経の練習(眠っている筋肉を呼び覚ます)ステップ3:筋肥大(土台ができて初めて筋肉を育てる)「骨格も環境も一人ひとり違う。だからこそ、自分の体と対話し、最適なアプローチを見つけることが不可欠です。人と比べることに、意味はありません」トレーニングは「変えられないもの」を受け入れる作業筋トレの神髄は、肉体以上に「心」の強化にある。岡部さんは、科学的根拠に基づき、自力では止めがちな「限界のあと数回」を追い込む伴走者として、トレーナーの重要性を説く。その限界突破の経験が、人生の困難に立ち向かう耐性を養うからだ。一方で、彼女は「トレーニングは諦めを学ぶ場でもある」と意外な側面を語る。007

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岡部友おかべ・とも1985年、神奈川県生まれ。ヴィーナスジャパン代表取締役。高校卒業後、フロリダ大学で運動生理学・解剖学を学び、NSCA-CSCS(公認コンディショニングスペシャリスト)およびACSM-CPT(公認パーソナルトレーナー)の資格を取得。帰国後は女性のボディメイクやダイエットの指導を行い、2015年には女性専用フィットネスジム「SPICEUPFITNESS」を設立し、現在は全国に5店舗を展開。全国のセミナーで講師を務める他、テレビや書籍などのメディア出演も多数。008

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「筋肉の付き方や骨格など、努力では変えられない部分が必ずあります。それは人生におけるままならない事柄と同じ。トレーニングを通じて、変えられない部分を認め、受け入れる。そのプロセスを経て初めて『私は私でいい』という自己肯定の、マインドに到達できるのです」食事も人生も、大切なのは「幸福度」とのバランス分子整合栄養アドバイザーとして、細胞レベルでの栄養摂取を推奨する彼女だが、そのアドバイスは決してストイックなだけではない。「完璧な食事をしたからといって、寿命が劇的に延びるわけではありません。食事のルールに縛られて幸福度が下がっては本末転倒。何が重要で、何が不要か。自分自身で判断し、取捨選択できる知性を身につけてほしい」私の使命は「自信」を届けること岡部さんが提供しているのは、単なるフィットネスではない。それは、自分の体を知り、限界に挑み、ありのままの自分を愛するための「教育」だ。「トレーニングそのものよりも、どう取り組んだかが重要です。私の使命は、女性たちのマインドを育て、自立して生きる自信を手にしてもらうこと。体が変われば、心が変わる。心が変われば、人生は必ず変わります」アンケート1.この記事を通じて、これまでのご自身の「常識」や「前提」をアップデートするような気付きはありましたか。a.強くそう感じる(常識が覆った・目が覚めた)b.そう感じる(新たな前提を得た)c.あまり感じない(すでに知っていた/実践していた)d.全く感じない(同意できない)2.筆者が説く「トレーニングは、努力では変えられない部分を受け入れる作業でもある」という考えについて、どう感じましたか。a.非常に深く納得できるb.一理ある(理解できる)c.理想論であり、現場での実践は難しいと感じるd.限界を認めるようで同意できない3.「他者の目や社会の常識」から自由になり、自分自身の身体や心と向き合うために、あなたが日々の生活で手放したい(または変えたい)と思っている習慣はありますか。()4.この記事のテーマについて、知人や同僚と議論してみたい(または共有したい)と感じましたか。a.非常に強く感じるb.感じるc.どちらともいえないd.あまり感じないe.全く感じない5.今回の岡部友さんの哲学に触れて、今後あなたが生活に取り入れたい、あるいは深く知りたいと感じた要素は何ですか。(複数選択可)a.自分の体と対話し、筋肉を呼び覚ます「神経の練習」b.「何が重要で、何が不要か」を判断する食事の知性c.ありのままの自分を愛するためのマインドセットd.限界突破の経験を通じて養う「困難に立ち向かう心の耐性」e.その他()回答はこちらWEBはこちら009

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石井大裕、アスリートの深淵を語る風のなかの助走独立という新たな道へ踏み出した石井大裕さん。世界各国のトップアスリートを取材してきた石井さんだからこそたどり着いた、人生というレースを戦い抜くための戒律とは。PhotoSatoruSekiTextNile’sNILEぬけんそう冬の雨に濡れる東京。六本木の喧騒を背にして、石井大裕いさんと向かい合った。つい2日前まで、彼はミラノの凍てつく空気の中にいた。五輪という祝祭の現場、その熱狂の余韻を残したまま、彼はこの雨の東京に立っている。15年という歳月を過ごしたTBSを去り、この1月、新たな道を歩み出した。独立という大きな決断を下した石井さんだが、その表情はどこか吹っ切れたように明るい。この20年、メディアの風景は一変した。スマートフォンやSNS、そしてAIの実装。かつて巨大な装置であったメディアは、今や個人の手のひらの中にまで溶け出している。石井さんへんぼう自身、その変貌するメディアの世界に生きてきた男だ。組織という名の防壁を離れた今、彼は一人の人間として、かつては閉ざしていた自身の日常を、緩やかに開き始めている。しかし、そこには世俗の自己発信とは一線を画す静けさがあった。「自分自身のSNSを積極的にやるつもりはないんです」そう言って照れくさそうに笑う。誰もが情報の海に溺れ、自分を記号化して投げ出す時代に、彼はあえてその喧騒に意味を見いださない。その構えのなさに、私はかえって彼が現場できょうじ培ってきた“記者の矜持”を見た。彼のアスリートたちへの目線は鋭く確かだ。それは、情報の断片を拾う者のまなざしではなく、人間の宿命を見つめる者のそれであった。愚直なる「準備」という名の修業石井さんが取材してきたアスリートたちは皆それぞれに輝きを放ち、彼に影響を与えてきた。大谷翔平、ネイマール、錦織圭……。どのアスリートとの対話も彼にとってはかけがえのない記憶だ。その中でも深く刻まれているのは、ウサイン・ボルトという男の残像だという。世間があの華やかなパフォーマンスに目を奪われているとき、彼はその裏側に横たわる、あまりに愚直な練習風景を見つめていた。「彼は一日に何度も、本気のダッシュを繰り返します。爆発的な力を使う練習は、肉体にすさまじい負荷を強いる。しかし、彼はその苦痛を当然のように引き受けるんです」ボルトの強さを支えていたのは、400メートルを走り抜く持久力と、入念なストレッチというルーティンであった。孤独なけんさんトラックで肉体を磨き上げる静かなる研鑽。石井さんはその姿に、若き日の自分を重ね、初心を忘れてはならないと自分に言い聞かせたという。心を救うのは確かな技術私たちは“心技体”という言葉を、しばしば情緒的に使う。それりょうがは精神が技術を凌駕するという物語を好むからだろう。しかし、石井さんがアスリートの現場から持ち帰った言葉は、もっと簡潔で、それゆえに確かな救いを含んでいる。石井さんが松山英樹選手から直接聞き出した言葉は、確かな重みを持っていた。「松山選手に聞いたことがあるんです。心を安定させるには、どうすればいいのかと。彼は迷わず言いました。心を支えるのは、何よりも“技術”なのだ、と」不安を鎮めるのは、形のない精神論ではない。何万回、何十万回と繰り返された反復によって、体に覚え込ませた確かな技術。それだけが、勝負の瀬戸際で自分を支える最後のよりどころとなる。吹きさらしのフィールドに、あるいは静まり返る練習場の片隅に流された涙の裏には、費やされた膨大な時間がある。石井さんは、そのプロセスにこそ人間の美しさが宿ると信じている。敗北の底に眠る自信日本勢が過去最多のメダル獲得に沸き、列島が歓喜した今回のミラノ・コルティナ冬季五輪。その最前線に、石井さんはいた。しかし、彼が目撃したのは、メダルの輝きだけではなかった。ショートトラックに出場した宮田将吾選手の“変容”もそのふち一つだ。失格という結末だったが、絶望の淵にいたはずの青年は、インタビューの直後、晴れやかな顔で「自信を得た」と語ったという。「負けたレースのなかで、彼は世界と戦える手応えをつかんだ。私はそこに、4年後のスーパースターの姿を見てしまうんです」結果がすべてとされる世界で、石井さんはあえて“その先”を見つめようとする。一時の勝敗に惑わされず、アスリートがどこへ010

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向かおうとしているのか。それは、かつて彼が両親から授かった「一所懸命」という言葉への誠実な解釈なのではないだろうか。自分との約束という名の戒律超一流と呼ばれるアスリートは、皆深い孤独を抱えている。例えば、バレーボールの本場イタリアに渡り、異国で長年一人戦い続けている石川祐希選手。食事管理からトレーニング、睡眠に至るまで、誰の目もない場所ですべてを徹底して律する石川選手は、その孤独な戦いをまさに実践している。彼のようなトップアスリートたちはいかにして、その孤独をかいならすのか。「彼らにとって、食事も睡眠も、すべては仕事の一部。そして何より、自分に課した規律(ディシプリン)を、決して裏切らない」それは“意志”というような不確かなものではない。自分に課した原理原則(プリンシプル)であり、逃れようのないディシプリンである。石井さんも、毎朝6時半に娘と体操をすることを自身に課している。体が重い朝もあるが、それでも踏みとどまるのは、自分を裏切る姿をまな娘に見せたくないという、ささやかな、しかし確かなプライドがあるからだ。それは“自分との約束”を果たすという、静かな、しかし大切な儀式に他ならない。「すべてが100パーセントです」そう笑う彼のまなざしは、スポーツが持つ“平和の力”をじっと見据えている。石井さんが語るアスリートたちの物語は、激動の時代を自分なりの歩幅で進もうとする私たちへの静かな共感のように響いた。石井大裕いしい・ともひろ1985年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。元テニスプレーヤー。2010年、TBSテレビ入社。スポーツキャスターとして『あさチャン!』『NEWS23』『S☆1』などを歴任。世界陸上、WBC、オリンピックなどの中継では、数多くのトップアスリートの核心に迫る。2026年1月に独立し、TOMODEBASEを設立。教育事業を展開するLOCOKの取締役も務める。011

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アスリートたちとの記録競技の垣根を越え、多くのトップアスリートと親交を深めてきた石井さん。写真はすべて、公式な場では決して見せない彼らの柔らかな横顔を捉えた、対話の記憶の一部である。1.五輪金メダル7個、世界陸上メダル数20個という女子陸上界史上最多の記録を持つアリソン・フェリックス。常に謙虚な姿勢を貫き、世界中からリスペクトを集める。「キャリアを通じて女性アスリートの権利や社会的な課題解決に積極的に取り組んでいる姿に、学ぶことがたくさんありました。そしてインタビューをする中で、彼女が母親として若い世代に伝えたいことを聞き、私も子育てをする父親として影響を受けました」2.世界記録を35回も更新し、「鳥人」と呼ばれた伝説の棒高跳び選手、セルゲイ・ブブカ。世界選手権6連覇、ソウル五輪で金メダル獲得など、数々の偉業を成し遂げた。引退後もスポーツ界の発展に尽力している。高校時代に氏の自宅で生活を共にした石井さんにとって、彼は人生の恩人でもある。「セルゲイ・ブブカさんは、私にとって欧州のお父さんです。『アスリートとしての姿勢』だけでなく、『生き方』を教えてくれました」73.「史上最高の選手」の一人と称されたロジャー・フェデラー。グランドスラム男子シングルスで20回優勝、芝の王者としてウィンブルドンで8回優勝、237週連続世界ランキ位など、驚異的な記録を保持している。かつて同競技で世界を目指した石井さんにとって、彼は永遠の象徴とも言えるかもしれない。「真摯(しんし)に話をしてくれるスーパースターに心打たれました。お子さんたちとの話が印象的でした」4.左からロジャー・フェデラー、錦織圭、国枝慎吾。テニス界の歴史を塗り替え、それぞれが世界の頂点に君臨した。時代を築き上げてきた三人のレジェンドが一堂に会した奇跡的な瞬間。彼らは長年第一線を走り続け、互いを尊重しながら、競技の発展に尽力している。「この時のインタビューでは、彼ら全員が、リスペクトしあっている姿に感動しました」5.人類史上最速の男、ウサイン・ボルト。五輪で8個の金メダルを獲得、史上初の3大会連続2種目(100メートル・200メートル)制覇を成し遂げる。世界中を熱狂させた華やかなパフォーマンスの裏側に隠された、愚直で孤独な練習風景が印象的だったと石井さんは話す。「『限界は超えるためにあるんだ』という彼の言葉の裏にある努力と覚悟から本気で取り組むことの大切さを学ばせてもらいました」86.ボルトの後継者と目される新時代のスプリントキング、ノア・ライルズ。2024年のパリ五輪の100メートルで金メダルを獲得し、「世界最速」の称号を手にした。個性的なキャラクターでも人気を博す。圧倒的な自信の裏側で、彼がいかにしてプレッシャーを規律へと変えているのか。「何度も対談をする中で、彼がなぜ、派手なパフォーマンスを見せ、陸上界のアイコンになりたいのかを理解し、感銘を受けました」7.バレーボールの本場イタリアで、長年孤独に戦い続ける日本のエース、石川祐希。石井さんがその姿に見たのは、自分との約束を決して裏切らないプロフェッショナルの「戒律」だった。「私は、アスリート石川祐希選手を強く尊敬しています。愚直に努力を継続している石川選手。そんな彼とのインタビューは、いつも聞きたいことがありすぎて、時間があっという間に過ぎてしまいます」8.日本人初のマスターズ制覇を成し遂げた、ゴルフ界の至宝・松山英樹。「心を支えるのは、何よりも技術なのだ」という彼の言葉は、多くの現場を歩んできた石井さんの記憶にも強く残る。「毎年、年末にロングインタビューをさせていただいています。日本人がマスターズを優勝するこの時代に、私は生きていてよかったです。彼の言葉の一つひとつに、培ってきた経験、そして向上心が宿っています」99.日本テニス界の歴史を塗り替え、世界の頂点に挑み続けてきた錦織圭。日本男子史上初の世界ランキング最高4位、アジア人初の四大大会シングルス準優勝など、数々の快挙を成し遂げた。ジュニア時代から同じコートに立ってきたからこそ、けがと戦い復活を期す彼を、誰よりも深く見つめてきた。「世界のトップ選手になった錦織選手を小学生時代から見ることができた幸運に感謝しています。いつも心の底から応援しています」013

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Nile’sNILE2026AprilNo.335CONTENTSSPECIALINTERVIEW006美尻トレは「自分を愛するための手段」岡部友が提唱する揺るがないマインドの作り方010風のなかの助走石井大裕、アスリートの深淵を語るSPECIALFEATURE020瀬戸内の春、凪を往く032天下統一を遅らせた海賊の正体作家和田竜034蒼き潮流の系譜安曇族から村上水軍へ、そして神々のネットワークCOLUMN044欲望の老化が老化の始まり和田秀樹046行きつけの店柏井壽048私が日本の風土でイタリア料理を作り続ける理由本多哲也050「戦略的言説(strategicnarrative)」とは何か?原田武夫052クラシック鑑賞は、もはやSMプレイである湯山玲子054野菜界の“異能の人”を心の至近距離で描くノンフィクション君島佐和子056諦めるとは、明らかにすること為末大0581トンのとんかつ、その向こう側へ眞杉大介015

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INTERVIEW062ひらまつ「HRMTSTAGE」が描く美食の未来植杉かおり064GARDEが発信する新たな社交場室賢治ニコラ・マニエロ066時代を切り拓く「人間力」を磨く細田髙道STYLE070「時間」を設計する真のラグジュアリー三井デザインテック074自分らしさを映し出すキッチンマイスデル077インテリアと響き合う水栓VERSENEWS085今を生きる女性に寄り添う一台ベントレー京都を味わう限定フェア帝国ホテル東京087独立系高級時計の新たな価値IndependentWatch&ArtSalon最上級の洗練された空旅をエールフランス航空089Reader’sClub091CatalogToday093Questionnaire095OntheSceneCover/三井デザインテック2025年4月に開業20周年を迎えたラグジュアリーホテル「ザ・プリンスパークタワー東京」が、32・33階のスイートルーム、クラブラウンジ、スカイバー&ダイニング、バンケットをリニューアル。三井デザインテックがデザインを手掛け、ホテルに新たな価値をもたらした。表紙は33階のスカイバー&ダイニングのバーラウンジ。落ち着いた雰囲気が漂う空間で、東京タワーと夜景を間近に眺めながら過ごす時間は、日常を忘れさせてくれるような唯一無二の贅沢なひとときとなるだろう。詳しくはP70~73。PhotoSatoruSekiPublisher&EditorinChiefToshioAoyamaEditorNaokoItoMegumiHasegawaMizukiOnoArtDirectorHiromichiWatanabeDesignKazuoWatanabeTakayukiYanaiPrintedbyHeeroes,Inc.PublishedbyTable&CompanyInc.〒107-0062東京都港区南青山7-1-5&CALMminamiaoyama408TEL.03-5774-0881FAX.03-5774-0880E-mail:info@table-c.comⓒTable&CompanyInc.本誌掲載の写真、イラスト、記事の無断転載を禁じます。価格は税込み表記です。Nile'sNILENo.3352026年4月1日発行017

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瀬戸内の春、凪を往く穏やかな瀬戸内海に浮かぶ島の一つ、生口島。春にはレモンの花が香るこの島には、かつて海を漂泊しながら生きる海の民がいた。時を経て、陸に住まいを移してからも、彼らの海への郷愁や信仰は失われることなく、島に根付いている。海の民の多様な文化を融合させ、独自の風俗を生み出してきた島の人々は、今も旅人をあたたかく受け入れ、包み込む。この地ならではの春の風を感じに、生口島を訪れた。PhotoSatoruSekiTextRieNakajima生口島と高根(こうね)島の間に立つ海上のお地蔵さん「亀の首岩」。この海にすむ人食い亀主を退治した小僧の伝説が残る。亀主の供養と航海の安全祈願のため、今も大切に祀られている。020

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022昔の面影が残る路地。島内を歩いていると、ふとした風景に懐かしさを感じることがある。坂道も多いが、周辺の他の島に比べると外周が平坦(へいたん)で、サイクリングにも適している。

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室町中期に建立された向上寺(こうじょうじ)の三重塔。潮音山(ちょうおんざん)の山頂に立ち、禅宗寺院の塔婆として貴重であり、唐様の手法も濃厚で国宝に指定されている。境内から瀬戸内海を見渡すこともできる。023

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斜面に埋まるように据えられていた石仏群。柑橘畑を背にして立つ雪渓寺。「あしなが地蔵」の伝説が残る。生口島の観光名所、耕三寺(こうさんじ)で見かけた石仏。海岸に立つ鳥居から、穏やかにないだ海を眺める。024

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村の一角に、農地を見渡すように祀られていた石仏。民家の瓦に据えられていた豊漁の神、恵比寿様。同じく民家の瓦に据えられていた七福神の福禄寿。海に向かうお地蔵さん。赤い衣装が整えられ、花も供えられていた。025

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瀬戸田港から続く約600メートルの通りに、約50店の飲食店や商店が並ぶ「しおまち商店街」。手前右手が「AzumiSetoda」、左手が「yubune」。027

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女将の窪田淑さんは、米ワイオミングの「アマンガニ」をはじめ、バリ、ブータンのアマンリゾートを経験。現在は島で暮らしながら女将を務める。撮影時は河津桜が美しく咲いていた。いくちじま生口島といえば、生産量日本一を誇るレモンの島であり、冬から春先にかけて温州みかんやネーブル、せとか、ハッサクなかんきつどさまざまな柑橘類が取れることでも知られる。日本画家の平山郁夫の生地でもあり、穏やかな海と青い空、柑橘畑が織めいびりなす風光明媚な環境が、画家の感性を育てたのではないかと考えられる。かつては製塩業が盛んで、その塩を北前船にばくだい乗せ、大坂や北海道に届けることによって莫大な財を得た浜旦那たちが島の経済を担っていた。港は潮待ちをする船乗りや商人を迎える宿屋、料理屋でにぎわったといい、その名残が、今も島の中心である「しおまち商店街」だ。柑橘類をカゴに山盛りにした果物店をのぞくと、笑顔の店主に「いらっしゃい、食べてみる?」と声をかけられた。昔から港町として栄え、多くの人が訪れ、去っていった歴史を持つ生口島には、今も旅人を気軽に受け入れる風土がある。まつえい生口島には、かつて海上で生活した海の民の末裔も根付いているという。海の民は、いまだ国の形も鮮明ではなかった時代、日本や東南アジア、中国など各地に存在し、船で生活しながら、他の海の民や陸の人々と交易して生きていた。それが時を経て、陸の人々と結婚したり、働き手として誘われたりと、さまざまな理由によって陸にあがり、新しい暮らしを始めていった。生口島にもそうした海の民がいて、そのために、多様な文化が融合した独自の風俗が生み出された。島では海や土地、水、森などに宿るさまざまな「カミ」が信まつ仰されてきた。柑橘畑の隅には土地のカミを祀る石仏があり、古い共同井戸のかたわらには水のカミの石塔がある。特に、ぎおんみこしと神海のカミは特別であり、島の生口神社の祇園祭では神輿輿もりが海に入るのが恒例だった。神輿を海水につけると傷むことは避けられないが、それでも一度はつけないと気が済まない雰囲気があったという。海岸には、今もきれいに手入れされたお地蔵さんの姿がある。まっすぐに海に向けられたお地蔵さんの表情から、島の人々はこうして海を見つめてきたのはではないかと思いを馳せた。ラグジュアリーリゾート「アマン」の創業者、エイドリアン・ゼッカ氏も島に魅了された一人。「しおまち商店街」の入り口に立つ宿「AzumiSetoda」は、ゼッカ氏と日本のナル・デベロップメンツによる旅館ブランド「Azumi」の1号店であり、名028

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AzumiSetoda広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田269TEL0845-23-7911azumi.co/ja/setoda1年を通じて温暖で雨が少ない生口島では、どこにいても明るい陽光が降り注ぐ。館内は中庭の木や建物の構造により、光と影が心地良いバランスを生んでいる。あづみ称にはかつて九州から日本各地に進出した海の民の「安曇族」とゼッカ氏のイニシャルがかけられている。島の浜旦那を代表する一家、堀内家から譲り受けた築140年の屋敷を改装し、2021年にオープンした「AzumiSetoda」は、国内外の旅人を呼び込む、生口島の新たな風となっている。ゼッカ氏がおかみくぼたよしこの地を選んだ理由について、女将の窪田淑さんはこう話す。「ゼッカさんと一緒に車でこの島を案内してもらったとき、トンネルを抜けたら、海沿いの斜面の畑に鮮やかな柑橘類がたくさん実る、すばらしい景色が広がっていて、とても感動したんです。この堀内家の邸宅に出会えたのも大きかったですね。昔は浜子さんをたくさん抱えていたお屋敷が、堀内家の方々が島を出られた後も丁寧に管理されていて、非常に良い状態で残されていました」。館内を歩くと、旧個人宅でありながら敷りん地が広大なことに驚く。街からは中が見えない造りで、桜が凛とした姿で咲く中庭はとても静かだ。木造の軒や障子から島の明るい光が差し込み、美しい陰影が心まで和らげてくれる。あいさつ「広島市に住む堀内家の皆さんにご挨拶に行ったとき、私たちは、堀内家に伝わる何千点もの器や小物類を譲り受けました。どれも大切に保存されていたので、お客様のお料理などに使っています。堀内家では、常に多くのお客様をもてなしていたようです。その歴史も『友人をもてなすようにお客様をもて、なす』というゼッカ氏のコンセプトに調和しています」「。AzumiSetoda」の向かいには、街に開かれた銭湯宿「yubune」も新設されている。宿泊客が銭湯で出会った住民に「どこから来たの?」と声をかけられ、話が弾むこともあるという。「近年、この島では、島の将来のために何ができるのか、活発に議論が交わされています。その可能性の一つとして、島民の皆さんが私たちの存在も歓迎してくださっていることに、大きな意義と喜びを感じています。生口島では、ときどき店先に石臼があるのを見かけますが、これは年の暮れにみんなで餅をついて振る舞う文化があったためだそうです。そういった、こよみがえの島ならではの風習も、皆さんと協力して蘇らせることができれば、と思っています」宿にいても、ときどき風にのってふわりとレモンの花の甘やかな香りが漂う。春の瀬戸内の今と昔を味わいに、ぜひ訪れてみてほしい。029

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「yubune」の客室から見下ろした「AzumiSetoda」の外観。ダイニング上部のラウンジ。中庭の景色とともにくつろげる。雪見障子から坪庭の風景を楽しめる、清楚(せいそ)な雰囲気の和の客室。和の建築に設けられた静かな回廊を通って客室へ向かう。030

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製塩・海運業で栄えた旧宅らしい、風格のあるなまこ壁の外観。エントランス。梁や開口部は元の屋敷をそのまま生かしている。瀬戸田港に立つ、豪商たちが寄進した高さ約4メートルの常夜灯。回廊から中庭の桜が見えた。館内は照明が少なく心地良い暗さ。031

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天下統一を遅らせた海賊の正体和田竜『村上海賊の娘』以降、準備期間を多めにとって昨年11月じょうしに新作『最後の一色』を上梓した。丹後国(現在の京都府北部)の守護、一色五郎と、織田信長の命令により丹後征服を狙う長岡(細川)藤孝、忠興との攻防を描いた小説だが、陸戦が中心とばかり思っていた取材中、日本海に面した丹後国ゆえ当然というべきか、海戦の記録にぶつかった。もっとも一色家と長岡家との合戦ではなく、信長に命ぜられた長岡家が、鳥取城攻めを実施していた羽柴秀吉に加勢するという史実においてである。信長の死の一年前、天正九年(1581年)のことで、当時長岡家は一時的に一色家と和睦して丹後に入国しており、長岡家からは家老の松井康之と重臣の有吉立行が丹後の国人矢野藤一郎ら千五百そうはの士卒を率い、大船数艘で鳥取に馳せ向かった。当時、鳥取城は毛利方の城で、史上有名な秀吉による鳥取城の兵糧攻めに長岡家も一役買ったのである。毛利方は飢える鳥取城に兵糧を入れるべく、鹿足民部少輔元忠を大将に大船二十五艘を添えて出撃させた。鳥取城は海辺の城で、日本海に注ぐ袋川を一キロほどさかのぼれば、城に着いてしまう。それを阻むべくやってきたのが長岡家率いる丹後勢で、秀吉は彼らが到着するや大喜びでこれを迎え、敵船の撃退を依頼した。長岡家の家老、松井康之は山城国(京都府南部)の人で海戦は知らない。合戦においては康之自ら戦い大功を立てたが、兵船の操作など海上の実務は丹後の国人が行ったのだろう。海に囲まれた我が国においてはその津々浦々に海たばんきょ戦に長けた者どもが蟠踞しており、丹後もまたその例に漏れなかった。なお丹後の隣国、但馬国には当時、奈佐日本之介という、いかにもという名の海賊がおり、日本の海上につわものは隙間もないほどにこうした海の兵どもがいたのだ。ちなみに「海賊」の文言だが、一般には敵方から見た蔑称が「海賊」という言葉で、信長も鳥取城を攻める秀吉を加勢するよう長岡家に命じる際、毛利方の船団を「賊舟」と呼んでいる。またどこにも属さぬ海の民も「海賊」と呼ばれていたようで、村上海賊の子孫たちは、それを誇りに思っていたふしがあり「私の先祖は海賊だった」と江戸時代の毛利、家の調査に対して堂々と答えているぐらいである。天下一統がなされていない時代、敵方から「海賊」と呼ばれようが、それがどうしたと思うのが自然だろう。従ってそのニュアンスは現在にも残り「、賊」=「犯罪者」とはまるで違う香りが「海賊」の文言には存在し続けた。なお「、水軍」の文言は、普通どこかの大名家に属した際に付されると言われるが「、水軍」とは後世の言葉で「、水軍」に当たるけご当時の文言は「警固」である。従って味方となった海の民は「警固」とか「警固衆」と、もっぱら呼ばれた。長岡家の松井康之率いる丹後勢は、見事に毛利家の「賊032

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わだ・りょう1969年、大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2003年、映画脚本『忍ぶの城』で城戸賞を受賞。07年、同脚本を小説化した『のぼうの城』でデビュー。同作は直木賞候補となり、映画化された。14年、『村上海賊の娘』で吉川英治文学新人賞および本屋大賞を受賞。他の著作に『忍びの国』『小太郎の左腕』などがある。最新作は、丹後国の守護である一色五郎の興亡を描いた『最後の一色』。舟」を撃退した。この武功は、秀吉はもとより信長にも激賞さめんこうしゅうろくれたと細川家の家記『綿考輯録』にあるが、松井康之がこの海戦に伴って行ったことはほかにもある。丹後の宮津城から鳥取城下に行く間に、日本海側の織田方の城々に兵糧を入れていったのだ。この短期間での兵力と兵糧の大量輸送が、海の民の真骨頂であり、信長もそのことを事前に命じていたのだ。前置きが長くなったが、この兵力と兵糧の大量輸送のうち戦国最大のものが、村上海賊と毛利警固衆の連合軍による大坂本願寺への兵糧入れである。信長の死ぬ六年前の天正四年(1576年)の出来事だ。信長の最大の敵は本願寺の門徒と言っても過言ではなく、信長に敵対する戦国武将どもは、本願寺を頼りに戦略を立てた。従って、この天正四年の兵糧入れの成功により、信長の天下統一事業は四年は遅れたと見ることもでき、仮に兵糧入れが失敗していれば、大坂本願寺は天正四年の段階で降参したはずで(実際は四年後の天正八年に降参)、だとするなら、信長は四国も九州も手中に収めることができ、一説には四国の長曾我部氏との関係から起こったとされる明智光秀の謀反もなく、そうなればその後の日本のあり方も随分と異なっていたであろう。本願寺への兵糧入れの成功は、日本史上、相当インパクトのある出来事だったのだ。天正四年の大坂本願寺への兵糧入れに成功した最大の要因は、村上海賊が加勢したことにある。この海戦に参加した武将たちは、ただちに連名で報告書をまとめ、毛利家の重臣に提出した。報告書には、村上海賊、毛利警固衆の連合軍が雑賀衆を味方につけ、木津川口を固める信長の船団を打ち破った様子がざっと記されている。特筆すべきは、十四人の武将が連署した順番で、書札礼上、普通最後に署名した人間がもっとも重要な人物となるのだが、この報告書の場合、能島村上の村上元吉の名が最後に記されている。なお、能島村上は、ルイス・フロイスが「日本最大の海賊」と評した海賊家で、村上元吉は拙作『村上海賊の娘』の主人公、村上景の兄である。連署した武将の中には、毛利家直属の警固衆の長、児玉就英や、小早川家の警固衆の長、乃美宗勝、来島村上の村上吉継、因島村上の村上吉充もいるが、それらを差し置いて、能島村上の代表者が最後に署名しているのだ。瀬戸内の海賊衆の中で、いかに能島村上が重んじられていたのか分かるというものだ。この書状は現存しており、通常「村上元吉以下十四名連署注進状」と呼ばれる。天正十年四月、中国攻めの最中だった秀吉が、能島村上の村上武吉、元吉父子に味方するよう依頼した書状が二通残っている。本能寺の変の二カ月前のことだ。織田方にとって大坂本願寺の兵糧入れでの敗戦はよほど身に染みたのだ。033

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蒼き潮流の系譜安曇族から村上水軍へ、そして神々のネットワークPhotoMasahiroGodaTextNie’sNILE大山祇神社034本殿。宝殿とも呼ばれる。三間社流造(さんげんしゃながれづくり)という建築様式の神社としては日本の代表作と言われている。蟇股(かえるまた)、手挟(たばさみ)、脇障子、欄間、懸魚(げぎょ)などの変化に富んだ装飾技法が凝らされ、繊細な雰囲気を醸している。

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参道には土産物屋が並ぶ。石灯籠(いしどうろう)に門前町の風情が漂っていた。日本という島国の歴史をひもとくとき、私たちはしばしば「陸の視点」で語りがちである。しかし、この国の骨格を形作ったのは、道なき海を自在に駆け抜けた「海の民」であっあづみた。古代の航海集団「安曇族」と、中世の海を支配した「村上水軍」。この二つの勢力は、時代を隔てながらも、瀬戸内海の「神々のネットワーク」を通じて一本の線でつながっている。クルーザーで大三島へ。大山祇神社の鳥居が視界の中でしだいに大きくなっていく。安曇族が拓いた海上の道と大山祇神社古代、日本列島の制海権を握っていたのは安曇族であった。しかのしま彼らは北九州の志賀島を本拠地としながらも、優れた航海術と造船技術を武器に、瀬戸内海、果ては信州の安曇野に至るまで、文字通り網の目のように物流と文化のネットワークを広げていった。この安曇族の足跡を色濃く残すのが、愛媛県・大三島に鎮おおやまづみ座する大山祇神社である。おおやまづみのかみ祭神は大山積神。山の神という名を持ちながら、本質的にわたしは「和多志の大神」―すなわち、海を渡す神としての性格が極めて強い。安曇族は、複雑な潮流が渦巻く瀬戸内海において、この大三島を航路の要衝、あるいは「海の関所」として位置づけた。安曇族にとって、海は境界ではなく、各地をつなぐハイウェーであった。彼らは大山積神を奉じることで、自然の猛威である潮の流れを「神の意思」として読み解き、航海の安全を確保したのである。この地が「日本総鎮守」と呼ばれるようになった背景には、古代の海を統べる者が、この国の物流の心臓部を握っていたという事実がある。035

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金刀比羅宮「讃岐のこんぴらさん」の名で親しまれる金刀比羅宮は、全国に勧請されている「こんぴら様」の総本社。大門から続く石畳の道を進み、桜馬場西詰銅鳥居へ。春には爛漫(らんまん)の桜が石灯籠とともに石段を彩る。036

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村上水軍と大山祇神社の絆時代が下り、中世。安曇族が築いた海のネットワークを引き継ぎ、より組織的な軍事・警察組織として台頭したのが村上水軍(能島のしまくるしまいんのしま・来島・因島)である。彼らは「海賊」と呼ばれることもあるが、その実態は、瀬戸内海の秩序を維持し、通行料を徴収する代わりに航路の安全を保障する「水の領主」であった。村上水軍にとって、大山祇神社は一族の魂のよりどころであった。戦いに臨む前、彼らは必ず大三島に上陸し、武運を祈願した。現在、大山祇神社の宝物館に、日本中の国宝・重要文化財の武具の約8割が集まっていると言われるのは、村上水軍をはじめとする武士たちが、海を制する力を得た報謝としよろいて、自らの命の象徴である鎧や刀剣を捧げ続けたからである。安曇族と村上水軍に直接的な血縁関係を証明するのは難しいが、彼らが「同じ海域を、同じ神社を聖地として守った」という点において、その精神性と機能は完全に継承されている。村上水軍は、安曇族がかつて読み取った潮目の知識を「兵法」へと昇華させた後継者たちだったのである。表書院の「虎之間」。この室には、東・北・西の三方を囲む襖16面に8頭の虎が描かれている。金刀比羅宮と「金毘羅」という水の記憶ことひらぐう香川県に鎮座する金刀比羅宮もまた、この海民たちのネットワークに欠かせない。おおものぬしのかみ祭神は大物主神。本来は農業や産業の神としての側面も持っている。海民たちの間では、古くからインドの水の神「クこんぴらンビーラ(ワニの神)」と習合した「金毘羅権現」として信仰されてきた。ここからさらに、樹木が鬱蒼(うっそう)とした山道の583段の石段を上ると、奥社の厳魂(いづたま)神社に行き着く。037

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厳島神社御皇室の安泰や国家鎮護、また海上の守護神として古くから崇信されてきた嚴島神社。本社を中心に客(まろうど)神社、大国神社、天神社等各社が配置され、その間に能舞台や楽房などが設けられている。038

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海面から天を突く大鳥居。約60トンの自重だけで立つ。周囲約10メートルの支柱はクスの自然木。ぞうずさん金刀比羅宮が鎮座する象頭山は、海から見ると格好の目印となる。村上水軍やその後の回船業者たちは、瀬戸内海を東へ進む際、この山を仰ぎ見て自らの位置を確認した。船乗りたちが「金毘羅参り」を欠かさなかったのは、それが単なる信仰ではなく、現実的な航海技術の一部であったからだ。嚴島神社と平家、そして「水」の魔力いつくしま広島県に位置する嚴島神社。この神社の存在こそ、海民の力が中央政治(平家)と結びついた象徴的な事例である。たごりたぎついちきしまひめのみことむなかた祭神は田心姫命、湍津姫命、市杵島姫命の「宗像三女神」。彼女たちもまた、安曇族と並び称される航海民「宗像族」が奉じた海の女神たちである。平清盛が嚴島神社を現在のような海上社殿へと大規模に造営した背景には、明確に「水」を介した戦略があった。嚴島神社は満潮時には海に浮かぶ。清盛は、水の浮力と美しさを利用して「竜宮城」を地上に再現しようとしたが、これは同時に、船で直接境内に乗り入れることができる「海の公館」としての機能を持っていた。にっそうまた平家は日宋貿易を進めるため、瀬戸内海を平家の「私有路」にする必要があった。嚴島を聖地化することで、そこに住まう海民たち(村上水軍の先祖筋にあたる集団も含む)を組織化し、宗教的な権威をもって海を支配したのである。平家にとって、水は現世と来世をつなぐ境界であった。海の上に立つ社殿は、常に流動し、清められる「水の都」を体現していた。路地裏の宇宙から、海という無限のアーカイブへひら安曇族が航路を拓き、平家が嚴島に夢を投影し、村上水軍が大山積の神に誓って海を守った。これら三社の祭神たちは、つかさどすべて「水」と「境界」を司る神々である。安曇族と村上水軍は長い時を隔てながらも、同じ潮の流れを感じ、同じ星を見て、同じ神を仰いだ。彼らにとって、海は分断するものではなく、世界を一つにつなぐ「宇宙」そのものであったのだろう。かつての海民たちは、波頭の砕ける音の中に神々の声を聴き、一枚の帆に一族の命運を託した。金刀比羅、嚴島、大山祇。これらの神社をつなぐ航跡をたどることは、今も私たちの血この中に眠る「未知へ漕ぎ出す感度」を、再び調律することに他ならないのである。(左)宮島の先住者の子孫たち。“新参”の人間は彼らを大切にし、伸び伸び暮らせるよう配慮している。(上)和様と唐様、二つの様式を融合させた、檜皮葺の五重塔。応永14(1407)年の創建と伝わる。039

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Column和田秀樹柏井壽本多哲也原田武夫湯山玲子君島佐和子為末大眞杉大介043

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80歳の壁を越える欲望第1回和田秀樹欲望の老化が老化の始まり私はこれまで6000人以上の高齢者の患者さんを診察し、思うところあって高齢者ウォッチングを30年以上続け、さら代からビジネスだけでなく、自分のためにアンチエイジングの勉強をしている。そういうこともあって、かなりの数の老化予防の本を書いている。さまざまな老化学説があって、どれもが一定の説得力をもっているし、否定されたものもほとんどない。たとえば、フリーラジカル説という身体の酸化が老化につながるという1950年代に提唱された学説は、いまだに有力で数多くの抗酸化作用のあるサプリメントが世界中で売られている。本当に抗酸化物質を摂取していると老化が進まないのかは実のところはっきりしない(と言いながら私も毎日服用しているが)。私の経験上、100パーセント正しいと信じられる老化予防法は、老化させたくないものを使い続けることだ。歩行機能の老化を防ぎたければ歩き続けることだ。脳の老化を予防するためには脳を使い続けることだ。仕事能力の老化を防ぎたければ、仕事を続けることだ。とし実は歳を取るほど使わなかった時の老化が激しくなる。若い頃であれば、10年間部屋から一歩も出ない引きこもりの生活を続けていても歩けなくなることはないし、ボケたようにもならない。しかし、70代以降の人が1カ月も外に出ない生活を続けているとフレイルという虚弱状態になる。80代なら要介護状態になることが多い。これはたとえば老化予防のサプリを飲んでいても同じことだ。ということで私は、ふだん「ちゃんと歩いていないと歩けな、くなりますよ」「会話を続けることで認知症予防になります」と伝え続けている。患者さんの側にも実感があるようで「確かにそうですね」「がんばって歩きます」と答える。ところが、意外に歩いてくれないことが多い。家でのんびりテレビなどをみているとその意欲がわかないのだ。こういう意欲の老化は若い人なら40代くらいから始まる。会社に行っている間は、それでも毎日歩くし、話もする。でも、定年後に強制力がなくなると歩かない、話もしないという人が少なくない。歩けなくなりたくない、ボケたくないという欲望が強くないとついそうなってしまうのだ。要するに欲望を維持することが、最有力の老化予防法だし、人間の老化は記憶力や身体機能より先に欲望の老化から始まる。それを防ぐことがこの連載のテーマだ。次回からはさまざまな欲望を保つためのテクニックを伝えていきたい。044

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アンケート『70歳が老化の分かれ道』和田秀樹著/詩想社新書/2021年6月刊/1,100円『不老脳』和田秀樹著/新潮文庫/2023年4月刊/836円わだ・ひでき1960年、大阪府生まれ。85年、東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て、現在、幸齢党党首、一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長、立命館大学生命科学部特任教授を務める。『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ著書多数。1.この記事を通じて、これまでのご自身の「常識」や「前提」をアップデートするような気付きはありましたか。a.強くそう感じる(常識が覆った・目が覚めた)b.そう感じる(新たな前提を得た)c.あまり感じない(すでに知っていた/実践していた)d.全く感じない(同意できない)2.筆者が提唱する「欲望を維持することこそが、最有力の老化予防法である」という考えについて、どう感じましたか。a.非常に深く納得できるb.一理ある(理解できる)c.理屈は分かるが、年齢相応の落ち着きも必要だと感じるd.逆に、執着や欲望は手放していくべきだと感じる3.年齢を重ねても決して枯渇させたくない、あなたの「最の欲望(知的好奇心、食欲、達成欲など)」は何ですか。また、それを維持するために意識していることはありますか。()4.この記事のテーマについて、知人や同僚と議論してみたい(または共有したい)と感じましたか。a.非常に強く感じるb.感じるc.どちらともいえないd.あまり感じないe.全く感じない『医者にヨボヨボにされない47の心得医療に賢くかかり、死ぬまで元気に生きる方法』和田秀樹著/講談社+α新書/2024年10月刊/990円5.今後、この筆者にどのようなテーマを取り上げてほしいですか。(複数選択可)a.知的好奇心を保つための具体的習慣b.定年後の「社会的強制力」に代わる意欲の作り方c.「欲望」と「健康寿命」の医学的相関関係d.感情の老化を防ぐための「遊び」の技術e.その他()回答はこちら045

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食語の心第143回柏井壽行きつけの店おおむねハレのときは外食になり、ケは家で食べることになる。それを細分化すれば、ハレの外食も、快晴、薄曇り、曇天と差異がある。統計をとったわけではないので、あくまで個人的な感想だが、最も多いのは薄曇りではないだろうか。ぜいたくつつハレと言い切るほどの贅沢はしないが、慎ましやか、とは違はやう。流行りの言葉で言えばプチ贅沢。すしかっぽう高額寿司や予約困難割烹は論外だが、ファミレスチェーンでは、いかにも寂しい。こんなときの店を何軒か行きつけにするのがいい。つまり、行きつけの店というのは、最も利用頻度が高いので、好みに合う店をジャンル別に見つけておくと、食人生が豊かになるのだ。長く外食を続けてきて行き着いた法則と言ってもいいのだが、今の人たちの外食状況を眺めていると、これとは逆行しているように見えてしまう。ぼくが子どものころに流行った切手集めのように、あるいはトレーディングカード収集のように、人気の店を数多く知ることに力を注ぎ、身近な店を行きつけにしようとしないのである。なんとももったいないことだと思う。ニューオープンの店があれば、いち早く駆けつけ、人気を呼んでいる店があれば、日にちを選ぶことなく予約する。かつてはぼくもそうだった。それは食に関わる物書きだったからでもあるが、数多くの外食経験によって、味覚が成長するだろうと思いこんでいたからでもある。多くの店に足を運び、たくさんの食を知れば、様々を味わい分けることができ、鋭敏な味覚を持てるだろうと思ったのだ。古希をとうに越えて振り返ってみると、多くの店体験=味覚の発達、とはならないことを改めて知った。もちろん人によって違いはあるだろうが、ぼくの場合、こうした外食のほとんどは、記憶から消え去っている。店の有り様は覚えていても、どんな味わいだったかは、まったくと言っていいほど、舌が覚えていないのである。それは読書や映画鑑賞にも通じるものがあって、心に残っているものは、自ら望んだものばかりで、ベストセラーだから、うわさとか噂になっているから、といった動機ではなかった。行きつけの店というのは、こうして愛読書となった本とよく似ている。おなじ本であっても、繰り返し読むうち、また新たな発見があったり、あらためて感服したりする。しかそしてなにより心地いいのだ。音楽も然りだが、好みに合うモノは心を癒やしてくれる。音楽にせよ、映画にせよ、食にせよ、出会いがなければならないわけで、出会ったときに、心に響くか否か、が分かれ目になる。言ってみれば、それは人もおなじだ。好きになるかどうか、は心が決めることであって、頭で決めるものではない。前置きが少しばかり長くなったが、とある雑誌に「行きつけの店の作り方」というテーマでインタビューを受けたことから、考察してみたわけである。欲しいのに、なかなか行きつけの店ができない、という方が多いのだそうだ。なぜ行きつけの店を作れないか。答えは簡単だ。予備知識を持ち過ぎるからである。人との出会いには求めないのに、店についてはあらかじめ情報をたくさん集めようとする傾向があり、それが障害になって、行きつけの店にならないのだ。シェフがどんな経歴で、どういう経緯をたどって、その店で料理を作っているのか、などということは知らなくていいと思っている。もっと言えば名前すら知らなくても差し支えない。現にぼくが行きつけにして、月に一度は足を運んでいる店の、主人の名前を知らないこともある。当然のことながら経歴も知らない。それで何か困ることがあるかと言えば、皆無と言ってもいい。実は話は逆なのである。客の側が料理人である主人や女将のことを知るのではなく、いかにして料理人に客のことを知ってもらうかが肝要なのだ。どんな料理、味付けを好むかはもちろんのこと、持病のあるなし、酒量や食べる量などを、主人や女将、スタッフにも周知してもらって、はじめて行きつけの店と言えるのである。そうして心を通い合わせるうち、自然と主人や女将のことが分かってくる、という自然な流れによって、行きつけの店の価値が生まれるのだ。046

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かしわい・ひさし1952年京都市生まれ。京都市北区で歯科医院を開業する傍ら、京都関連の本や旅行エッセイなどを数多く執筆。2008年に柏木圭一郎の名で作家デビュー。京都を舞台にしたミステリー『名探偵・星井裕の事件簿』シリーズ(双葉文庫)はテレビドラマにもなり好評刊行中。『京都紫野菓匠の殺人』(小学館文庫)、『おひとり京都の愉しみ』(光文社新書)など著書多数。アンケート1.この記事を通じて、これまでのご自身の「常識」や「前提」をアップデートするような気付きはありましたか。a.強くそう感じる(常識が覆った・目が覚めた)b.そう感じる(新たな前提を得た)c.あまり感じない(すでに知っていた/実践していた)d.全く感じない(同意できない)2.筆者が説く「客が店を評価するのではなく、料理人に自分(客)を知ってもらうことこそが行きつけの肝要である」という考えについて、どう感じましたか。a.非常に深く納得できるb.一理ある(理解できる)c.理想的だが、現代の消費スタイルには合わないと感じるd.やはり客が店を選別し、評価する側であるべきだと思う3.世間の評価や流行を抜きにして、あなたが「ただ心地よい」という理由だけで定期的に通い続けている場所(店や宿など)の、最大の魅力は何ですか。()4.この記事のテーマについて、知人や同僚と議論してみたい(または共有したい)と感じましたか。a.非常に強く感じるb.感じるc.どちらともいえないd.あまり感じないe.全く感じない5.今後、この筆者にどのような切り口で「食と旅の神髄」を語ってほしいですか。(複数選択可)a.予約困難店に惑わされない「本物の名店」の見極め方b.土地の空気まで味わう「大人のための孤独な旅」c.年齢と共に変化する「味覚の成長」と「嗜好の原点」d.情報に頼らず「感性」を磨くためのトレーニングe.その他()回答はこちら047

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L'essenzarivelatadall'inevitabilesottrazione本多哲也私が日本の風土でイタリア料理を作り続ける理由ちゅうぼう月日の流れは容赦がない。日本へ帰国して厨房に立ち続けてから、ふと振り返れば20余年の歳月が流れている。かつてこ私が作り続けた一皿に対し「和に媚、びている」「正統ではない」と冷ややかな目が向けられた時期もある。だが、ひたすらに鍋を振り続けてきた今、気がつけば時代という大河のほうが、私の足元へ流れ着いていたような不思議な感慨がある。情報があふれ、国境やジャンルの垣根が取り払われつつある現代において、私たち料理人は何をよりどころに皿に向かうべきなのだろうか。私が日々、厨房というささやかな空間に立ち、考え続けている「イタリア料理の核心」について、少しばかり書き記しておきたい。風土という名の水脈しょうけい異国の文化を模倣することは、ある種の憧憬から始まる。1960年代、まだ本国の食材が手に入らなかった時代、先人たちは手に入るもので懸命に日本のイタリア料理の礎を築いた。そして2000年頃、私が帰国した時には、この国の土と水が西洋の種子を受け入れ、熱心な農家たちの手によって見事な「西洋野菜」が育つようになっていた。みずみず目の前に、日本の土の匂いをまとった瑞々しい生命がある。これを使わぬ手はない。しかし、ここで一つの壁に突き当たる。イタリアの空の下で生まれたレシピを、そのままこの国のおい素材に当てはめても、決して美味しくはならないのだ。日本の野菜には、あちらの大地のような荒々しい苦みはなく、代わりひそに豊かな水脈が育んだ密やかな水分と、繊細な甘みが宿っている。それを「模倣の失敗」と断じる声もあった。だが、食文化とたどは風土に根ざしてこそ花開くものだ。遠く海を越えて辿り着いた異国の知恵を、この国の風土で育て直す。その土地にある最高の素材を使い、そこに暮らす人々が最も美味しいと感じるように仕立てる。それこそが、郷土料理を本流とするイタリア料理の本来の姿ではないか。私はただ、日本の自然と向き合い、目の前のお客様に喜んでいただける最適解を探し続けてきたに過ぎない。「アルデンテ」の正体イタリア料理といえば「アルデンテ」という言葉が、まるで絶対的なルールのようにはびこっている。かつては「パスタのか中心に硬い芯を残し、噛むたびに歯ごたえを感じるのが正解だ」とされ、今もなおその形にとらわれている人は少なくない。しかし、技術も素材も常に進化している。近年、パスタの粉も製麺の機械も、目を見張るほどの成熟を遂げた。例えば千葉の地で育まれた国産小麦を使い「、000」という極小の粒子ひに挽かれた粉で作られるパスタ。そこには、小麦という植物がうま内に秘めた、力強い旨みと甘みが凝縮されている。そのような見事な素材を前にしたとき、作法に縛られて無理に芯を残すことは、かえって素材の持ち味を殺す結果を招ゆく。むしろ、少し「茹ですぎ」と思えるほどにしっかりと火を通すことで、初めて小麦の奥深い甘みや、大地を思わせる豊かな食感が引き出されるのだ。何が何でも芯を残すことがアルデンテではない。その素材が最も輝き、命を全うする瞬間に立ち会うこと。形という執着を捨て、素材の真の姿を見極めることこそが、現代における「アルデンテ」の正体である。引き算の美学かつおだしフランス料理のトップシェフたちが昆布や鰹の出汁の魅力あいまいに気づき、ジャンルの垣根が曖昧になりつつある昨今、私にとってのイタリア料理らしさとはどこにあるのだろうか。ひと言でいえば、それは「引き算の美学」である。重厚なソースを何層にも重ねていくのがフランス料理の構築美であるなそら、イタリア料理は、過剰な装飾を削ぎ落とし、素材をあるがかえままの姿へと還していく作業だ。あぶ薪の炎で炙り出された肉の香ばしさに、果たして重たいソースは必要だろうか。上質なオリーブオイルのひと滴と、塩の結晶、あるいは南イタリアの風を思わせるレモンをひと搾り。そまだいれだけで、命は十分に輝く。真鯛のカルパッチョを口にした瞬間「、ああ、私は今、真鯛をいただいているのだ」と体の奥底で048

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ほんだ・てつや1968年、神奈川県生まれ。84年、東京調理製菓専門学校卒業。東京のイタリアンレストラン数軒を経て渡欧。イタリアやフランスなどで3年にわたり研鑽を積む。帰国後、99年に「リストランテアルポルト」副料理長に就任。2004年に独立し、「リストランテ・ホンダ」をオープン。18年、店内を一部リニューアル。アンケート1.この記事を通じて、これまでのご自身の「常識」や「前提」をアップデートするような気付きはありましたか。a.強くそう感じる(常識が覆った・目が覚めた)b.そう感じる(新たな前提を得た)c.あまり感じない(すでに知っていた/実践していた)d.全く感じない(同意できない)2.筆者が提唱する「素材の命を全うさせるため、アルデンテなどの『形(セオリー)』への執着を捨てる」という考えについて、どう感じましたか。a.非常に深く納得できるb.一理ある(理解できる)c.変化は認めるが、伝統的な型も守るべきだと思うd.定石を外すことにはリスクがあると感じる3.本多氏の「引き算の美学」のように、これまでのご自身のキャリアや人生において、余分なものを削ぎ落とした結果、かえって本質的な価値が高まったと感じた経験はありますか。()4.この記事のテーマについて、知人や同僚と議論してみたい(または共有したい)と感じましたか。a.非常に強く感じるb.感じるc.どちらともいえないd.あまり感じないe.全く感じないPhotoMasahiroGoda5.今後、この筆者にどのようなテーマを取り上げてほしいですか。(複数選択可)a.日本の四季と向き合う「素材選び」の審美眼b.イタリアの郷土料理に見る「持続可能な食文化」c.自宅での食卓を豊かにする「引き算」の料理術d.料理における「伝統」と「革新」のバランスe.その他()回答はこちらしんし直感できること。己の作為を捨て、素材の素顔と真摯に向き合う覚悟こそが、イタリア料理の精神なのだ。手を加えすぎず、ありのままの自然を尊ぶ。この思想は、海めに囲まれ、四季の移ろいを愛でてきた日本の和食の心と深く通底している。違いがあるとすれば、甘みを引き出す手立てがかんきつ「米やみりん」という農耕の恵みか「葡萄や柑、橘」という太陽の恵みか、というささやかな違いに過ぎない。シチリアの南蛮漬け「サオール」は、砂糖を用いず、干し葡萄やオレンジの酸味で丸みのある味わいを創り出す。そのわずかな違いのなかいとにこそ、互いの文化への敬意と愛おしさが息づいている。現代という慌ただしい時代は、時に人々の心を重くする。めまぐるしい日々の中で、常に決断を迫られて歩く大人たちに、ことさらに技巧をひけらかすような一皿は必要ないだろう。私が供したいのは、素材の命を極限まで引き出した、必然にして素朴な一皿である。私が作りたいのは、純粋に食べて美味しく、明日への活力になるような料理だ。余分なものを削ぎ落とし、素材そのものの味で勝負する。そんなイタリア料理という世界に出会えて、本当によかったと思っている。049

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時代を読む第143回原田武夫「戦略的言説(strategicnarrative)」とは何か?朝目覚めた時、読者の皆さんはまず何をされているだろうか?無論、身支度やら朝食やら色々なことがある。しかしある時から、私たち全員の生活の中に自然を装って入り込んできたことがある。それは「寝ている間にトランプ米大統領が何を言ったのか?」をチェックすること、である。なぜならば我が国のメディアはといえばテレビからラジオ、そして新聞から果てはインターネットに至るまで、全てが「ここ」から始まるのが常になっているからだ。いつの間にかそうなったわけであるが、とにもかくにもこのことは瞬く間に広がり、当然視されているのであって、もはや「これっておかしくないか?」と誰も言わなくなっている。しかも厄介なのは「こうなった」のがドナルド・トランプという、一人の世にも珍しい人物に固有のキャラクターによっていると誰しもが信じ込んでいる点なのである。「暴言」に次ぐ「暴言」を公人とはおよそ考えられないような頻度と密度でほえ続ける同人について、もはや米国の大手メディアですらすることができなくなっている。なぜならば、これまたトランプ米大しえんばり統領が「私怨」とでもとれるような罵詈雑言で当該メディアを責めると、今度はその取り巻き連中が一斉に厳しい措置をターゲットとなったこの可哀そうなメディアに対して課すからである。その結果「、アメリカン・デモクラシー」の根幹を支えていたはずの「言論の自由(freedomofspeech)」は見るじゅうりんも哀れに蹂躙され、ほぼ毎日が「トランプ節」という日常が広がってしまっている。しかもこれが全世界においてそうであるというのだから、すさまじいことだ。ぜひ、読者の皆さんには一つ、思い出していただきたい言葉がある。それはかつてフランクリン・D・ルーズベルト米大統領(当時)が語った次のような警句だ。「世の中に偶然などということは一つもない。私は賭けてもいい」その夫人が後にCIAへと発展するOSSに実は属していたことで知られる同大統領の言葉にはかなりの重みがある。すなわち「当たり前に生じたかのように見える出来事には常に仕掛け人がいるのだよ」ということである。もっともこのこちまたあおとは巷の陰謀論を煽っているわけではないことにも留意する必要がある。何でもかんでも「他責」に走ればいいわけではない一方で、客観性の担保に留意しつつ、一つひとつ事実(fact)を積み上げていくと見えてくることがあることもまた真実なのだ。例えば今回冒頭で述べたような状況であるが、これは実のところ「戦略的言説(strategicnarrative)」と呼ばれる、米国勢の国家戦略の一つによるものである。まず、米国は1980年代の前半に経済的な低迷から立ち直りを図るにあたり「情、報」とそれを支える「半導体」にテーマを絞り込み、そこで米国が発展を遂げることを邪魔しようとする全てのものを実力をもって排除してきた。その結果、まずはインターネットの世界を米国勢が牛耳ることとなり、さらにはそこでのプラットフォームは全て米国由来という状況を実現したのである。その一つがソーシャルメディアである。そしてそれらが十分普及した段階で今度は「日々、、言説を一見したところ思いつきで語るかのようでいて、実のところ戦略的な筋書き通りに語る人物」をリーダーにしたのである。この人物はメディアで活躍し、その中で「ト書きはあるものの、あたかも自分の言葉でそれを語れることに卓越した能力を持つ人物」でなければならない。もうお分かりであろうが、このようにして選ばれたのがドナルド・トランプその人なのである。「トランプ節」を安直にとらえてはならない。その背後において実質的な「戦略的言説」とその筋書きを考えている「奥の院」の姿を知らなければならない。「ディープステート」などとトランプが叫ぶ時、そこに巧妙な煙幕を感じなければならない。なぜならば、そうすることによってこそ「真実」が見えてくるからだ。全てはそこから、始まる。050

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はらだ・たけお元キャリア外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。情報リテラシー教育を多方面に展開。2015年よりG20を支える「B20」のメンバー。www.haradatakeo.comアンケート1.この記事を通じて、これまでのご自身の「常識」や「前提」をアップデートするような気付きはありましたか。a.強くそう感じる(常識が覆った・目が覚めた)b.そう感じる(新たな前提を得た)c.あまり感じない(すでに知っていた/実践していた)d.全く感じない(同意できない)2.筆者が提唱する「トランプ氏の言説は緻密な国家戦略に基づいた筋書きである」という見立てについて、どう感じましたか。a.非常に深く納得できるb.一理ある(理解できる)c.少し深読みしすぎていると感じるd.戦略ではなく個人のキャラクターに起因するものだと思う3.表層的なニュースや世論に流されず、事物の「本質」や「裏側」を見極めるために、あなたが日頃のビジネスや情報収集で意識しているマイルールがあれば教えてください。()4.この記事のテーマについて、知人や同僚と議論してみたい(または共有したい)と感じましたか。a.非常に強く感じるb.感じるc.どちらともいえないd.あまり感じないe.全く感じない5.今後、この筆者にどのようなテーマを取り上げてほしいですか。a.「戦略的言説」を操る「奥の院」の正体とその系譜b.地政学リスクの裏側に潜む「見えない国家戦略」c.パックス・アメリカーナ後の「次なるデジタル秩序」d.フェイクニュース時代を生き抜く「真実の抽出術」e.その他()回答はこちら051

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極め道の不自由を愉しむ第1回湯山玲子クラシック鑑賞は、もはやSMプレイである人生は仕事と趣味とあとは事務(家庭や税金関係や地域活動等々)で大半が過ぎていく。趣味は多くの人にとって生きがいにもなるが、日本人の傾向として、そこに楽しみ以上のものを求める傾向があるのはご存じの通り。いわゆる、その道を究めるというヤツで、花道に茶道に武道ってね。最近ではサウナを極める「サ道」というものもあるらしい。さて、音楽鑑賞は多くの人が心当たりがある素晴らしい趣味だが、ことクラシックにおいてはそこに強力に「クラシック極め道」というようなマインドが強烈に存在する。人の心をつかむキャッチーなメロディーとナイスなグルーヴがあれば、音楽は必要十分だというのが多くの人の常識だが、クラシック音楽の魅力はそこだけではない。ブルックナーなどの交響曲は、単純なメロディーが手を替え品を替え登場し、最長100分ほどの時間をかけて初めて、まるで音楽のサグラダファミリぜんぼうア(私の感想ね)のような巨大建築物のような全貌が立ち現めれる。残念ながら、それらを愛でるには、3分間あれば曲の魅力が分かるポップスとは違った、音響の全てを享受できる耳と脳の回路が必要でそれを一期一会のコンサート通いの中に極めていくのが、クラシック観客の「道」というわけだ(あー、面倒くさい)。道場ならば、そこには不文律がある。してそのモラルの頂点は、何と言っても雑音をたてないこと。デリケートな生音の演奏なだけに、確かにノイズは邪魔になるが、近年特にSNS以降このモラルがエスカレート。かつては「生理現象だから仕、せきあめ方がないよね」と許し合っていた咳や咳止め飴の包み紙のカサッというちょっとだけの音にも、矢のような視線が飛んでくるのが今。海外のコンサート会場はもうちょっと寛容で、オペラの曲間に連れ合いの耳元で感想をささやいたり、アリアを小声で歌っている人もいるぐらい。日本ではノイズ発生者が大犯罪人扱いになるのは「静かに聴くことがつまり、、敬意の表明である」という「道」ならではのモラルであり、これは文化なので致し方ない。あふこんなにエンタメが溢れている現在にあえてクラシックに足を運ぶという人たちは、その極め道に人生をかけている強者たちで、コンサート会場は、現実的にそちらの方が太(フト)客。現在ナマで一流の演奏を聴きたかったら、残念ながらこの粛清環境に甘んじなければならない。さて、それを乗り越えるにはどうするかと言えば、SMにその回答アリ。この不自由感をボンデージ同様に考え、そんな拘束体感の中で耳に集中して、耐え抜いたその先の快感を見いだすというプレイです。そんなのゴメンだ!というならば、配信や録音物でクラたのシックを愉しむという選択肢の方をオススメする。こちらはもう自由自在。本日も、恒例の朝の散歩でジョージ・セル×クリーヴランド管弦楽団でマーラーの交響曲第10番の一楽章を聴いていたが、例のマジで怖いコードと目の前のクスノキがシンクロして、その大木が一瞬妖怪になった。このストリーミング時代、浴びるようにクラシックを聴くうちに、自分にとってのお気に入り曲が必ず浮上してくる。コンサートとは、その曲を今度はナマで聴いてみてどうか?という生体実験。もちろん、SMのMッ気にて、客席の粛清モードを乗り切り、演奏が素晴らしかったならば、そこには確かに一期一会の“芸術”が存在するのだ。052

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ゆやま・れいこ著述家、プロデューサー、おしゃべりカルチャーモンスター。1960年、東京都生まれ。学習院大学法学部法学科卒業。ぴあに勤務後、フリーの編集者、ライター、広告ディレクターとして独立。現場主義をモットーに、映画、アート、演劇、音楽、食、ファッション、ジェンダーなど、多岐にわたる分野で発言を続けている。日本大学藝術学部文芸学科・東京家政大学非常勤講師。辻静雄文化賞選考委員。ホウ71取締役。アンケート1.この記事を通じて、これまでのご自身の「常識」や「前提」をアップデートするような気付きはありましたか。a.強くそう感じる(常識が覆った・目が覚めた)b.そう感じる(新たな前提を得た)c.あまり感じない(すでに知っていた/実践していた)d.全く感じない(同意できない)2.筆者が提唱する、不自由なマナー空間を「知的な拘束(プレイ)」として楽しむという考えについて、どう感じましたか。a.非常に深く納得できるb.一理ある(理解できる)c.ハードルが高く、自分には楽しめないと感じるd.文化や娯楽はもっと自由でカジュアルであるべきだと感じる3.あえて「厳しいルール」や「不自由さ」が存在するからこそ、かえって大人の余裕や知的な面白さを感じるような趣味・体験があれば教えてください。()4.この記事のテーマについて、知人や同僚と議論してみたい(または共有したい)と感じましたか。a.非常に強く感じるb.感じるc.どちらともいえないd.あまり感じないe.全く感じない5.今後、この筆者にどのようなテーマを取り上げてほしいですか。(複数選択可)a.日常の景色をドラマ化する「音楽の浴び方」b.既存の価値観を壊す「大人のための新しい遊び」c.現場(劇場やコンサート)での濃密な人間観察術d.身体性を伴う「野蛮な知性」の磨き方e.その他()回答はこちら053

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本の食べ時第16回君島佐和子野菜界の“異能の人”を心の至近距離で描くノンフィクションひとり出版社が増えている。出版不況と言われて久しく、既存の出版社が減少の一途をたどる中、ひとり出版社の数は右肩上がり。この5年で200社以上の増加と聞く。今年1月には東京で「独立出版社エキスポ」も開催された。書籍系デジタルメディア「日経BOOKプラス」で2025年5月から始まったインタビューシリーズ「探訪!ひとり出版社」で目に留まるのは「バンド活動のような本づくり」「、“無名の人”の声を届ける本づくり」といったフレーズだ。市場性を顧みないわけではないけれど、経済合理性よりも優先させたいものがある。ひそかに譲れぬ思いが見え隠れして共感を誘う。『野菜師』の版元もひとり出版社だ。「アネモスBOOKS」のレーベルを掲げる浅井裕子さん。食の総合出版社として定評ある柴田書店で月刊誌・ムック・書籍などの編集に携わった後、2018年に独立した。初リリースの本書はインディペンデントならではの生きの良さと意気の良さに満ちる。簡潔な書名。扱っている素材の鮮度。「めんどくさいジジイ」という主人公のキャラもさることなそんたくちょくせつがら、忖度のない直截的な文章が書き手と対象との間に息づく信頼を映し出す。著者名の東郷まどかは実は浅井さん本人である。うしおえ野菜師とは、高知市潮江地区のカリスマ農家「潮江旬菜」、くまざわひではる熊澤秀治さんを指す。葉野菜やトウモロコシを生食用に育てて市場に投じ、生食ブームのきっかけを作った人物。エポックメーカーと言っていい。加熱が常識だった葉野菜をサラダにするのも、生食のトウモロコシが店頭に並ぶのもいまや当たり前の光景だが、どのような過程を経てそうなったかを、多くの消費者は知らない。野菜は老若男女が日々口にする食材であるにもかかわらず、生活者の手元に届く情報は少ない。食べ手の側も産地・生産者・品種がそろえば情報が足りていると思い込む現実がある。本書は、熊澤さんがどのようにして自ら納得する野菜を作り上げていくのかを克明に追う。野菜の味はいかにして作られるかを描き出す。「熊澤は技術の人である。農産物を取り巻く世界を自動車のブランディングを例に理解していた。技術によって品質が成り立っているものは、技術の高さを知らしめることが最強のブランディングである。」との一文が象徴的だ。農家を継ぐ前、旧車のレストアや自作自動車の賞レース、バイクのフェスを手掛けた彼にとって「農業とエンジニアリングは似ている」らしい、。それが生半可な技術でないことは、たとえば「アミノ酸マジック」「ドーピング」といった彼独特の表現が物語る「アミノ。酸マジック」とは、土壌に微生物資材とアミノ酸資材を合わせて投入して株の成長を促進する術。「ドーピング」とは、液肥、コロニー、アミノ酸資材、カルシウム資材、糖蜜を混ぜて希釈した高機能肥料を株元に施用後、水かけし、翌日、濃度1000054

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きみじま・さわこフードジャーナリスト。2005年に料理通信社を立ち上げ、06年、国内外の食の最前線の情報を独自の視点で提示するクリエイティブフードマガジン『料理通信』を創刊。編集長を経て17年7月からは編集主幹を務めた(20年末で休刊)。辻静雄食文化賞専門技術者賞選考委員。立命館大学食マネジメント学部で「食とジャーナリズム」の講義を担当。著書に『外食2.0』(朝日出版社)。アンケート1.この記事を通じて、これまでのご自身の「常識」や「前提」をアップデートするような気付きはありましたか。a.強くそう感じる(常識が覆った・目が覚めた)b.そう感じる(新たな前提を得た)c.あまり感じない(すでに知っていた/実践していた)d.全く感じない(同意できない)2.筆者が紹介する「技術の高さを知らしめることが最強のブランディングである」という考えについて、どう感じましたか。a.非常に深く納得できるb.一理ある(理解できる)c.業界によっては通用しないと感じるd.現代では情緒的・物語的なブランディングの方が重要だと思う3.経済合理性や効率だけでは測れない「個人的な熱量」や「強いこだわり」を、ご自身のビジネスやライフワークにどのように反映させていきたいですか。()4.この記事のテーマについて、知人や同僚と議論してみたい(または共有したい)と感じましたか。a.非常に強く感じるb.感じるc.どちらともいえないd.あまり感じないe.全く感じない倍のALA希釈液を葉面散布するというもの。これだけ読むとやたら人為的な印象を抱きかねないが、狙いは根圏(植物の根とその周囲に集まる微生物の活動領域を含む土壌の範囲)のコントロール、すなわち野菜の成長や風味の発現を助けるふ微生物と手を組むこと。と聞けば、腑に落ちる。技術と同時に言及しておかなければならないのが、途絶えうしおえなていた「潮江菜」の復活だろう。高知出身の作家、宮尾登美子のエッセイに「うしおえかぶ」の文字を見いだした熊澤氏は、潮江に生まれ育った者として、その再生を目指す。2014年、高知が生んだ植物学者・牧野富太郎の弟子の家族から託されく種を超える種子コレクションの中に奇しくも「潮江菜(うしおえかぶと同種)」が含まれていたことで復活はかなう。農家仲間、研究者、行政、流通有志と「チームマキノ」を結成し、「牧野野菜」と銘打って栽培に挑むのである。栽培に限った話ではない。ブランディングにおいても、エポックメーカーぶりはいかんなく発揮される。伊勢丹のバイヤーと組んで、上顧客向け商談会「丹青会」で牧野野菜をデビューさせたり、潮江東小学校の児童に食品フロア青果コーナーでの販売という食育体験をさせるといった仕掛けの鮮やかさたるや。それにしても「野菜師」とはよくぞ言ったものだ。絵師、仏師同様、農業者も高度な専門技術によってものする人なのだと、読み進めるほどに得心した。5.今後、この筆者にどのような切り口で「本と食の深淵」を語ってほしいですか。(複数選択可)『野菜師』東郷まどか著/アネモスBOOKS/2024年9月刊/4,290円a.既存の枠組みに縛られない「独立系出版社」の動向b.常識を覆す「異能の生産者」たちの哲学c.名著から読み解く「日本の食文化のルーツと未来」d.知られざる「食のエンジニアリング(技術論)」e.その他()回答はこちら055

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諦める力と選ぶ知性第1回為末大諦めるとは、明らかにすること諦めると聞くとネガティブなイメージが浮かぶが、本来は仏教用語で「明らかにすること」だったと言われている。「事情をはっきりさせる」「曇りなく見通す」「つまびらかにする」が明らかにすることの意味合いだ。は明らめるにはなんとなくベールを剥ぐような印象がある。そのベールはおそらく薄い生地でできていて、覆われているものがなんとなく見えているものの、はっきりとわかるほどの薄さではない。ベールを剥ぎ取ってしまえば、中にあるものがわかるのだがどうしてもそれができない。おそらく諦めきれない時の人間の心境はこんなところではないだろうか。自分でも何かは気づいているがそれを認めるのが怖い時だ。いや待てよ。でもあなたは元アスリートじゃないか。アスリートがよく「諦めなかったからここまで来れた」というじゃないか。スラムダンクの安西先生も「諦めたらそこで試合終了ですよ」と言っているじゃないか。おっしゃる通りで、諦めてしまえば可能性はなくなる。やっている限りは可能性はゼロにならない。もし、あそこで諦めていたら今の自分はないだろうと思う方も多いのではないか。諦めた方がいいのか。諦めない方がいいのか。どっちなんだ。それは実は自分に投げかけられた問いでもある。どこまで行っても可能性はゼロにはならない。だから理屈上は続けていれば可能性はある。一方で、人生は有限だ。どんな人でも一日は24時間しかない。続けているそれをやめれば、新しいスペースができてそこに何かを入れられる。もし、明日の朝目覚めて、今までの記憶がない状態で選択をするなら、今までやってきたことも、違う何かをやることも、等価になる。ベールの話に戻ろう。ベールを剥ぐのは勇気がいるが、一度ふ剥ぎ取ってしまうと「ああやっぱりそうだったか」と腑に落ちることが多い。人は意外とよく終わり際がよくわかっていたりするものだから。もしももう自分でもうっすらわかっていて、諦めたいのだけれど諦められない時、私は儀式を行うことを勧めている。一定期間思いっきりやってやって、これでもかというぐらいやり切って、それでだめなら諦めると決める。中途半端は良くない。私がアスリートだった頃、最後の4年間は今考えると儀式だったと思う。やってやってやり切って、それでダメだったから、気が済んだ。残しておくのは思い出して良くないと、現役時代のものは全部処分してしまった。引退した次の週にはランニングシューズひとつ家になかった。そこまで極端でなくてもいいけれど、ベールを剥ぎ取って事実を見る頃かなと思った時にはぜひ儀式をやってみてほしい。最後に私からの言葉をひとつ。「後ろの扉を閉めた時に前の扉は開く。いくら前の扉に可能性が広がっているとしても、前の扉を開いてから、後ろの扉を閉じることはできないのだ」056

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アンケートためすえ・だい1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2026年3月現在)。現在はスポーツ事業を行うほか、アスリートとしての学びをまとめた近著『熟達論:人はいつまでも学び、成長できる』を通じて、人間の熟達について探求する。その他、主な著作は『WinningAlone』『諦める力』など。1.この記事を通じて、これまでのご自身の「常識」や「前提」をアップデートするような気付きはありましたか。a.強くそう感じる(常識が覆った・目が覚めた)b.そう感じる(新たな前提を得た)c.あまり感じない(すでに知っていた/実践していた)d.全く感じない(同意できない)2.筆者が説く、次の扉を開くために「後ろの扉を閉める(やり切るという儀式)」という考えについて、どう感じましたか。a.非常に深く納得できるb.一理ある(理解できる)c.潔いが、自分には実践が難しいと感じるd.扉は完全に閉めず、選択肢(逃げ道)は残しておくべきだと思う3.次のステージ(前の扉)へ進むために、あなたが今、あえて手放そうとしている(後ろの扉を閉めようとしている)ポジションやこだわりはありますか。()4.この記事のテーマについて、知人や同僚と議論してみたい(または共有したい)と感じましたか。a.非常に強く感じるb.感じるc.どちらともいえないd.あまり感じないe.全く感じない5.今後、この筆者にどのようなテーマを取り上げてほしいですか。(複数選択可)a.限界を超えた先にある「ゾーン」の心理学b.挫折や敗北を「知的な資産」に変える技術c.身体感覚と言語化のバランスについてd.「選ばなかった道」を肯定する思考法e.その他()回答はこちら057

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とんかつエンジニアリング第1回眞杉大介1トンのとんかつ、その向こう側へこうとんかつ好きが昂じて、とんかつ屋を始めた。20年以上、年間200食以上のとんかつを食べ続けている。総量にすれば優に1トンを超えるだろう。店を開いてからは、10万枚以上のとんかつを揚げてきた。数字にすると少々大げさに聞こえるが、私にとっては日常の延長である。20代の頃、理由を考えるよりも先に、私はとんかつを食べていた。夕食の半分はとんかつだったのではないかと思う。いま思えば、ずいぶんと偏った食生活である。しかし当時の私は、それが偏りだとは少しも思っていなかった。ひなぜ、そこまで惹かれるのか。その問いをきちんと考えたのは、ずっと後のことである。おい私にとってとんかつは、豚肉をもっとも構造的に美味しくすうまる料理だ。衣は熱を伝えながら内部の水分を保ち、旨みを閉じ込める。高温の油は表面を瞬時に固め、内部を蒸し上げる。とろだいごみ赤身の締まりと、蕩ける脂の甘さ。その対比こそが、醍醐味である。「牛の脂はしつこいが、豚の脂はうまいだろ」小学生の頃、父が何気なく言った一言を覚えている。振り返れば、その言葉が私の人生を決めたのかもしれない。前職は事業再生のコンサルタントだった。出張が多く、全国を巡った。その土地その土地で銘柄豚のとんかつを食べた。「どろぶた」「TOKYOX」「サドルバック」。気づけば、味の印象を書き留め、比較し、記録していた。美味しい、で終わらせず、なぜ美味しいのかを言葉にしようとしていた。そしてコロナ禍。夫婦ともに50歳を前に、これからの人生を考えた。夫婦でとんかつ屋を開くことを決めた。建築士である妻が店の図面を引き、私がとんかつをつくりこむ。好きなことを、徹底してやってみようと。そして、店づくりを進める中で、もう一つの気づきがあった。とんかつの向こう側に、大きな世界が広がっているという事実である。提供したい銘柄豚の生産者に直接電話をかけ、農場を訪ねた。そこで初めて知った。品種の配合がとても大切なこと。脂の質は飼料で変わること。環境が豚の身体だけでなくメンタ058

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ますぎ・だいすけ学生時代から全国のとんかつを食べ歩き、事業再生コンサルタントからとんかつ職人へと転身した異色の経歴を持つ“とんかつマニア”。2021年11月、「tonkatsu.jp表参道」をオープンし、プロデューサーを務める。全国各地の養豚家を訪ねて厳選した銘柄豚のラインアップと、その個性を引き出す職人技は高い評価を得ている。現在は食文化としてのとんかつを次世代につなぐため、精力的に活動中。アンケート1.この記事を通じて、これまでのご自身の「常識」や「前提」をアップデートするような気付きはありましたか。a.強くそう感じる(常識が覆った・目が覚めた)b.そう感じる(新たな前提を得た)c.あまり感じない(すでに知っていた/実践していた)d.全く感じない(同意できない)2.筆者が提唱する「とんかつは、温度・時間・脂質などの緻密な設計の積み重ねである」という工学的なアプローチについて、どう感じましたか。a.非常に深く納得できるb.一理ある(理解できる)c.頭では理解できるが、料理はもっと感覚的なものだと思うd.分析的すぎて食の楽しみが減ると感じる3.本業で培ったスキルや分析眼を、全く異なる「趣味」や「個人的な偏愛」に注ぎ込んで独自の価値を生み出すとしたら、あなたはどんな分野を極めてみたいですか。()4.この記事のテーマについて、知人や同僚と議論してみたい(または共有したい)と感じましたか。a.非常に強く感じるb.感じるc.どちらともいえないd.あまり感じないe.全く感じない5.今後、この筆者にどのような切り口で「とんかつエンジニアリング」を語ってほしいですか。(複数選択可)a.銘柄豚の「血統と飼料」が味に与える科学的根拠b.1度単位で変化する「揚げ油と中心温度」の最適解c.生産者の「思想」が反映された日本各地の銘柄豚探訪記d.コンサルタント視点で見る「飲食店経営と食文化の持続性」e.その他()回答はこちらからルの健康を左右すること。それまで私は、膨大な量のとんかつを食べてきた。しかし「美味しい」で止まっていた。その美味しさの背後に、育てる人の思想があると知った瞬間、世界が一段深くなった。とんかつを食べることと、揚げることは、まったく別の行為である。食べる側にいる時は結果しか見えていなかった。断面の色、にじ肉汁の滲み、衣の立ち方。皿の上に置かれた一枚は、完成形であった。しかし揚げる側に立つと、その一枚は分解する必要があった。「揚げ油は何度だったか」「衣をつけてから鍋に入れるまで何秒なじませたか」「中心温度はどこで止めるべきか」「脂身にもしっかり火入れされているか」銘柄が変われば火入れに必要な時間は大幅に変わる。同じ銘柄豚でも個体差はある。肥育日数が違えば筋繊維の締まりも違う。脂の融点が1度違うだけで、口溶けは変わる。食べてきた1トンは、揚げるための準備だったのかもしれない。そして10万枚を揚げて、ようやく分かったことがある。とんかつは、料理であると同時に、設計でもある。温度と時間の設計。赤身と脂質の設計。偶然の産物ではない。意思の積み重ねである。もっとも、ここまで理屈を並べておきながら、最後はやはり「うまい」の一言に尽きるのだが。ワインやコーヒーの世界では、生産者が語られる。ならば豚肉でも同じことが起きてよいのではないか。そう考え「旅、するとんかつ」という構想が生まれた。日本各地の銘柄を通して、生産者と食べ手をつなぐ場所にしようと。ちゅうぼうとんかつは皿の上で完結しない。豚舎から厨房までが一本の線でつながっている。その線を、できるだけ太くしたいと思った。1トン以上を食べ、10万枚以上を揚げる。その両側から、とんかつを見つめてきた。この連載では、美味しさを感覚だけで終わらせない。温度、脂、時間、背景―それらを少しずつ言葉にしていきたい。とんかつの向こう側へ。ご一緒いただければ幸いである。059

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ひらまつ「HRMTSTAGE」が描く美食の未来ひらまつが伝統を礎として新たな価値を再構築している。若き才能を磨き、食の未来を見据えた挑戦が、これまでにない進化を見せる。PhotoMasahiroGodaTextNile’sNILE植杉かおりうえすぎ・かおり1998年にひらまつ入社後、イベント企画、PR、広報などに従事。その後、本部の多岐にわたる業務に携わり、2025年、取締役COOに就任。東京・恵比寿「HRMTSTAGE」では若手育成や運営方針など大胆な改革を主導。2028年の表参道旗艦店オープンを見据え、現場と経営の視点を尊重した組織改革を推進している。062

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日本のフランス料理界において、長らくその頂点に君臨し、常にシーンの中心であり続けた「ひらまつ」。重厚で格式高いグランメゾンという確固たるイメージを持つ同社が今、東京・恵比寿で、これまでのレストランの常識を鮮やかに覆す大胆な一歩を踏み出している。2026年に誕生した「HRMTSTAGE」は、単なる新店舗のオープンという枠には収まらない。それは、ひらまつが2025年に掲げた「美しい味を、未来へ。」というビジョンを体現する象徴であり、次世代の才能を最速で開花させるための極めて実践的な「登竜門」なのだ。同社取締役COOを務める植杉かおり氏の言葉から、伝統企業が挑む痛快なまでの自己変革ぜんぼうと、次代のラグジュアリーの全貌をひもとく。ジャンルを超越する知的な美食これまでひらまつと言えば「ハレの日のための特別な空、間」という印象が強かったかもしれない。しかし「、HRMTSTAGE」は意外にも、日常の延長線上で頻繁に足を運んでほしいという、開かれた思いから誕生した。この新章を貫く哲学は、店舗名に冠された「HRMT」という四つの文字に集約されている。これはひらまつ(HIRAMATSU)から抽出されたアルファベットであり、同時に「Harmony(調和)、Restructure(再構築)、Moment(瞬間)、Tradition(伝統)」という重層的な意味が込められている。その「再構築」の姿勢が最も端的に表れているのが、料理せいちそのものの在り方だ。フランス料理の精緻な技法を揺るぎないベースとしながらも、そこにイタリア料理、日本料理、さらにどんよくはイノベーティブ料理のエッセンスを貪欲に取り入れ、純粋な「おいしい一皿」を追求している。「ジャンルという枠組みに縛られず、積極的に新しい知識を吸収し、それをお客様に還元していく。実はこの進化こそが、ひらまつが創業以来長年大切にしてきた思想なのです」と植杉氏は語る。伝統という重力に縛られるのではなく、本質的な価値を守るために自らの手で既存の枠を壊す。その自由で知的なアプローチは、真の食の冒険者たちを魅了してやまない。合理性が生むクリエーティビティの余白「HRMTSTAGE」を語るうえで見逃せないのが、バックヤードにおける徹底した「合理性」の追求である。そこには、格式や見栄にとらわれない経営者としての冷徹なまでの知性が光る。例えば、店舗の運営においては完全キャッシュレス決済を採用。現金管理や銀行手続きといった煩雑な裏方業務を完全に排除した。また、環境への配慮から、高性能な浄水システムによる水の提供へと切り替えている。さらに驚くべきは足元だ。伝統的なレストランに必須とされる革靴の着用を廃止し、スタッフの動きやすさと疲労軽減を目的としたオリジナルの「足袋シューズ」を全員に採用したのである。ちゅうちょ一見、レストランの格に関わると思われる細部すらも、躊躇なく「現在の最適解」へと書き換える。なぜか。それは単なるそコストカットや効率化ではない。無駄を削ぎ落とすことで生み出された「時間とエネルギーの余白」のすべてを、料理のクリエーティビティと、ゲストとの人間的なコミュニケーションに全振りするためだ。AIやシステムが裏側を支える時代において、人間にしか生み出せない「熱狂」や「ホスピタリティ」に資源を集中させること。これこそが、現代のレストラン経営における究極のラグジュアリー戦略に他ならない。「人」という資本への投資この大胆な舞台に秘められた最大の目的は「教育の圧倒、的な効率化」にある。飲食業界全体が深刻な人材不足に喘あえぐ中、ひらまつが導き出した答えは、若き才能を最速で育て上げる独自のシステムだった。「HRMTSTAGE」は20代の若手メンバーが集結し、彼らがひらまつの“フランス料理、イタリア料理、日本料理、イノベーティブ”の各分野の第一線で活躍するトップシェフから直接学び、店舗という生の舞台で実績を積む。これにより、短期間で圧倒的な成長を遂げることを目指しています。彼らには3年でここを『卒業』し、次のステップへ羽ばたいてほしい。これは業界全体の未来のために、ひらまつが実践すべき使命だと考えています」と植杉氏は力を込める。この熱量の高い「学びの場」を空間として演出したのが、デザイナーの佐藤オオキ氏(nendo)である。ラズベリーピンクを基調とし、和洋の境界を取り払ったモダンな店内。エントラちゅうぼうンスの正面に現れるオープンキッチンは、客席と厨房の床高を緻密に調整し、ゲストと若き料理人の「目線」が合うよう設計されている。「お客様との自然な会話から学ぶことは計り知れません」と植杉氏。この空間自体が、若き才能を育むためのふか巨大なインキュベーター(孵化器)として機能しているのだ。植杉氏が描くストーリーは、すでに遠くを見据えている。2028年に予定されている、表参道での巨大なフラッグシップ店舗のオープンだ。この恵比寿という挑戦の場で育ち、ジャンルを超えた技法と高度なサービススキル、そして人間力を身につけた若手たちが、次なるメインステージへと羽ばたき、中核を担っていく。ひらまつが試みているのは、単なる新店舗の成功ではない。「人」という究極の資本を再定義し、循環させるという、より高次な文化的挑戦である。ひらまつが放つ鮮烈な光は、2028年の表参道で、私たちがまだ見たことのない進化した食の風景を照らし出すに違いない。063

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GARDEが発信する新たな社交場デザイン・コンサルティングを手掛けるGARDEが、ギャラリーをリニューアルオープン。アートと人が交差する「サロン」が新たに誕生した。PhotoMasahiroGodaTexNile’sNILENicolaManieroニコラ・マニエロイタリア出身の建築家・写真家。ベネチア建築大学(IUAV)にて建築を学んだ後、2010年より隈研吾建築都市設計事務所に参画。現在は同事務所のパートナーとして、ヨーロッパや中東、アジアでの大規模な文化施設や都市プロジェクトを担当している。写真を建築的思考の延長線上にある不可欠な探究手段として捉え、都市環境がいかに知覚され、人々の感情に作用するかをテーマに、独立した写真研究を精力的に展開している。デザイン・コンサルティングの先に見る「文化」という無形資産東京・表参道を拠点にデザイン・コンサルティングの旗手との本社ビル内に、新たな息吹が吹き込まれた。「GARDEARTGALLERY」のリニューアルである。これは単なる空間の刷新ではなく、業界の枠を超えて感度の高い人々が自由に集い、交流する「現代のサロン」としての再定義といえる。同社を率いる代表取締役社長の室賢治氏は、主事業である空間デザインと共に長年アートの発信に力を注いできた。彼にとって、企業の価値を「文化」により高めることは経営上の信念である。「ギャラリーは本来、アートを展示するだけの場所ではありません」と室氏は語る。目指しているのは、建築家、デザイナー、ビジネスリーダーなど多様な業界の人々が交ざり合う拠点だ。そこには、すでに認知されたアーティストだけでなく、将来の可能性を秘めた才能に「最初の舞台」を提供したいというパトロンシップに近い思いもある。この姿勢は国内にとどまらない。2025年1月、創業40周年プロジェクトとしてニューヨークに「GOCAbyGarde」をオープン。日本やアジアの現代アートを世界へ発信する一方で、この拠点では、国籍を問わずアートと人が交差する場を目指す。文化に貢献する企業としての立ち位置を明確にすることは、市場における信頼と優位性を生む。それは、ビジネスとクリエーティブが互いを高め合う、現代における企業価値の在り方を示している。064

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室賢治むろ・けんじ1965年、大阪府生まれ。2015年にGARDEへ入社。香港駐在を経て、22年1月より代表取締役社長を務める。ラグジュアリーブランドの旗艦店からホテル、大型商業施設の全館デザインまで、国内外で幅広く指揮を執る。創業40周年を機に、NYでのギャラリー開設をはじめ、アートを通じた国際的な文化発信に心血を注いでいる。ニコラ・マニエロが切り取る「日常の呼吸」と社交場の価値リニューアル第1弾の個展を開催したのは、建築家であり写真家でもあるニコラ・マニエロ氏だ。ベネチア建築大学で学び、隈研吾建築都市設計事務所のパートナーとして世界的なプロジェクトに携わる彼は、今回、ギャラリーを一つの「広場(プラザ)」に見立てて構成した。街角にある、人々が意図せず出会い、対話を始める公共空間の記憶の投影である。マニエロ氏が捉えるのは、都市の計画からこぼれ落ちる「日常の呼吸」だ。彼は展示作品を都市に開かれた「窓」と表現すせいひつな発る。「窓」を通して、来場者は日常の風景の中に潜む静謐見を体験した。建築家として空間の骨組みを熟知する彼だからこそ、そこに流れる光や空気の機微を視覚化できるのだ。オープニングには、多種多様な背景を持つ人々が集まった。「異なる才能が同じ空間を共有し、新しいアイデアが生まれる。それこそが、この場所があるべき姿です」とマニエロ氏は振り返る。室氏が描く未来像は、効率化が優先される現代において、私たちが忘れかけていた「知的な余白」と、そこから生まれる対話の価値を再認識させてくれる。室氏が提唱する思想と、マニエロ氏の「空間と感情」への洞察が共鳴したこのサロンは、ラグジュアリーの次なる未来を提示している。ぜいたくな体美しいものに触れ、他者と視点を共有する。その贅沢験こそが、これからの時代における豊かさの本質ではないか。デザインの枠を超え、文化そのものを創造していくGARDEの挑戦は、この南青山の地から、世界へと加速していく。065

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時代を切り拓く「人間力」を磨く日本のビジネススクールの先駆けとして「人を教育する」理念を貫くABS。正解のない時代に求められるリーダー像とは。PhotoMasahiroGodaTextNile’sNILE細田髙道ほそだ・たかみち青山学院大学国際マネジメント研究科(青山ビジネススクール)教授(Ph.D.)および英国高等教育アカデミー・フェロー。欧州におけるビジネス教育認証機関であるEFMDの認証審査委員も務める。専門領域は持続的サプライチェーン・マネジメント。EJORやIJPE等の海外トップジャーナルからの出版多数。日英の企業コンサルティング経験も豊富。社会人向けMBAプログラムにてオペレーションズ・マネジメントをサステナビリティの視点も入れながら実務で生かせる教育を実践している。www.aoyamabs.jp066

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日本のビジネススクールの先駆けとして、数多のリーダーを世に送り出してきた青山学院大学大学院国際マネジメント研究科、通称「青山ビジネススクール(ABS)」。その指揮を執る細田髙道研究科長は、サプライチェーン・マネジメントの権威であり、ABSの教育の核に「人間教育」という揺るぎない理念を据えている。変化の激しい現代において、ABSが追求する学びの神髄について話をうかがった。経験を体系的な知へと昇華させる「対話の場」ABSが設立された1990年。バブル経済が終息を迎えつつも、日本企業がグローバル化の荒波の中で激しく動いていた時代だ。細田氏は、当時の日本における人材育成の課題をこう回想する。「かつての日本企業は『現場での経験』を至上命題としていました。しかし、たたき上げだけの育成では時間がかかるうえ、視野が担当業務の枠内に閉じてしまいがちです。より体ふかん系的に、かつ短期間で経営の全体像を俯瞰できるマネジャーを育てる。そんな時代の要請からABSは誕生しました」設立当初からABSが守り続けているのは、単なる「稼ぐ技術」の伝授ではない。「青山学院には、人を育てるという伝統的な精神があります。小手先のスキルではなく、人間としての根幹を問う。その象徴が、ABSが必修科目として守り続けている『ビジネス倫理』なのです」意思決定の羅針盤となる「倫理」というOS「倫理」を単なるコンプライアンスやルール遵守と捉えるのは誤解だと細田氏は説く。それは経営者が社会的責任を果たすための「思考の軸」なのだ。「自らの決断が社会にどう波及するのか。短期的な利益の裏で、未来に負債を残していないか。倫理とは、ビジネスパーソンが持つべき『OS(基本ソフト)』そのものです。地政学リスクや供給網の混乱が常態化する今、この倫理観に裏打ちされた戦略的思考こそが、企業の存続を左右する決定的な差となります」専門のオペレーションズ・マネジメントの観点からも、そのはたん重要性は明らかだ。効率重視の計画が破綻した際、いかに社会的責任を全うしながら供給を維持できるか。これはリスク管理の枠を超えた、経営哲学の領域である。サーバント・リーダーシップが育む組織ABSが掲げるもう一つの柱が「サーバント・リーダーシップ」だ。リーダーが権威で人を動かすのではなく、組織や仲間に「奉仕」することで導くという哲学である。「奉仕と先導という、相反する概念の融合に本質があるように思います。強権的なトップダウンでは、現場の小さな変化や多様な声を取りこぼします。しかし、サーバント・リーダーシップが浸透した組織は、周囲の知恵を吸い上げ、共創する土壌がある。それこそが、正解のない時代を生き抜く武器になるのです」この姿勢は教室でも貫かれている。教員は正解を教える「講師」ではなく、学生と共に学びを編み上げる「パートナー」だ。豊富な実務経験を持つ社会人学生たちが、互いの知見から新たな学びを得る対面授業を細田氏は何よりも重視している。学生と共に「知」を共創する教室ABSの授業は、教科書をなぞるような講義ではない。「今、現場では何が必要か」という問いが常に議論の起点となる。「実務に精通した学生たちは、『自分に必要な部分はここだ』という鋭い視点を持っています」。細田氏はさまざまな立場や背景の学生による多様な軸からの発想や思考を重視している。「なぜ幅広い思考を求めるのか。それは、経営に唯一の正解などないからです。立場や業界が異なれば、導き出される解も変わる。他者の視点という異物に触れ、思考を研ぎ澄ます『瞬発的な訓練』こそが、現場で通用する実践力を養います」コロナ禍を経てオンラインの利便性が浸透した今だからこそ、あえて「対面」にこだわる。他者の気配を感じる環境でこそ、知的な化学反応が生まれると考えているからだ。持続可能な未来をデザインするインタビューの締めくくりに、細田氏は2026年4月から始動する新たな試みを明かした。それは、ビジネス倫理の授業をオムニバス形式にし、マクロ経済やオペレーションといった各専門分野の教員が「それぞれの分野における倫理的課題」を登壇して語るというものだ。「人類は歴史の中で、同じ過ちを何度も繰り返してきました。環境破壊や不祥事の多くは、社会への影響を軽視した判断の結果です」未来の経営者に求められるのは、単なる知識の蓄積ではない。「ABSでの学びは、歴史、事例、そして理論といった知識を獲得し、さらに自分の頭で考え抜き、他者の声も尊重し、最終的には社会への責任を果たす『人格』を磨くプロセスです」「倫理」というOSを基底に、対話を通じて知を共創するABS。細田氏が育むこの学びの広場から、真の意味で社会をけんいん牽引する次世代のサーバント・リーダーたちが、力強く羽ばたこうとしている。067

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「時間」を設計する真のラグジュアリー三井デザインテック表面的な装飾で富を誇示する空間は、もはや過去の遺物だ。真の知的冒険者が求めるものは、「そこでいかに豊潤な時間を共有できるか」という精神のラグジュアリーに他ならない。三井デザインテックの美学から、不可視の体験価値を創造する空間哲学をひもとく。PhotoSatoruSeki(P70~71)TextAsukaKobataザ・プリンスパークタワー東京東京都港区芝公園4-8-1TEL03-5400-1111www.princehotels.co.jp/parktower/070リニューアルを遂げた「ザ・プリンスパークタワー東京」32階のプレミアムクラブラウンジにて、同ホテルの総支配人・神田泰寿氏と、三井デザインテックのフェロー・見月伸一氏が語らう。クラブラウンジの中でもひときわ眺望に優れた特別な予約席として、落ち着きとくつろぎを兼ね備えた空間で、パノラマビューを堪能できるデザインを丁寧に検討した。

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アースカラーを基調にデザインされた「ザ・プリンスパークタワー東京」スカイバー&ダイニングのダイニング(エリア)。日中は富士山からレインボーブリッジまで見渡すことができる。石目調のテーブルや上質なファブリックを生かしながら、バーラウンジとは印象を変えた空間としている。「ザ・プリンスパークタワー東京」33階にあるスカイバー&ダイニングのバーラウンジ。東京タワーのインターナショナルオレンジを取り入れ、ビューとの調和を深めた。寄木張りの床やハイバックのベンチシートなど、近年のトレンドでもあるノスタルジックなデザインが情緒を醸す。視線が自然とビューへ向かうようレイアウトされた「ザ・プリンスパークタワー東京」スイートルーム。多様な居場所を用意し、自分らしいくつろぎ方ができるように。インターナショナルオレンジのソファには、墨絵から着想したオリジナルカーペットを合わせた。「ザ・プリンスパークタワー東京」スイートルームのベッドサイド。ミニバーのキャビネットや木製フレームにファブリックを張ったヘッドボードなど、一つひとつのしつらえに丁寧なプロセスを経たクラフトのぬくもりが感じられる。2025年4月、東京タワーに隣接するラグジュアリーホテル「ザ・プリンスパークタワー東京」が開業20周年を迎えた。そのアニバーサリーとして生まれ変わったのが、32・33階のスイートルーム、クラブラウンジ、バー、ダイニング、バンケットだ。アースカラーを基調に寄木張りの床や大理石のカウンターを配した重厚で落ち着いた空間は、モダンながらどこかノスタルジックな雰囲気を醸す。目前に広がる唯一無二のビューと共鳴し、滞在を忘れられないものにしてくれるだろう。「近年、特に増加している海外ゲストの訪日目的には、観光や食事、買い物のほか“映える写真を撮ること”が挙げられます。そこで東京タワーを間近に眺めるロケーションの魅力をこれまで以上に引き出し、“東京の特等席”を演出することに。ビューを主役にした特別感のあるプランやデザインにより、心に残る体験ができるホテルとして好評をいただいています」と、同ホテルの総支配人である神田泰寿氏が語る。このリニューアルを手掛けたのが、住まいからホテル、オフィス、商業施設まで多様な空間デザインに携わる三井デザインテックだ。幅広い経験で培った総合力を生かし、“クロスオーバーデザイン”を軸に、富裕層が求める要望に細やかに応えている「クロスオーバーデザインとは。、異なる空間要素の掛け合わせにより、新たな価値を生み出すこと」と話すのは、同社のデザイン領域のフェローを務める見月伸一氏「このフィロソ。フィーを最初に打ち出したのは2015年のこと。住まいが民泊になったり、カフェが仕事場になったり、一つの空間の用途が広がり始めたなかで、複数の掛け合わせが空間の価値を高めると考えました。その後、レコードやフィルムカメラなどのリバイバルを受けて、アナログな時代にあった情緒的価値や感情的価値に着目し、空間デザインにも過去の時間軸を織り交ぜてきました。さらにコロナ禍を経て、現在クロスオーバーデザインの要となっているのが“ウェルビーイング”を取り入れることです」単なる健康や幸福にとどまらず、自分らしく伸びやかにいられることを意味するウェルビーイング。それをかなえるには、072

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「MJR赤坂ゲートタワー」17〜21階に位置するエグゼクティブフロアのレジデンス。明るいワントーンの色使いやボリュームや温かみのある素材でくつろいだ雰囲気に。曲線を描くソファやテーブルでコミュニケーションを促している。「MJR赤坂ゲートタワー」マンションギャラリー�0120-115-211www.jrkyushu.co.jp/mjr/akasaka-tower/博多湾が望める「MJR赤坂ゲートタワー」17階のスカイラウンジ。モダンななかにちりばめたクラフトやノスタルジックな要素を照明で引き立て、エモーショナルで没入感のある空間を生み出した。心身の健康、価値観を共有できるコミュニティー、生き生きとした暮らしの三つの要素を満たさなければならない。「これらはまさに今、富裕層が求めているものではないでしょうか。少し前のラグジュアリーデザインは物質的な面が重視されすぎていましたが、今の時代に求められているのは心身が満たされた状態で過ごせること。それをデザインでかなえていくのが私たちの役割です」と見月氏。具体的なデザイン手法は、プロジェクトごとにあらゆる条ふかん件を俯瞰しながら選んでいくが、同社デザインディレクターの山野奈緒氏が大切にするものの一つが自然感だ。「本来あるべき形をかなえるのがラグジュアリーだからこそ、自然に溶け込む空間の在り方を考えます。ただ天然素材を使うのではなく、光の反射や音の響き方、手触り、香りなどを繊細に掛け合わせ、本質に近づけるよう細部まで配慮していますね」。「たとえばフィンランドでは、“サイレンス”と“ノイズレス”のどちらがくつろげるのか議論する。それぐらい五感に対する繊細な配慮が必要なんです」と見月氏も語る。また、情緒を醸し出すノスタルジックなインテリアや、丁寧なプロセスを経たクラフト、感性を刺激するアートの導入も、ウェルビーイングをかなえるものだろう。前述の「ザ・プリンスパークタワー東京」でも、ダイニングのグリルカウンターに配だてかんむりいしした伊達冠石や、墨絵から着想したスイートルームのオリジナルカーペットなどが、ビューと共に滞在の感情的価値を高めている。リニューアルを担当したクリエイティブディレクターの田中映子氏は「“THETOKYOFUSION”をテーマに、東京の伝統文化を現代的に解釈したデザインを随所に配しました」と振り返る。さらに山野氏が担当した福岡の分譲マンション「MJR赤坂ゲートタワー」のラウンジでは「天神エリアという、立地から、落ち着きだけでなくファッショナブルな要素も取り入れたエモーショナルな空間を意識しました」と山野氏。ウェルビーイングという切り口にうなずける同社のラグジュアリーデザインに、今後も期待したい。三井デザインテックスペースデザイン事業本部ホテルデザイン事業部TEL03-6366-3122www.mitsui-designtec.co.jp/073

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自分らしさを映し出すキッチンマイスデル家庭用フルオーダーキッチンブランド、MEISDEL(マイスデル)は、ステンレスの美しさと機能性を存分に引き出しながら、ライフスタイルに寄り添う個性的なキッチンを実現してくれる。PhotoSatoruSekiTextMizukiOno玄関を入り、階段を下りる。そこには、地階に設けられた居住空間が広がっていた。大きな窓から差し込む自然光が、室内を柔らかく照らしている。その奥、アンティーク調の家具がゆったりと配置されたダイニングの先に広がる、木とステンレスのL型キッチン。家主は、ヴィンテージ家具の買い付けを生業とするKさんだ。夫婦で暮らす新しい住まいをリフォームするにあたり、キッチンを一新することにした。そこで選んだのが、MEISDEL(マイスデル)のオーダーキッチンだ。「素材は、やはりステンレスがいいなと思っていました。手入れがしやすいですし、何よりうれしいのは経年変化です。キッチンが完成して約1年。使い込んだ風合いが“モノ”の存在感として目に見えるのがうれしいですね」ステンレスは使い込むほどに表情が深まる。今回はバイブレーション仕上げを選んだことで、大きな傷や汚れも目立ちにくく、美しく味わい深いまま変化していく。「“モノ”が重ねた時間を目で見たい」─そんなKさんにはぴったりの素材だ。作業台だけでなく、収納扉、引き出しの中、棚の裏も同様に仕上げ、空間に統一感を生んでいる。「空間が冷たい印象になってしまうことは避けたかったので、そこに木を融合させることにしました。素材は、温かみのあるブラックチェリー。木材は木目の形によって印象が異なるので、何種類もパターンを提案していただいたのがありがたかったですね」074

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(左ページ)木とステンレスを融合させたL型システムキッチン。台の奥行きは105cmと広々。吊り戸棚や腰下の棚に扉を設けず、開放感のあるデザインだ。(右ページ・左上)愛用の鉄フライパンも、ステンレスの引き出しにイン。鉄さびがついても手入れがしやすい。(右ページ・右上)どことなく秘密基地のような雰囲気のキッチン。お気に入りの道具や食器に囲まれて、胸が躍る空間だ。(右ページ・下)頭上の水切棚。アンティークの食器が多く、食洗機が使えないKさん宅だからこそ、洗い終わった食器を干す場所を多めに確保。特徴的なのは、“見せる収納”が多いことだろうか。吊り戸棚や腰下の棚は、すべてオープンタイプ。これも、Kさんの希望あってのものだ。「いい道具は隠さず、見えるように置いておきたい。でも几帳面な方ではないので、雑に置いても絵になるような収納が欲しかったんです。特にシンク上の水切り棚は、洗い終わったボウルやザルを置くのに便利で重宝しています。シンク内の水切りかごだけだと乱雑になりがちですが、上に置けば視界もすっきり。使い勝手も見た目も両立できますから」ほぼ満足なキッチンだが、使っているうちに一つだけ、さらに良くしたい点があるのだとか。「せっかくフルオーダーで造っていただいたのに、キッチンペーパーホルダーをつけるのを忘れてしまったんです!ないとどうしても不便で……かといって既製品のホルダーを取り付けるのもしっくり来ず。トング掛けと同じ太さ、幅のものが欲しかったのですが……」大丈夫、マイスデルならアフターフォローも万全だ。どれだけ綿密に打ち合わせを重ねても、実際に使ってみなければ気づかないことはある。完成後の施工にも手厚く対応してくれる安心感は、何ものにも代え難い。暮らしには、人それぞれの個性や考え方がにじみ出る。生活を作る場所であるキッチンにこそ、そんな個性を反映させたいものだ。マイスデルのフルオーダーキッチンで、生活を自分らしく彩りたい。問い合わせタニコーMEISDEL室TEL03-6271-5020meisdel.com075

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インテリアと響き合う水栓VERSE2024年12月に誕生した国内発のハイエンド水栓ブランドVERSE。日本ならではの職人の手仕事を生かしながら、デザインから品質、五感に与える水の感覚、サービスにまで徹底してこだわった水栓は、インテリアと響き合い暮らしを美しく引き立てる。時を重ねるごとに、その価値を実感できるだろう。TextAsukaKobataドルジーアッシュ色とロゼゴールド色をそろえる「grooglo」のキッチン用水栓。ロゼゴールド色は、年月を経ることでレッドゴールド色へと深みを増しながら変化する。iFデザインアワード2025を受賞。オーク材のハンドルが特徴的な「Grazioso」は、フロストニッケル色とシャドーブラック色の2色展開。写真はフロストニッケル色のバス・洗面用水栓だ。iFデザインアワード2025とRedDotデザインアワード2025の最優秀賞を受賞。機能性に優れるだけでなく、空間に自然と溶け込み、工芸品のような存在感を放つ水栓。これまでのメイド・イン・ジャパンの製品において、その需要を満たすものがあっただろうか。日本発のブランドとして誕生したVERSEは、美しいデザイン性と機能性を見事に両立し、空間に調和する上質なインテリアを求める人の審美眼にかなうものだ。無駄のない洗練されたデザインの水栓は、従来の品質基準に加えて独自の“品位基準”を満たすもの。水の流れる姿や音、手に伝わる感覚など、五感に響く体験を追求している。さらに“経年悠美”の美学に基づき、使い込むほどに深みを増す素材や仕上げを採用。人生に長く寄り添う存在として、LIFETIMEWARRANTY(生涯保証サービス)を用意。部品の継続供給VERSETEL0120-100-903www.verse.luxeをはじめとするメンテナンス体制も万全だ。現在は二つのシリーズを展開し、“幸運を運ぶ神の使い”と伝わるカエルの鳴き声に由来する「grooglo」では、キッチンと洗面の水栓をラインアップ。シンプルながらエレガントなグースネック型で、滑らかな流線形のラインや吐水口の表面加工などディテールまでこだわり抜いている。「Grazioso」はキッチン、洗面、バスの水栓をそろえる。愛らしさや気品を意味する音楽用語から名付けられ、地球や人に寄り添い調和するイメージを、曲面で構成された柔らかなデザインで表現している。表面に施したバイブレーション加工による和紙のような質感や、オーク材を用いたハンドルも優しいたたずまいで空間を彩る。077

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アンビバレントの深淵へNile'sNILEが定義する「新しい豊かさ」の正体私たちは今、正解のない時代の入り口に立っています。かつて「豊かさ」とは、所有の多寡や、目に見える記号の集積によって定義されてきました。しかし、すでに物質的充足を極めた読者の皆様にとって、既存の「高級情報の羅列」はもはや心を動かす動機にはなり得ません。今、私たちが対峙しているのは、白か黒かでは割り切れない、複雑で混沌とした現実です。ビジネスの最前線で「攻め」の手を緩めず、同時に資産を「守る」という冷徹な計算を働かせる。最先端のデジタルテクノロジーを駆使しながら、土の匂いや人の温もり、身体性を伴うアナログな時間を渇望する。誰よりも健康を願いながら、ときに美食と美酒という背徳に溺れる。こうした相反する感情や価値観―すなわち「アンビバレント(Ambivalente)」こそが、現代を生きる私たちの真実ではないでしょうか。成功とは、この矛盾を排除し、合理性だけで割り切ることではありません。むしろ、この矛盾を抱えたまま、その危ういバランスの「揺らぎ」の中に身を置き、それを愉しむ知的な胆力こそが、新しい時代のラグジュアリーだと私たちは定義します。この春、Nile'sNILEは大きく生まれ変わります。新連載「世界はアンビバレントに成り立っている」では、ビジネス、科学、芸術、医療の深淵に立つ賢人を招き、この世界のグレーゾーンに隠された「次に進むべき答え」を解き明かしていきます。そして、この哲学をより深く、よりリアルに共有するためのプラットフォームとして「、Nileport」は「Nile'sNILEDigital」へと進化を遂げます。雑誌という「紙」が持つ静的な永続性と、デジタルが持つ「双方向性」。この二つもまた、アンビバレントな関係にあります。私たちはこの矛盾を統合し、誌面で投げかけられた本質的な「問い」に、読者の皆様がデジタルを通じて応答し、さらにリアルなサロンイベントで交わるという、新たな知のエコシステムを構築します。矛盾を愛せ。そこにこそ、まだ誰も見たことのない、大人の冒険が待っています。新しいNile'sNILEとともに、アンビバレントな航海を始めましょう。080

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境界が融けるとき、次の時代が始まる。081

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NEWDIGITALPLATFORMあなたの声が、次の誰かの「光」になる雑誌が「問い」を投げかけ、あなたが「答え」を持ち寄る。Nile'sNILEDigitalは、そのサイクルを生きるプラットフォームです。毎号のコラムには、賢人から読者への「問い」が添えられています。その問いへの回答を投稿すると、編集部のキュレーションを経て、他の会員の視点と共に誌面とWebで紹介されます。20,000人の知性が、ここで共鳴を始めます。2026年、新しいデジタル体験が始まります。思考を止めない人のための、知のエコシステムへDeepInsight誌面という限られたスペースを飛び越え、賢人たちがその思想をさらに深く、濃密に展開します。ビジネス、科学、芸術、そして医療。各界の異才たちが紡ぐディープコラムは、効率を求める現代において、あえて「じっくりと考える」という贅沢な時間を提供します。白か黒かでは割り切れない世界の複雑さを、テキストと音声の両面から深く掘り下げます。AICuratedforYouあなただけの、最適化された視座膨大な情報の中から、あなたの知的好奇心を最も刺激するピースをAIが選別します。Web3、最新医療、資産防衛、そしてライフスタイル。最新のシステム基盤とAIリコメンド機能により、膨大なコンテンツの中からあなたの関心事に合わせた「いま、知るべき情報」を最速でデリバリー。情報の波に溺れるのではなく、あなたの関心を起点とした、パーソナライズされた知的探求をサポートします。Nile'sToneデジタルからリアルへ、熱狂の連鎖体験は、画面の中だけでは完結しません。Nile'sNILEDigitalが提案するのは「記事を読み、(READ)、声を上げ(Nile’sTone)、リアルで会う(MEET)」というシームレスな体験の循環です。特に反響の大きかった執筆者を招き、少人数制のイベントやワークショップを開催。同じ「問い」を抱えた同志が集い、対話を通じて、新しい時代の真実を共に作り上げていく。ここは、行動する富裕層のための、エクスクルーシブなコミュニティです。矛盾を語る場所が、ここにあるNile’sNILEDigitalhttps://nilesniledigital.jpPCまたはスマートフォンで、QRコードよりアクセスしてください。伊豆ホテルリゾート&スパ宿泊チケットが当たるプレゼント企画実施中082

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今を生きる女性に寄り添う一台ベントレーベントレーは、日本限定10台の特別仕様車「ベンテイガ・サムシングブルーコレクションバイマリナー」を発表。同モデルは、花嫁が結婚式で身につけると幸せになれるとされる四つのアイテム「サムシングフォー」に着想を得て、まったく新しいコンセプトで再解釈。「今を生きる女性に静かに寄り添い、ときに心を守り、ときに一歩を踏み出す勇気をくれるプロテクティブチャーム」。そんな願いが込められた特別な一台だ。ベントレーのSUVである「ベンテイガアズール」をベースに、同社が誇るビスポーク部門であり、最高峰のコーチビルダーであるマリナーが手掛けている。去る2月21日・22日には、六本木ヒルズの大屋根プラザで展示イベントを開催。会場は「サムシングブルー」をイメージしたブルーフラワーで彩られ、「ベンテイガアトリエエディション」も展示。華やかで幸福感あふれる空間でベントレーの多面的な魅力を感じられるイベントとなった。ベントレーモーターズジャパンTEL0120-977-797(上)日本限定10台の「ベンテイガサムシングブルーコレクションバイマリナー」。(下)白を基調としたリネンのレザーとピアノリネンのパネルで、洗練された室内空間を演出している。京都を味わう限定フェア帝国ホテル東京(上)山崎12年、山崎18年、丹波の3種を楽しめる、オールドインペリアルバーの「ウイスキーフライト」。(下)1936年竣工の登録有形文化財の建築「弥栄会館」の一部を保存・活用した、帝国ホテル京都。帝国ホテル東京では、帝国ホテル京都の開業を記念して、京都の食材を使用した商品や銘酒を楽しめる「京都フェア」を4月30日まで開催中だ。本館1階のホテルショップ「ガルガンチュワ」では、京都産の野菜や抹茶をはじめ、厳選した和素材を使用したペストリー、ベーカリー、惣菜の新作を販売。本館中2階の「オールドインペリアルバー」では、希少なウイスキー3種の飲み比べセットを、本館地下1階の日本料理「帝国ホテル寅黒」では、京都市伏見区にある松本酒造の日本酒「澤屋まつもと守破離Ultra」を。本館1階のシャンパンバー「TheRendez-VousAWA」では、京都・伏見で創業350周年を迎えた増田德兵衛商店の日本酒と、ぎんざ空也5代目山口彦之氏と帝国ホテル第3代総料理長杉本雄氏のコラボレーションスイーツとのペアリングセットを提供する。今だけの特別なメニューを味わいに、ぜひ訪れてみてはいかがだろう。帝国ホテル東京TEL03-3504-1111(代表)085

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独立系高級時計の新たな価値IndependentWatch&ArtSalonスイス独立系高級時計と現代アートを融合した新たな文化拠点「IndependentWatch&ArtSalon」がジェイアール名古屋タカシマヤウオッチメゾンにオープンした。手掛けたのは、日本市場での高級時計・アート分野におけるブランドマネジメント、直営店舗運営、文化プロジェクト企画・運営を行っているMugino&Co.だ。近年世界的に存在感を増す独立系高級時計ブランドの価値を、単なる商品販売にとどめず、文化・思想・美意識として日本市場に根づかせていくことを目的とした新たなプロジェクトの第1号拠点となる。同サロンは、設計思想、機構美、素材選定、作り手の哲学まで含めた文化表現を提示する場として、HYT、L.ルロワ、プレーヴァ、シンガー・リイマジンなどのタイムピースを展示。現代アートの展示・販売も行い、時計とアートが互いの価値を引き立て合う空間を創出する。今後は、東京や大阪など主要都市への展開が予定されている。IndependentWatch&ArtSalonTEL052-566-3178(上)独立系高級時計ブランドに特化した、体験型・直営・常設型のサロンプロジェクトだ。(下)フランス時計製造界を代表するL.ルロワの「ルロワ01」は、1900年パリ万国博覧会で最高賞を受賞。最上級の洗練された空旅をエールフランス航空搭乗から降機まで専用ルートで案内。人間工学に基づいたやわらかなフォームのメインシートが体にフィットし、離着陸時はもちろん、食事やくつろぎのひとときまで究極の快適さをもたらしてくれる。エールフランス航空は、パリ(シャルル・ド・ゴール)-東京(羽田)間で、最上位のファーストクラス「ラ・プルミエール」を導入した機体の運航を開始した。常に最高を追求するエールフランスの企業理念を体現する「ラ・プルミエール」は、フランス流のたの洗練されたエレガンスと、人生を愉しむ美学「ArtdeVivre」を象徴する存在だ。1機につきわずか4席の「ラ・プルミエール」は、五つの窓を備え、アームチェアとフルフラットベッドにもなる2メートルの長いすを用意。長いすはアームチェアの対面にあり、足を伸ばしてくつろいだり、ベッドとしても使用できる。インテリアには、本革やウールなど、厳選したフランス製素材を使用。各席は天井から床まである厚手のカーテンで仕切られ、居住性とプライバシーが確保されている。どんなときも上質な心地よさをもたらしてくれる、唯一無二の旅行体験を楽しみたい。エールフランス航空www.airfrance.co.jp087

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Reader’sClubナイルスナイルから読者の皆様に素敵なプレゼントをお届けいたします。ご希望プレゼントの応募用QRコードからご応募ください。91ページ「CatalogToday」に掲載されている企業の資料請求または93ページ「アンケート」へお答えいただくことにより、応募が可能となります。締め切り2026年4月30日(木)※当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。1伊豆ホテルリゾート&スパ組2名様になめらかにまとまる髪へ2ヘアケアセットを3名様に伊豆・熱川高原の丘の上に立つ伊豆ホテルリゾート&スパは、高台から太平洋と伊豆諸島を見渡せる抜群の眺望を堪能できるリゾートホテルだ。全26の客室には、テラスチェアやソファーを配したテラスと温泉露天風呂を備え、絶景を望みながらゆったりとくつろぐことができる。館内には水深125㎝の温泉大浴場もあり、非日常の温泉体験を楽しめるのも魅力だ。食事は、洋食と和食の各レストランから選ぶことができ、「DiningWAVE」では、相模湾や駿河湾の魚介類、伊豆半島の厳選食材などを使用した洋食コースを味わえる。2024年ワールドラグジュアリースパアワードで3部門を受賞した、自慢のスパもおすすめだ。※有効期限は2026年7月10日まで、除外日あり。(伊豆ホテルリゾート&スパTEL0557-22-5151)毎日のヘアケアでうるおいを補充して、とぅるんとまとまる、なめらかな指どおりの髪へ導いてくれる「リファミルクプロテインシャンプー&トリートメント」を3名様に。髪の80%を占めるタンパク質に着目し、毛髪との親和性が高い天然ミルク由来のプロテイン(加水分解乳タンパク、トリプトファン:ヘアコンディショニング剤)を配合。すっと浸透して、ダメージを補修。ダメージにより欠けてしまったタンパク質をしっかりと補給し、うるおいを逃さない髪へと導く。また、天然由来100%の美容保湿成分も配合し、内部補修する天然ミルク成分(加水分解乳タンパク、トリプトファン:ヘアコンディショニング剤)をサポート。内側・外側両面のケアをすることで、髪のダメージ悩みを根本から解決する。(MTGTEL0120-467-222)3華やかで奥深い味わいの名様に知的パフォーマンスをサポート4フォーカスドリンクを3名様に1872年の創業以来、百有余年にわたり、先代からの想いを受け継いできた老舗の本格焼酎蔵元・本坊酒造から、原料の持ち味を生かした薩摩の芋焼酎「黒麹仕立て桜島」を5名様に。人々に親しまれ、愛されることを願ってその名を冠し、芋焼酎の正統を守りながら研鑽を重ね、技を磨き、焼酎への真摯な思いが込められた同社の「桜島」ブランドを代表する商品だ。新鮮でふくよかな甘さと香りを追求した、こだわりの南薩摩産さつま芋を使用。焼き芋を思わせる香ばしさと、濃厚でトロリとした甘さと旨さを持つ、芳醇な香りと深く濃い味わいが特長だ。お湯割りはもちろん、オン・ザ・ロックもおすすめ。「黒麹仕立て桜島」のふくよかな香りとともに至福のひとときを楽しみたい。(本坊酒造TEL099-822-7003)⽇々の選択を少し豊かにするプロダクトの企画・開発を⼿がけるAndTheと東京⼤学との共同研究により開発された、今までにない“フォーカスドリンク”「NEWTRON」。従来のエナジードリンクとは異なる「思考・集中・創造のパフォーマンス」にフォーカスし、独⾃設計された新しいアミノ酸組成の「ヌートロアミノ」に、アスリートにも注⽬されているスーパーフードのビートルート、アミノ酸を含む栄養設計では⽋かせないビタミンB群を配合。さらに、カフェインとテアニンを絶妙なバランスで配合し、勉強に集中したい時、仕事のパフォーマンスを上げたい時など、集中を求められるさまざまなシーンで本来の思考⼒を取り戻す第⼆のスイッチとなってサポートしてくれる。3本セットを3名様に。(NEWTRONnewtron.inc)089

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091今月号に掲載された企業、ブランドのカタログをご希望の方全員に無料で送付いたします。89ページ「Reader'sClub」から希望のプレゼントを選び、応募用QRコードから資料を請求してください。締切:4月30日(木)※カッコ内の数字は本誌の掲載ページです。CatalogTodayユニマットグループマリーナ(P16)01三井デザインテックリノベーション(P70)02タニコー(P74)03インサイトハウス(P92)07鎌倉はんこ(P86)08VERSE(P76)04フローリングカンパニー望造(P78)05プレザングラン成城(P84)06

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第315回Reader’sClubアンケートアンケートにお答えいただいた方の中から抽選で素敵なプレゼントをお届けいたします。プレゼントの詳細は89ページをご確認ください。アンケートは、ご希望プレゼントの応募用QRコードからお答えください。締め切り:2026年4月30日(木)アンケートⅠ記念日の贈り物に関するアンケート1.パートナー(配偶者・恋人)への記念日に、最も頻繁に選ぶギフトのカテゴリーは何ですか。a.ジュエリー・時計b.ファッション小物(バッグ、靴、スカーフなど)c.旅行・宿泊体験d.レストランでの会食e.アート・アンティーク・インテリアf.花・シャンパンなどの嗜好品2.お子様やご両親など、ご家族への記念品選びで最も重視するポイントはどれですか。a.資産価値(金・宝石・時計など)b.伝統やブランドの格式(ヘリテージ)c.実用性と本人の希望d.唯一無二の希少性(オーダーメイド、限定品)e.自身が使って良かったという信頼3.これまでの記念日で、相手から「最も感謝された」または「記憶に残っている」と感じるエピソードを具体的にお聞かせください。()4.贈り物を選ぶ際の「情報収集」として、最も信頼している媒体は何ですか。a.ライフスタイル誌『Nile’sNILE』b.百貨店の外商や担当スタッフからの提案c.信頼できる知人・友人の口コミd.公式SNSやデジタルマガジンe.海外のトレンド情報やオークションサイト5.記念日に「特別な体験(旅行、食事、イベントなど)」を贈る際、一人あたりの平均的な予算(飲食・宿泊費などを含む)はどの程度ですか。a.5万円未満b.5万円〜10万円未満c.10万円以上〜30万円未満d.30万円以上〜50万円未満e.50万円以上〜100万円未満f.100万円以上6.設問5の「特別な体験」の参加者は何人ですか。()7.贈る相手との関係性(夫婦、親子、恋人など)によって、あえて「選ばないようにしているもの」や、独自のタブー、こだわりがあれば教えてください。()8.ビジネス上の節目や、恩師・友人への記念品として、最も「外さない」と信頼しているブランドはどこですか。a.エルメス(HERMÈS)b.ルイ・ヴィトン(LOUISVUITTON)c.カルティエ(CARTIER)d.バカラ(BACCARAT)e.ドンペリニヨン(DOMPÉRIGNON)f.その他(特定のブランド)9.近年のギフト選びにおいて、「サステナビリティ(持続可能性)」や「エシカル(倫理的)」な要素をどの程度意識されますか。a.非常に意識しており、選定の必須条件であるb.意識はしているが、デザインや品質を優先するc.相手が好むのであれば選択肢に入れるd.現時点ではあまり意識していないアンケートⅡサプリメントとウェルネスに関するアンケート1.現在、日常的にサプリメントを摂取していますか。a.毎日欠かさず摂取しているb.必要に応じて(体調が気になる時など)摂取しているc.以前は飲んでいたが、現在は休止しているd.興味はあるが、まだ始めていない2.サプリメントを摂取する主な目的は何ですか。(最も近いものを1つ選択)a.疲労回復・活力維持(パフォーマンス向上)b.美容・エイジングケア(肌、髪、爪など)c.免疫力の維持・疾病予防d.睡眠の質向上・メンタルケアe.特定の栄養素の補填(ビタミン、ミネラル、NMNなど)3.1カ月あたりのサプリメントにかける平均的な費用はいくらですか。a.1万円未満b.1万円以上〜3万円未満c.3万円以上〜5万円未満d.5万円以上〜10万円未満e.10万円以上4.現在摂取している、または注目している成分はどれですか。a.NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)b.ALA(アミノレブリン酸)c.ビタミン・ミネラル全般d.オメガ3(フィッシュオイル、えごま油等)e.乳酸菌・エクオール(腸内環境)f.プロテイン・アミノ酸g.植物由来成分(ポリフェノール、高麗人参等)h.亜鉛/鉄i.DHA・EPAj.カルシウムk.コエンザイムQ10l.ブルーベリーm.ローヤルゼリー・プロポリスn.コラーゲンo.酵素p.葉酸q.大豆イソフラボンr.マカ/ニンニクs.ヒアルロン酸・セラミド5.サプリメントを購入・入手する際の主なルートはどこですか。a.医療機関・クリニック(医師の処方)b.百貨店・カウンセリングカウンターc.公式サイト(定期購入など)d.外商やパーソナルトレーナーからの推奨e.海外からの直接取り寄せ6.新しいサプリメントを取り入れる際、最も決定打となる要因は何ですか。a.医療機関等のエビデンス(科学的根拠)b.ブランドの信頼性・格式c.信頼している知人や専門家からの紹介d.メディア(雑誌『Nile’sNILE』など)の記事e.原材料の産地や製造工程の透明性7.現在、治療中の疾病(持病)はありますか。a.あるb.ない8.設問7で「a.ある」と答えた方は、その「病名」と現在飲んでいる「薬名」および「サプリメント名」を記入してください。()9.設問7で「b.ない」と答えた方は、現在飲んでいる「サプリメント名」を記入してください。()10.飲んでいるサプリメントの具体的な製品名や、体感している効果、またはサプリメント選びにおける「独自のこだわり」があれば自由にお書きください。()アンケートⅢ今月の『Nile’sNILE』に関するアンケート1.今月のNile’sNILEで面白かった・興味を持った記事を教えてください。(複数回答可)a.美尻トレは「自分を愛するための手段」b.風のなかの助走c.瀬戸内の春、凪を往くd.天下統一を遅らせた海賊の正体e.蒼き潮流の系譜f.ひらまつ「HRMTSTAGE」が描く美食の未来g.GARDEが発信する新たな社交場h.時代を切り拓く「人間力」を磨くi.「時間」を設計する真のラグジュアリーj.自分らしさを映し出すキッチンk.インテリアと響き合う水栓l.今を生きる女性に寄り添う一台m.京都を味わう限定フェアo.独立系高級時計の新たな価値p.最上級の洗練された空旅をq.Reader’sClubr.OntheScene2.今月のNile’sNILEで面白かった・興味を持った連載を教えてください。(複数回答可)a.80歳の壁を超える欲望b.食語の心c.L’essenzarivelatadall’inevitabilesottrazioned.時代を読むe.極め道の不自由を愉しむf.本の食べ時g.諦める力と選ぶ知性h.とんかつエンジニアリング3.設問1、2に関して面白かった・興味を持った理由を教えてください。()4.Nile’sNILE、Nileportで取り扱って欲しいテーマがあれば教えてください。(複数回答可)a.時計b.ジュエリーc.車d.ファッション雑貨e.スポーツf.健康・医療g.美容h.料理・料理人・レストランi.食材j.ワイン・シャンパン・酒k.住宅建築l.新築分譲マンションm.インテリアデザイン・家具・家電n.政治・社会o.金融・投資p.アートq.旅・冒険r.カルチャーs.占いt.その他()5.現在購入を検討している商品・サービスがあれば教えてください。()ご協力ありがとうございました。093

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ナイルスナイルがセレクトしたおすすめ情報をお届けいたします。OnTheScene一夜限りの特別な食体験京都の伝統と現代的な美意識の融合快適さと本格的な走破性能を両立シャンパーニュメゾン「ペリエジュエ」は、セルリアンタワー東急ホテル最上階のタワーズバー「ベロビスト」にて「セレブラシオンシャンパーニュ」を5月21日に開催する。夜景を堪能しながら一夜限りの特別ディナーとともに、グランブリュット、ブラゾンロゼ、ベルエポックとのマリアージュを楽しめる。(メゾンペリエジュエwww.perrier-jouet.com/ja-jp)京都の1200年にわたる伝統に着想を得ながら、極めてパーソナルな滞在体験を体現するカペラ京都が3月22日にオープンした。季節の農産物と技術を融合した三つ星レストラン「SingleThread」初の海外進出となる「SoNoMabySingleThread」をはじめ、京都の季節の食材を生かした特別な食体験を楽しめるのも魅力だ。(カペラ京都TEL075-541-8877)ジープ初の四輪駆動ハイブリッドモデル「Jeep®Avenger4xeHybrid」が登場。平野歩夢氏がブランドアンバサダーに就任した。走行状況によりフル電動走行も可能な高効率の48VハイブリッドAWDシステムを搭載。ジープ伝統の四輪駆動性能を組み合わせ、日常で扱いやすいサイズに冒険心あふれるデザインと機能性を凝縮した。(Jeepwww.jeep-japan.com)桜色の華やかな日本酒至高のシャンパンセラー都会のサンクチュアリ八海醸造が創業100周年を記念して立ち上げた、八海山とは異なる表現に挑戦する新ブランド「唎酒Rishu」から、新たな日本酒が発売。「立葵(タチアオイ)」は朝露に濡れた野いちごのようなみずみずしく印象的な香りが特徴。「山桜(ヤマザクラ)」は、繊細な泡とともに桑の実やカシスのような深みのある香りを楽しめる。(八海醸造お客様相談室TEL0800-800-3865)世界で最初にワインセラーを誕生させたフランス発の専門メーカー・ユーロカーブから、世界初のシャンパン専用セラー「Champagnecellar」が登場。シャンパンクーラーの原理を応用した独自構造により、抜栓の瞬間までシャンパンを理想的な温度で一定に保つことが可能だ。乾杯のひと時を、より特別な時間へと導いてくれる。(日仏商事TEL03-5778-2495)自然からインスピレーションを受けたミッション主導型のラグジュアリーライフスタイルホテル「1HotelTokyo」が赤坂にオープンした。広大な都市の眺望と、素材に対する日本の敬意、ブランドを象徴するバイオフィリックデザイン(自然との調和を大切にする手法)が融合した、没入感のある空間を提供する。(1HotelTokyowww.1hotels.com/tokyo)内側から生き生きと輝く透明感100年の軌跡を辿る展覧会ダメージに負けない強く美しい髪へ日韓共同開発のインナービューティーブランド「ByGLOW」が誕生。美しく生きるための肌の栄養を、内から補うビューティサプリメント3種を展開する。韓国伝統の発酵成分・発酵米パウダーを共通配合。生物の細胞膜と近い構造のカプセルに有用成分を閉じ込め、体のすみずみまでじっくり届ける時間差リポソーム技術を採用している。(ByGLOWbyglow.jp)デンマーク発のオーディオ・ビジュアルブランド、バング&オルフセンは、4月3日から12日まで、創立100周年を記念した展覧会「BeautifulSoundandDesign-バング&オルフセンが紡ぐ美しい音とデザインの100年」を表参道ヒルズで開催。象徴的なプロダクトを通じて100年の軌跡を紹介する。(バング&オルフセンwww.bang-olufsen.com/ja/jp)ナチュラルコスメブランドのラ・カスタから、ブランド30年の集大成となるプレミアムヘアケアライン「エーデルワイス」シリーズが誕生。エーデルワイスの持つ強い生命力を閉じ込めた新独自成分・L-EWコンプレックス(毛髪地肌保護成分)を配合し、乾燥やダメージに負けない美しくしなやかな髪と頭皮に導いてくれる。(アルペンローゼTEL0120-88-7572)095

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