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研究シーズ集2023大阪大学は、そのビジョンとして社会との共創による「生きがいを育む社会の創造」を掲げ、国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現、グリーン・リカバリー、カーボンニュートラルの推進をはじめとする地球規模の課題を解決するため、また、災害や感染症等に対応する高度にレジリエントで持続可能な社会の構築のために、本学で育まれる「知性」、「英知」を結集して社会の多様なステークホルダーと共創し、新たな社会を創造することを目指しています。このような共創に向け、本学の多様な研究をご紹介するきっかけとして、2020年度から研究シーズ集を発行しており、今回で4刊目を迎えます。昨年度からは、大阪大学共創機構のホームページにおいても、より詳しい内容を閲覧及びダウンロードできるようになっており、各方面からお問い合わせを頂戴しております。この「未来社会共創を目指す研究シーズ集2023」では、2021年以降に発行された主要な論文誌にて発表された研究成果を主体にご紹介しておりますが、本学では日々自由な発想に基づき多様な研究が進められており、ここに掲載した内容は成果の一部に過ぎません。本学研究者との共同研究等の共創にご関心をお持ちいただけましたら、大阪大学共創機構ホームページのワンストップ窓口に、お気軽にお問合せ下さい。大阪大学理事・副学長金田安史大阪大学共創機構産学官連携オフィス長井上隆弘1

目次91の研究シーズ[]内は分野別の総数。研究者氏名の五十音順で掲載。ライフサイエンス[35]…………………………………………………………P.9情報通信[4]…………………………………………………………………P.45ナノテクノロジー・材料[27]………………………………………………P.51エネルギー[6]………………………………………………………………P.79ものづくり技術[6]…………………………………………………………P.87ソーシャルイノベーション[13]……………………………………………P.952

研究シーズ集は大阪大学共創機構のウェブサイトでも公開しています大阪大学共創機構https://www.ccb.osaka-u.ac.jp/キーワード検索閲覧・ダウンロード研究シーズ集2023全文検索部局名・研究者名論文タイトルetc.研究シーズ集2022研究シーズ集20213

研究シーズ分野別一覧ライフサイエンスネオセルフを標的にした自己免疫疾患発症機構の解明と治療薬開発免疫学フロンティア研究センター免疫化学研究室教授荒瀬尚微生物病研究所免疫化学分野助教金暉P.10先制医療技術開発に向けたがん・老化の根本的原理の解明微生物病研究所生体統御分野教授石谷太P.11中枢神経炎症病態を緩和する分子標的治療の開発医学系研究科創薬神経科学共同研究講座/分子神経科学特任准教授糸数隆秀医学系研究科分子神経科学/創薬神経科学共同研究講座教授山下俊英P.12外来遺伝子発現量を調節できる新規LCMVベクター開発微生物病研究所新興ウイルス感染症研究グループ特任准教授岩崎正治P.13細胞外小胞を介した骨代謝制御機構の解明医学系研究科免疫細胞生物学特任助教上中麻希医学系研究科/生命機能研究科免疫細胞生物学准教授菊田順一・教授石井優P.14HCVはSPPを標的としてMHCclassIによる抗原提示能を低下させる微生物病研究所/高等共創研究院教授岡本徹P.15超重元素ラザホージウムの水酸化サマリウム共沈挙動の観測理学研究科化学専攻教授笠松良崇P.16T細胞受容体レパトア解析を用いた免疫チェックポイント阻害剤早期奏効予測バイオマーカーの探索医学系研究科泌尿器科学助教加藤大悟・教授野々村祝夫P.17がん細胞型アミノ酸トランスポーターを標的とする放射線療法理学研究科附属フォアフロント研究センター教授兼田(中島)加珠子P.18腸内細菌による潰瘍性大腸炎増悪メカニズムの解明と治療への応用高等共創研究院准教授香山尚子・医学系研究科免疫制御学教授竹田潔P.19自己と非自己のRNAを識別する新たな機構を解明医学系研究科神経遺伝子学教授河原行郎・助教中濱泰祐P.20血液セルフリーDNAによる神経免疫疾患の病態解明医学系研究科神経内科学特任講師木下允・教授望月秀樹P.21核酸アプタマーを用いた軟骨無形成症治療薬の開発医学系研究科小児科学助教木村武司・准教授窪田拓生・教授大薗恵一P.22光合成微生物の光合成電子伝達反応の構造研究と応用蛋白質研究所教授栗栖源嗣・助教川本晃大P.23子宮平滑筋肉腫の発症・血行性転移の新規メカニズム解明医学系研究科産科学婦人科学教室助教小玉美智子・教授木村正P.24脂肪組織GRP78は高齢、肥満、糖尿病に関わる新型コロナウイルスのホスト因子である医学系研究科糖尿病病態医療学寄附講座助教シン医学系研究科内分泌代謝内科学教授下村伊一郎P.25くも膜下出血患者における腸内細菌の特徴医学系研究科脳神経外科学助教高垣匡寿・教授貴島晴彦P.264

免疫細胞移動の分子メカニズムの解明と医療への応用医学系研究科呼吸器・免疫内科学講師高松漂太・教授熊ノ郷淳P.27多重らせん高分子のコンホメーション変化の動力学理学研究科高分子科学専攻教授寺尾憲P.28COVID-19感染者における抗体産生およびB細胞エピトープ解析医学系研究科健康発達医学寄附講座教授中神啓徳P.29骨髄における造血幹細胞と造血、骨代謝の司令塔細胞(CAR細胞)に関する研究生命機能研究科/医学系研究科/免疫学フロンティア研究センター栄誉教授長澤丘司・准教授尾松芳樹P.30フリッパーゼとスクランブラーゼ免疫学フロンティア研究センター特任教授長田重一P.31RNAを標的とした低分子創薬の推進産業科学研究所精密制御化学研究分野教授中谷和彦P.32癌の違いを問わない新しい標的治療としての、癌新生血管をターゲットとした研究と治療開発医学部附属病院手術部講師野田剛広医学系研究科消化器外科学准教授小林省吾・教授江口英利P.33Deep-learningimagereconstructionを用いた胸部CTにおける縦隔条件の画質向上の検討医学系研究科放射線医学助教秦明典P.34がん微小環境に着目した肝がん進展機序の解明と臨床応用医学系研究科消化器内科学講師疋田隼人・教授竹原徹郎P.35量子化学計算による抗体認識メカニズムの解明薬学研究科量子生命情報薬学分野教授福澤薫P.36膜蛋白質の化学合成と細胞膜貫入機構解明への応用蛋白質研究所教授北條裕信P.37蛋白質の翻訳後変化により形成されるがん特異的抗原を標的としたCART細胞療法の開発医学系研究科血液・腫瘍内科学教授保仙直毅P.38開口型血液脳関門ネットワークモデルの開発工学研究科応用化学専攻教授松崎典弥P.39合成糖鎖を用いたグリココードの解読理学研究科化学専攻助教真鍋良幸・教授深瀬浩一P.40細菌べん毛蛋白質輸送装置が膜電位依存的に活性化されるしくみの解明生命機能研究科准教授南野徹P.41下肢閉塞性動脈硬化症に対する細胞再生治療の有効性改善のための新規投与手法の開発医学系研究科心臓血管外科学特任助教三宅啓介・教授宮川繁P.42大腸がんにおけるSTAG3遺伝子の働きと化学療法耐性に関わるメカニズムの解明医学系研究科消化器外科学助教三吉範克・教授江口英利P.43全ゲノム解析による消化器神経内分泌がんの病態解明医学系研究科がんゲノム情報学教授谷内田真一P.44情報通信情報鮮度を考慮した粗密度モバイルアドホック網の設計法工学研究科電気電子情報通信工学専攻助教井上文彰P.465

高速かつ正確に関係性を理解するためのグラフ分析技術情報科学研究科マルチメディア工学専攻助教佐々木勇和P.47深層照度差ステレオによる高精細な3次元形状復元情報科学研究科マルチメディア工学専攻助教山藤浩明・教授松下康之P.486Gの未来を切り拓くテラヘルツシリコンフォトニクス基礎工学研究科電子光科学領域准教授冨士田誠之P.49ナノテクノロジー・材料高圧合成法による革新的機能性量子物質の開発基礎工学研究科物質創成専攻教授石渡晋太郎P.52光化学反応と光圧による新規メゾスコピック光応答の実現基礎工学研究科物質創成専攻准教授伊都将司・教授宮坂博P.53コロイド量子ドットの開発と機能化工学研究科応用化学専攻講師上松太郎P.54フレキシブル有機電子回路における高精度な電気特性制御技術産業科学研究所先進電子デバイス研究分野特任准教授植村隆文・教授関谷毅P.55精密重合反応を基盤とした新しいπスタック高分子の構築理学研究科高分子科学専攻助教神林直哉P.56高結晶性ランダム積層グラフェン集合体の合成工学研究科物理学系専攻博士後期課程許梓釗・助教井ノ上泰輝・教授小林慶裕P.57光エネルギーを利用して二酸化炭素再資源化を可能にする触媒技術の開発工学研究科マテリアル生産科学専攻准教授桒原泰隆・教授山下弘巳P.58相対論的電子を有する高性能熱電・熱磁気材料の開拓理学研究科物理学専攻准教授酒井英明P.59生体分子センシングを指向したシクロデキストリンを基盤とした高輝度円偏光発光分子の創製工学研究科応用化学専攻講師重光孟・教授木田敏之P.602個の電子スピンの向きが揃った炭化水素分子の合成と物性の解明基礎工学研究科物質創成専攻准教授清水章弘・教授新谷亮P.61デンプンを基盤とした海洋生分解性バイオプラスチックの創製工学研究科応用化学専攻准教授徐于懿・教授宇山浩P.62付かず離れずのラジカルカチオン凝集体を用いた近赤外光透過制御基礎工学研究科物質創成専攻准教授鈴木修一・教授直田健P.63感染症迅速検査プラットフォームの開発産業科学研究所バイオナノテクノロジー研究分野教授谷口正輝P.64航空機エンジン用TiAlタービン翼の3Dプリンティング工学研究科マテリアル生産科学専攻准教授趙研・教授安田弘行・教授中野貴由P.651細胞マルチオミクス解析に向けた1分子計測技術開発産業科学研究所バイオナノテクノロジー研究分野准教授筒井真楠P.66形状制御や表面修飾可能な有機多孔質材料の開発によるガス分子の吸着・分離・貯蔵工学研究科応用化学専攻教授藤内謙光・助教岡弘樹P.676

高精度テラヘルツ波エリプソメトリによる6G材料・ワイドギャップ半導体評価レーザー科学研究所准教授中嶋誠P.68高効率テラヘルツキラルセンシングに向けた動的メタ表面の開発基礎工学研究科システム創成専攻准教授中田陽介P.69金属3Dプリンタによる異方性形状・材質制御~高機能金属デバイス創製の新基軸~工学研究科マテリアル生産科学専攻教授中野貴由・特任教授石本卓也・准教授松垣あいら・助教小笹良輔P.70硫黄を上手く使ってインドールの精密化学修飾を実現工学研究科応用化学専攻講師西井祐二先導的学際研究機構ICS-OTRI特任教授三浦雅博P.71有害有機化合物を高効率で分解する環境触媒の創成工学研究科応用化学専攻助教布谷直義P.72カーボンナノチューブ凝集構造上の温度分布の可視化工学研究科機械工学専攻特任研究員濱﨑拡・准教授平原佳織P.73π共役高分子棒状凝集体の液中形成に基づく超高配向薄膜コーティング工学研究科電気電子情報通信工学専攻准教授藤井彰彦P.74超音速衝突の動的塑性変形に基づくコールドスプレー固相積層技術とMa-Wangモデル開発接合科学研究所教授麻寧緒・特任助教QianWangP.75データ駆動型界面反応過程シミュレーションの開発と応用工学研究科物理学系専攻教授森川良忠P.76高活性・高温強度・高耐久性を兼ね備えた次世代合金ナノ粒子触媒工学研究科マテリアル生産科学専攻准教授森浩亮P.77コレステリックブルー相液晶の高速電気光学応用に向けた結晶学的理解工学研究科電気電子情報通信工学専攻講師吉田浩之・教授尾﨑雅則P.78エネルギー階層横断的視点からのCO2電解還元系の設計・開発基礎工学研究科附属太陽エネルギー化学研究センター准教授神谷和秀P.80スキルミオンのブラウン運動を利用した究極の低消費電力計算への挑戦基礎工学研究科物質創成専攻助教後藤穣P.81スマートビルディング向けエネルギーマネジメント技術情報科学研究科情報システム工学専攻准教授谷口一徹P.82エネルギー計画モデルの多面的な効率性評価情報科学研究科情報数理学専攻教授森田浩・特任研究員SudlopRatanakuakangwanP.83住宅・建築物ストックのエネルギー需要のモデリングと脱炭素化に関する研究工学研究科環境エネルギー工学専攻准教授山口容平P.84次世代二次電池に向けた新電解液材料の設計産業科学研究所エネルギー・環境材料研究分野教授山田裕貴P.85ものづくり技術余剰汚泥をバイオ触媒として活用したバイオプラスチック生産システムの開発工学研究科環境エネルギー工学専攻准教授井上大介P.887

微細表面テクスチャの導入による切削工具の高機能化とその応用工学研究科機械工学専攻准教授杉原達哉P.89SiCヒーターチップを用いたパワーモジュール熱評価と構造信頼性評価システムの開発産業科学研究所実装協働研究所特任准教授(常勤)陳伝彤・特任教授菅沼克昭P.90「フッ素を切る&つなげる」という革新的コンセプトに基づく有機フッ素化合物の新規合成法工学研究科応用化学専攻/先導的学際研究機構触媒科学イノベーション研究部門(ICS-OTRI)准教授西本能弘・教授安田誠P.91ギャップ変動を伴うガスメタルアーク溶接の溶融池モニタリングと深層学習モデルによる溶落ち予測と溶込み深さ推定工学研究科マテリアル生産科学専攻講師野村和史P.92線形摩擦接合を用いた接合部の組織制御とその応用接合科学研究所教授藤井英俊P.93ソーシャルイノベーション災害ボランティアのグループ・ダイナミックス人間科学研究科教授渥美公秀P.96無線・無給電MEMS振動子センサー工学研究科物理学系専攻教授荻博次P.97人文社会科学の知見を活かしたELSI共創研究社会技術共創研究センターセンター長岸本充生P.98多文化社会における教育と国民形成に関する研究人間科学研究科准教授北山夕華P.99どうすれば就業率を高められるか?どうすれば人々の労働意欲を高められるか?国際公共政策研究科教授小原美紀P.100超高齢社会を視野に入れた老年学の枠組みによる長期縦断研究SONIC人間科学研究科教授権藤恭之P.101拡張現実を用いた視覚情報提示のヒューマンファクター研究人間科学研究科教授篠原一光P.102スマホカメラにおけるフラッシュ/フラッシュなし画像を用いた高精細な形状復元情報科学研究科マルチメディア工学専攻特任助教曹旭・教授松下康之P.103環境システミックリスクガバナンス工学研究科環境エネルギー工学専攻教授東海明宏・助教伊藤理彩P.104メンタルヘルス改善・維持のための認知理論・行動理論、行動経済学に基づく包括的予防・介入システムの構築人間科学研究科准教授平井啓P.105国際報道における注目度とその要因国際公共政策研究科教授Hawkins,VirgilP.106授業映像や学習ログの分析に基づく授業状況・学習状況の推定と可視化全学教育推進機構教育学習支援部教授村上正行P.107ケアの現象学――ヤングケアラーをはじめとする子育て支援および障害当事者の現象学的なエスノグラフィー人間科学研究科・感染症総合教育研究拠点CiDER教授村上靖彦P.1088

ライフサイエンスOSAKAUNIVERSITYRESEARCHPROFILES9

創薬ネオセルフを標的にした自己免疫疾患発症機構の解明と治療薬開発免疫学フロンティア研究センター免疫化学研究室https://researchmap.jp/read0187233教授荒瀬尚微生物病研究所免疫化学分野助教金暉https://researchmap.jp/huijin研究の概要我々はペプチドをT細胞に提示すると考えられてきたHLAクラスII分子が細胞内のアンフォールド蛋白質を細胞外へ輸送するシャペロン様分子として機能すること、さらに、自己抗原とHLAクラスII分子の複合体―ネオセルフが様々な自己免疫疾患で産生される自己抗体の標的になっていることを明らかにしてきた。そこで、本研究では、ネオセルフの機能を解析したところ、自己免疫寛容を破綻させ、自己免疫応答を惹起することが明らかになり、ネオセルフが自己免疫疾患の原因分子の一つであることが明らかになった。ライフサイエンスライフサイエンス10▍研究の意義と将来展望本研究により自己抗原・HLAクラスII分子複合体であるネオセルフには、自己寛容を破綻させ自己免疫応答を誘導する病原性があることが初めて明らかになった。したがって、ネオセルフがどの様に形成されるかを解明することは、自己免疫疾患の発症原因を解明する上で重要である。現行の自己免疫疾患治療薬は、いずれも対症療法薬であるため、長期間の服用が必要である。本研究により、ネオセルフの形成機構が明らかになれば、ネオセルフを標的として自己免疫疾患の原因を修復する新たなタイプの治療薬開発が期待される。特許特許第6373842B2号論文Jin,Huietal.Abrogationofself-tolerancebymisfoldedself-antigenscomplexedwithMHCclassIImolecules.ScienceAdvances.2022,8(9):eabj9867.doi:10.1126/sciadv.abj9867参考URLキーワードhttp://immchem.biken.osaka-u.ac.jp自己免疫疾患、ネオセルフ、HLA

ライフサイエンス医療・ヘルスケア、創薬先制医療技術開発に向けたがん・老化の根本的原理の解明微生物病研究所生体統御分野教授石谷太https://researchmap.jp/read0148831研究の概要誰もがより長く元気に活躍できる健康長寿社会を実現するためには、がんなどの重大疾病の克服や老化の抑制は重要な課題である。これらの課題に取り組むためには、がん発生や老化の起点となる最初期の原理を明らかにし、そこに介入してこれらを予防するアプローチ、すなわち「先制医療」が有効と考えられる。我々の研究室では、特徴的なモデル生物と最先端の解析技術を駆使して、がんや老化の超初期メカニズムの解明に取り組んでいる。最近では、小型魚類ゼブラフィッシュをモデルとしたイメージング解析により、動物組織が免疫細胞を介さずに前がん細胞を感知して排除する「新たながん抑制メカニズム」を発見し、さらに、このメカニズムの破綻によって初期腫瘍が生じる機序も見出した。また一方で、ヒト老化機構の理解を加速するために、脊椎動物の中で最短の寿命を持つターコイズキリフィッシュ(略称キリフィッシュ)を利用した老化機構高速解析系を独自に構築し、これを駆使して新たな“抗老化物質”の候補を見出しつつある。▍研究の意義と将来展望独自のモデル生物解析系を駆使して、がんや老化の「起こり」を制御する根本的原理を解明したい。そして、独自の発見と解析系を基盤とした異分野連携により、ヒトのがん克服・老化抑制を実現する革新的先制医療技術を確立し、これにより健康長寿社会を実現したい。図1:小型魚類ゼブラフィッシュを用いた「がん発生超初期メカニズム可視化解析系」図2:可視化解析により明らかになった「がん超初期メカニズム」ライフサイエンス11特論許文Haraoka,Yukinarietal.ZebrafishimagingrevealsTP53mutationswitchingoncogene-inducedsenescencefromsuppressortodriverinprimarytumorigenesis.NatureCommun.2022,13(1),1417.doi:10.1038/s41467-022-29061-6Oginuma,Masayukietal.RapidreversegeneticssystemsforNothobranchiusfurzeri,asuitablemodelorganismtostudyvertebrateaging.SciRep.2022,12(1),11628.doi:10.1038/s41598-022-15972-3Akieda,Yukietal.CellcompetitioncorrectsnoisyWntmorphogengradientstoachieverobustpatterninginthezebrafishembryo.NatureCommun.2019,10(1),4710.doi:10.1038/s41467-019-12609-4https://ishitani-lab.biken.osaka-u.ac.jp/参考URLhttps://twitter.com/IshitaniLabhttp://www.biken.osaka-u.ac.jp/en/achievement/research/2022/178キーワードがん、老化、先制医療、超初期メカニズム

ライフサイエンスライフサイエンス12医療・ヘルスケア、創薬中枢神経炎症病態を緩和する分子標的治療の開発医学系研究科創薬神経科学共同研究講座/分子神経科学https://researchmap.jp/22360679特任准教授糸数隆秀医学系研究科分子神経科学/創薬神経科学共同研究講座教授山下俊英https://researchmap.jp/ToshihideYamashita研究の概要中枢神経組織内の炎症は種々の病態の進展に多大な影響を及ぼしており、その適切な制御方法の開発は、幅広い神経疾患に対する新規創薬に直接的に結びつく鍵となる。我々は重篤な神経障害を呈する視神経脊髄炎の動物モデルを用いて、中枢神経系の炎症を制御する新たな分子メカニズムを解明した。視神経脊髄炎では、自己抗体によるアストロサイト障害が契機となり、各種免疫細胞が中枢神経組織内に浸潤して高度の炎症を起こすことにより神経機能障害が生じる。我々は中枢神経系に浸潤したマクロファージがRGMaという分子を介するシグナルを受け取ることで、好中球を呼び寄せて炎症をさらに加速させていることを見出した。NMOモデル動物に抗RGMa中和抗体(RGMaの機能を阻害する)を投与したところ、好中球の浸潤抑制およびアストロサイト障害の緩和効果が得られ、運動症状が大きく改善した。さらにこのモデル動物が臨床上大きな問題となる神経障害性疼痛を呈することを明らかにし、RGMa中和抗体が疼痛症状の遷延を抑制できることも示した。▍研究の意義と将来展望本研究成果により、既存の治療薬とは異なる作用点をもったNMOの急性期治療薬開発の可能性が拓かれた。今回明らかになったマクロファージと好中球の連関はさまざまな神経疾患における神経炎症病態に共通している可能性が高く、今後、幅広い神経疾患に対して抗RGMa抗体が有効な治療法となることが期待される。特許特願2021-567731論文Iwamoto,Shosuke;Itokazu,Takahide;Yamashita,Toshihideetal.RGMasignalinMacrophagesInducesNeutrophil-relatedAstrocytopathyinNMO.AnnalsofNeurology.2022,91,p.532-547,doi:10.1002/ana.26327参考URLhttps://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/molneu/キーワード視神経脊髄炎、マクロファージ、RGMa

ライフサイエンス遺伝子導入、免疫療法、ワクチン外来遺伝子発現量を調節できる新規LCMVベクター開発微生物病研究所新興ウイルス感染症研究グループ特任准教授岩崎正治https://researchmap.jp/m_iwasakiライフサイエンス13研究の概要LCMV(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)は、5′末端にcap構造を持つが、3′末端はポリA付加を受けないmRNAを生成する。我々はこれまでの研究で、ウイルスゲノムの遺伝子間領域(intergenicregion,IGR)に由来する、ポリA付加を受けない3′-UTRがウイルスmRNAの翻訳効率を制御することを明らかにしてきた。本研究では、3′-UTRの中でも、ORF直下のごく狭い領域(proximalregion,PR)が翻訳制御に特に重要な役割を果たすことを見出した。さらに、IGRのPRに相当する配列を改変することで、上流に配置したレポーター遺伝子発現量を変化させられることを、組換えLCMVを用いた解析で明らかにした。図1▍研究の意義と将来展望LCMVには長期間の細胞性免疫を誘導する特性があり、がん免疫療法のウイルスベクターとしての利用が期待されている。本研究の成果は、PR配列の改変によって外来遺伝子発現量と弱毒化の程度を細かく調節(fine-tuning)したLCMVベクター開発に応用できる。さらに外来遺伝子発現量を調節できるLCMVベクターは、iPS細胞作製のような、外来遺伝子発現量の厳密な制御が必要なアプリケーションへの利用が期待される。図2特論許文参考URLキーワードHashizume,Mei;Takashima,Ayako;Iwasaki,Masaharu.Asmallstem-loopformingregionwithinthe3′-UTRofanon-polyadenylatedLCMVmRNApromotestranslation.JournalofBiologicalChemistry,2022,298(2):101576,doi:10.1016/j.jbc.2022.101576https://iwasaki-lab.biken.osaka-u.ac.jpウイルスベクター、非翻訳領域、翻訳制御

ライフサイエンスライフサイエンス14医療・ヘルスケア、創薬細胞外小胞を介した骨代謝制御機構の解明医学系研究科免疫細胞生物学特任助教上中麻希https://researchmap.jp/umaki医学系研究科/生命機能研究科免疫細胞生物学准教授菊田順一教授石井優https://researchmap.jp/jkikutahttps://researchmap.jp/read0076684研究の概要骨は常に新しく作り変えられ新陳代謝を行なっている。破骨細胞が古く傷んだ骨を壊し、そこに骨芽細胞が新たな骨をつくる。この破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成のバランスが崩れると、骨粗鬆症などの骨関連疾患を引き起こす。これまで、骨吸収から骨形成への移行を調節する因子については数多く報告されてきたが、骨形成から骨吸収へどのように移行するか、その制御因子についてはよくわかっていなかった。我々は、これまでに独自で開発してきた生体イメージング技術をさらに改良し、生体内で骨芽細胞が細胞外小胞と呼ばれる小胞を分泌することを発見した。さらに、小胞を取り込んだ周囲の骨芽細胞が、「骨形成を抑制する作用」と「骨吸収を担う破骨細胞の分化を誘導する作用」を持ち、骨形成から骨吸収へと骨代謝を制御していることを見出した。また、このメカニズムとして、小胞中に含まれるmiR-143-3pが寄与していることを明らかにした。▍研究の意義と将来展望我々の体は骨形成過程において、どのように骨形成の終わりを感知し制御しているのか、そのメカニズムはわかっていなかった。骨をつくる骨芽細胞は、自らが作りだす骨基質に小胞を分泌し、その局所において周囲の骨芽細胞の分化を抑制し破骨細胞分化を誘導する機能を担っていることが、我々の研究から明らかとなった。また、小胞の機能の中心的役割を果たすmiR-143-3pの同定にも成功した。将来的には、骨形成から骨吸収への移行を時空間的かつ緻密に制御するこの小胞を、骨粗鬆症や異所性骨化の病変部へデリバリーし、骨吸収や石灰化の制御を通した治療への応用を目指す。図1.マウス生体内での骨芽細胞の様子骨芽細胞が小胞を分泌し取り込んでいることを明らかにした。シアン:骨芽細胞;青色:骨;矢頭:骨芽細胞の小胞。点線矢印:小胞の軌跡。A.広域像;Bar:20μm;B.拡大像のタイムラプス画像;Bar:5μm。特許論文Uenaka,Maki;Kikuta,Junichi;Ishii,Masaruetal.Osteoblast-derivedvesiclesinduceaswitchfrombone-formationtobone-resorptioninvivo.Naturecommunications.2022,13(1),1066-1066,doi:10.1038/s41467-022-28673-2参考URLhttp://www.icb.med.osaka-u.ac.jp/index.htmlキーワード骨代謝、生体イメージング、細胞外小胞、骨芽細胞、破骨細胞

ライフサイエンス医療、創薬HCVはSPPを標的としてMHCclassIによる抗原提示能を低下させる微生物病研究所/高等共創研究院教授岡本徹https://researchmap.jp/TOKAMOTO研究の概要持続感染するウイルスは免疫システムを回避する様々な手段を身に着け、長期に渡り人の体で増殖を続けます。C型肝炎ウイルス(HCV)の粒子を形成するコア蛋白質は、シグナルペプチドペプチダーゼ(SPP)と呼ばれるプロテアーゼによって切断を受けることが、蛋白質の安定性や機能に必須ですが、その意義は明らかではありませんでした。本研究では、HCVのコア蛋白質がSPPを利用することにより、本来のSPPの基質であるMHCclassI分子の切断を阻害することを見出しました。したがって、コア蛋白質が発現している細胞では、MHCclassI分子が切断されず、成熟化が阻害され分解を受けていることを明らかにしました。したがって、コア蛋白質発現細胞ではMHCclassI分子による抗原提示能が低下しており、ウイルス感染等をCD8陽性のT細胞のような免疫細胞に情報伝達が充分にできないことを明らかにしました。特にHCVは、高率に持続感染することが知られ、私たちの免疫細胞ではHCVを排除することが困難であることが知られていますが、このようなコア蛋白質とSPPとの相互作用がウイルスの持続感染に貢献していることが考えられました。ガロウイルス(HCMV)にも備わっており、SPPはさまざまなウイルスの標的となっていることが考えられますので、持続感染を引き起こす広範なウイルスを標的とした病態緩和のための治療手段の開発が期待できます。ライフサイエンス15▍研究の意義と将来展望SPPを利用したMHCclassI分子の制御戦術は、HCVだけではなく、ヒトサイトメ特許論文Hirano,Junki;Yoshio,Sachiyo;Sakai,Yusukeetal.HepatitisCvirusmodulatessignalpeptidepeptidasetoalterhostproteinprocessing.ProcNatlAcadSciUSA.Jun1;118(22):e2026184118,2021,doi:10.1073/pnas.2026184118参考URLキーワードウイルス感染症、慢性C型肝炎、MHCclassI

ライフサイエンスライフサイエンス16理学研究科化学専攻教授笠松良崇https://researchmap.jp/kasamatsu_san超重元素ラザホージウムの水酸化サマリウム共沈挙動の観測研究の概要原子番号の大きな重元素は比較的新しく発見された新元素であり、その性質は未知の部分が多い。そして、重元素には相対論効果が強く働くため、その化学的性質は周期表内で特異的になる可能性があり、興味が持たれている。我々は、これまでに重元素の沈殿に関する性質を調べるための新しい手法の開発を進めてきた。今回、理化学研究所RIビームファクトリーにて104番元素ラザホージウム(261Rf)を製造し、水酸化サマリウム共沈実験法による化学実験を実現した。その結果、Rfが同族元素と同様に水酸化物沈殿を形成し、アンミン錯体の錯イオンは形成しにくい傾向を示すことを明らかにした。また、条件によっては同族元素とは異なり、擬同族元素であるアクチノイド元素のThに近い性質を持つという興味深い挙動を観測した。図1.261Rfの加速器オンライン共沈実験の概念図▍研究の意義と将来展望本研究により確立された新しい溶液化学実験手法、自動迅速化学分析装置は、他の重元素や様々な化学反応系への適用が期待できる。それによりその元素の化学的性質をより詳細に知ることができ、相対論効果の理解が深まることも期待できる。軽い元素にも小さいながらも作用する相対論効果の理解が進むことは、周期表上のあらゆる元素の本質的理解につながる。ひとつの物質の新しい性質の発見が大きく社会を変えることも多い現代の物質社会において、すべての元素の性質のより完全な理解は非常に重要な課題といえる。図2.Zr,Hf,Th,Rfの共沈収率特許論文Kasamatsu,Yoshitaka;Toyomura,Keigo;Haba,Hiromitsuetal.Co-precipitationbehaviourofsingleatomsofrutherfordiuminbasicsolutions.NatureChem.2021,13,p.226-230,doi:10.1038/s41557-020-00634-6参考URLキーワード超重元素、Rf、共沈、沈殿、水酸化サマリウム

ライフサイエンス医療・ヘルスケア、コンパニオン診断薬T細胞受容体レパトア解析を用いた免疫チェックポイント阻害剤早期奏効予測バイオマーカーの探索医学系研究科泌尿器科学助教加藤大悟教授野々村祝夫https://researchmap.jp/taigokatohttps://researchmap.jp/read0185096ライフサイエンス17研究の概要近年、多癌種において免疫チェックポイント阻害剤(Immunecheckpointinhibitor,ICI)が使用可能となったが、奏効率は20-30%と限定的であり、今後は適切な患者選択を行うための確固たる奏効予測マーカーの確立が急務である。我々は、ICI使用例における末梢血および腫瘍浸潤T細胞のT細胞受容体(Tcellreceptor,TCR)レパトア解析を行い、早期奏効予測マーカーの探索を行った。進行性腎癌患者においてPD-1阻害剤治療前後のPBMCを用いてTCRシーケンスを施行したところ、奏効群においてDiversityIndexが治療開始1ヶ月後で有意に低下し、特定のT細胞クローンが増加していた。また奏効群では非奏効群と比較して治療後に高頻度T細胞クローンが末梢血中で有意に増加し、その一部はPD-1阻害剤投与前の腫瘍組織浸潤T細胞と共通していた。以上からICI奏効例では、治療後早期に特定のT細胞クローンが末梢血中で増加し、腫瘍抗原特異的T細胞として全身循環し得ることが示された。細胞輸注療法など患者ごとの個別化免疫療法へと展開する。図1:腫瘍組織やPBMCよりRNAを抽出し、次世代シーケンサーによるT細胞受容体α/β鎖のレパトア解析を行い、抗原認識部位である相補性決定領域(CDR3)の配列を決定する。▍研究の意義と将来展望TCRレパトア解析による末梢血T細胞のDIやクローン数の増減は、ICI治療後早期に奏効を予測し、治療を継続あるいは中止するための簡便なバイオマーカーになると考えられた。将来的には、奏効例において有意に増加したT細胞クローンが同定できれば、ネオアンチゲンに反応するTCR配列を決定し、ネオアンチゲン特異的なTCR遺伝子導入T図2:奏効例においては、非奏効例と比較してDiversityIndexがPD-1阻害剤開始1ヶ月後に有意に低下し、Top10クローンの総和も増加傾向であり、主要なT細胞クローンが末梢血中で有意に増加したと考えられた。また奏効例ではPD-1阻害剤投与1ヶ月後に増加したT細胞クローンが有意に多く、これらは投与3・6ヶ月後でも血中に残存し、長期に渡る抗腫瘍効果を示すと考えられた。特許論文Kato,Taigo;Kiyotani,Kazuma;Tomiyama,Eisukeetal.PeripheralTcellreceptorrepertoirefeaturespredictdurableresponsestoanti-PD-1inhibitormonotherapyinadvancedrenalcellcarcinoma.Oncoimmunology.2021Jan19;10(1):1862948.doi:10.1080/2162402X.2020参考URLキーワード腎細胞がん、免疫チェックポイント阻害剤、T細胞受容体、次世代シーケンス、バイオマーカー

ライフサイエンスライフサイエンス18理学研究科附属フォアフロント研究センター教授兼田(中島)加珠子https://researchmap.jp/read0131912研究の概要本研究では、がん細胞型アミノ酸トランスポーターLAT1*1をターゲットとした新たなアルファ線治療薬(アスタチン*2標識芳香族アミノ酸誘導体211At-AAMT)の開発を目標としました。LAT1はがん特異的に発現するアミノ酸トランスポーターです。その機能を阻害することで抗腫瘍効果を持つことが知られていましたが、LAT1を標的とする核医学治療薬の開発は進んでいませんでした。我々は核物理研究センターの加速器を用いて、アスタチン(211At)を製造し、LAT1高選択性の化合物に標識することで、LAT1を標的とする核医学治療薬の開発を行いました。今回、開発した治療薬を膵臓がんモデルマウスに投与したところ、腫瘍への選択的集積ならびに増殖抑制効果が確認されました。治療薬はアミノ酸トランスポーターLAT1を介してがん特異的にデリバリーされることが分かりました。つまり、本治療薬はがん細胞に栄養分として取り込まれた後、細胞内部からがんを攻撃することができます。これにより、難治性の膵臓がんのみならず、治療薬のない様々ながんに対する画期的な治療法になることが期待されます。▍研究の意義と将来展望アルファ線核医学治療は注射薬による全身治療であり、多発転移のある進行がんにも用いることができます。本研究成果として開発に成功したアスタチン標識アルファメチルチロシン注射薬は、膵臓がんをはじめとする難治性がんにおける、画期的な治療法となることが期待されます。図1.211At-AAMTの投与後の増殖抑制効果(左)と膵臓がんモデルマウスにおける211At-AAMTの腫瘍(矢印)への集積画像(右)図2.メラノーマ肺転移モデルにおける211At-AAMTの効果。*1LAT1:L-typeaminoacidtransporter1;大型中性アミノ酸トランスポーター。分岐鎖アミノ酸と芳香族アミノ酸を優先的に輸送するヘテロ二量体膜輸送タンパク質。*2アスタチン:Astatine;原子番号85の元素。元素記号はAt。ハロゲン元素。安定同位体は存在しない。同位体は約30個。半減期が短くギリシア語の不安定というastatosを語源とする。医療・ヘルスケア、創薬、加速器技術がん細胞型アミノ酸トランスポーターを標的とする放射線療法特許特願2018-048562、PCT/JP2019/030006、特願2022-150608論文Kaneda-Nakashima,Kazuko;Zhang,Zijian;Manabe,Yoshiyukietal.α-Emittingcancertherapyusing211At-AAMTtargetingLAT1.CancerSci.2021,112(3),1132-1140,doi:10.1111/cas.14761参考URLhttps://www.frc.sci.osaka-u.ac.jp/project/ms_coreキーワード核医学治療、アルファ線、アスタチン、アミノ酸、トランスポーター

ライフサイエンス医療・ヘルスケア、創薬腸内細菌による潰瘍性大腸炎増悪メカニズムの解明と治療への応用高等共創研究院准教授香山尚子医学系研究科免疫制御学教授竹田潔https://researchmap.jp/0425Kayama_Hisakohttps://researchmap.jp/read0118278ライフサイエンス19研究の概要大腸や小腸などに慢性の炎症や潰瘍が生じる難治性疾患である炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)では、「腸内細菌叢の乱れ」「腸内細菌が産生する代謝産物の種類や量の変化」が発症および病態形成に深く関与すると考えられている。しかし、その制御にかかわる分子メカニズムについては不明な点が多い。本研究グループは、上皮細胞に発現する膜型ATP分解酵素E-NTPD8が増殖期の腸内細菌が腸管腔内に分泌するアデノシン三リン酸(ATP)の分解に必須であること、潰瘍性大腸炎患者の大腸上皮細胞ではENTPD8mRNAの発現が低下していることを見出した。Entpd8の欠損に伴いマウス腸管内で増加した腸内細菌由来ATPは、P2X4受容体を介して細胞内代謝経路の一つである解答系を亢進させることにより好中球のアポトーシスを抑制し、好中球の増加を伴う大腸炎の重症化にかかわることを明らかにした。▍研究の意義と将来展望多因子疾患であり、未だ根本的治療法は確立されていない炎症性腸疾患では、症状に合わせた多様な治療法の開発が望まれている。本研究成果により、炎症性腸疾患の重症化につながる宿主免疫細胞内代謝リプログラミング機構の一部が明らかとなり、細胞外ATPやP2X4受容体シグナル経路を標的とした治療法および診断法の開発が加速することが期待される。図1E-NTPD8による好中球依存的大腸炎の抑制(A)ヒト大腸上皮細胞におけるENTPD8mRNAの発現。(BandC)デキストラン硫酸塩の重症度。大腸炎活動性指数(diseaseactivityindexscore):下痢重症度スコア(0-4)と血便重症度スコア(0-4)の合計。図2腸管恒常性維持におけるE-NTPD8による細胞外ATP分解の役割膜型ATP分解酵素E-NTPD8は、腸内細菌が分泌したATPを分解し、P2X4受容体を介した好中球の解糖系促進とそれに伴う寿命延伸を抑制する。このメカニズムは、上皮バリアの異常が起こった際、好中球の増加を原因とする大腸炎の重症化を防ぐために必須である。特論許文Tani,Haruka;Kayama,Hisako;Takeda,Kiyoshietal.TheATP-hydrolyzingectoenzymeE-NTPD8attenuatescolitisthroughmodulationofP2X4receptordependentmetabolisminmyeloidcells.ProcNatlAcadSciUSA.2021,118(39):e2100594118.doi:10.1073/pnas.2100594118参考URLhttps://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/ongene/キーワード潰瘍性大腸炎、腸内細菌叢、代謝産物、上皮細胞、免疫細胞

ライフサイエンスライフサイエンス20医療・ヘルスケア、創薬自己と非自己のRNAを識別する新たな機構を解明医学系研究科神経遺伝子学教授河原行郎助教中濱泰祐https://researchmap.jp/rnabiologyhttps://researchmap.jp/Tomato-kirai研究の概要我々の体には、ウイルスなどの病原体が感染すると、これを迅速に感知し排除する自然免疫が備わっている。自然免疫はウイルスなどに共通した分子構造を認識しており、2本鎖RNA構造もその1つである。しかし、2本鎖RNAは我々の体内でも恒常的に形成されているため、異物と誤認されるリクスがある。これを回避するため、自己2本鎖RNAはRNA編集を受けてイノシン化されている。しかし、このRNA編集の詳しいメカニズムは分かっていなかった。本研究では、RNA編集酵素ADAR1が左巻き2本鎖RNAを認識・結合することが適切なRNA編集に不可欠であることを見いだした。左巻き2本鎖RNAへ結合できないように操作した変異マウスでは、自然免疫が異常活性化し、ヒトの自己免疫疾患に似た症状を呈することを発見した。2本鎖RNAは通常右巻きが安定であり、生体内で左巻きになるのかどうかも不明であったが、その生理的意義を明らかにした画期的成果である。発に役立つと考えられる。また、副反応の生じない安全な人工mRNA合成技術へ応用することも期待される。図1.ADAR1p150を介したRNA編集により2本鎖RNA中のアデノシン(A)がイノシン(I)へと置換されると、この2本鎖RNAはMDA5によって異物と誤認されなくなる。この一連の過程に、2本鎖RNAの一部を右から左巻きに変えることが不可欠であることを発見!▍研究の意義と将来展望生体内で2本鎖RNAの巻き方を感知していることを明らかにした。近年、左巻き2本鎖RNAは、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス由来のRNAにも形成されていることが明らかになっており、ウイルス感染を早期に感知する手法や重症化予防法の開図2.Zαに変異を入れたマウスは、小型で痩せており、脳室の拡大(*)や白質の菲薄化(矢印)などを呈した。また、MDA5が異常活性化し、各種臓器でインターフェロン関連遺伝子(Ifit1)の上昇が認められた。特許論文Nakahama,Taisuke;Kawahara,Yukioetal.MutationsintheadenosinedeaminaseADAR1thatpreventendogenousZ-RNAbindinginduceAicardi-Goutières-syndrome-likeencephalopathy.Immunity.2021,54(9),p.1976-1988,doi:10.1016/j.immuni.2021.08.022参考URLhttps://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/rna/index.htmlキーワードRNA編集、AGS、左巻きRNA、自己免疫疾患、インターフェロン

ライフサイエンス医療・ヘルスケア、バイオインフォマティクス血液セルフリーDNAによる神経免疫疾患の病態解明医学系研究科神経内科学特任講師木下允教授望月秀樹https://researchmap.jp/101101101101101https://researchmap.jp/read0207787ライフサイエンス21研究の概要セルフリーDNAは多様な様式で細胞外に放出され血液中に存在することが知られているが、その生理的役割及び病態形成における位置づけは不明な点が多い。一方で、NeuromyelitisOpticaSpectrumDisorder(NMOSD)は、代表的な中枢神経特異的自己免疫疾患であり、高度の視神経・脊髄障害を特徴とする難治性病態である。今回、大阪大学神経内科の研究グループは、NMOSDの患者血漿からセルフリーDNAを精製し、そのメチル化パターンを次世代シークエンサーにて解読することにより、患者血漿中のセルフリーDNAは末梢血中の好中球を起源とすることを同定した。これら好中球由来のセルフリーDNAは末梢血球の1型インターフェロン産生を上昇することで、NMOSD病態形成に寄与することが解明された。本研究成果により、これまでNMOSDの疾患活動性を規定する因子は明らかとなっていなかったが、その根本的メカニズムの解明への道がひらけた。た。セルフリーDNAは多彩な疾患の病態機序に関与していることが予想され、本研究成果は神経免疫領域を超えた多様な疾患への普遍的応用が期待される。細胞のメチル化アトラスによりNMOSD末梢血中のCell-freeDNAの起源を同定▍研究の意義と将来展望本研究ではセルフリーDNAの放出起源となる細胞や組織を同定する技術をメチル化パターンに着眼することで可能とし、その源となる細胞腫を同定することで中枢神経特異的自己免疫疾患の新規病態メカニズムを解明し好中球由来Cell-freeDNAによるNMOSDでのインターフェロン経路活性化の解明特論許文参考URLキーワードMurata,Hisashi;Kinoshita,Makoto;Yasumizu,Yoshiakietal.Cell-FreeDNADerivedFromNeutrophilsTriggersType1InterferonSignatureinNeuromyelitisOpticaSpectrumDisorder.NeurolNeuroimmunolNeuroinflamm2022,9:e1149.doi:10.1212/NXI.0000000000001149セルフリーDNA、自己免疫疾患、バイオインフォマティクス、神経疾患

ライフサイエンスライフサイエンス22医療・ヘルスケア、創薬核酸アプタマーを⽤いた軟⾻無形成症治療薬の開発医学系研究科小児科学助教木村武司准教授窪田拓生教授大薗恵一https://researchmap.jp/kimutakehttps://researchmap.jp/k_b_thttps://researchmap.jp/read0092357研究の概要軟骨無形成症は四肢短縮型低身長を来す最も頻度の高い骨系統疾患であり、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)遺伝子の機能獲得型変異によって発症します。軟骨無形成症に対する根治療法は現在でも存在しないため、FGFR3の安全かつ効果的な阻害薬が求められてきました。今回我々は、FGFR3のリガンドであるFGF2を中和するRNAアプタマー(RBM-007)を開発し、患者由来の疾患特異的iPS細胞を用いて有効性を評価しました。その結果、軟骨分化誘導実験系においてRBM-007はinvitroでの軟骨分化を回復されることが分かりました。また得られた軟骨組織を免疫不全マウスに移植して内軟骨性骨化を観察する異種移植モデルでも、成長軟骨の形成異常を改善する効果を示しました。モデルマウスや培養細胞系でも同様の効果が確認され、RBM-007がFGFR3阻害薬として機能することを証明することができました。第2相試験について、現在計画しているところです。日本初の新たな核酸医薬として、RBM-007が軟骨無形成症治療の新たな選択肢となることが期待されています。図1:RNAアプタマーの作用機序RBM-007は37ヌクレオチドのRNAで構成され、ヒト・マウス・ラットFGF2と高い特異性・親和性を持って結合できる。生体内でFGF2とFGFR3の結合を阻害することで、FGFR3シグナルを抑制する。▍研究の意義と将来展望本研究において、我々はFGFR3を標的としたリガンド抑制による治療効果を明らかにし、軟骨無形成症やその他のFGFR3関連骨異形成症に対する新規治療法となる可能性を示しました。軟骨無形成症を対象疾患とするRBM-007皮下投与の第1相臨床試験(JapicCTI-205345)は既に完了しており、次の段階である実際の小児患者を対象とした図2:本研究での創薬アプローチ従来の実験動物を用いた細胞、組織、生体での有効性評価に加えて、ヒトiPS細胞を用いた疾患モデルでも薬効を確認した。この成果に基づいて、ヒトでの有効性評価を計画している。特許論文Kimura,Takeshi;Bosakova,Michaela;Nonaka,Yosukeetal.AnRNAaptamerrestoresdefectivebonegrowthinFGFR3-relatedskeletaldysplasiainmice.SciTranslMed.2021May5;13(592):eaba4226.doi:10.1126/scitranslmed.aba4226参考URLキーワード軟骨無形成症、核酸医薬、疾患特異的iPS細胞

ライフサイエンスバイオ燃料、バイオ電池、藻類応用光合成微生物の光合成電子伝達反応の構造研究と応用蛋白質研究所教授栗栖源嗣助教川本晃大https://researchmap.jp/read0051718https://researchmap.jp/akikawa019ライフサイエンス23研究の概要光合成の電子伝達反応は光エネルギーにより駆動される化学反応です。光エネルギーから化学エネルギーへの変換は光化学系IとIIと呼ばれる膜タンパク質が担っています。そのうち好熱性シアノバクテリアがもつ光化学系I複合体について、単量体として存在する状態での構造を高分解能で解析して、単量体化する理由や複合体に含まれるクロロフィル分子がどのようにして特徴的な光吸収を可能にし、電子伝達を駆動しているのか詳細なモデルを提唱することに成功しました。▍研究の意義と将来展望光化学系Iにおける光エネルギー吸収はチラコイド膜にある膜タンパク質に結合したクロロフィルが担っています。沢山あるクロロフィル分子のうち幾つかが、赤色光を特徴的に吸収することが知られていましたが、その配置や吸収したエネルギー伝搬の仕組みはわかっていませんでした。今回、日本電子株式会社がAMED-CiCLE事業で開発・高度化した最新型のクライオ電子顕微鏡を使って、光化学系I複合体の単量体での高分解能構造解析に世界で初めて成功しました。光化学系Iのような巨大な膜タンパク質複合体であっても、高分解能構造があきらかになれば、藻類の機能改変の指針策定に役立つことが期待されます。好熱性シアノバクテリアT.elongatusBP-1由来単量体光化学系Iのクライオ電顕構造光化学系I構造中に見いだされるクロロフィル分子周辺の密度マップ特許論文Çoruh,Orkun;Frank,Anna;Tanaka,Hidakietal.Cryo-EMstructureofafunctionalmonomericPhotosystemIfromThermosynechococcuselongatusrevealsredchlorophyllcluster.Commun.Biol.,2021,4,p.304,doi:10.1038/s42003-021-01808-9参考URLhttp://www.protein.osaka-u.ac.jp/crystallography/LabHP/キーワード膜タンパク質複合体、光合成エネルギー変換、クライオ電子顕微鏡

ライフサイエンスライフサイエンス24医療・ヘルスケア、創薬子宮平滑筋肉腫の発症・血行性転移の新規メカニズム解明医学系研究科産科学婦人科学教室助教小玉美智子教授木村正https://researchmap.jp/mkyhhttps://researchmap.jp/read0106368研究の概要子宮平滑筋肉腫は急速な腫瘍増大及び血行性転移を早期から来たす悪性度の高い腫瘍で、50%生存期間は約31ヶ月と予後不良である。外科的治療以外の標準治療が存在せず、昨今分子標的治療薬が開発されているが、その効果は極めて限定的である。本研究ではマウスを用いた網羅的な癌遺伝子同定法であるトランスポゾンスクリーニングを行い、子宮筋層特異的にPten欠損、Kras活性化を生じる免疫正常マウスにおいて発生した子宮平滑筋肉腫、及び転移性肺腫瘍から平滑筋肉腫発症・血行性転移に関するドライバー遺伝子候補を複数同定した。平滑筋肉腫発症に関与したと考えられる19遺伝子のうち最も高頻度にトランスポゾン転移挿入が認められたジンクフィンガー蛋白の一つであるZfp217、転移性肺腫瘍に関与すると考えられたナルディライジンをコードするNrd1について、ヒト子宮平滑筋肉腫における癌遺伝子としての機能を示し、これらの抑制が治療戦略となる可能性を示した。我々が今回見出した子宮平滑筋肉腫発症・増悪に関与するドライバー遺伝子候補カタログは、新規治療戦略の構築につながる可能性がある。図1▍研究の意義と将来展望子宮平滑筋肉腫は希少疾患である為、本疾患を対象とした大規模な遺伝子プロファイルデータセットが存在せず、その発症機構に基づく新たな治療薬創薬は極めて困難である。図2特許論文Kodama,Michiko;Shimura,Hiroko;Kimura,Tadashietal.SleepingBeautyTransposonMutagenesisIdentifiesGenesDrivingtheInitiationandMetastasisofUterineLeiomyosarcoma.CancerRes.2021,81,p.5413-5424,doi:10.1158/0008-5472.CAN-21-0356参考URLキーワード子宮平滑筋肉腫、フォワードジェネティックスクリーニング、Sleepingbeautyトランスポゾン

ライフサイエンス医療・ヘルスケア、創薬脂肪組織GRP78は高齢、肥満、糖尿病に関わる新型コロナウイルスのホスト因子である医学系研究科糖尿病病態医療学寄附講座助教シンジフン医学系研究科内分泌代謝内科学教授下村伊一郎https://researchmap.jp/shinjihoon0209https://researchmap.jp/shimomura_iライフサイエンス25研究の概要高齢者や肥満、糖尿病患者は新型コロナウイルス感染症が重症化しやすいが、その原因は不明である。新型コロナウイルスの感染にはウイルス膜表面に発現しているSpikeタンパクと宿主細胞のACE2タンパクの結合が重要だが、高齢や肥満、糖尿病、脂肪組織など、新型コロナウイルスの危険性を上げる要因と関連して結合を促す因子の報告はない。本研究では、シャペロン蛋白GRP78が、ストレス環境下で細胞表面や細胞外・血中に分泌され新型コロナウイルスのSpikeタンパクと結合し、SpikeタンパクのACE2発現細胞への集積を促進させることを発見した(図1)。GRP78の遺伝子発現は肺や脂肪組織で高く、特に脂肪組織では高齢や肥満、2型糖尿病状態で発現が誘導されることが分かり高インスリンを改善する抗糖尿病薬や、運動・食事制限などにより脂肪組織GRP78の発現を抑制できることを示唆した。ンスリン状態を改善する抗糖尿病薬や生活習慣改善(食事や運動など)により抑制できることを見出し、今後のCOVID-19の予防・治療ターゲットとしての応用が期待される。図1.COVID-19のホスト因子としてのGRP78▍研究の意義と将来展望本研究は細胞表面GRP78、また分泌型GRP78がSARS-CoV-2のSpikeタンパクに結合し、ACE2発現細胞への集積を増強させることを発見した初の報告である。COV-ID-19の危険因子として挙げられている高齢や肥満、糖尿病などの高インスリン環境下で脂肪組織GRP78発現は上昇し、一方、高イ図2.GRP78によるACE2へのSpikeタンパク結合増強作用特論許文参考URLキーワードShin,Jihoon;Shimomura,Iichiroetal.PossibleInvolvementofAdiposeTissueinPatientsWithOlderAge,Obesity,andDiabetesWithSARS-CoV-2Infection(COVID-19)viaGRP78(BIP/HSPA5):SignificanceofHyperinsulinemiaManagementinCOVID-19.Diabetes2021,70(12):2745–2755,doi:10.2337/db20-1094https://doi.org/10.2337/db20-1094新型コロナウイルス感染症、COVID-19、GRP78、高齢、肥満

ライフサイエンスライフサイエンス26医療・ヘルスケア、創薬くも膜下出血患者における腸内細菌の特徴医学系研究科脳神経外科学助教高垣匡寿教授貴島晴彦https://researchmap.jp/osakansmthttps://researchmap.jp/hkishima研究の概要近年、腸内細菌は全身のさまざまな疾患に関係していることが報告されている。脳動脈瘤に関しても腸内細菌が関係していることが報告されているが、ヒトにおける脳動脈瘤の破裂に腸内細菌叢がどのように関係しているのかは不明であった。今回、我々は脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を発症した患者と未破裂脳動脈瘤を保有する患者の腸内細菌を解析・比較し、くも膜下出血患者に特徴的ないくつかの細菌を同定した(Fig.1)。さらに、他の疾患を対象とした研究では検出されていないCampylobacter属に注目し、種特異的なPCR法を用いてより正確な検査を行った。その結果でもCampylobacter属がくも膜下出血患者に多く検出されることが確認され、また、C.ureolyticusの検出率が高いことが明らかになった(Fig.2)。Fig.1:群間比較解析結果赤がくも膜下出血患者に多い菌を表す。▍研究の意義と将来展望本研究成果により、従来では年齢や性別、動脈瘤の大きさなどでしか予測しえなかった未破裂脳動脈瘤の破裂率に腸内細菌叢という新しい因子を加えることで、より高い精度で破裂予測ができるようになると期待している。また、これまでは外科的治療しか効果的な破裂予防ができなかった未破裂脳動脈瘤に対して、腸内細菌叢を操作し破裂予防を行うという新しい治療法につながるものと考えている。Fig.2:研究の概略くも膜下出血患者と未破裂脳動脈瘤患者の腸内細菌叢を比較し、Campylobacter属、その中でもC.ureolyticusが破裂に関与していることが示唆された。特許特願2021-19218論文Kawabata,Shuhei;Takagaki,Masatoshi;Kishima,Haruhikoetal.DysbiosisofGutMicrobiomeIsAssociatedWithRuptureofCerebralAneurysms.Stroke.2022,Mar;53(3):895-903.doi:10.1161/STROKEAHA.121.034792参考URLキーワードくも膜下出血、脳動脈瘤、腸内細菌

ライフサイエンス医療、創薬免疫細胞移動の分子メカニズムの解明と医療への応用医学系研究科呼吸器・免疫内科学講師高松漂太https://researchmap.jp/thyota教授熊ノ郷淳https://researchmap.jp/read0051725ライフサイエンス27研究の概要生体内の狭い空間を移動する際に免疫細胞は、アクチンとミオシンによる細胞収縮運動(アクトミオシン収縮)を利用しているがその詳細な制御メカニズムは不明であった。リソソーム膜上で栄養感知や代謝制御を担うRagulator複合体の構成分子であるLamtor1を免疫細胞特異的に欠損させると、Lamtor1欠損細胞は細胞尾部の収縮障害により前へ進めずアクトミオシン収縮に障害をきたし、それにより、獲得免疫系が誘導されないことを見出した。さらにRagulator複合体はミオシン脱リン酸化酵素(MLCP)をアクチンに留めるMPRIPと結合しMLCPの局在を変えることでアクトミオシン収縮を制御していることを明らかにした。己免疫疾患、抗腫瘍免疫応答や癌転移に対する治療薬として、Ragulator複合体とMPRIP相互作用を標的とした細胞移動制御薬の開発へ発展することが期待される。図1▍研究の意義と将来展望本研究では、Ragulator複合体がアクトミオシン収縮を制御するその詳細なメカニズムを明らかにし、Ragulator複合体による免疫応答制御の一端を解明した。Ragulator複合体構成分子の変異がヒト免疫不全症の原因となることや、癌の浸潤や転移に際して癌細胞もアクトミオシン収縮を利用していることが知られており、Ragulator複合体とMPRIPとの相互作用は、ヒト疾患に対する新規治療標的になるものと思われる。今後、ワクチン効率の改善や、細胞浸潤に起因する炎症や自図2特許論文Nakatani,Takeshi;Tsujimoto,Kohei;ParkJeongHoon;etal.ThelysosomalRagulatorcomplexplaysanessentialroleinleukocytetraffickingbyactivatingmyosinII.NatureCommunications.2021,12(1):3333,doi:10.1038/s41467-021-23654-3参考URLキーワード免疫細胞移動、アクトミオシン収縮、Ragulator複合体、Lamtor1、MPRIP

ライフサイエンスライフサイエンス28理学研究科高分子科学専攻教授寺尾憲https://researchmap.jp/kenterao医療・ヘルスケア、食品多重らせん高分子のコンホメーション変化の動力学研究の概要塩水溶液中で剛直な二重らせん構造を持つザンサンという多糖は、その剛直さゆえに少量で安定した粘性を水溶液に付与することができるため、増粘剤として食品に広く用いられている。このザンサン-塩化ナトリウム水溶液について、急激な温度変化に伴う二重らせん構造の融解および再形成過程を小角X線散乱(SAXS)、円二色性(CD)測定によって調べた。温度上昇に伴い、CDで観測される側鎖の構造変化が迅速であるのに対し、SAXSより観測される主鎖の融解はゆっくりであることがわかった。これに対し、温度低下に伴う構造変化では、主鎖の二重らせん構造形成が先行し、側鎖の構造形成には1日以上の時間を要することも明らかになった。図1.急加熱、急冷に伴うザンサン分子のコンホメーション変化の模式図とその時定数▍研究の意義と将来展望多重らせん構造の融解や再形成には、おもにCDなどの分光法を用いて調べられることが一般的であるが、高分子自体の形の変化をより直接的にとらえるSAXS法を併用することにより、中間体の存在が明らかになった。多重らせん高分子はその再形成の際に、1本鎖からなるヘアピン構造や多数鎖からなる多分岐構造など特殊な構造を形成することが知られており、それらは異なる機能性をもつことが期待される。中間体構造を含め分子形態変化の動力学を明らかにすることは、得られる再形成多重らせん鎖の構造を調節し、機能性を付与するうえで有用な知見を与える。図2.温度変化によって生じうるザンサンのコンホメーション特許論文Tomofuji,Yu;Matsuo,Koichi;Terao,Ken.Kineticsofdenaturationandrenaturationprocessesofdouble-strandedhelicalpolysaccharide,xanthaninaqueoussodiumchloride.Carbohydr.Polym.,275,118681.doi:10.1016/j.carbpol.2021.118681参考URLhttps://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/terao/キーワード多重らせん高分子、多糖、分子形態、食品添加物

ライフサイエンス医療・ヘルスケア、創薬COVID-19感染者における抗体産生およびB細胞エピトープ解析医学系研究科健康発達医学寄附講座教授中神啓徳https://researchmap.jp/hironorinakagami研究の概要本研究の目的は、コロナウイルス感染症2019(COVID-19)患者のB細胞エピトープおよび抗体産生の解析を通じて、SARS-CoV-2に対する液性免疫を理解することである。我々は2020年の第1波で医療現場が混乱している中で、43人のCOVID-19患者から血清を入手した。多くの検体はSARS-CoV-2に対する中和活性を示し、SARS-CoV-2のスパイク糖蛋白(S蛋白)あるいは受容体結合ドメイン(RBD)に対する抗体産生が認められたが、個人差がかなり大きかった。また、COVID-19患者の中和抗体価とIgG抗体価の相関性も認められた。▍研究の意義と将来展望COVID-19に対する免疫反応を理解するためには、ウイルス特異的CD4+およびCD8+T細胞の解析が必要である。特に液性免疫の観点では、Sタンパク質に対するCD4+T細胞応答は抗SARS-CoV-2IgGおよびIgA抗体価の大きさと相関することが報告されており、Sタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)に対する抗体価は、スパイク特異的CD4+T細胞応答の増加とよく相関することも知られていた。そこで、大阪大学医学部附属病院集中治療室(n=12)および大阪市立十三病院入院中(n=31)の回復期患者の血清を入手し、S蛋白に対する抗体産生および中和能を測定したところが、SARS-CoV-2のS蛋白あるいはRBDに対する抗体産生の個人差が大きいことが明らかとなった。また、B細胞エピトープの解析では患者血清中にS蛋白のRBDだけでなくN末端ドメインにも多くの抗体産生が観察された。COVID19感染患者の抗体価・中和活性(大阪大学医学部付属病院12名・十三市民病院31名)Bcellエピトープ解析ウイルスとスパイク蛋白が結合するRBD領域には強く結合するlinearBcellエピトープ(連続するアミノ酸配列に対する抗体)は認めなかった。一方、S2蛋白領域に強く結合するlinearBcellエピトープ(連続するアミノ酸配列に対する抗体)を認めた。ライフサイエンス29特許論文Yoshida,Shota;Ono,Chikako;Nakagami,Hironorietal.SARS-CoV-2-inducedhumoralimmunitythroughBcellepitopeanalysisinCOVID-19infectedindividuals.SciRep.2021,11(1),p.5934.doi:10.1038/s41598-021-85202-9参考URLキーワード新型コロナウイルス、抗体、エピトープ

医療・ヘルスケア、創薬骨髄における造血幹細胞と造血、骨代謝の司令塔細胞(CAR細胞)に関する研究生命機能研究科/医学系研究科/免疫学フロンティア研究センターhttps://researchmap.jp/read0094728栄誉教授長澤丘司准教授尾松芳樹https://researchmap.jp/yskomt研究の概要ほぼ全ての血液細胞の起源となる造血幹細胞は、骨髄でニッチと呼ばれる微小環境によって維持されています。私たちは、骨髄特有の間葉系幹細胞であるCAR細胞が、造血幹細胞の維持に必須のサイトカイン(CXCL12、SCF)、造血幹細胞ニッチの形成と維持に必須の転写因子(Foxc1、Ebf1、Ebf3)を特異的に発現することを見出し、最近、転写因子Runx1とRunx2がCAR細胞の線維化を抑制し、造血幹細胞ニッチを維持していることを明らかにしました。▍研究の意義と将来展望CAR細胞は、造血幹細胞や造血の維持に必須である他、形質細胞などの免疫記憶細胞、白血病幹細胞の維持や骨転移した癌細胞の維持にも関与する可能性がある重要な細胞です。したがって、その機能の制御分子は、白血病やがんの治療、ワクチンの有効性の亢進など、様々な医療における薬剤標的となる可能性があります。ライフサイエンスライフサイエンス30特許論文Omatsu,Yoshiki;Aiba,Shota;Nagasawa,Takashietal.Runx1andRunx2inhibitfibroticconversionofcellularnichesforhematopoieticstemcells.NatCommun.2022;13(1),p2654,doi:10.1038/s41467-022-30266-ySeike,Masanari;Omatsu,Yoshiki;Nagasawa,Takashietal.Stemcellniche-specificEbf3maintainsthebonemarrowcavity.GenesDev.2018,32(5-6),p359-372,doi:10.1101/gad.311068.117Omatsu,Yoshiki;Seike,Masanari;Nagasawa,Takashietal.Foxc1isacriticalregulatorofhaematopoieticstem/progenitorcellnicheformation.Nature2014,508,p536-540,doi:10.1038/nature13071Omatsu,Yoshiki;Sugiyama,Tatsuki;Nagasawa,Takashietal.Theessentialfunctionsofadipoosteogenicprogenitorsasthehematopoieticstemandprogenitorcellniche.Immunity2010,33,p387-399,doi:10.1016/j.immuni.2010.08.017Sugiyama,Tatsuki;Kohara,Hiroshi;Nagasawa,Takashietal.MaintenanceofthehematopoieticstemcellpoolbyCXCL12-CXCR4chemokinesignalinginbonemarrowstromalcellniches.Immunity2006,25,p977-988,doi:10.1016/j.immuni.2006.10.016参考URLキーワード造血幹細胞、ニッチ、骨髄

ライフサイエンス医療、創薬フリッパーゼとスクランブラーゼ免疫学フロンティア研究センター特任教授長田重一https://researchmap.jp/Nagata0306研究の概要真核細胞の細胞膜は2層のリン脂質から成り立っているが、リン脂質は2層間で非対称的に分布している。すなわち、フォスファチジルセリン(PtdSer)やフォスファチジルエタノールアミン(PtdEtn)は全てがフリッパーゼと呼ばれる酵素により内層に局在するのに対し、スフィンゴミエリン(SM)やフォスファチジルコリン(PtdCho)は大部分が外層に存在する。このリン脂質の非対称的な局在は様々な生物現象でスクランブラーゼの作用により崩壊する。例えば、細胞がアポトーシスに陥るとPtdSerが暴露され、マクロファージへの“eatme”シグナルとして作用する。一方、活性化血小板に暴露されたPtdSerは血液凝固因子に結合、それを活性化する。今回、てんかん発作、発達障害を示す患者のフリッパーゼが点変異によりPtdSerばかりでなくPtdChoをも細胞膜外層から内層へ移動させることを示すとともに、XKR8スクランブラーゼの三次構造を決定した。▍研究の意義と将来展望リン脂質は親水性の頭部と疎水性の脂肪酸からなる両媒性の分子であり、この分子がスクランブラーゼの作用により如何に細胞表面に曝露されるか大きな謎であった。今回の成果はこの疑問に答える大きな成果である。また、P4-ATPaseの変異はさまざまな疾患の原因となることが知られている。今回の私たちの結果はこれら疾患の病因を探るうえで大いに役立つであろう。Figure1.ATP11Aフリッパーゼにおける点変異(Q84E)によるPtdCho(PC)の細胞内への移送(1)、SM合成酵素遺伝子(SGMS1)の発現誘導(2)とSMの合成(3)。Figure2.ヒトXKR8-Basigin複合体の三次構造(A)と膜貫通領域(B)。分子の上部にはPtd-Cho(PC)を含有した溝。ライフサイエンス31特許特許第6525212号論文Segawa,Katsumori;Kikuchi,Atsuo;Noji,Tomoyasuetal.AsublethalATP11Amutationassociatedwithneurologicaldeteriorationcausesaberrantphosphatidylcholineflippinginplasmamembranes.J.Clin.Invest.2021,131,e148005,doi:10.1172/jci148005Sakuragi,Takaharu;Kanai,Ryuta;Tsutsumi,Akihisaetal.ThetertiarystructureofthehumanXkr8-Basigincomplexthatscramblesphospholipidsatplasmamembranes.Nat.Struct.Mol.Biol.2021,28,825-834,doi:10.1038/s41594-021-00665-8参考URLhttp://biochemi.ifrec.osaka-u.ac.jpキーワードフリッパーゼ、スクランブラーゼ、リン脂質、フォスファチジルセリン

ライフサイエンスライフサイエンス32産業科学研究所精密制御化学研究分野教授中谷和彦https://researchmap.jp/read0042668研究の概要近年、RNAを標的とした創薬研究が加速している。一昨年、低分子Evrysdi™(化合物名リスジプラム)が、脊髄性筋萎縮症(SpinalMuscularAtrophy、SMA)患者の運動機能および生存の改善と維持を示す初の経口薬として、米国FDAにおいて、そして我が国においても承認された。Evrysdi™の機能は、先に開発されている核酸医薬スピンラザ®と同様に、SurvivalMotorNeuron2(SMN2)遺伝子のpre-mRNAのスプライシングを改善する。ヒトゲノムの解析終了後のENCODEプロジェクトの結果、ヒトゲノムの大半はnon-codingRNAとして、我々の生命維持に関わっていることがわかっている。Evrysdi™で示されるmRNAを標的とした創薬研究に加え、non-codingRNAを対象とした創薬研究が進めば、細胞内にあふれる多様な機能性RNAの発現調節や機能調節が可能となり、これまでのタンパク質の発現と機能調節とは異なる治療戦略が視野に入る。今回、RNAに結合する低分子化合物のスクリーニング法の一つである蛍光色素ディスプレイスメントアッセイに用いる、RNA結合蛍光色素ANP77を開発し、アッセイに使用可能なRNAモチーフを選別した。も、創薬が可能となる。ヒトゲノムの75%はnon-codingRNAとして何らかの機能を持つことが想定されており、従来では想定されなかった創薬研究が進む可能性が極めて高い。RNA結合タンパク質を吸着する機能を獲得した毒性RNAに結合し、吸着されたタンパク質を遊離させる低分子化合物などの開発が進められており、これまで考えられていなかった疾患治療が近未来に実現することが期待されている。RNA標的創薬の顕在化医療・ヘルスケア、創薬RNAを標的とした低分子創薬の推進▍研究の意義と将来展望mRNAに加えてnon-codingRNAを創薬標的とすると、従来の蛋白標的創薬に加えて、標的タンパク質が存在しないケースについて蛍光指示薬を用いたRNA結合低分子のスクリーニング特許論文Das,Bimolendu;Murata,Asako;Nakatani,Kazuhiko.Asmall-moleculefluorescenceprobeANP77forsensingRNAinternalloopofC,U,andA/CCmotifsandtheirbindingmolecules.NucleicAcidsRes.2021,49,8462-8470.doi:10.1093/nar/gkab650参考URLhttps://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/rbc/index.htmlキーワードRNA、低分子、創薬、スクリーニング

ライフサイエンス医療・ヘルスケア、創薬、癌治療癌の違いを問わない新しい標的治療としての、癌新生血管をターゲットとした研究と治療開発医学部附属病院手術部講師野田剛広医学系研究科消化器外科学准教授小林省吾教授江口英利https://researchmap.jp/t-nodahttps://researchmap.jp/30452436https://researchmap.jp/abcdabcdabcdライフサイエンス33研究の概要腫瘍血管(癌新生血管)は、癌細胞からの各種サイトカインに曝露されており、相対的に低酸素・低栄養で、構造的には不規則に拡張し、脆弱な血管壁を持つ。これらの腫瘍血管の異常機能・異常構造を正常化することで癌の増殖・転移を抑制する「腫瘍血管正常化」という概念が提唱された。今回の研究では、腫瘍血管に富む肝細胞癌を対象とし、癌から血管への作用解明と、腫瘍血管の特性からみた治療開発を行った。その結果、癌から血管へ作用する分子の特定に至り、また腫瘍血管における代謝機能を調整することで、血管の正常化と癌増殖抑制を誘導することが可能であった。肝細胞癌は腫瘍内多様性に富む癌と知られているが、腫瘍血管における代謝を治療標的にすることで、単一分子を対象とした効果的な治療に繋がる可能性がある。▍研究の意義と将来展望全ゲノム解析の技術の進歩に伴い、癌自身の特性を捉えた精密医療が提唱された一方で、共通の遺伝子変異は少なく、癌の変異はあまりにも多様で、それぞれの分子と標的とした治療薬開発はあまりにも効率が悪い。また、癌各部における多様性や、転移などに伴う進化系統には対応できていない。一方で、腫瘍血管は正常血管から癌が誘導し、もともとの正常血管が共通の性質を持つことから、「腫瘍血管正常化」に着目した治療開発は、より効果的であると考えている。腫瘍に誘導されたGeneticな変異を伴わない異常細胞をターゲットとした治療は、血管以外の間質、免疫細胞でも同様な検討が可能であり、よりシンプルで効果的な治療につながる可能性がある。Figure1Figure2特許論文Matsumoto,Kenichi;Noda,Takehiro;Kobayashi,Shogoetal.InhibitionofglycolyticactivatorPFKFB3suppressestumorgrowthandinducestumorvesselnormalizationinhepatocellularcarcinomaCancerLett.2021,500,p.29-40.doi:10.1016/j.canlet.2020.12.011Yokota,Yuki;Noda,Takehiro;Okumura,Yuichiro;Kobayashi,Shogoetal.SerumexosomalmiR-638isaprognosticmarkerofHCCviadownregulationofVE-cadherinandZO-1ofendothelialcellsCancerSci.2021,112(3),p.1275-1288.doi:10.1111/cas.14807参考URLキーワード肝癌、腫瘍血管、エクソソーム、マイクロRNA

ライフサイエンスライフサイエンス34医学系研究科放射線医学助教秦明典https://researchmap.jp/hataakinori医療・ヘルスケア、診断Deep-learningimagereconstructionを用いた胸部CTにおける縦隔条件の画質向上の検討研究の概要本研究ではCTの画像再構成法であるdeep-learningimagereconstruction(DLIR)について、胸部CTの縦隔の評価における画質を評価した。DLIRはDeeplearningの技術を用いてCTベンダーが開発した新しい再構成法である。評価は比較的新しい画像再構成法の一つである逐次近似法(ASiR-V)と比較して行った。DLIRはASiR-Vと比較して細かなノイズの質感を維持しながら、画質向上が得られた。ただし、今回用いたDLIRは軟部組織用として設計されており、小血管など高分解能が求められる領域では不向きであることが示唆された。▍研究の意義と将来展望新しい画像再構成法であるDLIRは、軟部組織条件の画像として画質向上が得られており、臨床上有用である可能性が示された。今後の展望として、具体的な疾患(食道癌、胸腺腫瘍など)について診断能を評価することが考えられる。さらに、extracellularvolume、ラジオミクスなどの解析への応用についても検証が必要である。また、CTでは放射線量を低減すると画質劣化が問題となるが、DLIRの画質改善効果を利用して線量低減の検証も検討している。特許論文Hata,Akinori;Yanagawa,Masahiro;YshidaYurikoetal.TheimagequalityofdeeplearningimagereconstructionofchestCTimagesonamediastinalwindowsetting.ClinRadiol.2021,76(2),155.e15-155.e23,doi:10.1016/j.crad.2020.10.011参考URLキーワードCT、画像再構成、Deeplearning

ライフサイエンス創薬、バイオマーカーがん微小環境に着目した肝がん進展機序の解明と臨床応用医学系研究科消化器内科学講師疋田隼人教授竹原徹郎https://researchmap.jp/hikitahayatohttps://researchmap.jp/takeharatetsuoライフサイエンス35研究の概要がん組織にはがん細胞だけでなく、免疫細胞・線維芽細胞・血管内皮細胞など様々な間質の細胞が存在します。これらの細胞は、がん細胞と相互作用することで、がんの進展に有利な環境を形成しており、このような環境をがん微小環境と呼びます。我々は、がん微小環境における肝がん進展分子機序の解明に取り組んでいます。これまで、肝がん微小環境において、GDF15(論文3)、IL-6ファミリーサイトカイン(論文1)、CTGF(論文1、4)が肝がん細胞と間質の細胞との相互作用に重要な分子であることを見出し、報告してきました。一方、将来の肝発がんリスクが高い患者と低い患者を層別化する新しいバイオマーカーの開発にも取り組んでいます。肝がん微小環境で発見したGDF15は、慢性肝疾患患者の血液中で上昇していることを見出しました。血液中のGDF15が高い患者は、C型肝炎ウイルスを除去しても肝がんに進展しやすいことを発見し、GDF15は肝発がんリスクを層別化する新しいバイオマーカーになることを報告しました(論文2)。▍研究の意義と将来展望肝がん患者に対して、がん微小環境を治療標的とした新たな治療法の開発が期待されます。慢性肝疾患患者に対して、肝発がん高リスク患者絞り込みの新規バイオマーカーの確立が期待され、効率的な肝がん早期発見スクリーニング法の確立が期待されます。図1:肝がん微小環境における肝星細胞の肝がん細胞との相互作用図2:星細胞のGDF15を抑制すると腫瘍増殖が抑制される特許特願2021-12187、特願2022-106996論文1)Makino,Yuki;Hikita,Hayato;Kato,Seiyaetal.STAT3isactivatedbyCTGF-mediatedtumor-stromacrosstalktopromoteHCCprogression.CellMolGastroenterolHepatol.2022,inpress,doi:10.1016/j.jcmgh.2022.09.0062)Myojin,Yuta;Hikita,Hayato;Tahata,Yukietal.Serumgrowthdifferentiationfactor15predictshepatocellularcarcinomaoccurrenceafterhepatitisCviruselimination.AlimentPharmacolTher.2022,55(4):422-433.doi:10.1111/apt.166913)Myojin,Yuta;Hikita,Hayato;Sugiyama,Masayaetal.HepaticStellateCellsinHepatocellularCarcinomaPromoteTumorGrowthViaGrowthDifferentiationFactor15Production.Gastroenterology.2021,160(5):1741-1754.e16.doi:10.1053/j.gastro.2020.12.0154)Makino,Yuki;Hikita,Hayato;Kodama,Takahiroetal.CTGFMediatesTumor-StromaInteractionsbetweenHepatomaCellsandHepaticStellateCellstoAccelerateHCCProgression.CancerRes.2018,78(17):4902-4914.doi:10.1158/0008-5472参考URLhttps://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2020/20201224_2キーワード肝がん、がん微小環境、慢性肝炎、GDF15、CTGF

ライフサイエンスライフサイエンス36薬学研究科量子生命情報薬学分野教授福澤薫https://researchmap.jp/kaori.fukuzawa研究の概要ウイルス感染症やがんの治療に役立つ抗体医薬品の設計のためには、抗原と抗体の相互作用を理解することが重要です。我々は、フラグメント分子軌道(FMO)法という日本発の量子化学計算手法の創薬応用を目指して、産学官連携の「FMO創薬コンソーシアム」を運営しており、抗体設計は重要テーマの1つです。FMO法では、タンパク質複合体の立体構造に基づいて、アミノ酸残基単位の定量的な相互作用エネルギーを評価し、重要残基を特定することで創薬への糸口を掴むことができます。例えば新型コロナウイルスに関して、スパイクタンパク質と抗体との複合体構造について、12種の抗体との相互作用解析を行ったところ、実験的な活性値(IC50)と良好な相関が得られるとともに、抗体認識部位としてエピトープになり得る9残基の特定に成功しました(図1)。です。従来型の低分子創薬のみならず、核酸医薬品や脂質ナノ粒子の設計にも有効な論理的・効率的な分子設計の新領域を切り拓いています。図1.スパイクタンパク質と抗体の相互作用創薬、生命科学、抗体設計、データベース量子化学計算による抗体認識メカニズムの解明▍研究の意義と将来展望現在では、創薬開発に要する膨大な費用と時間を短縮するために、計算科学やAIが随所に活用され始めています。我々の研究は、量子論に基づく精密計算によって疾患に関係する抗体の分子認識メカニズムを解明し、改変抗体の効率的な設計に役立つことが期待されます。また同一の手法をさまざまな創薬モダリティに展開可能であることも大きな特徴図2.FMOデータベース(FMODB)のトップページ(左)と登録構造数の推移(右)特論許文参考URLキーワードWatanabe,Kazuki;Watanabe,Chiduru;Honma,Terukietal.IntermolecularInteractionAnalysesonSARS-CoV-2SpikeProteinReceptorBindingDomainandHumanAngiotensin-ConvertingEnzyme2Receptor-BlockingAntibody/PeptideUsingFragmentMolecularOrbitalCalculation.J.Phys.Chem.Lett.,2021,12,4059–4066.doi:10.1021/acs.jpclett.1c00663Fukuzawa,Kaori;Kato,Koichiro;Watanabe,Chiduruetal.SpecialFeatureofCOVID-19inFMODB:FragmentMolecularOrbitalCalculationsandInteractionEnergyAnalysisofSARS-CoV-2RelatedProteins.J.Chem.Info.Model.2021,61,4594-4612.doi:10.1021/acs.jcim.1c00694Fukuzawa,Kaori;Tanaka,Shigenori.FragmentMolecularOrbitalCalculationsforBiomolecules.Curr.Opin.Struct.Biol,2022,72,127-134.doi:10.1016/j.sbi.2021.08.010https://fmodd.jp/https://drugdesign.riken.jp/FMODB/インシリコ創薬、抗体設計、計算構造生命科学、フラグメント分子軌道(FMO)法、スーパーコンピュータ「富岳」

ライフサイエンス医療、創薬膜蛋白質の化学合成と細胞膜貫入機構解明への応用蛋白質研究所教授北條裕信https://researchmap.jp/read0014254研究の概要細胞膜上には種々の膜蛋白質が存在し、細胞内外での情報や物質のやり取りをしています。多くは創薬ターゲットとして期待されており、それらの迅速な機能解明が待ち望まれます。しかし、膜蛋白質は極めて疎水性が高く、組換えDNA法でも調製は容易ではありません。また、糖鎖等の翻訳後修飾を持つことが多く、構造が不均一となり、解析に必要な高純度試料を得ることが困難です。我々は蛋白質の化学合成を行っています。化学合成法では、糖鎖やリン酸化等の種々な翻訳後修飾を任意の場所に導入可能であり、それらの機能を正確に解析することができます。本研究では、カベオラと呼ばれる細胞膜上のくぼみを起点として細胞内へ物質が取り込まれる、カベオラエンドサイトーシスの機構を解明するため、カベオラを構成する膜蛋白質、カベオリンを化学合成する方法を確立しました。その結果、合成カベオリンも天然物同様の立体構造を持つことが証明されました。して膜に埋め込む手法により、膜蛋白質であるカベオリンの化学合成に成功しました。この方法は、他の膜蛋白質の合成にも応用可能であるため、今後、膜蛋白質の機能解明に大きく貢献できると考えています。図1カベオラの構造.カベオリンの多量体がカベオラの形成に重要ライフサイエンス37▍研究の意義と将来展望膜蛋白質は、疎水性が高いため、化学合成も困難です。本研究では、合成途上はペプチド鎖の溶解性を向上させる官能基(可溶化タグ)を付加しておき、最終段階で可溶化タグを除去図2表すカベオリンの化学合成.Ⓟはリン酸化部位を特許論文Hojo,Hironobu;Takei,Toshiki;Asahina,Yuyaetal.TotalSynthesisandStructuralCharacterizationofCaveolin-1Angew.Chem.Int.Ed.2021,60,p.13900–13905,doi:10.1002/anie.202100826Asahina,Yuya;Komiya,Shinobu;Ohagi,Amietal.ChemicalSynthesisofO-GlycosylatedHumanInterleukin-2bytheReversePolarityProtectionStrategyAngew.Chem.Int.Ed.2015,54,p.8226–8230,doi:10.1002/anie.201501847参考URLキーワードカベオリン、膜蛋白質、化学合成、可溶化タグ、翻訳後修飾

ライフサイエンスライフサイエンス38医学系研究科血液・腫瘍内科学教授保仙直毅https://researchmap.jp/hnaoki研究の概要我々は、広汎に発現する蛋白質であるCD98hcを認識するにもかかわらず、多発性骨髄腫(以下、“骨髄腫”と言う)に特異的な結合を示す抗体を新たに単離し、それを用いた治療の可能性を示しました。骨髄腫は代表的な血液がんの一つで、治療の進歩には著しいものがあります。中でも抗体医薬は現在骨髄腫治療の要となっており、さらに最近ではCAR-T細胞など抗体を応用した様々な治療の開発が極めて盛んです。しかしながら、未だに骨髄腫の治癒は困難であり、更なる標的抗原の同定が望まれています。本研究グループは、自作した10,000クローン以上の抗骨髄腫モノクロ―ナル抗体の中から、広汎に発現する蛋白質であるCD98hcを認識するにもかかわらず、多発性骨髄腫に発現するCD98hcのみに結合する抗体R8H283を同定し、それを用いた骨髄腫特異的な抗体療法が可能であることを明らかにしました。さらに、骨髄腫細胞と正常血液細胞に発現するCD98hcの糖鎖修飾の違いがその骨髄腫特異性の原因である可能性を示唆しました。療あるいはそれを応用したCAR-T細胞治療などへ用いることが可能であることをしめしています。医療・ヘルスケア、創薬蛋白質の翻訳後変化により形成されるがん特異的抗原を標的としたCART細胞療法の開発▍研究の意義と将来展望これらの結果は、CD98hc中に存在する多発性骨髄腫特異的抗原構造を認識するR8H283を、骨髄腫に対する新たな抗体治特論許文Hasegawa,Kana;Ikeda,Shunya;Yaga,Motoetal.SelectivetargetingofmultiplemyelomacellswithamonoclonalantibodyrecognizingtheubiquitousproteinCD98heavychain.SciTranslMed14:eaax7706,2022.doi:10.1126/scitranslmed.aax7706Hosen,Naoki;Matsunaga,Yukiko;Hasegawa,Kanaetal.Theactivatedconformationofintegrinbeta7isanovelmultiplemyeloma-specifictargetforCARTcelltherapy.NatMed23:1436-1443,2017.doi:10.1038/nm.4431参考URLhttps://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/bldon/http://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/en/laboratory/naoki_hosen/キーワードがん、多発性骨髄腫、CAR-T細胞

ライフサイエンス医療・ヘルスケア、創薬開口型血液脳関門ネットワークモデルの開発工学研究科応用化学専攻教授松崎典弥https://researchmap.jp/read0093431ライフサイエンス39研究の概要我々は、底面開口型血液脳関門(BBB)チューブネットワークをマイクロウェルに作製した。本BBBモデルは分子量に依存して物質の透過を制御でき、受容体介在細胞輸送が評価可能な新しいヒトBBBモデルとして期待される。▍研究の意義と将来展望我々は、これまで報告してきた開口型毛細血管チューブネットワークの作製方法を改良することで、底面開口型血液脳関門(BBB)チューブネットワークを24ウェルインサート内部に作製した。インサート下部の培地に蛍光標識デキストランを添加すると、入り口から内部のネットワークに拡散する様子が共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)観察より確認された。また、低分子量体(4.4kDa)のデキストランを用いると一部透過する様子が観察されたが、高分子量体(500kDa)のデキストランではそのような漏れは観察されなかった。つまり、分子量に依存して物質の透過を制御できることが明らかになった。本開口型BBBチューブネットワークは、RMTを評価可能な新しいヒトBBBモデルとして期待される。特許特願2019-061326,PCT/JP2020/013477論文Piantino,Marie;Kang,Dong-Hee;Furihata,Tomomietal.Developmentofathree-dimensionalblood-brainbarriernetworkwithopeningcapillarystructuresfordrugtransportassays,Mater.TodayBio15,100324(2022).doi:10.1016/j.mtbio.2022.100324参考URLキーワード血液脳関門モデル、受容体介在性細胞輸送、組織工学、ニューモダリティ

ライフサイエンスライフサイエンス40医療・ヘルスケア、創薬合成糖鎖を用いたグリココードの解読理学研究科化学専攻助教真鍋良幸教授深瀬浩一https://researchmap.jp/researchmap_manabehttps://researchmap.jp/read0076573研究の概要糖鎖は、核酸、タンパク質に続く第3の生命鎖と呼ばれ、多くの生命現象に関与する。特に、糖鎖は細胞を覆うように存在することから、外界とのファーストコンタクトの場を提供し、感染症、免疫応答、細胞間コミュニケーションなど、自己・非自己の認識に重要である。しかし、糖鎖は、非鋳型的に数百の酵素を介して生合成されるため、多様かつ不均一性な構造を持ち、分子レベルでの機能解析・制御はほとんど進んでおらず、医薬等への応用も限られている。そこで我々の研究グループは、合成生物学的アプローチで、細胞表層の糖鎖情報(グリココード)を読み解き、利用する研究を進めている(図1)。特に、代グリカンを対象とし、その実践的な合成法を確立し(図2)、合成N-グリカンを用いた分子レベルでの機能解析に着手している。▍研究の意義と将来展望糖鎖は、多くの疾病と深くかかわっている。例えば、多くの疾患は恒常性の乱れが原因となっており、糖鎖はその維持に重要な役割を果たす。そのため、糖鎖は、診断のバイオマーカーとして汎用されている。グリココードの分子レベルでの理解が進めば、がんや免疫疾患、神経疾患などの疾患における恒常性の乱れを正常な状態へと戻すアプローチが可能になる。このように糖鎖に着目することで、新たな概念に基づく革新的な医薬品開発につながると期待している。図1図2特許論文Shirakawa,A;Manabe,Y;Fukase,Ketal.ChemicalSynthesisofSialylN-GlycansandAnalysisofTheirRecognitionbyNeuraminidase.Angew.Chem.Int.Ed.2021,60,24686-24693,doi:10.1002/anie.202111035参考URLキーワードグリココード、糖鎖合成、糖鎖、N-グリカン、免疫

ライフサイエンス医療・ヘルスケア、創薬細菌べん毛蛋白質輸送装置が膜電位依存的に活性化されるしくみの解明生命機能研究科准教授南野徹https://researchmap.jp/tohru_minamino研究の概要急性胃腸炎を引き起こす病原細菌であるサルモネラ菌はべん毛と呼ばれる運動器官を使って人体の腸管上皮細胞まで移動し、III型分泌装置と呼ばれる注射器にそっくりな毒針を使って腸管上皮細胞から感染します。毒針の根元に存在する分泌装置はべん毛を作るために必要なタンパク質輸送装置と機能的にも構造的にもそっくりです。私たちはIII型分泌装置のモデルとしてべん毛タンパク質輸送装置の研究を進めてきました。べん毛輸送装置が細胞膜内外に形成される膜電位を利用してべん毛構成タンパク質を細胞外へ輸送することは知られていましたが、そのメカニズムは未解明のままでした。そこで本研究では、5種類の膜タンパク質からなる輸送ゲート複合体の膜電位依存性を解析した結果、輸送ゲート複合体には膜電位センサーが搭載されており、膜電位がある閾値を超えると自律的に活性化されるしくみを発見しました。▍研究の意義と将来展望長い間謎であったべん毛タンパク質輸送における膜電位の使われ方を明らかにするとともに、世界で初めて、イオンチャネル以外にも膜電位依存的に動作するタンパク質のしくみとして、タンパク質輸送ゲートを開閉できるしくみを発見しました。これらの発見により、べん毛タンパク質輸送装置と機能的にも構造的にも同じしくみを持つ病原細菌のIII型分泌装置を、直接ターゲットにした感染症治療のための創薬スクリーニングが可能になると期待されます。図1:サルモネラ菌の電子顕微鏡写真とべん毛の根元に存在するIII型タンパク質輸送装置の模式図図2:FliIATPaseが働くことができないサルモネラ菌変異株のべん毛形成能ライフサイエンス41特論許文Minamino,Tohru;Morimoto,Yusuke;Kinoshita,Mikietal.Membranevoltagedependentactivationmechanismofthebacterialflagellarproteinexportapparatus.ProceedingsoftheNationalAcademyofSciencesoftheUnitedStatesofAmerica.2021,118(22),e2026587118,doi:10.1073/pnas.2026587118参考URLhttps://www.fbs.osaka-u.ac.jp/ja/research_results/papers/detail/1022キーワード細菌べん毛、III型分泌装置、膜電位、細菌感染症

ライフサイエンスライフサイエンス42医療、再生医療下肢閉塞性動脈硬化症に対する細胞再生治療の有効性改善のための新規投与手法の開発医学系研究科心臓血管外科学特任助教三宅啓介教授宮川繁https://researchmap.jp/k-miyakehttps://researchmap.jp/s-miyagawa3154研究の概要閉塞性動脈硬化症は、虚血の進行・慢性炎症に伴う下肢の痛み、潰瘍・壊疽形成、最終的には下肢切断に繋がる深刻な疾患であり、患者数は世界中で増加傾向にある。標準治療は血行再建であるが、近年、標準治療では治療困難な症例が増加しており、新たな治療法が求められており、細胞治療・遺伝子治療といった再生医療にその役割が求められてきた。一方で、高度の虚血・炎症性疾患においては、虚血筋肉内に投与した物質が速やかに消失してしまうことにより再生治療効果が得られず、これまでの様々な再生治療はいずれも十分な治療効果を示すことができず、現行の治療ガイドラインにおいて再生治療は非推奨の治療となっている。本研究では、投与する細胞同士を細胞外マトリックスで連結する手法を開発することで、細胞を集塊を形成した状態で筋肉内へ投与することが可能となった。細胞集塊は虚血炎症環境においても優れた生着率を示すことにより、組織修復効果を示すことに成功した。治療が十分に効果を示すことができていない、様々な炎症性疾患・虚血性疾患に対しても、本手法を用いることにより再生治療は効果をもたらしうる可能性が考えられる。▍研究の意義と将来展望本研究により、細胞を細胞外マトリックスを含んだ集塊として投与する手法は、細胞の生着率を改善し細胞治療のポテンシャルを発揮することで、炎症を制御し組織修復を促進しうることが明らかとなった。現状細胞再生特許特許JP2019-203477、WO2021090945A1論文Miyake,Keisuke;Miyagawa,Shigeru;Sawa,Yoshikietal.Engineeredclusteredmyoblastcellinjectionaugmentsangiogenesisandmuscleregenerationinperipheralarterydisease.MolTher.2022,30(3),p.1239-1251,doi:10.1016/j.ymthe.2022.01.008参考URLキーワード細胞治療、末梢動脈疾患、血管新生、慢性炎症

ライフサイエンス医療・ヘルスケア、創薬大腸がんにおけるSTAG3遺伝子の働きと化学療法耐性に関わるメカニズムの解明医学系研究科消化器外科学助教三吉範克教授江口英利https://researchmap.jp/norhttps://researchmap.jp/abcdabcdabcdライフサイエンス43研究の概要大腸がんの化学療法として様々な抗がん剤の開発が進められてきていますが、治療が奏功する症例もあれば抵抗性を示し増悪を認める症例もあります。本研究では染色体分裂に関連するSTAG3という遺伝子の働きに着目し、がんの部分での遺伝子発現の程度や核酸やタンパク量を評価しました。大腸がんに対して外科切除を行った172例を対象として、STAG3遺伝子を調べたところ、この遺伝子の発現が高い大腸がんでは術後の再発率が高く、全生存率が低いという結果が示されました。またSTAG3遺伝子の発現の程度は大腸がんの血清腫瘍マーカーの数値や病理組織学的進行度と比較しても、独立した予後不良因子であるということが示されました。さらに大腸がん細胞株を用いてこの遺伝子の発現を抑制すると、がん細胞の移動能が抑制され、抗がん剤の添加により細胞死が有意に誘導されたことから、大腸がんに対する化学療法の感受性が高まるということが示されました。この遺伝子の働きについて分子メカニズムの解析を行ったところ、MEK/ERKシグナルパスウェイに関わることが示唆されました。らかとなりました。この遺伝子が働くメカニズムは既存の分子標的治療薬のパスウェイに関連することから、従来の治療に抵抗性を示すような大腸がんについて新たな治療ターゲットとなることが期待されます。▍研究の意義と将来展望本研究成果から、大腸がんの化学療法の治療抵抗性に関わるSTGA3遺伝子の働きが明特許論文Sasaki,Masaru;Miyoshi,Norikatsu;Fujino,Shikietal.Themeiosis-specificcomponentstromalantigen3promotescellmigrationandchemotherapeuticresistanceincolorectalcancer.CancerLetters.2021,28;497:112-122.doi:10.1016/j.canlet.2020.10.006参考URLキーワード大腸がん、STAG3、化学療法、再発、予後

ライフサイエンスライフサイエンス44医学系研究科がんゲノム情報学教授谷内田真一https://researchmap.jp/read0210591研究の概要神経内分泌がんは増殖速度が速く悪性度の高いがんで希少かつ難治がんである。さらに、診断時には手術適応となることが極めて少ないため、研究試料の入手が難しく、これまでそのゲノム異常はほとんど未解明であった。神経内分泌がんは臓器横断的に発生するが、本研究では特に発症頻度の高い消化器の神経内分泌がんを研究対象とし、日米欧のサンプルを用いて全ゲノム解析等の最先端の解析を行い、消化器神経内分泌がんの発症メカニズムを解明した。消化器神経内分泌がんの大きな特徴として、神経内分泌系への分化をつかさどる転写因子であるSOX2やASCL1が高発現していた。さらに、消化器神経内分泌がんにおけるこれらの転写因子の過剰発現は、各遺伝子のプロモーター領域のメチル化に起因していることを明らかにした。一般的にはプロモーター領域の脱メチル化により遺伝子の発現が増加することが知られているが、それとは逆の機構であることを解明した。膵臓由来の消化器神経内分泌がんと胃や大腸などの非膵臓消化器由来の消化器神経内分泌がんの病理組織像は類似しているが、本研究の解析からゲノム異常は類似している点と異なる点があることが明らかとなった。加えて新たに、膵臓由来の神経内分泌がんはそのゲノム異常の違いから「Ductal-type(腺管型)」と「Acinar-type(腺房型)」に分類できることを発見した。これは膵臓の神経内分泌がんの起源となる細胞には複数のものが存在する可能性を示唆している。さらに消化管の神経内分泌がんの発がん要因の一つに、ウイルス感染が関係していることが明らかとなった。▍研究の意義と将来展望本研究成果により、希少かつ難治がんである消化器神経内分泌がんの発症・進展メカニズムが全ゲノムレベルで明らかとなった。神経内分泌がんは同じ臓器由来の通常型のがん(腺癌や扁平上皮癌)とは異なるゲノム異常を有し、既存の分子標的薬等の薬剤ターゲットとなる遺伝子異常が少なく、現状では難治性のがんであることも明らかとなった。しかし、複雑で多様な病態を詳細に解析し、発癌メカニズムに基づいて新たなサブグループを定義づけることで、開発中の分子標的薬のドラッグ・リポジショニングや新規創薬が期待される。医療、創薬全ゲノム解析による消化器神経内分泌がんの病態解明特許論文Yachida,Shinichi;Totoki,Yasushi;Noë,Michaëletal.Comprehensivegenomicprofilingofneuroendocrinecarcinomasofthegastrointestinalsystem.CancerDiscovery.2022,12(3),p.692-711,doi:10.1158/2159-8290.CD-21-0669参考URLhttps://www.med.osaka-u.ac.jp/activities/results/2021year/yachida2021-12-9キーワード難治がん、希少がん、全ゲノム解析

情報通信OSAKAUNIVERSITYRESEARCHPROFILES45

情報通信情報通信46研究の概要大きな自然災害の発生直後には、無線基地局を始めとする通信インフラが利用不可能となることが懸念されます。このような状況下においてもInternetofThings(IoT)に基づくモニタリングシステムの動作を継続させることで、迅速な情報収集や安全性の確保に寄与することが期待されます。通信インフラに依存せずに遠隔通信を実現する手法として、従来からDelay/Disruption/DisconnectionTolerantNetworking(DTN)技術が研究されてきましたが、これらの研究はモニタリングシステムへの利用を想定したものではなく、特に、センシングデータの送信頻度などの肝心な設計項目に関する検討はこれまでなされていませんでした。今回の研究では、DTN技術をモニタリングシステムに応用する際に重要となる「情報鮮度」の観点からシステムを数理的に解析する手法を確立しました。ました。今回の研究を足がかりにして、非常時におけるIoTシステムの継続性に関する研究が今後一層進められることが期待されます。DTNモニタリングシステム災害時ネットワーキング、IoT情報鮮度を考慮した粗密度モバイルアドホック網の設計法工学研究科電気電子情報通信工学専攻助教井上文彰https://researchmap.jp/q_yoshiaki/▍研究の意義と将来展望現在、世界的にもIoTを活用した都市機能の拡充に関する研究が多様な観点からなされていますが、自然災害の発生直後などの非常時における継続性については十分に注目されていませんでした。また、非常時における通信手法としてDTN技術が古くから研究されてきましたが、IoTの主要なアプリケーションであるモニタリングへの利用は検討されておらず、ほとんど手つかずの領域になってい情報取得(サンプリング)方式特許論文参考URLキーワードInoue,Yoshiaki;Kimura,Tomotaka.Age-EffectiveInformationUpdatingoverIntermittentlyConnectedMANETs,IEEEJournalonSelectedAreasinCommunications.2021,39(5),p.1293-1308.doi:10.1109/JSAC.2021.3065031災害時ネットワーキング、IoT、Delay/Disruption/DisconnectionTolerantNetworking(DTN)、情報鮮度

高速かつ正確に関係性を理解するためのグラフ分析技術情報科学研究科マルチメディア工学専攻助教佐々木勇和情報通信ソーシャルネットワーク分析、物質探索、都市計画https://researchmap.jp/sasakiyuya研究の概要グラフはモノの状態とそれらの関係性を表現するデータ構造です(棒グラフや円グラフのような図ではありません)。人間関係や、購買履歴、分子、道路網、知識(図1)などがグラフで表現可能であり、様々な分野で活用されています。例えば、新たな触媒探索のような物質開発やウェブショッピングにおける商品推薦などが実用的に使われています。私は大規模かつ多様なグラフデータに対して、(1)効率的な管理と高速な検索を可能にするデータベース技術、(2)新たな知見を発見するデータマイニング技術、(3)正確な予測を行う深層学習技術を研究しています(図2)。▍研究の意義と将来展望ビッグデータ時代と呼ばれるように大規模かつ多様なデータを効率的に取り扱う技術の重要性が益々増しています。人間関係や、人と職、人が所有する物、Webのアクセス、国家間の協定など、我々の生活には様々な関係性が密接しており、関係性のグラフデータ化が進んでいます。これらのデータ化された関係性からモノの状態を予測すること、モノ同士の状態から関係性を予測すること、およびそれらを管理し、そこから新たな知見を発見することは世の中の理解と発展に必要です。大規模グラフの分析と管理を簡単に使えるプラットフォームを開発し、過去/現在/未来における大規模かつ多種多様な関係性を高速かつ高精度に分析できる技術の開発を進め、より快適かつ幸せな世界の実現に貢献していきます。図1グラフデータの応用例図2グラフ分析の例情報通信47特許論文Maekawa,Seiji;Noda,Koki;Sasaki,Yuyaetal.BeyondReal-worldBenchmarkDatasets:AnEmpiricalStudyofNodeClassificationwithGNNs.ConferenceonNeuralInformationProcessingSystems(NeurIPS),Nov.2022.doi:10.48550/arXiv.2206.09144SasakiYuya.Cost-constrainedMinimalSteinerTreeEnumeration.ProceedingsofInternationalConferenceonInformationandKnowledgeManagement(CIKM),pp.4439-4443,Oct.2022.doi:10.1145/3511808.3557570SasakiYuya,GeorgeFletcher,andOnizukaMakoto.Language-awareIndexingforConjunctivePathQueries.ProceedingsofInternationalConferenceonDataEngineering(ICDE),pp.661-673,May2022.doi:10.1109/ICDE53745.2022.00054参考URLキーワードグラフニューラルネットワーク、ビッグデータ、データマイニング、データベース

情報通信情報通信48研究の概要画像から物体の3次元形状を推定する技術はコンピュータビジョンの分野において古くから研究されてきました。とくに高精細な3次元形状推定技術は、文化財を電子データとして保存するデジタルアーカイブや、実世界を仮想空間に再現することを目指すバーチャルリアリティなどのアプリケーションに有用であり、近年とくに注目されています。本研究が注目する照度差ステレオ法は、同一視点から光源環境を変化させながら撮影した複数枚の画像を入力として、物体表面で観測される陰影情報を用いて形状を推定する技術であり、とくに高精細な形状を推定することを得意とします。本研究では、複雑な反射特性を持つ材質の物体を扱うことができない、という既存手法の弱点を、深層学習に基づくデータ駆動型のアプローチによって解決する手法を世界で初めて提案しました。結果として、金属や陶器など様々な材質の物体に対して、高精細な形状を高精度に推定可能な技術を実現しました。元復元手法を実現し、様々な実アプリケーションへの応用を可能としました。将来的に、誰でも手軽に実世界の物体を3次元データ化し活用できる社会を実現するために、撮影システムの簡素化と推定アルゴリズムのさらなる高精度化に取り組んでまいりたいと思います。図1:照度差ステレオ法の概要デジタルアーカイブ、バーチャルリアリティ、メタバース深層照度差ステレオによる高精細な3次元形状復元情報科学研究科マルチメディア工学専攻https://researchmap.jp/h_santo助教山藤浩明教授松下康之https://researchmap.jp/yasumat▍研究の意義と将来展望本研究では、深層学習に基づくデータ駆動型の新たなアプローチによって、実世界の様々な材質の物体に対して高精度に推定可能な3次図2:データ駆動型の深層照度差ステレオ法(提案)の概要特論許文Santo,Hiroaki;Samejima,Masaki;Sugano,Yusukeetal.DeepPhotometricStereoNetwork,IEEEInternationalConferenceonComputerVisionWorkshop,2017,doi:10.1109/ICCVW.2017.66Santo,Hiroaki;Samejima,Masaki;Sugano,Yusukeetal.DeepPhotometricStereoNetworksforDeterminingSurfaceNormalandReflectances,IEEETransactionsonPatternAnalysisandMachineIntelligence(TPAMI),2020,Vol.44,No.1,pp.114-128,doi:10.1109/TPAMI.2020.3005219Santo,Hiroaki;Michael,Waechter;Matsushita,Yasuyuki.Deepnear-lightphotometricstereoforspatiallyvaryingreflectances,EuropeanConferenceonComputerVision(ECCV),2020,doi:10.1007/978-3-030-58598-3_9Minami,Kazuma;Santo,Hiroaki;Okura,Fumioetal.Symmetric-lightPhotometricStereo,IEEE/CVFWinterConferenceonApplicationsofComputerVision(WACV),2022,doi:10.1109/WACV51458.2022.00039http://cvl.ist.osaka-u.ac.jp参考URLhttps://github.com/hiroaki-santo/deep-photometric-stereo-networkhttps://github.com/hiroaki-santo/deep-near-light-photometric-stereoキーワードコンピュータビジョン、物理ベースビジョン、コンピュテーショナルフォトグラフィ、3次元復元、照度差ステレオ

6Gの未来を切り拓くテラヘルツシリコンフォトニクス基礎工学研究科電子光科学領域准教授冨士田誠之情報通信情報通信技術、スマートデバイス、センシングhttps://researchmap.jp/fujitamasayuki研究の概要電子デバイスの動作極限領域である100ギガヘルツを超えるテラヘルツ帯の周波数を有する電磁波、テラヘルツ波の利活用が次世代とその未来に向けて、国内外で大いに注目を集めています。しかしながら、金属配線を用いた電子回路の損失は周波数が高いほど増大し、動作が困難になります。本研究では半導体材料シリコンを誘電体として着目し、金属を用いないテラヘルツ回路の実現を目指すテラヘルツシリコンフォトニクスを提案し、これまでに300ギガヘルツ帯送受信器の集積化と1テラヘルツ帯伝送路の開発などに成功しています。▍研究の意義と将来展望今後、送受信デバイスの動作周波数の向上、集積デバイス数の増加、ビームステアリング機能の開発、CMOSトランジスタや光電変換機能の融合などを進め、高度なテラヘルツ集積回路を実現することで、100ギガビット毎秒を超える超大容量無線通信とミリメートル以下の高分解能センシング機能とが高度に融合するような6Gとその未来の情報通信システムにつながります。その結果、経済発展と社会課題の解決の両立を目指す仮想空間と現実空間とを高度に融合させたサイバーフィジカルシステムの実現において鍵となる高度な情報通信技術が、携帯端末やドローン、自動運転、ロボット、遠隔医療、航空宇宙応用など、様々なシーンにおいて実装されることが期待されます。テラヘルツシリコンフォトニクス技術を用いたテラヘルツ回路の例。シリコン合分波回路に300ギガヘルツ帯送受信器が集積化される。情報通信49特許特願2020-128220論文Yu,Xiongbin;Headland,Daniel;Nishida,Yosukeetal.Hybridintegrationbetweenresonanttunnelingdiodesanduncladmicrophotonicdiplexerfordual-channelcoherentterahertzreceiver.IEEEJournalofSelectedTopicsinQuantumElectronics.2022,28(3),8500210,doi:10.1109/JSTQE.2021.3130813Koala,Ratmalgre;Maru,Ryoma;Iyoda,Keietal.Ultra-low-lossandbroadbandallsilicondielectricwaveguidesforWR-1Band(0.75–1.1THz)modules.Photonics.2022,9(8),515,doi:10.3390/photonics9080515参考URLhttps://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20210429_2キーワード6G、通信、テラヘルツ、シリコン、フォトニクス


ナノテクノロジー・材料OSAKAUNIVERSITYRESEARCHPROFILES51

スマートデバイス、クリーンエネルギー高圧合成法による革新的機能性量子物質の開発基礎工学研究科物質創成専攻教授石渡晋太郎https://researchmap.jp/ishiwataノテクノロジー・材料52ナノテクノロジー・材料ナ研究の概要我々は、数万気圧以上の超高圧や強酸化雰囲気といった極限環境下で、高温超伝導体、スピントロニクス材料、熱電変換材料などの機能性量子物質の開発を進めています。現在注目している物質群の一つが、トポロジカル半金属と呼ばれる系で、超高移動度の伝導電子を内包するため、既存の半導体材料を凌駕する高速・省エネ電子材料となることが期待されています。このようなトポロジカル半金属としての性質を有する磁性体を発見することができれば、新規スピントロニクス材料の開発へ繋がる可能性がありますが、そのような研究例は非常に限られていました。最近我々は、磁石としての性質を附与した新しいタイプのトポロジカル半金属α-EuP3の高圧合成および単結晶育成に成功しました。さらに磁場下における様々な物性測定と第一原理計算を行うことで、この物質が結晶構造が有する鏡映対称面に対する磁場方位に依存して、異なる性質を示す複数のトポロジカル半金属相を生じる系であることを明らかにしました。▍研究の意義と将来展望本研究は、磁場による非自明なバンドトポロジーの生成と操作のための現実的な解決策を提案するものであり、超省エネ・高速電子デバイスなどの新たな情報技術への応用につながる材料の開発が加速するものと期待されます。今後は第一原理計算とインフォマティクスを積極的に活用することで、高圧合成法を用いた機能性量子物質の戦略的開発を目指します。磁性リン化合物α-EuP3の結晶構造(左上)と単結晶(右上)。磁場によるトポロジカル量子相の選択的生成(下)。マルチアンビル型高圧発生装置特許論文AlexHiroMayo;Takahashi,Hidefumi;MohammadSaeedBahramyetal.MagneticGenerationandSwitchingofTopologicalQuantumPhasesinaTrivialSemimetalα−EuP3.Phys.Rev.X,2022,12,011033,doi:10.1103/PhysRevX.12.011033参考URLキーワードトポロジカル半金属、高圧合成、スピントロニクス

ナノテクノロジー・材料スマートデバイス、医療・ヘルスケア光化学反応と光圧による新規メゾスコピック光応答の実現基礎工学研究科物質創成専攻准教授伊都将司教授宮坂博https://researchmap.jp/itosyoji49https://researchmap.jp/read0076304研究の概要レーザーの特徴(単色性、高いコヒーレンス、高い尖頭出力、超短時間パルス)を活かし、光化学反応と光圧を用いた新規メゾスコピック光応答の探索、その機構解明と新規光応答系の開拓を目的とした研究を行っている。一例としては、光圧(光トラッピング)による光重合の微小空間制御と極微3D造形技術への展開、光異性化(フォトクロミック)反応による光圧制御に基づく微小機械運動系の実現、さらに光共鳴の結果生ずる強い光圧を駆使したプラズモニックナノ粒子の選択的微小空間パターン形成などがあげられる。▍研究の意義と将来展望物質科学の大きな目的は、機能性新物質の創出と機構解明であろう。近年、マテリアルインフォマティクスやAIの進歩により、目的とする物性や機能を備えた材料の予測・作製が短時間で達成可能となりつつあり、機能物質開発にパラダイムシフトが起ころうとしている。今後は従来の知見からは予測できない新規物性の発見・発現が物質科学において重要になると考えられる。このような背景の下で非線形光化学反応、ナノプロセッシング、極微光メカノデバイスなどへの展開を視野に、分子の光反応過程の解明を基本に、新規メゾスコピック光応答の探索を進めている。図1図2ナノテクノロジー・材料53特論許文Ito,Syoji;Tanaka,Yoshito;Miyasaka,Hiroshietal.ConfinementofPhotopolymerizationandSolidificationwithRadiationPressureJ.Am.Chem.Soc.2011,133(37),p.14472–14475,doi:10.1021/ja200737jIto,Syoji;Setoura,Kenji;Miyasaka,Hiroshietal.MesoscopicMotionofOpticallyTrappedParticleSynchronizedwithPhotochromicReactionsofDiaryletheneDerivativesJ.Phys.Chem.Lett.2018,9(10),p.2659–2664,doi:10.1021/acs.jpclett.8b00890参考URLhttp://www.chem.es.osaka-u.ac.jp/laser/キーワードナノテクノロジー、光化学、微小オプトメカノデバイス、ナノプロセッシング

ディスプレイ、照明、バイオイメージングコロイド量子ドットの開発と機能化工学研究科応用化学専攻講師上松太郎https://researchmap.jp/t-uematsu研究の概要ノテクノロジー・材料54ナノテクノロジー・材料ナ数ナノメートルの半導体微粒子である「量子ドット」は、化学的手法によって得られ、色純度の高い発光を特徴とするコロイド状の蛍光体である。粒径と組成の両方によって半導体のエネルギー構造が変化し、発光色を自在に変化させることが可能であり、様々な光デバイスの高性能化を支援する新材料として大きな注目を集めている。我々は量子ドットの周囲環境を整えることによる機能化や、環境適合性の高い新たな量子ドット開発を通じ、コロイド量子ドットのデバイス化を目標とした研究を続けている。▍研究の意義と将来展望コロイドとして得られた量子ドットを様々なマトリクスに包埋し、光や電子のやりとりを可能にする手法の開発は、高性能な量子ドットデバイスの実現に欠かせない要素技術であると考えられる。とりわけ、有機ELと同様の素子構造中に量子ドットを組み込んだ量子ドットELや、量子ドットを利用した波長自由度の高いレーザーの開発が進められる中、精密に化学合成された量子ドットの性質を損なうことなくこれらのデバイスに活用するための新しいアイデアが強く求められている。硫化銀インジウム量子ドットを硫化ガリウムシェルで被覆することにより、表面欠陥を除去してスペクトル幅の狭いバンド端発光を得ることに世界で初めて成功量子ドット表面からMOFを成長させることで、MOF結晶中心部に量子ドットを内包する複合体の作成に成功。赤色発光量子ドットを青色発光するMOFで被覆することによりエネルギー移動を起こし、量子ドットの発光を倍増特許特願2017-037487、特開2018-044142、特許第6464215号論文Kumagai,Kohei;Uematsu,Taro;Kuwabata,Susumuetal.PhotoluminescenceEnhancementbyLightHarvestingofMetal–OrganicFrameworksSurroundingSemiconductorQuantumDots,Chem.Mater.,2021,33(5),1607–1617.doi:10.1021/acs.chemmater.0c03367WatcharapornHoisang,Uematsu,Taro;Kuwabata,Susumuetal.LuminescentQuaternaryAg(InxGa1−x)S2/GaSyCore/ShellQuantumDotsPreparedUsingDithiocarbamateCompoundsandPhotoluminescenceRecoveryviaPostTreatment,InorgChem,2021,60,13101–13109.doi:10.1021/acs.inorgchem.1c01513Uematsu,Taro;Wajima,Kazutaka;Kuwabata,Susumuetal.NarrowBand-EdgePhotoluminescencefromAgInS2SemiconductorNanoparticlesbytheFormationofAmorphousIII-VISemiconductorShells,NPGAsiaMaterials,2018,10,713–726.doi:10.1038/s41427-018-0067-9参考URLキーワード量子ドット、カドミウムフリー、蛍光体

ナノテクノロジー・材料遠隔医療・デジタルヘルスケア、IoTデバイス、AR/VR/MR技術フレキシブル有機電子回路における高精度な電気特性制御技術産業科学研究所先進電子デバイス研究分野https://researchmap.jp/Takafumi_Uemura特任准教授植村隆文教授関谷毅https://researchmap.jp/TSS研究の概要フレキシブル電子デバイスは、無意識下のウェアラブル生体計測を実現するためのデバイス技術として、遠隔医療・デジタルヘルスケアで実現する持続的な社会の構築を目指して研究開発が行われています。本研究では、光照射によって分子構造が変化する高分子材料を有機トランジスタの絶縁層として用いることにより、集積回路の特性を自在に変化させることに成功しました。この技術は、単一のデバイス積層構造と、同じ有機材料の組み合わせで構成される有機トランジスタにおいて、光照射を行うことによってトランジスタの電気特性を自在に変化させる技術です。複数の有機トランジスタから構成される集積回路の作製工程において、狙ったトランジスタのみを光照射によって制御することが可能であるため、従来方法と比べて飛躍的に簡単な工程と、少ない材料使用によって電子回路特性を制御することが可能です。▍研究の意義と将来展望本研究成果により、光照射による簡単な工程と、従来技術と比べて少ない材料使用によってフレキシブル有機電子回路の特性を自在に制御可能であることが示されました。これにより、フレキシブル電子回路の更なる高性能化が実現し、将来の遠隔医療・デジタルヘルスケアにおける重要技術である無意識下のウェアラブル生体計測を例として、実空間のあらゆる対象物をセンシングする技術として活用されることが期待されます。ナノテクノロジー・材料55特許特許第6629887号論文Taguchi,Koki;Uemura,Takafumi;Sekitani,Tsuyoshietal.HeterogeneousFunctionalDielectricPatternsforCharge-CarrierModulationinUltraflexibleOrganicIntegratedCircuits.AdvancedMaterials.2021,33,2104446,doi:10.1002/adma.202104446参考URLhttps://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20210921_2https://wakasapo.nedo.go.jp/seeds/seeds-2020/キーワードフレキシブルエレクトロニクス、ウェアラブルデバイス、有機半導体

精密重合反応を基盤とした新しいπスタック高分子の構築理学研究科高分子科学専攻助教神林直哉ナノテクノロジー・材料ナ高分子材料、有機電子材料https://researchmap.jp/naokouノテクノロジー・材料56研究の概要高分子主鎖の芳香環(キノリン環)がらせん状に積層したπスタック型高分子の合成に成功した。土台となるポリ(キノリレン-2,3-メチレン)は、我々が独自に開発したリビング環化重合反応により調整する事が可能であり、πスタック構造の長さや末端構造を任意に変えることができる(図1)。また、側鎖のアミノ酸置換基の形状が非常に重要であり、πスタック構造の形成過程や安定性に大きな影響を与える。特にかさ高いシクヘキシルアラニン誘導体を有する場合、熱や極性溶媒に対しても高い安定性を示すことが明らかとなった(図2)。▍研究の意義と将来展望πスタック高分子は共有結合を介して芳香環を積層させることができるため、π-π相互作用を介した物性理解や機能展開を行うためには大変魅力的な分子である。本研究で開発したπスタック高分子は、本来のπスタック構築法では実現が難しい、明確な長距離のπスタック構造の構築や、末端構造・側鎖構造を生かした分子デザインが可能である(Figure1)。そのため、我々のπスタック高分子合成を基盤として、πスタック構造を経由する物性理解やそれらの体系化を行うことで、未来社会を実現するための材料開発において、今までの概念にとらわれない新しい分⼦設計及び機能開拓が期待できる。図1リビング環化共重合反応を基板としたπスタック高分子の精密合成図2πスタック高分子の構造安定化とその形成機構の解明特論許文参考URLキーワードKanbayashi,Naoya;Kataoka,Yuki;Onitsuka,Kiyotakaetal.JournaloftheAmericanChemicalSociety.2022,144(13),p.6080-6090,doi:10.1021/jacs.2c01337Kataoka,Yuki;Kanbayashi,Naoya;Onitsuka,Kiyotakaetal.AngewandteChemInternationalEdition.2020,59(26),p10286-10291,doi:10.1002/anie.202002734Kanbayashi,Naoya;Okamura,Taka-aki;Onitsuka,Kiyotakaetal.JournaloftheAmericanChemicalSociety.2019,141(38),p.15307-15317,doi:10.1021/jacs.9b07431https://www.chemistry.or.jp/division-topics/2022/10/post-236.htmlπ-π-スタック、らせん高分子、リビング重合、アミノ酸、水素結合

ナノテクノロジー・材料スマートデバイス、エネルギー貯蔵高結晶性ランダム積層グラフェン集合体の合成工学研究科物理学系専攻博士後期課程許梓釗助教井ノ上泰輝教授小林慶裕https://researchmap.jp/inoue_thttps://researchmap.jp/koba_ap_eng_ou研究の概要本研究では、高結晶性かつランダム積層したグラフェン集合体をマクロスケールで合成する手法を開発した。凍結乾燥法で形成したスポンジ状の酸化グラフェン(GO)集合体を原料として、反応性ガスにエタノールを用いて1500–1800℃で超高温処理を行うことにより、高い結晶性とランダム積層率を併せ持つグラフェン集合体の作製に成功した。また、セルロースナノファイバー(CNF)を添加することでランダム積層率の更なる向上を達成した。グラフェン集合体の合成プロセスの模式図。▍研究の意義と将来展望グラフェンは様々な優れた性質を持つナノカーボン材料であるが、その薄さ・小ささのため応用範囲が限られている。マクロスケールの応用のためにグラフェン集合体が必要となるが、単純な手法で集合体を作製するとグラファイトに近い構造となってしまい、グラフェンの優れた性質が失われる。ランダム積層率を高めた集合体とすることでグラフェン層間相互作用による物性低下を防ぎ、優れたグラフェンの性質をマクロスケールで用いることが可能となる。本研究で得られたグラフェンスポンジ構造は、ウェアラブルひずみセンサーや電池用電極材料などへの応用が期待される。(a)グラフェン集合体のラマンスペクトル、および(b,c)走査型電子顕微鏡像。ナノテクノロジー・材料57特論許文参考URLキーワードXu,Zizhao;Inoue,Taiki;Nishina,Yutaetal.StackingOrderReductioninMultilayerGraphenebyInsertingNanospacers.JournalofAppliedPhysics.2022,132,p.174305,doi:10.1063/5.0103826Xu,Zizhao;Nakamura,Shingo;Inoue,Taikietal.Bulk-scalesynthesisofrandomlystackedgraphenewithhighcrystallinity,Carbon.2021,185,p.368-375,doi:10.1016/j.carbon.2021.09.034http://www.ap.eng.osaka-u.ac.jp/nanomaterial/index.htmlナノカーボン材料、還元型酸化グラフェン、層間相互作用

ナノテクノロジー・材料ナ触媒化学、石油化学、カーボンニュートラル光エネルギーを利用して二酸化炭素再資源化を可能にする触媒技術の開発工学研究科マテリアル生産科学専攻准教授桒原泰隆https://researchmap.jp/yasutakakuwahara/教授山下弘巳https://researchmap.jp/read0118536ノテクノロジー・材料58研究の概要二酸化炭素(CO2)は地球温暖化の主たる原因物質とされており、世界規模でその排出量削減に向けた取り組みが行われています。CO2を還元することによって得られる一酸化炭素(CO)は、アルコールやガソリン、ジェット燃料などの液体炭化水素の原料となる有用な化学原料です。CO2を水素(H2)と反応させてCOを得る反応(逆水性ガスシフト反応)には、従来500℃以上の高温が必要とされており、低温では低い反応率しか得られず非効率という課題がありました。我々は、モリブデンとタングステンの複合酸化物に白金(Pt)ナノ粒子を担持した触媒を用いると、従来よりも低い140℃という低温でもCO2とH2からCOを高効率かつ選択的に得られることを見出しました。さらに、触媒に光を照射すると反応速度が飛躍的に向上することを見出しました。とができるという特徴を有しています。これまで未利用であった廃熱や太陽光エネルギーを利用してCO2を工業的に有用な物質へと変換できることから、本技術はカーボンニュートラル社会の実現に向けたクリーンなCO2変換技術として期待されます。▍研究の意義と将来展望開発した触媒は、産業から排出される廃熱温度付近でも駆動することや、無尽蔵な太陽光エネルギーを利用して反応速度を高めるこ特許特願2020-093711論文Ge,Hao;Kuwahara,Yasutaka;Yamashita,Hiromietal.EnhancedVisible-NIRAbsorptionandOxygenVacancyGenerationofPt/HxMoWOybyH-spillovertoFacilitatePhotothermalCatalyticCO2Hydrogenation.JournalofMaterialsChemistryA.2022,10(20),p.10854-10864.doi:10.1039/d2ta01595aGe,Hao;Kuwahara,Yasutaka;Yamashita,Hiromietal.Plasmon-inducedCatalyticCO2HydrogenationbyaNano-sheetPt/HxMoO3-yHybridwithAbundantSurfaceOxygenVacancies.JournalofMaterialsChemistryA.2021,9(24),p.13898-13907.doi:10.1039/d1ta02277fKuwahara,Yasutaka;Mihogi,Takashi;Yamashita,Hiromietal.AQuasi-stableMolybdenumSub-oxidewithAbundantOxygenVacanciesthatPromotesCO2HydrogenationtoMethanol.ChemicalScience.2021,12(29),p.9902-9915.doi:10.1039/d1sc02550c参考URLhttps://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20210526_2キーワードCO2回収利用、CO2再資源化、モリブデン酸化物、光エネルギー利用

相対論的電子を有する高性能熱電・熱磁気材料の開拓理学研究科物理学専攻准教授酒井英明ナノテクノロジー・材料環境発電、スマートデバイス、新材料https://researchmap.jp/7000018618研究の概要相対論的運動方程式に従う伝導キャリア(ディラック電子など)をもつ物質は、従来の金属や半導体を凌駕する超高移動度を示すため注目を集めている。このような卓越した伝導特性は、エレクトロニクス応用に加え、環境にやさしい熱電発電応用でも有望である。しかし、これまで熱電発電へ応用可能なディラック電子系バルク材料は皆無であった。これに対し我々のグループでは、ディラック電子伝導層と絶縁ブロック層が交互に積層した層状バルク物質を合成し、ブロック層の元素置換により、ディラック電子の高易動度を保持したまま、幅広いキャリア濃度制御に成功した。この結果、優れた熱電性能をキャリア濃度により最適化できること明らかにし、熱電・熱磁気材料としてのポテンシャルを実証した。▍研究の意義と将来展望本物質系で最適化された電力因子は、既存の熱電材料の性能を上回る値である。ただし、優れた性能が発現する温度領域が100K付近であるため、低温熱源での応用が期待される。今後は、駆動温度領域の高温化や、熱伝導率の低下を目指したブロック層を設計し、物質開拓を進める予定である。また、本物質系では熱磁気効果(磁場または自らの磁化により、熱勾配と垂直方向に熱起電力が発生する現象)も巨大であり、キャリア濃度により系統的に制御できることが明らかとなった。本効果を利用した革新的な環境発電への応用も期待される。図1図2ナノテクノロジー・材料59特論許文参考URLキーワードTsuruda,Keigo;Sakai,Hideakietal.EnhancingthermopowerandNernstsignalofhigh-mobilityDiraccarriersbyFermileveltuninginthelayeredmagnetEuMnBi2.Adv.Funct.Mater.2021,Volume31,p.2102275,doi:10.1002/adfm.202102275Sakai,Hideaki.High-fieldStudiesonLayeredMagneticandPolarDiracMetals.J.Phys.Soc.Jpn.2022,Volume91,p.101001,doi:10.7566/JPSJ.91.101001http://hide-sakai.net熱電効果、ネルンスト効果、高易動度、ディラック電子、トポロジカル物質

生体分子センシングを指向したシクロデキストリンを基盤とした高輝度円偏光発光分子の創製工学研究科応用化学専攻講師重光孟教授木田敏之ナノテクノロジー・材料ナ医療・ヘルスケア、バイオセンシングhttps://researchmap.jp/hajime_shigemitsuhttps://researchmap.jp/tkidaノテクノロジー・材料60研究の概要円偏光発光(CircularlyPolarizedLuminescence:CPL)は、キラルな構造を有する物質において、励起状態から基底状態への電子遷移の際に左回転と右回転の発光強度に差が生じる現象である。CPLには、左回転と右回転の情報を組み込まれているため、通常の光と比較して2倍以上の情報量を含んでいる。そのため、CPLはセキュリティを確保する光通信技術やキラリティを感知するバイオセンサーなどへの応用が期待されている。本研究では、独自の分子設計戦略による『高輝度CPL有機分子の創出』とそれを利用した『生体分子のCPLバイオセンシング』を目指している。▍研究の意義と将来展望CPLは次世代の三次元表示ディスプレイ、情報通信技術、バイオセンサー、高度セキュリティ印刷、植物の成長促進、医療診断への利用など広範な領域での利活用が期待されている。そのため、世界中でCPLマテリアルの研究が活発に行われているが、バイオ応用への発展は完全に未開拓である。本研究計画の目標である「高輝度円偏光性有機分子の創成」と「バイオセンシング」の実現は、次世代の診断やイメージング技術開発に向けてのマイルストーンとなる極めて先駆的な研究である。さらに、これらのCPL応用に加えて、本研究は“励起状態の化学”の学理の深化をもたらし、基礎研究の発展に貢献するという側面も併せ持つ、世界をリードする研究である。図1.PCD分子構造および特徴図2.PCDの分子認識によるCPL発光特性の変化特許特願2019-56572論文Shigemitsu,Hajime;Kawakami,Kosei;Kida,Toshiyukietal.CyclodextrinswithMultiplePyrenylGroups:AnApproachtoOrganicMoleculesExhibitingBrightExcimerCircularlyPolarizedLuminescence.Angew.Chem.Int.Ed.2022,61(8),e202114700,doi:10.1002/anie.202114700参考URLキーワードシクロデキストリン、円偏光発光、分子認識

ナノテクノロジー・材料有機電子材料、有機磁性体2個の電子スピンの向きが揃った炭化水素分子の合成と物性の解明基礎工学研究科物質創成専攻准教授清水章弘教授新谷亮https://researchmap.jp/7000009063https://researchmap.jp/RMshintani研究の概要2個以上の電子スピンの向きが揃った高スピン炭化水素分子は磁石の基本単位となりうるが、反応性が高く不安定であるため、結晶化に成功した例はなかった。2個の電子スピンの向きが揃った三角形の炭化水素分子である、トリアンギュレンも約70年前から研究が行われてきたにも関わらず、その単離や結晶化には成功しておらず、基礎的な電子状態や物性さえも十分には解明されていなかった。本研究グループは、トリアンギュレンの高い反応性を抑制するために、かさ高い置換基を導入して速度論的に安定化した誘導体を合成した。その結果、安定性が大きく向上することを見出し、単離と結晶化に成功した。また、2個の電子スピンの向きが揃っていることを実験的に明らかにし、基礎的な磁気的性質、光学的性質、電気化学的性質を解明した。ナノテクノロジー・材料61▍研究の意義と将来展望本研究は、2個の電子スピンの向きが揃った炭化水素分子の結晶構造を明らかにした世界で初めての研究成果である。本研究成果により、入手容易な原料である炭素と水素から構成される炭化水素分子を基盤とする有機磁性材料の開発が期待される。また、3個以上の電子スピンの向きが揃った炭化水素分子の合成にもつながると考えられる。特許論文Arikawa,Shinobu;Shimizu,Akihiro;Shintani,Ryoetal.SynthesisandIsolationofaKineticallyStabilizedCrystallineTriangulene.J.Am.Chem.Soc.2021;143(46):19599-19605.doi:10.1021/jacs.1c10151参考URLhttp://www.chem.es.osaka-u.ac.jp/poc/キーワード磁石、スピン、ラジカル、炭化水素、有機分子

デンプンを基盤とした海洋生分解性バイオプラスチックの創製工学研究科応用化学専攻准教授徐于懿教授宇山浩ナノテクノロジー・材料ナプラスチック、包装材料、日用品https://researchmap.jp/yuihsuhttps://researchmap.jp/read0168389ノテクノロジー・材料62研究の概要プラスチックは安価、軽量、自在な成形性による高い意匠性・デザイン対応性などの特性により我々の日常生活を豊かにしてきた。しかし、プラスチックの多くが自然環境中で生分解しないために昨今の海洋プラスチックごみの社会問題としてクローズアップされ、その対策は社会的に急務である。我々は安価かつ豊富に存在するデンプンに着目し、セルロースナノファイバー(CNF)あるいは生分解性プラスチックを複合化・ブレンドすることにより海洋生分解性バイオマスプラスチックを開発してきた。海水中で生分解性を誘発するスイッチ機能を提唱するとともに、耐水性や耐衝撃性等の物性を向上させた。さらに産学連携プラットフォームを設立し、実用化を推進している。▍研究の意義と将来展望デンプンはガスバリア性と耐候性に優れ、微生物類にとっては格好の栄養源であることから材料の生分解性を誘引できる。このようなバイオマスの特徴を活かした材料設計は低環境負荷の視点から意義深く、我々独自の複合化・ブレンド設計により地球を救う新素材が開発できる。実用性に優れる複合化・ブレンド手法をデンプンを基盤とする海洋生分解性プラスチックの創製に適用し、実用化することで、海洋汚染の低減と温室効果ガス排出量の大幅削減が達成でき、大阪ブルーオーシャンビジョンやカーボンニュートラルに大きく貢献する。デンプン-CNF複合材料の試作品MBBP試作品特許特許第4942436号、特許第5057874号、特許第5495360号論文Soni,Raghav;Hsu,Yu-I;Uyama,Hiroshi.Synergisticeffectofhemiacetalcrosslinkingandcrystallinityonwetstrengthofcellulosenanofiber-reinforcedstarchfilms.FoodHydrocoll.,2021,Vol.120,pp.106956(1-10).doi:10.1016/j.foodhyd.2021.106956http://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/~uyamaken/参考URLhttp://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/mbbp/https://www.kyu-gs.com/キーワードバイオプラスチック、バイオマスプラスチック、海洋生分解性プラスチック、デンプン、セルロース

ナノテクノロジー・材料スマートデバイス、セキュリティインク、センサー付かず離れずのラジカルカチオン凝集体を用いた近赤外光透過制御基礎工学研究科物質創成専攻准教授鈴木修一教授直田健https://researchmap.jp/read0210228https://researchmap.jp/read0013723研究の概要可視光よりも長波長領域の近赤外光(700nm以上)を吸収・透過を制御できる分子は情報記憶材料、光学フィルター、セキュリティーインクの材料となる可能性があります。本研究では、これまでにない新しい機能をもつラジカルカチオン塩の創製に成功しました。開発したラジカルカチオン塩を用いて作製した膜は固体状態では近赤外光を吸収し、液体状態では透過します。興味深いことに、融点と凝固点が大きく異なることから、赤外透過特性が温度履歴性を示すことが明らかとなりました。ナノテクノロジー・材料63▍研究の意義と将来展望刺激に対して「行き」と「帰り」の方向性を近赤外光特性に付与することで、不可視性の光学センサーやセキュリティーの高い情報変換素子への展開が可能です。また、紹介したラジカルカチオンは液状化できることから様々な媒体へ「塗る」ことができるオンデマンドセンサーも構築可能です。さらにラジカルカチオンは磁気特性や電気伝導性が外部刺激や環境で変換可能であることから、私たちの明らかにしてきた分子設計指針は多方面の材料化学に貢献すると考えています。特許論文Suzuki,Shuichi;Naota,Takeshietal.HystereticControlofNear-infraredTransparencyUsingaLiquescentRadicalCation.Angew.Chem.Int.Ed.2021,60(15),p.8284-8288,doi:10.1002/anie.202016930参考URLhttp://www.chem.es.osaka-u.ac.jp/soc/https://youtube.com/playlist?list=PLAb-4nGLCCqs1uJkBWLSOcyudMOia7IcVキーワード開殻分子、刺激応答性、液状化分子、近赤外光特性

医療・ヘルスケア、スマートデバイス感染症迅速検査プラットフォームの開発産業科学研究所バイオナノテクノロジー研究分野教授谷口正輝https://researchmap.jp/read0076413研究の概要ノテクノロジー・材料64AIナノポアを用いて、唾液を5分間計測することで、新型コロナウイルスを感度90%、特異度96%で検出できることを実証した。AIナノポアを用いた検査法はナノテクノロジー・材料ナ、新型コロナウイルスの変異型も高精度に識別することができる。AIナノポアは、ナノポア(図1)の直径と学習データを変更するだけで、新たな感染症の迅速検査法を開発できるプラットフォームである。▍研究の意義と将来展望20世紀から数年に1つの割合で、世界で新興感染症が生じている。今後も、この傾向が継続すると予測される。新たな感染症の発生に即座に対応できる検査プラットフォームが、感染症の拡大と経済損失を最小限に留める役割を担う。AIナノポアプラットフォームは、検査対象に応じて、ろ過による簡単な前処理とナノポアの直径を変え、学習データを変更するだけで、ウイルスから細菌まで検査することができる。現在まで開発したAIナノポアプラットフォームを半導体技術により集積デバイスにすることで、スマートフォンで手軽に感染症検査できる未来が近づいている。1つのチップ上に複数のナノポアを持つ検査デバイスは、1回の計測で多種のウイルス・細菌検査を可能にする。ナノポア、AI、ITの融合システムは、世界のいつ、どこで、どんな感染症が生じているかを瞬時に知らせ、世界の安全・安心・健康な社会を見守る(図2)。図1図2特許特許第6971499号、第6985687号、第6807529号、第6638913号、第6762494号、第6719773号論文Taniguchi,Masateruetal.Combiningmachinelearningandnanoporeconstructioncreatesanartificialintelligencenanoporeforcoronavirusdetection.Nat.Commun.2021,12,p.3726,doi:10.1038/s41467-021-24001-2参考URLキーワードhttp://www.bionano.sanken.osaka-u.ac.jp感染症、迅速検査、ナノポア、AI

航空宇宙、エネルギー航空機エンジン用TiAlタービン翼の3Dプリンティング工学研究科マテリアル生産科学専攻https://researchmap.jp/choken准教授趙研教授安田弘行教授中野貴由ナノテクノロジー・材料https://researchmap.jp/ead0051691https://researchmap.jp/read0013987研究の概要金属系3Dプリンティング(以下、3DP)では、粉末の積層・溶融・凝固を繰り返すことで任意形状の三次元構造物を容易に造形できることから、ものづくりに革新をもたらす技術として注目を集めている。本研究では、3DPの一種である電子ビーム粉末床溶融結合法(以下、EB-PBF)を用いて、航空機用エンジンに用いる、TiAl合金製の低圧タービン翼の造形に取り組んだ。その結果、TiAl特有の微細組織は、EB-PBFのビーム電流、走査速度といったプロセス条件に強く依存することを明らかとした。さらに、その力学特性は微細組織に強く依存し、とりわけ、低ビーム電流、高走査速度の条件では、冷却速度が速いため、マッシブ変態、という特殊な相変態を経由した組織発展が生じることで、既存のTiAl合金をはるかに凌駕する高温強度を有する造形体の作製に成功している。▍研究の意義と将来展望一般に、3DPは形状制御のためのツールとして用いられてきた。しかしながら、本研究では、そのプロセス条件を変化させることで、TiAl合金の微細組織と力学特性を自由自在に制御できることを明らかとしている。さらに、得られた知見を活かして、20cm長のタービン翼の製造技術の確立にも成功している。3DPによる形状・組織同時制御が実現したことで、新規タービン翼開発に新たな展開が期待される。図1EB-PBFによる造形の概略図と外部・内部形状制御の例。一層ずつ積層するため造形体内部に微細な構造を作り込むことが可能。図2プロセス条件を制御することで微細組織が変化。特殊な相変態を利用することでナノ層状組織が得られ、既存材の1.7倍もの高強度化を実現。ナノテクノロジー・材料65特許特許第6792837号論文Cho,Ken;Yasuda,Hiroyuki;Nakano,Takayoshietal.Peculiarmicrostructuralevolutionandtensilepropertiesofβ-containingγ-TiAlalloysfabricatedbyelectronbeammelting.AdditiveManufacturing.2021,46:102091.doi:10.1016/j.addma.2021.102091Cho,Ken;Yasuda,Hiroyuki;Nakano,Takayoshietal.Improvingthetensilepropertiesofadditivelymanufacturedβ-ContainingTiAlalloysviamicrostructurecontrolfocusingoncellularprecipitationreaction,Crystals,2021,11(7),p.1-13.doi:10.3390/cryst11070809http://www.mat.eng.osaka-u.ac.jp/sipk/am/参考URLhttp://www.mat.eng.osaka-u.ac.jp/mse3/mse3-homeJ.htmhttp://www.mat.eng.osaka-u.ac.jp/msp6/nakano/キーワード3Dプリンティング、積層造形、航空宇宙材料、金属間化合物、高温耐熱材料

1細胞マルチオミクス解析に向けた1分子計測技術開発産業科学研究所バイオナノテクノロジー研究分野准教授筒井真楠ナノテクノロジー・材料ナ医療・ヘルスケア、スマートデバイスhttps://researchmap.jp/makusuノテクノロジー・材料66研究の概要ナノテクノロジーを基軸にした1分子計測技術は急速な発展を遂げ、これまでのオミクス解析で得られないような生体情報の取得を可能にするセンサプラットフォームとして応用が開始されている。この研究では、1細胞内のタンパク質やゲノムを網羅的に1分子検出するナノセンサの開発を進めている。センサ構造は、半導体加工技術により作製し、ナノポアと呼ばれる直径100nm以下のナノ細孔をシリコンウエハ上に3次元積層集積したものである。電解質液中でイオン電流を計測する仕組みであり、細胞膜破壊・細胞内分子抽出・1分子検出をオンチップで実行できる。大腸菌を用いた動作実証試験を行い、1細胞の大腸菌からタンパク質やDNAを抽出・1分子検出することに成功している。現在は、機械学習を用いた電流信号波形解析を導入し、細胞やウイルスの内容物を1分子レベルで分析するデバイス開発を進めている。るものではなく、例えばウイルスに応用すれば、小さな変異を迅速に発見するウイルス検査も可能になると期待できる。▍研究の意義と将来展望本技術は、高度な前処理なしにタンパク質の発現量や遺伝情報を測定可能にするものであり、生命科学の革新や個別医療の実現に貢献できる。また、その適用は細胞に限定され特許特願2022-160261論文Tsutsui,Makusu;Takaai,Takayuki;Yokota,Kazumichietal.DeepLearning-EnhancedNanoporeSensingofSingle-NanoparticleTranslocationDynamics,SmallMethods,2021,5,2100191,doi:10.1002/smtd.202100191Tsutsui,Makusu;Yokota,Kazumichi;Akihide,Arimaetal.DetectingSingleMoleculeDeoxyribonucleicAcidinaCellUsingaThree-DimensionallyIntegratedNanopore,SmallMethods,2021,5,2100542,doi:10.1002/smtd.202100542Tsutsui,Makusu;Arima,Akihide;Yokota,Kazumichietal.Ionicheatdissipationinsolid-statepores,2022,8,eabl7002.ScienceAdvances,doi:10.1126/sciadv.abl7002参考URLキーワードナノポア、1分子計測、1細胞解析、機械学習

ナノテクノロジー・材料カーボンニュートラル、エネルギー貯蔵、センシングデバイス形状制御や表面修飾可能な有機多孔質材料の開発によるガス分子の吸着・分離・貯蔵工学研究科応用化学専攻教授藤内謙光助教岡弘樹https://researchmap.jp/read0089607https://researchmap.jp/k.oka研究の概要有機多孔質材料はこれまでの吸着や分離、精製、触媒だけでなく、光・電・磁特性を付与することでセンサーやイメージングなど様々な用途に展開されようとしている。我々の研究グループでは多孔質有機塩(porousorganicsalts:POS)という新しい有機系の多孔性材料を提案してきた。今回、多孔質材料の空孔表面を様々なハロゲン元素で修飾し、そのハロゲン元素に応じてガス分子への選択性や吸着量などの吸着特性を変化させることができた。▍研究の意義と将来展望我々の多孔質有機塩は、空孔の形状や大きさ、表面の化学修飾が可能である。本研究成果では、空孔表面のハロゲン元素での修飾を達成し、その多孔質材料の性質を制御できることを実証した。特に吸着量や選択性、分子認識能の制御が可能というのは特筆すべきことである。このような化学修飾は他の置換基や元素でも可能であり、二酸化炭素やメタン、フロンなどの地球温暖化に悪影響をおよぼすガス種の回収や分離、水素、アンモニアなどのグリーン・エネルギーの貯蔵、ダイオキシンやPFOA、PFOSなどの有害物質の高感度、高選択的なセンシングや回収など様々な用途に展開可能である。ナノテクノロジー・材料67図1:多孔質有機塩の階層的構築図2:各種多孔質有機塩のガス吸着挙動特許論文Ami,Takahiro;Oka,Kouki;Tohnai,Norimitsuetal.PorousOrganicSalts:DiversifyingVoidStructuresandEnvironments,Angew.Chem.,Int.Ed.,2022,61,e202202597,doi:10.1002/anie.202202597参考URLhttp://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/~tohnaiken/scientific/キーワード有機多孔質材料、表面修飾、CO2回収、センシング

高精度テラヘルツ波エリプソメトリによる6G材料・ワイドギャップ半導体評価レーザー科学研究所准教授中嶋誠ナノテクノロジー・材料ナ先進材料評価、情報通信、半導体デバイスhttps://researchmap.jp/nakajimamakoto研究の概要ノテクノロジー・材料68我々は、新規に回転検光子を導入した高精度のテラヘルツ時間領域エリプソメトリを開発しました。この方法により、既存の検出感倍以上に高めることに成功し、テラ5G領域における誘電率や誘電ロス、複素屈折率を高精度に評価することが可能となりました。非破壊・非接触材料やワイドギャップ半導体(GaN,SiC,Ga2O3)等の伝導特性を評価でき、従来のような電極作製を必要とせず、高温等の極限環境での評価も可能である。▍研究の意義と将来展望Beyond5Gや6Gは次世代の通信規格として開発が急ピッチに進められており、これらの通信帯は、サブテラヘルツの周波数領域に相当します。GaNやSiC,Ga2O3を始めとするワイドギャップ半導体は、パワーデバイスや高周波動作デバイスとして期待されています。テラヘルツエリプソメトリやテラヘルツ時間領域分光により、これらの先進材料の伝導特性評価(キャリア濃度や移動度、散乱時間等)や高周波領域における誘電率や屈折率評価が可能です。高精度テラヘルツエリプソメトリのイメージワイドギャップ半導体酸化ガリウムβ-Ga2O3のテラヘルツ領域屈折率スペクトル特許特願2021-106147論文V.C.Agulto,M.Nakajima,etal.ScientificReports11,18129(2021).doi:10.1038/s41598-021-97253-zV.C.Agulto,M.Nakajima,etal.AppliedPhysicsLetters118,042101(2021).doi:10.1063/5.0031531M.Ota,M.Nakajima,etal.NaturePhysics18,1436(2022).doi:10.1038/s41567-022-01767-whttps://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20210915_2参考URLhttps://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20210126_3https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2022/20221021_1キーワードテラヘルツ波、非破壊非接触評価、半導体、6G、Beyond5G

センシング高効率テラヘルツキラルセンシングに向けた動的メタ表面の開発基礎工学研究科システム創成専攻准教授中田陽介ナノテクノロジー・材料https://researchmap.jp/yosuke_nakata研究の概要テラヘルツ領域には巨大分子や生体分子の振動準位が存在するため、センシングの観点から注目を集めている。特に、鏡写しにした構造が元の構造と重ならないキラル分子を検出するには、テラヘルツ波の電場振動方向を表す偏光が右回り・左回りの両方の場合に対する応答を調べる必要がある。このため、テラヘルツ円偏光の回転方向を高効率に切り替え可能な技術が必要とされている。本研究では入射直線テラヘルツ偏光を高効率に円偏光に変換するとともに、その円偏光の回転方向を動的に逆転させることが可能なデバイスを実現した。本デバイスは金属パターンの変形により所望の動作を可能とする(図1)。金属パターンの変形は温度によって抵抗が変化する二酸化バナジウムを利用して実現される(図2a)。本デバイスを用い高効率なテラヘルツ円偏光の切り替え動作を実証した(図2b)。▍研究の意義と将来展望本デバイスは反射型動作をするため、従来の透過型デバイスでは難しかった高い変換効率を保った動作を達成できる。実際、図2bに示すように、二酸化バナジウムが絶縁体(OFF)・金属(ON)のどちらの状況でも、単層透過型デバイスの理論限界を超えた80%以上のパワー変換効率を実現することに成功した。本デバイスは高効率テラヘルツカイラルセンシングへの展開が期待されるとともに、偏光自由度を活用した通信へも応用可能性がある。図1:デバイスの動作原理。直線偏光のテラヘルツ電磁波が入射する。金属パターンが変化することで反射テラヘルツ波の円偏光の回転方向が反転する。図2:実デバイスと特性:(a)メタ表面の顕微鏡写真。(b)直線偏光から円偏光へのパワー変換効率。効率のプラス・マイナス符号は右・左の円偏光の違いを表している。灰色に色づけられた領域は単層透過型デバイスの原理限界を超えた領域。ナノテクノロジー・材料69特許論文Kobachi,Mitsuki;Miyamaru,Fumiaki;Nakanishi,Toshihiroetal.Dynamicquarterwavemetasurfaceforefficienthelicityinversionofpolarizationbeyondthesinglelayerconversionlimit.AdvancedOpticalMaterials.2022,10(2),p.2101615,doi:10.1002/adom.202101615参考URLキーワードテラヘルツ技術、メタマテリアル、メタ表面、二酸化バナジウム

ナノテクノロジー・材料ナ医療・ヘルスケア材料、高温構造材料金属3Dプリンタによる異方性形状・材質制御~高機能金属デバイス創製の新基軸~工学研究科マテリアル生産科学専攻教授中野貴由特任教授石本卓也准教授松垣あいら助教小笹良輔https://researchmap.jp/read0013987https://researchmap.jp/i_takuhttps://researchmap.jp/airahttps://researchmap.jp/ozasa_rノテクノロジー・材料70研究の概要中野研究室では、金属3Dプリンタを駆使し、金属3Dプリンタが本来得意とする精緻な形状の制御に加えて、金属材料の材質、とりわけ結晶集合組織(原子の並びの向きと度合)の自在な制御に世界に先駆けて成功し、これまでに多数の高機能金属材料を創出している。金属3Dプリンタの高度な形状制御能を駆使して初めて実現される細胞オーダーの一方向性微細溝構造によって、質の高い骨を迅速に誘導するという独自の設計指針に基づく新たなチタン合金製脊椎ケージを創製し、実用化に至っている。さらに、チタン基、ニッケル基、鉄基といった社会基盤を成す構造材料から、ハイエントロピー合金といった最先端の金属材料に至るまで、広範な材料にて材質制御による高機能化(力学機能、生体親和性や耐食性)を達成している。▍研究の意義と将来展望中野研究室で可能としている3Dプリンタによる「異方性形状・材質」制御は、これまで形状特性に基づく機能性付与ばかりが注目されてきた3Dプリンタの活用法を180度転換するものである。3Dプリンタによって初めて可能となる、形状・材質の異方性を前提とした設計法の創出により、製品性能の飛躍的な向上のみならず、製品設計指針の大きな変革が期待される。図1金属3Dプリンタの緻密な形状制御能に基づく微細溝構造を備えたチタン合金製脊椎ケージ。微細溝構造が質の高い骨を誘導し、従来型ケージと比較して、埋入初期より著しい強度の上昇をもたらす。図2金属3Dプリンタで可能となった結晶配向制御と、特異ラメラ組織形成による高強度化(Inconel718の例)。荷重軸を変えることで層界面でのすべり変形に対する抵抗を変化させ、さらなる高強度化が達成される。特許特願2022-115147,PCT/JP2019/041360,特許第6767699号論文Gokcekaya,Ozkan;Nakano,Takayoshietal.ActaMaterialia.2021,212,116876,doi:10.1016/j.actamat.2021.116876Ishimoto,Takuya;Nakano,Takayoshietal.AdditiveManufacturing,2021,43,102004,doi:10.1016/j.addma.2021.102004Takase,Aya;Nakano,Takayoshietal.AdditiveManufacturing,2021,47,102257,doi:10.1016/j.addma.2021.102257Sun,Shi-Hai;Nakano,Takayoshietal.AdditiveManufacturing,2021,47,102329,doi:10.1016/j.addma.2021.102329Amano,Hiroki;Nakano,Takayoshietal.AdditiveManufacturing,2021,48,102444,doi:10.1016/j.addma.2021.102444Ishimoto,Takuya;Nakano,Takayoshietal.ISIJInternational,2020,60,1758-1764,doi:10.2355/isijinternational.ISIJINT-2019-744参考URLhttp://www.mat.eng.osaka-u.ac.jp/msp6/nakano/キーワード3Dプリンタ、結晶集合組織、異方性

ナノテクノロジー・材料創薬、プロセス化学、有機EL硫黄を上手く使ってインドールの精密化学修飾を実現工学研究科応用化学専攻講師西井祐二先導的学際研究機構ICS-OTRI特任教授三浦雅博https://researchmap.jp/y_nishiihttps://researchmap.jp/read0013936研究の概要ロジウム触媒およびイリジウム触媒を用いた、インドール類の直接化学修飾法を開発した。本手法では、硫黄原子を配向基(directinggroup)としての利用することにより、従来法を凌駕する高い位置選択性を達成することができた。触媒反応の後、硫黄配向基は容易に除去&変換することができる。この特徴を活かすことで、天然物などに見られる複雑な構造の縮環インドール化合物の合成に展開した。▍研究の意義と将来展望インドール化合物は多様な機能性分子の基礎となっており、特に医薬研究分野においては「privileged=特権階級」と呼ばれるほど重要視されている。こうした背景から、反応位置を制御してインドール骨格を化学修飾する新たな手法の開発は、近年注目を集めてきた。特に、本質的に反応性の低いベンゼン環(インドールC4~C7位)を狙って反応させるには、相応の工夫が必要であった。本研究では、硫黄配向基を用いてこの課題を解決しており、その着脱の容易さに着目して、様々な縮環インドール構造の構築に応用ができることを実証した。この成果により、機能性分子の合成プロセスを短工程化できるとともに、従来法では構築の困難であった新規ビルディングブロックの創出を通じて、創薬・マテリアルサイエンスなど関連分野に波及効果が期待できる。ナノテクノロジー・材料71特論許文Kona,ChandrababuNaidu;Nishii,Yuji;Miura,Masahiro.Iridium-CatalyzedDirectC4-andC7-SelectiveAlkynylationofIndolesUsingSulfur-DirectingGroupsAngew.Chem.Int.Ed.2019,58,9856-9860.doi:10.1002/anie.201904709Kona,ChandrababuNaidu;Nishii,Yuji;Miura,Masahiro.Thioether-DirectedC4-SelectiveC-HAcylmethylationofIndolesUsingα-CarbonylSulfoxoniumYlidesOrg.Lett.2020,22,4806-4811.doi:10.1021/acs.orglett.0c01617Kona,ChandrababuNaidu;Nishii,Yuji;Miura,Masahiro.Sulfur-DirectedC7-SelectiveAlkenylationofIndolesunderRhodiumCatalysisOrg.Lett.2021,23,6252-6256.doi:10.1021/acs.orglett.1c01990参考URLhttps://www-chem.eng.osaka-u.ac.jp/hirano-lab/キーワード触媒化学、カップリング反応、インドール、遷移金属

有害有機化合物を高効率で分解する環境触媒の創成工学研究科応用化学専攻助教布谷直義ナノテクノロジー・材料ナ排ガス処理、排水処理https://researchmap.jp/nunotaniノテクノロジー・材料72研究の概要大気汚染や水質汚濁の原因となる有機化合物(トルエンを始めとした揮発性有機化合物(VOCs)やフェノール類等)を、接触させるだけで無害な二酸化炭素と水にまで酸化分解できる新規な環境触媒の創成を行っている。これらの触媒においては、格子内から酸素を供給できる助触媒材料を、固体化学の観点から新たに設計・創成することにより、酸化反応を促進させている。本研究で得られた触媒は、気相中のトルエンを100℃で完全燃焼(従来触媒では170℃の高温が必要)でき、また、液相中のフェノールを常圧大気開放下80℃で完全浄化(従来触媒では10~50気圧、140~160℃の高圧高温が必要)できることを明らかにしている。▍研究の意義と将来展望VOCsやフェノール類等の有機化合物は、いずれも有機溶剤や樹脂等の原料として現在の生活に欠かせない物質であるが、人体や環境に有害であることから、排ガスや排水中から除去しなければならない。本研究で得られた触媒は、従来触媒と比較して飛躍的に活性が向上していることから、簡素で省エネルギー、かつメインテナンスフリーな環境浄化装置の実現が期待できる。今後も常に新しい発想のもとで新規触媒開発を行い、大気や河川水の環境保全に貢献していくことを目指している。図1助触媒から主触媒への酸素供給を利用した有害有機化合物分解反応の模式図図2Pt/CeO2-ZrO2-NiO/Al2O3触媒およびPt/CeO2-ZrO2/Al2O3触媒のトルエン燃焼活性特論許文Jeong,Minchan;Nunotani,Naoyoshi;Imanaka,Nobuhitoetal.IntroductionofNiOinPt/CeO2-ZrO2/γ-Al2O3CatalystsforRemovingTolueneinIndoorAir.MaterialsLetters.2017,208,p.43-45,doi:10.1016/j.matlet.2017.05.048AbdulRohmanSupandi;Nunotani,Naoyoshi;Imanaka,Nobuhito.CompletePhenolRemovalinLiquid-phaseunderModerateConditionoverPt/CeO2-ZrO2-SnO2/ZrO2/SBA-16Catalysts.FunctionalMaterialsLetters.2020,13,p.2050030:1-4,doi:10.1142/S1793604720500307参考URLhttps://www-chem.eng.osaka-u.ac.jp/~imaken/キーワード環境触媒、揮発性有機化合物、希土類

ナノテクノロジー・材料フレキシブルデバイス、熱電変換カーボンナノチューブ凝集構造上の温度分布の可視化工学研究科機械工学専攻特任研究員濱﨑拡准教授平原佳織https://researchmap.jp/hiraharakaori研究の概要カーボンナノチューブは、現在までに開発された材料中で最高レベルの熱伝導性を有し、素材の軽量さや柔軟性も相まって、次世代の熱エンジニアリング候補材料として広く注目を集めている。しかしながら、実用に便利な大きさを得るため凝集体構造を成すと、その熱特性は大きく低減されることが知られている。我々は、凝集体における熱特性低下の機構を微視的な観点から理解するため。ナノメートルスケールでの温度分布の可視化を行い(図1)、ナノチューブが最密に配向した凝集体においても、ナノチューブ同士の界面で大きな熱抵抗を生じ、凝集体中に不均一な温度分布が形成されることを明らかにした(図2)。図1実験の模式図▍研究の意義と将来展望本研究では、電子顕微鏡を用いてナノメートルスケールでの熱動態を可視化した。昨今の機能性材料の発展に伴い。微視的な構造に由来する複雑な熱輸送によって、巨視的な熱特性が決定されるケースは増加している。本研究は、カーボンナノチューブに限らない広範な熱制御材料において、微視的熱動態を明らかにするうえでの強力な手段を示したといえる。今後の展望として、より広い温度域で利用可能な温度マーカーとなる金属微粒子を利用した研究などが期待される。図2異方的に加熱されるナノチューブ凝集構造ナノテクノロジー・材料73特許論文Hamasaki,Hiromu;Takimoto,Seiya;Hirahara,Kaori.Visualizationofthermaltransportwithinandbetweencarbonnanotubes.NanoLetters.2021,21(7),p.3134–3138,doi:10.1021/acs.nanolett.1c00336Hamasaki,Hiromu;Kawase,Takumi;Hirahara,Kaori.Anisotropictemperaturedistributionincarbonnanotubebundlesdeterminedusingtwotypesofphasetransitionsofnanoparticles.PhysicalReviewMaterials.2022,6,p.L023001-1–6,doi:10.1103/PhysRevMaterials.6.L023001参考URLキーワードカーボンナノチューブ、熱伝導、透過電子顕微鏡

π共役高分子棒状凝集体の液中形成に基づく超高配向薄膜コーティング工学研究科電気電子情報通信工学専攻准教授藤井彰彦ナノテクノロジー・材料ナフレキシブルデバイス、太陽電池、印刷製膜技術https://researchmap.jp/read0054804ノテクノロジー・材料74研究の概要溶液を一軸方向へ掃引し塗布製膜するバーコート法を用いて、π共役高分子の薄膜を作製し自発的かつ一様に分子配向することを見出した。特に、溶液中において棒状の凝集体を形成するドナー・アクセプタ型π共役高分子PDPP-DTTは、液中凝集体の異方的構造に由来した液晶性により、二次元配向パラメータSが0.9となる極めて高い配向性を示した。また、分子配向方向は溶液濃度に依存し、高分子主鎖が製膜方向に対して選択的に平行もしくは垂直となる。このような現象について検討し、PDPP-DTTの液中凝集現象を考慮した分子配向メカニズムを提案した。性があり、他のπ共役高分子への適応が期待される。▍研究の意義と将来展望棒状の液中凝集体を形成するPDPP-DTTについては、バーコート法によって非常に高い配向度を示す分子配向薄膜が作製できる。特に20μm/s以下の低速製膜においては、高分子主鎖がほぼ完全に配向した状態となるだけでなく、配向方向が溶液濃度に依存して一様に変化する。この現象は液中凝集体のサイズに依存して生じており、製膜過程における液中凝集体と溶液流の相互作用を考慮することが重要である。このような液中凝集体の形成に基づく分子配向は普遍性を有する可能特論許文Yabuuchi,Yuta;Minowa,Yu;Fujii,Akihikoetal.Direction-SelectableUltra-HighlyOrientedStateofDonor-AcceptorConjugatedPolymerInducedbySlowBar-CoatingProcess.AdvancedElectronicMaterials.2021,7,2100313-1-8,doi:10.1002/aelm.202100313Yabuuchi,Yuta;Minowa,Yu;Fujii,Akihikoetal.DynamicsofPreaggregationandFilmFormationofDonor-Acceptorπ-ConjugatedPolymers.ACSMaterialsLetters.2022,4,p.205-211,doi:10.1021/acsmaterialslett.1c00734参考URLhttp://opal.eei.eng.osaka-u.ac.jp/キーワードπ共役高分子、有機半導体、分子配向、プリンテッドエレクトロニクス

超音速衝突の動的塑性変形に基づくコールドスプレー固相積層技術とMa-Wangモデル開発接合科学研究所ナノテクノロジー・材料ものづくり、材料接合教授麻寧緒特任助教QianWanghttps://researchmap.jp/ma.ninshuhttps://researchmap.jp/Qian_WANG研究の概要コールドスプレーは、金属粒子の超音速衝突により数ナノ秒内で生じる動的塑性変形を利用する固相結合法で、実験で結合過程の観察が困難であるため、数値解析への期待が大きい。本研究では、転位ダイナミクスに基づき、ひずみ硬化、ひずみ速度硬化、超高ひずみ速度硬化、熱軟化を高精度で表現する新しい材料モデル(Ma-Wangモデル)を開発し、金属粒子超高速衝突のコールドスプレープロセスにおける動的超大塑性変形挙動、温度上昇、動的再結晶、界面結合メカニズムおよび積層材の内部残留応力を予測した。さらに純銅(Cu)、アルミ合金(Al6061-T6)、純ニッケル(Ni)、Ni合金(Inconel718)に適用し、高精度と有効性を示した。▍研究の意義と将来展望本研究で開発したMa-Wangモデルは、金属粒子の超音速衝突による動的超大塑性変形と固相結合の界面挙動を高精度で予測できたため、コールドスプレー固相結合メカニズムの解明に大きく貢献した。本研究成果を、異種金属や機能傾斜のコールドスプレー固相積層造形に適用し、最適なコールドスプレー積層条件または適正範囲を提示することが可能である。さらにMa-Wangモデルは、コールドスプレーのマルチスケール数値解析の基礎となり、ミクロ組織とマクロ性能の関係を定量化し、コールドスプレーの産業応用に貢献する。次の期待としては、他の研究分野(例えば、レーザーピーニングや摩擦攪拌積層造形など)にMa-Wangモデルへの適用である。Fig.1.DevelopmentoftheMa-WangmaterialmodelbasedondislocationdynamicsFig.2.High-accuracypredictionofdeformation,grainsize,andsolid-statebondingduringCSナノテクノロジー・材料75特論許文参考URLキーワードWang,Qian;Ma,Ninshu;Luo,Xiao-Taoetal.Towardsbetterunderstandingsupersonicimpact-bondingbehaviorofcoldsprayed6061-T6aluminumalloybasedonahighaccuracymaterialmodel,AdditiveManufacturing.2021,48(102469),p.1-11.doi:10.1016/j.addma.2021.102469Wang,Qian;Ma,Ninshu;Takahashi,Makotoetal.Developmentofamaterialmodelforpredictingextremedeformationandgrainrefinementduringcoldspraying,ActaMaterialia.2020,199,p.326–339.doi:10.1016/j.actamat.2020.08.052http://www.jwri.osaka-u.ac.jp/research/research03_1.html固相積層造形、コールドスプレー、材料モデル、応力ひずみ、ひずみ速度、残留応力

データ駆動型界面反応過程シミュレーションの開発と応用工学研究科物理学系専攻教授森川良忠ナノテクノロジー・材料ナエネルギー、環境、新材料https://researchmap.jp/read0118585ノテクノロジー・材料76研究の概要界面での構造や電子状態、化学反応過程を原子レベルで解明することは基礎科学的のみならず、応用上も極めて重要である。密度汎関数理論(DFT)は原子・分子レベルでの構造や電子状態を極めて精度良く計算することが可能であるが、その計算は重く、取り扱える系の空間サイズは数nm、時間は数十ps程度に限られる。一方、経験的な原子間ポテンシャルを用いると、サブµmの空間サイズ、µsの時間スケールの現象の解明が可能となる。DFTを機械学習法によりフィットした機械学習原子間ポテンシャルを構築することにより、DFTに近い精度でより大きなスケールのシミュレーションが可能になる。本研究ではこの手法を用いてさまざまな界面反応の解明を行い、より望ましい界面反応のための設計指針を与えることを目指す。▍研究の意義と将来展望精度の高いDFTは極めて大きな役割を果たしてきているが、計算は大変重いため、最新鋭のスパコンを用いたとしても、限られた仮定のモデルを用いる必要があった。最近の機械学習法の進展は、DFTによるさまざまな構造に対する計算結果から、精度の高い原子間ポテンシャルを導き出すことを可能にする。より現実デバイス環境下での界面の反応シミュレーションが可能になり、将来的には反応過程の予測やより望ましい物質の設計が可能になると期待できる。特許論文Halim,H.H;Morikawa,Y.TheElucidationofCu-ZnSurfaceAlloyingonCu(997)byMachine-LearningMolecularDynamics,ACSPhysicalChemistryAu,2022,2,430-447.doi:10.1021/acsphyschemau.2c00017参考URLhttp://www-cp.prec.eng.osaka-u.ac.jp/#showalumniaキーワード密度汎関数理論、機械学習、表面科学、不均一触媒、電気化学

高活性・高温強度・高耐久性を兼ね備えた次世代合金ナノ粒子触媒工学研究科マテリアル生産科学専攻准教授森浩亮ナノテクノロジー・材料エネルギー資源変換、燃料電池、光機能材料の開発等https://researchmap.jp/7000018582研究の概要ハイエントロピー合金(HighEntropyAlloy)は、5種類以上の元素がほぼ当原子組成比で含まれ、単相の固溶体を形成する金属材料である。HEAでは、i)ハイエントロピー効果、ii)格子歪み効果、iii)低拡散効果、iv)カクテル効果なのどの核心的効果が知られており、従来の合金とは異なる高い比強度、破壊靭性、高延性、高温強度、耐食性を示す大変魅力的な金属材料である。しかしながら、簡便なナノ粒子合成法が確立されておらず、触媒材料としては全く未開拓である。我々は、触媒機能発現を目指したハイエントロピー合金のナノ粒子化法を確立し、さらにCO2水素化反応において特異な触媒活性、高い耐久性を示すことを見出した。ナノテクノロジー・材料77▍研究の意義と将来展望ハイエントロピー合金ナノ粒子担持触媒は、過酷な環境下においても安定性が高く分離・回収の容易な粉末状であるなど、実用化触媒に不可欠な基盤要素を兼ね備えている。さらに、カクテル効果、遅い拡散効果が触媒活性やナノ粒子の構造安定性に起因していることを、理論計算を用いて証明しており学術的な意義も極めて高い。本件研究成果は、エネルギー資源の有効利用を目指した触媒分野のみならず、ナノテクノロジーを基盤とした先進的なマテリアルサイエンス分野へも多大な波及効果をもたらすことが期待される。特論許文参考URLキーワードMori,Kohsuke;Hashimoto,Naoki;Yamashita,Hiromietal.HydrogenSpilloverdrivenSynthesisofHighEntropyAlloyNanoparticlesasaRobustCatalystforCO2Hydrogenation,NatureCommunications,2021,12,p.3884–3893,doi:10.1038/s41467-021-24228-zhttps://www.eng.osaka-u.ac.jp/wp-content/uploads/2021/06/PR20210623_2.pdfナノ構造触媒、合金ナノ粒子、二酸化炭素資源化

コレステリックブルー相液晶の高速電気光学応用に向けた結晶学的理解工学研究科電気電子情報通信工学専攻https://researchmap.jp/hiroyukiyoshida講師吉田浩之教授尾﨑雅則ナノテクノロジー・材料ナディスプレイ、ライダーhttps://researchmap.jp/read0014092ノテクノロジー・材料78研究の概要ディスプレイに用いられているネマティック液晶材料はミリ秒程度で屈折率が切り替わる性質を持ちますが、LIDARなどの応用に向け、より高速なスイッチング速度をもつ液晶の研究開発が行われています。コレステリックブルー相はネマティック相と比較して10倍程度の高速応答性をもつため次世代電気光学材料として期待されていますが、駆動電圧が高いことやヒステリシスを示すことに加え、結晶構造をもつため、電気光学応答が結晶方位に依存する課題がありました。本研究では上記の3つめの課題を解決するため、偏光顕微観察と顕微回折像観察によりブルー相液晶素子の作製時に生じる双晶の構造および電界印加時の挙動を初めて明らかにしました。また、アシスト電界を用いたブルー相の配向制御法を考案し広い面積で一様な配向を得ることに成功しました。制御法は実デバイスとの親和性が高く、高品質なブルー相素子を作製する上で有効です。液晶はディスプレイや光変調器のみでなく、LIDARや焦点可変レンズなどの次世代技術にも搭載が検討されているため、ブルー相が実用化されることで多くの機器の高性能化が期待できます。▍研究の意義と将来展望本研究の与える知見はブルー相素子の特性を理解する学術的な基盤となるため、今後のブルー相液晶素子の開発に資するものです。また、アシスト電界を用いたブルー相の配向特許論文Zhang,Yuxian;Yoshida,Hiroyuki;Ozaki,Masanorietal.Three-dimensionallatticedeformationofbluephaseliquidcrystalsunderelectrostriction.SoftMatter.2020,18,p.3328-3334,doi:10.1039/d2sm00244bZhang,Yuxian;Yoshida,Hiroyuki;Ozaki,Masanorietal.InSituOpticalCharacterizationofTwinninginLiquidCrystallineBluePhases.ACSAppl.Mater.Interfaces.2021,13,p.36130-36137,doi:10.1021/acsami.1c06873Cho,SeongYong;Yoshida,Hiroyuki;Ozaki,Masanorietal.Directedself-assemblyofsoft3Dphotoniccrystalsforhologramswithomnidirectionalcircular-polarizationselectivity.Commun.Mater.2021,2,p.39doi:10.1038/s43246-021-00146-x参考URLキーワード液晶、コレステリックブルー相、結晶学、電気光学材料

エネルギーOSAKAUNIVERSITYRESEARCHPROFILES79

エネルギー変換、カーボンニュートラル、グリーントランスフォーメーション階層横断的視点からのCO2電解還元系の設計・開発基礎工学研究科附属太陽エネルギー化学研究センター准教授神谷和秀https://researchmap.jp/kamiya0908ネルギー80研究の概要水溶液系での電気化学的手法によるCO2還元反応は、クリーンかつ常温常圧で進行することから、CO2の資源化技術として大きな注目を集めています。CO2電解還元の社会実装に向けては、高付加価値物質を高速かつ高選択的に生成できる反応系の構築が必要不可欠です。我々はCO2電解の反応場である三相界面を構築する電極触媒などの各要素を適切に選択・配列することで、世界最高の電流密度で駆動する超高速CO2電解系(C2以上の有機化合物の生成電流密度jC2エネルギーエ+=1.7A/cm2)の立ち上げに成功しました。▍研究の意義と将来展望本研究で構築したCO2の超高速電解系は従来の低速での反応系とは、選択性などに大きな違いがみられます。これは本系が単純に電流密度が高いだけでなく、質的に異なるものであることを示しています。つまり、本系を基盤として創出される学理や本系に適した材料は、既存の低速系のそれらとは全く異なると考えられます。特に新規電極触媒材料開発に関して、本系は大きな転換点になると期待されます。我々が開発した超高速電解系では、触媒表面における中間体COの濃度が従来とはけた違いに高くなることに加え、表面pHも大きく上昇します。これにより競合反応である水素発生が抑制されると考えられます。つまり、従来の低速でのCO2電解では水素発生のみが進行する触媒に対して超高速電解系を適用することで、これまで水素発生に隠されていたCO2電解活性を顕在化させることができると期待されます。特論許文参考URLキーワードInoue,Asato;Nakanishi,Shuji;Kamiya,Kazuhideetal.Ultra-high-rateCO2reductionreactionstomulticarbonproductswithacurrentdensityof1.7A/cm2inneutralelectrolytes.EESCatalysis.2022inpress,doi:10.1039/D2EY00035KLiu,Tengyi;Nakanishi,Shuji;Kamiya,Kazuhideetal.ATinOxide-CoatedCopperFoamHybridizedwithaGasDiffusionElectrodeforEfficientCO2ReductiontoFormatewithaCurrentDensityExceeding1Acm−2.Small.2022inpress,doi:10.1002/smll.202205323https://rcsec.osaka-u.ac.jp/nakanishilabCO2の資源化、電子移動触媒、マルチスケールシミュレーション、人工光合成

AI、情報演算素子スキルミオンのブラウン運動を利用した究極の低消費電力計算への挑戦基礎工学研究科物質創成専攻助教後藤穣エネルギーhttps://researchmap.jp/minori_goto研究の概要我々は、スキルミオンのブラウン運動を利用した究極の低消費電力計算の実現を目指しています。ブラウン運動は、熱揺らぎによってランダムに運動する現象です。エネルギーを消費せずに動くことから、究極の低消費電力技術となる可能性があります。我々は、ス次元強磁性薄膜中でブラウン運動するトポロジカルなスピン構造に着目しています。スキルミオンには、固体中でブラウン運動し、回路実装や室温での検出・制御が容易という特長があります。本研究では、図1と図2に示すスキルミオンの配線やセルラーオートマトンの実装に成功しました。黒丸はスキルミオンであり、スキルミオンはこれらの素子の中をランダムに運動し、情報を伝えます。これらの系では入力と出力における制御と検出以外は外部エネルギーの供給無しで情報が伝搬・演算されるため、極めて小さなエネルギーで計算が実行できます。▍研究の意義と将来展望本研究の意義は、究極の低消費電力計算とは何か?という問いを明らかにできることです。入出力におけるスキルミオンの制御と検出にはエネルギーが必要ですが、その以外の情報伝搬や情報演算はブラウン運動によって行われるためエネルギーを消費しません。この研究を通じて、熱力学限界に近いエネルギーで情報演算ができれば、既存の情報機器の消費エネルギー増大を解決する基盤技術となることが期待されます。図1ブラウン運動するスキルミオンの回路。黒い点がスキルミオンであり、外部エネルギーの供給無しで回路中をランダムに運動します。図2四角いセルに閉じ込められたスキルミオン対。スキルミオン同士は磁気双極子相互作用によって影響を及ぼしあい、情報が伝搬します。エネルギー81特許論文Goto,Minori;Ishikawa,Ryo;Nomura,Hikaruetal.AnnealingProcessofCo-Fe-BbasedMultilayersshowingSkyrmionBrownianMotion,AIP.Adv,acceptedIshikawa,Ryo;Goto,Minori;Nomura,Hikaruetal.ImplementationofskyrmioncellularautomatonusingBrownianmotionandmagneticdipoleinteraction,Appl.Phys.Lett,(2021),Vol.119,072402doi:10.1063/5.0053797Miki,Soma;Jibiki,Yuma;Tamura,Eiitietal.BrownianMotionofMagneticSkyrmionsinOne-andTwo-DimensionalSystems,J.Phys.Soc.Jpn,(2021),Vol.90,083601doi:10.7566/JPSJ.90.083601Jibiki,Yuma;Goto,Minori;Tamura,Eiichietal.SkyrmionBrownianCircuitImplementedinContinuousFerromagneticThinFilm,Appl.Phys.Lett,(2020),Vol.117,082402doi:10.1063/5.0011105Goto,Minori;Nomura,Hikaru;Suzuki,Yoshishige.Stochasticskyrmiondynamicsunderalternatingmagneticfields,J.Magn.Magn.Mater,(2021),Vol.536,167974doi:10.1016/j.jmmm.2021.167974参考URLキーワードスキルミオン、ブラウン運動、情報熱力学、低消費電力

スマートビルディング、省エネルギー、DXスマートビルディング向けエネルギーマネジメント技術情報科学研究科情報システム工学専攻准教授谷口一徹https://researchmap.jp/ittetsuネルギー82研究の概要建物は社会全体のエネルギー消費のうち大きな割合を占めており、その省エネが重要な課題となっています。近年の建物には創エネのための太陽光パネルや蓄エネのための蓄電池が設置されることも多く、空調やスマート家電などのさまざまなエネルギー消費機器も含めた建物全体を管理するエネルギーマネジメント技術の重要性が高まっています。居住者の利便性や快適性を損なわずにエネルギー消費量を削減するためには、予測と最適化が重要なコア技術となります。エネルギーエ太陽光パネルの発電量や電力需要が予測できれば、電気代を最小に抑える蓄電池の充放電スケジューリングが可能です。電力需要のピークとその時間帯が予測できれば、電力需要ピークを回避する運転計画に即座に変更することも可能です。我々の研究グループでは、このような予測と最適化に基づく包括的なエネルギーマネジメント技術を開発しています。特に、深層学習を用いた電力価格や電力需要の予測技術、多数のエネルギー消費機器の運転計画を高速に求める最適化技術を開発しています。▍研究の意義と将来展望このようなエネルギーマネジメント技術により、エネルギー消費量の「削減」だけでなく「調整」も可能となります。これにより新たなエネルギーサービスの実現にも貢献し、エネルギー分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)を牽引します。図1.提案手法の概要図2.居住者の熱的快適性を考慮した空調のスケジューリング例特許EP3767559A1,US2021011439A1論文Watari,Daichi;Taniguchi,Ittetsu;Goverde,Hansetal.Multi-timescaleenergymanagementframeworkforsmartPVsystemsmixingfastandslowdynamics.AppliedEnergy.2021,Volume289,116671,doi:10.1016/j.apenergy.2021.116671Iwabuchi,Koki;Kato,Kenshiro;Watari,Daichietal.Flexibleelectricitypriceforecastingbyswitchingmotherwaveletsbasedonwavelettransformandlongshort-termmemory.EnergyandAI.2022,Volume10,100192,doi:10.1016/j.egyai.2022.100192参考URLキーワードスマートビルディング、エネルギーマネジメントシステム、蓄電池、スマート家電、太陽光エネルギー

エネルギーエネルギー政策、効率性測定エネルギー計画モデルの多面的な効率性評価情報科学研究科情報数理学専攻教授森田浩特任研究員SudlopRatanakuakangwanhttps://researchmap.jp/read0042934https://researchmap.jp/ratanakuakangwan_sud研究の概要本研究では、多目的最適化と包絡分析法DEAによる効率性測定の考え方を組み合わせ、エネルギー要件と不確実性シナリオを考慮した最も効率的なエネルギーミックスを決定するフレームワークを提供している。提案モデルでは、エネルギー需要、コスト、環境への影響、セキュリティ、社会的影響、および社会的利益に関連する要件を満たすための多目的関数が用いられ、スラック規準型尺度を用いた効率性分析によって、生成された代替案から最適なエネルギーミックスを決定する方法を示している。不確実性シナリオを考慮しつつ、発電量、直接雇用、再生可能エネルギー発電量を最大化し、経済的コスト、二酸化炭素排出量、社会的コスト、発電所依存度を最小化するようなエネルギーミックスを求めている。▍研究の意義と将来展望本研究では、2段階の効率性測定方法が用いられており、多目的関数を適用してあらゆる可能性を考えた第1段階の結果から、グループ別の効率性測定による第2段階において最適なエネルギーミックスを決定している。これは、一連の要件と不確実性のシナリオの下での定量的な評価を示すものであり、適切なエネルギー政策を立案する際に有効となるものである。エネルギー83図1不確実性シナリオの下での7つの方針に対する最適エネルギーミックス図2需要シナリオによって分類した効率性スコアの変動特許論文Ratanakuakangwan,S;Morita,H.Multi-aspectefficiencymeasurementofmulti-objectiveenergyplanningmodeldealingwithuncertainties.AppliedEnergy2022,313:118883.doi:10.1016/j.apenergy.2022.118883参考URLキーワード多目的最適化、効率性測定、エネルギー計画、最適なエネルギーミックス、スラック規準型尺度

気候変動対策、スマートシティ住宅・建築物ストックのエネルギー需要のモデリングと脱炭素化に関する研究工学研究科環境エネルギー工学専攻准教授山口容平https://researchmap.jp/read0140668ネルギー84研究の概要本研究は、住宅・建築物ストック全体のエネルギー需要、二酸化炭素排出量を推計するシミュレーションモデルを開発しています。開発モデルは、①ストック全体の需要を個々の住宅・建築物のエネルギー需要の合計として定量化していること、②個々の住宅・建築物のエネルギー需要推計において人の行動を模擬していること、③ストック構成の多様性、経年変化を考慮していることにより、ストックの脱炭素化のために必要となる分析機能を備えた仕様に設計されていますエネルギーエ。▍研究の意義と将来展望住宅・建築物ストックの脱炭素化は重要な課題です。日本政府は2030年度までに2013年比で二酸化炭素排出量を半減し、2050年度までにゼロ(カーボンニュートラル)にする目標を掲げています。目標実現のためには、住宅・建築物・エネルギー消費機器の省エネルギーによるエネルギー需要の削減、暖冷房・給湯などエネルギー源の電化、太陽光発電等再生可能エネルギーの利用など、様々な技術的対策の導入が必要です。行動変化を含む生活様式の変更も注目されています。「これらの対策をいつ、どの程度導入する必要があるのか?」を明らかにすることができれば、二酸化炭素排出量の削減目標達成のために必要な政策や技術開発の設計に貢献することができます。業務部門を対象とするモデルの概要日本の業務部門を対象とするエネルギー需要の推計結果特論許文Yamaguchi,Yohei;Yoshizawa,Shinya;Shimoda,Yoshiyukietal.Feasibilityassessmentofnetzero-energytransformationofbuildingstockusingintegratedsyntheticpopulation,buildingstock,andpowerdistributionnetworkframework.AppliedEnergy2023;333:120568.doi:10.1016/J.APENERGY.2022.120568Li,Yuanmeng;Yamaguchi,Yohei;Shimoda,Yoshiyuki.Impactofthepre-simulationprocessofoccupantbehaviourmodellingforresidentialenergydemandsimulations.JBuildPerformSimul2022;15:287–306.doi:10.1080/19401493.2021.2022759Yamaguchi,Yohei;Kim,Bumjoon;Shimoda,Yoshiyukietal.Buildingstockenergymodelingconsideringbuildingsystemcompositionandlong-termchangeforclimatechangemitigationofcommercialbuildingstocks.ApplEnergy2022;306:117907.doi:10.1016/J.APENERGY.2021.117907参考URLhttp://www.see.eng.osaka-u.ac.jp/seeue/seeue/キーワード気候変動対策、エネルギー需要推計、脱炭素化、民生部門

エネルギー電気自動車、エネルギー貯蔵、スマートデバイス次世代二次電池に向けた新電解液材料の設計産業科学研究所エネルギー・環境材料研究分野教授山田裕貴https://researchmap.jp/yuki_yamada研究の概要リチウムイオン電池のエネルギー密度を大きく超える次世代二次電池として、リチウム金属を負極とした様々な二次電池概念(リチウム金属二次電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池など)が注目されている。しかし、リチウム金属の高い反応性(強還元性)が引き起こす電解液の分解により、充放電効率が低いことが問題となっている。本研究では、電解液設計によりリチウム金属の反応性を制御する手法を新たに見いだした。本概念に基づき、リチウム金属の反応性(還元力)を低下させることができる複数の電解液材料を提案し、99%以上の充放電効率を達成した。▍研究の意義と将来展望本研究は、リチウム金属を負極として採用する次世代二次電池用電解液設計の明確な指針を提示するものであり、その実用化に向けた研究開発を大きく加速させる。リチウムイオン電池の負極を黒鉛からリチウム金属に置き換えることで、電極重量基準の理論エネルギー密度は約1.4倍になる。更には、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池など、高容量正極反応の実用化開発が進展すると、リチウムイオン電池の数倍のエネルギー密度を達成可能である。このような高エネルギー密度の次世代二次電池は、電気自動車用バッテリーとして有望である。ガソリン自動車並みの航続距離を実現することができ、電気自動車の大規模普及に大きく貢献する。図1リチウム金属二次電池図2リチウム金属の反応電位と充放電効率の相関性エネルギー85特許特願2021-164244論文Ko,Seogjae;Yamada,Atsuo;Yamada,Yukietal.Electrodepotentialinfluencesthereversibilityoflithium-metalanodes,Nat.Energy,2022,7,1217,doi:10.1038/s41560-022-01144-0Yamada,Yukietal.Advancesandissuesindevelopingsalt-concentratedbatteryelectrolytes,Nat.Energy,2019,4,269,doi:10.1038/s41560-019-0336-z参考URLhttps://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/eem/キーワード二次電池、リチウム金属、電解液、高エネルギー密度


ものづくり技術OSAKAUNIVERSITYRESEARCHPROFILES87

プラスチック、下排水処理、サーキュラーエコノミー余剰汚泥をバイオ触媒として活用したバイオプラスチック生産システムの開発工学研究科環境エネルギー工学専攻准教授井上大介https://researchmap.jp/DaisukeINOUE研究の概要下排水処理の汎用技術である活性汚泥法では、処理に伴い発生する余剰汚泥の資源転換促進が重要な課題である。現在はメタンやコンポスト等への転換が進められているが、いずれの資源転換技術でも、製造される資源の付加価値は高いものとはいえず、また、多種多様な微生物で構成される余剰汚泥の特性が十分に活かされていない。そこで我々は、下水処理場において、余剰汚泥を“バイオ触媒”として活用し、産業排水等を原料としてバイオプラスチック原料であるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を生産することを構想し、余剰汚泥からPHA蓄積微生物を迅速集積する技術や、汚泥からのPHA回収技術など、一連の基盤技術の確立を進めている。ものづくり技術も▍研究の意義と将来展望のづくり技術本研究は、現状では公衆衛生・水環境保全・持続的水利用に資する都市の静脈インフラの役割をもつ下水処理場に化成品として価値のあるPHAを生産するバイオリファイナリー(=動脈)の役割を付与し、循環型社会の中核をなす都市インフラに進化させることを目標としており、本構想の実現は脱炭素社会に対して大いに貢献するものと考えている。また、生産されるPHAは、海洋生分解性を有88し、多用途で石油系プラスチックに代替し得るバイオプラスチック原料であることから、本構想システムによる安価・低エネルギー投入によるPHA生産は環境保全の観点でも重要な意義を有する。下水処理場をPHA生産のバイオリファイナリーに転換する構想余剰汚泥をバイオ触媒として活用したPHA生産のフロー特論許文参考URLキーワードInoue,Daisuke;Fukuyama,Atsushi;Ike,Michihikoetal.Optimizationofaerobicdynamicdischargeprocessforveryrapidenrichmentofpolyhydroxyalkanoatesaccumulatingbacteriafromactivatedsludge.BioresourceTechnology.2021,336,125314,doi:10.1016/j.biortech.2021.125314Ike,Michihiko;Okada,Yukihiro;Inoue,Daisukeetal.Potentialofwasteactivatedsludgetoaccumulatepolyhydroxyalkanoatesandglycogenusingindustrialwastewater/liquidwastesassubstrates.WaterScienceandTechnology.2019,80(12),2373-2380,doi:10.2166/wst.2020.059http://www.see.eng.osaka-u.ac.jp/wb/ikelab/https://see.eng.osaka-u.ac.jp/topics/staff/3724.html余剰汚泥、バイオ触媒、バイオプラスチック、ポリヒドロキシアルカン酸

微細表面テクスチャの導入による切削工具の高機能化とその応用工学研究科機械工学専攻准教授杉原達哉ものづくり技術ものづくり、金属加工、可視化https://researchmap.jp/t.sugihara研究の概要近年、切削工具表面に微細な三次元周期構造、すなわち微細表面テクスチャを導入することによって、切削工具の高機能化を図るという研究が注目を集めている。その一方で、表面構造のパターンとそれがもたらす機能の関係には不明な点が多く、最適な表面構造についての設計手法も未だ確立されていない。そこで本研究では、粒子画像流速測定法を用いた切削加工現象のその場観察技術を援用することで、微細表面テクスチャがもたらす効果を「可視化」することによって、工具表面テクスチャの作用機序や発現条件を明らかにし、最適なテクスチャ設計指針の明確化を試みた。新たな研究・技術分野の開拓・確立が期待できると考えている。図1微細表面テクスチャを有する切削工具のコンセプト▍研究の意義と将来展望近年の切削加工分野では、加工の高速化・高精度化・ドライ化、被削材の難削化が進み、切削工具は極めて過酷な熱的・機械的負荷に晒されている。そういった中で、本研究は“工具表面の微細な三次元構造”という新たな要素に着目した研究技術であり、従来手法では困難であった切削工具の高度化の実現が大いに期待できる。さらに、可視化によるメカニズムの理解が進むことによって、経験的なノウハウの蓄積が進む一方で、理論に基づく合理的な設計手法の確立が課題とされている表面テクスチャリング技術の体系化が促され、図2テクスチャ近傍の材料変形挙動の可視化結果ものづくり技術89特論許文Sugihara,Tatsuya;Kobayashi,Ryota;Enomoto,Toshiyuki.Directobservationsoftribologicalbehaviorincuttingwithtexturedcuttingtools,InternationalJournalofMachineToolsandManufacture,2021,Vol.168,103726,doi:10.1016/j.ijmachtools.2021.103726参考URLhttp://www-cape.mech.eng.osaka-u.ac.jp/キーワード可視化、切削加工、トライボロジー

パワーデバイス、EV/HEV、ドローン、宇宙航空、5G/6G通信SiCヒーターチップを用いたパワーモジュール熱評価と構造信頼性評価システムの開発産業科学研究所実装協働研究所https://researchmap.jp/chenchuantong特任准教授(常勤)陳伝彤特任教授菅沼克昭https://researchmap.jp/ksuganuma研究の概要のづくり技術90次世代のパワー半導体を用いたパワエレ技術を駆使した電力変換器の高出力密度化、小型化と電力損失の低減の実現が期待されている。また、極限状態で動作するパワー半導体は、その熱特性の正しい評価が材料開発のみならず信頼性評価の観点からも特に重要である。その高い信頼性を実現するためには、発熱状態を理解した上で放熱構造などを適切に設けた温度制御が鍵となる。本研究では、パワー半導体の動作による発熱を疑似的に発生させることで実装プロセス等の性能評価、信頼性評価を効率的に行う熱評価用疑似発熱チップ(Thermal-testEngineeringGroup,TEG)を設計・開発した。TEGチップを用いたパワーモジュールのパワーサイクル試験を模擬し、従来の鉛フリーはんだよりものづくり技術もAg焼結接合構造が高い信頼性を持つことが証明された。▍研究の意義と将来展望従来は実チップ、パワーサイクル試験機およびT3Ster3からなる大掛かりな構成からのみ測定可能だったが、TEGチップを利用することにより、実装材料放熱特性の評価および全体的なモジュール構造の信頼性評価までをTEGチップの電源On/offコントロールにより簡便な形で実現することができた。この成果は、実装材料開発メーカー、基板メーカーおよび関連のパワーモジュール製造メーカーでは低コストかつ短周期で熱特性と信頼性評価を可能とするため、大きく注目された。Figure1(a)theSEMimageofSiCheaterchip,(b)TemperaturedistributionofSiCheaterchipattachedonDBCsubstratebyAgsinterpastejoininginthecaseofthepowersourcebeingONbyfiniteelementsimulation.(c)Temperaturedistributionintheverticaldirection.Figure2(a)MeasurementsystemofthermalpropertycharacterizationandPowersourceelectrodeappliedontheDBCsubstrate.(b)SchematicdiagramofthethermalcharacterizationevaluationsystemoftheSiCheaterchipdie-attachedstructure,(c)SEMimageofthecrosssectionofSiCheaterchipconnectedtotheDBCbyAgsinterpastejoining.(d)Changeofthermalresistanceofthedie-attachedstructuresbyvarioussoldersandAgsinterpastejoiningduringpowercycling.特許論文Kim,Dongjin;Nagao,Shijo;Chen,Chuantongetal.OnlinethermalresistanceandreliabilitycharacteristicmonitoringofpowermoduleswithAgsinterjoiningandPb,Pb-freesoldersduringpowercyclingtestbySiCTEGchip.IEEETransactionsonPowerElectronics.2021,36(5)pp.4977-4990,doi:10.1109/TPEL.2020.3031670参考URLキーワードパワーエレクトロニクス、SiCヒーターチップ、熱抵抗測定、Ag焼結接合

創薬、有機電子材料「フッ素を切る&つなげる」という革新的コンセプトに基づく有機フッ素化合物の新規合成法工学研究科応用化学専攻/先導的学際研究機構触媒科学イノベーション研究部門(ICS-OTRI)准教授西本能弘教授安田誠ものづくり技術https://researchmap.jp/nishimoto123https://researchmap.jp/read0185253研究の概要世界で初めての炭素-フッ素結合への1炭素ユニットの挿入反応によるフッ素化合物の合成法を確立した。この反応は、「フッ素を切る&つなげる」という革新的なコンセプトが鍵となった新しいフッ素化合物合成法である。三フッ化ホウ素の「フッ素を切る&つなげる」という二つの働きが重要であり、三フッ化ホウ素がアルキルフルオリドからフッ化物イオンを引き抜き(「フッ素を切る」)、その後、フッ化物イオンを中間体に戻す(「フッ素をつなげる」)ことで、反応が完結することを量子化学計算により明らかにした。▍研究の意義と将来展望本研究で開発した「フッ素を切る&つなげる」という革新的手法は複雑なフッ素化合物ライブラリの構築を可能とし、そのことにより未知のケミカルスペースの創出が期待される。フッ素化合物は医薬品や農薬、機能性樹脂、有機電子材料などに実用化されている重要な化合物群であるために、次世代の医薬品や機能性材料の開発に大きな波及効果をもたらす。ものづくり技術91特許論文Wang,Fei;Nishimoto,Yoshihiro;Yasuda,Makoto.InsertionofDiazoEstersintoC–FBondstowardDiastereoselectiveOne-CarbonElongationofBenzylicFluorides:UnprecedentedBF3CatalysiswithC–FBondCleavageandRe-formation.JournaloftheAmericanChemicalSociety.2021,143(49),p.20616–20621,doi:10.1021/jacs.1c10517参考URLキーワードルイス酸、フッ素化合物、炭素-フッ素結合活性化、挿入反応

非接触検査、品質保証、トレーサビリティギャップ変動を伴うガスメタルアーク溶接の溶融池モニタリングと深層学習モデルによる溶落ち予測と溶込み深さ推定工学研究科マテリアル生産科学専攻講師野村和史https://researchmap.jp/kzfmnmrのづくり技術92研究の概要ギャップ変動のあるレ型開先ガスメタルアーク溶接において、溶接中のモニタリング画像を用いた深層学習モデルを構築し、溶接品質を予測した。PythonとライブラリKerasを利用し、溶融池やアークの様子を含む画像を入力としたCNN(畳み込みニューラルネットワーク)モデルを作成した。出力は、分類モデルを用いて溶落ちの有無を、回帰モデルを用いて溶込み深さとし、それぞれ予測や推定を行った。階段状およびテーパ状のサンプル形状に本手法を適用した結果、過大溶込みと溶落ちを事前に予測することができた。また、溶込み深さの推定については、95%以上が1mm未満の誤差という高精度を得ることができた。ものづくり技術も▍研究の意義と将来展望本研究は、1カメラによるモニタリングのみで見えない溶接品質を推定できるものであり、対象としたレ型開先以外にも応用が可能である。出力も溶込みではなく欠陥の有無などへの展開も期待され、溶接施工の品質保証に関して革新的なモニタリングツールとなると考えられる。特許論文Nomura,Kazufumi;Matsumura,Takumi;Asai,Satoruetal.Burn-throughpredictionandwelddepthestimationbydeeplearningmodelmonitoringthemoltenpoolingasmetalarcweldingwithgapfluctuation,JOURNALOFMANUFACTURINGPROCESSES,61(2021)590-600.doi:10.1016/j.jmapro.2020.10.019野村和史,松村匠,浅井知:溶融池モニタリングと深層学習を用いたマグ溶接の溶込み推定手法に関する研究(解説記事),溶接学会誌,90,8(2021)13-17参考URLhttp://www.mapse.eng.osaka-u.ac.jp/miea/キーワードAI、CNN、カメラ、溶接、溶込み深さ

線形摩擦接合を用いた接合部の組織制御とその応用接合科学研究所教授藤井英俊ものづくり技術自動車構造体、ガスタービン、金型https://researchmap.jp/read0051741研究の概要我々の研究グループは、あたかも接合部が存在せず、各種金属材料同士をそのまま連続的に接合することができる「完全接合」技術を確立した。接合したい材料同士を押し付けながら昇温する固相接合に関して、「大きな接合圧力を印加することで接合温度が低下する」という意外な接合原理の発見により、接合圧力で接合温度を正確に制御することに成功した。従来の接合方法では接合部は構造体の特異点となり、金属材料が本来有する優れた特性を十分に活用することができなかったが、圧力制御線形摩擦接合では接合部を母材と同等と見做すことができる。例えば、チタン合金や鋼は無変態接合によって接合部の信頼性を担保でき、アルミニウム合金では熱影響部の軟化を完全に抑制することができる。▍研究の意義と将来展望本研究成果により、接合部における強度及び信頼性の低下を考慮することが不要となり、様々な手法で高強度化されたチタン合金、鋼及びアルミニウム合金等の各種金属材料の特性がそのまま反映される良好な接合構造体を得ることができる。また、金属構造体の製造のみならず、部分的な補強技術や補修技術としても活用できる。さらに、材料特性の劣化に留意することなく、金属材を任意の形状及び大きさに組み上げていくことも可能となることから、切削によって材料を除去する従来の製造方法から、必要最小限の材料を付加する製造方法への転換にも寄与することが期待される。図A6061アルミニウム合金接合部の硬度分布新接合技術で得られた接合部は母材と同じ硬度分布を有しています。このような接合部は、あらゆるアルミニウム合金に形成させることができます。図線形摩擦接合の模式図被接合材同士の加圧・摺動により接合を達成します。ものづくり技術93特許特許第6819959号、特許第6819958号、特許第6796839号、特願2022-138404論文Jeong-Won,Choi;Aoki,Yasuhiro;Ushioda,Kohsakuetal.LinearfrictionweldingofTi-6Al-4Valloyfabricatedbelowβ-phasetransformationtemperature.ScriptaMaterialia.Volume191,p.12-16,doi:10.1016/j.scriptamat.2020.09.013参考URLhttp://www.jwri.osaka-u.ac.jp/~jthub/キーワード線形摩擦接合、組織制御、接合温度、硬度分布


ソーシャルイノベーションOSAKAUNIVERSITYRESEARCHPROFILES95

ボランティア活動、地域防災、災害救援、復興支援災害ボランティアのグループ・ダイナミックス人間科学研究科教授渥美公秀https://researchmap.jp/read0076469ーシャルイノベーション96研究の概要年阪神・淡路大震災の時(私自身は当時神戸大学助教授でした)が災害ボランティア元年と呼ばれ、それ以来、災害が発生すればボランティアが駆けつけるということが社会に定着しました。災害ボランティア活動は、直後の救援活動から復興支援や地域防災活動へと拡大されています。私は、1995年以来、災害ボランティアの心理的要因、社会的要因に注目し、現場での長期的なフィールドワーク(KOBE、新潟県小千谷市、岩手県野田村など)を通して、人々の心理と現代社会との関係の動態を研究してきました。成果は、国内外の論文として発刊するとともに、書籍にて公刊してきました。災害と共生研究会を主宰し、電子ジャーナル「災害と共生」を編集し、認定NPO法人日本災害救援ボランティアネットワークの副理事長を兼務しています。ソーシャルイノベーションソ▍研究の意義と将来展望災害ボランティアは、ただ無条件に被災者の傍にいて、返礼を期待せずに贈与します。これは効率性や有効性にばかり囚われた日常の中では忘れられている行為の存在を告げています。災害ボランティアに関する研究は、災害後の新たな社会構築の場面を通して、新しい人間関係の可能性を考察しデザインしていきます。ここに全ての人々が生きがいを育むことのできる社会を創造していく道筋の1つを見据えておきたいと思います。図1被災地のリレー写真1ぼうさい探検隊特許論文Atsumi,Tomohide.RelayingSupportinDisaster-AffectedAreas:TheSocialImplicationsofa“Pay-it-Forward”Network.Disasters,2014,38(s2),p.144-156.doi:10.1111/disa.12067渥美公秀・石塚裕子(2021).誰もが<助かる>社会:まちづくりに織り込まれた防災.新曜社渥美公秀・貫牛利一(2021).東日本大震災と災害ボランティア.大阪大学出版会渥美公秀(2014).災害ボランティア:新しい社会へのグループ・ダイナミックス.弘文堂Daimon,Hiroaki;Atsumi,Tomohide.‘PayitForward’andaltruisticresponsestodisastersinJapan:Latentclassanalysisofsupportfollowingthe2011TohokuEarthquake.VOLUNTAS:InternationalJournalofVoluntaryandNonprofitOrganizations,2018,29(1),p.119–132.doi:10.1007/s11266-017-9880-yDaimon,Hiroaki;Atsumi,Tomohide.“PayitForward”asaStrategyforExtendingthePost-DisasterAltruisticCommunity.NaturalHazards:JournaloftheInternationalSocietyforthePreventionandMitigationofNaturalHazards,2018,93,p.699–713.doi:10.1007/s11069-018-3309-9参考URL(認特)日本災害救援ボランティアネットワークhttp://www.nvnad.or.jp/index.htmlキーワード災害ボランティア、グループ・ダイナミックス、被災地のリレー、防災といわない防災、まちづくりに織り込まれた防災

ソーシャルイノベーション医療・ヘルスケア、創薬、セキュリティ無線・無給電MEMS振動子センサー工学研究科物理学系専攻教授荻博次https://researchmap.jp/read0042771研究の概要独自考案した無線振動子センサー技術を、多チャンネルかつバッテリーフリー(無給電)のセンシングシステムに展開し、半永久的計測という測概念のもと、疾患診断だけでなく、複合的な生体分子反応の理解の深化、人がアクセスできない箇所でのガスセンシング、構造物に埋め込んでの健全性モニタリング、生きた動物内の長期間にわたる生体信号モニタリング等、幅広い展開を可能とする振動子センサーシステムを確立し、革新的振動子デバイスの研究拠点を構築することを目指している。図1振動子センサーの用途の例▍研究の意義と将来展望本技術シーズは、超高感度だけでなく、バッテリーフリーかつ数十メートルでの遠隔計測を可能とする。感染症や様々な疾患に対する遠隔診断や、原子力発電所等人の出入りが困難な箇所での水素ガス濃度の半永久計測、高速道路やビル等のコンクリートに埋め込んで、半永久的に内部応力を計測する非破壊検査用のセンサーとしても機能し、安全・安心・健康な未来社会の構築に貢献することが期待される。図2MEMS振動子センサーによる水素ガス検出の例ソーシャルイノベーション97特許特許第4981998号、特開2021-131315、特開2019-138628論文Lianjie,Zhouetal.MEMShydrogengassensorwithwirelessquartzcrystalresonator,Sens.Actuat.B.334,129651(2021).doi:10.1016/j.snb.2021.129651Noi,Kentaroetal.Disaggregationbehaviorofamyloidβfibrilsbyanthocyaninsstudiedbytotal-internal-reflection-fluorescencemicroscopycoupledwithwirelessquartz-crystalmicrobalancebiosensor,Anal.Chem.93,11176-11183(2021).doi:10.1021/acs.analchem.1c01720Noi,Kentaroetal.Ultrahigh-FrequencyWirelessMEMSQCMBiosensorforDirectLabel-FreeDetectionofBiomarkersinaLargeAmountofContaminants,Anal.Chem.91(15),9398-9402(2019).doi:10.1021/acs.analchem.9b01414参考URLキーワードQCM、無線、無給電、バイオセンサー、ガスセンサー

あらゆる新規科学技術、研究倫理審査、社会実装プロセス人文社会科学の知見を活かしたELSI共創研究社会技術共創研究センターセンター長岸本充生https://researchmap.jp/kishimoto-atsuoソーシャルイノベーションソ研究の概要AIをはじめとする新規科学技術を研究開発し社会実装するためには、技術そのものの課題に加えて、倫理的・法的・社会的課題(ELSI)と呼ばれる課題群に対処する必要がある。つまり、イノベーションのためには、狭い意味での「科学技術」だけでなく、ELSIへ対処するためのツールやノウハウ、手順といった「社会技術」をも同時に研究開発しなければならない。社会技術共創研究センター(通称、ELSIセンター)では2020年4月の発足以来、学内・学外の様々な組織と連携し、それらの中から多様なELSI共創研究が誕生している。科学の分野における産学共創はこれまであまりなく、潜在的なニーズはきわめて大きいと考えられる。ELSIセンターには、ELSI共創の知見が蓄積されつつあり、得られたノウハウを形式化・可視化しておくことを目指している。▍研究の意義と将来展望新規科学技術を社会実装する際には、現行の法規制を遵守するだけでは社会に受容されないケースも多く、逆にまた現行の法規制では十分に対応できないケースも多い。これらは、技術革新のスピードが法規制の改正のスピードを上回ることの必然的な帰結である。人文社会科学の知見を科学技術イノベーションに活用する取り組みは、第6期科学技術・イノベーション基本計画において「総合知」として取り上げられている。また、人文社会ーシャルイノベーション98特許岸本充生「科学と政策の間のギャップの可視化と橋渡し―リスク学の知見の貢献」研究技術計画.36巻2号.116-127(2021年)岸本充生「新興技術の“レスポンシブルな”社会実装のために」日本機械学会誌.124巻24-29(2021年)論文岸本充生「倫理的・法的・社会的課題(ELSI)という考え方――なぜ今,企業活動において注目されているのか」ビジネス法務.21巻7.35-37(2021年)岸本充生「エマージングリスクという新知見─どう発見し、どう社会に生かすか」学術の動向.25巻12号.26-29(2020年)https://elsi.osaka-u.ac.jp/参考URLhttps://researchmap.jp/kishimoto-atsuoキーワードテクノロジーアセスメント、倫理的・法的・社会的課題(ELSI)、リスクガバナンス、プライバシー影響評価

多文化社会における教育と国民形成に関する研究人間科学研究科准教授北山夕華ソーシャルイノベーション教育、子ども・若者政策https://researchmap.jp/kitayamayuka研究の概要多文化化する社会において、違いが当たり前に認められ、一人一人が尊重される民主的な社会を築くための教育は、どのようなものだろうか。また、そうした教育は異なる社会的・文化的条件においてどう実践されるのだろうか。本研究は、日本に加えて主にノルウェーとイギリスを研究対象とし、多様な背景の子どもがともに学ぶ教室を前提とした学校教育やそれを支える教師教育、さらに学校と地域との連携のあり方に注目した国際比較研究である。政策分析と現地調査に加え、アイデンティティに関するアンケート調査を実施し、多文化社会における包摂的な国民形成と教育のあり方について多角的な考察を試みている。また、教育政策が策定され、それが公的なカリキュラムに反映され、さらに教育現場で実践される過程において、現場の事情や関係者の解釈を含みながらどう変化しているかにも注目している。▍研究の意義と将来展望2018年の入管法改正により、日本における移民受け入れは新たな段階に入ったと言える。かれらは単なる「労働力」ではなく、他の人々とつながり、地域社会で生きていく市民である。「違い」を強みにし、民主的な社会を維持するためには、それを支える教育のあり方も、均質な社会を前提としたものではなく、多文化社会における共生を目指したものに再構築していくことが喫緊の課題である。国際比較研究には、異なる社会的・文化的文脈の事例から相互に学び、よりオープンで民主的な社会の実現のために有効な教育のあり方を共に検討するという意義がある。また、日本の教育機関や民間団体とも連携し、実践的な知見を日本の教育現場に還元していきたいと考えている。ソーシャルイノベーション99特論許文Kitayama,Yuka;Hashizaki,Yoriko;Osler,Audrey.Theethicsofcareasapedagogicalapproach:Implicationsforeducationfordemocraticcitizenship.EducationalStudiesinJapan.2022,No.16,31-43.doi:10.7571/esjkyoiku.16.31Kitayama,Yuka;Kawaguchi,Hiromi;Hashizaki,Yoriko;Minamiura,Ryosuke.(2020).TeacherEducationforSocialJustice:CasestudiesofJapaneseandNorwegianeducators.AnnalsofEducationalStudies,2020,No.25,51-62.doi:10.18910/73995北山夕華『英国のシティズンシップ教育—社会的包摂の試み−』,2014,早稲田大学出版部参考URLhttps://www.researchgate.net/profile/Yuka-Kitayamahttp://lifelong.hus.osaka-u.ac.jp/index.htmlキーワード多文化社会、教育、国民形成、シティズンシップ教育、ノルウェー、イギリス

労働、メンタルヘルス、効果検証どうすれば就業率を高められるか?どうすれば人々の労働意欲を高められるか?国際公共政策研究科教授小原美紀https://researchmap.jp/mkoharaーシャルイノベーション100ソーシャルイノベーションソ研究の概要人々の働く意欲を高めるためにはどうすればよいか。失業者の職探しや就業者の労働意欲を高める環境整備とは何か。私は、社会政策や環境が個人の労働供給に与える影響をデータ解析により明らかにしている。これまでの分析で、政府や自治体の支援策が若者の求職活動を活発にすることや、企業の情報提供の在り方で労働者と企業のジョブマッチングが変わることがわかった。また、就業者については、労働環境の悪さが本人も気付かないうちに労働意欲の減退や生産性の低下、健康状態の悪化につながることを指摘してきた。さらに女性の労働に目を向けて、日本では既婚女性が柔軟に働き方を変えることで、家計が被る経済ショックを緩和させていることを示してきた。▍研究の意義と将来展望私の研究は、日本全国の様々な立場にある人の、様々な時代の労働供給を分析対象としている。なかでも、就業経験が少なく技術を持たない若年層や、結婚や出産により就業を中断された既婚女性の労働に私は関心を持っている。若年も女性も日本では十分に活かされていない労働力であり、労働市場で弱い立場に置かれることが多い。彼らにとって「間違いの少ない」政策分析をするためにも、教育現場での実験や、日本特有の環境変化を使った社会実験、家族や若者の情報を長期的に捉えたデータを使った新しい分析を進めたい。シンガポールでのキャリアフェア調査(左)大阪府仕事フィールドでの調査実験(右)労働現場での調査・実験を用いた政策分析へのこだわり「間違いの少ない」政策分析をするために、労働現場での実験や追跡調査を自らの手で行うことを大切にしている。特許論文Ishikawa,Yumi;Kohara,Miki;Nushimoto,Aya.JobStressandMentalHealthamongSocialWorkers:EvidencefromaFieldExperimentataPublicEmploymentSupportInstitutioninJapan.TheJapaneseEconomicReview.2022,73;123–146.doi:10.1007/s42973-021-00100-zKohara,Miki;Maity,Bipasha.TheImpactofWork-LifeBalancePoliciesontheTimeAllocationandFertilityPreferenceofJapaneseWomen.JournaloftheJapaneseandInternationalEconomies.2021;60(1);101134.doi:10.1016/j.jjie.2021.101134中山真緒、小原美紀「情報提供は人々の行動を変えさせるか―求職者のジョブサーチ行動に注目して」、『日本経済研究』、2022、No.80、1-24塗師本彩、小原美紀、黒川博文「就職支援プログラムと若年失業者のメンタルヘルス」、『日本経済研究』、2021、No.79、44-69参考URLキーワード労働供給、ジョブマッチング、積極的労働市場政策、職場環境、家族の時間配分

超高齢社会を視野に入れた老年学の枠組みによる長期縦断研究SONIC人間科学研究科教授権藤恭之ソーシャルイノベーション医療・ヘルスケア、幸福長寿、高齢社会、百寿者https://researchmap.jp/ygondo研究の概要今後ますます進展する社会の高齢化を鑑みると、高齢者研究のなかでも特に高い年齢の人たちを視野に入れた研究が求められる。そこで私たちは、大阪大学の医学系研究科、歯学研究科そして、外部の共同研究機関と共同で老年学の枠組みに基づいた長期縦断研究SONICを開始した(図1)。SONIC研究の目的は高齢期から超高齢期にかけての加齢の様態、健康長寿および幸福長寿の関与要因を解明することである。これまで、ミクロレベルでは、認知機能の低下のマーカーとなりうる血漿タンパク質糖鎖の同定、マクロレベルでは、地域環境や社会関係資本と精神的健康の関係まで、幅広い領域における研究成果を報告している。▍研究の意義と将来展望ヒトの加齢は身体・生理学的、心理的、社会的側面が相互に影響しあいながら生じる。したがって、その複雑な過程を解明するためには学際的、老年学的な枠組みが欠かせない。また、ヒトの加齢を考えると、長期にわたって縦断的にデータを蓄積することが求められる。さらに、様々な機能の低下が進行する超高齢期では、幸福感に関与する心理的な適応プロセスの解明が欠かせない。SONIC研究では老年的超越と呼ばれる加齢に伴う心理的変化に注目し、幸福長寿への関与に関する数多くの成果を上げてきた(図2)。今後も調査を継続し、人生100年時代の理想的な学際的加齢モデルの構築を目指している。図1SONIC研究の概要図2加齢に伴う老年的超越の上昇とその影響ソーシャルイノベーション101特論許文Gondo,Yasuyuki;Masui,Yukie;Kamide,Keietal.SONICStudy:ALongitudinalCohortStudyoftheOlderPeopleasPartofaCentenarianStudy.InN.A.Pachana(ed.),EncyclopediaofGeropsychology,SpringerScienceBusinessMediaSingapore.2015.doi:10.1007/978-981-287-080-3_182-1Gondo,Yasuyuki;Nakagawa,Takeshi;Masui,Yukie.Anewconceptofsuccessfulagingintheoldest-old−Developmentofgerotranscendenceanditsinfluenceonthepsychologicalwell-being.AnnualreviewofgerontologyandgeriatricsVolume33,Robine,J.M.,Jagger,C.andCrimmins,E.,(Eds.),Springer,NewYork.2013.2.doi:10.1891/0198-8794.33.109Miura,Yuri;Hashii,Noritaka;Tsumoto,Hirokietal.SONIC(Septuagenarians,Octogenarians,NonagenariansInvestigationwithCentenarians).ChangeinN-GlycosylationofplasmaproteinsinJapanesesemisupercentenarians.PLoSOne.2015;10:e0142645.doi:10.1371/journal.pone.0142645Mihara,Yusuke;Matsuda,Ken-Ichi;Hatta,Koudaietal.Relationshipbetweengerotranscendenceandoralhealth-relatedqualityoflife.JOralRehabil.2018;45:805-809.doi:10.1111/joor.12691Ryuno,Hirochika;Kamide,Kei;Gondo,Yasuyukietal.Longitudinalassociationofhypertensionanddiabetesmellituswithcognitivefunctioninginageneral70-year-oldpopulation:theSONICstudy.HypertensRes.2017;40:665-670.doi:10.1038/hr.2017.15参考URLhttp://www.sonic-study.jp/http://gerontology-osaka.jp/index.htmlキーワード超高齢者、老年的超越、幸福感

ヒューマンインタフェース、デザイン、ユーザビリティ拡張現実を用いた視覚情報提示のヒューマンファクター研究人間科学研究科教授篠原一光https://researchmap.jp/read0042846研究の概要ーシャルイノベーション102ソーシャルイノベーションソ現実世界に人工的に生成した映像を重ね合わせて表示する拡張現実(AR)による視覚情報提示が、自動車運転や各種作業用の視覚インタフェースとして広く用いられるようになりつつある。一方、このような情報提示の使用が利用者の注意や認知とどのように関係するのかは十分に検討されていない。本研究では視覚情報を単眼で視認する方法や、視覚情報の提示を作業対象の位置に追従させる方法を提案し、これらの方法と使用時の作業者の注意・認知について認知心理学的実験手法による検討を行った。▍研究の意義と将来展望拡張現実を用いた視覚情報提示は、その適用範囲が多種多様な作業に広がっていくことが予想される。利用者にとって人間特性に適合した情報提示方法を見出し、視覚情報提示をより使いやすいものに改良していくことが必要である。また、今後の技術開発により従来なかった新しい提示手法が登場し、利用者のヒューマンファクターに関する問題が生じる可能性もある。本課題は、工学的な技術開発と、利用者の行動や心理学的特性に関する研究が密接に連携すべき研究課題である。図1単眼式拡張現実情報提示図2実験系特論許文Kitamura,Akihiko;Naito,Hiroshi;Kimura,Takahikoetal.ComparisonbetweenBinocularandMonocularAugmentedRealityPresentationinaTracingTask.JournaloftheInstituteofImageInformationandTelevisionEngineers.2015,69(10),p.J292-J297.doi:10.3169/itej.69.J292藤原悠史・篠原一光・北村昭彦ほか視覚的作業支援情報の操作対象物に対する追従提示の効果の検討,人間工学.2019,55(3),p.67-73Kitamura,Akihiko;Kinosada,Yasunori;Shinohara,Kazumitsu.MonocularPresentationAttenuatesChangeBlindnessDuringtheUseofAugmentedReality.FrontiersinPsychology.2019,10:1688,doi:10.3389/fpsyg.2019.01688Dempo,Akihiko;Kimura,Tsukasa;Shinohara,Kazumitsu.Perceptualandcognitiveprocessesinaugmentedreality–comparisonbetweenbinocularandmonocularpresentations.Attention,Perception,andPsychophysics.2021,84,p.490-508.doi:10.3758/s13414-021-02346-6参考URLhttps://acpsy.hus.osaka-u.ac.jp/キーワード拡張現実、情報提示、注意、認知心理学、ヒューマンファクター

スマホカメラにおけるフラッシュ/フラッシュなし画像を用いた高精細な形状復元情報科学研究科マルチメディア工学専攻https://researchmap.jp/caoxu特任助教曹旭教授松下康之ソーシャルイノベーション文化財のデジタル化、メタバースhttps://researchmap.jp/yasumat研究の概要現存する膨大な数の文化財のデジタル化、すなわち形状やアルベドを復元することは困難である。また、安価な既製の3Dセンサーでは、満足のいく結果が得られないことが多い。私たちは、ステレオカメラとフラッシュライトという、市販のスマートフォンに搭載されている典型的なカメラセットアップのみで、高忠実度の形状およびアルベド推定手法を提案します。本手法では、ステレオカメラでフラッシュなし画像のペアから大まかな形状を推定し、さらにフラッシュ画像を撮影して、フラッシュ/フラッシュなし画像形成モデルに基づいて形状を精緻化します。本手法の有効性を、カメラとフラッシュライトの構成が異なるスマートフォンを用いて、屋内外の実環境における物体で検証しました。その結果、フラッシュ撮影とフラッシュなし撮影を併用することで、スマートフォンの形状やアルベドを忠実に復元できることを確認しました。▍研究の意義と将来展望本手法を用いれば、人々は自分のスマートフォンをすぐに高忠実度の3Dスキャナーに変えることができ、文化遺産のデジタル化を促進することができる。私たちは、この方法が、世界の文化遺産のデジタル化を加速させる、クラウドソーシングによるデジタルアーカイブのシナリオに有用であると確信しています。提案手法の概要ソーシャルイノベーション103提案手法の目的特許論文XuCao;MichaelWaechter;BoxinShietal.ShapeandAlbedoRecoverybyYourPhoneusingStereoscopicFlashandNo-FlashPhotography.InternationalJournalofComputerVision.2022,Volume130,p.1403-1415,doi:10.1007/s11263-022-01597-6参考URLキーワード形状復元、ステレオカメラ、フラッシュ撮影

環境リスクガバナンス、持続可能な生産と消費環境システミックリスクガバナンス工学研究科環境エネルギー工学専攻https://researchmap.jp/7676教授東海明宏助教伊藤理彩https://researchmap.jp/li-itoーシャルイノベーション104ソーシャルイノベーションソ研究の概要サプライチェインの上流に位置する産業セクター群から、他産業へ供給される原材料による健康・環境・社会リスクの管理が懸念されている。環境容量理論に基づけば、環境への排出を封じ込めることは事実上不可能であることを前提としたリスク評価・管理を内蔵した産業セクターは、サプライチェインの後段の産業セクター群に対してリスク管理をリードする役割が期待されている。効果的なリスク管理の推進には、網の目のように関係しあう産業間での原材料のやりとりを反映させる必要がある。産業連関分析と毒性フットプリント指標を組み合わせることで、日本における化学物質排出量とヒト健康・環境リスクとを関連付けることで化学物質排出によるヒト健康リスクの増減が何によって引き起こされたかという定量的な知見を提供することができ、関係者間で今後の化学物質に代表される原材料由来のリスク対策をデータに基づき明確化できる。▍研究の意義と将来展望サプライチェインの上流に位置する化学産業と、それ以降に位置する部品製造産業、組み立て産業との原材料のやりとりを介した、生産、消費、廃棄に関わるデータを統合して、産業連関分析と毒性フットプリントによるリスク評価を実行することで、SDGsにおける責任ある生産と消費に貢献するレスポンシブル・ケアに資する知見が得られ、今後の化学物質に代表される原材料由来のリスクガバナンスにむけた、未来戦略の議論をすることが可能となる。AccumulatedchangesinToxFbydecompositionfactors(%)ContributionsofdrivingfactorstoToxFchangesbetween2001and2015(kt)特許論文HoaThi,Nguyen;Ito,Lisa;Tokai,Akihiroetal.Decompositionanalysisofannualtoxicologicalfootprintchanges:ApplicationonJapaneseindustrialsectors,2001-2015JournalofCleanerproduction,doi:10.1016/j.jclepro.2020.125681https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/other/kasseika/daigakurenkei.参考URLhtmlhttps://prtr.unece.org/https://www.oecd.org/chemicalsafety/pollutant-release-transfer-register/キーワード産業連関分析、構造分解分析、毒性フットプリント

メンタルヘルス改善・維持のための認知理論・行動理論、行動経済学に基づく包括的予防・介入システムの構築人間科学研究科准教授平井啓ソーシャルイノベーションメンタルヘルスケア、心理教育、効果検証、行動変容https://researchmap.jp/keihirai研究の概要メンタルヘルス不調は大きな社会課題である。それは、ストレスを自覚することの難しさ、正しい知識の理解不足、効果的なセルフケアが実施されていないこと、メンタルヘルスの専門機関などのプロケア利用が不十分であること、職場などの環境改善が進まないことで生じている。本プロジェクトでは、対象者の「脳疲労」の程度と種類に応じて、適切なタイミングでの専門機関受診などのプロケアの利用に加えて、適切な休息・睡眠時間の確保などの各種セルフケアなど「様々な適応的な行動」を「適切に組み合わせて」とることができるような認知理論・行動理論、行動経済学に基づく包括的予防・介入システムの一部となる認知行動コンサルテーション・プログラムを開発し、その有効性の検証を行った。▍研究の意義と将来展望これまでのメンタルヘルス不調に関連した研究や取り組みは、「正しい知識」の普及を目的とするものが中心であった。しかし、本プロジェクトでは、「正しい知識」ではなく、行動変容に直結する「実践的な知識」を、それを必要な人々の認知と行動の特徴に応じて、効率よく獲得できるような包括的予防・介入システムの構築を目指すことに特徴がある。さらに、このシステムをCOVID-19の流行により世界的にも行われるようになったメンタルヘルスに関連したデジタルヘルスの技術と融合させることで、さらに大規模でインタラクティブなシステムに発展し、社会的なインパクトをもたらすことができると考えられる。メンタルヘルスに関連した包括的予防・介入システムの考え方認知行動コンサルテーション・プログラムソーシャルイノベーション105特許特願2022-052455論文Hirai,Kei;Ishikawa,Yoshiki;Fukuyoshi,Junetal.(2016).Tailoredmessageinterventionsversustypicalmessagesforincreasingparticipationincolorectalcancerscreeningamonganon-adherentpopulation:Arandomizedcontrolledtrial.BMCPublicHealth,416-431.doi:10.1186/s12889-016-3069-y平井啓(2022)メンタルヘルスケア受診・受療行動促進のためのナッジ.大竹文雄・平井啓(編著)実践医療現場の行動経済学,東洋経済新報社,pp.243-266平井啓・谷向仁・中村菜々子・山村麻予・佐々木淳・足立浩祥(2019).メンタルヘルスケアに関する行動特徴とそれに対応する受療促進コンテンツ開発の試み.心理学研究,90,63-71参考URLhttps://stmg.grappo.jphttp://noumg.grappo.jpキーワード行動変容、認知行動療法、心理教育、ナッジ、セグメンテーション

国際報道、国際政治国際報道における注目度とその要因国際公共政策研究科教授Hawkins,Virgilhttps://researchmap.jp/virgilhawkins?lang=ja研究の概要ソーシャルイノベーションソ報道されない世界がある。報道される世界との差は何なのか。日本でもグローバル化が加速しているにもかかわらず、依然として国際報道量は少なく、報道のアジェンダとなる地域・国や、報道の対象となる事件・事象に見られる偏りが極めて大きい。国際報道において東アジアや欧米等の高所得国で発生した出来事は大きく取り上げられるのに対し、アフリカや中南米等の低所得国での出来事はほとんど取り上げられない。そこで筆者が取り組んでいるのが、国際報道量および内容分析、ケーススタディにおけるプロセストレーシング等を通じ、国際報道が偏向する理由を解明し、報道機関による取捨選択のプロセスの背景にあるメカニズムを探る量的・質的研究である。じて国際報道分析等を日々発信することにより、問題解決に向けた試みを行なっている。ーシャルイノベーション106▍研究の意義と将来展望国際報道に見る「格差」は世界のためにも日本のためにもならない。世界を包括的かつ客観的に捉えることができなければ、人類が抱える深刻な問題を正確に捉えることも、解決のための資金・人的資源を動員することもできない。また、日本政府や企業の立場に鑑みても、真の利益やリスクを正確に把握できにくくなる。こうした状況の改善策を見出すために、国際報道が偏る要因を解明することは重要となろう。本研究で立ち上げたウェブサイト『GlobalNewsView(GNV)』を通特許論文Hawkins,Virgil.「国際貢献のイリュージョン」GlobalNewsView(GNV),2019年5月(オンライン:https://globalnewsview.org/archives/9678)Hawkins,Virgil.StealthConflicts:HowtheWorld’sWorstViolenceIsIgnored,Aldershot:Ashgate,2008参考URLhttps://globalnewsview.org/キーワード国際報道、メディア、コミュニケーション、国際政治

授業映像や学習ログの分析に基づく授業状況・学習状況の推定と可視化全学教育推進機構教育学習支援部教授村上正行ソーシャルイノベーション教育工学、大学教育学https://researchmap.jp/munyon74/研究の概要本研究では、授業などの教育現場におけるさまざまな情報を獲得して分析し、教育・学習の支援に活用することを目的とする。具体的には、講義やアクティブ・ラーニングにおける教員・学生の行動データを、授業映像やさまざまなセンサを用いて獲得し、学生の視線、姿勢、動きなどを抽出した上で、授業状況や学生の集中度、グループ活動の活性度などを推定し、可視化する。また、タブレットなどの学習ログを取得して分析し、学生の学習状況の可視化や解答停滞箇所の推定などを行う。▍研究の意義と将来展望本研究では、データに基づく教育支援を目指して、さまざまな作業の自動化・可視化を行っており、実際の教育改善に有用となる知見を、情報学の研究を活用して導出している点に意義があると考えている。これまで、教育学の分野では手動で行っていた作業を、情報工学や人工知能の研究に基づいて、授業映像から自動的に情報を抽出・分析して授業状況を推定したり、学習ログを収集して可視化することができるようになり、その結果を用いて教育や学習の支援に活用することができる。今後は、脳波や心拍数といった生体指標のデータなども合わせて分析し、より詳細な受講生の学習プロセスを導出することや、大学におけるさまざまなデータを組み合わせて分析することで多様な観点から教育の効果を検証する取り組みを行っていきたい。図1学習者全体の授業状況の獲得図2小学校のタブレット利用における児童別・時間ごとのマーカー利用有無状況の可視化ソーシャルイノベーション107特許特開2015-041945論文小竹原祐希,角所考,西口敏司,飯山将晃,村上正行「講義映像に基づく受講者の多様な状況認識のための挙動のクラスタリング」,教育システム情報学会,2020,Vol.37,No.2,pp.120-130.doi:10.14926/jsise.37.120村井文哉,角所考,小島隆次,村上正行「授業映像に基づく雰囲気認識のための基本特性と観測特徴量」,教育システム情報学会誌,2015,Vol.32,No.1,pp.48-58.doi:10.14926/jsise.32.48飯山将晃,中塚智尋,森村吉貴,橋本敦史,村上正行,美濃導彦「ペンストロークの時間間隔を用いた解答停滞箇所の検出」,教育システム情報学会誌,2017,Vol.34,No.2,pp.166-171.doi:10.14926/jsise.34.166村上正行「1人1台端末を活用した教育における学習履歴の可視化と活用」,学習情報研究2021年5月号,pp.16-19参考URLhttp://www.murakami-lab.org/wp/https://www.ssi.osaka-u.ac.jp/activity/topics/murakami/キーワード教育データ分析、LearningAnalytics、FD(FacultyDevelopment)

哲学・現象学ケアの現象学――ヤングケアラーをはじめとする子育て支援および障害当事者の現象学的なエスノグラフィー人間科学研究科・感染症総合教育研究拠点CiDER教授村上靖彦https://researchmap.jp/read0066932研究の概要私の研究は、自由に語っていただくインタビューと参与観察を通して、当事者の経験や対人援助職の実践を生き生きと細かく描き出すことを目的としている。これまで看護実践の研究からはじまり、子ども支援の現場、さらに障害当事者の現場での調査を行っている。病あるいは社会的な逆境のなかで生きている人やサポートしている人について、統計を用いた調査ではわからないリアルな姿を描いてきた。とくに子ども支援においては、恒常的な居場所とアウトリーチによる生活支援を組み合わせたコミュニティを作っていくことの重要性を主張していた。ヤングケアラーの聞き取り調査を通しても、本人にとっての困難は、過剰な家事労働や学習機会の制限ではなく、孤立のなかにあることが明らかになっている。ソーシャルイノベーションソ量的な調査に依存する行政が提案する相談窓口の設置や学習支援といった表面的な支援策では、問題の解決に及ばないことが示唆されている。▍研究の意義と将来展望一人ひとりの語りをしっかりと聴くこと、一人ひとりの経験を解きほぐすことから思考すること、これらは客観性と一般性を重視する学問の世界や政策決定の場面ではしばしばなおざりにされてきたことである。しかし人間は一人ひとり異なる経験をしているのであり、個別的な経験から実は社会全体にとって重要な理念を取り出すことができることがある。これからも社会のなかで困難を抱えた人、すき間へと追いやられた人の言葉に耳をそばだてる研究をしていきたい。西成区での子育て支援の調査ーシャルイノベーション108『母親の孤独から回復する』(講談社、2017)『子どもたちがつくる町大阪・西成の子育て支援』(世界思想社、2021)『「ヤングケアラー」とは誰か家族を“気づかう”子どもたちの孤立』(朝日選書、2022)特許『子どもたちが作る町大阪・西成の子育て支援』、世界思想社、2021論文『ケアとは何か看護・福祉で大事なこと』、中公新書、2021『「ヤングケアラー」とは誰か家族を“気づかう”子どもたちの孤立』、朝日選書、2022参考URLキーワードケア、子ども・子育て支援、社会的包摂

研究者名索引研究者氏名著者氏名ふりがな所属職位ページあ渥美公秀あつみともひで人間科学研究科教授96荒瀬尚あらせひさし免疫学フロンティア研究センター免疫化学研究室教授10石井優いしいまさる医学系研究科/生命機能研究科免疫細胞生物学教授14石谷太いしたにとおる微生物病研究所生体統御分野教授11石本卓也いしもとたくや工学研究科マテリアル生産科学専攻特任教授70石渡晋太郎いしわたしんたろう基礎工学研究科物質創成専攻教授52伊藤理彩いとうりさ工学研究科環境エネルギー工学専攻助教104糸数隆秀いとかずたかひで医学系研究科創薬神経科学共同研究講座/分子神経科学特任准教授12伊都将司いとしょうじ基礎工学研究科物質創成専攻准教授53井ノ上泰輝いのうえたいき工学研究科物理学系専攻助教57井上大介いのうえだいすけ工学研究科環境エネルギー工学専攻准教授88井上文彰いのうえよしあき工学研究科電気電子情報通信工学専攻助教46岩崎正治いわさきまさはる微生物病研究所新興ウイルス感染症研究グループ特任准教授13上中麻希うえなかまき医学系研究科免疫細胞生物学特任助教14上松太郎うえまつたろう工学研究科応用化学専攻講師54植村隆文うえむらたかふみ産業科学研究所先進電子デバイス研究分野特任准教授55宇山浩うやまひろし工学研究科応用化学専攻教授62江口英利えぐちひでとし医学系研究科消化器外科学教授33,43大薗恵一おおぞのけいいち医学系研究科小児科学教授22岡弘樹おかこうき工学研究科応用化学専攻助教67岡本徹おかもととおる微生物病研究所/高等共創研究院教授15荻博次おぎひろつぐ工学研究科物理学系専攻教授97尾﨑雅則おざきまさのり工学研究科電気電子情報通信工学専攻教授78小笹良輔おざさりょうすけ工学研究科マテリアル生産科学専攻助教70尾松芳樹おまつよしき生命機能研究科/医学系研究科/免疫学フロンティア研究センター准教授30か笠松良崇かさまつよしたか理学研究科化学専攻教授16加藤大悟かとうたいご医学系研究科泌尿器科学助教17兼田(中島)かねだ(なかしま)理学研究科附属フォアフロント研究センター加珠子かずこ教授18神谷和秀かみやかずひで基礎工学研究科附属太陽エネルギー化学研究センター准教授80香山尚子かやまひさこ高等共創研究院准教授19河原行郎かわはらゆきお医学系研究科神経遺伝子学教授20川本晃大かわもとあきひろ蛋白質研究所助教23神林直哉かんばやしなおや理学研究科高分子科学専攻助教56菊田順一きくたじゅんいち医学系研究科/生命機能研究科免疫細胞生物学准教授14貴島晴彦きしまはるひこ医学系研究科脳神経外科学教授26岸本充生きしもとあつお社会技術共創研究センターセンター長98木田敏之きだとしゆき工学研究科応用化学専攻教授60北山夕華きたやまゆか人間科学研究科准教授99木下允きのしたまこと医学系研究科神経内科学特任講師21109

研究者名索引研究者氏名著者氏名ふりがな所属職位ページ木村武司きむらたけし医学系研究科小児科学助教22木村正きむらただし医学系研究科産科学婦人科学教室教授24許梓釗きょししょう工学研究科物理学系専攻博士後期課程57窪田拓生くぼたたくお医学系研究科小児科学准教授22熊ノ郷淳くまのごうあつし医学系研究科呼吸器・免疫内科学教授27栗栖源嗣くりすげんじ蛋白質研究所教授23桒原泰隆くわはらやすたか工学研究科マテリアル生産科学専攻准教授58小玉美智子こだまみちこ医学系研究科産科学婦人科学教室助教24後藤穣ごとうみのり基礎工学研究科物質創成専攻助教81小林省吾こばやししょうご医学系研究科消化器外科学准教授33小林慶裕こばやしよしひろ工学研究科物理学系専攻教授57小原美紀こはらみき国際公共政策研究科教授100権藤恭之ごんどうやすゆき人間科学研究科教授101さ酒井英明さかいひであき理学研究科物理学専攻准教授59佐々木勇和ささきゆうや情報科学研究科マルチメディア工学専攻助教47山藤浩明さんとうひろあき情報科学研究科マルチメディア工学専攻助教48重光孟しげみつはじめ工学研究科応用化学専攻講師60篠原一光しのはらかずみつ人間科学研究科教授102清水章弘しみずあきひろ基礎工学研究科物質創成専攻准教授61下村伊一郎しもむらいいちろう医学系研究科内分泌代謝内科学教授25徐于懿しゅうゆい工学研究科応用化学専攻准教授62金暉じんふい微生物病研究所免疫化学分野助教10シンジフンしんじふん医学系研究科糖尿病病態医療学寄附講座助教25新谷亮しんたにりょう基礎工学研究科物質創成専攻教授61菅沼克昭すがぬまかつあき産業科学研究所実装協働研究所特任教授90杉原達哉すぎはらたつや工学研究科機械工学専攻准教授89鈴木修一すずきしゅういち基礎工学研究科物質創成専攻准教授63Sudlopスッロップラタナ情報科学研究科情報数理学専攻Ratanakuakangwanクアーカンワーン特任研究員83関谷毅せきたにつよし産業科学研究所先進電子デバイス研究分野教授55曹旭そうきょく情報科学研究科マルチメディア工学専攻特任助教103た高垣匡寿たかがきまさとし医学系研究科脳神経外科学助教26高松漂太たかまつひょうた医学系研究科呼吸器・免疫内科学講師27竹田潔たけだきよし医学系研究科免疫制御学教授19竹原徹郎たけはらてつお医学系研究科消化器内科学教授35谷口一徹たにぐちいってつ情報科学研究科情報システム工学専攻准教授82谷口正輝たにぐちまさてる産業科学研究所バイオナノテクノロジー研究分野教授64QianWangちぇんわん接合科学研究所特任助教75趙研ちょうけん工学研究科マテリアル生産科学専攻准教授65陳伝彤ちんてんとう産業科学研究所実装協働研究所特任准教授(常勤)90110

研究者氏名著者氏名ふりがな所属職位ページ筒井真楠つついまくす産業科学研究所バイオナノテクノロジー研究分野准教授66寺尾憲てらおけん理学研究科高分子科学専攻教授28東海明宏とうかいあきひろ工学研究科環境エネルギー工学専攻教授104藤内謙光とうないのりみつ工学研究科応用化学専攻教授67な直田健なおたたけし基礎工学研究科物質創成専攻教授63中神啓徳なかがみひろのり医学系研究科健康発達医学寄附講座教授29長澤丘司ながさわたかし生命機能研究科/医学系研究科/免疫学フロンティア研究センター栄誉教授30中嶋誠なかじままことレーザー科学研究所准教授68長田重一ながたしげかず免疫学フロンティア研究センター特任教授31中谷和彦なかたにかずひこ産業科学研究所精密制御化学研究分野教授32中田陽介なかたようすけ基礎工学研究科システム創成専攻准教授69中野貴由なかのたかよし工学研究科マテリアル生産科学専攻教授65,70中濱泰祐なかはまたいすけ医学系研究科神経遺伝子学助教20西井祐二にしいゆうじ工学研究科応用化学専攻講師71西本能弘工学研究科応用化学専攻/先導的学際研究機構にしもとよしひろ触媒科学イノベーション研究部門(ICS-OTRI)准教授91布谷直義ぬのたになおよし工学研究科応用化学専攻助教72野田剛広のだたけひろ医学部附属病院手術部講師33野々村祝夫ののむらのりお医学系研究科泌尿器科学教授17野村和史のむらかずふみ工学研究科マテリアル生産科学専攻講師92は秦明典はたあきのり医学系研究科放射線医学助教34濱﨑拡はまさきひろむ工学研究科機械工学専攻特任研究員73疋田隼人ひきたはやと医学系研究科消化器内科学講師35平井啓ひらいけい人間科学研究科准教授105平原佳織ひらはらかおり工学研究科機械工学専攻准教授73深瀬浩一ふかせこういち理学研究科化学専攻教授40福澤薫ふくざわかおり薬学研究科量子生命情報薬学分野教授36藤井彰彦ふじいあきひこ工学研究科電気電子情報通信工学専攻准教授74藤井英俊ふじいひでとし接合科学研究所教授93冨士田誠之ふじたまさゆき基礎工学研究科電子光科学領域准教授49北條裕信ほうじょうひろのぶ蛋白質研究所教授37Hawkins,Virgilホーキンスヴァージル国際公共政策研究科教授106保仙直毅ほせんなおき医学系研究科血液・腫瘍内科学教授38ま松垣あいらまつがきあいら工学研究科マテリアル生産科学専攻准教授70松崎典弥まつさきみちや工学研究科応用化学専攻教授39松下康之まつしたやすゆき情報科学研究科マルチメディア工学専攻教授48,103真鍋良幸まなべよしゆき理学研究科化学専攻助教40麻寧緒まにんしゅ接合科学研究所教授75三浦雅博みうらまさひろ先導的学際研究機構ICS-OTRI特任教授71111

研究者名索引研究者氏名著者氏名ふりがな所属職位ページ南野徹みなみのとおる生命機能研究科准教授41宮川繁みやがわしげる医学系研究科心臓血管外科学教授42三宅啓介みやけけいすけ医学系研究科心臓血管外科学特任助教42宮坂博みやさかひろし基礎工学研究科物質創成専攻教授53三吉範克みよしのりかつ医学系研究科消化器外科学助教43村上正行むらかみまさゆき全学教育推進機構教育学習支援部教授107村上靖彦むらかみやすひこ人間科学研究科・感染症総合教育研究拠点CiDER教授108望月秀樹もちづきひでき医学系研究科神経内科学教授21森川良忠もりかわよしただ工学研究科物理学系専攻教授76森浩亮もりこうすけ工学研究科マテリアル生産科学専攻准教授77森田浩もりたひろし情報科学研究科情報数理学専攻教授83や安田弘行やすだひろゆき工学研究科マテリアル生産科学専攻教授65安田誠やすだまこと工学研究科応用化学専攻/先導的学際研究機構触媒科学イノベーション研究部門(ICS-OTRI)教授91谷内田真一やちだしんいち医学系研究科がんゲノム情報学教授44山口容平やまぐちようへい工学研究科環境エネルギー工学専攻准教授84山下俊英やましたとしひで医学系研究科分子神経科学/創薬神経科学共同研究講座教授12山下弘巳やましたひろみ工学研究科マテリアル生産科学専攻教授58山田裕貴やまだゆうき産業科学研究所エネルギー・環境材料研究分野教授85吉田浩之よしだひろゆき工学研究科電気電子情報通信工学専攻講師78112

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