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巻頭インタビュータレント山口もえ季報2026年度No.78夏号環境にも家計にもやさしい住まいJHFinformation5地球の歩き方×住宅金融支援機構Instagramで「世界の住まい方」投稿開始!10住宅ローンかんたん解説動画を公開しました!11マンションすまい・る債修繕積立金の計画的な積立てをサポート~2026年度募集分応募受付中!~地方創生Report12さいたま市のゼロカーボンシティ実現に向けた取組16堺市泉北ニュータウンでの脱炭素の取組JHF質問箱20「まちづくり融資」とはどのような制度ですか?ほか27グリーンボンドってなに?ほか22SpecialFeature2モンゴルの住宅の現状と未来〜大気汚染・住宅性能・グリーン評価制度の課題と展望〜北海道大学大学院工学研究院建築環境学研究室博士課程エンフウチラル住宅金融支援機構国際・調査部国際業務グループ豊島義之2巻頭インタビュー山口もえ(タレント)6SpecialFeature1新しい住生活基本計画(全国計画)の概要〜2050年の住生活を見据えて〜国土交通省住宅局住宅戦略官付

タレント山口もえ食や衣類の循環を、楽しみながら暮らしに取り入れる山口もえさん。そこには、子どもたちが住む未来への願いがありました。山口もえ(やまぐちもえ)1977年東京都生まれ。バラエティー番組や情報番組、ドラマ、CMなどに多数出演。野菜ソムリエプロ、愛玩動物飼養管理士2級、ホリスティックビューティアドバイザーなどの資格も持つ。書籍に『山口もえのお野菜たっぷり!親子ごはん』(祥伝社)など。一男二女の母。02季報住宅金融

誰かがいれば、みんなが集まる。こたつの温もりが我が家の原点趣味は物件探し。風景の先に、新しい暮らしを描く楽しみ実は私、物件の間取りを見るのが大好きなんです。街で素敵なマンションを見つけたら名前を覚えて帰って、空き部屋があるかチェックするのが習慣になっているくらい。特に、風が吹き抜けるような開放感のある部屋や、緑豊かな公園が近い場所に惹かれますね。「窓からはどんな景色が見えるんだろう」「ここでどんな生活が始まるのかな」と想像するのは、もう趣味みたいなものです。思えば子どもの頃から、そうやって街の空気を感じるのが好きでした。習い事の帰り道に楽しみだったのが、いろんな家から漂ってくる晩ご飯の匂い。「今日は肉じゃがかな」「この家はカレーかな」なんて、扉の向こうにある食卓を想像しながら歩いていました。目に見える風景の先にある「誰かの暮らし」に思いを馳せること。それが、私にとっての街の楽しみ方なんだと思います。そんな帰り道の習慣が毎日続いていたのも、当時の習い事が月曜日から土曜日まで埋まっていたからです。とにかく習い事が大好きな子どもでした。ピアノ、書道、箏、水泳、それから作文を書く塾。なかでも一番熱中していたのがクラシックバレエで、将来はバレリーナになりたいと思っていました。ただ、高校生になって男性とペアで踊るレッスンが始まると、「一人で踊りたい」と思うようになりました。思春期だったので、男性と密着して踊ることに抵抗があったんですね。そこで、ダンスレッスン生を募集していた、現在所属する芸能事務所の門を叩きました。でも、実は私、そこがダンス教室だと勘違いしていたんです。慌てて帰ろうとしたら、たまたまその場にいた社長から「芸能界に興味がなくても大丈夫だよ」と言われたので、そのまま入所することになりました。最初は普通にダンスを習っていただけでしたが、次第に周りの子から「今度ドラマに出るの」「CMに出るの」という話を聞くようになり、楽しそうに見えました。だから、私もマネージャーさんに「何かオーディションを受けてみたい」と伝えたんです。初めてのお仕事は、お味噌のCMでした。今と違ってCGなどは一般的ではないので、「味噌汁の湯気がおいしそうに沸き立つこと」を試行錯誤しているうちに8時間経過する……なんてことが普通にあった時代。なんとか食らいついて撮影が無事に終わると、メーカーの方から赤味噌、白味噌、合わせ味噌、豆乳のお土産を山ほどいただきました。それを持って帰ったら、家族がものすごく喜んでくれたんです。その姿を見て、「なんていいお仕事なんだろう」と思ったのが、この仕事を続けるきっかけになりました。未来のために、今できることを。無理なく楽しく続ける「食の循環」家族と過ごす時間は昔から大事にしています。小さい頃の思い出は、こたつを囲んで冷凍みかんを作ったこと。ダンボール箱いっぱいのみかんを手に取り、皮をむく人、筋を取る人、ラップに包む人……という流れ作業を家族でしたことを今でも覚えています。こたつの温もりに誘われるように、自然と家族が集まってくる。そこで並んで何かをするのが、我が家の冬の定番でした。その影響からか、今の家でも「ファミリールーム」と呼ぶ部屋を作りました。いわゆるリビングなんですけど、映画や紅白歌合戦を見たり、ゲームで遊んだりと、家族みんなが居心地よく集まれる空間です。子どもが成長するにつれ、「あと何年一緒にいられるかな」「いつかは家を出て行っちゃうんだろうな」と感じる機会が増えました。だから、一緒に住んでいる間は、なるべく一緒にいたいなと思ったんです。子どもができてからですね、未来の地球環境について真剣に考えるようになったのは。「この子たちの未来のために、今、親である自分ができることは何でもやりたい」と強く感じるようになりました。そのひとつとして実践しているのが、食の循環です。我が家では5人家族の食事から出る大量の生ごみをディス季報住宅金融03

生ゴミは、次の野菜の栄養。家の庭で、おいしく循環していますポーザーで粉砕・乾燥させて堆肥化し、それを家庭菜園の肥料として活用しています。私はガーデニングが好きで、最初はプランターで野菜を育てていたんですが、だんだん収まらなくなってきたので、「レイズドベッド」という畳1畳分の小さな畑を作りました。トマト、ナス、キュウリ、ラベンダー、タマネギ、ブロッコリーなど、季節の野菜や花を育てて、おいしくいただいています。金柑のジャムやコンポートを、友達にプレゼントすることもよくありますよ。自分の食べたものが、次の食べるものへとつながっていく「エネルギーの循環」を日々感じられるのは、とても幸せなことだと思っています。ほかには、子どもが大きくなって着られなくなった服や読まなくなった本を定期的に友達に譲ったり、リサイクルや寄付をしたり。家の中で物をためず、社会で循環するようにと心がけています。友人たちも自分の家のようにくつろげる、安らぎの空間が我が家なら、最高に幸せ20代は仕事、30代は子育てをしていたらあっという間に過ぎ去ってしまいました。40代の今もまだ子育ての真っ最中ですが、これから50代になって子どもが巣立った後、自分の人生にしっかり向き合うことが目標です。人生100年時代と言われるなか、自分が残りの人生をどのように楽しめるのかを模索しているところです。趣味を極めるのもいいですし、もしかしたら芸能以外の仕事に打ち込んでいるかもしれませんね。ただ、どんな活動をするにしても、やっぱり「人の集まる場所」に身を置いていたいです。今の家も子どもの友達や近所の方がよく遊びに来てくれるのですが、人によっては居心地がよく寝てしまったり、お風呂に入っていったりするくらい。他人の家だってことを忘れて、ついつい長居しちゃうような、誰かにとっての安らぎの時間が我が家にあること。それが、私にとっての理想の家ですね。インタビュー動画は住宅金融支援機構(JHF)YouTube公式チャンネルでご覧いただけますhttps://www.youtube.com/playlist?list=PLcbOj07XtnfKA4_r_69-mElwHrGxjyKXi04季報住宅金融

JHFinformation住宅金融支援機構からのお知らせ“地球の歩き方”と“機構のInstagram”がコラボしました!地球の歩き方住宅金融支援機構Instagramで「世界の住まい方」投稿開始!是非!フォローしてください!世界の住まいから、住まいづくりのヒントや知恵を見つけてみませんか?住宅ローンに関するお役立ち情報や、【フラット35】の商品情報なども定期的に投稿しています!機構公式Instagramはこちらから!季報住宅金融05

1特SPECIALFEATURE新しい住生活基本計画(全国計画)の概要〜2050年の住生活を見据えて〜国土交通省住宅局住宅戦略官付集住生活基本計画の見直し住生活基本法(平成18年6月施行)住生活基本計画(全国計画)は、住生活基本法(平成18年法律第61号)の基本理念にのっとり、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策を総合的に推進するため、国が策定している計画であり、今後10年間の住宅政策の基本的な方向性を定めるものです。全国計画は、社会経済情勢の変化等を踏まえて概ね5年ごとに見直すこととしており、令和6年10月より、社会資本整備審議会住宅宅地分科会にて計画改定に向けて議論を行い、令和8年3月に閣議決定されました。おおむね5年毎に見直し計画全体のコンセプト新たな全国計画においては、2050年までに想定される社会の変化等を見据えて、既存住宅の本格的活用等による「住宅ストックの価値の最大化」や、今後の住宅政策を持続可能にさせるための「住生活を支える基盤の再構築」という大きな方向性を掲げています。また、この基本的な方針に基づき、「住まうヒト」「住まうモノ」「住まいを支えるプレイヤー」の3つの視点から、2050年を見据えた合計11の目標とこれらに関する施策を示しています。本稿では、計画の主な内容について、ご紹介します。❶「住まうヒト」の視点前回の住生活基本計画(全国計画)【計画期間】令和3年度~令和12年度新たな住生活基本計画(全国計画)【計画期間】令和8年度~令和17年度【目標1】人生100年時代を見据え、高齢者が孤立せず、希望する住生活を実現できる環境整備目標1では、高齢者向けの施策について記載しています。2050年に目指す住生活の姿として、高齢世帯が孤立せずに安心して健康に暮らせることのほか、高齢期の住生活の質の向上へ向けた早期の備えを自発的に意識し住宅資産も活用しつつ、ライフスタイルにあった住生活が可能となることを描いています。・高齢期に備えた住宅資産の活用による住生活の向上人生100年時代と言われるこれからの時代は、一つの家に住み続けるだけでなく、ライフスタイルの変化などに応じて、柔軟に住替えを行うことが重要です。自宅を資産として活用し、こうした住替えを促進するため、リバースモーゲージや返済負担を軽減できる住宅ローンといった資金調達の選択肢の充実等を推進してまいります。いっぽうで、リースバックなど、消費者が仕組みをよく理解しないまま契約してしまいトラブルになるケースも見られるため、情報提供や注意喚起を行うことで、高齢期も安心して住まいを確保できる環境整備に努めてまいります。【目標2】若年世帯や子育て世帯が希望する住まいを確保できる社会の実現目標2では、若年世帯や子育て世帯向けの施策について記載しています。2050年の姿として、共働き世帯が仕事と子育てをより両立しやすい住まいの選択ができることや、若者が地域コミュニティとつながりを持ちながら暮らすことを描いています。・子育てをしやすく、働きやすい居住環境の充実正社員共働き世帯の割合は増えており、こうした世帯が子育てをしながら多様な住まい方・働き方ができる居06季報住宅金融

新たな住生活基本計画(全国計画)2050年を見据えた単身世帯の増加相続住宅の増加生産年齢人口の減少住まうヒトの視点人生百年時代における時々のライフスタイルやあらゆる世帯属性に適した住宅を過度な負担なく確保できる社会へ住まうモノの視点官民投資により蓄積してきたインフラと居住環境を備えた住宅・住宅地が市場を通じて最大限に活用される持続可能な社会へ住まいを支えるプレイヤーの視点国、地方公共団体、事業者、そして住生活を営む居住者自身も含めたあらゆる関係者で連携して住宅市場を維持し続ける社会へ住宅市ス場ト機能ックの価進化値のを最通大じた化人を生支1え0る0基年盤時の代再の構住築生活①ニーズに応じた住宅を適時適切に確保できる循環型市場の形成新築住宅の質誘導の枠組み=③分野横断的な連携による「気づき」と「つなぎ」のある居住支援の充実主な取組方策概成これからの住宅市場に対する環境整備・誘導・補完の枠組みの構築⇒ニーズに応じた持家・賃貸住宅を選択できる市場へライフスタイルに適した住替え・リフォームの円滑化住宅確保要配慮者・安否確認・訪問等による見守り・福祉サービスへのつなぎ既存住宅の維持管理・流通の枠組み⇒整備途上次世代への継承高齢期を支える資産に不動産・福祉・行政担当者⇒高齢単身世帯も孤立せず、安心して暮らせる社会へ②インフラ・居住環境の整った既存の住宅・住宅地の市場を通じた本格的な有効活用(万戸)64.3旧耐震60高齢者世帯が居住する住宅は増加の見込み15.939.0新耐震一都三県4025.87.62015.18.648.431.4010.73.55.1戸建共同戸建共同2023年時点で85歳以上2034-2043年で85歳以上⇒利便性の高い既成住宅地の相続空き家等を活用し、子育て世帯等に選ばれる住環境の整備④既存住宅を最大限に活用する持続的な住宅市場を支えるあらゆる主体の連携・協働の推進質の高い住宅を支える専門技術者・技能者の安定的確保デジタル技術の活用による、幅広い担い手が活躍できるような情報提供・相談体制の整備⇒ストック社会を支える担い手・体制の確保へ住環境を整備することは重要です。例えば、子育て世帯に向けた安全性、遮音性等が考慮された子育て対応リフォームを実施することや、団地内に子育て支援施設を併設させるなどの取組みを進めてまいります。【目標3】住宅確保要配慮者が安心して暮らせる居住環境・居住支援体制の整備目標3は、住宅セーフティネットの確保に関する施策について記載しています。2050年の姿として、「気づき」と「つなぎ」のある居住支援が普及することや、不動産や福祉関係の事業者、居住支援法人、自治体などあらゆる関係者が連携して、総合的かつ包括的な居住支援体制を構築することを描いています。・住宅セーフティネットの構築公的賃貸住宅と民間賃貸住宅の双方を柱とした住宅セーフティネットを構築することが必要です。民間事業者のノウハウを導入した公的賃貸住宅の整備、管理・運営や、身寄りのない高齢者に対しても大家が安心して貸すことができる環境整備等を進めてまいります。【目標4】過度な負担なく希望する住生活を実現できる環境整備目標4は、住宅価格が上昇している現下の状況を踏まえ、いわゆる「アフォーダビリティ」の確保について記載しています。2050年の姿として、誰もが過度な経済的負担を感じることなく住宅の確保・取得が可能となることや、多様な住まいの選択肢が市場に供給されることを描いています。・既存ストックの積極的な活用による良質な住まいの供給近年、都市部を中心に住宅価格が上昇しており、中所得者層や子育て世帯等がアフォーダブル、すなわち、比較的手頃な価格で良質な住まいを購入・賃借できる環境を整備することが重要です。その際、とくに都心部近郊の比較的利便性の高い場所において、相続される住宅が増加することが想定されるため、これの流通を促進するほか、良質な賃貸住宅の形成のため、質の向上や建替えの促進のために必要な住宅金融支援機構(JHF)による支援も重要と考えています。・住宅取得支援策の充実住宅の取得支援として、JHFによる全期間固定金利型住宅ローンの提供を引き続き行っていくほか、令和8年度からは既存住宅の住宅ローン減税が拡充されるなど、今後も金融面での支援等を推進してまいります。季報住宅金融07

❷「住まうヒト」の視点【目標5】多世代にわたり活用される住宅ストックの形成目標5では、将来にわたって住み継がれる良質な住宅ストックの形成について記載しています。2050年の姿として、住宅ストックが耐震性を満たし、また平均でZEH基準の水準の省エネ性能が確保されると共に、過半がバリアフリー性能を備えたものとなるなど、誰もが安全・安心・健康に暮らせる住まいが提供されることなどを描いています。・住宅ストックの性能向上我が国の住宅ストックの質の向上を図ることは、引き続き、重要です。具体的には、長期優良住宅などの良質な住宅への支援のほか、耐震改修・省エネリフォーム・バリアフリーリフォームの促進などを通じ、住宅の質向上を図ってまいります。また、建設住宅性能評価の実施拡大等、住宅性能表示制度の更なる普及も目指してまいります。【目標6】住宅ストックの性能や利用価値が市場で適正に評価され、循環するシステムの構築目標6は、住宅ストックが市場で適正に評価されるようなシステムの構築について記載しています。2050年の姿として、住宅の維持管理・点検や性能向上による価値増加が適正に評価され、良質な住宅が流通することなどを描いています。・適切な維持管理の推進既存住宅が市場で適正に評価されるためには、まず、所有者による適切な維持管理を進めることが必要です。また、維持管理を促進するために、例えば金融面で何らかの優遇措置を講じるなどのインセンティブが付与できないかといったことも検討していきます。加えて、維持管理がなされた住宅について、その利用価値が反映されるような金融機関の査定評価法の確立に向けた検討にも、取り組んでまいります。【目標7】住宅の誕生から終末まで切れ目のない適切な管理・再生・活用・除却の一体的推進目標7では、最終的に売却・除却されるまで、切れ目なく住宅マネジメントを行っていくことについて記載しています。2050年の姿として、住宅の所有者が自発的に住まいの終活や適切な相続を行うことで外部不経済を与える空き家が発生しにくくなることや、マンションにおいて必要な再生資金の確保や合意形成が円滑に行われることで長寿命化や再生が図られることなどを描いています。・空き家の発生予防、管理、活用、売却、除却等による空き家対策の推進空き家の総戸数はここ20年で約1.4倍となるなど、対策が急務です。地方移住や近居等の受け皿となる住宅としての空き家の活用や賃貸住宅としての活用、空家等管理活用支援法人の指定を促進するほか、そもそも空き家が発生しないようにするため、空き家予備軍の所有者や法定相続人等を対象とした空き家の発生予防等に係る周知広報・機運醸成等に取り組んでまいります。【目標8】持続可能で多様なライフスタイルに対応可能な住宅地の形成目標8は、持続可能な住宅「地」の形成に関する施策についてです。2050年の姿として、広域的なコンパクト・プラス・ネットワークの推進や住宅市場を通じた緩やかな立地誘導により、生活・交通利便性にも配慮された持続可能な住宅地が形成されることや、地域コミュニティの活性化などを描いています。・居住誘導の推進人口減少が進む中で持続可能な住宅地を形成するためには、居住誘導を図る必要があります。都市政策として、引き続き、立地適正化計画に基づく都市機能及び居住の誘導促進に取り組むほか、これからは住宅政策としても、住宅の資産価値を評価する住宅ローンの提供等の市場を通じた立地の誘導を図ってまいります。【目標9】頻発・激甚化する災害に対応した安全な住環境の整備目標9は、防災・減災や被災時の生活再建について記載しています。2050年の姿として、住宅の耐震性の向上や密集市街地の改善等を通じて発災時の被害が減少することや、発災後における迅速な住まいの確保や早期の生活再建が進むことなどを描いています。・災害に対応した安全な住宅・住宅地の形成災害への備えは平時から行うことが重要です。住宅の耐震改修や、密集市街地における老朽建築物の除却、無電柱化等を推進するのはもちろんのこと、災害危険性の高いエリアでの住宅の立地抑制や、空地や空き家等の活用も含めた安全な場所への移転誘導の促進等に取り組んでまいります。また、住宅・住宅地の防災機能・レジリエンス機能の強化として、耐震改修と併せた断熱改修や共同住宅における防災備蓄等の推進にも取り組んでまいります。08季報住宅金融

新たな住生活基本計画「2050年の姿」と「当面10年間の方向性」❸「住まいを支えるプレイヤー」の視点【目標10】担い手の確保・育成や海外展開等を通じた住生活産業の発展目標10は、住生活産業について記載しております。2050年の姿として、住宅建設技能者や建築士等の専門家により質の高い住まいが安定的に供給されることや、住生活産業におけるライフサイクルカーボンの削減等による2050年カーボンニュートラルが実現されることなどを描いています。・担い手の確保・育成大工就業者数はこの20年間で半減するなど、担い手不足が深刻化しています。そこで、住宅建設技能者の持続的確保に向けた中長期的ビジョンの策定、女性・外国人をはじめとする多様な人材の活躍に向けた取組の推進、建築技能取得のための研修・訓練等への支援等に取り組んでまいります。【目標11】国と地方における住宅行政の役割の明確化と推進体制の整備目標11は、行政が担う役割と関係事業者・団体との連携について記載しています。国は2050年に目指す住生活の姿の実現に向けて市場の環境整備・誘導・補完を徹底すること、地方公共団体は住宅・住生活関連事業者や居住支援・空き家対策・まちづくり等を担う様々な組織と連携することで横断的に住宅行政を推進することなどを示しています。・地域の住宅政策推進体制の整備国のみ、地方公共団体のみでは、これまで示してきた2050年に目指す住生活の姿を実現し、国民の住生活の安定を確保し、向上させることは不可能です。官民連携での地域の住宅政策推進体制の整備や、人材育成、分野横断的な相談窓口等の推進、地方公共団体による計画策定の支援等を進めてまいります。おわりに新たな住生活基本計画(全国計画)が策定された後には、ここに描いた2050年に目指す住生活の姿が実現されるよう、住生活に関わる官民のあらゆるプレイヤーと連携し、各施策を着実に推進してまいります。視点目標2050年に目指す住生活の姿当面10年間で取り組む施策の方向性住まうヒト①人生100年時代を見据え、高齢者が孤立せず、希望する住生活を実現できる環境整備高齢期に適した円滑な住替え・リフォームの促進高齢期に孤立せず安心できる住環境の充実高齢期の返済負担軽減が可能なローンの整備居住サポート住宅・セーフティネット住宅等の普及拡大②若年世帯や子育て世帯が希望する住まいを確保できる社会の実現若年・子育て世帯向けの選択肢の充実子育てしやすい居住環境・サービスの充実こどもつながるURの実践と他団地等への展開既成住宅地の相続住宅の市場を通じた流通③住宅確保要配慮者が安心して暮らせる居住環境・居住支援体制の整備「気付き」と「つなぎ」の居住支援の定着公的・民間賃貸住宅双方によるセーフティネット機能充実総合的・包括的な居住支援体制の整備居住サポート住宅・セーフティネット住宅等の普及拡大(再掲)④過度な負担なく希望する住生活を実現できる環境整備安心して住宅を取得できる環境の整備質の高い住宅の多世代間での継承既成住宅地の相続住宅の市場を通じた流通(再掲)頭金積立支援、住宅ローンの充実住まうモノ⑤多世代にわたり活用される住宅ストックの形成更新・改修による住宅ストックの質的向上世帯人員減少に対応した住宅ストックの充実質向上加速化の支援(耐震、省エネ、バリアフリー)将来世代に継承する住宅ストックの供給・流通の推進⑥住宅ストックの性能や利用価値が市場で適正に評価され、循環するシステムの構築所有者による維持管理と次世代継承の定着維持管理・利用価値を評価する市場へ転換維持管理・流通の促進のための市場環境整備性能・利用価値の査定評価法の普及⑦住宅の誕生から終末まで切れ目のない適切な管理・再生・活用・除却の一体的推進放置空き家等にしない適正管理の定着マンションの適正管理、再生円滑化空き家化する前の対策・活用・除却等の支援の充実マンションの計画的な維持管理の推進⑧持続可能で多様なライフスタイルに対応可能な住宅地の形成市場機能を活用した持続可能な住宅地の形成多様なライフスタイル・交流を支える住環境の充実住宅・住宅地の継承に向けた規律と誘導の確立移住・二地域居住等に資する環境整備の推進⑨頻発・激甚化する災害に対応した安全な住環境の整備安全な住宅への改修・住替えの推進災害時の住まい確保・生活再建の迅速化耐震化・密集市街地の整備改善の促進災害時に備えた関係機関の体制整備の推進住まいを支えるプレイヤー⑩担い手の確保・育成や海外展開等を通じた住生活産業の発展安定供給の確保、所有者支援体制の充実2050カーボンニュートラルに向けたライフサイクルカーボン削減ビジョンの策定、所有者支援・DX・和の住まいの推進ライフサイクルカーボンを意識した住生活産業の推進⑪国と地方における住宅行政の役割の明確化と推進体制の整備国による市場の環境整備・誘導・補完の継続地方の分野横断的な住宅行政の実現住生活基本計画を通じた政策の推進・検証地方住宅行政の役割や連携・協働のあり方の検討09季報住宅金融

JHFinformation住宅金融支援機構からのお知らせ大手ハウスメーカーさま全面協力!住宅ローンかんたん解説動画を公開しました!機構では、住宅を取得されるみなさまが正しい情報を入手し、後悔のない最適な選択をしていただくため、住宅ローンかんたん解説動画を公開しました。ぜひご覧ください!住宅ローン選びの基本を押さえたいあなたへ!住宅ローンって難しそう。簡単にわかりやすく教えてほしい。変動金利と固定金利、自分に合っているのはどっち?フラット35って聞いたことあるけど、もう少し詳しく知りたい。動画①後悔しない住宅ローン選びのポイントを解説!(10分)動画②フラット35が選ばれる理由·メリットを解説!(8分)<動画はこちらからチェック!>住宅金融支援機構(JHF)公式チャンネルhttps://www.youtube.com/playlist?list=PLcbOj07XtnfLaicQdfHc53tnZO4xJrebB10季報住宅金融

JHFinformation住宅金融支援機構からのお知らせ応募は先着順応募口数が募集口数に達した時点で受付終了となります。修繕積立金の計画的な積立てをサポート~2026年度募集分応募受付中!~2026年度募集分の10年満期時年平均利率(税引前)は前年度比で約4倍の2.000%となりました。過去最高のペースで応募をいただいている「マンションすまい・る債」を、ぜひご検討ください!ご好評につき応募組合数前年同営業日比約1.5倍!(2026年5月末現在)2026年度応募期間~10月9日(金)まで※1認定すまい·る債ステップアップ※1すまい·る債マンションすまい·る債10年満期時年平均利率(税引前)※2認定制度など利率上乗せ基準2.100%2.050%2.000%管理計画認定制度マンション管理適正評価制度マンション管理適正化診断サービスー管理計画認定を取得した管理組合「★4つ以上」の評価を取得した管理組合「S評価」の診断を取得した管理組合ー認定主体または運営主体地方公共団体(一社)マンション管理業協会(一社)日本マンション管理士会連合会※1管理計画認定を取得したマンション向けマンションすまい·る債を「認定すまい·る債」、マンション管理適正評価制度において★4つ以上の評価を取得したマンションまたはマンション管理適正化診断サービスにおいてS評価の診断を取得したマンション向けマンションすまい·る債を「ステップアップすまい·る債」と表記しています。※22026年度発行のマンションすまい·る債を10年間保有した場合の10年間の年平均利率です。マンションすまい·る債とは?マンション管理組合が行う修繕積立金の計画的な積立てをサポートするための債券です。ー<詳しくはこちら>住宅金融支援機構ホームページ「マンションすまい·る債」のご案内https://www.jhf.go.jp/kanri/smile/index.html季報住宅金融11

地方創生Report埼玉県さいたま市のゼロカーボンシティ実現に向けた取組さいたま市環境局環境共生部ゼロカーボン推進戦略課さいたま市の現状本市の面積は217.43平方キロメートルで、人口は約135万人と、政令指定都市の中で9番目に多い規模となっています。また、各種自治体ランキングにおいても高い評価を受けており、一般社団法人日本総合研究所が公表している「全47都道府県幸福度ランキング2024年版」では、政令指定都市の中で総合1位となっています。さらに、「SUUMO住みたい街ランキング2026首都圏版」では大宮が第2位、浦和が第11位に選ばれたほか、全国市区・SDGs先進度調査では全国4位となっています。このように住みやすさが評価されていることから、さいたま市の人口は年々増加しています。「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」によると、令和6(2024)年における市町村別の人口増加数では全国7位となっています。見沼たんぼから見たさいたま新都心ゼロカーボンシティ実現に向けた取組本市では、将来の脱炭素社会の実現に向けた取組は必要不可欠であるという認識のもと、令和2(2020)年7月28日に「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ(ゼロカーボンシティ)」を目指していくことを表明しました。また、「さいたま発の公民学によるグリーン共創モデル」をコンセプトに、全国の自治体で実現可能な汎用性の高い「地域循環共生型の都市エネルギーモデル」と公・民・学それぞれが主体となって取り組む「先進的かつサステナブルなグリーン成長モデル」の創出を目指すものとして、埼玉大学、芝浦工業大学、東京電力パワーグリッド株式会社埼玉総支社とともに共同提案を行い、令和4(2022)年、第1回脱炭素先行地域に他の25自治体とともに選定されました。全国への横展開が期待できる「実行の脱炭素ドミノ」の先進モデルとして取組を推進しています。「さいたま発の公民学によるグリーン共創モデル」では、公・民・学に分類される幅広い類型・需要家を対象として、さいたま市域のうち、「公共施設群」と、その一部として実施する「中央区再編エリア」、「埼玉大学キャンパス」、「芝浦工業大学大宮キャンパス」の2つの大学キャンパス、商業施設・住宅地といった市街地を想定した、「美園地区周辺の地域共創エリア」、「工場エリア」の6つを対象エリアとし、この6つのエリア全体をエネルギーマネジメントすることで、「地域の脱炭素化」を推進しています。さらに、脱炭素先行地域の先導的取組や、再エネ設備の導入を市内全域へ展開していくことを念頭に、新たに12季報住宅金融

公民学によるグリーン共創モデル地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の「重点対策加速化事業」について、令和5(2023)年4月に選定されました。同交付金を用いて、公共施設の脱炭素化(自立・分散型再エネの最大限導入)、企業への再エネ設備導入支援(支援制度の創設・拡充)を推進しています。脱炭素街区の形成に向けた取組本市ではゼロカーボンシティの実現という目標を達成するため、様々な取組を進めています。その一つに、「脱炭素先行地域事業」の一環として実施する、脱炭素街区の形成事業があります。この事業は、街区内の全ての住宅のZEH化を必須とし、太陽光発電設備及び蓄電池を全戸に設置する脱炭素街区の形成を図るものです。民間事業者の創意工夫による、「脱炭素ドミノ」を推進する先進的な取組についても提案を求めるため、令和7(2025)年度にプロポーザル方式による事業公募を実施し、事業者を選定しました。採択された提案は3つの大きな特徴があります。1つ目は、グリーンインフラの活用です。雨水・風・緑といった自然の力を積極的に取り入れ、住宅単体だけでなく、街区全体で環境性能を高めます。具体的には、「雨の庭」による雨水の浸透・循環、「風の庭」による通風の確保、そして「共庭」や「コモンパス」による緑の連続性の確保など、街全体を一体的に設計します。これにより、ヒートアイランド対策、快適性の向上に加え、生物多様性の確保や景観価値の向上も図ります。2つ目は、安全・安心でレジリエンスの高いまちづくりです。住民同士のつながりを育むコモンスペースを整備し、日常的な交流を促進することで、災害時にも支え合えるコミュニティを形成します。また、防犯面では、街区照明やホームセキュリティの導入、自然な見守り機能の確保などにより、安心して暮らせる環境を整備します。さらに、太陽光発電や蓄電池、生活水の確保などにより、災害時にも生活を維持できるレジリエンス性を確保します。3つ目は、脱炭素エネルギーの積極活用です。各戸の太陽光発電に加え、地域の再生可能エネルギーを相互に融通する「オンサイトPPA」などの仕組みを導入し、エネルギーの地産地消を実現します。この仕組みにより、単なる省エネ住宅ではなく、再生可能エネルギーを最大限活用した街区全体の脱炭素化を目指します。住宅性能については、ZEHを上回る性能として、断熱性能HEAT20G2レベルを採用しています。加えて、外断熱と二重通気層を組み合わせた工法により、夏は熱を排出し、冬は外気を遮断するとともに、地熱の活用による安定した室内環境を実現します。また、外気の取り込みを自動制御するシステムを導入し、四季を通じて快適性と省エネ性能を両立します。さらに、地域資源の活用として、埼玉県産木材「西川材」を構造材に使用しています。これにより、CO²の長期固定化を実現するとともに、地域の森林循環にも貢献し、環境と地域経済の双方に価値を生み出します。街区デザインの面では、「街全体をひとつの庭」として捉えることが特徴です。各住宅の庭とコモンパスを連続させることで、自然と人のつながりを生み出し、交流が日常的に生まれる空間を創出します。また、公園との緑のネットワークを形成し、生態系の連続性を確保することで、持続可能な都市環境の構築を目指しています。加えて、ソフト面の取組も重視しています。住民向けの環境教育や省エネセミナーの実施により、まちへの理解と愛着を深めるとともに、自治会の立ち上げ支援などを通じて、コミュニティの継続的な発展を促します。さらに、各種認証やデザイン賞への応募により、本街区の価値を外部に発信し、他地域への展開も視野に入れています。将来的には、再エネ100%の住宅街区モデルとして、他地域への展開が可能な先進事例となることを目指しています。脱炭素街区提案イメージ季報住宅金融13

新築ZEH「ZEH」の認証をBELS評価書で取得30万円既断熱改修5万円高効率給湯機築省エネ化・創エネ化の促進こうした取組のほか、家庭における省エネルギー設備の普及促進や、再生可能エネルギーの導入促進を目的とし、次の事業を実施しています。いて、市が認証し、その取組を支援することで、地域レベルで持続可能な平時の脱炭素化、レジリエンス性の確保及び住民同士のコミュニティ形成に資するスマートホーム・コミュニティ街区の普及に寄与することを目的とするものです。■(既存住宅向け)太陽光発電設備等共同購入事業「みんなのおうちに太陽光」本事業は、住宅に太陽光発電設備・蓄電池を設置する希望者を募り、スケールメリットを活かした価格低減を促し、市民の皆様が「よりおトク」に「より安心して」太陽光発電や蓄電池を導入できる仕組みをつくることにより、再生可能エネルギーの普及拡大を図る事業です。本事業は、市と協定を締結したアイチューザー株式会社が実施しています。■(新築・既築住宅向け)省エネ・断熱住宅普及促進補助金住宅でのエネルギー消費量を削減するため、省エネ機器の設置や断熱化の更なる促進を図るため、新築の「ZEH」住宅に対して設置費用の補助を予算の範囲で実施しています。また、既築住宅向けに断熱改修・高効率給湯機への支援も行っています。■スマートホーム・コミュニティ街区認証制度本制度は、事業者が主体的に整備する断熱性能や設備の省エネルギー性能等の水準が高められた住宅街区につおわりに地球温暖化対策については、行政が率先して取り組むことは当然のことながら、温室効果ガスの削減目標達成に向けては行政の取組だけでは困難であり、市民・事業者の皆様の協力が必要不可欠です。引き続き、行政・市民・事業者と連携を図りながら、ゼロカーボンシティの実現に向けて全力で取り組んでまいります。スマートホーム・コミュニティ街区認証制度太陽光発電設備等共同購入事業省エネ・断熱住宅普及促進補助金補助対象一覧補助対象(要件)補助金額(上限)全体改修部分改修【要件】①断熱等級5以上の認証をBELS評価書等で取得②躯体(外壁等)の工事は必須【対象工事】●断熱窓の設置●ドア交換U)1.9以下の製品を設置※工事方法や対象製品の詳細は先進的窓リノベ2026事業(国の補助金)を参考にしてくださいエコキュートハイブリッドエネファーム太陽熱・地中熱利用システム加算※対象製品の詳細は給湯省エネ2026事業(国の補助金)を参考にしてください。次の①と②のどちらにも該当する場合に加算①ガス給湯器・電気温水器からの交換工事②給湯省エネ2026事業(国の補助金)での補助金額が次の額以上の機器10万円12万円17万円10万円5万円5万円※その他、詳細な条件は交付要綱等にてご確認ください。※国の補助金のホームページは、さいたま市の補助金ホームページのリンクよりご確認ください。※補助対象経費から国、県の補助金等の収入額を控除した額の1/3又は、表に示す補助金額のいずれか低い額を補助金の額とします。ただし、各補助対象事業の補助金の額に1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てて得た額とします。14季報住宅金融

住宅金融支援機構支店等紹介首都圏業務第二部営業グループ埼玉県・栃木県・群馬県・新潟県・長野県をサポートしています。首都圏業務第二部営業グループ広範な担当エリアをフットワークの良さでカバー。住所:埼玉県さいたま市大宮区桜木町一丁目11番地20大宮JPビルディング11階グループ紹介当グループは、フレッシュな若手職員と、幅広い知識と経験をもつベテラン職員の計15名で構成されています。両者がチームやペアを組むことで化学反応を起こし、効果的な取組につなげています。担当エリアの金融機関さまや地方公共団体さまと連携した取り組み、住宅事業者さまへのアプローチ、効果的な広告実施を通じて全期間固定金利型住宅ローンの訴求活動等を行っています。グループの取組令和8年度は、金利を取り巻く環境が大きく変化している状況を踏まえ、住宅取得予定者層が住宅ローン商品の特徴を十分理解した上で選択できるように、住宅事業者さま、業界団体さまとの連携を一層強化し、金融リテラシーの向上と、関連する知識の社会全体への浸透に積極的に取り組んでまいります。また、令和6年1月に発生した能登半島地震では、担当エリアである新潟市内でも大きな被害があり、未だに住まいの再建に向けて資金面で課題に直面されている方が少なくありません。被災地の復興に向けて、最後のお一人までしっかりと寄り添い、共に歩み続けてまいります。TOPICS2050年カーボンニュートラルの実現に向け、機構では、【フラット35】S(ZEH)などの提供を通じて、省エネルギー性の高い住宅の普及に積極的に取り組んでいます。取組の一環として、昨年度開催された『みそのECOフェスタ2026』に出展しました。開催地のさいたま市は、脱炭素先行地域に選定されており、美園地区は脱炭素の取組を波及させる「脱炭素ドミノ」実現のためのモデル街区です。当グループは、脱炭素先行地域の地方公共団体さまと連携を継続し、カーボンニュートラル実現に向けて取り組んでまいります。街区内の住宅の性能はZEH水準を上回り、【フラット35】S(ZEH)と親和性が高い。季報住宅金融15

地方創生Report大阪府堺市泉北ニュータウンでの脱炭素の取組―堺エネルギー地産地消プロジェクト―堺市環境局カーボンニュートラル推進部脱炭素先行地域推進室堺市・泉北ニュータウン堺市は大阪府南部に位置し、世界文化遺産を構成する百舌鳥古墳群を有する歴史都市でありながら、刃物や線香、自転車などの伝統産業が今も息づくものづくりのまちです。高度経済成長期以降、大阪都心部への通勤圏として住宅都市機能が強化され、泉北ニュータウンはその代表的な住宅地として整備されました。同時期に堺泉北臨海工業地帯として発展する一方で環境問題にも取り組み、2009年1月に環境と経済の両立に向けた先進的な取組を行う環境モデル都市に、2018年6月に経済・社会・環境の統合的な発展を先導するSDGs未来都市に大阪府内で初めて選定されました。そして、2022年4月に「堺エネルギー地産地消プロジェクト」が国の脱炭素先行地域に選定され、これまでの取組を更に発展・加速させています。泉北ニュータウンは、昭和40年代に計画的に整備された西日本最大規模の住宅地であり、ゆとりある住環境と豊かな緑に支えられながら発展してきました。一方で現在は、まちびらきからまもなく60年を迎え、公的賃貸住宅や公共インフラの老朽化などと相まって、人口減少や高齢化の進行が大きな課題となっています。2025年には人口約10万9千人、高齢化率は約37.8%に達しており、今後更に人口減少と高齢化が進行する、いわば将来の日本社会を先取りした地域となっています。バランスのよい年齢構成の実現に向けて、若年層・子育て世代の転入・定着を促進するためには、新たな魅力ある住宅の創出が不可欠です。また、安心してこどもを産み育てられる環境や、高齢の方を含め全ての住民が安心して住み続けられる環境の形成も重要です。泉北ニュータウンは、かつてのベッドタウンから、多様性を受入れ、多様な機能を備え、多様な暮らし方を可能とする、より豊かに暮らせるまちへの転換が求められています。こうした状況の中、泉北ニュータウンでは住宅地再生第1回脱炭素先行地域選定授与式泉北ニュータウン(泉ケ丘駅前地域)16季報住宅金融

泉北ニュータウンの年齢階層別人口比率の推移ZEHの構成要素(出所)堺市泉北ニュータウンの転出入の状況(2021年~2025年度計)(出所)「住宅脱炭素NAVI」(環境省)(https://policies.env.go.jp/earth/zeh/general/)を加工して作成家庭用電力単価推移(出所)堺市(出所)新電力ネットウェブサイト(https://pps-net.org/unit)に向けて、単なる建替えではない、新たな魅力ある住宅の創出に取り組んでいます。特に、若年層・子育て世代に選ばれるまちとするためには、日々の暮らしやすさと将来の安心を両立する住宅が重要になります。近年は電力価格の上昇などもあり、住宅の省エネ性能が家計に与える影響が大きくなっています。そのため、ZEH(ゼッチ)をはじめとした高性能住宅は、光熱費を抑えながら快適に暮らせるという点で、特に子育て世代を中心とした居住ニーズに応える重要な選択肢の一つとなっています。同時に、断熱性・気密性の高い住宅は、部屋ごとの温度差が小さくなり、特に冬でも寒くなりにくいため、ヒートショックなどの疾病リスクの低減にも繋がり、すでに進んでいる高齢化への対応にもなります。また、高性能住宅は平常時からエネルギー消費量が少なく、太陽光発電設備や蓄電池を併せて導入することで、停電などの非常時の備えになると同時に、地域全体の脱炭素化にも貢献します。泉北ニュータウンでは、この「住まいの魅力向上」と「脱炭素」の視点を一体的に捉えて持続可能な地域環境の形成を進めています。住宅向けの脱炭素施策ZEHとはNetZeroEnergyHouse(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」のことです。具体的には、外壁や窓など外皮の断熱性能を大幅に高めた上で、省エネ機器(空調・給湯など)を導入して、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネを実現し、更に太陽光発電など再生可能エネルギーを導入することにより、年間のエネルギー収支をゼロ以下とすることをめざした住宅です。暑さや寒さを我慢して省エネするのではなく、快適に暮らしながら省エネを実現することができます。堺市では、住宅分野の脱炭素化を加速するため、ZEHや太陽光発電設備の導入補助事業を実施しており、また、2013年には、泉北ニュータウン内の小学校跡地を活用した「晴美台エコモデルタウン」を創出しました。この晴美台エコモデルタウンは、65戸の住宅全てがZEHとなっており、街区全体で見ても、太陽光発電による創エネルギー量が消費エネルギー量を上回る全国初の「ゼロエネルギータウン」が実現しています。季報住宅金融17

堺エネルギー地産地消プロジェクト推進事業補助金設備等補助率等戸建て住宅・補助額100万円/戸・次の①②の設備をいずれも導入する場合は、補助額を加算する。加算額は、1戸あたり「堺市ZEH支援事業補助金」の額の半額(5~10万円)とする。①HEMS②EV充電設備又はV2H充放電設備晴美台エコモデルタウン(大和ハウス工業(株)提供)これらの取組により、市域面積当たりの太陽光発電の導入容量は政令市で第1位となっています。更に脱炭素化を推進するため、堺エネルギー地産地消プロジェクトにて、ゼロエネルギータウンを泉北ニュータウン内に複数箇所創出します。堺エネルギー地産地消プロジェクト本プロジェクトの大きな特徴の一つが、泉北ニュータ集合住宅太陽光発電設備(出所)堺市蓄電池・低層(住宅用途部分が3層以下)補助額40万円/戸・中層(住宅用途部分が4、5層以下)又は高層(住宅用途部分が6層以上20層以下)補助率2/3※単年度上限額:3億円※設備容量補助率7kW未満1/27kW以上2/3※太陽電池モジュールの公称最大出力初期実効容量補助率10kWh未満1/210kWh以上又はV2H充放電設備を導入する場合2/3ウン内に点在する「府営住宅の活用地」を起点とした展開です。大阪府では、老朽化した府営住宅を更新するため、集約・建替事業を進めています。この集約により生まれた土地(=活用地)を活用し、大阪府と堺市が連携して複数箇所のゼロエネルギータウン創出を進めています。これらの事業では、大阪府による活用地の売却時に戸建て住宅の性能をZEH以上とすることを要件として求めるほか、太陽光発電設備や蓄電池の最大限の導入を促進するなど、まち全体として高性能住宅が集積する仕組みとなっています。加えて、この活用地で住宅を建てる場合は、環境省の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」を原資とした堺市の補助制度を活用することができます。導入する太陽光発電設備・蓄電池の規模を大きくすると、補助率も高くなるような制度としているため、より高性能な住宅の導入を促す仕組みとなっています。このように、単体のZEH住宅の整備にとどまらずゼロエネルギータウンを形成することで、「環境性能の向上」と「災害対応力強化」、「健康増進」について街区全体での同時実現を図っている点が特徴です。泉北ニュータウンにおけるこれらの取組は、既存住宅地の再編と脱炭素化を同時に進め、これからの50年をリードする新たな持続可能なエリアを生み出す先進的なモデルケースとして、同様の課題を有する全国の自治体への横展開が可能であると考えます。これからも、様々な価値向上を通じて、多様な世帯に選ばれる魅力ある暮らしの場の形成を進めます。ゼロエネルギータウン創出事業スキーム図(出所)堺市18季報住宅金融

住宅金融支援機構支店等紹介近畿支店営業グループ滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県をサポートしています。近畿支店営業グループ支店内での写真です。グループ全員集合して撮影しました!住所:大阪府大阪市中央区本町4丁目3番9号本町サンケイビル13階グループ紹介当グループは、地域の住宅政策課題の解決に向けて、【フラット35】等機構融資制度の推進活動を総勢18名で担当しています。支店のある大阪市本町から、管内2府4県各地に積極的に足を運び、住宅事業者や金融機関、地方公共団体等幅広いステークホルダーの皆さまと連携しながら活動しています。グループメンバーのコミュニケーションも活発で、関西らしく和やかな雰囲気の中、互いに協力しながら業務に取り組んでいます。これからも、地域の皆さまのニーズに寄り添いながら、住宅政策課題の解決を通じて「住まいのしあわせ」をともにつくり上げてまいります。グループの取組エリア特有の住宅政策課題や市場動向を正確に把握するため、エリア担当制を採用しています。住宅取得支援や住宅ローンの理解に向けた取組としては、住宅事業者を中心に「金利のある世界における的確な住宅ローンの選び方」の説明会を展開しております。2030年度ZEH水準義務化に向けては、大阪ガスマーケティング株式会社、大阪府と連携して工務店・設計事務所さまに「ZEHづくりお役立ちセミナー」を7月に開催しました。また、子育て世帯向けのイベント等にも積極的に参画し、エンドユーザーの皆さまに【フラット35】を周知するとともに金融リテラシー向上の啓発活動も行っています。TOPICSマンション管理適正化に向けて、修繕積立金の計画的な積立てをサポートするための10年満期積立債券「マンションすまい・る債」の周知に励んでいます。今年度は募集債券の満期時年平均利率を2.0%(昨年度0.525%)と大幅に引き上げたことから、この機会にマンション管理計画認定取得等により新規応募債券の利率上乗せがあることや「マンションすまい・る融資」の融資金利引下げの特典があることも知っていただきたいと考えています。その際は神戸市の大規模団地「ポートアイランド住宅」の取組事例(「マンションすまい・る融資」で全国初となる0.6%の金利引下げで耐震改修工事を実施)もご紹介しています。7月以降は、地方公共団体や関係団体と連携したセミナーを通じて、マンション管理適正化に向けた情報を直接管理組合の皆さまに届けてまいります。季報住宅金融19

教えて!教えてくれた人JHF質問箱vol住宅金融支援機構の融資制度の疑問をJHF職員がわかりやすくお答えします!.46まちづくり融資部N副調査役Q1「まちづくり融資」とはどのような制度ですか?A1「マンション再生事業や市街地再開発事業等の「まちづくり事業」を対象に、事業の初動期から完了までの各段階における資金ニーズにお応えする融資制度です。住宅金融支援機構は、高経年マンションの増加と居住者の高齢化といった「マンションの2つの老い」の課題解決や住宅市街地の防災性の向上を目的に実施される事業を資金調達の面から支援しています。まちづくり融資をご利用いただくには一定要件を満たす必要がございます。詳細は機構HPをご確認ください地域要件申込人要件事業要件建築物要件再開発やマンション建替え事業の場合まちづくり融資で高齢者返済特例を利用する場合Q22026年4月から拡充された融資対象について教えて!マンションにおける「更新(一棟リノベーション)」「建物取壊し敷地売却」A2「建物取壊し」の3つの事業が新たに融資対象になりました。ポイント1新たな再生手法「更新(一棟リノベーション)事業」をサポートマンションの躯体を活かしながら耐震性を高める補強工事や、全ての専有部分の間取り変更など大規模な改良を行う更新事業が融資対象に!ポイント2「建物取壊し敷地売却事業」の追加と売却後建築物の要件緩和建物除却後の敷地売却事業も融資対象になりました!また、「要除却等認定」を受けていれば、敷地売却後の建物がマンション以外の場合も融資対象に!ポイント3建替えや売却が困難なマンションの取壊しも支援建替えや売却等が難しいマンションでも、「要除却等認定」を受けていれば、除却費用の融資が可能になりました!まちづくり融資(高齢者向け返済特例)で合意形成を後押しポイント460歳以上の方が更新(一棟リノベーション)事業等により供給された住宅を取得する場合にも、毎月の返済を利息のみとできるよう制度を拡充しました!マンション関係法の改正に伴うまちづくり融資の拡充区分所有法【決議】マンション再生法【事業手続き】住宅金融支援機構法【融資】改修改修(共用部分の変更)共用部分リフォーム融資まちづくり融資まちづくり融資再生建替え更新(一棟リノベ)マンション再生事業建替え事業対象に追加要除却認定マンションの場合売却建物敷地売却建物取壊し敷地売却マンション等売却事業建物敷地売却事業対象に追加事後建築物がマンション以外を対象に追加除却建物取壊し敷地売却マンション除却事業除却のみを対象に追加※赤字は、マンション関係法の改正で追加されたもの20季報住宅金融

季節の住まい方vol.2エアコン節電術で夏を涼やかに夏の暮らしに欠かせないエアコン。使い方を少し工夫するだけで、快適さはそのままに電気代を抑えることができます。今回は、日々の生活の中で無理なく取り入れられる節電のポイントを3つご紹介。効率よく冷やして、心地よい夏を過ごしましょう。❶フィルターのこまめな掃除エアコンは部屋の暖かい空気を吸い込み、冷たい空気にして送り出すことで室内を涼しくしています。ところがフィルターにホコリがたまると、吸い込む空気の量が少なくなり、冷房効率が低下。その結果、設定温度に達するまでに多くの電力を消費してしまいます。2週間に1回を目安に掃除することで、効率よく部屋を冷やすことができ、節電にもつながります。フィルターのゴミやホコリは掃除機で吸い取り、水洗いしましょう。❷室外機に直接日光を当てない室外機は、室内の熱を外に逃がす重要な役割を担っています。しかし直射日光や地面からの照り返しにさらされると、周囲の温度が上がり、冷却効率が低下してしまうため、電気を余分に使ってしまうことがあります。日陰に設置するか、すだれや簡易的なひさしで日差しをやわらげることで、室外機が吸い込む空気の温度を下げ、エアコンの負担を軽減できます。また、室外機の吹き出し口をふさがないように、物を置くことを避け、風通しを確保することも大切です。❸風量は弱ではなく自動に冷房時の風量は、手動で微風や弱風にするよりも、自動設定にするのがおすすめです。部屋が冷えるまでは強風で、その後は微風に切り替えるなど、最も効率よく快適に冷えるよう自動で調整してくれます。また、サーキュレーターや扇風機をエアコンの対角線上に置き、エアコンに向けて回すと、冷たい空気が部屋全体を循環し、温度ムラの解消にもつながります。体感温度も下がり、少ないエネルギーで快適さを保つことができます。監修河野真希(かわのまき)家事アドバイザー家事や料理、インテリアなど、気持ちいい暮らしを作るためのライフスタイル提案を行う。流行や思い込みにとらわれずに、無理なく持続可能で快適な暮らしづくりを応援している。季報住宅金融21

特2集SPECIALFEATUREモンゴルの住宅の現状と未来〜大気汚染・住宅性能・グリーン評価制度の課題と展望〜北海道大学大学院工学研究院建築環境学研究室博士課程Enkh-UchralE.(エンフウチラル)2020年モンゴル科学技術大学建築学科卒業。2021年~2025年モンゴルパッシブハウス研究所NGO勤務。2023年モンゴル国立大学再生可能エネルギー工学修士修了。2025年4月より現所属。住宅金融支援機構国際・調査部国際業務グループ豊島義之(とよしまよしゆき)1989年名古屋大学農学部卒業、同年住宅金融公庫に入庫。2021年~2024年国際・調査部調査担当部長として住宅ローン市場の調査業務に従事。2025年4月より現職。ゲル地区の急拡大と住宅の現状ウランバートルは、世界有数の寒冷都市のひとつである。冬の最低気温はしばしば−30℃を下回り、市街全体で石炭による暖房が行われるため,市街地は灰褐色のスモッグに覆われていることも多い。ゲル地区の急拡大は、1990年の社会主義体制崩壊に端を発する。計画経済の終焉とともに国営牧場が解体され、多くの遊牧民が生計の基盤を失った。都市への移住が加速するなか、1994年にはモンゴル政府が土地の私有化を認める政策(LandPrivatizationLaw)を打ち出し、ウランバートル郊外での自力建設住宅が急増した。その後も2000年代初頭の大規模な雪害(ゾド)による家畜の大量死、そして2008年のリーマンショック後の農村経済の悪化が、移住の波を繰り返し押し寄せた。現在、ウランバートルの人口は約170万人で、国全体の人口の半数以上が集中している。そのうち約60万人が「ゲル地区」と呼ばれる自力建設住宅密集地に暮らしていると推計される。ゲル地区は市街地外縁に広大なエリアを形成しており、多くはインフラ(地域熱供給・上下水道)の整備が不十分である。急速な都市化に対応するため、アパートの建設も大量に進められてきた。しかし、その質には深刻な問題がある。モンゴルの建設法(2021年改正)では、延べ床面積冬季、石炭暖房による煤煙がウランバートル市街地を厚く覆う。22季報住宅金融

600m²以下の住宅は、設計ドキュメントの作成、建築士の監修、認定施工管理者の常駐といった一連の要件が免除される。そのため、多くの住宅が専門的な監督なしに建てられているのが実態だ。また短い施工シーズン(概ね5月〜9月)と経済的制約が、速度と低コストを優先させ、断熱・気密・換気といった「見えない性能」は後回しにされがちである。建設現場を見れば、その影響は歴然としている。断熱欠損、気密層の不連続、窓・バルコニー周辺の熱橋、そして結露・凍結による外装パネルの剥落——こうした事例が各地で報告されている。設計上の性能と実際の性能の乖離は、特に中国・韓国・ロシア・ヨーロッパなど多様な国からの輸入建材が混在するモンゴルの建設市場では深刻で、建材自体の性能が不明なまま施工されるケースも珍しくない。こうした住宅の断熱性能の低さが、深刻な大気汚染を引き起こしている。暖房に石炭・薪・廃棄物が燃やされ続けた結果、冬季のPM2.5濃度はWHOの指針値を最大14倍上回ることもある。呼吸器疾患や循環器疾患のリスクが市民全体にのしかかるこの問題は、単なる「環境問題」ではなく、住宅の建設・制度・文化が絡み合った複合的な構造問題である。モンゴルに建設されたパッシブハウスパッシブハウス的設計を採用した木造戸建住宅(2024年竣工、延べ床面積84.5m²)。パッシブハウスの窓周りの低温モンゴルの高性能住宅の実測前節の住宅の課題を実証的に把握するため、筆者は北海道大学の建築環境学研究室において、ウランバートルに新築された高性能住宅を対象とした実測調査を行っている。2024〜2025年の暖房シーズン(11月〜2月)を通じた連続計測から得られたデータからは、モンゴルにおける高性能住宅の可能性と限界の両面が浮き彫りになった。調査対象は、ウランバートル市中部ゲル地区に2024年に竣工した木造戸建住宅である。パッシブハウスの考え方を取り入れた設計で、300mmのロックウール断熱材、トリプルガラス窓、熱交換効率95%の換気システム、輻射式電気床暖房(1階面積の約60%をカバー)を備えている。■気密性能・断熱性能気密性能:n50=0.18h-1/C値=0.213cm²/m²壁中央部のU値(南面・夜間平均値):0.079W/(m²·K)トリプル窓中央部のU値(夜間平均値):0.80W/(m²·K)気密性能は極めて高く、日本の高性能住宅のめやすとされるC値1.0cm²/m²以下を下回っている。壁の断熱性能も設計通りの値を達成したことが確認された。一方、赤外線サーモグラフィによる診断では、課題も明らかになった。アルミ製窓スペーサー部分において、室内外で約10℃の温度差(熱橋)が検出された。また、屋根と壁の接合部では約3℃の温度差が確認された。窓サッシのアルミスペーサー部分で約10℃の温度差が確認された(熱橋)。室内CO2濃度の上昇換気システム(ERVS)の停止時にCO2濃度が急上昇し、最大約3,500ppmに達した。実測主要データ一覧項目測定値備考気密性能(n50)0.18h-1極めて高い気密性壁U値(中央部)0.079W/(m²·K)設計値を達成窓U値(中央部)0.80W/(m²·K)トリプルガラス窓スペーサー熱橋約10℃の温度差要ディテール改善CO₂濃度ピーク約3,500ppm換気停止時リビング平均室温22.7℃屋外平均−20.2℃季報住宅金融23

室内空気質(CO2濃度)の連続計測では、換気システムを停止した夜間・休日を中心に濃度が急上昇し、ピーク時には約3,500ppmに達するケースが観測された(一般に快適とされる基準の目安は1,000ppm以下)。居住者へのヒアリングでは、換気装置の稼働音が気になるために停止してしまうことが明らかになった。高気密住宅では換気を止めることの影響が格段に大きく、自動制御あるいは低騒音型システムの採用が必要と考える。室温は、屋外の急激な気温変動(−30℃〜−7℃)にもかかわらず、リビングで平均22.7℃と比較的安定していた。一方で、大型の南向き窓からの日射取得により26℃を超えるオーバーヒートも観測された。2階への暖房供給が限られていたため、フロア間の温熱環境の差も確認された。BESTGERの評価シートBESTGERの誕生以上で示した実測データが示すとおり、モンゴルでは「設計上の性能」と「実際の性能」の乖離が大きく、その解消には制度的なアプローチが不可欠である。この認識のもと、モンゴルでは近年、段階的な政策整備が進んでいる。まず2019年には、エネルギー効率基準を満たす住宅向けのグリーンローン制度が商業銀行から開始された。金利12〜16.8%、返済期間最大20年で、建物エネルギー性能証明(BEPC)の取得とベースライン基準対比20%以上の省エネが条件とされた。しかし普及は芳しくなく、高い初期建設コスト、専門人材の不足、国民への情報浸透の遅れが障壁となった。こうした反省を踏まえ、GIZ(ドイツ国際協力機構)、GGGI(グローバル・グリーン成長研究所)、GERESなどの国際機関の支援を受けながら、モンゴルグリーンビルディング評議会を中心に国独自の評価制度の策定が進められた。そして2024年12月、省令第108号によって、モンゴル初の統合的グリーンビルディング評価システム「BESTGER(BD25-102-24)」が正式承認された。BESTGERは以下の6カテゴリ・合計100点で住宅を評価する。・エネルギー効率(35点)—加熱需要削減率に基づく主要評価項目12点)——換気・CO2・温熱快適性18点)・材料の持続可能性(10点)・安全・耐久性(15点)・環境配慮(10点)認証レベルはCertified(40〜49点)・Silver(50〜64点)・Gold(65〜79点)・Platinum(80点以上)の4段階で、グリーンローンの利用要件はSilver以上となっている。また規模に応じて、小規模・自力建設住宅向けの「簡易版(12項目)」と大規模向けの「包括版(32項目)」が用意されている。BESTGERが重要なのは、モンゴルの人々自身が主体となって制度を構築した点である。国際機関からの技術移転を受けつつも、モンゴルの気候・建設慣行・経済実態に合わせた独自の基準が作られた。これは単なる「外国制度の輸入」ではなく、自国の住宅問題を自らの制度で解決しようとする意思表示でもある。ただし、制度の誕生はゴールではない。BESTGERの審査・認証を担える人材は現時点で著しく不足しており、制度が有効に機能するためには運用体制の整備が急務である。設計段階でのエネルギー計算の第三者認証、施工中の気密層・断熱材の施工写真記録、完成後の検査(「RedBook」による竣工検査)等、制度を機能させる仕組みの整備はこれからである。人材育成と建材の試験制度(BESTGER)を機能させるためには、少なくとも二つの要素が不可欠である。一つは「人材育成と施工資格24季報住宅金融

制度」、もう一つは「建材の性能試験・認証体制」である。■施工技術者の育成:BIS制度の参照北海道では、高気密・高断熱住宅の普及に伴い、1990年代から「BIS(建物断熱施工技術者)制度」が発展してきた。これは、断熱材の欠損なき施工、気密テープの適切な施工、熱橋を回避するディテール設計の理解を体系化し、試験と実地研修によって認定する民間資格制度である。北海道の住宅性能向上における役割は大きく、設計値と実測値の乖離を縮小するうえで不可欠な仕組みとして機能してきた。モンゴルに必要なのも、これに類する施工技術者資格制度の構築である。BESTGERの評価基準を正しく理解し、断熱・気密設計の詳細を現場に落とし込むことができ、そして設計と施工の整合を自らチェックできる専門技術者の層を厚くしない限り、どれほど優れた制度設計も絵に描いた餅である。具体的な要件としては、断熱・気密の適切な設計と施工、熱橋に配慮したディテール設計、設計図と現場の整合確認が挙げられる。■建材の性能試験・認証体制の確立もう一つの課題は、建材の性能を客観的に測定・認証する体制の欠如である。現在のモンゴルでは、中国・韓国・ロシア・ヨーロッパなど多様な国からの輸入建材が混在しているが、その多くは性能値が不明確なまま市場に流通している。断熱材の熱伝導率、窓のU値(熱貫流率)、気密部材の性能、これらが正確に把握されていなければ、いくら精密なエネルギー計算を行っても結果は空虚なものとなる。日本では、一般財団法人建材試験センター(JTCCM)のような中立・公的な第三者機関が、建材の熱伝導率をGuardedHotPlate(GHP)法で測定・認証し、設計者がカタログ値を信頼して使用できる体制を整えてきた。NoMeasurement,NoManagementの原則こそが、省エネ性能の実効性を担保する土台となっている。モンゴルが整備すべきは、ISO/IEC17025の認定を受けた国内の中立的な建材試験機関である。当面は、熱伝導率測定(GHP法)、窓・ドアのU値試験、気密性試験の3分野から体制を整えることが現実的な出発点となろう。日本からの技術移転と機器支援を組み合わせることで、短期間での体制構築の可能性もある。これからの研究と支援の展望現在、北海道大学の建築環境学研究室では、札幌版次世代住宅や木造アパートの断熱リノベーションの研究等、寒冷な気候下における寒冷地住宅の研究が行われている。また、都市スケールのデジタルツインによる住宅のエネルギー消費シミュレーション等、様々なスケールの研究が行われている。この蓄積を、モンゴルの住宅改善に活かすことができる。具体的には以下の連携・支援活動を推進したいと考えている。◆実測研究の継続・拡充:今回の調査は単一事例に留まったが、ウランバートル市内の多様な住宅タイプ(ゲル・戸建・アパート)を対象とした実測データの蓄積が、モンゴル版の断熱・気密基準策定に直結するエビデンスとなる。◆施工技術者資格制度の共同構築:モンゴルグリーンビルディング評議会・パッシブハウス研究所NGOなどの現地機関とともに、BIS制度を参照したモンゴル独自の研修カリキュラムと認定試験の開発を支援する。◆建材試験体制の技術移転:熱伝導率測定・U値試験・気密試験の分野で、建材試験センター等との連携のもと、モンゴル国内に中立的な試験体制を整備することを長期目標として掲げる。◆学術的知見の社会実装:実測データ・シミュレーション・政策提言を連動させ、研究成果がBESTGERの基準改定や金融機関のグリーンローン設計に反映されるよう、関係機関への働きかけを続ける。モンゴルの住宅が抱える問題を「技術的後進性」と見なすことは、本質を見誤ることになる。ゲル地区の急拡大も、施工品質のばらつきも、建材性能の不透明さも、それぞれに歴史的・社会的・制度的な文脈を持つ。体系的な教育と制度がこれから本格的に構築される段階にあるということは、「大きな最適化の余地がある」ということでもある。北海道が戦後の住宅再建期から数十年かけて積み上げてきた理論構築、基準整備、業界の自発的な品質競争、居住者からのフィードバックという循環を、モンゴルははるかに短い時間で構築できる環境にある。その過程において、伴走者として役割を果たし続けるつもりである。住宅金融分野での取り組み日本をはじめ諸外国では、住宅金融分野での脱炭素に対する取り組みとして、省エネルギーや再生可能エネルギーなど「環境に優しい」住宅に対する優遇融資やそのような住宅を裏付けとしたグリーンボンドの発行が知られている。モンゴルにおける、その取り組みを紹介したい。モンゴルには、住宅ローンの証券化機関として、2006年に中央銀行や民間銀行の出資により設立された「モンゴル住宅抵当株式会社(通称MIK)」が存在する。MIKは、民間金融機関から年間150~200億円規模で住宅ローンを季報住宅金融25

買い取り、金融市場において重要な役割を果たしている。MIKは、ゲル地区から省エネルギー性能の高い集合住宅への計画的な移転を促進するため、ゲル地区の住民向けに低利の住宅ローンを提供している。また、これらの住宅ローンを裏付けとしたグリーンボンドの発行による資金調達の多様化も目指していた。こうした背景から、MIKはグリーンボンド発行の実績が豊富な日本の住宅金融支援機構と、グリーンボンド発行に関する有償技術支援契約を2025年7月に締結した。当機構では主に2つの取り組みを実施した。1つ目は、日本の省エネルギー政策や産業界の取り組み、グリーンボンド発行を学ぶための招聘研修である。MIKやモンゴル中央銀行、都市計画・建設・住宅整備省などの職員を対象にしたもので、国土交通省、日本建築センター、住宅性能評価・表示協会などの講義に加え、UR都市機構、ハウスメーカー、設備機器メーカーの協力のもと、省エネルギー技術を体験できる施設の見学も行った。特に関心が高かったのは、省エネルギー住宅に対する政府や自治体によるインセンティブ制度の充実である。脱炭素化を進めるには費用対効果を十分に考慮する必要があるものの、相応の財政支出が必要であることも認識された。また、住宅設備の体験施設では、日本の断熱サッシや全熱交換器の性能に驚き、モンゴルの厳しい環境下でも長期的に性能を維持できるか検証したいという声もあった。2つ目は、モンゴルでは「グリーン住宅」という概念がまだ浸透しておらず、グリーンボンドの裏付け資産となる住宅の技術基準を定める必要があった。このため、エンフウチラル氏の所属する北海道大学森研究室にモンゴルの省エネルギーの動向や技術的な実態に関する調査を委託した。この結果を受け、MIKに対し次の政策提言を行った。グリーンボンド等の発行による資金調達手段省エネ基準グリーン住宅ローンの定義住宅分野のグリーン認証実績日本法令等により明確に定義省エネ性能等を基準にグリーン住宅ローンを定義可能機構グリーンボンドモンゴル段階的に制度整備が進行中であり、その運用体制は整備途上MIKの求める集合住宅向けグリーン住宅ローンを定義できない実績なし・BESTGERに準拠するグリーン住宅基準の策定・グリーン住宅取得ローンへの金利インセンティブ導入による高品質住宅ストックの促進・住宅の品質確保・向上のための資格制度構築、人材育成、製品の統一規格導入、DX推進など建設産業発展のための施策今年3月には、MIKと共同でモンゴル中央銀行にて政策提言セミナーを開催した。アジア開発銀行などの国際機関、モンゴル政府、大手金融機関、グリーン認証機関、建設関係者など約80名が参加し、テレビ局の取材も入るなど、グリーン住宅への関心の高さがうかがえた。当機構は海外インフラ展開法に基づき、日本企業の海外住宅市場参入を支援している。今回の取り組みは、モンゴル金融機関に対するグリーンボンド発行支援が目的であるが、今後は国土交通省をはじめとする関係機関とも連携し、官民一体となって高品質住宅ストックを形成してきた日本の実績を取り入れるようモンゴル政府や関係機関に働きかけ、日本企業のモンゴル進出についても支援していきたい。(本稿に関する意見の部分は筆者の見解であり、所属する組織の見解ではない)MIKのアフォーダブル住宅ローンプログラムMIKのアフォーダブル市場のローン商品住宅ローンプログラムモンゴル銀行(中銀)資金調達銀行自己資金100%80%、銀行20%期間最長30年最長20年金利年利6%変動金利年利16~24%変動金利ローン比率70%80%負債対収入比45%未満55%未満床面積(集合住宅)80㎡以下制限なし融資限度額1億8,700万MNT以下(約770万円)銀行によって異なるモンゴル中央銀行での政策提言セミナー。26季報住宅金融

教えて!教えてくれた人JHF質問箱vol住宅金融支援機構の融資制度の疑問をJHF職員がわかりやすくお答えします!.47市場資金部M副調査役市場資金部R副調査役Q1A1グリーンボンドってなに?環境に配慮したプロジェクトの資金調達のために発行する債券です!グリーンボンドとは●グリーンボンドとは、企業や地方公共団体等が、再生可能エネルギーの活用や省エネルギー性の向上といった環境改善効果のある事業(グリーンプロジェクト)の資金を調達するために発行する債券のことです。●グリーンボンドで調達された資金は、主に再生可能エネルギー、省エネルギー、クリーン交通、廃棄物管理など、環境改善や気候変動対策に役立つ事業に使われることが特徴です。国内におけるグリーンボンドの発行累計額は10兆円を突破しており、環境意識の高まりを背景に、国内外の多くの機関がグリーンボンドを積極的に活用しています。機構では、【フラット35】のうち「省エネルギー性に優れた住宅」を対象とした住宅ローン債権の買取代金を資金使途とするグリーンボンドを発行しており、省エネルギー性の高い住宅の普及促進に取り組んでいます。機構グリーンボンドによる環境改善のイメージ※機構のグリーンボンド発行の枠組みは、国際資本市場協会(ICMA)の「グリーンボンド原則2025」及び環境省の「グリーンボンドガイドライン2024年版」に適合するものとして、評価機関である株式会社格付投資情報センターから第三者評価を得ています。Q2機構のグリーンボンドはどのくらい発行されているの?2025年度末時点で累計1兆4,400億円発行しました!A2機構では、2019年1月に国内初となる住宅ローンを資金使途としたグリーンボンドの発行を開始し、2025年度末までに累計1兆4,400億円(一般担保債券(SB)4,250億円、政府保証債9,950億円、資産担保証券(グリーンMBS)200億円)を発行しています。今後もグリーンボンドの発行を通じ、省エネルギー性の高い住宅の普及を後押しし、政府目標である2050年カーボンニュートラルの実現に貢献できるよう努めていきます。機構のグリーンボンドの発行累計額季報住宅金融27

季報2026年度No.78夏号2026年7月20日発行編集・発行独立行政法人住宅金融支援機構〒112-8570東京都文京区後楽1-4-10TEL.03-3812-1111(代表)編集協力(株)CEメディアハウスデザイン髙原宏デザイン事務所印刷株式会社総北海〒130-0022東京都墨田区江東橋4-25-10加藤ビル2FTEL.03-5625-7321●本誌は、発行年度の翌年まで、住宅金融支援機構のホームページにも掲載します。住まいに関するご意見、本誌に関するご感想、その他なんでもホームページからお寄せください。https://www.jhf.go.jp/about/kihou/index.html禁無断転載本誌掲載文のうち意見にわたる部分については執筆者の見解であって、住宅金融支援機構の見解ではありません。無断転載を禁じます。転載を希望される方は、必ず独立行政法人住宅金融支援機構経営企画部広報グループへご連絡願います。
