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髙橋かほる(聖徳大学元教授)ねずみは、ミッキーマウスに代表されるように、子どもたちにとっては大好きで親しみやすい存在ですね。小さくてかわいく、軽快にちょろちょろ動く様子、ユーモラスなしっぽの動きなどがその要因でしょう。子どもたちは、大きなぞうやきりんやライオンにも憧れるけれど、小さいねずみやりすは自分たちと等身大で同化します。「ねずみのすもう」「おむすびころりん」など日本の昔話にもたびたび登場します。さて、このお話は、日本の昔話なのでしょうか。源流は古代インドの説話集「パンチャタントラ物語」に同様の話があるといわれています。それが、インドからヨーロッパやアジアに伝わってきて、各国の説話文学に深い影響を与えたのではないかという説もあります。そして、日本の文化や風土に溶け込み、日本の昔話としても受け継がれているのです。さて、昔話は奥が深く、人生の教訓や喜びや悲哀をテーマに含むものが多いのですが、このお話が教えてくれることは、大きく分けて二つあると思われます。一つは、ねずみの両親が大事に育てた娘を世界一の人と結婚させたいと願い、世界をめぐりますが、最終的には小さくて弱いと思っていたねずみが実は立派なのだと気づき、結婚することになります。このことは、人生の幸せとは何かという教えでしょう。もう一つの教えは保育にもつながる読み方です。幼稚園や保育園などでは、この「ねずみのよめいり」をよく劇遊びに使います。なぜでしょうか。保育者たちにとっては、太陽、雲、風……とめぐるお話は「ブレーメンの音楽隊」を連想させますね。ろば、いぬ、ねこ、にわとりと次々に魅力的な登場人物が出てきて、どの役も自分の個性を生かして活躍します。どの役も主役なのですね。このお話の場合も、最後に結婚するねずみだけが主役になるのではなく、どの役も得意わざもあれば「でもね」という弱点もあります。どの子も主役、どの役も大事な役。つまり一人ひとりが主役だよと教えてくれているのではないでしょうか。昔話にはほんとうに深い意味がありますね。おかのぶこ文・岡信子絵本作家、児童文学作家。岐阜県生まれ。日本児童文芸家協会顧問。児童文化功労賞受賞。作品に『はなのみち』(岩崎書店)、『おはなしチムとターク』(リーブル)、『おおきなキャベツ』(金の星社)、『3びきのこぶた』『おおきなかぶ』(世界文化社)など多数。くらずみさきほ絵・蔵澄咲帆イラストレーター。徳島県生まれ。東京デザイナー学院(現東京デザイナー・アカデミー)卒業。子ども向け教材・カレンダー・書籍・広告など、さまざまな媒体で活躍中。手作り感を大切にした親しみやすくやさしい作風で人気がある。


むかし、かわいいねずみのむすめがいました。とうさんねずみとかあさんねずみのじまんのむすめです。「このこは、せかいでいちばんつよくてえらいかたと、けっこんさせよう」「えらいといえば、せかいをてらす、おひさまですね」






とうさんねずみとかあさんねずみは、かぜにたのみにいきました。「かぜさんかぜさんせかいいちえらいかぜさん、どうかむすめとけっこんしてください」「いやいや、えらいのはかべさんだよ。ぼくがどんなにつよくふいても、びくともしないからね」


とうさんねずみとかあさんねずみは、かべにたのみにいきました。「かべさんかべさんせかいいちえらいかべさん、どうかむすめとけっこんしてください」「いやいや、せかいいちえらいのは、わたしじゃないよ」「えっ、それはだれですか」










髙橋かほる(聖徳大学元教授)ねずみは、ミッキーマウスに代表されるように、子どもたちにとっては大好きで親しみやすい存在ですね。小さくてかわいく、軽快にちょろちょろ動く様子、ユーモラスなしっぽの動きなどがその要因でしょう。子どもたちは、大きなぞうやきりんやライオンにも憧れるけれど、小さいねずみやりすは自分たちと等身大で同化します。「ねずみのすもう」「おむすびころりん」など日本の昔話にもたびたび登場します。さて、このお話は、日本の昔話なのでしょうか。源流は古代インドの説話集「パンチャタントラ物語」に同様の話があるといわれています。それが、インドからヨーロッパやアジアに伝わってきて、各国の説話文学に深い影響を与えたのではないかという説もあります。そして、日本の文化や風土に溶け込み、日本の昔話としても受け継がれているのです。さて、昔話は奥が深く、人生の教訓や喜びや悲哀をテーマに含むものが多いのですが、このお話が教えてくれることは、大きく分けて二つあると思われます。一つは、ねずみの両親が大事に育てた娘を世界一の人と結婚させたいと願い、世界をめぐりますが、最終的には小さくて弱いと思っていたねずみが実は立派なのだと気づき、結婚することになります。このことは、人生の幸せとは何かという教えでしょう。もう一つの教えは保育にもつながる読み方です。幼稚園や保育園などでは、この「ねずみのよめいり」をよく劇遊びに使います。なぜでしょうか。保育者たちにとっては、太陽、雲、風……とめぐるお話は「ブレーメンの音楽隊」を連想させますね。ろば、いぬ、ねこ、にわとりと次々に魅力的な登場人物が出てきて、どの役も自分の個性を生かして活躍します。どの役も主役なのですね。このお話の場合も、最後に結婚するねずみだけが主役になるのではなく、どの役も得意わざもあれば「でもね」という弱点もあります。どの子も主役、どの役も大事な役。つまり一人ひとりが主役だよと教えてくれているのではないでしょうか。昔話にはほんとうに深い意味がありますね。おかのぶこ文・岡信子絵本作家、児童文学作家。岐阜県生まれ。日本児童文芸家協会顧問。児童文化功労賞受賞。作品に『はなのみち』(岩崎書店)、『おはなしチムとターク』(リーブル)、『おおきなキャベツ』(金の星社)、『3びきのこぶた』『おおきなかぶ』(世界文化社)など多数。くらずみさきほ絵・蔵澄咲帆イラストレーター。徳島県生まれ。東京デザイナー学院(現東京デザイナー・アカデミー)卒業。子ども向け教材・カレンダー・書籍・広告など、さまざまな媒体で活躍中。手作り感を大切にした親しみやすくやさしい作風で人気がある。


